Math

☆お言葉
「原稿や印刷物や黒板の数学記号の
正しい利用を見守っている神よ
どうか私を、そして私の罪を許し給え。」
 ---ヘルマン・ワイル、プリンストン高等研究所教授
「私は常に研究において、真理と美を統一しようとしてきたが
いずれか一方のみを選択しなくてはならない局面では、
多くの場合に美を選択してきた」
 ---ヘルマン・ワイル、数学者
「愛の本質を表したシェイクスピアの詩の如く、あるいは、人間の内面の奥深く潜む美を描いた絵画の如く、オイラーの方程式は人間存在の深みに達している」
 ---e^iπ + 1 = 0について、キース・デブリン
「証明は、それを与える人間と、それを受け取る人間がいて初めて成立する
 ---アウグスツス・ド・モルガン
「カントルが創ってくれたこの楽園から我々を追放することは誰にも許されない」
 ---ヒルベルト。カントルの集合論に深刻なパラドックスが発見されて数学全体が危機に陥ったときに
「我々は知らねばならない。我々は知るであろう」
 ---ヒルベルト
※これはエミール・デュボア・レーモン(生理学者、哲学者)の「われわれは知らない、そして知ることはないだろう」というモットーを嫌い、ラジオ講義で使った言葉
「ドレ、どこが?アア、この穴か。これなら前学期にもあいてたようだよ」
 ---ヒルベルト。ズボンの穴について
「数学の本質は、まさにその自由にある」
 ---カントル
「証明しながら後ろ向きに解くのでなく、ひらめきで前向きに解く和算」
 ---佐藤健一
「ある一つの分野が進歩していって、その進歩の最先端から新しい分野が生まれるのではなく、その分野の原始的なところから新しい分野が生まれる」
 ---小平邦彦
「彼は頭の回転が異常に速く悪魔のように鋭い」
「実は悪魔だった」
 ---フォン・ノイマンについての噂
「Galoisは殺されても無視されても純粋数学の真理は変わりようがない。若者の衝動を理解できない大人達を裁くのは、万古不易の数学の真理の力である」
 ---飯高茂
「毎日毎日10個位デタラメなことを考える。これを一ヶ月続けると中には面白そうなものが現れる」
 ---岡潔
「数式処理を使い出すと頭が悪くなる」という心配もあるが、数式処理はもともと頭が悪い人が使うものである。抽象的一般論を理解できない人が何とか分かるようになるためには、具体的例題の計算を積み重ねることしか方法はないのである。
 ---広田良吾
「不等式こそが微積分の心」
 ---広田良吾
「我が円をかき乱すな」
 ---アルキメデス
「物事を嫌い、それを遠ざける理由は百万通りあるだろうから、それを”説得する”のは、ほぼ不可能である」
 ---広田良吾
「数学の理解、特に基礎的な概念を理解するためには、”鳥の目”を必要とする。」
 ---広田良吾
「今学んでいることの意味が、後からようやく分かる場合もある」
 ---広田良吾
「数学は、人間性の本質に根ざしたものである」
 ---岡潔
「日本に数学をではなく、数学の中へ日本を投げ込め」
 ---岡潔
「数学を理解するということは、その数学的現象を「みる」ことである。「みる」というのは数覚によって知覚することである。」
 ---小平邦彦
「”人の心に火をつける”ことこそ教育であるはずなのに、相も変わらず”尻に火を点ける”ことばかりやっている」
 ---広田良吾
「ところで、これはフェルマーの最終定理が真であったことを意味している。[証明終わり]」
 ---アンドリュー・ワイルズ、”モジュラ形式、楕円曲線、ガロア表現”と題する3回の連続講義の最後に(1993/06/24)
「ハルペドナプタイ(rope stretchers)が, 3+4+5=12の結び目を持つ綱を用いて直角を作っていたと思われるという根拠のない話はあるものの、エジプト人がピタゴラスの定理の概念を有していたという徴候などない」
 ---ディルク・ヤン・ストロイク
「我々宇宙のあらゆることを指すのにカスモスという単語を作ったのはピタゴラスだった(カール・セーガンではない)」
 ---レオン・レーダーマン、物理学者、ノーベル賞
「E=m(a^2+b^2)=mc^2」
 ---作者不明の狂歌
「学校で習ったことは全部忘れてほしい;そんなものは習わなかったのだから」
 ---エドムント・ランダウ、「解析学の基礎」
「数学者に何を言っても、彼らは自分自身の言葉に置き換える。そしてそれは直ちに何かまったく違ったものになる。」
 ---ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
「暗号が安全であるとは、みんなで解読を試みて解読できなかったということ」
 ---Javaで作って学ぶ暗号技術、森北出版
「甲南女子大学の学生の全体は集合であるが、芦屋のお嬢様全体が集合かどうかは疑わしい」
 ---萩谷昌己、岩波講座 応用数学9より
「500ページほど書きましたが、そのほとんどはクズ同然です」
 ---アクセル・トゥエ、数学者
「重要な結果が得られそうになるたびに、それが既知の結果であることがわかるのだ。何か、ほんとうに新しいといえること、れっきとした数学者が興味深いと思えるようなことがまだ残されていればいいのだが」
 ---アクセル・トゥエ、数学者
「控えめな人柄のミンコフスキーは、話術で聞き手を引き付けるタイプではなかったため、彼の講義を欠席する学生は多かった。なかでも一人の学生はまったくと言っていいほど講義にでてこなかったため、とくにミンコフスキーの怒りを買った。」
 ---ジョージ・G・スピーロ、ミンコフスキーとアインシュタインについて
『ある幾何学の定理について』
 ---フェイエシュ・トートが円充填問題についての定理を証明した論文のタイトル。47行の文と1枚の図だった
「偉人たちの多くには、外聞をはばかる秘密があるものだ。ニュートンも例外ではなかった」
「ニュートンは、述べたことも行ったことも、ほとんどずべて正しかった。しかしその彼も絶対に間違いを犯さないとは言えないことは、水銀を金に変えようとしたことからもわかる。」
 ---ジョージ・スピーロ
「ホッペの人性は平々凡々たるものだったが、業績リストの内容もまた凡庸だった」
 ---ジョージ・スピーロ
「教授たちは、完璧な講義をするか、あるいは誰もが途方に暮れるようなわけのわからない話をするかのいずれかだった」
 ---ジョージ・スピーロ、ゲッティンゲン大学の数学研究所について
「かって生まれたなかでもっとも重要かつ創造的な数学的天才」
 アインシュタイン、女性数学者エンミ・ネーターについて
「ここで『初等的』という言葉にだまされてはいけない。それは『簡単』とは別のことである」
 ---ジョージ・スピーロ
「この世には旧約聖書と新約聖書と整数列大事典がある」
 ---ある読者の言葉、ニール・スローンの整数列大辞典の
「より短い、あるいはよりエレガントな証明を示さないかぎり、証明が長いことに文句を言うべきではない」
 ---ガウス、ゼーバーの本の書評。ゼーバーは248ページの本を書いて弱い定理を証明しただけであったが、ガウスはたった40行でゼーバーが出来なかった証明を与えた。
「既知の真理に対して新しい証明を見出すことは、しばしば発見それ自体と同じくらいに重要である」
 ---ガウス
「多くの数学者が信じ、すべての物理学者が知っている」
 ---ロジャース。1958年にケプラー予想が正しいことについて
「誰かが新しい言葉をひねり出し、古いアイディアを新しい包装紙で飾ろうとするときには注意しよう。それは往々にして、真の革新などどこにもないときに、さもオリジナリティーがあるかに見せかけようとする兆候だからだ」
 ---ジョージ・スピーロ
「この証明が見苦しいという点ではみんなの意見が一致した~しかし、少なくともあの時点では、あれがわれわれにできる最善の仕事だった」
 ---ファーガソン、ケプラー予想についてのヘールズの証明について
「フォン・ノイマンは、どんなに難しい論文でも、パラパラとページをめくっただけで査読を終えたといわれている~彼はちゃんと読んだ。ただ、彼の頭脳は常人の十倍のスピードで働いたということだ」
 ---ジョージ・スピーロ
「フェルマーの最終定理に関するワイルズの証明は『戦争と平和』のようなものであり、ケプラー予想に関するトムの証明は電話帳のようなものである」
 ---イアン・スチュアート
「私がきちんと証明できないかぎり、私の言ったことを信じてはいけないよ」
 ---あるスイスの数学教師
「数学は、社会的なプロセスである。真理はコンセンサスにより真理として認められる」
 ---ジョージ・スピーロ
「数学こそは神の栄光、国益増進、そして個人の栄達の鍵である」
 ---ジョン・ディー「魔術師」、エリザベス1世の占星術師
「袋小路と行き止まりを組み合わせたら、壁がくずれて新しい道が見えてきたのだ」
 ---ジョージ・スピーロ
「リーマン予想は、本書で用いたものよりも初歩的な数学を使ったのでは説明できない」
 ---ジョン・ダービーシャー、素数に憑かれた人たち
「リーマンはずっと便秘に苦しんでいた」
 ---ノイエンシュヴァンダー
「数学者は一般に、特定の関数の感触を、それと長く親しくつきあうことによってつかむ。その特徴や特異なところを観察するのである」
 ---ジョン・ダービーシャー
「『これで~は明白である』というような、いらいらする断定が出てくるが、実際には、欠けている途中を補い、検算するために著者がかけた何時間かをかけないことにはそういうことにはならず、明白でない場合も多い」
 ---ジョン・ダービーシャー
「『数える』ための数と『量る』ための数との区別は、人間の思考と言語の習慣の奥にある」
 ---ジョン・ダービーシャー
「実は、算術には特異な性格がある。問題を言い表すのは簡単だが証明するのは恐ろしいほど難しいということである。」
「ディリクレの変わったところは、出席者を見ないことだ~~~眼は手で覆われているか、そうでなくてもたいていは閉じていた。メモも使わず、頭の中に想像上の計算が見え、それをわれわれに向かって読み上げていた~~~そいういう講義が私は好きだ」
 ---トマス・ハースト
「だが、僕たちの前にあるこの見本なんぞは、暗号文の実にもっとも単純な種類に属するものだと思いたまえ」
 ---ウイリアム・ルグラン(エドガー・アラン・ポー作『黄金虫』)
「数学とは、計算して答えが合えばいいという教科ではなく、『あるゆる可能性を考える学問』なのだ」
 ---南みや子
「人が呼吸をするように、ワシが空を舞うように、オイラーは苦もなく計算をした」
 ---アラゴー
「角の三等分よりも、便箋を簡単に三等分に折り畳む方法を発明するほうがよほど社会の役に立つ」
 ---ド・モルガン
「私は2足す2が4であり、4足す4が8であることを信じます」
 ---マウリッツ、死の床で神父に「悔い改めよ」と促されて
「後の世の人は好意的に見て欲しい。私がここに説明したことに対してだけではなく、意図的に書くのを省略したことに対してもだ。それによって、新しく発見する喜びを残しておいたのだから」
 ---デカルト、余裕をかましたコメント
“Never at rest”
 ---ウエストフォールによるニュートン伝の題名
「オイラー先生がいらっしゃる所に、私如きが行けるわけもございません」
 ---ラグランジュ、ベルリンアカデミーからの誘いを一端断るときに
「ある種の問題は、まず工学的な方法で答えが明らかになってしまう。もちろん後で幾何学的に証明を付けなくてはいけないのだけれども、それでも最初から答えがわかっているのと、一からかんがえなくてはならないのとでは雲泥の差がある」
 ---アルキメデスからエラトステネスへの手紙の一節
「微分積分のもとになっている分析・総合という方法は人間の精神活動のもっとも普遍的で根本的な方法であって、誰でもつねに使っている方法にすぎないのである」
 ---遠山啓
「世の中には(高等)数学ファンが数千人しかいないことは、いくら常識はずれの僕でも心得ている」
 ---竹内薫
「無限は数学の母体です」
 ---志賀浩二
「その結果、多くの”やさしい~”と書かれた教科書は難しい」
 ---吉田武
「今日知られている数の性質は、大部分が観察によって明るみに出たのであり、それが真実であることが厳密な証明によって確かめられるよりずっと前に分かっていたのである」
 ---オイラー
「ぼくは1あら10まで自力でできることがやりたいんだ。だからコンピュータの助けを借りて作った定理や、一人ではやれそうにないからといって、何人もの数学者がよってたかって作ったよう長々しい証明には興味がないよ。」
 ---ピエール・デリーニュ
「我々の見方からすれば、数学は自然科学ではないという意味で、科学ではない。数学の正否をためすのは実験ではない」
 ---R.P.ファインマン、物理学者
「社会科学や自然科学への線形代数の応用では、行列のn乗や行列の指数関数が必要になることが多い。従来の線形代数の教科書では、与えられた行列が対角化できない場合には、ジョルダン標準形を用いてそれらを計算することが多いように思われる。しかし、必ずしもそれは絶対に必要というわけではなく、スペクトル分解、一般化スペクトル分解がわかれば十分」
 ---藤田、石井
「『まじめに式をたてると難しくて大変』というときに、『ひとまずまっすぐで近似してみよう』は、理工学の常套手段」
 ---平岡、堀 「プログラミングのための線形代数」
「どの基底を取るかに依存しない概念こそ、対象の本来の性質をとらえたものだ」
 ---平岡、堀 「プログラミングのための線形代数」
「無限次元はおっかないものです」
 ---平岡、堀 「プログラミングのための線形代数」
「『不確実さに立ち向かうこと』『数を数えて定量化すること』『物理的世界を視覚化すること』『日常世界を超越すること』」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「この世はカオスが支配しているのだ」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「データから意味をうまく導き出すのは、危険と紙一重の作業だ」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「偶然の一致は起こる」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「ランダムな出来事に意味を付け加えるということこそは、あらゆる種類の愚かしい超自然的な話の源泉なのだ」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「ある数を正確に特定するには、その数の全桁が必要なのである。」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「報道機関にはありふれていないことを多く扱うという偏った傾向があるのだ。」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「長きにわたる努力にもかかわらず、宇宙は大多数の数学の問題に対する答えを隠し続けている。」
 ---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード

☆概念・用語

☆数

☆集合と論理

☆代数(行列とベクトル編)

☆代数(のこり?)


