手習ひデジタル信号処理(47) 新シリーズSDRの準備はスピーカアンプ回路の組み立てから

Joseph Halfmoon

前回で工学社『「Armマイコン」プログラムで学ぶデジタル信号処理』を読み終わりました(読んでも直ぐに忘却力を発揮する年寄りです。)「その先」ということでCQ出版社『Armマイコンでつくるダイレクト・サンプリングSDR』を読み始めようという魂胆です。同じ三上先生の御本、そしてNucleo-F446ボードで実験できるもの。

さてダイレクト・サンプリングSDR=Software Defined Radioなんであります。かっちょいいです。ちょいとデジタル信号処理をなめてみただけなのに一気に難易度上げすぎな気がしないでもないですが、躊躇っていると死ぬまでに終わりませぬ。でもま、これなら今までの延長でなんとかなるんじゃね、と。

    • 今まで拝読されていただいてきた三上先生の御著作
    • 今まで実験に使ってきたNucleo F446REボードで実験

その上「お手頃価格」で実験できるところが決め手となりました。普通SDRというと実験に使用する機材もそれなりのお値段になるかと。最近は「お手軽な」SDR向けのツールも出ているので数万円くらいで手に入るものが出てるみたいっすけど。でも、Nucleo F446REボードは数千円の下の方です。それどころか手元にボードあります。まあSDR用の「お手軽ツール」の導入はチョイと勉強した後でもよかろうと。

ま、その代わりといっちゃなんですが、Cortex M4Fの処理可能な範囲でのSDRなので、ターゲットはAM(中波)の受信です。ちゃんとSDRの実験できるんだから、ま、いいか。まずはやって見て、慣れるところからだな、と。

さて、上記リンクのCQ出版社Webショップ様から購入させていただいたのは、PDF版です。もともとがトランジスタ技術誌の2021年1月号から5月号までの連載記事だったもの。

アナログフロントエンド?は作り直し

マイコンボードはST Microelectronics社製Nucleo F446REで変わりませぬが、それに接続する、「高周波アンプ」「BPF」、「パワーアンプ」を新設せねばなりません。これまた例によってですが、三上先生はブレッドボード上でこれらを作ってOKだと。前回までの「デジタル信号処理」編でもアナログ回路は最初ブレッドボードで作り、後からユニバーサルボード上に半田付けしましたが、同様な方法がとれそうです。

手元にない部品を幾つか購入し、アナログ回路を組み立て始めました。今回は受信した「ラジオ音声」を鳴らすためのパワーアンプです。台湾ホルテック社のHT82V739という、1200mWオーディオ・パワー・アンプ(モノラルだけれども)を使用。簡単な回路で音が鳴るようにできるんだわ、これが。チップ写真は冒頭のアイキャッチ画像に。三上先生はDIP版のデバイスを使われてましたが、当方が購入できたのはSOPタイプだったので、仕方ないのでSOPー>DIPの変換基板使っております。

ただ1点、組み立てながら教科書の記述に矛盾があることに気づきましたです。恐れ多い。。。以下AとBと回路図が2種描きましたが、Aが本文のパワーアンプ部の回路で示されている回路に準拠したものであります。Bはその後に出てくる実体回路図(ブレッドボード)から「起こした」回路図です。PowerAmp

コマケー話なんでありますが、多分、どちらでも「音は鳴る」のでありましょうが、入力のところに差異があります。今回は、本文の回路図見ながら組み立ててしまい、一応イヤホンつけて音がなっているみたいなのでAの回路のままです。でも、ブレッドボードに組んでいること考えると、Bの方が良いのかな。。。

組み立てたところが以下に。ちょっとイヤホンの線長すぎたので以下の写真では抜きかけてますが、一応 L側のチャネルから音は聞こえます。本当はもう少し回しやすいボリューム欲しかったのですが、手元になかったので有り合わせです。HT82V739DUT

イヤホンを抜いた状態で、入力に1kHzの正弦波入れた(黄色C1)ときの、OUTPとOUTNの差分信号波形(青色C2)が以下に。当然ボリューム回せば振幅も変わります。

WaveForm1VSIN

とりあえずスピーカアンプは組み立てた。次は高周波アンプとバンドパスフィルタじゃね。大丈夫か?

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