部品屋根性(63) 丸文、『はじめての○○』は分かるけれども『メインフレームOS入門』?

Joseph Halfmoon

日本橋大伝馬町の丸文殿と言えば老舗の半導体商社であります。創業弘化元年(1844年)、そろそろ外国船が出没してくる時代ではあるものの徳川幕府はまだ盤石と思われていた筈。流石に江戸時代から半導体を扱っていたわけではないですが、半導体商売も60年以上の歴史があるようです。今回は丸文殿の出し物を拝見とな。

※「部品屋根性」投稿順Indexはこちら

お江戸は八百八町とて多くの小さな「町」に分割されていたようです。大伝馬町もその一つであります。よく時代劇でその名を聞く小伝馬町の御隣が大伝馬町。せいぜい1~2ha程度?と思われる狭いエリアです。その中心に丸文殿の本社がそびえ立っておりますな。それにしても旧町名を残している中央区は偉い。折角のゆかしい名を新住所で抹殺してしまった区もあるというのに(といって遥かな昔のことですが。)

江戸時代には呉服などを扱っていたのでしょう。今でいったらアパレル系。それが機械製品等の輸入など扱っていくうちに、半導体を扱い始めたようです。本格的な半導体商売のキッカケは多分、米国半導体業界のこれまた老舗中の老舗、テキサス・インスツルメンツ製品を扱い始めてからではないかと思われます。私なんぞの年寄には、丸文殿というとTIの特約店、というイメージがこびりついておるのであります。しかし、2019年7月16日付けの以下のお知らせをご覧ください。

主要取引先との販売特約店契約終了に関するお知らせ

60年以上も続いたのではないかと思われるTIとの関係、終了していたのですねえ。諸行は無常。

さてまあ、TIとは切れても、国内外の多くの半導体メーカの製品を扱っている大手半導体商社であることには変わりありません。前回の新横浜の商社殿同様、自社取扱いの製品のプロモーションの一環として、丸文殿も技術資料やビデオなどをネット上で公開されていました。

取扱い製品別に以下のページから辿って読むことができます。

テクニカルスクエア

読みやすいなと思ったのが「はじめての○○シリーズ」という初心者向け、入門編のところ。最近UPされた資料では以下読んでみました。

はじめてのSiC

図版で簡潔に説明していて(面倒な数式などなく)私のようなパワーデバイス素人には分かり易くてとても良い記事だと思います(個人の感想です。)ただね、デバイス買いたいと言ってくるようなお相手は売る側以上に良く知っていて突っ込んでくるオヤジ(失礼)だったりすることがままあり、この手の入門記事がどのくらい役に立っているのか知りたいところです。まあ、どこの会社でも、良く知らないのに担当になっちゃった的なこともままあるので、「え、俺がアレの担当?」とか言って慌てて勉強するには良いのかな。どの記事も数分くらいで読めて分かった気になれるし。本格的な教科書や現物のデータシートではそうはいかないでしょう。それに解説記事はあまり商売っ気ないけれども、最後のところに取扱い製品書いてあるものね。営業呼ぶときには「あれの提案」もってきてよ、くらいは言えるか。

また「メルマガ」も配られてますが、メルマガも記事としてWebから読めます。これまた入門記事充実。図版等多く分かり易いです。URLは以下に。

メールマガジン

そして最近アリガチ、皆さん力を入れているな~と思ったのが動画です。

YouTube 丸文チャンネル

VIDEOSの中を漁ると結構面白そうな動画が沢山あがってました。勿論、丸文殿の取扱い製品のもの。しかし、本日(2022年2月15日)現在の「丸文チャンネル」の玄関口、HOMEに並んでいるのは、

メインフレームOS入門 DAY1からDAY6

です。意外ね。丸文殿が半導体だけでなく、各種の装置も取り扱っていることは知っていたけれど、メインフレームとか扱ってたんだっけ?ビデオの中身を見たら具体的な製品名とか分かるのかな~と思って、実はDAY1からDAY6、早送りして飛ばしながらですが、さらっと眺めてみました。しかし、具体製品不明。

例によって、図版多い分かり易い説明、「ほんわか」した雰囲気で、細かいところに踏み込まず、メインフレームOSを「遠くから見た感じ」の概要で入門してくれるのだけれど誰が見るのでしょうかね。いまどきメインフレームOSとか扱うのは限られた人数のプロ?って気もするけれど。。。OSとか知らない人が、急にOSの担当にされて勉強するためなんでしょうかねえ?蛇足ですが、ここで説明されている内容、40年くらい前に私が「常識つけとこ」程度の気持ちでメインフレームOSの解説本を読んだころからほとんど変化してない気がします。まあ、概念は変わらないか。そういえばあの本どこいったか?

「技術系」のセミナー動画的なもの、私は時々視聴させていただいてます。無料なもの多いし。ここでも各社共通のアリガチな傾向を発見しました。初回を見る人は多いけれども、最終回まで見るとなるとほぼほぼ一桁くらい人数が少なくなるのよね。どこの会社の動画もだいたい同じ傾向。数百人の人に通しで視聴してもらおうと思ったら、初回は数千~一万人くらい見てくれないとダメじゃないかと思います。メインフレームOS入門、DAY1は本日時点で視聴者数100人超えていたけれども、やっぱり減衰するよね~ 辛いものがあります。

部品屋根性(62) MACNICA、『LTspiceを使ってみよう!』 へ戻る

部品屋根性(64) 立花エレテック、創業100年、怒涛の動画攻勢? へ進む