☆解析学

古くは、未知数を含む方程式を解く技法を意味したが、現在では微分積分学を中心とする「極限の概念に関わる」数学を解析学という。
※実数が連続性と無限分割可能性を持っていることが微分積分学の出発点となる
◎実数の性質
◆実数の性質
_◇実数の性質
①稠密性
aとbをa<bを満たす任意な実数とすれば、不等式
a<x<b
を満足する実数xは無数に存在する
⇒実数の分布状態は、整数の分布状態と本質的に異なる
②無限性
Mをどんなに大きい正の整数としても
M<x, -x<-M
となる正の数xは常に存在する
③収束性
実数xはつぎつぎにその大きさを増大させながら変化するが、つねに特定の値Aより大きくならない場合には、xはある一定の値a(≦A)に限りなく接近する。
実数xがつぎつぎにその大きさを減少させながら変化するが、つねに特定の値Bより小さくならない場合には、xはある一定の値b(≧B)に限りなく接近する
_◇区間
実数全体の間には大小関係があり、実数全体を1列に並べることができる。
①2つの実数 aとb (a<b)が与えられたとき
a≦x≦b
を満足する実数x全体の集合を
[a,b]
で表す
②同様に、a≦x<b, a<x≦b, a<x<b
を満足する実数全体の集合をそれぞれ
[a,b), (a,b], (a,b)
であらわす
③不等式 a≦x, a<x
を満足する実数x全体の集合をそれぞれ
[a,+∞), (a,+∞)
であらわす
④不等式 x≦a, x<a
を満足する実数x全体の集合をそれぞれ
(-∞,a], (-∞,a)
であらわす
⑤実数全体の集合を
(-∞, +∞)
であらわす
※これらの集合を区間と呼ぶ
※両端点を含む有限の区間[a,b]を閉区間という
※両端点を含まない有限の区間(a,b)を開区間という。または、(-∞,a),(a,+∞)を開区間ともいう。
◆収束と極限
関数 a(t) に対して、勝手な正数εをとったとき
t>T ならば |a(t)-A|<ε
という条件がみたされるTを見つけることができ、tが限りなく大きくなるとき、a(t)はAに収束するといい、Aを a(t)の極限という
lim[t→+∞]a(t)=A
※収束するかどうかを証明することは、不等式の変形の問題に帰着する
(t>…から |a(t)-A|<εが必然的に出てくることがたしかめられたら証明されたことになる)
※収束の速さ
※もっぱら0に収束する関数を考えれば一般の場合を尽くすことができる
※どんな正の数εが与えられた場合にも、それに対して適当な正の数δを見出して
0<|x-a|<δであれば|f(x)-b|<ε
となるようにすることができるとき
lim[x→a]f(x)=b
であるとする
_◇右極限と左極限
独立変数 x が実数 a より大きな値をとりながら、限りなく a に接近するときに、関数 f(x)の値が b に限りなく近づくとする。この事実を
lim[x→a+0]f(x)=b
で表し、bを f(a+0)で表す。このf(a+0)を点aにおけるf(x)の右極限値という。
⇒左極限値
※lim[x→a+0]f(x)とlim[x→a-0]f(x)が存在するとき、lim[x→a]f(x)が存在するための必要十分条件は
lim[x→a+0]f(x)=lim[x→a-0]f(x)
であることである。このとき、極限値lim[x→a]f(x)は、lim[x→a+0]f(x)=lim[x→a-0]f(x)に一致する。
※0+0のことを普通+0と書き、0-0のことを普通-0と書く
_◇無限大
どんな(大きい)正の数M(負の数-M)が与えられた場合にも、それに対して適当な正の数δを見出して
0<|x-a|<δ
であるとき
M < f(x)  (-M > f(x))
となるようにすることができるとき
lim[x→a]f(x)=+∞(-∞)
であるとする
※任意に与えられた正の数εに対して(適当に大きい)正の数M(負の数-M)を見出して
M<x  (x<-M)
ならば
|f(x)-b|<ε
となるようにすることができるとき
lim[x→+∞]f(x)=b(lim[x→-∞]f(x)=b)
である
_◇無限小
独立変数 x が x→a となるとき、
関数 y=f(x) が f(x)→0 となるならば、変数 yまたは
f(x)は(x→aのとき)無限小となるという。
※無限小はゼロではない。無限小はその絶対値がいかなる正の数よりも小さくなりえる変数のことである。
※ゼロは、その絶対値がいかなる正の数よりも小さい定数である。
定理1.1
(1)2つの無限小の和はまた一つの無限小である
(2)2つの無限小の差はまた一つの無限小である
(3)無限小と0でない定数との和は無限小でない
(4)無限小と無限小でない関数との和は無限小でない
定理1.2
(1)無限小と定数との積はまた無限小である
(2)無限小を0でない定数で割った商はまた無限小である
(3)無限小と有界な関数との積はまた無限小である
定理1.3
2つの無限小の積はまた無限小である
※x→0のとき、uとvを無限小であるとする。
このとき
u/v → 0 ならば、uはvより高位の無限小
u/v → ±∞ ならば、uはvより低位の無限小
u/v → b≠0 ならば、uとvは同位の無限小
※u が x^n と同位の無限小であるとき、uをxに対してn位の無限小であるという
_◇極限に関する定理
定理 1.4
lim[x→a]f(x)=b, lim[x→a]g(x)=cであれば
(1) lim[x→a]{f(x)+g(x)}=b+c
(2) lim[x→a]{f(x)-g(x)}=b-c
(3) lim[x→a]k*f(x)=k*b (kは定数)
(4) lim[x→a]f(x)*g(x)=b*c
(5) lim[x→a]f(x)/g(x)=b/c (g(x)≠0,c≠0)
(6) f(x)≦g(x)ならば, b≦c
定理 1.5
lim[x→a]f(x)=b, lim[y→b]g(y)=cならば
lim[x→a]g(f(x))=c
ただし、g(b)=cとする
※※※
定理1.n個の関数 a_1(t),a_2(t),…,a_n(t)が極限A_1, A_2,…,A_nに収束するとき、任意のε>0を与えたとき、N(ε)<t に対して、
|a_1(t)-A_1|<ε,
|a_2(t)-A_2|<ε,
|a_n(t)-A_n|<ε
となるようなN(ε)が見出せる
※この定理は有限のnに対しては成立するが、無限個に対しては成立しない
定理2.和の極限
lim[t→+∞](a(t)+b(t))=lim[t→+∞]a(t) + lim[t→+∞]b(t)
定理3.差の極限
lim[t→+∞](a(t)-b(t))=lim[t→+∞]a(t) – lim[t→+∞]b(t)
定理4.積の極限
lim[t→+∞]a(t)*b(t)=lim[t→+∞]a(t) * lim[t→+∞]b(t)
定理5.3つ以上の一般のn個の関数の積についても積とlimの順序交換は成り立つ
定理6.逆数の極限
lim[t→+∞](1/a(t))=1/(lim[t→+∞]a(t))
定理7.商の収束
a(t)≠0, lim a(t)≠0のとき
lim[t→+∞](b(t)/a(t))=
lim[t→+∞]b(t)/lim[t→+∞]a(t)
_◇数列の極限
※数列の中のある項nが何番目であるかを示すのはその添え字のnであるので
a_n = a(n)
とすれば、a(n)は自然数nに対して定義された関数であると考えることができる
※任意の整数εを与えたとき、|a_n – a|<εという不等式が、N(ε)<nなるすべてのnに対して成り立つようなN(ε)が発見できるとき、数列 a_n は極限 a に収束するといい
lim[n→+∞]=a
とかく
※数列の収束条件(コーシーの収束条件)
数列 a_1, a_2,…,a_n,…
が収束するためには任意に与えられた整数εに対して定まるN(ε)より大きなm,nに対しては
|a_m-a_n|<ε
となるようなN(ε)が発見できることが必要かつ十分である。
⇒この条件を満足する数列を基本数列(fundamental sequence)という
_◇ lim[x→0](sin(x)/x)
lim[x→0](sin(x)/x)=1
_◇ lim[x→∞]{(1+(1/x))^x}
lim[x→∞]{(1+(1/x))^x}=e
※極限値 e は無理数であって
e = 2.71828…
※eを自然対数の底という
h=1/xとおけば
lim[h→0]{(1+h)^(1/h)}=e
※eを底とする対数を自然対数という
※指数関数 e^x 自然対数 log(x) は連続関数である
lim[x→0]{log(1+x)/x}=1
1/xを対数の中にいれると
lim[x→0]{log(1+x)^(1/x)}
対数関数は連続なのでlogは前に出せる
log{lim[x→0]{(1+x)^(1/x)}}
中身はeになるから
log(e)=1
lim[x→0]{(e^x-1)/x}=1
log(1+x)=zとおけば、e^z=1+x、e^z-1=xなので
x/(log(1+x))と等価となる
lim[x→∞]{(1+a/x)^x}=e^a (a≠0)
z=x/aとおけば
lim[z→∞]{{(1+1/z)^z}^a}
{lim[z→∞]{(1+1/z)^z}}^a
◆無限大と無限小の排除
※「無限大」という語を含む数学の命題はすべて、この用語を使わない形に書き換えられることができる。
例)調和級数の和は無限大になる
→いかなる数Sを取っても、それがいくら大きかろうと、調和級数の和は、いずれはこのSを上回る
※数列が極限aをもつ
