データシートを読む(5) STM32F401xD/xE その5

JosephHalfmoon

前回まで4回も使ったのに、表紙のあたりから抜け出せておりません。今回は、ページをめくって先に進みたいと思います。なんと一気に十ページ以上!内容が無い分けではないのです。大事な部分なのですが、そこに「書いてある」ことさえ押さえていれば、後で必要なときに参照すれば良い部分ではないかと思います。

表紙 Featuresをめくると現れるのは、

Contents

目次であります。なんだ、目次かと言うなかれ。データシートは今回のように頭から読んでいくのは珍しいんじゃないかと想像します。多分「自分が必要とするところ」を折につけ参照するような文書です。だから、Contentsをめくり、そこをクリックして所望のページに飛ぶ、というのを見なさんやっているのではないかと思います。今回のST社を含め、どこの会社のデータシートもまずContentsのページでページ番号をクリックで所望のページへ移動できます。また、Bookmarksでの移動も可能なのが普通だと思います。(分厚いデータシートではこれがないと手も足もでません。)稀にそういう配慮の無いデータシートがあるとちょっとがっかりしますぜ(そういうのは機能の限られたデバイスの短いデータシートでしょう。ある程度の記述量が必須なMCUではまず無いとは思いますが。)

Contentsで3ページ。その後に今度は、

  • List of tables 2ページ
  • List of figures 2ページ

が続きます。いっちゃ悪いですが「小冊子」の割りには目次相当部分が長い。でもデータシートの利用を考えれば、当然かもしれません。実際に仕事でデータシートを参照するときは、自分の担当分野の特定の表とか、特定の図をしつこく見るものだからです。多分、夢に見るくらい眺めていたら見なくなるかもしれませんが。それに、

データシートの神髄はテーブルと図にあり

と言っておきましょう。地の文章よりもテーブルの一つの数字、図に書き込まれたタイミングなどが死命を制する?と。その割には淡々と合計7ページを消化。ようやく

Introduction

に入りました。しかし、イントロ、やけに短い。ぶっちゃけ注意書きです。1行引用させていただきましょう。

The STM32F401xD/xE datasheet should be read in conjunction with RM0368 reference manual

リファレンス・マニュアルと併せて読め、と。”should be” です。この辺からもデータシートの位置づけが分かります。「死命を制する数値」は記載されているものの、「詳しい説明」が欲しかったら別文書を見てくれ、というところ。そしてIntroductionの下にはArm社のロゴマークが燦然と表示されています。こちらは当然Arm社からの正式ライセンスの元で製造販売しているもんね、という表明であります。書いて無いと困るけれど、一度見れば十分でしょう。

さて、お次は

Description

です。Descriptionというからここでいろいろ説明してくれるのかというと大したページ数はありません。5ページ。しかし、ここにはちゃんと頭に入れておかないと後々まずいことが色々書いてあります。最初のページはある意味Featuresの繰り返し的な部分でもあり(ぶっきらぼうなFeaturesよりは「読める」文章ですが)「死命を制する」ほどではないです。ちょっと目新しいのがST社が想定しているこのマイコンの応用分野が列挙されていることくらい。でも別にここに書かれていないアプリに使って悪いということもないので、あくまで売る側の目論見です。

しかし、その次のページは買う側にとって大事な部分。Featuresのところで、5種類のパッケージとDとEという2種類のチップの組み合わせがあることが理解されましたが、それぞれの組み合わせで何がどれだけあるのかを「短くまとめた」表だからです。スペックはまた後で詳細に確認しないと注文は出せませんが、この表を見れば、必要とするGPIOの数が足りているのかとか、ADCのチャネル数はとか、品種によって差のある部分の概要が分かります。ここ見て駄目なら別なチップを探すしかありますまい。ここ1ページだけ見れば、大体使えそうかどうかは分かる感じがします。

その次の2ページは、ST社のSTM32F4シリーズの別製品を使っていた人に非常に大事な部分。つまり

STM32F4シリーズはピン配置の互換性が相当高い

つまり、ちょっとスペックを上げたい、下げたい(当然コストダウンのために)といった場合には、今回データシートを読んでいる401xD/xE以外でも、405だの407だの、41xだの42xだの43xだの、一連のシリーズの中で置き換えを検討できる(してね)ということであります。ただ、

微妙に違うところもある(「許して」とは書いてないですが)

のであります。まずMCUを換装するという場合は、完成品自体の仕様も多少変わるのが普通だと思うのでPCB(プリント基板)は作り直すでしょう。だから微妙に違うくらいであれば、元の設計を流用しつつ、若干の手直しでOK、という感じじゃないかと思います。そんな時にここの図は頭に入れておかないとなりますまい。なお、違いは一端子廃止されて隣のキャパシタ端子がズレ、VSSが増えてるからね、という違いなので、廃止された一端子さえ問題なければ対応は難しくはなさそうに見えます。

そして最後は、このデバイスのブロックダイアグラム

ブロックダイアグラムを眺めていると面白いのですが、本日はここまで。ようやく14ページに到達。

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