AIの片隅で(10) Actcastベータ版リリース

昨日、Raspberry Piにカメラを取り付けたので、がぜん気になってきたものがあるのです。

Actcast

という「クラウドサービス」です。気になった理由はRaspberry PiのGPUをAIの推論に使っているらしいから。Raspberry PiのGPUはあることは知っていても、NVIDIAのCUDAのように「表立って」使っているようなケースをほとんど聞いたことないので、かなり気になってました。そうしたらちょうど、今月8月1日にActcastはアルファ版からベータ版へと進んだというリリースが。タイミングが良いな。。。

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いつも、ドキュメントなどほとんど読まずに直ぐに「現物」に突っ込んで、結構、失敗しているのは本稿シリーズを何度かお読みいただいていたらお分かりかもしれません。今回、必要な道具立ては手元に全てあります。

    1. Raspberry Pi とそれを動作させるための電源やらなにやら(カメラ含む)
    2. 新品のマイクロSDカード(8G、16G、32G)
    3. Githubにログインするユーザ名とパスワード

Raspberry Piなど、1 model B+、3 model B+、Zero Wの3機種が目の前にあります。よりどりみどり状態。そしてベータ版を動かすための手順は、

Actcast.io

へ行けば、懇切丁寧な説明があります。それも日本語(最初英語版が見えるかもしれませんが、ちゃんと日本語に切り替えられます。)それもその筈、ご存知ない方のために注釈をいれておけば、東京神田の会社です。

idein-inc

創業4年目か5年目のベンチャー企業、資本金4億ちょっと、社員33人。Webサイトを見ていると本気でエッジコンピューティング+AIクラウドサービスで一旗あげよう、という気概をヒシヒシと感じます。

その意気や良し!

年寄りは、遥かな昔を思い出しました。しかし、いつものように、適当にSDカードにソフトをコピーして、スイッチ入れて起動、という気にはちょっとなりませんでした。本気で性能評価を行おうというのならまだしも、ただ、電源いれて遊んでみるだけなのもなにか申し訳ない。Webサイトに行けば、実際にRaspberry Pi Zeroで識別やらせているデモのビデオなどもあるので、同じことができるに決まっているから。

どちらかというと、どういう戦略で一旗あげるつもりなのか、そっちの方がとても気になります。また、技術的には、なんで Raspberry Pi、そんでもってあまり使われていないRaspberry PiのGPUなの?それにGPUをそんなにぶん回して発熱の方は大丈夫なの?などと疑問がいくつもむくむくと巻き起こってきます。そんな疑問が湧いてくるのは、このところ「電子工作系にものを売っている商社さん」からもらうメルマガに、以下のようなボードの案内が度々で、見るたびに欲しくなっていたから。マルツエレック社のメルマガからタイトルを引用させてもらえば、

Google Edge TPUを搭載した機械学習用開発ボード「Google Coral Dev Board(JP version)」好評発売中!

AIデバイス向けのシングルボードコンピュータキット
「NVIDIA Jetson Nano開発者キット」好評発売中!

といったところ。一方はGoogle、一方はNVIDIAとどちらもAI業界の大立者。Raspberry Pi 3あたりと比べると「数倍」は高いが、それでも定価1万円台。Googleの方はTPU、NVIDIAはAI主流のGPU、どちらも相手にするには不足が無さ過ぎる強者搭載機種。片や、産業応用が進み、数だけならそいつらの何百倍と売れている筈とは言え、非力なRaspberry Piを差別化ポイントにしてそこに挑むのかや?という疑問であります。リソースの少ないベンチャはあまり間口を広げてもいられない筈。ベンチャだからこそ、人とは違う目の付け所で一発狙わないとならない筈。今のWebサイトを見る限り、今の差別化ポイントはRaspberry Piに見えるのですけど。

その辺の技術的な疑問に多少答えてくれるブログがありました。

Why RaspberryPi VC4 GPGPU Programming Matters

最初に英語版のブログがありますが、スクロールしていくと日本語版が現れます。大川さんという方が書かれているのですが、英語版は徳田さん?という方の翻訳みたい。ありがとうねえ。お陰でRaspberry Pi のGPUのことはすこし分かった気がします。

しかし、売れるかどうかはハマるアプリ、「キラーアプリ」的な応用が出てくるか否かではないですかい、結局のところ。まあ、今それが分かっていたとしてもベータ版でベラベラしゃべったりはしないだろうけれど。コスパのよいプラットフォームやクラウドサービスが提供できたとしても、本格的にビジネス立ち上がるまでには結構な時間がかかるような気がします。ベンチャーは金と時間のおいかっけっこだものねえ。何か、一つで良い、がっぽり行けるアプリが欲しいところですね。

蛇足ですが、デモビデオの中で、深い階層のネットのダイアグラムをスクロールしていくところ、「こんなに複雑なことをやってまっせ」ということだと思いますが、まあ、ネットの深さと計算量やメモリ所要量がそのままイコールでもないですしね。1回見せてもらえれば十分かな。確かにそれぞれ異なることは分かるけれども、何度も見せられていると年寄りは目が回ります。

頑張ってくださいまし。

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