→どんなに小さな数xをとっても、数列のあるところから先は、数列のすべての項とaの差がxよりも小さくなる
◎関数
◆変数と関数
実数のある範囲Dに属する任意の実数を代表させるのに文字x, y, z,…などを用いる。
範囲Dに属する任意の実数を代表する文字xを、xをD内で変動させることができるという意味を含んで変数という
範囲Dを変数xの変域という
変域Dの変数xのおのおのの値に対して、他のただ一つの実数yを定める対応が与えられているとき、yをxの関数と呼ぶ
y=f(x)
y=y(x)
y=F(x)
などで表す
範囲Dを関数の定義域という
変数xを独立変数
yを従属変数という
yのとり得る値の範囲を関数の値域という。
_◇陰関数
独立変数xと従属変数yの間の対応が F(x,y)=0の形の方程式で与えられたときに、この対応を陰関数という
⇒一般に陰関数では独立変数xの1つの値に対して、従属変数yの値は2個以上対応する
⇒xの1つの値に対して、yのr個の値が対応するとき、与えられた陰関数はr価関数であるといわれ、rが2以上のとき多価関数という。(無限多価関数もある)
⇒陰関数に対して普通の関数を陽関数ということがある
※単に関数といえば1価な陽関数である
_◇偶関数と奇関数
※関数 y=f(x)が、その定義域のすべてのxに対して
f(-x)=f(x)
を満足するならば、これを偶関数という
※f(-x)=-f(x)を満足するならば、この関数を奇関数という。
_◇周期関数
独立変数 x の値のいかんにかかわらず f(x+T)=f(x)を成り立たせるような正の数 T が存在すれば、関数 f(x)を周期関数とよび、この性質をもつ正の最小のTをその周期という。
_◇増加関数、減少関数
関数 y=f(x)において、x1<x2ならば、つねにf(x1)<f(x2)であるとき、この関数を強い意味の増加関数という
関数 y=f(x)において、x1<x2ならば、つねにf(x1)≦f(x2)であるとき、y=f(x)を単に増加関数という
⇒強い意味の減少関数
⇒単なる減少関数
※増加関数と減少関数をまとめて単調関数という
_◇有界な関数
関数 y=f(x) が与えられたとき、2つの実数 m と M が存在して、その定義域に属する x のいかなる値に対しても、つねにm≦f(x)≦Mがなりたつとき
y=f(x)を有界な関数という
mを下界、Mを上界という
※上界のみを有する関数を、上方に有界な関数といい、下界のみを有する関数を、下方に有界な関数という。
_◇逆関数
関数 y=f(x) において、yの値に対してxの値が定まるときに、yを独立変数、xを従属変数と考えて、xとyを置き換えてyについて解いたものを
y=f^-1(x)
で表し、逆関数と呼ぶ。
※逆関数のグラフは元の関数のグラフと直線y=xに関して対称
_◇合成関数
2つの関数 y=f(x) と y=g(x) が与えられた場合に、関数 y=f(g(x)), y=g(f(x)) をこれらの関数の合成関数という。
◆関数の連続性
_◇連続の定義
y=f(x)という関数で、xがaに近づいたときに、f(x)はある値に収束し、しかも、その値がf(a)に等しいときに、y=f(x)はx=aにおいて連続であるという。
※つまり
lim[x→a]f(x)=f(a)
となるとき、f(x)はx=aにおいて連続であるという。
※「連続」は関数のグラフがつながっていることを必ずしも意味しない。とくに「1点において」連続というときにはそのような意味はない。
※「連続」は
lim[x→a]f(x)=f(a)=f(lim[x→a]x)
と等価である。
※不連続の例
f(x)=sin(1/x)
xを右から0に近づければ1/xは+∞に近づく
xを左から0に近づければ1/xは-∞に近づく
いずれにせよ、sin(1/x)の値は+1から-1の間を振動し、一定の値に収束しない
よってf(x)はx=0において不連続
※いたるところ不連続の例
h(x)
0…xが有理数のとき
1…xが無理数のとき
_◇いたるところ連続
どの区間でも連続
_◇ほとんどいたるところで連続
ある特定の点では不連続であるが、その他の点では連続
_◇関数の連続
関数 y=f(x) において、実数 a がその定義域に含まれていて、さらに
極限値 lim[x→a]f(x)
が存在して
lim[x→a]f(x)=f(a)
であるとき、この関数 y=f(x) は x=a で連続であるという。
※定義域が限定されている関数の場合は、その定義域の中で連続だが、グラフにすれば定義域に含まれない断続があるものもありえる
※区間Ⅰが y=f(x)の定義域に含まれていて、区間Iに属する全ての実数 a で y=f(x) が連続ならば関数 y=f(x) は区間Ⅰで連続であるという
※y=f(x)がx=aで連続であるということは、xがaから微小変化したとき、これに対するf(x)の変動もまた微小であることを意味する
※連続関数のグラフは連続曲線である
※不連続
関数 y=f(x) が点 x=a で定義されているが、
lim[x→a]f(x)
が存在しなかったり、存在しても
lim[x→a]f(x)≠f(a)
であるときに、y=f(x)は点 x=a で不連続である
※一般に点 x=a で左右両極限は存在するが一致しないために、関数f(x)が点 x=a で不連続である場合には、関数
 y=f(x)のグラフには点 x=a で切断が現れる
_◇連続関数の性質
定理 1.6
f(x)とg(x)が点 x=a で連続であるとする。
このとき
(1) f(x)+g(x)とf(x)-g(x)は点 x=a で連続である
(2) k*f(x)とf(x)*g(x)は点 x=a で連続である
(kは定数)
(3) 点x=aの近くで g(x)≠0ならば f(x)/g(x)は点 x=a で連続である
定理 1.7
f(x)とg(x)がそれぞれ点 x=a と点 y=f(a) で連続であれば、その合成関数 g(f(x)) は点 x=a で連続である
定理 1.8
関数 f(x) が点 x=a で連続であるとする。f(a)>0 (<0)
ならば、点 x=a に十分近くでは f(x)>0 (<0)である
定理 1.9 中間値の定理
(1) 関数 f(x)が閉区間[a,b]で連続であって、f(a)とf(b)が異符号ならば、f(ξ)=0となる点 x=ξがaとbの間に少なくとも1つ存在する。
(2)関数 f(x)が閉区間[a,b]で連続であって、f(a)<f(b)とすれば, f(a)<k<f(b)である任意の実数 kに対して、f(ξ)=kとなる点x=ξがaとbとの間に少なくとも1つある。
定理 1.10 関数f(x)が閉区間[a,b]で連続ならば、f(x)は閉区間[a,b]で最大値と最小値をとる
⇒開区間であれば、連続であっても最大値も最小値もとらないことがありえる
定理 1.11
(1) lim[x→c]f(x)=aで、関数g(y)がy=aで連続ならば
lim[x→c]g(f(x))=g(lim[x→c]f(x))=g(a)
(2) 数列 {a_n}が収束し、lim[n→∞]a_n=aであって、関数g(y)がy=aで連続ならば
lim[n→∞]g(a_n)=g(lim[n→∞]a_n)=g(a)
_◇ワイエルシュトラス関数
Weierstrass function
連続関数であるにも関わらず至るところで微分不可能。
w(x)=Σ[n=0:∞]{a^n*cos((b^n)*π*x)
ここで 0<a<1, bは正の奇数整数
a*b > 1+(3/2)π
◆関数の極値
※関数 y=f(x)の値が最小のとき、関数y=-f(x)の値は最大
_◇極値と極値条件
※極大
関数を部分的にみて最大になるとき
※極小
関数を部分的にみて最小になるとき
※極値
極大や極小になる関数の値
※なめらかな関数が x=a で極値をとる必要条件
f'(a)=0
⇒導関数 f'(x)が負から正に変われば極小
⇒導関数 f'(x)が正から負に変われば極大
◎関数の定義
◆関数の定義
y=f(x)
※1つの実数xに対して、ただ1つの実数yが定まるとき、yをxの関数という。
x独立変数
y従属変数
例)y^2 = x は、1個のxに対して2個のyが対応するので関数ではない。
※代入できるxの値の範囲を関数yの定義域、yのとれる値の範囲を値域という。
※関数は、定義域という集合を値域という集合のなかに写す写像と考えてよい
_◇整数論的関数
自然数を定義域とする
_◇多変数関数
独立変数が2つ以上あるもの
⇒多変量解析
◆逆関数
直線 y=x に関して対称。
◆代数関数
xとyの多項式f(x,y)に対して、方程式f(x,y)=0で決まるxの関数yを代数関数という。
◆線形関数
f(a_1*x_1 + a_2*x_2) = a_1*f(x_1) + a_2*f(x_2)
(a_1, a_2は定数)
を満足する関数を全て線形関数と呼ぶ。
線形関数では、解の重ね合わせができる。
※線形性を持たない関数を非線形である、という。
※微積分の基本計算は線形性を有する。
◆超越関数
代数関数でない関数を超越関数という。
◆陰関数
関数をy=f(x)の形でなく、f(x,y)=0という関係式で与えるとき、陰関数表示という。
◆関数の内積
定義(関数の内積) 区間(a,b)で定義されている二つの関数f(x),g(x)の内積(inner product)またはスカラー積(scalar product)を
                    ____
(f,g) = ∫(a b) f(x)g(x)dx
と定義する。また(f,g)=0のときfとgは直交(orthogonal)するという.
