お手軽ツールで今更学ぶアナログ(131) BJTでマルチバイブレータ その2

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年7月号の実習2回目です。バイポーラトランジスタで作る「マルチバイブレータ」がテーマです。今回はほぼほぼ双安定マルチバイブレータ、すなわちフリップフロップの回。ハイかロウか、ハイロウハイロウ。なんじゃらほい。

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※アナデバ様の StudentZone 2022年7月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:バイポーラ・トランジスタをベースとするマルチバイブレータ

また、末尾のQuizの解答編(英語のみ)もあります。大したこと書いてないけど。。。

July 2022 StudentZone Quiz Solution

RS-FlipFlop

最初に登場する「双安定マルチバイブレータ」は、RSフリップフロップであります。前回登場の単安定マルチバイブレータから片側の回路をチョイ変すればOK。ブレッドボードの様子はこんな感じとなりました。RSFF_BB

下側にピンヘッダ立ってますが、左がRESET、右SETのつもり。でも対称な回路だからどっちがどっちでもよいか。

最初にSET側にハイパルスを与えて状態をひっくり返したところの波形が以下に。RS_RESET

つづいて、RESET側にハイパルスを与えたところが以下に。RS_SET

まあね、セット、リセットできて当然だわな。

D-FlipFlop

さあて、Dフリップフロップにいたりましてちょっと切れました。部品点数多いです。ちまちまとブレッドボード上に回路をこさえるのは可能ですが、その割に「お手軽ツール」Analog Discovery2で観察できる波形は、ぶっちゃけハイかロウかです。それに見たい信号線の本数のわりに2チャンネルしかないオシロでは辛いんでないかい。

いろいろ理由をつけて、「お楽な」LTspiceに逃げてしまいました。Dフリップフロップの回路が以下に。Dに載っているハイか、ロウかをCLKのロウエッジで捕捉して値を保持する回路であります。DFF_CIR

シミュレーション結果が以下に。黄緑がCLK、青がデータ線、赤がDフリップフロップのQ出力、水色がQバー出力です。CLKのロウエッジで値が更新されとりますな。DFF_TIMWAV

ほとんどロジックシミュレーション波形的。あたりまえか。

2分周回路

さてDフリップフロップができれば、CLK信号を二分周することは簡単であります。しかしね、SPICEシミュレーションでは1つ技を使わんといかんようです。DIV_CIR

上の回路図の、黄色のマーカ部分の初期設定値です。この初期設定値がないと、上記のFFは見事に対象なので、期待する「マルチバイブレータ」としての動作をしないです。なにか対称性に「乱れ」があれば自然とフリップフロップはどちらかに倒れるハズなので実機じゃ不要だと思います。しかしSPICEシミュレーションあるある?で、意図的に初期値を傾けてやらんとうまく行きませんでした。

シミュレーション結果が以下に、黄緑がCLK、青と赤はそれを2分周した出力(逆相)です。DIV_TIMWAV

初期値の与えかたは、フリップフロップがマルチバイブレータなんだと再認識させてくれます。ホントか?

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