お手軽ツールで今更学ぶアナログ(87) シャント・レギュレータ その2

Joseph Halfmoon

前回は、LTspiceでシミュレーションしてみただけ。今回は実機で動作確認です。しかし、前回登場の3種類の回路のうちやってみたのは最後のシャント・レギュレータ(Shunt Regulator)のみです。シミュレーションで雰囲気分かったからいいじゃん、と。相変わらず手抜きだな、自分。

一応、手抜きにも理由があり、「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」ですが、これがアナデバ社のリアルタイムな進捗に追いついたアカツキには、太っ腹なアナデバ社が無料で配布してくれている、日本語版『オペアンプ大全』も並行して端から読むという大望があるのであります。StudentZoneの今回は2021年3月号です。1年あまりビハインドです。さっさと読み進めないと。

シャントレギュレータ

前回シミュレーションで使用した回路が以下です。末尾の問題のため負荷抵抗をつけてあるもの。今回はこの回路で実験を行いました。

2021Mar_Quiz_cuicuit

毎度恐れ多いことなんでありますが、アナデバ様に申し上げたき儀これあり。日本語版の「シャント・レギュレータ」の「準備するもの」の項に、「抵抗:100kΩ(1個)」とかかれていますが、100Ωですぜ。英語版のMaterialsには100Ω書かれていますし、回路図もそう。

実験に使用した回路

何時ものことですが、ADALM2000でなく、Digilent Analog Discovery2で実験しています。すみません。接続前のブレッドボードの様子をアイキャッチ画像に掲げましたが、以下は接続後の様子です。黄色が波形ジェネレータの出力、オレンジがオシロ1+、青がオシロ2+です。黒のGNDとオシロ1-、オシロ2-は並んで刺さってます。中央付近のポテンショメータはADALP2000所蔵の10kΩ品ですが「とりあえず」ほぼ中央の5kΩあたりに設定してあります。

ShuntRegulatorDUT

実機動作確認

アナデバ様のご指定どおり、2V振幅、オフセット2V、周波数1kHzの三角波を入力に与えて黄色のC1で入力を、そのときの出力を青色のC2で観察した時間波形が以下に。青の縦軸は1DIV 200mV設定です。

R3Half_10kload

上記のC1をX軸にとり、C2をY軸にとったものが以下に。雰囲気は記事の図9にクリソツ(そのときの可変抵抗R3の値が書いてないので、雰囲気だけですが。)

R3Half_10kloadXY

特性は上記で良い感じですが、レギュレータといいつつ、レギュレートした感じがしないので、以下では勝手に入力を オフセット3V、振幅200mVに変更してみました。ピークツーピークでみると入力400mV変動に対して出力は20mVという感じ。レギュレートしてる?

R3Half_10kload_200mVinput

さて、末尾の問題で指摘されている、シャント・レギュレータからちょっと電流を流しだすと電圧にも影響あるぜ、の件、実験してみました。上記までは負荷抵抗が10kΩでしたが、以下では1kΩに変えています。

R3Half_1kloadXY

入力電圧が上がってこないと目標電圧になかなか到達しない感じ。実際、さきほどと同じく、3Vオフセット200mV振幅の波形で見てみると出力は40mVくらい揺れています。R3Half_1kload_200mVinput

今度は負荷抵抗を1kΩに戻して、R3(ポテンショメータ)の影響を確認してみました。以下は、R3=8.2kΩまで回したところ。「レギュレート」されている電圧が0.4Vくらい上昇してますな。

R3R_10kloadXY

お次は、R3がほぼほぼ0Vになる側に回し切ったもの。このときの測定値はR3=0.7Ωとな。流石にVBE=0.6V付近で打ち止めです。

R3L_10kloadXY

一応、実機動作確認できた(手抜きだけれども)ので、次回は4月号へ。ようやく1年の周回遅れか?

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