お手軽ツールで今更学ぶアナログ(58) R-2RラダーとOP27でDAC

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」も、とうとう2019年6月号です。ここからツールが切り替わりADALM2000が登場します。今回はADALM2000のご紹介の回みたいですが、ちゃんと実験があります。R-2Rラダーで作るDACです。しかしADALM2000無いのに実験大丈夫か?

ADALM2000持ってないのに、恐れ多くも実験は続けさせていただく所存であります。ADALM2000の代わりに使いますのは、Digilent Analog Discovery 2であります。2つの差をおさらいしておくと

  1. 基本似ている
  2. 端子仕様など比べると差はある
  3. しかし、同様な機能の端子がまったく同じ配列で同じ数だけ存在する
  4. 制御ソフトウエアとそのUIは異なる
  5. しかし、UIは違えど、同等な機能はカバーしているようだ

という感じです。なんとかなるんじゃね。まあダメなときは、万歳を叫んで無理!とか言うしかありませぬ。なお、お求めやすさからするとADALM2000に軍配あがるような気がします。時価知らんけど。

さて今回の2019年6月号の記事へのリンクは以下に。もろADALM2000の紹介記事的タイトルです。

ADALM2000:1台の装置で複数の計測に対応

そして、課題への解答編が以下にあります。最近、課題をまともに解いてないので反省しています。が、今回も自分で解かずに解答読んで済ませてしまいました。すみません。

June 2019 StudentZone Quiz Solution

なお、今回実験はR-2Rラダーですが、アナログ出力段のオペアンプとしてアナデバ社の中では「ベテラン」的立ち位置のオペアンプと思われる、OP27が登場します。OP27のページは以下です。

OP27 オペアンプ、低ノイズ、高精度

ただし、新規設計には非推奨 と書かれています。残念。さすがに退役近いのか?

実験用回路の構成

冒頭のアイキャッチ画像に、Analog Discovery 2取り付け前のブレッドボード上の回路を掲げました。8ビット分のR-2R抵抗ラダーと出力のところのOP27です。アナデバ様の記事掲載の回路とはちょっと抵抗が異なります。アナデバ様のご指定は以下の抵抗を使っています。

  • 10kΩが9本
  • 20kΩが9本

しかし、手元の在庫みたら20kΩが5本しかありませんでした。今度買っておかないと。仕方が無いので20kΩは10kΩ2本で賄いました。合計27本。

R-2RラダーとOP27を接続し、そこにAnalog Discovery 2をとりつけたところがこちらです。

R2R_OP27_DUT接続していて気になったのが、OPアンプの電源についてです。1行引用させていただきます。

オペアンプ「OP27」に電源を接続するのを忘れないようにしてください

流石に電源接続を忘れてはいないのですが、Vp, Vnに何V与えよとはご指定がないのであります。参照電圧AWG1については具体的に書いてあるのに。まあ、「ベテラン」のOP27オペアンプなので、あまり低い電圧はダメでしょう。一応データシートで確認すると

  • データシートのスペックの規定は±15Vにおいてである
  • データシートのグラフをみると、TOTAL SUPPLY VOLTAGEは9V付近から描かれている

そして、Analog Discovery 2のSupplyは、最大でも±5V。ということから

  • Vp=+5V
  • Vn=-5V (よってTOTAL SUPPLY VOLTAGE=10V)

といたしました。それしかないだろ~、書くまでない、という感じですか。

制御ソフトウエアの「機能の呼び方」の違いに注意

記事によれば、パタン・ジェネレータでデジタル出力を制御するときに端子を「グループ化」して、パターンを「Binary Counter」にせよとのご指示です。しかし、ADALM2000を制御する Scopy ソフトウエアと、Analog Discovery 2の Wave FormソフトウエアにはUIの違いがあります。

最初、Analog Discovery 2には「グループ」というものが無いので、個別の端子を設定して、バイナリカウンタ風にしてみました。こんな感じ。

DAC_pattern000設定が結構面倒だったわりに結果は良くなかったです。多分、信号の切り替わるタイミングが個別端子間で微妙にずれています。こんな感じにガタガタ。黄色がR-2Rラダーの出力で、青がOP27の出力です。

DAC_bi000これはイケないということで、Analog Discovery 2にある、「BUS」指定でやってみました。BUSにして信号をまとめてみます。すると、Typeの中にあるではありませんか、Binary Counterが。なんだ、1行でまとめて設定できるじゃん。設定の仕方を以下に。

そしてこちらの設定の仕方であると、各端子のタイミングが揃っているみたいです。後で出てきますがグラフのガタガタが無くなりました。

ADALM2000の「グループ」は、Analog Discovery 2の「バス」でOK

SettingBinaryCounter

実験結果

まず、オペアンプの -IN端子 に10kΩ介して参照電圧3.3Vを与えている場合(出力は-3.3~+3.3V付近を振れる)の結果です。先ほどのガタガタを見た後だと、妙にキレイな波形です。一応予定通りか。

DAC_biBIN次に、-IN端子への参照電圧の印加を止めた場合。今度は0から+3.3V付近で、増幅率1倍になりました。こんな感じ。

DAC_uniBINまあ初回は、ADALM2000と同等なことができたかな。それにしても課題を解かずに済ませてしまっているのは手抜きですな。今回なんかオームの法則ネタなのに。。。

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