鳥なき里のマイコン屋(33) Dragonchip、リモコンに生きる?

スマホやスマートHOME系のデバイスが広がってくるとそのうち無くなってしまうのではないか、と想像されるデバイスの一つに「赤外線リモコン」があります。ボタンを押したらテレビがつく、あれです。といっても現段階ではまだまだ絶滅の恐れはないでしょう。「平均的なご家庭に」はテレビ用やエアコン用など複数台のリモコンがあると推測されます。全世界の総数を想像するとトンデモない数です。しかしついていて当然、無いと不便ですが、あったからといって他と差別化できる部分も少ない「デバイス」です。正直、家電屋さんにしたら無くせるものなら無くしてコスト削減したい「デバイス」ではないかと思います。

“鳥なき里のマイコン屋(33) Dragonchip、リモコンに生きる?” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(32) 6502の家元? Western design Center

前回に引き続き、米国の、規模は小さいけれど変わったユニークなマイコン屋さんを取り上げさせていただきます。その名はWestern Design Center (WDC)です。「Armのお供に8051説」を追いかけていた第8回、台湾Megawin社でArmや8051に混じって6502ベースのMCUがあったとご報告しておりました。Megawinの6502コアが、「分家」の末流ならば、WDCは6502の家元か本家といったところでしょう。こういったマイコン屋さんが消えずに存在するのを見るにつけ、6502の栄光の大きさと、米国のマイコン文化の奥深さを感じます。

“鳥なき里のマイコン屋(32) 6502の家元? Western design Center” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(31) Cybernetic Micro Systems P-51、マニアックすぎ

時々、米国には変な、というと申し訳ありませんが、ユニークな会社が存在します。このCybernetic Micro Systemsもそのような会社の一つではないかと思います。シリコンバレーの中心地、スタンフォード大あたりからだと、海岸の山地(結構高い)を越えて、太平洋の方まで出ないとなりません。当然「バレー」の中ではありません。お休みのドライブには良いかもしれませんが、ビジネス向けのロケーションではありませんな。この会社のメインは、ステッピングモーターのコントローラなどだと思うのですが、あるのです8051が。それもかなり「ユニーク」な味付け。

“鳥なき里のマイコン屋(31) Cybernetic Micro Systems P-51、マニアックすぎ” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(30) ISSI メモリの影にレア物MCU

マイコン(マイクロコントローラ)をメインに推している半導体ベンダもあれば、他の主力商品の影でひっそりとマイコン売っているベンダもあります。このシリーズでは「丹念」にそういう「ひっそり系」?ベンダもカバーしていきたいと考えております。今日はそのような中の1社。Integrated Silicon Solution Inc.(略称: ISSI)のマイコンを調べさせていただこうと思います。

“鳥なき里のマイコン屋(30) ISSI メモリの影にレア物MCU” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(29) MediaTek MT2523、MCUそれともSoC

今日は迷いました。「鳥なき里のマイコン屋」は、マイクロコントローラ(MCU)を経めぐるつもりのものですが、これってMCUに入れて良いのかどうか。しかし、「自己規定」として、microcontroller、MCUの文字が見えるので、やっぱり持ち主の判断を優先するべきだろうと考えました。さらに言えば、この「持ち主」の会社というのもこれまた迷うのです。開発元、型番的には台湾半導体大手、Androidのスマホ向けSoCなどでおなじみのMediaTek社の製品です。しかし、MediaTek社の該当製品の紹介ページから引用させてもらうと、

Please note this product is now managed and sold by AIROHA, a MediaTek subsidiary.

ということで子会社のAIROHA社に移管されているようです。というわけでMT2523シリーズ・マイクロコントローラにGo!

“鳥なき里のマイコン屋(29) MediaTek MT2523、MCUそれともSoC” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(28) FTDI、繋ぐに徹するMCU

本日取り上げさせていただく会社は、Future Technology Devices International Ltd.と長い名前の会社です。多分、略称の“FTDI”の方がずっと良く知られているような気がします。そして、半導体業界人に“FTDI” と問いかければ、合言葉のように、

 “USB”

と返事がくるくらい、この会社はUSBと何かを繋ぐことに徹した会社です。この会社のマイコン製品においてもそれは例外ではありません。

“鳥なき里のマイコン屋(28) FTDI、繋ぐに徹するMCU” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(27) Ambiq Micro、超低消費電力MCU

ここまで取り上げさせてもらってきたマイコン屋さんの多くで、買収や合併などを通じてMCU製品ラインが整理統合されてきた様子を窺い知ることができました。どの会社にも「利益率が高いとは言えないマイクロコントローラ事業」と格闘してきた「長い歴史」がある、と言えるでしょう。マイクロコントローラを事業にしている会社の数はかなり減っている、というのが実感です。そんな今時、といっても2015年ですが、マイクロコントローラに新規参入した会社があるのです。米国テキサスのAmbiq Micro社です。

“鳥なき里のマイコン屋(27) Ambiq Micro、超低消費電力MCU” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(26) Intel, the last MCU, Quark終った

