介護の隙間から(46) 山善 YDR-200AT 防犯通話録音機

Joseph Halfmoon

今回は「セルフ介護」ネタは一回お休み。いわゆるオレオレ系の「特殊詐欺」対策グッズを取り上げさせていただきます。防犯通話録音機というもの。バリバリの要介護者?である実家の親向けに導入。既に「貸与」にて効果があることは判明しておりますが、数年ぶりに問題あり、今回は購入。悪者のために費用をかけるのも何だかな~ではあるのであります。

どうもお役所ではオレオレ詐欺や「その発展形の」電話を使った詐欺を特殊詐欺と呼称しておられるようであります。「特殊」というよりいまや一番多いような気もするのですが、どうなんでしょ。要介護の実家の親にも数年前に危ないことがありました。その折、警察に相談すると貸与してもらえたのが通話内容を録音する装置でした。着信あるとまず録音することのお断りをした後、通話内容を録音するもの。これを装着すると、しつこく掛ってきていた「それ系」の電話が無くなりました。

しかしそれから数年、再び、掛ってくるようになりました。まあ向こうの方も新陳代謝があるのね?困ったものだけれども。止めてもらいたいものですが、止めろと言って止めてくれるようなものでもあるまい、と。まあ今回は、一時的な貸与物品に頼らず、自前にて設置することにいたしました。

山善

山善殿というと、ホームセンターとか家電量販店で販売されている照明器具や小物の家電などの会社、という認識でおったのです。今回購入の防犯通話録音機というものも「その路線」の製品ではあります。しかし、そういえばデバイス売り込みに行ったことないな~ 私は桜田モモエ先生のように営業畑出身ではないですが、結構、あちこちの家電屋さんにマイコンの拡販に行っておりました(製品不具合でシバかれに行った方が記憶に刻み込まれとりますが。)しかし、山善殿へ行った記憶はございません。どういう会社?

まずは山善殿のホームページへのリンクを貼り付けさせていただきます。

株式会社山善

上記のホームページから順番に読んでも分かりますが、とても分かり易い「ひと目」で分かるそのものずばりのページが用意されていました。

ひと目でわかる山善

上記ページを勝手にかいつまんでしまうと、生産財中心(5000億近い売り上げの3分の2ほどが生産財)の商社でした。ここでの生産財は、旋盤などの工作機械やロボットを思い浮かべるのが一番フィットする感じです。バリバリのメカ系。といっても何十年も前から工作機械は数値制御化されており、実時間系のコンピュータとは一体化しているので電子デバイス屋とも無縁ではありませぬ。ただし、この分野では「商社」であるので、電子デバイス屋が売り込みに向かう先の「メーカ」の「先」の存在です。個人で工作機械を買う人もいないと思うので、基本B2Bの世界。

一方、消費財の売り上げは3分の1くらいのようです。消費財はいわゆる「住設」と家庭機器です。「住設」の方はシステムキッチンとかバスとかのようですが、これまた取引先は住宅メーカやリフォーム屋さんなどへのはず。ここでもB2Bの商社であります。

最後、家庭機器は売上の2割弱のようです。何本かの柱の一本、という感じ。この家庭機器事業においては量販店などへの卸(B2B)だけでなくネット販売などへも乗り出しているようです。ようやく一部だけB2C。また、この分野では企画、開発機能をお持ちとのことで、商社に留まらず「メーカー」でもある、とのこと。製造はどこぞに委託しているようです。

つい山善殿ネタが長くなりました。

YDR-200AT

さて、今回購入させていただいたデバイスは以下のパッケージのものです。

YDR-200ATpackageFront当初、「特殊詐欺対策機能付き電話機」を購入し、実家の電話を交換することも考えたのです。しかし、

要介護者が慣れている電話機を変更したくない

という1点で、電話機を変更せず、電話機と電話線との間に挿入するタイプの装置といたしました。介護に関わっている方は皆ご経験あるやに思いますが、いくら便利でも、なかなか新しい電子デバイスは使ってもらえないのであります。使ってもらえないどころか、拒否反応あったりします。ま、このタイプであれば、何も操作せずとも目的を果たせます(一応ボタンが付いているが、一切操作しないでも問題ない。)

なお、このタイプの装置、山善殿だけでなく複数のソースから出ています。「UI」的機能的にどこの製品も同じよう(特徴的な3つボタンの並びは同じ)に見えます。

装置の接続方法については、箱の裏面みればわかります。簡単。接続には1分もかかりませぬ(そういいながら動作テストでチト慌てましたが。)

YDR-200ATpackageBack

個人的には電話線をハッキング(大したハッキングではないです)するお楽しみがない現代であります。昔、海外のホテルに泊まったときは、部屋に入るとすぐに電話機のモジューラジャックを外し、持ち歩いていた、電話線の極性を調べたり、ピンを入れ替えるお道具類を使ってPBXから外部へ接続できるかどうかを確かめたものです。そしてモデムをつないで市内のアクセスポイントに接続してました。流石に300ボーの音響カプラの時代は経験ないのですが、1200ボーのモデムにはお世話になりました。

閑話休題。パッケージの内容物は以下の通りです。

YDR-200ATdevice本体の右横面には、電源スイッチあり(最初、接続したのに装置が反応しないと一瞬アセリましたが、電源スイッチをONにしていなかったという顛末。)

また、イヤホンジャックとスピーカの音量切り替えスイッチがあります。要介護者の人は耳の遠い人が多いので、スピーカを使う場合は大でしょう。しかし、スピーカで「途中経過」を知らせると、どのボタンを押したら良いのかと不必要に悩むことになる恐れもありあり。その場合などは、このデバイスのスピーカは切にしてしまうのが良いと思います。サスレバ、相手には録音してます~というメッセージが流れるものの、電話を受け取る要介護者にはUIの変更一切なしでOK。

YDR-200ATside

「特殊詐欺」に「従事している」人がわざわざ録音装置に通話内容を残すとも思えないので、最初の警告音声が流れたところで効果ありの筈です。万が一、通話内容が残っていたら、介護に行った際に録音を再生し、よほど問題のある場合は警察にご相談という流れですかね。内蔵のメモリに4時間半録音できるようです。どのようなIC使って実現しているのかちょっと興味を引いたのですが、目の前の対策優先ということで、今回はパス。

一応、現場で動作確認して送受ともOKだったんだけれども、今日やってみると時々着信に応答しないことがあるみたいです。何か接続まずった?次回確認しないと。まあ、オレオレ系の人は応答せず切れてしまう電話に悪さもできないでしょうが。。。

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