鳥なき里のマイコン屋(8) レジェンド6502ベースMCU発見

毎度お騒がせしております「Armのお供に8051説」ですが、本日はレガシー8051に加えて、こちらはレジェンドとでも言いたい6502ベースのMCUまでやっている会社発見。6502、ご存知ですか?古き良き時代の8ビットのCPUです。Apple社の礎を築いたApple IIのCPUです。あるいはパソコン黎明期のコモドール社やアタリ社が使っていたCPUだと言ってもよいでしょう。しかし、何といっても、日本では任天堂ファミリーコンピュータのCPUと言うべきでしょう。登場以来40年以上たちますが、生き残っていました。それも地味なMCUとして。

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本日取り上げさせていただく台湾の会社、この会社の名前で検索しても他にヒットしてしまってなかなか日本では見つからないかと思います。

MEGAWIN

台湾は、何気なく結構マニアックなチップを作っている会社がありますが、ここもそんな感じです。主力商品は3種のコアを使ったMCUとLEDのドライバのようです。どのMCUもUSBの先っぽにつながるような小さめの周辺機器に内蔵したり、あるいは小さめのLCDパネルを持った小さな装置に入れることを主目的にしているように見えます。かなり、地味な感じ。

ArmCortex-M0
8051オリジナル互換12T/6Tと高速1T版の2種コア製品群
6502LCDドライバ内蔵の6502が存在。

Armの中ではもっとも「小さい」Cortex-M0がここの会社のフラグシップですから、その小さめ指向は明らかでしょう。そして主力はレガシー8051のようです。先だってのNuvoton社のときに学んだ12T/6Tとか1Tとかいう「8051用語」がここでも登場します。オリジナルのインテル版と同じ12T/6Tのコア製品と、性能アップを狙った1Tのコア製品の2ラインを持っています。12T/6Tの方はスタンダードな製品で、すこし尖がった(といっても可愛いものですが)系統は1Tでせめている感じです。USBに接続可能なMCUは1Tラインの方にあります。また1Tラインの方に懐かしいペリフェラル見つけてしまいました「PCA」。オリジナルの8051には存在せず、8051のCMOS化の後で搭載されたペリフェラルです。これみただけでこの会社の8051本気度が伝わってきます。そのうち、タイマとかカウンタとかMCUのペリフェラルを取り上げさせていただきたいと思います。もう一つ、何で?という製品8051コアにありました。OTP版です。他はみなFLASHなのに、ほんの一部ですが、OTP(ワン・タイム・プログラム)製品がありました。昔、まともなFLASH搭載品が高かったころにはよく見かけましたが、この頃は見ないな、と思っていたのですが、ここでは現役。当然、お手頃価格なのでしょう。

さらに感動したのが、6502コアのラインです。なんと、セグメント方式のLCDドライバ搭載の6502コアのMCUがありました。ちゃんとSEG/COM端子が並んでいます。そしてこの手のセグメント方式LCDの伝統にのっとり、ベアチップ(パッケージに入っていない裸のチップ)での供給のようです。組み立て工場で直接基板に乗せてワイヤボンダで「打つ」のです。そして封し材料をプッと盛っておしまい。ポッティングなどと呼ばれます。別にハイテクでもなんでもありません。遥か昔からやられている実装方法です。小さなLCD表示のある小さなリモコンとか、デジタル時計、タイマなどの中を覗いたらこの手の実装がきっと見つかります。6502は小さいコアであるのですが、これってほとんど4ビットMCU扱い。マイコン業界、あるいはゲーム機業界のレジェンド6502、こんなところで生き延びていたのか。。。

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