お手軽ツールで今更学ぶアナログ(126)ディスクリートトランジスタでサイリスタ原理回路

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年5月号の実習1回目です。5月のテーマはSCR(Silicon Controlled Rectifier)、シリコン制御整流器、サイリスタと呼ぶ方がお馴染みかと。今回は例によってLTspiceでお茶を濁すの回。

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※アナデバ様の StudentZone 2022年5月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:シリコン制御整流器

アナデバ製の学習用アナログパーツキット ADALP2000所蔵のパーツをこれまたアナデバ製のADALM2000「お手軽ツール」で動かすのが基本のアナデバ様の記事(当方、ちゃっかりAnalog Dicovery2使用です。ま、中身はアナデバチップだし。)ですが、ADALP2000にはSCRは含まれておりません。原理回路をこさえてSCRの動作を学べ、という思し召し。PNP、NPNのディスクリートのバイポーラトランジスタを各1個つかってSCR相当の回路を組み立てて動作を観察せよ、との実験です。

原理回路とその動作

5月号記事ではブレッドボード上に回路を組んで即動かしてますが、こちらはLTspiceで雰囲気を見る回なので、回路図をLTspiceで書き直してます。使用するトランジスタは「定番(主に米国での)」かつ「LTspiceに最初からモデルが含まれている」そして「ADALP2000の箱に入ってる」2N3906と2N3904です。こんな感じ。DiscreteTR_SCR

V1で与えている100Hz、オフセット0V、振幅5Vの正弦波が青色です。V2で与えているサイリスタのG端子制御の信号にあたる波形が赤の矩形波です。800mVの高さの波形を与えてます。そのとき出力Outに現れる波形が黄緑色です。赤色信号の立ち上がりでトリガがかかって電流が流れ始め、V1の信号が低くなると赤色信号に関係なく電流が止まる、という動作をしているようです。予定どおりじゃね。DiscreteTR_SCR_wave

上記のグラフを見ると、SCR相当の回路に与えている電圧に対してSCR相当回路の出力が「ある値」ドロップしているようにも見えます。その「ドロップ」を観察するためのグラフが以下に。ここでは入力V1が赤で、出力Outが青です。V1を基準電位として、Outの電位を表した波形が黄緑です。

以下のグラフをみると出力が出ている間、ほぼ一定の電位、約780mVほどが観察できています。

DiscreteTR_SCR_wave1

SCRがONする最小電圧を見つけよ、と

観察に使った回路図は以下です。実は.step paramのところをいろいろいじって(ほぼほぼ2分検索)調べてます。以下はもともとの指定の0.8Vと、SCRがONしなくなる最大の電圧(0.1V単位でしか調べてないっす)0.53Vの2つを比べる設定です。DiscreteTR_SCR_trig

青色がV2=0.8VのときのONする波形で、黄色が0.53VのときのOFF波形です。0.54Vと高々0.1V電圧を上げだけで、青色とほぼ同じ波形が観察されます。DiscreteTR_SCR_wave_trig

R1、R2を変化させてトリガ点の変化を見よ、と

これまたいろいろな組み合わせでシミュレーションしてみたのですが、以下は抵抗値の変化がわかりやすい例の回路図です。DiscreteTR_SCR_RparamV053

Out信号を観察しています。V2の設定値は最初の回路ではONしなかった0.53Vとしてあります。そこでRが10kの時(赤色)はしっかりONしてます。元と同じ100kは勿論 1MΩのときもOFFです。R大きくすると「トリガ電圧」が微妙に上昇することがわかります。DiscreteTR_SCR_RparamV053wave

微分回路でトリガかけてみよ、と

V2に接続しているR3をコンデンサC1に交換し、微分波形を与えたらどうなるか見てみよというお題です。回路はこんな感じにしてみました。DiscreteTR_SCR_trig_cap

あれれ、シミュレーションだと一発しかでなくなりましたな。最初の一発は良いけれど、後はトリガになる「インパルス状」のピークが出ないのでONしませぬ。実機でもそうなるのか??

DiscreteTR_SCR_trig_cap_wave

まあ、次回は実機でお楽しみか?

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