介護の隙間から(20) 国内メーカのIPカメラ取り組み比較

前回、国内のIPカメラということでPanasonic社ばかりをとりあげてしまいました。よく考えてみると、片手落ちじゃないかと反省しました。そこで、今回は、国内のIPカメラ(Webカメラ)の主要ベンダを列挙したいと考えます。ただ、介護テーマで取り上げなかったのには訳があるのです。ちょっとね、用途が違うものが多い。

まずは、今回取り上げさせていただく7社を列挙させていただきましょう。

Canon(Axisブランド)×https://www.axis.com/ja-jp
Canon(Canonブランド)×https://cweb.canon.jp/webview/
ソニー×https://www.sony.jp/snc/
日立産業制御ソリューションズ×http://info.hitachi-ics.co.jp/
IO Datahttps://www.iodata.jp/product/lancam/
JVCケンウッドhttps://www3.jvckenwood.com/dvmain/gv-f1kit/
パナソニックhttps://panasonic.jp/hns/index.html

まずはなんでCanonが2行あるかというと、最初の1行はもともと独立したスウェーデンの会社であり、防犯カメラ業界にその名が鳴り響く Axis 社製品をCanonが取り扱っているからです。その心はというと、2018年10月のいまから2カ月ほど前のプレスリリース御覧ください。

キャノンがAxisを完全子会社化(予定)

もともと資本関係を持ち、関係を深めてきたのでしょうが、ついにAxisはCanonの完全子会社です。今回は「国内」のと銘打っていますが、まだ予定ですが、Axisは国内扱いでも問題ありますまい。なにせ業界トップ的な位置にいるので、ここを基準にできると後の話が楽ですから。

さてAxis社の製品ですが、ソリューションのところを見ればその用途がはっきりします。顔認識、ナンバープレート認識、人数カウント、侵入検知など。完全に産業用途です。PTZ(パン、チルト、ズーム)対応のカメラですが、介護系で多いカメラに手が届くようなところに置く、ようなことは想定しておらず、天井や壁の高いところに設置するタイプです。いろいろ技術的には凄いのですが、医療、病院向けはアリでしょうが、在宅介護向けではないです。BtoBの世界ですね。それで、表真ん中のカラムに×書きました。製品がダメなので×でなく、ちょっと高級すぎて在宅介護向けじゃない、という意味の×なので誤解なく。蛇足ですが、Axisの一部製品はZ-Wave無線(Z-Wave関連投稿)で接続できるものがありました。

その次は、Axisを買収したCanonの「自社ブランド」の方の製品です。こちらも実に各種分厚いラインナップをそろえているのですが、産業向けです。よって在宅介護向けの判断は×。

その次の日立産業制御ソリューションズですが、ここも産業用途なので防水防塵はあたりまえ、ここの「売り」は超解像度処理技術です。画像の解像度を落としておいて記録し(当然記録容量が少なくできる)、後で解像度を上げられる技術です。ここも×と。

次にソニーが登場しますが、現行製品は「法人向け」カテゴリです。機能は豊富なのですがやはり産業用途。しかし、Web上では「見守り用途」の「スマートホーム」狙いと思われる「試作品」らしきもの(ちょっと四角くてソニーにしたらデザインが野暮い)の紹介が存在します。しかし、2018年末段階で問い合わせ先として記載されているのは、個人向けの製品を扱っている部門ではなく、「法人向けIoTサービス」部門です。見守り用途について「やる気」はあるようには見えます。

というわけで、国内にもIPカメラの「強力な」ベンダは存在します。しかし狙いは

産業用途

です。一人暮らしのシニアや徘徊系の方を在宅で「見守る」用途とは違うと言わざるを得ません。その点、以下の3社は、「見守り」用途に使える味付けです。

IO Data

パソコンなどの周辺装置で有名なIO Data社は、個人向けの装置に強いことを生かしてWebカメラも個人向けのテイストです。はっきり介護向けとはうたっていませんが、「防ぺ小老」(家庭用防犯、ペット見守り、ベビーモニタ、シニア見守り)は同系統の装置でカバーできるので、可能だと思います。音検知、人感、動作検知、温度、湿度など、機種にもよりますが、かなりバラエティに富んだセンサ機能が使えます。

JVCケンウッド

こちらも個人向けの味付けです。こちらはシンプルな動体検知のカメラですが、別売で(ドアや窓の)開閉センサと人感センサという「徘徊検知」でもおなじみの定番センサをシステムに追加することができます。センサもWiFi接続なのですが電池式です。想定している使用頻度で1年ほど持つようです。これはこれで使用環境によっては、なかなか優れものかもしれません。

Panasonic

については、既に前回取り上げさせていただいていますが、「防ぺ小老」をはっきりターゲットにしており、スマートホームにも対応しています。もともと家庭用のドアホンとかでシェアを持っていた関係かと想像されますけれど、前の方の会社とはスタンスに違いがあると思います。

以上のような考え(主観です)で、下の方の3社には〇を付けました。繰り返しますがあくまで「見守り」用途に向いた味付けの電子デバイス、という当方勝手な判断です。

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