…◎三角関数
◎三角関数
◆sin, cos, tan
_◇正弦関数
sinθ
_◇余弦関数
cosθ
_◇正接関数
tanθ
※sin, cos, tanの性質
sin(1/2π-θ) = cosθ
cos(1/2π-θ) = sinθ
tan(1/2π-θ) = 1/tanθ
sin(π-θ) = sinθ
cos(π-θ) = -cosθ
tan(π-θ) = -tanθ
sin(θ+2nπ) = sinθ
cos(θ+2nπ) = cosθ
tan(θ+2nπ) = tanθ
sin(-θ) = -sinθ
cos(-θ) = cosθ
tan(-θ) = -tanθ
sin(π+θ) = -sinθ
cos(π+θ) = -cosθ
tan(π+θ) = tanθ
sin(1/2π+θ) = cosθ
cos(1/2π+θ) = -sinθ
tan(1/2π+θ) = -1/tanθ
◆sin, cos, tan間の関係
①sin^2θ + cos^2θ = 1
単位円上の点Pの座標は(cosθ, sinθ)であり、ピタゴラスの定理から上記が求まる。
②tanθ = sinθ / cosθ
tanの定義より
◆割三角関数
_◇余割関数
cosecθ=1/sinθ
_◇正割関数
secθ=1/cosθ
_◇余接関数
cotanθ=1/tanθ
◆加法定理
単位円上に∠xOP=α+βなる点をとり、∠xOQ=βでかつ、PからOQにおろした垂線との交点がQとなるような三角形OPQを考え、PからX軸におろした垂線の交点S, QからX軸におろした垂線の交点R, QRの延長とPからX軸と平行に引いた直線との交点をTとすると、
PS=sin(α+β)
TQ=sinαcosβ
QR=cosαsinβ
であって、PS=TQ+QRであることから①が求まる。
①sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
②sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ
③cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ
④cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ
⑤tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)
⑥tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanαtanβ)
※加法定理により、2つの角の値をもとにして三角比の表を求めることができる。
◆正弦定理
※三角形ABCにおいて
①頂角∠A、∠B、∠C
大文字のA,B,Cで表す。
②辺BC,CA,AB
小文字のa, b, cで表す。
半径Rの円に内接する三角形ABCにおいて
a/sinA = b/sinB = c/sinC = 2R
◆余弦定理
角を挟む2辺と角の対辺の関係を示す。一般化されたピタゴラスの定理である。
a^2 = b^2 + c^2 – 2*b*c*cosA
b^2 = c^2 + a^2 – 2*c*a*cosB
c^2 = a^2 + b^2 – 2*a*b*cosC
◆ヘロンの公式
2辺b,cとその挟まれた角Aが分かれば3角形の面積は求まる
S = (1/2)*b*h = (1/2)*b*c*sinA
※ヘロンの公式
2s=a+b+cとおくと、面積Sは、
S = √(s * (s-a) * (s-b) * (s-c))
◆2倍角の公式
①sin2α = 2*sinαcosα
②cos2α = cos^2α – sin^2α
=1 – 2*sin^2α = 2*cos^2α – 1
③tan2α = (2 * tanα) / (1 – tan^2α)
◆半角の公式
①sin^2 (α/2) = (1 – cosα)/2
②cos^2 (α/2) = (1 + cosα)/2
③tan^2 (α/2) = (1 – cosα)/(1 + cosα)
◆和差から積への公式
①sinα+sinβ = 2*sin((α+β)/2)*cos((α-β)/2)
②sinα-sinβ = 2*cos((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
③cosα+cosβ = 2*cos((α+β)/2)*cos((α-β)/2)
④cosα-cosβ = -2*sin((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
◆積から和差への公式
①sinαcosβ = (1/2){sin(α+β)+sin(α-β)}
②cosαsinβ = (1/2){sin(α+β)-sin(α-β)}
③cosαcosβ = (1/2){cos(α+β)+cos(α-β)}
④sinαsinβ = (-1/2){cos(α+β)-cos(α-β)}
◆三角関数の合成
a*sinθ+ b*cosθ⇒r*sin(θ+α)
点P(a,b)、x軸とOPのなす角をα、OP=rとすると
cosα=a/r
sinα=b/r
また
a*sinθ+ b*cosθ=r*((a/r)*sinθ+(b/r)*cosθ)
と変形でき、a/r,b/rの部分をcosα、cosβで書き直せる
ので、
=r(cosαcosθ+sinαcosθ) 加法定理により
=r*sin(θ+α)
r=√(a^2+b^2) なので
=√(a^2+b^2)*sin(θ+α)
ただし、αはcosα=a/√(a^2+b^2),
sinα=b/√(a^2+b^2)
となる角。
◆ド・モアブルの定理
(cosθ+i*sinθ)^n = cos(nθ) + i*sin(nθ)
※複素平面上の単位円上でθの回転をn回繰り返すのはnθの回転に等しい
※n=2の場合から、倍角公式が求まる。
◆逆三角関数
_◇逆正弦関数
アークサイン
y = arc sin (x)
y=sin(x)の逆関数は無限多価関数であって、その定義域は[-1,1]。値域を閉区間[-π/2,π/2](主値)に制限した関数をアークサインという。
_◇逆余弦関数
アークコサイン
y = arc cos (x)
定義域は[-1,1]。値域は閉区間[0,π]
_◇逆正接関数
アークタンジェント
y= arc tan(x)
定義域は(-∞,∞)、値域は開区間(-π/2,π/2)
◆オイラーの公式
e^ix = cos(x) + i*sin(x)
複素数 z=ix を代入したe^zのべき級数展開とcos x, sin xのべき級数展開より求めることができる。
◎指数関数
A^B
A: 底
B: 指数
◆指数の法則
①a^m * a^n = a^(m+n)
②a^m ÷ a^n = a^(m-n)
③(a*b)^n = a^n * b^n
④(a^m)^n = a^(m*n)
※a,bは0でない数
_◇指数の拡張
a^0 = 1
a^-n = 1/a^n
a^(m/n) = n√a^m
_◇対数の定義から
x = e ^ (ln x)
◆指数関数
a>0, a≠1のとき、y=a^xをaを底とする指数関数という
①xの値はすべての実数、yの値は正の実数
②a>1のときは増加関数、0<a<1のときは減少関数
③x軸が漸近線となる
④グラフは(0,1)を通る
_◇eを底とした指数関数
①x=0で1を通る
②x>0で1より大、x<0で1より小
③x→∞で+∞に発散
④x→-∞で0に収束
⑤x=1のとき、2.718282…
⑥-0.1<x<0.1のように小さいとき
e^x =~ 1 + x
の近似が成り立つ
◎双曲線関数
◆カテナリー(catenary, 懸垂線)
紐を2点で吊るしたときのカーブ
 y = cosh( x )
_◇定義
cosh( x ) = (e**x + e**-x) / 2
sinh( x ) =  (e**x – e**-x) / 2
tanh( x) = sinh (x ) / cosh (x)
coth(x) = 1 / tanh (x)
sech(x) = 1 / cosh(x)
cosech(x) = 1 / sinh(x)
_◇級数展開
cosh (x) =1+x**2/2!+x**4/4!+…
cos(x)=1-x**2/2!+x**4/4!-…
※以下の放物線とxが小さいところでは似ている。
y = 1 + x**2/2!
_◇逆双曲線関数
arc sinh x = log(x + sqrt(x**2 +1))
arc cos x = ±log(x + sqrt(x**2 -1))
_◇三角関数との関係
sinh x = – i sin(ix)
cosh x = cos(ix)
◎対数関数
<logarithm>
1以外の正の数aと正の数Mに対して, M=a^pとなる実数pを
log(a)Mと書き、log(a)Mをaを底とするMの対数といい、Mをこの対数の真数という。
※指数関数 y=a^x (a>0, a≠1)の逆関数
y=log(a)x
aを底とする対数関数。定義域は(0,+∞)
y=log(a)x ⇔x=a**y
①log(a)a = 1
②log(a)1 = 0
③log(a)b = log(a)c * log(c)b
④対数の基本公式
log(a)AB = log(a)A + log(a)B
log(a)A/B = log(a)A – log(a)B
log(a)A^m = m*log(a)A
⑤a,c は1でない正数、b正数の時、
log(a)b = log(c)b / log(c)a
※底の変換公式
◆対数関数 y = log(a) x の性質
①xの値は正の実数、yの値は全ての実数
②a>1のときは、増加関数、0<a<1のときは減少関数
③y軸を漸近線とする
④点(1,0)を通り、指数関数y=a^xと直線y=xに関して対称になる。
_◇半対数グラフ(片対数)
一定の倍率で増加したり減少したりするケースで過去のデータプロットから未来を外挿する場合に向く。
y=a^(b*x+c)
a:正の定数
b,c:定数
が直線となる。
_◇両対数グラフ
横軸をx, 縦軸をyとすると
y=x^n
(nは定数、1でもよい)
という式のグラフは直線となる
_◇自然対数
①x=1で0、x>1で正、x<1で負
②x=1からxが大きい方へ追うと、yは大きくなるが緩やかにしか増加しない。
③x=1からxが小さい方へ向かうと急激に減少
x→0で-∞に発散
xにマイナスは無い
_◇スターリングの公式
∫[1:N]{log(x)}dx
Nは1より大きい整数
x=1でlog(x)=0だから、1≦x≦Nの範囲で、log(x)のグラフとx軸の間の面積となる
xが整数の時の値x幅1の短冊を考えれば
log(1)+log(2)+..+log(N-1)
< ∫[1:N]{log(x)}dx <
log(2)+log(3)+..+log(N)
また対数の和の公式 log(a)+log(b)=log(a*b)より
log(1)+log(2)+..+log(N-1) = log((N-1)!)
log(2)+log(3)+..+log(N) = log(N!)
∫[1:N]{log(x)}dx
は、部分積分公式を使って
∫f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) -∫f'(x)g(x)dx
=[x*log(x)][1:N]-∫[1:N]{x*(1/x)}dx
=N*log(N)-(N-1)
=N*(log(N)-1))+1
よって
log((N-1)!) < N*(log(N)-1)) + 1 <log(N!)
ここで、log((N-1)!) と log(N!) の差は、log(N)の短冊一つだけであり、Nが非常に大きければ総和に比べて無視できるほど小さい。
log((N-1)!) ~ log(N!)
