介護の隙間から(24) 大混雑、AIとIoTで介護見守り

前回は見守りサービスへの3方向からのアプローチということで書かせていただきました。うち2方向は「在宅」向けのアプローチでした。しかし、目を転じてBtoB、施設向けの「見守り」となると、このところ各社の発表が相次ぎ、がぜん大混雑の様相を呈しています。キーワードは、

AI と IoT

です。2月に展示会がある、ということも一つのトリガにはなっていますが、それ以上の理由がありました。

まずは1月10日に凸版印刷がニュースリリース 凸版印刷、ZETAとAIで病院内施設見守り を出しているのでそこから引用させていただきましょう。

”2018年、介護報酬の改定がありました。これは見守り機器を導入することで、関連施設の夜間駐在の人員削減を可能にするもの。この介護報酬改定を受け、医療施設における見守り機器の需要が増えています”

介護の現場の負担、特に夜間は大問題なので、そこのてこ入れ(?)のための装置導入にお国が旗を振っているという構図のようです。そこで、各社力こぶを入れ、施設向けの見守り機器を大々的にプロモーションしている、ということのようです。

まずは、引用させてもらった凸版印刷の件です。凸版印刷というと大手の印刷屋さんと思われるかもしれませんが、何でもやっている(?)会社です。半導体の製造や設計にも深く関わっており、電子デバイス屋としてもおなじみの会社なのでつい最初に取り上げてしまいました。ですが、凸版のリリースは実証実験レベルでまだ、販売ではないです。施設内のトイレやお風呂などを見守るシステムです。売りはZETAとAI。ZETAはLPWA無線の一種です。(徘徊検知機器で無線を検討した回はこちら。)

もう一つはAIです。凸版が悪いわけではないのですが、最近の「AI」という言葉は、それ以上の説明をしないためのキーワードになっている感じがしています。AIと言う2文字で、それ以上何も聞かれない。説明せずに、いいもんだ、進んでいる、という雰囲気を醸し出せるのです。実際には、へぼいAIも、そうじゃないAIもある筈なのですが、ただAIと一言で思考停止というのはどんなもんでしょうか。

数が多いので、各社の数行程度で飛ばしていきます。順不同です。たまたま目についた順です。リンク張ってあるので興味があったらそれぞれの会社に飛んでください。

A.I.Viewlife

AI検知アルゴリズムで危険予兆動作と危険動作を検知。センサは、広角IRセンサと生体モニター(バイタル)を利用

AIさくらさん

異常検知、健康状態も見える化。やはり施設向けだと、見守りの中にバイタルサインも含めて管理したいという需要があるのだと思います。

安診ネット

カイゴ AIがバイタルを分析、健康異常を早期発見。

アースアイズと善光会、「リビング見守りセンサー」の共同開発を開始

AI活用による安心安全な高齢者施設・介護施設へ。善光会さんの方が、施設の運営側で、アースアイズがシステムインテグレータ側です。

Numao Intelligence Lab. 見守りプロジェクト

ここもAI、IoT技術の活用で、異種複数センサです。

ASD株式会社 まもる~の

ここの会社のキャッチフレーズは単刀直入で良いです。「これからの介護は、介護ロボットの時代です」

Z-Works LiveConnect

やはりAI、IoT技術活用ですが、ここはバイタルセンサとZ-Wave無線もポイント。

都築電機 KitFitSilverLand

自社パッケージ『KitFitSilverLand』にコミュニケーションロボット『ユニボ』を組み合わせて、AI+IoTなのだそうです。準備中とのこと。

「見守りシステム」ケミオット

エスト IoTとクラウド+AIによる見守りシステム

ウエルモ(福岡市)東京電力HDと組んで実証試験

最後の1件は、在宅の方向けなので施設向けではありません。それにしても、ちょっと調べただけで AI + IoT で高齢者見守りという分野でこれだけ見つかるのですから、この分野、ホットであることは間違いありません。さらに蛇足ですが

AI + IoT + 子ども(児童)見守り

というカテゴリでも別なプレーヤ多数が見つかります。

また、調べていたら、非常に参考になる良い資料だと思われるものが公開されていました。一読をお勧めします。

パナソニック(株)ビジネスイノベーション本部 IoT/AIを活用した科学的介護の実践報告

なお、2月の介護関係の展示会は2つあります。

2019年2月6日~9日東京ビックサイト 東京ケアウィーク2019

2019年2月20日~22日インテックス大阪 「第5回 介護&看護 EXPO 【大阪】」「第2回 地域包括ケア EXPO 【大阪】」

今回は、とりとめ無くなってしまいました。すみません。

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