お手軽ツールで今更学ぶアナログ(46) RLC回路の共振点の手動探索、とても疲れる

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」はこのところグダグダな実験づづきです。ようやく今回は2018年7月号。はじめはちゃんとやろうと頑張ったのですが、疲れました。お手軽にやる方法が見えているのに手動で繰り返しをするのは辛いです。心が練れてないのじゃ、自分。

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このところADALM1000(M1K)を使って、受動部品のみの回路の実験が続いています。内心、そろそろ能動素子が使いたい、もっとスペクタキュラーな実験がやりたい、などと勝手な不満を抱きつつです。

さて、今回実験は、RLC共振回路であります。受動部品そろい踏みです。課題となる記事は以下に。

「ADALM1000」で、SMUの基本を学ぶトピック7:RLC共振回路

実験そのものは、R, L, Cそれぞれ指定の値のデバイスを並べて共振回路を形成し、その共振点の周波数を探り、半値幅など測定せよ、という定石どおり?のものであります。ただ、前半では、オシロスコープ画面で時間波形を表示させながら、手動で周波数を設定し、ピークツーピーク電圧と位相を測れという指示なのです。こんな感じの画面。緑がCHAの入力波形P-P 4Vの制限波、オレンジがCHB、RLC並列回路の両端の電圧。そして紫がCHAとCHBの差分です。入出力の波形の位相がピタリと一致したところが共振点じゃ、と。

2018JULYmeasure0

500Hzから2.5kHzまで100Hz毎に測れ

最初のご指定は、500Hzから2.5kHzまで100Hz毎に測れ、です。P-P値と位相差の計算はAliceに計算機能があるのでそれを使わせてもらっています。周波数を設定するところは手動。機械的作業は何気に疲れます。真面目にデータを取っていって測定結果を表計算ソフトに入力し、グラフにしてみました。こんな感じ。おやおや。

2018JULY_1K_1u_graph0

紺色のP-P値の方はまあ問題なさそうではあるのですが、オレンジの位相(ここではA-Bで計算)の計算値は暴れています。時間波形でみるとまったく問題なさそうなのです。Aliceのオシロ画面で位相の計算をさせるときには、何か「テク」がいるのかもしれません(後でボード線図のときはそれらしく位相測れているので、オシロ画面特有の問題かと?)

上のP-P値のグラフのピークからは1400Hz付近に共振点があるように思えるのですが、「暴れている」位相の線が0度を横切りそうな1100Hz付近の方が実はRLCの定数から計算した値に近いのです。

一行引用させていただきます。

位相が完全にゼロになるまで、周波数を10Hzずつ高めて調整を行います

さらっと書いてありますが、こんどはピーク付近だけとはいえ10Hz刻みかい。1100Hz付近だけでなく、1400Hz付近も調べたので手間は2倍。本命の1100Hz付近の様子が以下に。

1110Hz

2018JULYmeasure0_1110Hz

1120Hz

2018JULYmeasure0_1120Hz

1130Hz

2018JULYmeasure0_1130Hz
微妙。まんなか取って1120Hzでいいんでないかい(計算値は1125Hz。)しかし、この「調整」だけでも結構疲れました。

例によってCを取り換えてまた同じ測定をやれと

すでに何十回かStudentZoneを読ませていただいておりますので、予想はしておったのです。今回もやはりありました。Cを取り換えて同じことを繰り返せとのご指示です。またやるの?ちょっと元気が足りません。だいたい、その後で

ボーデプロット機能で自動測定

をするというステップがちらちらしているのです。手動はもういいじゃん、自動でできるんだし。手動の2回目は、Cを取り換えて共振周波数付近の波形を観察し、お茶を濁して終了とさせていただきました。。。根性無だな、自分。

ボーデ線図

延々と手動測定を行ってまいりましたが、ADALM1000(M1K)のAlice Deskitopにはボーデ線図を描く機能が備わっているのです。最初から使わせてくれよ、という感じ。これ使えば、延々と繰り返していた測定は一発。こんな感じ(デフォルトは対数プロットなのですが、課題の指定でリニアにいたしました。)

2018JULY_bodeHP

緑が入力波形(RMSで1V振幅)、オレンジがRLC部分の振幅、黄色が位相(ここではB-A、さきほどと方向逆転で計算しているので正負が逆になってます。)

こちらであると位相も滑らかな線に見えます。振幅の高い周波数がガタガタしているのは何でだろう?

この測定での設定の「キモ」は、縦軸をdBVにとっているので、入力を1Vrms(0dBV)にコントロールしておくことです。このためAWGのMinに1.086V、MAXに3.914Vを設定せよとご指示あり。この値、中央値の2.5V ± 1 x ルート2ということだと思います。こういう値がパッと出てこないと「プロのM1Kのオペレータ(そんな人いるのか?)」とは言えないのでしょう。どっかのボタンを押したら自動で設定して欲しいけれども。

ハーフパワーの帯域幅を測れという課題もあったので、ピーク値から-3dBあたりに赤の点線を引いてその両端の周波数を測ってみたのだけれどどうなんでしょ。(上の赤点線と緑の測定点。)それにしても、振幅のピーク値与える周波数と位相0になる共振点の周波数ちょっとずれているのはなぜ?インダクタンスの寄生抵抗がかなり大きいのが気になるけれども。シミュレーションする元気はもとより無。

いろいろナゼがあるのに、疲れたのでこの辺にしてしまいます。なお、定例の「答え合わせの記事」を探したのですが、2018年7月号に対応するQuizの回答記事は見当たりませんでした。2回目だね、解答記事忘れているの。それともどこかに隠してあるのか?

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