お手軽ツールで今更学ぶアナログ(23) M1Kで特性測りましたっ。

Joseph Halfmoon

昨日は、「パッケージリストに書いてある部品と違う」ということで盛り上がってしまって?いい加減な動作だけで「違う」と断定してしまいました。「違う」のは「違う」のだけれど、ちゃんと特性を見ておきたい。それに、だいたいの降伏電圧が3.6Vと分かったので、ADALM1000(以下M1K)の出番がやってきた、ということでもあります。M1Kなら一撃で特性測れる筈。

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測定した降伏電圧のグラフを冒頭、アイキャッチ画像に貼り付けました。ぶっちゃけ、このグラフを描くのに5分もかかっていません。だって、回路簡単。以下の写真を御覧ください。右M1K、左、「?」だったツエナーダイオードPHC3V6であります。M1KのCH.Aをカソードに、GNDをアノードに接続しただけ。

Zener M1K 接続そして、おもむろに、M1Kの制御ソフトの一つであります

Alice M1K DeskTop

を起動しました。Aliceの場合、波形の設定はAWG(Arbitrary Waveform Generator、任意波形発生器。ついアメリカン・ワイヤ・ゲージと呼んでしまう私)の設定ウインドウで行います。

M1K CH.A mode使用しているのは、CH.Aだけです。CH.AのModeをSVMIに設定。SVMIの意味はソース(S)電圧(V)測定(M)電流(I)です。1端子で電圧もかけつつ、測定もできるSMU(ソース・メジャー・ユニット)であります。

この辺の使い勝手の良さは、より高速で高機能なAnalog Discovery2に勝る部分かと。同時に電流測定できるので、デバイスの特性を測るときには便利。

 

M1K CH.A Shapeさて、もう一方のShapeの方で、生成する波形をTriangle(三角波)といたしました。電圧0Vから4.5V(上限5.0Vですが、あまり電流流れるといやなので上限規制しました)まで、50Hzの波形を印加することにします。

期待としては、3.6Vが降伏電圧なので、3.6V付近で急速に電流が流れ始め、以降、電圧をあげると「鰻登り」に流れる筈だと。

本当か。

 

まずは、Alice起動時に表示される時間波形(オシロスコープ)画面に表示された波形を御覧ください。緑の波形が電圧で左縦軸目盛り、水色が電流で右縦軸目盛りです。M1K 時間グラフ

さて、肝心の特性グラフはと言えば、右側のボタン類の中からX-Y Plotを選択し、縦軸CH.Aの電流、横軸CH.Aの電圧、としてやればよいです。するとアイキャッチ画像のグラフのできあがり。グラフを右クリックするとその場所の電圧、電流が読み取れます。昨日も書きましたが、「あるデータシート」に曰く3V6の

降伏電圧3.6Vというのは5mA流れたときの値

らしいです。勿論、仕様にはある幅あるので、3.5Vくらいから3.8Vくらいまでばらつくらしい(とはいえ、正確な品種分からないのでよくわからんのですが。)

読み取れたのは、5.128mAで3.5V。ま、こんなもんかね。「あるデータシート」をぶっちゃけると、SEMTECH社(香港)のSILICON PLANAR ZENER DIODESの大分古いデータシートです。そこからBreakdown Chracteristicsのグラフを引用させていただきます。3V6はないけれど、3V3と3V9ありますな。3V6ならその真ん中くらいに来るはず。

SEMTECH Zenerしみじみ測定したプロットを眺めていると、ちょうど真ん中辺にあるような気がしてきました。まあ、測れたような気がしてきた。そのなもんで良いのか。

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