定番回路のたしなみ(6) CでACカップリング、Diodeクランプで電圧持ち上げ、いいのか?

Joseph Halfmoon

前回LTspiceで「お茶を濁すの回」といい、今回こそは実回路で実験するのかと思いきやLTspice続きです。前回はACカップリング後の電圧を設定するのにRの抵抗分割でやってました。大き目の値のRですがDC的な電流パスがあるのが「低消費電力マイコン屋」的には許せませぬ(おおきく出たな。)

おさらいのため、前回回路を再び掲げます。INからオフセット0Vの「交流信号」が与えられるけれども、C1のところでDC成分がせき止められてOUT側にはAC成分のみが伝わる。そしてR1とR2の抵抗分割で作った電圧で持ち上げてやれば、OUTはオフセットが電源電圧の「半分くらい」の電圧をもつ波形になっておるだろ~という回路でした。単電源で動作しているフツーのマイコンの入力端子に入力可能なレンジに変換するための回路です。220k220k_1k_1V

でもま、前回みたとおり、それほど単純じゃなかったです。要注意?知らんけど。

今回のDUT

DC成分をコンデンサでせき止めて、AC成分だけをOUTに通すところは一緒なのですが、抵抗分割で作る電圧生成回路をバッサリとり外してみました。その代わり、ダイオード「クランプ」回路を取り付けてみました。こんな感じ。

clamp100k1u

ぶっちゃけ、「GND電圧-ダイオードのVf電圧」以下にならないようにする回路であります。ダイオードには定番の小信号ダイオード1N4148を使ってしまいました(LTspiceがモデルをサポートしているので)が、なるべくVfが小さいダイオードの方が良いハズであります。実機でやるときはショットキーバリアダイオードを使おうかしら。

さて、上記の回路をシミュレーションしたところが以下に。下のプレーンの黄緑が正負両側使っている入力波形(100kHz振幅1V)、青色が出力波形です。これはタマタマですが、ほぼほぼ0Vからの波形に持ち上がっています。

上のプレーンの水色がダイオードD1に流れる電流で、赤色が抵抗R1に流れる電流です。clamp100k1u_tim

正直、抵抗分割のときの電流と50歩100歩じゃのう。

上が100kHzでしたが、下は1kHzの回路です。

clamp1k1u

波形がこちら。あらあらスピードが下がると出力波形の下の方は下がってきちゃうのね。まあ下限はGNDーVfなので、Vf(0.6Vくらい?)までは下がる可能性がある、と。clamp1k1u_tim

LTspiceであれば、いかようにでもできるので、ダイオードの下側に中途半端な電源を挿入してみました。0.5Vとな。diode1kCIR

波形が以下に。V1の0.5V分波形が上に持ち上がり下限は0Vを超えました。diode1kTIM

まあねえ、持ち上がるちゃ持ち上がるけれど、電源挿入するのはなんだかな~。やるのならやはりGNDに対してだよなあ。知らんけど。

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