お手軽ツールで今更学ぶアナログ(45) 「位相とは何か?」と問われて尚更グダグダとなる

Joseph Halfmoon

自分が悪いのですが、このところアナデバ社(ADI社)のWeb記事「StudentZone」を初回からすべて読む、は失敗続きです。とるべきデータを取り忘れ、計算(正確に言えば表計算ソフトへの入力)を間違え、とボロボロ。今回は2018年6月号ですが、こんなことで良いのか、尚更グダグダだと。。

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ちょっと調べたいことあり、「アルミ電解コンデンサ」が「プシュ~」と煙を上げる件についてWeb検索しておったのです。(以下しばらく老人の繰り言です)印象に深いのは、この老人がまだ新入社員であったころ、目の前のDEC社VT100端末(今でも仮想端末の制御シーケンスにその名が残っている古典的キャラクタ端末)のコンデンサが「プシュ~」と音をたてて煙を吐きました。幸いその後はそのような目にはあまり合わずに済んできたです。しかし、検索で見つかった以下のページを拝見させていただき、まさに今必要なお言葉が書かれていることに気づきました。

株式会社アイテス アルミ電解コンデンサの極性について

1文引用させていただきます。

常日頃から緊張感を持ちながら作業を行う必要があります。

まさにその通り。このところの失敗は基本中の基本の繰り返しについつい心が緩んでいたためなのでございます。

さてStudentZoneの2018年6月号の記事は以下です。

「ADALM1000」で、SMUの基本を学ぶトピック6:位相とは何か?なぜ気にしなければならないのか?

ソクラテス式問答法でしょうか? はてなマークを重ねられると「緊張感」に目覚めた筈の心がちょいと委縮いたします。そういえば、ソクラテス式問答法については、なんとインテル社もPDF文書で言及していましたぜ(脱線多いな。)

Intel Education: 効果的なプロジェクトの設計: 発問

閑話休題。今回やらねばならないのは、RC直列回路にサイン波信号を加え、電圧波形と電流波形の位相の違いなどを考察する、ということであります。

以前から気づいていたけれども、どうもM1Kの調子がおかしい

さて本題に入る前に「校正」的な作業をせよとご指示があるのです。CH-Aに抵抗を接続し、正弦波を加えて電圧(緑)と電流(水色)波形を表示させよ、と。同時にCH-Bもまったく同じ正弦波(位相も同じ)を加えて、ただし負荷抵抗なしで電圧(オレンジ)波形を表示させよ、です。単なる抵抗なので位相がずれることもなく、緑とオレンジが重なっていて、水色のピークを同じところにあれば「よろしい」と。以下その様子です。振幅の大きな方(電圧)は緑とオレンジが重なっております。

201806calib

これでOKかというと、さにあらず、位相の測定の準備なのでしょう。CH-Aの位相90度に対して、CH-Bの位相をずらして波形を確認せよ(実際に指示があるのは、プラス45度とマイナス45度)、という作業があるのです。ここで困った状況になりました。

その状況を明らかにするため、指示はないのですが、CH-Aが90°、CH-Bが270°、ちょうど反転波形の場合をみてみます。下のような感じ。これはOK。

201806calibS90_270次にCH-Aが90°、CH-Bが180°、90°の位相ずれの場合が下に。ちょっと小さくないかい、位相の差が。。。

201806calibS90_180次にCH-Aが90°、CH-Bが135°、45°の位相ずれの場合が下に。あれ、上の90°と変わってないじゃん。。。

201806calibS90_135以前から、CH-BをSVMIモードにすると良からぬことが起こるように思われたのですが、これは変。何度かやっていると、135°の筈なのに45°みたいな波形が出てくる有様。

念のため、正弦波でなく3角波でテストしてみたら、まったくもって期待どおりの波形。これは確実に何か問題がありそうです。ソフトなのか?ハードの可能性大ですが。この辺調べていて時間だけが経過し、疲れきってしまいました。

しかたがないので、ADALM1000(M1K)でなく、Digilent Analog Discovery2を使用しようかとも思いました。しかし、電圧2点と同時に電流を測る必要あり。Analog Discevery2では測りずらいです。やはり電源でありながら、電圧と電流を同時に測定できるM1KのSMUは便利。そのうえそれを使うようにStudentZoneの実験が設定されているわけですが。

M1Kでだましだまし実験

良く課題を読めば、本番の実験はCH-BはHiZモードで電圧測定できれば良いみたいだったです。問題なのはCH-Bを信号源としても使う場合なので、それを避けつつ、だましだましやってみました。なんだかね~、集中力途切れ、変なところばかり目につくのです。

図8 . RC 回路を構成するためのブレッドボード上の接続

上は課題の回路、ブレッドボードの上に電解コンデンサがささっている図なのですが、マイナス側と思われる帯の端子に正の電圧かかるようになっているように見えます。プラスに見える端子がグランドに落ちてる。この絵、なんか問題じゃね。俺の目がおかしい?アナデバ様がお間違えになることなどあるまい。。。

実際にはことさら電解コンデンサを持ってまいりまして、上の図とは逆に接続して動かしました。まあ、ちょっと電圧かけただけでは逆刺ししてもプシューとはならないし。ほんとはどっちなんだろ、さらにボーとしてきました。

とりあえず測定を続け、計算を行い、最後は答え合わせです。お答えはこちら。

June StudentZone Quiz Solution

でも例によって、答えはイクツイクツと数字が書いてあるわけない。考え方がしめされているのみ。

CH-B不調にもかかわらず、波形的には期待通りに見えるものが観察できていたので、地雷は踏んでないみたい、っと。こんな感じ。

201806Fig7_wav計算した位相と測定した位相もだいたい一致していたので「まあいいか」。今回こそ、「緊張感」を持ちながら実験するつもりだったのに。何時にもましてグダグダだな。ソクラテスのせいか?

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