土木でエレキ(20) 台湾橋梁崩落

昨日10月1日の台湾の橋梁の崩落事故、衝撃でした。かなりな数の方が亡くなる大事故となってしまったので日本のニュース番組でもあちこちで取り上げられていました。御覧になった方も多いのではないかと思います。なんと言っても、見通しの良い昼間、複数台のカメラが監視している目の前で崩落が起きました。実映像のインパクトは半端ないです。

漁港と思われる場所の水路上に掛けられた140mほどあったらしい橋は、上部の1本のアーチ構造から鋼索を垂直に降ろして橋桁を吊っている構造のようでした。あまり古いものには見えません。ニュースによれば建造20年くらいのものらしいです。

その橋をタンクローリーとニュースが伝える如何にも重そうな一台の車が通過していきます。カメラによって多少角度は違いますが、左手前方向から右車線(台湾右側通行)を右奥方向に進行、橋を渡り切るかに見えたその瞬間、橋が崩落してしまうのです。半分渡り終えたかに見えた車も巻き込まれ、後ろ向きに落ちて行きます。そして橋桁の下の水路には人の乗った船が係留されていた、ということのようです。

崩落の様子を見るに、まず橋桁が桁ごとに少しずれながら落下を始めます。カメラによっては、左手前方向の鋼索がアーチ構造付近で切れて橋桁と一緒に落下しているところを映していました。これを見て、橋ではなく、笹子トンネル事故を思い出しました。別な映像では、橋桁が落ち始めた瞬間、上部のアーチ構造が上に跳ね上がるように変形したのも見てとれました。素人目には、吊り下げていた重量が解放されたがために、跳ね上がったかのようにも見えます。しかし次の瞬間、アーチ構造自体も落下を始め、橋桁と連動するかのように落ちて行きます。アーチの根本で二股になった部分の直上で下からクラックが入る感じで折れ、間の巨大なアーチ部分がそのままの形で落ちていったように見えました。

まあ、このような映像が残っているので、詳細な事故原因は明らかにされるでしょう(ただ、中国語で報告書が出るでしょうから理解できるかどうかは期待薄)。直前の台風や、比較的小規模な地震などの影響の指摘も出ているようです。台湾も台風や地震など日常の国だから元々考慮に入っていない筈は無く、それが主因で落橋ということはあり得ないでしょう。あれだけ立派な橋のこと、多分、設計からメンテナンスに至る全過程に渡る複合的な要因があってのことではないかと想像されます。

以前に、土木でエレキ(8) 橋の崩落の歴史で、事故原因などが比較的判明している国内の崩落事故と、「メジャーな」歴史的崩落事故などを列挙させていただいております。今回の事故も事故原因が判明したら追加することにいたします。あまり増えて嬉しいリストではないですが。

土木でエレキ(19) 停電復旧を邪魔した雷の記録 に戻る