お手軽ツールで今更学ぶアナログ(66) ダイオード接続BJTの電流電圧特性

Joseph Halfmoon

前回は諸般の事情から、実験なしの残念な回となりましたが、今回の「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2020年1月号は実験ありです。ついに2020年に突入するとともに、題材はバイポーラトランジスタ、少し上級になった?でもダイオード接続なんですがね。

さて例によって、アナデバ様の記事(日本語)へのリンクを以下に貼り付けさせていただきます。

ADALM2000で、ダイオード接続したBJTの電流‐電圧特性を取得する

BJT=Biploar Junction Transistor ですぞ。ま、一番普通の「トランジスタ」ですな。アナデバ様の上記の学習記事のシリーズは、基本アナデバ社の学習用アナログパーツキットADALP2000に含まれているデバイスを使って勉強することになっており、本件も例外ではありません。フェアチャイルド(今はオンセミ)の2N3904と2N3906を使用です。以前にも掲げたデバイスの写真が下に。

2N3904_2N3906

以前にも書きましたが、よく見ると、ADALP2000の「お品書き」には2N3904も2N3906も3個と書かれていますが、私が購入したキットでは上記の写真のように5個づつ入っておりました。前回みたいに、特性が違うデバイスだと同じ実験できないですが、多い分にはまったく問題ない。

なお、今回は解答編もついています。そちらへのリンクは以下に

January 2020 StudentZone Quiz Solution

恐れ多いことなんだが。。。

アナログの権化のアナデバ様には恐れ多いことなんですが、今回も例によって申し上げたい儀これあり。「ダイオードの有効な順方向電圧を低下させる」件の「ハードウェアの設定」項目の中に

「ピークtoピークの振幅が8V、オフセットが2V」

の三角波を与えよ、という記述がありますだ。しかし、ADALM2000(私はDigilent AnalogDiscovery2で代用しております、すみません)の波形ジェネレータはプラスマイナス5Vの範囲の筈。上記だと上限が6Vとなってはみ出します。当方、勝手に

オフセット1V

とさせていただき、実験やってしまいました。細かい事を言えば、回路図にオシロのCH2のマイナス端子の接続場所が描いてないです。実体図にはありますが(いいんだよ、コマケーことは。)

当方のAnalogDiscovery2で代用している様子がこちら。

BJT_DUT

NPNトランジスタのダイオード接続

例によって黄色がC1、青がC2です。折角バイポーラトランジスタに突入といいつつ、今回はベースとコレクタをショートしてダイオード接続です。黄色がベース・コレクタとエミッタ間の電圧で、青が負荷抵抗?にかかっている電圧です。抵抗値1kΩなので縦軸をVでなくmAに読み替えれば電流です。

2N3904_BE_TIMご指示によれば、測定データをファイルに落として表計算ソフトにもっていき、Vbeと電流の関係をプロットせよ、とのことであります。しかし、前述のようにほぼほぼ縦軸mAと一致なので、XYプロットすれば得られるグラフは見えてしまいます(ということで表計算してません。手抜きな演習。)

2N3904_BE_XYVbe=650mV付近で立ち上がっていることは確かめましてございまする。

逆降伏特性

さて次に逆降伏特性を測れ、というお題なのですが、今度はトランジスタを2N3906(PNP)に交換せよとのご指示です。これは、NPNトランジスタの降伏電圧が10V以上となる可能性が高いので、ADALM2000の限界を超えるけれども、PNPなら10Vより小さい、というご判断とのことです。

やってみました。逆電圧10V(黄色)を与えると、電流が流れる(青色に波形が見る)筈なのですがね。ちょとだけ見えている?

2N3906_BE_TIMXYプロットも見てみたのですが、微妙。

2N3906_BE_XYどこか、回路の接続が悪いのかな~それとも手元の2N3906の降伏電圧がほぼほぼ10Vあるのか。。。

残り4個を確かめてみるべいかとも、思いましたが、例によって元気が無いのでパスといたしとうございます。

ダイオードの有効な順方向電圧を低下させる

この項目は、前述のとおり、印加波形のオフセットを「自主的に」変更して臨みましたです。最初の実験で見えた650mVの順方向電圧が、100mVくらいに減っていれば実験成功。ご指示のとおりにオシロを結線すると、最初の実験とはCHのトレースの色が逆転します。ま、いいか、分かるし。

NPN_PNP_TIMXYプロットも描いてみました。ほぼ0V近く、100mVに見えなくもないあたりで立ち上がっているのが分かります。OKでよいかな。NPN_PNP_XY

 

VBE 乗算器

最後の項目にきて、ようやくトランジスタを増幅回路っぽく使います。ベース電圧を調整するポテンショメータを真ん中辺にしたものが以下に。電圧比は約2倍になる筈のところ、以下のMAX値から計算すると1.99とな。OKでしょ。

VbeMUL_Halfポテンショメータを最大にすると黄色は青の抵抗比から9/7倍=1.29とな。下のMAX測定値からは1.35。まあまあOKってか。

VbeMUL_MAXポテンショメータを最小にすると黄色は青の抵抗比から9/2倍=4.5とな。下のMAX測定値からは2.96。微妙。ポテンショメータを回し切れていない?

VbeMUL_MIN何となく実験をやった最後に、例によって巻末の課題あり、VBE乗算器の電圧ー電流特性を「どうなるか」と。私のような数学できないアナログ音痴には計算できない、困った、と思って「解答編」「いつものように」見てしまいました。

シミュレーションで特性のグラフ描いてました

私でもLTspiceかけるくらいなら出来る、とは思いましたが、グラフみるのが一番だな。無理に数式で解く必要もないのか。

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(65) ツエナーダイオード、過去投稿をかえりみる へ戻る

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(67) OP37でアナログコンパレータ4種、ヒステリシス へ進む