土木でエレキ(3) もうすぐ締切、土木学会インフラデータチャレンジ

土木分野でもAIとIoTを活用すべし、ということで動いている人が多いようです。そのものズバリのコンテストが今まさに締切になろうとしていました。

土木学会インフラデータチャレンジ

応募作品の概要登録期限が1月19日、作品そのものの登録期限が1月26日です。今日は1月17日なので、明日一杯くらいに何か「アイディア」を思いつけば、「アイディア部門」に応募できないこともないですが、ちと時間が無さ過ぎですね。特に「アプリ部門」には。賞金総額200万円、最優秀賞50万円だそうです。もう少し早く気づいておれば、応募したのに。。。

このコンテスト、土木といってもかなり「データ処理」よりです。足場に登って高所作業をするでもなく、冬の寒空に震える手で測定をすることもありません。参加者は、いろいろ「土木関連インフラ」のデータセットにアクセスできるようになるので、それを使って、

  • 何かそいつらデータを活用したアプリを作れ(アプリ部門)
  • 何かデータを活用して課題解決するためのアイディアを出せ(アイディア部門)
  • 何かデータを視覚化したり、新たなセットを生成してみろ(データ部門)

といった感じです。日ごろビッグデータの解析に汗を流していらっしゃる方であれば、手法的には、お茶の子さいさい、ではないかと。コンピュータの上でデータ処理をしろ、という課題設定なので。

でも、土木なんて知らないよ、きっと分からない、と思ってしまう方も多い筈。私も半導体屋で、土木は門外漢なのですが、昔、土木の仕事を手伝わせてもらったことがあり、その当時得た信念の一つが、

単位、あるいは基準(ものさし)さえ理解すれば結構分かりあえる

です。これは、技術的にもそうですし、ビジネス的にもそうじゃないかと思っています。まずは商売の方の体験談を。土木の方々は、コンクリートなど

トン単価

みたいな話をよくされます。1トンあたり1000円も高くなってしまったとか、現場でコスト管理されている方が困っていたりします。半導体屋にすると1トンとかいう単位は「めくるめく巨大な物理量」です。1トンあたり1000円くらいいいじゃん、と心の中で思ったりするのですが、よく聞けばそうでもないことが分かります。聞けば一連の作業で使用するセメント、何千トンという単位でした。確かに1000円違うと相当な金額の違いになります。そういう作業を何度も繰り返すとなると確かに大変です。一方、半導体屋にすると、例えば単価何十円などという半導体部品をあがなっていて、単価1円、2円でヒイヒイいうことが多いです。これが許せないのは、半導体など電子部品の場合、数百万個とか数千万個単位で物が動くことが多いからです。この辺ビジネスの原則は同じです、ただ、単価と数量の感覚がちと違うだけ。

こんどは技術面の話です。電子デバイスでも、土木、例えば橋梁でも「振動」というのは重要です。あるとき、橋梁の専門家の人にこちらのある回路の周波数を説明していて「xxxキロヘルツなんです」みたいな説明をしました。こちらからすると、何て遅い周波数(ま、最新鋭のプロセッサなど、ギガヘルツのオーダーです)、と言われると思ったのですが、反応は予想だにしないものでした。

凄い高い周波数ですね、と

聞けば、普段、その方が扱われている振動は、数ヘルツから、1ヘルツ以下くらいの周波数だったのでした。しかし、振動は、構造体の重さとバネ的な要素で決まります。片や、こちらの電子回路はLC共振回路中心のものでした。Lは質量、Cはバネに相当します。積極的に共振点を使うか、避けるかの違いはありますが、共振周波数の原理原則は同じ。ただ、扱っているレンジが7桁ほど違っていたのでした。それ以来、物差しの感覚さえ合わせることができれば、結構、分かりあえるというのが信念になっています。

それにしても、このインフラデータチャレンジ、データを眺めてみると結構いろいろ面白いデータが目白押しです。関係する官公庁、組織、会社などがバラエティに富んだデータを供出しているのでしょう。登録しないとダウンロードできず、また、このコンテストに対してしか使用してはイケないという制限のかかったデータも多いのですが、そういう制限がかかっていないデータもあるようです。ちょっと、ダウンロードしてR言語とかでいじってみるかな、などとも思うのですが、やー、明後日締切だものね、いろいろあるし、残念、残念。

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