お手軽ツールで今更学ぶアナログ(11) コイル、巻いてみる。

JosephHalfmoon

第8回第9回とインダクタンス測定に手こずった反動か、「自分でコイルを巻きたい」と思い立ったんであります。自分で巻いて、自分で測ると。幽霊のようにとらえどころのない?インダクタンスを捕捉するにはそれしかない、と?それに前2回よりは使いやすいお道具があることにもようやく気付いていたのです。Analog Discovery2の方のインピーダンス・アナライザ。以前のバージョンのソフトには無かったよね。。。

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まず、コイルは空芯で巻く、ことにいたしました。まあ、「芯」の奥深い世界に入る前に、空で巻いておく、と。ついては、目標値など計算しないとなりませんが、例によって、カシオさんの高精度計算サイトにはお役立ちページが存在します。まずは、コイルを巻くときには何がなくともお世話になる「長岡係数」の計算であります。

長岡係数の計算(R=コイル半径, L=コイル長さ) 作者kimoChanさん

今回、コイルを巻く「空芯」の材料として求めましたのは、プラスチックのお盆(某100円ショップにて購入)であります。直径約200mm。これにポリウレタン導線を巻き付けてコイルにするつもりなのです。小さなお盆の縁なので、コイルの「長さ」は約5mm程度を目標とします。

2R/L = 40

と見積もり、計算いたしました。長岡係数:約0.0728 であります。細い棒状のコアに巻き付けた方が長岡係数大となるようですが、今回は、平たいコイルなので致し方ありませぬ。さて、長岡係数が決まれば、実際にインダクタンスの計算ですが、それについては以下で行わせていただきました。

ソレノイドコイルのインダクタンス 作者:ntt666さん

7回巻き(実際に巻いた後で計算した)で、約28.2uHであります。前の2回とも、100uHに満たないコイルの測定にかなり手こずりましたが、今回も同様なレンジであります。

さて、目標値(設計値)が決まったので巻きます。協和ハーモネット株式会社製の2UEW/ポリウレタン銅線であります。昔、エナメル線といっていた電線と見かけは変わりませんが、被覆を剥がさず簡単に半田付けできるもの。余談ですが、

2UEW

というのは、AWG(American Wire Gauge)規格のように、線材の太さも表しているものかと勝手に思っていました。今回調べてみると、2種UEWという「仕様」であって、同じ仕様で異なる外径の製品があります。今回使用は、外径0.29mm、多分中の芯は0.26mmのもの。近寄ってみると、「巻き」にかなり苦戦しているさまが手にとるようです。

まあ、巻けたので、測定の準備をします。今回は、

Analog Discovery2のインピーダンスアナライザ機能

をつかって、インダクタンスを測定してみます。先には、M1Kのインピーダンスアナライザ機能を使ってみたものの、数十μHといった値のレンジにはイマイチ。その後、Analog Discovery2をつかって「VI法」でようやく、納得できるインダクタンス値が求まりました。しかし、イチイチ計算するのがメンドイな、と思ってDigilent社のホームページを見ていたら、Analog Discovery2にもインピーダンスアナライザがあるじゃないですか。私の朧げな記憶では、

数年前にインストールして、慣れていた古い版にはなかった

筈です。この間、ソフトをインストールしなおしたら増えたメニューじゃないかと思います。これの使い方については、Digilent社の

Using the Impedance Analyzer

を読むのが良いかと思います。ただし、

測定するキャパシタやインダクタの値のレンジに対する参照抵抗値の表

は、そのまま鵜呑みにしない方が良い感じがします。M1Kのときに参照抵抗値には手こずったので、Analog Discovery2の方は、表にまとまっていて「何も考えなくても済む」と喜んだのですが、やはりというか、そうは問屋が卸してくれない感じでした。

とは言え、前の2回よりは遥かに素性が良いです。まずは、1mHの筈のコイル(ADALM2000キット)を測ってみました。インダクタンスの計測モードで測ってみたのがこちら。

良い感じに、ほぼ1mHに近い値が報告されます。そのときのインダクタンスの周波数特性はこちら

もともと約1mHと分かっているので、例の表から参照抵抗は10Ωとして回路を作ったのですが、140kH付近になると

Registor too low!?

などという警告が出ます。測定している途中で参照抵抗は切り替えられないので、1kHzから1MHzといった範囲で、測定するのならば、何回かにわけて参照抵抗を変更して測定した方が良いようです。参照抵抗値は測定値の計算にも関わるので、いい加減な値は誤差のもとみたいです。また、インピーダンスのグラフを見てい見ると、下のグラフの上の面のABS(Rs)値には8kHzと9kHzの間に「谷」があります。これが何に起因するのか考察すべきなのでしょうが、今回はパス。

さて、いよいよ、作成した「お盆型空芯コイル」を測定してみます。参照抵抗は1mHのときと同じ10Ωのまま、測ってみます。

目標値にかなり近いインダクタンスが報告されておりますぞ。抵抗値もテスタで測った値に近い。インダクタンスの周波数特性はというと、以下のようにほぼフラット。特に抵抗値についての苦情も出ていない。

先ほどの1mHコイルと同じように、Abs(Rs)に谷がありますが、200kHを越えた辺りです。

本当は、30uHほどのDUTなので、先ほどの表からすると参照抵抗は1kΩほどが適当な筈なのです。しかし、参照抵抗を1kΩにしてみるとこんな感じ。周波数200kH以下では、抵抗値が高すぎるかも、と苦情が出て、測定値もマイナスになっていたりして怪しい。

マイナスのインダクタンスなど、深淵が口を開いていそうなので、パス。参照抵抗を間を取って100Ωにしてみました。

1kΩのときよりは、良さげになりましたけれど、低いところが何です。。。

なんで30μHのときも10Ωで良いのだろ~ 課題だな~

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