IoT何をいまさら(40) 無印スマートウオッチ、歩数計

前回投稿で購入した無印スマートウォッチの黒幕?と思われるセンサ屋さんが登場しました。売りは超小型の3軸加速度センサでした。本当にそこのセンサが無印スマートウオッチに使われているかどうかは分解しないと確かめられません。しかし、ま、加速度センサをスマートウオッチに使うプリミティブ機能としては、歩数計でしょうか。とっかかりとして、他社製品と比較を試みました。

歩数計の比較のために、用意したのはこちらの3台です。

中央にあるのが今回購入の無印スマートウオッチであります。某通販サイト内のお店のバーゲンにて約2000円にて購入のもの。左の伝統的な歩数計は老舗オムロン製、かなり年季入っております。10年ではききません、20年近い年代もの。しばらく電池切れで「寝て」いましたが電池(CR2032)を交換すれば復活、頼もしい限りです。オムロンのこのシリーズこそは、未だ機械式接点の歩数計が、カタカタと鳴っていた時代に、加速度センサで殴り込んでいった歴史的な一品であります。もしも歩数計の博物館あれば展示したいくらい。若者は知りますまいが、機械式スイッチ(歩数計の中の丸い金属球があっちいったり、こっちいったりしていた)の歩数計は腰につけないとうまく計測できなかったです。そしてカタカタと動作音がする。いかにも爺むさい装置でありました。それが加速度センサにより、音もなく、そして腰につけなくても計測できる。それどころかカバンの中に入れておいてもちゃんと計測できます、ということになったわけであります。歩数系がスマートになった瞬間でした。まさにエポックメーキング。

もうひとつはガラケー内蔵歩数計。富士通らくらくホン以来、加速度センサ応用の歩数計は携帯の定番となりました。その伝統は、一部スマホにも引き継がれております。ま、どうせ加速度センサはいろいろ使うので、ぶっちゃけソフトウエアだけの問題なのでありますが。写真は京セラ製のガラケー、かなり古びていますが実はそれほど古くはないです。中身はハード、ソフトともAndoroidベースの「ガラケー」です。

オムロンと京セラをズボンのポケットにしまい、無印スマートウォッチを腕に、朝から夕方まで歩数測って見ました。三台ともゼロからのスタート。夕方の値がこちら。目標の一日8000歩には全然到達できてない!

  • オムロン歩数計 7053歩
  • 京セラガラケー 6526歩
  • 無印スマートウオッチ 6210歩

伝統のオムロン歩数計を基準にとると、京セラは93%、無印スマートウオッチは88%くらいの数字になっています。

この数字だけみて、オムロンが一番多い、無印スマートウォッチが一番小さい、などと言うのでは、「ぼーっと生きてる」ことになってしまいます。そんなこともあろうかと、途中2回ほど、手帳(アナログというよりアナクロ)に歩数を書き留めてあります。それがこちら

「ぐだぐだ」ということろは、椅子に座っていたり、車を運転していたり、立ち上がってトイレに行ったり(勿論歩く)もするけれど、総じて歩行は短距離、長くても数分、もしかすると数歩、くらいな時間帯。ハッキリ言って、どこまでが歩数なのか、微妙な時間帯であります。

それに対して「シャッキリ」部分は、ごく短時間ですが「ちゃんと歩いた」時間帯です。この部分だけを取り出してみると

オムロン100%に対して京セラ102%、無印スマートウオッチ93%

ガラケーが少ない数字なのは、ぐだぐだ部分は小さくかぞえるためで、ちゃんと長い距離歩いたら、実は多少多めに出るであろうことが分かります。また、無印スマートウオッチは、一貫して小さめですが、グダグダ部分は80%台ですが、シャッキリ部分は93%と、オムロンの計測に近づきます。当方のような年寄り歩きでなく、もっとしっかりした足取りの若い人であれば、この数字はもっと上向く可能性があるような気がします。

腕に装着する方が、腰付近に装着するよりも難易度が高い(腕は、歩行以外でもいろいろ動かすから、そういう成分と歩行を見分けないとならない)と考えているので、まずまずと思いますが、いかが。

蛇足ですが、加速度を積分すれば速度、速度を積分すれば距離、だから、身体に加速度センサをとりつけて、進行方向の加速度を2回時間積分すれば距離など簡単にでるじゃん、と思っている人がいたならば、

物理学実験で台車走らせるのとは違う

と申し上げておきましょう。進行方向をXとして、身体の左右をY、上下をZとしたら、進行方向Xの加速度のほとんどは、歩行、走行時のいろいろな身体の動きでプラマイぐだぐだ、その大きな外乱の中に真の進行にともなうささやかな加速度が埋もれているのです。そして一番大きな信号を観察するのがZ方向。地球重力加速度1Gがドンとあり、足を着地する度にガツンと大きなGがインパルス的にかかります(その辺が歩数計算する手がかりになりますが)。歩行では足のけり出しで逆方向のGが1を超えることは通常ない筈ですが、走れば、足は地面から離れ空中に飛び出すことになるので、短い間でもマイナスのGが現れる筈。着地の衝撃も大きくなる。その上、身体につけたセンサのX、Y、Z軸など固定できようにもありません。確かに回路基板上軸は設定できても、ナナメになり、装着中にもズレる、ズレる。測定装置そのものがぶっちゃけブラブラしている状態に近いので、そんな綺麗な波形など望むべくもありません。外乱だらけ。その上、計測期間中、加速度センサに電流を流しつづけたら、電池寿命は短くなる。なるべく、センサを休ませている時間を長くして、でも計測は取りはぐれないように工夫しないとならない。

たかが歩数、されど歩数(本気にしないように)

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