部品屋根性(13) S9705、フォトICの中を覗く

Joseph Halfmoon

前回、プラスチックパッケージを炙って中のチップを拝ませていただきました。しかし、炙って取り出す方法では、ボンディングワイヤやフレームは破壊されてしまいます。何かボンディングワイヤが眺められるデバイス無いかなと思っていたら、発注してあった補充部品のあれこれの中にありました。浜松ホトニクス製のフォトIC、透明なパッケージなんであります。

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(2021年6月22日追記:本記事中に換算式ありますが一部周波数でしか成り立ちません。別なものがコチラにあります。それもどこまで信用できるかは?ですが適用可能範囲はまだ明確。)

綺麗なボンディングワイヤを眺めようと思ったら、蓋つきのセラミックパッケージの蓋を外すという方法が一番綺麗なままの状態を見られるのではないかと思います。昔、内輪のテスト用などでは、ちゃんと封止せず、仮止めの蓋のままのデバイスなどよく使っていた記憶があります。顕微鏡下で細い針で信号を当たってデバッグするのでありますな(針でメタルを当たれたなど、何時の時代の話?太古)なお、針であたれるデバイスには表面保護のパシベーション層ないので「生もの」扱いです。しばらくすると「腐って」動かなくなります。

しかし、今時セラミックパッケージなどまず見ません。だいたい今時のパッドの多いチップは、フリップ実装だったりして表に見えるのはお尻の方だったりします。また、昔は紫外線消去型のEPROMなどもあり、透明の窓が開いていたのでチップがよく見えました。今時UV-EPROMなどありはしません。しかし、このデバイスはもろ見えであります。

浜松ホトニクス 照度-周波数変換フォトIC  S9705

可視光用のフォトICが透明なパッケージに入っているというのは、ある意味当然な帰結ではあるのでしょう。しかし、このS9705というデバイスは、受光チップとCMOSのインタフェースチップの2チップが透明なパッケージに封入されています。

何気に立派な技術だと感心

いたしました。「その辺の」マイコンなど透明のパッケージに入れた日にはまともに動作いたしますまい。普通のチップは光に当たると良からぬ動きをしてしまう筈。パッケージが黒いのもうなずけましょう。しかし、このデバイスの受光部のフォトICのお供のCMOSチップは光にあたっても大丈夫なようです。アイキャッチ画像に掲げた拡大写真の左側のオレンジ色っぽい方が受光チップ、右の金色のチップがCMOSのインタフェースチップです。ピン数は少ないですが、ボンディングワイヤもしっかり見えています。

さて、デバイスの写真をとるだけで済ませるわけにもいかないので、動作させてみることにいたします。このデバイスは、約3mm角ほどの大きさの表面実装パッケージです。ピンピッチは2.54mm。例によってブレッドボードに刺し込むのに適当な基板ないかと思って手元の部品を探したところ

SOP8(1.27mm)DIP変換基板(秋月電子通商)

がちょうど良いことに気付きました。基板は1.27mmの8端子ですが、間の1端子飛ばして4端子だけを使えばちょうど半田づけができ、BOB化することができます。

さて、このデバイスは、光の照度(ルクスで測るやつ)を周波数に変換して出力してくれる優れものです。別シリーズの以下の投稿でも述べましたが、周波数に変換してくれるデバイス、私は好きです。難しいアナログ使わなくてもマイコンのタイマ(勿論デジタル)で簡単に測定できるので。ちょっと変換時間かかるけれども。

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(18) AD654、電圧/周波数コンバータ

このS9705というフォトICの場合、光が入射するとその照度を表す周波数(方形波)が出力されてくるのであります。あと必要なのは電源とグランドのみ。一応RESET端子もあるのですが、周波数をタイマで測定するのであればなくてもよいかも。

SOP8用のBB基板にS9705を搭載し、測定のためにDigilent、Analog Discovery2を接続したところがこちら。

S9705 on breadboard電源は、Analog Discovery2のプログラマブル電源から3Vを与えてみましたが、5Vでも動作OKであります。測定はお手軽にオシロのCH.1で観察。Measurementsのタブから周波数を選択すれば、周波数がそのまま読めます。下の場合は437kHzくらい。

S9705_waveformさて、お手軽に(自分で校正などせず)この周波数から照度(ルクス)を求めるためには、データシートからは以下のグラフを使うしかありません。S9705のデータシートからグラフ一葉引用させていただきました。両対数グラフ上、非常に綺麗、リニアな対応関係で、恐れいります。この手の周波数変換系のデバイスの場合、プロの人が綺麗な線形になるように工夫を凝らしてくれているので、素人が思い悩む部分が少ないんじゃないかとも思います。

S9705_Freq_lxただね、グラフのままでは、計算がしずらい。勝手に上のグラフを読み取り、換算式を作ってみました。(いい加減なものなので、よゐこは真似せず、自分でちゃんと測定系を校正してください。)

(2021年6月22日追記:真似しないでよかったです。以下換算式一部周波数でしか成り立ちません。別なものがコチラにあります。それもどこまで信用できるかは?ですが適用可能範囲はまだ明確。)

 

S9705_Formula微妙に、1.03乗してしまいましたが、微妙なので、測定した周波数を500で割る、でも当たらずとも遠からずではないかと想像します。(想像です。適当な事を書いているので鵜呑みにしないでください。)

これでいくと、先ほどの値は1300ルクスくらいか。それにしても、S9705を手で覆って暗くしたりするとオシロ画面の波形と周波数が変化して面白いです。

大抵のマイコンのタイマには入力信号の周期を測れるような機能が備わっておりますので、それを使えば照度計も一撃。ご参考までに、RISC-V搭載のGD32VF103で周波数の測定ができるようにした回はこちら。

鳥なき里のマイコン屋(102) GDF32VF103、タイマ、インプットキャプチャ

ボンディングワイヤを拝むだけのつもりが、結局、照度を測ってしまった?

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