実を言えば、このMCU屋さんを経めぐるシリーズの最後までとっておこうと思っていたのです。MCU業界の元祖、本家、なんと形容してもよいでしょうインテルです。しかし、先手を打たれてしまいました。インテルの製品ラインの中で、ただ3機種(オーダー番号には5品種)、ROM、RAM搭載したマイクロコントローラとして残っていたQuark 製品に悲しいお知らせです。インテルが1月18日に出した資料からタイトルを引用させていただきます。

Intel® Quark™ products,
PCN 116715-00,
Product Discontinuance, End of Life

“鳥なき里のマイコン屋(26) Intel, the last MCU, Quark終った” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(25) Panasonic セミコンダクターソリューションズ

なんとか世界中のマイコン(マイクロコントローラ)ベンダを網羅すべく活動しておるのですが、まだまだ「大物」なところも列挙しきれておりません。昔に比べるとベンダの数は激減したかにも思えるのですが、マイコン屋は死なず、という感じです。本日、取り上げさせていただくのは、Panasonic セミコンダクターソリューションズ社です。いろいろ変転はあったにせよ、Panasonicの半導体子会社ということで間違いありますまい。略称は、PSCS。(Panasonic Semiconductor Solutions Co. Ltd.なので、何でPSSCにしなかったのか個人的な疑問が残ります。知っている方いらっしゃいましたらお教えください。)

“鳥なき里のマイコン屋(25) Panasonic セミコンダクターソリューションズ” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(24) ABOV Semiconductor, メモリの国のMCUベンダ

Gartnerから2018年の半導体売上高のランキングが発表になっていました。トップ10から日本企業が消えた、というニュースを見た方も多いのではないかと思います。実際には東芝メモリが東芝デバイス&ストレージと分割してカウントされるようになったためとは言え、往年の日本半導体を知るものにとっては「悲しいお知らせ」でしょう。一方、御隣は、Samsung Electronicsが首位、SK hynixが3位と、がっちりランキング上位を占めています。まったくもってメモリのお陰です。しかし、ことマイコン、MCUとなるとほとんど存在感はありません。Samsungは、スマホ向けのArmベースのSoCプロセッサは有名ですが、MCUは米IXISに出してしまったようです。そんなメモリの国にも、マイコン屋はいたのです。

“鳥なき里のマイコン屋(24) ABOV Semiconductor, メモリの国のMCUベンダ” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(23) Maxim Integrated, セキュアとウエアラブル

「マキシム」というと「コーヒー」のブランドを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、半導体業界では、Maxim Integrated社に決まっています。この会社に対する業界内でのイメージは「アナログの会社」でしょう。これまた、一般では「アナログ」というと「デジタル」より遅れているようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、半導体業界では、「アナログが強い」=「ガッツリ儲けている」というイメージです。デジタルは誰でもできますが、良いアナログは限られたところでしかできません。そんなMaxim社にもデジタルなマイコン(マイクロコントローラ、MCU)はあるのです。

“鳥なき里のマイコン屋(23) Maxim Integrated, セキュアとウエアラブル” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(22) 正統派すぎる? ST

MCU(マイクロコントローラ)業界でもメジャーな会社の一つが STマイクロエレクトロニクス社です。本社スイスですが、そのルーツはイタリアとフランスにまたがっています。そして、その長い歴史の中で欧米の多くの半導体メーカを飲み込んできた欧州を代表する半導体メーカであります。そんなメジャーな会社を後回しにしてきたのは、一重に「変なところがない」(ので面白くない、すみません)からです。まさに、現時点でのMCUメーカとしてはこの方向でしょ、というそのものズバリ優等生路線。

“鳥なき里のマイコン屋(22) 正統派すぎる? ST” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(21) LAPISセミコンダクタ、敢えて逆張り?

各社のマイコン(シングルチップ・マイクロコントローラ、MCU)を経めぐっていると、Armばかりが蔓延って、独自「プロプライエトリ」コアの影がとっても薄い今日この頃です。どこかにArmを引っ込めるような「逆張り」なマイコン・メーカー居ないか?と思ってみたら、いらっしゃいました。日本に。

“鳥なき里のマイコン屋(21) LAPISセミコンダクタ、敢えて逆張り?” の続きを読む

鳥なき里のマイコン屋(20) Armは栄える、Hは枯れる。ルネサス

ルネサスエレクトロニクスは、日立製作所の半導体部門と三菱電機の半導体部門(全部じゃないけれど)を合体させて、そこに後からNECの半導体部門だった組織をさらに合体させた会社、という認識で大筋間違いありますまい。ちょっと大雑把すぎて申し訳ないですけれども。元の3組織のいずれもが、日本を代表する「マイコン・メーカ」であったので、合併当初のMCU製品ラインナップは、市場的にも機能的にも重複しまくりに見えました。しかし、NEC半導体の合流からでも、はや10年近く、MCUの製品ラインは随分と集約されてきたようです。

“鳥なき里のマイコン屋(20) Armは栄える、Hは枯れる。ルネサス” の続きを読む