log(N!)~N*(log(N)-1)
(最後の+1もNに比べて小さいので無視)
が近似的に成り立つ
※場合の数の対数にスターリングの公式を適用
log(N!/(N0!+N1!+Nj!))~N*log(N)-∑[0:j]{Nj*log(Nj)}
◆常用対数
底が10の対数。ブリックス(英)考案
log(10)N = log(10)(a * 10^n) = n+log(10)a = n+α
n:指標、α:仮数
例)
log(10)261 = log(10)(2.61 * 10^2) = 2 * log(10)2.61
※1以上10未満の数aの常用対数が分かれば、正数Nの常用対数が求められる。⇒常用対数表
掛け算を足し算で、割り算を引き算で計算できる。
累乗根は掛け算で計算できる。
log(10)√2=log(10)2^(1/2)=(1/2)log(10)2=0.1505
log(10)x = 0.1505 となる数を常用対数表からもとめれば1.41…となる。
※log(10)Nの指標がnのとき、
N≧0Nは(n+1)桁の数
N<0Nは小数第(-n)位に0でない数が初めて現れる。
例)3^1000は何桁の数か
log(10)3^1000 = 1000*log(10)3 = 477 + 0.1
よって478桁
※底の変換公式により、底が10でない対数も常用対数に直して演算できる。
※一定の倍率で増加、減少するときの回数を求める。
例)0.8^x≦0.05 になるx
常用対数をとれば
log(10) 0.8^x ≦ log(10)0.05
x * (log(10)2^3+log(10)10^-1) ≦ log(10)5+log(10)10^-2
これを常用対数表から計算すると、
-0.0970*x≦-1.3010
x≧13.41…
xが整数の場合、14回繰り返すことが分かる。
※半減期
例)炭素14の半減期5730年。
1年にp倍の割合で減少するとすると
p^5730 = 1/2 … p = (1/2)^(1/5730)
炭素14が3分の1のこっていたとすると、
P^x = 1/3
(1/2)^(x/5730) = 1/3
常用対数をとれば
(x/5730)*log(10)(1/2) = log(10)(1/3)
これより
x≒9082
◆自然対数の底 e
e = 2.718281828459045…
(log(a)X)’ = lim[h->0]{log(a)(X+h)-log(a)(X)}/h
= lim[h->0]{log(a)((X+h)/X)}/h
= lim[h->0](1/X)(x/h){log(a)(1+h/X)}
= (1/X)lim[h->0]{log(a)(1+h/X)^(X/h)}
(X/h)=kとおくとh->0のとき,k->∞
(log(a)X)’
= (1/X)lim[k->∞]{log(a)(1+k)^k}
(1+1/k)^kのkを限りなく大きくするとある一定の数に近づく
これが e (2.718281…)
よって
(log(a)X)’ = (1/X)log(a)e
a=eのとき
(log(e)X)’ = (1/X)log(e)e = 1/X
※eを底とする指数関数e^xを微分するとe^xになる。
(e^x)’ = e^x
※e = lim[n->∞](1+1/n)^n
定義2
階乗の逆数の和。第11項までで小数点以下7桁がでる。
e = 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4! …
◎符号関数
sgn(x) =
+1 (x>0のとき)
-1 (x<0のとき)
∫[-∞,∞](e^iωx / ω)dω
= iπsgn(x)
◎ガンマ関数
◎ベータ関数
◎微分
標語:微分可能性とは「近似的に一次式として表される」ことである⇒このように解釈すると多変数の関数の微分可能性も容易に理解できる
◆微分係数
_◇定義
※平均変化率
(yの変化量)/ (xの変化量)
= ( f(a+h) – f(a) ) / h
⇒極限をとると、微分係数
関数 y=f(x)が x=a を含む区間で定義されているとする
有限の極限
lim[h->0]{(f(a+h)-f(a))/h}= f'(a)
が存在すれば、関数f(x)は x=a で微分可能であるといい、この極限値を関数f(x)のx=aにおける微分係数という
※「限りなく近づける」と「等しくする」は違う
→「分母=0」となるか否かがポイント
分母=0となるような場合では
bをaに近づけるといってbにaを代入してはならない
分母≠0ならば、bにaを代入してしまってもよい。
※関数 f(x) が開区間 I の各点で微分可能ならば f(x)は区間Ⅰで微分可能であるという。
….._◇幾何学的意味
_◇幾何学的意味
f'(a)は、x=aにおけるy=f(x)の接線の傾きを表す。
※曲線C上の1定点Pと動点Qを結ぶ直線PQと、Pをとおる定直線PTとが与えられたとする。点Qが曲線Cに沿ってPに限りなく近づくとき、α=∠QPTがα→0となるならば、定直線PTを点Pにおける曲線Cの接線という。
⇒微分可能な関数 y=f(x)のグラフCでは、点Pにおける接線が存在して、その傾きはf'(x)に等しい。
点P(x,y)におけるグラフCの接線の方程式は
Y-y=f'(x)*(X-x)
※(X,Y):流通座標:曲線上の点の座標
⇒接線PTとx軸のなす角をθとすれば
f'(x)=tanθ
_◇⊿fとdf
ともに微小変化だが
⊿f 関数f(x)の変化量
f(x)の変化量 f(a+⊿x)-f(a)
df 関数f(x)の微分
微分係数f'(a)による変化量
f'(a)*⊿x
※⊿xが0に近づけば⊿fとdfの差は無くなる
⇒テイラー展開により、⊿fとdfの差は⊿xの2次以降の項であり、⊿xが0に近づくと急速に0になる
※独立変数xについては、常に
⊿x = dx
よって
df=f'(a)⊿x
df=f'(a)dx
と同じ
_◇微分
dyを xにおける関数 y=f(x) の微分という。
|h|が十分小さいとき、dyは f(x+h)-f(x)を近似する
※一般に y=f(x) の微分 dy=f'(x)*hを
dy = f'(x)*dx
と書き表せる。よって、
dy
--=f’(x)
dx
※微分係数 f'(x)は、yの微分dyをxの微分dxで割った商になっており、f'(x)を微分商ともいう。
※x=aにおけるdy/dxの値を表したいときは
(dy)
(--)
(dx)x=a
という記号を用いる。
◆導関数
関数 y=f(x) が区間Ⅰで微分可能であるとき、Ⅰの各点xにf(x)の微分係数を対応させる関数を考え、これを関数
y=f(x)の導関数という
dy/dx, df(x)/dx, y’, f'(x)
などの記号であらわす。
※関数 y=f(x) からその導関数 f'(x)を求めることを
f(x)をxで微分するという。
_◇定義
関数y=f(x)の導関数(y’)とは、
f'(x) = lim[h->0]{( f(x+h) – f(x) ) / h }
※微分とは、導関数を求めることである。
例)y=x^2 の微分
(x^2)’ = lim[h->0]{( (x+h)^2 – x^2 ) / h }
= lim[h->0]{ (x^2 +2xh+h^2 – x^2 ) / h }
= lim[h->0]{ h(2x+h) / h }
= lim[h->0]{ 2x+h }
証明)
(d/dx)x^a ≡ lim[⊿x->0]{(x+⊿x)^a-x^a}/⊿x
分子の第1項を展開すると
x^aが引き算で消える
残った部分を⊿xで割ると第2項から後ろには
⊿xがかかっており⊿x→0の極限でゼロ
のこったのはa*x^(a-1)
(証明終わり)
_◇導関数の公式
①y=c(定数)
y’=0
②y = x^n
y’ = n * x^(n-1)
③y = sin(x)
y’ = cos(x)
④y = cos(x)
y’ = -sin(x)
⑤y = e^x
y’ = e^x
⑥y = log(x)
y’ = 1/x
※ f(x)とg(x)が微分可能ならば
⑦ (f+g)’ = f’ + g’
y = f(x) + g(x) ならば
y’ = f'(x) + g'(x)
⑧ (f-g)’ = f’ – g’
⑨ (f*g)’ = f’* g + f * g’
(d/dx)(f*g)=(df/dx)*g + f*(dg/dx)
※関数の積の微分
{f(x)*g(x)}’=f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)]
⑩ (k*g)’ = k * g’ (kは定数)
y = k * f(x) ならば
y’ = k * f'(x)
⑪(f/g)’ = (f’* g – f * g’)/g^2 (g≠0)
⑫(1/g)’ =  -g’/g^2 (g≠0)
⑬(a*f+b*g)’ = a*f’ + b*g’
例題)
(1) 4*x^3+2*x+1
(4*x^3+2*x+1)’
=12*x^2+2
(2) (e^x)*sin(x)
((e^x)*sin(x))’
=(e^x)*sin(x)+(e^x)*cos(x)
=(e^x)*(sin(x)+cos(x))
(3) log(x)/x
(log(x)/x)’
=((1/x) * x – log(x) * 1)/x^2
=(1 – log(x))/x^2
_◇陰関数の導関数
①両辺そのままxで微分し dy/dxを含む式を作る
②dy/dxについてとく
例)
x^2+y^2=a^2
d(x^2)/dx+d(y^2)/dx=d(a^2)/dx
2*x + {d(y^2)/dy}*{dy/dx}=0
2*x + 2*y *(dy/dx)=0
dy/dx=-x/y
_◇逆関数の微分
関数 y=f(x) が強い意味で1価単調で、微分可能であり、かつ dy/dx≠0ならば、その逆関数 x=f^-1(y)も微分可能であって
dx/dy = 1 / (dy/dx)
_◇媒介変数表示の微分
x=f(t), y=g(t)で、x=f(t)の逆関数 t=f^(-1)(x)が存在し、いずれも微分可能であって、dx/dt≠0であれば
dy/dx = (dy/dt) / (dx/dt)
_◇関数の微分可能性と連続性の関係の定理
関数 y=f(x) が x=a で微分可能ならば、x=a で連続である。
※逆は必ずしも成り立たない。関数 f(x)が x=aで連続であっても f(x)は x=a で微分可能であるとは限らない。
_◇高次導関数
関数f(x)をn回微分して得られる関数を、f(x)の第n次導関数といい、f^(n)(x)と表す。
あるいは
d^n y
-----
dx^n
※関数y=f(x)がn次導関数をもては、f(x)はn回微分可能であるという。
※x^nは、n回微分するとxが消え、n!になる
※sinXは4回微分すると元に戻る。
※高次導関数
導関数 f'(x)
2階導関数 f”(x)
3階導関数 f”'(x)
例)
f(x)=sin(2*x+3)
f'(x)=2*cos(2*x+3)
f”(x)=2*2*(-sin(2*x+3))
=-4*sin(2*x+3)
例)
g(x)=e^(4*x+5)
g'(x)=4*e^(4*x+5)
g”(x)=16*e^(4*x+5)
_◇極値と変曲点
①一次導関数の+、-、0を判別することで、元の関数の傾きおよび極大、極小を求めることができる。
②二次導関数の正負を判別することで元の関数が
上に凸y”<0
下に凸y”>0
を判定できる。
※関数の凹凸が変化する点を変曲点という。
⇒その点における接線が曲線自体と交差する点
⇒2次導関数の符号が変化する点
⇒1次導関数が極値をとる点。
_◇導関数に関する定理
①ロールの定理
関数 y=f(x)が閉区間[a,b]で連続で、かつ開区間(a,b)で微分可能で、さらにf(a)=f(b)ならば、f'(c)=0, a<c<bとなる実数 c が少なくとも1つ存在する
②平均値の定理
関数 y=f(x)が閉区間[a,b]で連続で、開区間(a,b)で微分可能であれば
f'(c)=f(b)-f(a)/(b-a), a<c<b
となる実数cが少なくとも1つある。したがって
f(b)=f(a)+f'(a+θ*(b-a))*(b-a), 0<θ<1
となる実数θが少なくとも1つある
③定理
関数 y=f(x)が[a,b]で連続、(a,b)で微分可能であり、(a,b)のすべての点xで f'(x)=0ならば、f(x)は定数である。
④定理
2つの関数 f(x)とg(x)が[a,b]で連続、(a,b)で微分可能であり、(a,b)のすべての点x f'(x)=g'(x)ならば、[a,b]のすべての点xで f(x)=g(x)+c である。ここにcはある定数である。
⑤定理
関数 y=f(x)が[a,b]で連続で、(a,b)で微分可能であるとする。もしも(a,b)でつねに f'(x)>0 (f'(x)<0)ならば、f(x)は[a,b]で強い意味での増加(減少)関数である。
_◇テイラー級数展開
x=0で展開すればマクローリン展開
f(x)=f(0)+(f'(0)/1!)*x+(f”(0)/2!)*x^2+…
_◇テイラーの定理
関数 y=f(x)が[a,b]を含むある区間で n-1 回微分可能で、f^(n-1)(x)が連続であるとする。さらに y=f(x)が(a,b)でn回微分可能であれば
f(b)=f(a)+f'(a)*(b-a)
+(f”(a)/2!)*(b-a)^2+…
+(f^(n-1)(a)/(n-1)!)*(b-a)^(n-1)+Rn
ここで
Rn=(f^(n)(c)/n!)*(b-a)^n=(f^(n)(a+θ*(b-a))/n!)*(b-a)^n
a<c<b, 0<θ<1
となるような実数 c と θが存在する。
※Rnをラグランジュの剰余という
※等式の右辺をf(x)の点 x=a におけるテイラー展開という。
_◇マクローリン展開
※マクローリンの定理
テイラーの定理で a=0, b=xとおけば得られる
関数 y=f(x) が x=0 を含むある区間Ⅰでn回微分可能ならば、この区間Ⅰで
f(x)=f(0) + f'(0)*x + (f”(0)/2!)*x^2 + …
 + (f^(n-1)(0)/(n-1)!)*x^(n-1)
 + (f^n(θx)/n!)*x^n
0<θ<1
等式の右辺をf(x)のx=0におけるマクローリン展開という
①e^x = 1 + x/1! + x^2/2! + …
      + (x^(n-1)/(n-1)!) + (x^n/n!)*e^(θx)
②(1+x)^α=1 + (α,1)*x + …
 + (α,n-1)*x^(n-1) + (α,n)*(1+θ*x)^(α-n)*x^n
ただし
(α,n)=α(α-1)…(α-(n-1))/n!
