お手軽ツールで今更学ぶアナログ(85) フローティング型電流源、ΔVBEとな? その2

Joseph Halfmoon

前回は実習といいつつSPICEシミュレーションで終わってしまいました。また別件記事で温度依存のΔVBEについてもSPICE。雰囲気は分かった(ホントか?)ということで今回は実機で波形を見てみます。シミュレーションと違うところは要考察なんだけれども。。。

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2021年2月号の2回目です。でも以下の関連投稿もしてしまったので、実質3回目ですか。

SPICEの小瓶(5) 温度を変えてシミュレーション、ついでに物理定数

アナデバ様の日本語記事へのリンクを再掲いたします。

ADALM2000による実習:ソース型/シンク型のフローティング電流源

アナデバ製の学習ツール ADALM2000を使って実習せよ、との記事なのですが、当方 Digilent製のAnalog Discovery2で代用してます。すみません。しかし、部品はアナデバ製学習部品キット ADALP2000 を使っておりますぞ。でもね、今回の件では1件もうしあげたい儀これあり。

500Ωの可変抵抗またはポテンショメータ(1個)

を使えという今回の御指示なんでありますが、ADALP2000 所蔵のポテンショメータ、一番数字の小さいものでも 5kΩ です。なるべく微妙な調整をしたいので、5kΩ品での代用はやめ、「常備菜」とて秋月殿から買ってあった以下の品で代用いたしました。

多回転半固定ボリューム たて型 1kΩ 102

フルスケール1kΩに対して、回転数:30±2回転 仕様の「精密」なやつです。ブレッドボード差し込み前に上記を500Ωに調整しておき、実験中に抵抗低くなる方向に調整して「所望の波形」を得ましたです。

ただね、この手のポテンショメータ、足が細くて長いのでブレッドボードに刺しやすいのですが、ちょっと気を抜いて作業するとすぐに曲がります。あちゃ~。

シンク型のフローティング電流源の実験

以下は、ポテンショメータの抵抗値R1を 53.1Ω に調整したときの実測です。

まずは、アナデバ様の記事の図4に「似せた感じ」のXYプロットです。図4でのR1の値は不明なのですが、手元でLTspiceしてみたところでは、R1=500Ωくらいでこんな波形です。シミュレーションで50Ωくらいだともっとガンガン流れとるのですが。この辺、モデルパラメータと実機特性を考察しないといけない気がします(けれども今回はパス。今日は無理。)

N_XY0

上記は表示範囲が狭いので、ピークツーピークで10Vの振幅がある入力全体をC1にとったものがこちら。

N_XY1

上記XYプロットのときの時間波形が以下に。実際には、下の波形をまず観察して、ポテンショメータを調整して、それからXYプロットの表示を調整する感じですが。

N_TIM1

 

ソース型のフローティング電流源の実験

回路を組み替えたところです。Analog Discovery2からのジャンパが接続してあります。「フローティング電流源」ということで6トランジスタとポテンショメータで構成される電流源部分の回路はシンク型のときとまったく同じです。負電源を正電源に変えた上で、電源と負荷抵抗+入力信号の位置を逆転させただけ。

sourceDUT

以下は、ポテンショメータの抵抗値R1を 52.3Ω に調整したときの実測です。

今回は順を追って時間波形から、C1(黄色)が入力の三角波、ピークツーピークで10V、100Hzです。C2(青色)が負荷抵抗の両端の電位差です。こちらは縦方向50mV/DIV設定で観察。

P_TIM1

上記の状態でのXYプロットが以下に。

P_XY1

アナデバ様の記事の図8のシミュレーション結果と「近い感じ」の実機プロットが以下です。

P_XY0

表面的には「予定通り」の結果にはなりました。けれどもSPICEのBJTモデルパラメータと実トランジスタの特性についてやってみないと納得感が薄いです。でも沼にハマるってやつになりそう。。。いつやるの(今でしょとは言えない。)

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