連載小説 第65回 4ビットAI内蔵 “詠人舞衣子” の思い出

Momoe Sakurada
ペンネーム
桜田モモエ

<これまでのあらすじ>

サイコーエジソン株式会社の詠人舞衣子(よんびとまいこ)です。訳あって4ビットAIを内蔵しています。心理学科卒文系女子ながら先端技術製品のICを販売する米国現地法人のSS-Systemsへ赴任しちゃいました。食生活の変化で私の見事な肉体は更に水平方向へ成長しつつも、毎日忙しくやっています。Appleの青井倫吾郎さんから、とうとうプロポーズされちゃいました。最高!

 

 

第65話 常夏のユカタン半島

 

私、詠人舞衣子(よんびと まいこ)は、サイコーエジソン株式会社の11年生。文系ですが技術製品(半導体)を販売するアメリカの現地法人SS-Systemsへ赴任。美味しい食事の連続で、私の見事な肉体(笑)は水平方向へ更に見事な成長をとげたものの、アップル・コンピュータの青井倫吾郎さんから遂にプロポーズを受けちゃいまして、現在混浴中です。あ、間違えました婚約中です(笑)。入籍間近?

 

10月の誕生日が来る前に籍を入れる事にして、ぎりぎり33歳で結婚しました。34歳で結婚より、33歳で結婚の方が何となく聞こえがいいような気もしまして・・・(笑)。これにて、婚約中から人妻に昇格で~す。何だかカッコいいですよね、人妻というと(笑)。え?カッコいいじゃなくて色っぽい? まあ、そうなんです。自分で言うのも何なんですが、ワタクシ、色っぽさも備わってきたような気がするのです(笑)。ま、33歳ですからね。それなりに若さだけではないですよね。因みに、厄年がどうのという話もあるようですが、あまりその辺の事は気にしていないので、大丈夫です。

という訳で人妻になったのですが、特に仕事や生活に変化はなく、これまでと同じように、私はSS-Systemsで、倫ちゃんはAppleでお仕事をしています。あ、生活の変化は一つだけありました。正式に同居する事になったので、引っ越しました。というか、倫ちゃん自分のアパートメントを引き払って、私の所へ引っ越してきました。まあ、それまでも、私のところで一緒に住んでいたようなものなので、あまり変化はないのですけどね。

因みに、ワーキングネームは詠人舞衣子(よんびとまいこ)のままにしました。戸籍上の名前は青井舞衣子ですけど(うふっ)。「青い舞妓」なら、ステキな青色系の振り袖を身に纏った舞妓さんで、何だか奥ゆかしい名前みたいとも思いましたが、何てったって4ビットマイコン内蔵ですからねえ(笑)、詠人舞衣子のままでいかせて頂きます。因みに妹は詠人詩織です。そのまま発音して頂ければ、姉妹で4ビットマイコンを動かしている事がお分かりかと思います(笑)

さて、新婚旅行も兼ねて、その年のクリスマス休暇に選んだのは、マヤ文明探検の旅でした。何てったって探検です。ま、そう言うと少々大げさですが、メキシコはユカタン半島にあるリゾート地のカンクーンへ行くという旅でした。ですが、ただそれだけではなく、そこから一泊二日でマヤ文明の遺跡であるチチェン・イッツァへ行ってくるという旅なのです。へえ、よくメキシコへ行く人たちだなあ、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、その通りです(笑)。メキシコにはよく行きました。だって、メキシコって面白いんだもん(笑)。ま、アメリカ内部もあちこち出かけましたけどね。

マヤ文明というのは、紀元前1000年頃から紀元16世紀頃まで、現在のメキシコのユカタン半島から、ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラスといった国々のあたりで栄えた文明です。優れた天文学や暦があり、最盛期の8世紀頃には、1都市につき6万人から10万人もの人々が、この一帯でいくつもの王国を形成したそうです。チチェン・イッツァはその中でもとりわけ繁栄した都市で、形の整ったピラミッドは今でも貴重な遺跡として存在しており、多くの観光客が訪れます。頂上まで登る事のできる階段状のピラミッドはかなり傾斜がきついため、登る時はいいのですが、下る時は、少々ビビりました。

ピラミッドの頂上からは、あたり一面を見渡す事ができ、遺跡の大きさ、歴史が偲ばれます。その周りには、鬱蒼としたジャングル的な一面の緑が広がり、熱帯地域の自然の豊かさが一望できます。周りに山岳地域はなく、緑の平地が果てしなく広がっていました。

私たちはピラミッドの近くにあるホテルに一泊しました。ホテルで、素晴らしいメキシコ料理ディナーも頂戴いたしましたよ。Sopa de Polloという、鶏肉のスープを頂きました。ライムを搾って入れるとスープは格別な味になり、まさに絶品でしたね。

夕食の後には、ライトアップされたピラミッドを見るナイトツアーにも参加して幻想的な夏の夜を過ごしました。翌日は再びピラミッドに登って爽やかな風に吹かれ、マヤ文明の探検を堪能して参りました。4時頃出発のカンクーンへ戻るバスに揺られて3時間ほど、夕陽の平原をひた走ったという次第です。

カンクーンはマリンリゾートですので、残りの日は浜辺でのんびりと過ごしたり、海辺にあるトゥルムという別のマヤ文明の遺跡へ出かけたりしました。

そして、観光客向けに興業している闘牛場へも出かけました。牛との闘いは伝統的な芸術かも知れませんが、私にはあまりに残酷な見世物に思えました。

という訳でカンクーン一帯を楽しんだ一週間でしたが、その間、そこここでメキシコ産のビールやマルガリータ、テキーラなどをたくさん頂いた事は申し上げるまでもありません。クリスマスの頃なのに常夏のユカタン半島へ旅行でき、私たちにとっては最高のハネムーンになりました。

さて、これにて新婚旅行のお話はおしまいです。明日からはまた、それぞれの仕事に戻ります。今年(1992年)はどんな一年になるのでしょうか。

とりあえず、お仕事頑張りま~す!

 

この続きはまた次回。

 

 

 

第66話につづく

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