1/(1+x)^2=1-2*x+3*x^2-4*x^3+5*x^4+…
③1/(1-x)=1+x+x^2+…
④√(1+x)=1+(1/2)*x^2-(1/((2^2)*2!))*x^2+…
⑤sin(x)=x-(1/3!)*x^3+(1/5!)*x^5-(1/7!)*x7+…
+{(-1)^(m+1)/(2m-1)!}*x^(2m-1)+…
⑥log(1+x)=x-(1/2)*x^2+(1/3)*x^3+…
+{(-1)^(n-2)/(n-1)}*x^(n-1)+…
⑦log(x)=2*{(x-1)/(x+1)+(1/3)*(x-1)^3/(x+1)^3+…}
※べき級数の項も参照
_◇関数の増減、極大極小・凹凸
◆合成関数の導関数
y=f(u), u=g(x)があるとき、合成関数 f(g(x)) におけるその導関数は、
{f(g(x))}’ = f'(u)g'(x)
※f(u),g(x)はそれぞれ微分可能であること
dy dy dz
--=--*--
dx dz dx
例)
y=sin(2x)
y’を求める
u=2*xとおけば、
u’=2
y=sin(u)
y’=d sin(u)/du * du/dx = cos(u)*2 = 2*cos(2*x)
※合成関数を○で記述する記法
f(x)=2*x+3
g(X)=sin(X)
(g○f)(x)=sin(2*x+3)
⇒(f○g)(x)=2*sin(x)+3
(g○f)'(x)=g'(X)*f'(x)
=cos(X)*2
=2*cos(2*x+3)
例)
e^(4*x+5)
f(x)=4*x+5
g(X)=e^X
f'(x)=4, g'(X)=e^X
e^(4*x+5)’=e^X * 4 = 4*e^(4*x+5)
◆三角関数の微分
① sin x の微分
y’ = lim[h->0]{ (sin(x+h)-sin x) / h }
差から積への公式
sinα-sinβ = 2*cos((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
を適用してまとめると
y’ = lim[h->0]{(cos(x+(1/2)h)*sin(1/2)x) / (1/2)h}
※三角関数の極限値
lim[h->0]{ sinθ/θ } = 1
よりsin(1/2)x) / (1/2)hは1に近づくので
y’ = cos x
② cos x
(cos x)’ = -sin x
③ tan x
sec^2(x)
※cot(x) -cosec^2(x)
④ y=asin(x)
つまり x=sin(y)
逆関数の微分定理より
dx/dy = 1/(dy/dx)なので
dx/dy = cos(y)だから
dy/dx = 1/cos(y)
ここで、y=asin(x)は主値であり、
cos(y)=sqrt(1-sin^2(y))=sqrt(1-x^2)
よって
dy/dx = 1/sqrt(1-x^2)
⑤y=asin(x)
y’=-1/sqrt(1-x^2)
⑥y=atan(x)
y’=1/(1+x^2)
◆対数関数の微分
(log(a) x)’ = lim[h->0] (log(a)(x+h)-log(a)x)/h
対数の性質から差を商に変換し、
=lim[h->0] (log(a)((x+h)/x))/h
x/hでまとめられるように変形すると
1/h = 1/x * x/h
(x+h)/h = (1 + h/x)
かつ k*log M = log M^k であるから
=(1/x) * lim[h->0] log(a) (a+h/x)^x/h
x/hをkとして書き直すと
(log(a) x)’ = (1/x) * lim[k->∞]log(a)(1+1/k)^k
_◇自然対数の底 e
(1+1/k)^kのkを限りなく大きくしたときに近づく数。
eにより対数関数の微分を書き直すと
(log(a)x)’ = (1/x) * log(a) e
底aをeとすれば log(e) e = 1なので
(log(e)x)’ = 1/x
※対数関数(自然対数)は、引数がxのときに傾きが1/xになる。
◆指数関数の微分
(a^x)’ = a^x * log a
特にa=eの場合、(e^x)’ = e^x となり、何回微分しても変わらないことになる。
(d/dx) e^ax = a*e^ax
◆全微分と偏微分
_◇偏微分
2つ以上の変数がある関数(多変数関数)を1つの変数だけに注目して他の変数は定数とみなして微分すること
⇒1変数関数とみなし、着目した変数の導関数を考える
⇒偏導関数
※xについての偏微分記号
 ∂
—–
 ∂x
⇒∂は「ラウンド」と読む
df(x,y)
——– =
  dt
∂f(x,y)   dx    ∂f(x,y)   dy
———・— + ———・—
  ∂x      dt     ∂y       dt
※2変数関数f(x,y)の場合、一般にf(x,y)のグラフは3次元空間の中の曲面となる。ある点Pでf(x,y)のグラフに接している平面を接平面という
⇒ある点の接線の傾きを考えようとすると
x方向の傾き
y方向の傾き
が考えられる。x方向の導関数をxの偏導関数、y方向の導関数をyの偏導関数という。
例)f(x,y)=3*x^2+5*x*y+7*y^2
 ∂
—–f(x,y)=6*x+5*y
 ∂x
 ∂
—–f(x,y)=5*x+14*y
 ∂y
例) g(x,y)=e^(3*x+5*y)
 ∂ g(x,y)/  ∂x = 3*e^(3*x+5*y)
 ∂ g(x,y)/  ∂y = 5*e^(3*x+5*y)
例) h(x,y)=sin(3*x+5*y)
 ∂ h(x,y)/  ∂x =3*cos(3*x+5*y)
 ∂ h(x,y)/  ∂y =5*cos(3*x+5*y)
_◇高階偏導関数
 組み合わせにより階数が増えるとどんどん増えていく
 例)
 f(x,y)
(∂/∂x)f(x,y)
(∂^2/∂x^2)f(x,y)
(∂^2/∂y∂x)f(x,y)
(∂/∂y)f(x,y)
(∂^2/∂x∂y)f(x,y)
(∂^2/∂y^2)f(x,y)
※多くのf(x,y)では、
(∂^2/∂y∂x)f(x,y)=(∂^2/∂x∂y)f(x,y)
_◇合成関数の偏導関数
①合成関数 t→(x,y)→z
における導関数は
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
dt ∂x dt ∂y dt
例)
x=cos(t)
y=sin(t)
f(x,y)=log(2*x+3*y)
dx/dt=-sin(t)
dy/dt=cos(t)
∂f/∂x=2/(2*x+3*y)
∂f/∂y=3/(2*x+3*y)
したがって合成関数の導関数は
df/dt=(∂f/∂x)*(dx/dt)+(∂f/∂y)*(dy/dt)
={2/(2*x+3*y)}*(-sin(t))+{3/(2*x+3*y)}*cos(t)
={-2*sin(t)+3*cos(t)}/{2*cos(t)+3*sin(t)}
②合成関数 (u,v)→(x,y)→z
における偏導関数
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
du ∂x du ∂y du
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
dv ∂x dv ∂y dv
例)
x=2*u+3*v
y=u*v
z=f(x,y)=e^(x*y)
∂x/∂u=2
∂y/∂u=v
∂x/∂v=3
∂y/∂v=u
∂f/∂x=y*e^(x*y)
∂f/∂y=x*e^(x*y)
∂f/∂u=(∂f/∂x)*(∂x/∂u)+(∂f/∂y)*(∂y/∂u)
=(4*u*v+3*v^2)*e^{(2u+3v)*u*v}
∂f/∂v=(∂f/∂x)*(∂x/∂v)+(∂f/∂y)*(∂y/∂v)
=(6*u*v+2*u^2)*e^{(2u+3v)*u*v}
_◇偏微分と極値条件
多変数関数f(x,y,u,…)が極値をとる条件:
それぞれの変数についての偏導関数の値がすべて0
_◇ラグランジュの未定係数法
例)2変数x,yにg(x,y)=0という条件があるときに、
関数f(x,y)の極値を求める場合
L=f(x,y)-λ*g(x,y) λは定数
とおき、このLの極値を求めれば、条件下のf(x,y)の極値が求まる
⇒n変数について成立する
例の場合、Lの極値は
∂L/∂x=0, ∂L/∂y=0
のとき、
この式とg(x,y)=0から、x, y, λを求め
もとまったx, yをf(x,y)に代入することでf(x,y)の極値が求まる
_◇全微分
Total derivative
二次元の領域 D 上定義された実数値関数 z = f(x, y) が x, y に関して偏微分可能であれば、各成分方向への瞬間の増分はその偏微分で与えられる。
z の増分 dz は、大抵の場合(たとえば偏導関数が全て連続なとき)には
dz = (∂z/∂x)dx + (∂z/∂y)dy
と表せる。そしてこのようにあらわせるとき微分可能であるといい、各変数方向への偏微分と無限小の積を全ての変数について加えたものを z の全微分という。
全微分は曲面 z = f(x, y) の点 (x, y) における一次近似を記述するものであり、接平面を表す。
例)f(x,y)=x*y
dz = (∂(x*y)/∂x)dx + (∂(x*y)/∂y)dy
   = y*dx + x*dy
※2変数関数の全微分
df=(∂f/∂x)*⊿x + (∂f/∂y)*⊿y
xとyは独立変数なので⊿x=dx, ⊿y=dy
df=(∂f/∂x)*dx + (∂f/∂y)*dy
⇒1変数関数の df=(df/dx)dx と同じ
◆複素数の微分
実数と虚数を別々に微分する
d/dx (e^iax)
= d/dx (cos(ax) + i*sin(ax))
= d/dx (cos(ax) + i*(d/dx)*(sin(ax))
= -a*sin(ax) + i*a*cos(ax)
= i*a*(i*sin(ax) + cos(ax))
= i*a*e^iax
_◇複素指数関数の微分
--e^(iaθ)
dθ
※aとθは実数
⇒複素数の微分では、実数と虚数を別々に微分する
⇒オイラーの公式をつかって上の式を虚実に分ける
--e^(iaθ)
dθ
 d
=--(cos(aθ)+i*sin(aθ))
 dθ
=-a*sin(aθ)+i*a*cos(aθ)
=i*a(i*sin(aθ)+cos(aθ))
=i*a*e^(iaθ)
◎積分
◆不定積分
※微分方程式を解くための算法でもある
