お手軽ツールで今更学ぶアナログ(137) MOSトランジスタで作るXNORの続き

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年10月号の実習2回目です。前回はアナデバ様の記事の本題へ行く前に脇道(複合ゲート)にそれてしまいました。今回は記事どおりのXNOR回路をLTspiceとブレッドボード実機の両方で実習したいと思います。

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アナデバ様のStudentZone 2022年10月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:トランスファ・ゲートを利用したXOR/XNOR回路

記事のタイトルにあるとおり、アナデバ製の「万能」学習ツールADALM2000で実習せよ、との思し召しなのですが、当方持ち合わせが無いので、Digilent Analog Discovery2使用です。すみません。

また、実習のターゲットとなる部品は、これまたアナデバ製の学習用パーツキットADALP2000を使う、という前提なのだと思います。しかし今回実習には以下の2つの点でADALP2000に不足があります(手元のキットを見る限り。)

    1. CD4007はADALP2000に含まれていない。
    2. ZVN2110A N-ch MOSFETは1個しか含まれていない。

CD4007の方は無いといかんともし難いので、怪しい?中華のパーツ屋さんから入手して使ってます。いまのところ特に問題もなし。

一方、N-ch MOSFETの方ですが、ADALP2000キットには、ZVN2110Aは1個しか入ってないですが、ZVN3110が2個入ってます。一方 P-chの方はZVP2110Aが2個です。アナデバ様記事ではZVN2110Aが2個使いなので足りませぬ。

手元の常備菜のMOSFETで代用しようかともおもいましたが、以下のようにいたしました。

  1. LTspiceシミュレーションでは、アナデバ様の記事に可能な限り近づけるためZVN2110AとZVP2110Aを組み合わせて以下図面のU2、U3のインバータを作る。
  2. 実機回路では、ついこの間の別件記事で使った TC74HCU04 でU2、U3を代用する。

TC74HCU04は通常の74HC04と異なり「アンバッファ」タイプのインバータです。素性としては記事でやっているMOSFET2個組み合わせて作ったCMOSインバータに近い筈。XNOR_Trans2

LTspiceシミュレーション

記事にほぼほぼ近づけたつもりのシミュレーション用回路図が以下に。CD4007、ZVN2110A、ZVP2110Aすべてマクロモデルで結構メンドイです。CD4007XNOR_CIR

シミュレーション結果が以下に。黄緑がA入力信号、青がB入力信号、そして赤がCBAR出力信号です。XNOR(イクスクルーシブNOR)動作してます。XNOR1個シミュレーションするのに結構やっかい。CD4007XNOR_TIM

実機(ブレッドボード)で確認

上記回路のU2、U3のインバータを74HCU04のインバーダで置き換えたものが以下に。たかだか10トランジスタの回路だけれども結線が苦しいっす。CD4007XNOR_DUT

シミュレーション同様に、パターンジネレータつかって、Aには1kHz、オフセット2.5V、振幅2.5Vの入力信号を、Bには2kHz、オフセット2.5V、振幅2.5Vの入力信号を与えました。AとBを同期させたので、立ち上がりがそろった感じで動きだします。

AD2はオシロが2CHしかないので、入力2端子、出力1端子を同時に観察することはできません。そのかわりロジアナ機能で16端子までのデジタル信号(3.3VのIO端子ですが5Vトレラントみたいっす。知らんけど。)を観察できるので、そちらで観察してみました。C(XNOR)と書いてあるのが出力です。B入力の立ち上がりエッジでA入力にグリッジのってますが、それを無視すればXNORしてる感じです。CD4007XNOR_LOG

まあ、記事のとおりに実験やりましたっと。手抜きだな、自分。

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