お手軽ツールで今更学ぶアナログ(78) 実質6ページ、ブロック線図無で制御理論の巻

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」は2020年9月号に到達。今回はいつもと違う執筆者の方の、いつもと違うテイストの1回。実機は登場せず、LTspiceのみです。回路は出てくるもののテーマは制御理論。電子回路をSpiceしながら自動制御を学ぶと。しかし全8ページです。大丈夫か?

「大丈夫か?」というのは、この理論を一気に学ぶ濃縮な記事を自動制御苦手の私メが理解できるのか?という疑問であります。著者の Simon Bramble 氏におかれましては「ブロック線図を使って説明を進める旧来のアプローチ」とは一線を画する解説記事だということであります。1か所、氏のお言葉を引用させていただきます。

設計技術者にとって、制御理論は人生そのものであるかもしれません。

深イイお言葉ですが、そこまでの制御理論の体験も知識もない、半端者の私メであります。ほんと大丈夫か?肝心の記事へのURLは以下に。

2次システムの電子制御理論――技術者のための実践的な解析

自動制御に関しては名著多数だと思います。通例、ブロックダイアグラムと数式、そしてラプラス変換が「付き物」であります。上記記事にはブロックダイアグラムが出てこない代わりにLTspiceが登場します。しかし、当然数式は登場(アナデバ様に数式無はあり得ません、多分)。ラプラス変換は本文最初の6ページほどには「あまり」登場しませんが、後ろの付録のところにはバッチリです。

正直言うと、付録のラプラス(逆)変換登場するあたりから先は読んでないです。まあ、別シリーズでやってますが「いろいろ良いツール」があるので、数学やる能力もラプラス変換やる気力も無い年寄りでも「多分」計算的は(ソフトウエアに)お願いできる、と。

蛇足ですが、Web上には「制御理論入門」的位置づけの解説記事が多数あり、ありがたい限りなのです。その中で単刀直入、分かり易い(個人の感想です)として、以下のページへのリンクを貼らせていただきます。

こんとろラボ様 制御工学入門

LTspiceする回路とそのシミュレーション動作

もっとも基本的な「2次システム」の例として登場するのか、以下のRLCの回路です。手元で行ったシミュレーション結果も横に示しました。

LTspiceの回路ファイルそのものは記事からリンクをたどることでダウンロード可能です。以下の回路はダウンロードしたままです。

Fig2_4_sim

左の回路図みると、前々回、ちょっと苦しんだ .step による抵抗値パラメータの掃引がさらっと書いてありますな。そこではパラメータの抵抗値を0にするとエラーで落ちることを経験しました。上をみると0と書きたいところを 1p(1ピコファラド)と「限りなく0に近いノン・ゼロ」で「逃げて」ます。そだね~。

しかし、記事のグラフを見ると、波形計測用のカーソルを出して周波数とか測っているではありませんか。こういうところ、LTspice素人の私メには操作がよく分かりません。

波形ウインドウ上部のV(out)と書かれているところ、普段は右クリックしてトレースの色を変えたりしてますが、これを左クリックすれば計測用のウインドウが現れ出でるのでありすな。こんな感じ。

cursorControl

上の様に、画面が出てしまえば、下のステータスバー的なところにガイドが表示されるので、ガイドにそって操作をしてみると、波形の適当なところにカーソルを当てて、時間(周波数)計測が出来るようになりました。こんな感じ。

Fig2_4_sim_measure

上記は、減衰しながらも振動が続く、青色のトレースの2つのピークに垂直カーソル1とカーソル2をあてて、周波数を測定してみた様子です。

上記例では157kHzくらいの値が読めています。LCだけから決まる固有振動数(非減衰固有振動数)は159kHzくらいだけれども、実際の振動数(減衰固有振動数)は減衰係数に応じて低くなるぞ、と。減衰係数に影響されるのは振幅ばかりではないぞよ、という感じですかね。

冒頭のアイキャッチ画像に赤の減衰の強いトレースのケースの画面読み取り値をかかげました。152kHzちょっと、計算値が154kHzくらいなのでカーソルの当て方の問題かな~。しかし、カーソルの交差点は、 .STEPで指定しているパラメータの最初の 1p のトレースに引っ付いているように見えます。縦棒の時間カーソルを動かすと横棒の電圧は緑のトレースに沿って動いています。カーソルを赤や青のトレース連動に切り替えたいのですがどうしたら良いのだろ~。ううむ、LTspiceの使い方を勉強しないと、制御理論に行き着かない感もあり。

なかなか8ページ、実質6ページに制御理論詰め込むのは、詰め込み教育な気もしないでもないです(個人の能力が低いのだよ、自分。)

今回シミュレーションしてみたのは4つある最初の回路だけなので、次もう一回やって、4つを一通り走らせてみたいと思います。そしたら制御理論の分かる立派な人になれるか?なる筈ないな~。

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