L.W.R.(41) 古文書編#12、多重仮想記憶オペレーティングシステム、鎌田著

Joseph Halfmoon

別シリーズ部品屋根性で予想外の「メインフレームのOS」話に遭遇したので、今回は手元の古文書の中で唯一とも言える「メインフレームのOS」本をとりあげさせていただきます。1983年オーム社出版のこの本の著者のはしがきによれば、OS本は数あれど「MVSシステムに焦点を絞ったものは、著者の知る限りではまだありません」(当時としては)らしいです。

ハッキリいって私はメインフレームとは関わりがとても薄いです。ほとんど知らないです。わずかな関わりを思い起こせば、以下のごとし。

大学初年級のFortranの実習で使ったのがUnivac1106というマシンでした。ユニバックといっても若者(中年も)知らないか?現在の会社としてはユニシス社の源流の一つだと思います。カードパンチャ(パンチャはユニバックではなくIBMだった)で、80カラムのカードに穴をあけてカードデックというものを作りカード読み取り機で読み込ませて実行させるとラインプリンタに結果が出てきました。お金に厳しい私立学校だったこともあり、コンピュータ使用のためのアカウントに各自課金されました。いまだに金額覚えています。パンチカード1枚2円、CPUタイムは1秒20円でした。学年末近くになって投入したJOBに無限ループのバグあり、上限設定CPUタイムの60秒まで実行され1200円が消えました。宿題を続けるために泣く泣く事務室へ行ってお金を積んだ記憶があります。就職後、国立大学出身のご同僚の方々に聞いたら、計算機でお金をとられた記憶は無い、と。トラウマからか未だにCPUタイムが気になる年寄りです。

就職後は、ミニコンやワークステーションとよばれるような機種が主だったので、メインフレームを使った経験はわずかです。何のためだったのか今は覚えていないのですが、IBMの309x(xの記憶なし)を一時期使っていた記憶があります。3090系は、偉大なSystem/360の後継のSystem/370のそのまた後継機?だったというおぼろげな記憶。今につづくメインフレーム系譜の直系機種ではないかと思います。

本体のメインフレームに近寄ることは無かったですから、IBMのメインフレームの印象は、IBM3270端末(実際の機種名忘却)に尽きます。ハードは無くなっても、IBM3270はDECのVT100同様、端末の標準としてソフトにその名を残しておりますな。若者も中年も、モノホンの3270触ったことないんでないかい。私はVT100も3270もハード現物使ってました(年寄り。)3270は半二重の端末で、画面全体(勿論キャラクタのみ)を書き換えてくるのです。そしてカーソル持って行ってスクリーン編集できます。しかし、1画面の修正を全て終えて、転送のボタン(キートップに何と書いてあったのが忘れました)を押すと、なにやら修正箇所がまとめて送られて確定するような仕組みでした。通信中にストップウオッチみたいなアイコン?が現れ、チッカ、チッカと音もなった気がします。

ただね、申し訳ないことに309x上で私が使っていたOSはCP/CMSでした。エンジニアリングユースだったしね。CP/CMS、今につづくVM(バーチャルマシン)の源流だったのね。いまだに末裔がご活躍とのよし。蛇足だけれども、昔大変お世話になった、Digital Research社の CP/M のネーミングの起源は、どうもIBMのCP/CMSの真似っこみたい。当時はネーミングの途中に “/” スラッシュを入れないといられない時代だったような気がいたします。PL/Iとかやたらスラッシュなネーミングが多かった。なお CP/M はネーミングはともかく、コマンド名などはDECのOSの影響が強い印象です(個人の感想です。)そういえば私はVAXだけでなくDEC-10も使ったことあるのだ。。。

蛇足ばかり長々と書き連ねてきましたが、タイトルの御本の本題、MVSもメインフレームのオペレーティングシステムの保守本流として未だにご活躍だと思います。MVSは、プロの基幹系の人々御用達、という感じ。銭金を「勘定」するシステム、COBOLを走らせるマシン?実際使ったことないので偏見かもしれませぬ。しかし、半導体商社の丸文殿のYouTubeチャネルに登場(MVSとは書いてないけれど、視聴させていただいた感じではMVSの説明じゃないかと。)なんで丸文殿がMVSしているのか良く分からないが。。。

古文書としてあげた1983年のこのご本に「既にメインフレームのOSには20年の歴史」と書かれておりますな。当然、現在では60年以上かと。そうともなると、既に忘れ去られて、何故こうなっているの、という惰性で続いているお作法などもあるのでは。メインフレーマの人々は立派だから大丈夫か。ホントか。

L.W.R.(40) 古文書編#11、マイクロコンピュータの誕生、嶋正利著、岩波1987 へ戻る

L.W.R.(42) 古文書編#13、闘うプログラマー、ザカリー著山岡訳、日経BP1994 へ進む