お手軽ツールで今更学ぶアナログ(60) ダイオード1N914で実験、詰め込み過ぎ その1

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」もようやく2019年8月号です。しかし今回は最初から2回に分割という不甲斐なさです。何といっても「実習」盛りすぎ、詰め込み教育です。ADALM2000になったら進行が加速した感じ。今回テーマのダイオード1N914の型番、老眼の目で読み取るのも辛いし。

さて2019年8月の記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000:ダイオードと、その応用回路

記事の分量も以前からすると増えてます。ダイオードがテーマなのですが、実習が2aから2hまで8個も用意されております。その前に番号のついていないダイオードのIV特性の測定もあるので、実質9個の実習です。そして、各単元(?)毎に、問題と追加の演習(最初の回路をこんな風に変えてみて、また測って的な)が付いとります。追加といいつつ結構メンドイ。まあ、基本がブレッドボード上の小回路なので、部品や配線を組み替えて「たんたんと」実験を繰り返していけば良いのです(当然測定した内容の考察もしないとですが。)まともに追加までやったら辛そうでした。ご都合主義により、今回は問題と追加の演習はパスしてしまいました。なんとか2aから2fまで(最初の方の簡単な方から6個のみ、ご指定通りに実験。残りは次回回しとさせていただきました。

なお、例によって課題の解答編も存在するのですが、

最後の2fの「問題」に対する解答しか載っていない

です。それ以前の「問題」もあるのですが、2a~2e、華麗にスルーされています。もしかすると解答編の著者様は途中にも問題があるのを気付いていなかったのか?それとも解答を与える必用ありと認めたのが最後の1件だけだったのか?謎であります。

本題に戻ります。テーマはダイオード。アナデバ社の教育用アナログ部品キットADALP2000所蔵の 1N914(キットには4個含まれており、今回4個全てを活用)です。1N914はオンセミの製品(最近、昔は略称だった「オンセミ」が表看板になったらしい)です。多分その昔は、オンセミに買収された老舗中の老舗フェアチャイルド・セミコンダクタ製品だったじゃないかと思います。製品ページは以下に

1N914: ハイコンダクタンス ファーストダイオード

アナデバ様に恐れ多いことですが、今回も記事には「言いたいことがある」

記事を読んでいて、まず違和感を持ったのは、「振幅」の件です。ウイキペディアを引けば、0V中心にプラスマイナス3Vまで振動している(ピークツーピークで6V)の正弦波の振幅は3Vと言うんじゃあ~りませんか。ところが今回の記事読んでいると、入力信号(正弦波および三角波)ですが、振幅6V、オフセット0Vみたいな記述が登場するのでチトおののきました(追加の演習では振幅10Vもあり。)なんといってもADALM2000の代用として使用している Analog Discovery2の信号ジェネレータは±5Vが限界です。振幅6Vは対応できません。もしかするとADALM2000は振幅6Vでも生成できるのか?調べました。

  • アナデバ社のカタログみたところ、ADALM2000も信号生成は±5V限界みたい
  • 記事の中の波形をみると1V/Div設定らしきグラフ上で目盛り3個の振幅であった。よって実際の入力信号の振幅は3Vに見える

ということで、勝手解釈。「振幅6V」と書かれていたところは「振幅3V」を指定して実験してしまいました。ううむ、いいのかな~。でも実験した限りでは特に不具合もないし。。。

あと、もう1件、実習2eの回路図のコンデンサは1.0μFですが、実体配線図のコンデンサ0.1μFと書かれています。この件は回路図優先で1.0μFとして実験をいたしました。これまた特に問題なし。

『いいんだよ、細かいことは』『アナデバ様に恐れ多い』

ダイオードの IV特性

最初は「単元番号」の振られていない、ダイオードのIV特性の測定です。以下縦軸はV表示ですが、1kΩの抵抗の両端の電位差を測っているのでそのままmAに読み替えられるはず。

1N914IVa取得したデータを表計算ソフトに持っていき対数グラフにせよというご指示もあったので珍しくExcelにExportいたしました。Y軸(電流)の常用対数をとりました。「電流>0の領域」を描くとこんな感じ。見事に線形。一応「回帰直線」も書き添えました(計算してくれたのはExcelですが。)

1N914IVa_LOG本当は、このあとダイオードを交換して(キットに4本含まれているから)プロセスバラツキを測定せよ、とか、LEDに交換したらどうだとか、追加の実習のがあったのです。今回はパス。パス。パス。次回、元気があったらプロセスバラツキくらいは測定したいです。

実習2a:半波整流器

最初の実習は半波整流器です。黄色が入力、青が出力。入力が+のときに出力も流れますが、ピークでだいたい0.6Vくらい(ダイオードの分)電圧が落ちている、と。

2aResult

実習2b:全波整流器

次は全波整流、といいつつ、180°位相のズレた入力信号をそれぞれ別なダイオードにいれて実験です。何も考えずに測定したらこんな妙な波形を得てしまいました。失敗!

2bFail_NOSYNC上記の理由は簡単。2つの入力信号源の同期をとっていなかった、ためであります(Chの位相は0°と180°と指定したのだけれど、元々同期していない信号の位相を指定してもCh間は成り行きみたいです。)

Analog Discovery 2の場合、波形ジェネレータのところに デフォルト値 “No synchronization”と書いてあるプルダウン・メニューがあるので、そこを同期に変更すればCH間でも信号が同期するようになります。ADALM2000のソフトの場合、何も言わずにデフォで同期しているのでしょうか。きっとデフォでチェックマークが入っていな、ADALM1000のデフォはそうだった気もするので。

NoSync入力信号の同期をとれば、ほれこのように、予定通りの波形が。

2bResult

実習2c:ブリッジ整流器

次はダイオードブリッジといっても、専用部品でなく、4個の1N914をブレッドボード上で組んだ回路を使用(アイキャッチ画像に掲げました。)波形は以下のように予定どおり。ダイオード2個を通ることになるので、ピーク電圧は約1.2V近くドロップしておると。

2cResult

実習2d:リミッタ/クランプ回路

進行速くて駆け足です。グラフをパラパラすると傾向がつかめるかと。

クランプ用にDC0V

2d_F0V

クランプ用にDC1V

2d_F1Vクランプ用にDC2V

2d_F2V

クランプ用に今度はマイナス、DCー1V

2d_FM1Vクランプ用にDCー2V

2d_FM2V

実習2e:AC結合とDC復元

基準電圧に0Vを与えたとき、ダイオードの電圧分出力信号は下にシフト。

2e0V基準電圧にー2Vを与えると、さらに下にシフト。

2eM2V

実習2f:可変アッテネータ

今度はポテンショメータを取り出してきて、左に目いっぱい(抵抗小)に回したとき。出力信号(青)はほとんど平。

2fVRLポテンショメータ(5kΩ)の回転真ん中辺のとき。ちょっと振れてはいる感じ。先ほどよりはPP値倍に。

2fVRx右に目いっぱい(抵抗最大の筈)。

2fVRR作業を続けるだけで精一杯でした。何も考えてません(というより頭がボーっとしてきました。集中力続かない。)本日はココまで。

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