_◇定義
一般に、F'(x)=f(x)のとき
∫f(x)dx = F(x) + C
C:積分定数
_◇公式
①k*f(x), kは定数のとき
∫k*f(x)dx = k * ∫f(x)dx
②f(x)±g(x)
∫{f(x)±g(x)} dx = ∫f(x)dx ± ∫g(x)dx
③f(x)g'(x) … 部分積分公式
∫f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) -∫f'(x)g(x)dx
④f(x), x=g(t)のとき … 置換積分
integration by substitution
∫f(x) dx = ∫f{g(t)}g'(t)dt
⑤x^n
∫x^ndx = (1/n+1)x^(n+1) + C
n≠-1
例)
∫1 dx = x + C
∫x dx = (1/2)x^2 + C
⑥x^-1
∫x^-1 dx = log x + C
⑦e^x
∫e^x dx = e^x + C
∫e^ax dx = (1/a)*e^ax + C
∫e^-x dx = -e^-x + C
⑥sin x
-cos x
⑦cos x
sin x
⑧∫{f'(x)/f(x)}dx=log{f(x)}
_◇部分積分公式の導出
※関数の積の微分
{f(x)*g(x)}’=f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)
これを a から b まで積分すると
∫[a:b]{f(x)*g(x)}’dx
=∫[a:b]{f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)}dx
よって
[f(x)*g(x)][a:b]
=∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx +∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
これを移項すれば
∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
=[f(x)*g(x)][a:b]-∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx
_◇積分の変数変換
∫f(x)dx=∫{f(x(t))*x'(t)}dt
◆定積分
※もともと面積、体積を求めるための算法であった
aを下端、bを上端とするとき
∫[a b]f(x)dx = [F(x)]a b =F(b) – F(a)
例)
∫[1 3]x^2 dx = [(1/3)x^3]1 3=(1/3)3^3 – (1/3)1^3
=26/3
∫[0 π]sin x dx = [-cos x]0 π=-cosπ-(-cos0)
=-(-1)-(-1)=2
◆異常積分
関数 f(x)が積分領域内に不連続点がある場合
積分領域が有界閉領域にない場合
⇒広義積分または異常積分
_◇特異点をもつ異常積分
※f(x)が点x=aで定義されないか、定義されてもその点で不連続のとき、点x=aをf(x)の特異点という
区間[a, b]に有限個の特異点をもつとき
(i) 区間[a,b]がx=bで不連続(a≦x<b)のとき、
εを十分小さい整数として
∫[a,b]f(x)dx = lim[ε→+0]∫[a,b-ε]f(x)dx
が存在するならば、その極限値を∫[a,b]f(x)dxの値とする
(ii)x=aで不連続の場合も(i)と同様
(iii)x=a,bで不連続の場合はεおよびε’の両方について極限をとる
(iv)特異点cがa,bの間にあるとき
aからc-εとc+ε’からbに2区間に分割して考える
_◇無限積分
∫[a,∞]f(x)dx
∫[-∞,b]f(x)dx
∫[-∞,∞]f(x)dx
※定積分の範囲が∞を含むもの
⇒かつ発散しないもの
∫[a,∞]f(x)dx=lim[s→+∞]∫[a,s]f(x)dx
∫[-∞,b]f(x)dx=lim[s→-∞]∫[s,b]f(x)dx
….._◇無限積分公式
_◇無限積分公式
∫[0,+∞]e^(-x^2)*cos(2αx)dx
=(√π/2)e^(-α^2)
◆コンボリューション
convolution たたみこみ
数列に対応する母関数を考えたとき、数列をたたみこんだ数列に対応する母関数は元の母関数を掛けて得られた関数になる。
An = A0, A1, … , An, … <-> A(x) = ∑(k=0:∞)Akx^k
Bn = B0, B1, … , Bn, … <-> B(x) = ∑(k=0:∞)Bkx^k
An * Bn = ∑(k=0:n)AkBn-k <-> A(x)B(x) = ∑(n=0:∞)∑(k=0:n)AkBn-kx^n
畳み込み積分
g(t) * f(t) = ∫(0:t)f(t-τ)g(τ)dτ
自己相関関数(関数fの
f(t)*f(t)
相互相関関数(関数fとgの
f(t)*g(t)
コンボリューションの物理的意義は、時間領域上での線形フィルター操作に相当し、例えばリモートセンシング画像へのフィルタリング処理の場合などに適用される。
◎微分方程式
求めるべき未知関数の微分を含む方程式を「微分方程式」と呼ぶ。
求めるべき未知関数に関する情報が、未知関数及びその微分の間の関係式によって与えられれているものを微分方程式という。
※連続量の変化を記述する方程式
⇒離散的な量の変化には適さないが、離散量でも数が膨大で、連続量とみなして微分方程式を適用することがしばしば許される。
※常微分方程式
※偏微分方程式
※微分方程式において、その中にある導関数の最高階数を、その微分方程式の階数という
※微分方程式をみたす関数のことを、その微分方程式の解という。
※n階の常微分方程式で、任意定数をn個持っている解を一般解という
※任意定数にある特別の値を代入して求まる解を特殊解という。
※常微分方程式を解くとき、xのある値におけるyの条件をその微分方程式の境界条件という
◆常微分方程式
ordinary differential equation
※1独立変数の微分方程式
※yがxの1変数関数のとき、x,yおよびyの導関数y’,y”,…
を含んだ方程式を常微分方程式という
※ただひとつの独立変数に依存する未知関数 u(x) に対する微分方程式は
適当な関数Fを用いて
      du      d^m u
F(x,u,—,…,—–)=0
      dx      dx^m
という形にかける
⇒未知関数の微分の最高階数mを微分方程式の階数(order)とよぶ
⇒関数 u(x) が微分方程式の解(solution)であるとは、これを上の式に代入したとき、u(x)の定義域上いたるところで等式が満足されることをいう。
_◇常微分方程式の正規形
normal form
du
— = f(x, u)
dx
※多くの微分方程式は、新たな未知関数を導入することで、正規形の連立方程式と同値とできる
⇒最高階の導関数について解けた形になっているもの m階常微分方程式の正規形
例)最高階の導関数について解けた場合
d^m u           du        d^(m-1) u
—– = g(x, u, –, … , ———-)
dx^m            dx        dx^(m-1)
ここで
v_0=u
      du
v_1 = —
      dx
      d^(m-1) u
v_m-1=———
      dx^(m-1)
これをベクトル値の微分方程式とすればよい
例)単振動の方程式
d^2 x
—– = -k^2 * x (kは定数)
dt^2
⇒以下の正規形に帰着できる
dx
— = y
dt
dy
— = – k^2 * x
dt
_◇懸垂線の方程式
d^2y      dy
――――=√{1+(――)^2}
dx^2      dx
_◇ロジスティック方程式
du
–=u*(K-u)
dt
特異解が存在しないが、下位を単一の一般解の表現式では表せない。
⇒u≡Kとu≡0のときで別表現となる
_◇Ricatti型方程式
◆偏微分方程式
partial differential equation
※未知関数が複数個の独立変数をもつ場合、微分方程式は未知関数の偏導関数を含む
zがxとyの2変数関数のとき、x,y,zおよびzの偏導関数zx,zy,
zxx,zxy,…を含んだ方程式を偏微分方程式という
_◇Laplace方程式
真空中の電位ポテンシャル
∂^2Φ ∂^2Φ ∂^2Φ
――――+――――+――――=0
∂x^2 ∂x^2 ∂x^2
◆線形と非線形微分方程式
※線形方程式 linear
未知関数およびその導関数についての1次式で表される微分方程式
例)
du
–=a(x)*u
dx
d^2x
—-=-k*x
dt^2
※非線形方程式 nonlinear
線形以外のもの
例)
dx
–=x^2
dt
◆線形斉次微分方程式
homogeneous linear differential equation
すべての項が未知関数を含むか0であるような線形微分方程式
⇒あるいは「同次方程式」
※線形非斉次微分方程式
inhomogeneous linear differential equation
例)
d
–f(x) + f(x) = 0 は斉次
dx
d
–f(x) + f(x) = α は非斉次
dx
※特徴
①方程式の解s(x)が得られた場合、その定数倍 c*s(x)も解となる
②解の線形結合も解となる
◆全微分型常微分方程式
※陰関数(implicit function)
◆解の幾何学的意味
_◇解曲線
solution curve
※軌道(orbit, trajectory)
_◇自励系
autonomous system
_◇方向場
direction field
_◇ベクトル場
vector field
※積分曲線
integral curve
※磁場の積分曲線=磁力線
※流体の速度場の積分曲線=流線
_◇包絡線
envelope
※Clairaut型微分方程式
◆導関数の表記法
関数 u=u(x) が与えられたときの導関数
(Leibniz流)
du  d^2 u        d^m u
–, —–, … , —–
dx  dx^2         dx^m
⇒差分商 ⊿u/⊿xや⊿u/⊿t において変化量⊿xや⊿tに無限小の値を代入したものが微分であると捉える考え方
u’, u”, … , u^(m)
※独立変数が時間変数 t である場合の t に関する微分(Newton流記法)
.  ..
