お手軽ツールで今更学ぶアナログ(124) 定番フォトカプラPC817C、実機

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年4月号の実習3回目。前回は定番フォトカプラPC817使用といいつつLTspiceシミュレーション。今回は実機使って同じことを試みました。やっぱりモデルと実機は違う。まあ前回はモデルの想定している領域からズレてったってこと?

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※アナデバ様の StudentZone 2022年4月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習: フォトカプラの動作

※上記のようにアナデバ様の思し召しはアナデバ製のお手軽ツールADALM2000で勉強しなさい、ということなのですが、本稿ではいつものようにDigilent製Analog Discovery 2を使用しています。まあ、だいたい似たようなもんだし。。。

前回のLTspiceと同様な条件で実機を動かしてみる

冒頭のアイキャッチ画像のように、前回のLTspiceシミュレーション回路と同じ回路をブレッドボード上に組みました。入力信号には100Hz、振幅0.5V、オフセット0.6Vの三角波を与えてみました。前回のシミュレーション上では三角波入力に対してほぼ2倍の振幅の3角波(ひずみのない綺麗な形)が見えてました。

実機で動かしてみたところが以下に。黄色C1が入力、青色C2が出力です。赤M1は青出力÷黄色出力の計算値です(単位Vになってますが、CTR相当の倍率です。)

TRIG_100Hz_pp1v_off06v

結構、ひずんでいるうえに、CTR相当の値もPC817C(ランクC)にしたら小さめすぎるんでないかい。

念のため、正弦波入力(1kHz)に切り替えてみるとこんな感じです。

SIN_1kHz_pp1v_off06v

確実に「歪んで」ますなあ。前回シミュレータ上では、PC817からの出力電圧が5Vに近づくと歪んでいましたが下の方は大丈夫でした。そこで入力信号の振幅を小さくしたうえに、オフセットを大分下げて「歪まない」ように調整したのです。シミュレータ上では下の方は大丈夫でしたが、実機では下の方が歪んでいるようです。

入力信号のオフセットをちょっとあげて再調整

ちゃんとデータシートをみて計算すべきなのでしょうが、いつもの「素人の現物合わせ」でやっつけてしまいました。ヤッツケ~。

オフセットは1.5V、これだと下の方も歪まずにいい感じでないかい。といってオフセットを2.0Vまで上げると、CTR相当値はデータシート規定の200%に近づくけれども、シミュレーションで見えたとおり今度は上の方が歪んでピークが丸まってくるので微妙。入力1.5V付近中心でピークツーピーク1Vくらいが安全な感じ。気持ちの問題?バカな。

TRIG_100Hz_pp1v_off15v

同条件で100Hz方形波を与えた場合。

REC_100Hz_pp1v_0ff15v

方形波波形で、立ち上がり、立下りを観察してみました。まずは立ち上がりのところ。遅延の様子がわかりますかね。黄色が入力、縦赤X1が入力立ち上がり、縦赤X2Δ1が出力青のだいたい50%点です。REC_100Hz_pp1v_0ff15v_rising

同様に立下りの様子。

REC_100Hz_pp1v_0ff15v_falling

立ち上がりも立下りも7マイクロ秒くらいは遅れてくるのね。

1kHzの正弦波の入出力が以下に。このくらいの周波数だと歪んでない感じ(感覚。)

SIN_1kHz_pp1v_off15v

お楽しみのボーデ線図

以下が上記の入力波形の条件(オフセット1.5V、振幅0.5V)で取得したボーデ線図であります。シミュレーションと比べると、ゲインの最大値は低いけれども10kHz超えたあたりで3dB落ちるのはほぼほぼ一緒。

pp1v_off15v_Bode

シミュレーションのモデルは、「モデル作成時に想定した」動作条件ではOKなのでしょうが、チト想定範囲をはみ出したときは実機と違うこともある?ホントか。知らんけど。

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