u, u, …
◆スカラーとベクトル
未知関数や、方程式Fはスカラー値である場合もベクトル値である場合もある
⇒ベクトル値関数の場合、微分は成分毎に行う
※未知関数u(x)がベクトル値の場合、求めるべき未知関数の個数は実質上複数個
⇒未知関数の個数に見合った数の方程式を揃える必要がある。
一般にn=l
※単独方程式
n=l=1のとき
※系(system) または連立方程式
n,l≧2
◆初等解法
微分方程式の解を具体的な式で書き表すことを、微分方程式を解くという
⇒不定積分をとる操作を含む有限回の式変形
⇒求積法 (quadrature)
⇒初等解法とは通常、求積法をさす
初等解法以外
※Fourie変換、Laplace変換は求積法には含まれない
※級数展開を用いる解法
※摂動論
_◇任意定数、一般解、特解
※任意定数C
例)単独常微分方程式 y’=yの解
y = C*e^x
※単独のm階常微分方程式の解は m個の任意定数を含む形で表される
⇒方程式を変形して最終的に未知関数の微分を含まない形にもち込むまでにm回の積分操作を必要とするため。
※未知関数がベクトル値、階数は1階
未知関数は実質n個⇒それぞれの微分により、解は通常n個の任意定数を含む
例)2階常微分方程式 y”=a*yの解
a>0のとき y = C1 * e^(√(a)*x) + C2 * e^(√(a)*x)
a=0のとき y = C1 + C2*x
a<0のとき y = C1 * cos(√(-a)*x) + C2 * cos(√(-a)*x)
※一般解
未知関数の個数に見合った数の任意定数を含む形で書き表された解
※特解(特殊解)
一般解に現れる任意定数に特定の値を代入して得られる個々の解
※特異解、異常解
⇒方程式によっては一般解に含まれない解が現れる
_◇解析的に解ける形
①変数分離型
     dy
g(y)*--=f(x)
     dx
②同次型
dy   y
--=f(-)
dx   x
⇒w=y/xとおくと、変数分離型に帰着できる
dw
–={g(w)-w}/x
dx
③1階線形微分方程式
y’+P(x)*y=Q(x)
④ベルヌーイ型
y’+R(x)*y=S(x)*y^k
⑤完全微分方程式
dy   P(x,y)
--=- ------
dx   Q(x、y)
⑥一階高次微分方程式
(y’)^n+P1(x,y)*(y’)^n-1+…+Pn-1(x,y)*y’+Pn(x,y)=0
⑦定数係数2階線形(同次)微分方程式
y”+a*y’+b*y=0
⑧定数係数2階線形(非同次)微分方程式
y”+a*y’+b*y=Q(x)
⑨オイラー型
x^(n)*y'(n)+a1*x^(n-1)*y'(n-1)+…
+a_n-1*x^(n-1)*y’+an*y=Q(x)
_◇変数分離形
未知関数を y=y(x)とするとき
dy
–=g(x)*h(y)
dx
の形の微分方程式を変数分離型という
dy
—-=g(x)dx
h(y)
と形式的に変形し両辺を積分することで解ける
∫{1/h(y)}dy=∫{g(x)}dx
※上ではh(y)=0となる解は除外されているが、初期値問題の解の一意性定理によりそのような解は定数に限る。
※1階の線形常微分方程式(斉次)
dy
–=a(x)*y
dx
y≠0として
∫(1/y)dy = ∫a(x)dx
∴ log|y|=A(x)+C (Cは積分定数、A(x)はa(x)の原始関数の一つ)
∴ y = C*e^A(x)
y≡0も解であることをかんがえても
一般解は上のようになる。aが定数のときには特に
y = C*e^(a*x)
y’=f(x)*g(y)
     dy
g(y)*--=f(x)
     dx
⇒標準形とする
g(y)*dy=f(x)*dx
⇒両辺を積分する
∫g(y)*dy=∫f(x)*dx+C
⇒G(y)=F(x)+C
Cは任意定数
⇒求まった式を変形し、きれいな形にして一般解とする
※境界条件y(a)=bを満たす特殊解を求めたいときは
求めた一般解にx=a, y=bを代入し、定数Cを決定して特殊解を求める
_◇公式
y’+a*y=0
y=C*e^(-a*x)
x*y’=1
x*(dy/dx)=1⇒dy=(1/x)*dx
y*y’=1
y*(dy/dx)=1⇒y*dy=dx
y*y’=e^x
y*(dy/dx)=e^x⇒y*dy=(e^x)*dx
y^2*y’=log(x)
y^2(dy/dx)=log(x)⇒(y^2)*dy=log(x)*dx
(x+1)*y’=y
(x+1)*(dy/dx)=y⇒(1/y)dy=(1/(x+1))*dx
◆初期値問題
initial value problem
※初期条件
initial conditon
_◇系の時間発展
_◇解の延長
extension
※延長不能解
※局所解(local solution)
※大域解(global solution)
_◇解の爆発
blow up
◆境界値問題
boundary value problem
※境界条件
boundary condition
◎変分法
ある値を最小(あるいは最大)にする関数そのものを求める。

☆参考資料

◆カオスが現れる数列
X0 = c (0 < c < 1)
X{n+1} = d * x{n} * (1 – x{n})
d=2のときは、単調に0.5に近づく。
d=3.3では振動
dが4に近づくとカオスが現れる。
※図形的には上に凸なy=d*x(1-x)なる2次関数とy=xなる1次関数について、x軸から2次関数のyをもとめ、それをy=xでx軸に投影し、それを繰り返す操作になる。
◆開平法
例)
27.31
+—————-
2 |745.8361
2 |4
— |—
47 |345
 7 |329
— |——
543 | 1683
  3 | 1629
—— |——–
5461 |   5461
   1 |   5461
|——–
|      0
◆開立法
例)
   8 .  3   2
+—————-
8 8*8 |575 .930 368
8 8*8 |
8 8*8  (*8) |512
+—— |—
24 192 | 63  930
——- |—
243 19200 |
(243*3=)729|
+—-|
3 19929 (*3)| 59  787
3 (3*3=)9 |
+—————|—————-
249 (729+19929+9=)2066700
+—————|—————-
2492 2066700 |  4  143 368
(2492*2=)4984
——–|
2071684 (*2)|  4  143 368
+—————-
0
◆和算 塵劫紀による命数法
10^4 万
10^8 億
10^12 兆
10^16 京
10^20 垓 ガイ
10^24 禾予 ジョ
10^28 穰 ジョウ
10^32 溝 コウ
10^36 澗 カン
10^40 正 セイ
10^44 載 サイ
10^48 極 ゴク
10^52 恒河沙 ゴウガシャ
10^56 阿僧祇 アソウギ
10^60 那由他 ナユタ
10^64 不可思議 フカシギ
10^68 無量大数 ムリョウタイスウ
10^-1 分
10^-2 厘
10^-3 毛
10^-4 絲
10^-5 忽
10^-6 微
10^-7 繊
10^-8 沙
10^-9 塵
10^-10 挨
10^-11 渺 ビョウ
10^-12 漠 バク
10^-13 模糊 モコ
10^-14 逡巡 シュンジュン
10^-15 須臾 シュユ
10^-16 瞬息 シュンソク
10^-17 弾指 ダンシ
10^-18 刹那 セツナ
10^-19 六徳 リットク
10^-20 虚空 コクウ
10^-21 清浄 セイジョウ
◆googol
1の後に0を100個並べた数
※googleは、googolのスペルを間違えたスポンサーの小切手から名づけられたらしい
◆平均律音階
ドからシまで半音入れて12音階
ドから次のドまで1オクターブ、振動数2倍
r^12 = 2
半音上がると振動数は
r = 2^(1/12) ≒ 1.06倍になる
◆記号
_◇∀ すべての
例)
∀n∈NFor all n in N (Nは集合)
<すべてのNの要素nについて>
_◇∃ 存在する
例)
∃n∈Nn exists in N (Nは集合)
<nが存在する>
※この後に、式を書き、
such that …
_◇∂/∂x 偏微分
複数の独立変数を持つ関数において、∂/∂xは他の変数は定数とみなしてxだけで微分すること
_◇∇:ベクトル微分演算子(ナブラ)
∇=(∂/∂x,∂/∂y,∂/∂z)
  =ex*∂/∂x + ey*∂/∂y + ez*∂/∂z
_◇≡ 合同、もしくは定義する
左辺を右辺で定義(definition)する
_◇[]ガウス記号
任意の実数xに対して、xを越えない最大の整数を[x]であらわす。
例)
[3.14] = 3
[3] = 3
[0] = 0
[-1] = -1
[-1.5] = -2
※小数第2位以下切捨て
[10x]/10
※端数切り上げ
-[-x]
※4捨五入
[x + 0.5] あるいは [2x] – [x]
_◇∨ 離接、選言(論理和) disjunction
_◇∧ 合接、連言(論理積) conjunction
_◇¬ 否定
_◇⇒ ならば
_◇⇔ 論理的同値(真偽が一致すること)
_◇Landauの記号
変数xの2つの関数 g(x), h(x)について、xがある値αに近づくときの大小関係を表すのに、g=O(h), g=o(h)という記号を使う。
g=O(h)とは、x→αのとき、適当な正数Aを選べば
|g/h|<A
が成り立つことである
g=o(h)とは、任意の正数εに対して
|g/h|<ε
が成り立つことである。|g/h|→0を意味する。
※g=o(h)ならば、g=O(h)である。
※αは±∞でよい
O:同じオーダー
o:ずっと小さい
◆アルゴリズム
ある結果を得るための手順、有限回で必ず終わる。
_◇n個の数値を比較の繰り返しで小さい順に並べ替えるとき、どんな方法でも平均比較回数はlog(2)n!より小さくできない。
◆チェビシェフ多項式
http://blog.livedoor.jp/seven_triton/archives/51179507.html
①任意の自然数nに対して,cosnθはcosθのn次多項式で表されることが予想される。
②x=cosθとすると、多項式は各次数に対して1つずつ存在し,n次のチェビシェフ多項式をTn(x)と表す。
Tn+1(x) = 2 x Tn(x) - Tn-1(x)
T1(x) = x
T0(x) = 1
※厳密には,まずはこの式のxがcosθと表される場合,つまり-1≦x≦1の場合が示され,その後で,両辺多項式なので全ての実数xに対して成立することが分かる
③n次のチェビシェフ多項式は,nが偶数のときはxの偶数次の項しかなく,またnが奇数のときにはxの奇数次の項しかない
nが偶数ならTn(x)は偶関数
nが奇数ならTn(x)は奇関数
④全係数の和が1。チェビシェフ多項式にx=1を代入すると1になる
Tn(1)=1
◆π
≒3.14159265
(BY Daisuke Takahashi)
012345678901の現れる場所
小数点以下1兆7815億1406万7534桁目から
小数点以下2兆3641億9038万6673桁目から
271828182845
小数点以下1兆160億6541万9627桁目から
小数点以下1兆5359億1732万8677桁目から
◆e
≒2.71828183

☆文献

図解雑学 指数対数 佐藤敏明 ナツメ社 2006/10/24
数学ガール 結城浩 ソフトバンククリエイティブ 2007
BB 素数入門 芹沢正三 講談社 2002/10/20
算数・数学百科 数学教育協議会 日本評論社 2005/8/10
http://www.nikonet.or.jp/spring/aporo_3/aporo_3.htm
数学超入門 郡山彬 日本実業出版社 2001/01/25
パラドックスの哲学 1993/04/10, R.M.セインズフリー,一ノ瀬訳 勁草書房
http://hawaii.naist.jp/~shige-o/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%C6%FE%CC%
ヒルベルト空間論 保江邦夫 日本評論社 2000/05/15
極限の深み 志賀浩二 岩波書店 1994/4/5
岩波講座 応用数学14 Fourier-Laplace解析 木村英紀 1993/9/8
Javaで作って学ぶ暗号技術 神永,山田,渡邊 森北出版 2008/5/12
岩波講座 応用数学9 論理と計算 萩谷昌己
ケプラー予想 ジョージ・G・スピーロ 青木訳 新潮社 2005/4/30
素数に憑かれた人たち ジョン・ダービーシャー 日経BP社 2004/8/30 1版1刷
よく分かる量子力学 2005/12/04 夏梅,二間瀬 ナツメ社
ポアンカレの贈り物 南、永瀬 講談社 2001/3/20
天才数学者はこう解いた、こう生きた 木村俊一 2001/11/10 講談社
微分と積分–その思想と方法 1970/2/28 遠山啓 日本評論社
http://homepage2.nifty.com/masema/transposed_matrix.html
応用物理の数理 1994/10/28 今井功 岩波書店
科学技術者のための基礎数学 修正20版 昭和54/1/10 矢野健太郎,石原繁 裳華房
新装版 オイラーの贈り物 -人類の至宝e^iπ=-1を学ぶ- 吉田武 2010/1/23 東海大学出版会
線形代数 近江著 柳下監修 2005/3/22 ナツメ社
金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式 1999/9/27 石村貞夫、園子著 東京図書
穴埋め式 線形代数 らくらくワークブック 藤田・石井 2003/12/10 講談社
プログラミングのための線形代数 2004/10/25 平岡、堀著 オーム社
物理のための数学 1983/3/14 和達三樹 岩波書店
カオスとアクシデントを操る数学 バガー、スターバード著、熊谷、松井訳 早川書房
数は科学の言葉 2007/2/19 ダンティク著メイザー編水谷訳 日経BP
岩波講座 応用数学 4 微分方程式Ⅰ 1993/12/22 俣野博 岩波書店
道具としての微分方程式 2013/4/1 斉藤恭一 講談社