Math_algebra

☆代数
albebra

◎整式と方程式

◆整式

_◇整式
多項式と単項式をあわせたもの

※積を構成しているひとつひとつの式を因数または因子という。

※和を構成しているひとつひとつの式を項という。

_◇因数定理
多項式f(x)が因数x-aを持つための必要十分条件は f(a)=0 である。

_◇等式
2つの式を、等号で結んだもの

_◇方程式、恒等式、定義式
①方程式  ある数に対してなりたつ
②恒等式  全ての数に対してなりたつ
③定義式  式を見やすくするために名前を付ける

※数学で「公式」と言えば恒等式を指す場合が多い。物理で「公式」といえば方程式を指す場合が多い。

_◇部分分数分解
partial fraction decomposition

有理式(多項式の商で表される式)に対し、その有理式の分母が多項式の積で表されるとき、その有理式を多項式と複数の有理式(ただし、分子の次数は分母の次数より小さい)の和で表すこと

◆一次方程式の解の公式
ax = b (a ≒ 0)

_  x = b / a

◆不等式
inequality

不等号(inequality sign)を含む式

_◇三角不等式
triangle inequality

|a+b| ≦ |a| + |b|
※a*b ≧ 0のときに等号が成り立つ

|a| – |b| ≦ |a-b|

◆連立1次方程式の解の公式
ax + by = c
dx + ey = f
_  ae – bd ≒ 0 のとき
_
x = (ce – bf) / (ae – bd)
y = (af – cd) / (ae – bd)

◆2次方程式の解の公式
ax^2 + bx + c = 0 (a ≒ 0)

x = (-b ±√(b^2-4ac)) / 2a

※判別式 Discriminant
D=b^2-4ac
_  D>0    2つの実数根
_  D=0    重根
_  D<0    2つの虚数根

◆3次方程式の解の公式

※x^3+y^3+z^3-3*x*y*zの因数分解
x^3+y^3+z^3-3*x*y*z
=(x+y+z)*(x^2+y^2+z^2-x*y-y*z-z*z)

※タルターリャの公式(カルダノの公式)
x^3 + p*x + q = 0

上の方程式の左辺がその上の因数分解の左辺と一致するように定数y,zを定めるならば、
_  -3*y*z = p
_  y^3+z^3 = q
とおけばよい

ところで2次方程式 a*x^2+b*x+c=0の解α、βと係数の関係
_  α+β=-(b/a)
_  α*β=c/a
がある。
-3*y*z = p式を-3で割ってから3乗して
_  y^3*z^3=-(p^3/27)
とすれば、y^3,z^3をα、βとみて解と係数の関係を適用できるので、y^3, z^3は

(q±√(q^2+(4/27)*p^3))/2

となり、y, zはこの3乗根をとって
√[3]{(q±√(q^2+(4/27)*p^3))/2}

最初の因数分解からx=-y-zが解となるようにy,zを置いたのであるから
x=
-√[3]{(q-√(q^2+(4/27)*p^3))/2}
-√[3]{(q+√(q^2+(4/27)*p^3))/2}
=
√[3]{(-(q/2)+√((q/2)^2+(p/3)^3))}
+√[3]{(-(q/2)-√((q/2)^2+(p/3)^3))}

※カルダノ変換
カルダノは以下のカルダノ変換によりどんな3次方程式も2次の項がないタルターリャの公式が適応できる形に変換できることを示した

x^3+a*x^2+b*x+c=0
なる3次方程式に対して
X=x+(a/3)と変数変換すれば2次の項が消える
X^3+(b-(a^2/3)*X+((2/27)*a^3-(a*b/3)+c)

⇒一般のn次方程式に対しても
_  x=X-a/n
と変数変換すれば、n-1次の項を消すことができる

◆4次方程式の解の公式

※フェラーリの4次方程式

◆置換
並べ替えるしかた、あるいは順列を表す関数のことを置換といい、特に、2つの数を入れ替えそれ以外は変えない置換のことを互換という。

どんな置換でも、いくつかの互換の合成関数で表すことができる。

※偶置換、奇置換

◆代数的解法

「代数的解法によって解き得るのは、4次方程式まで」

※アーベル/ガロアによる方程式論→群論

◆代数学の基本定理
n次の代数方程式は、複素数の範囲でn個の根を持つ

◆剰余定理とn次方程式の解の個数

_◇剰余定理

_◇n次方程式の解の個数

◆ジラールの定理

_◇基本対称式
いくつかの数があったとする。その数全ての和を1次基本対称式と呼ぶ。次に2つずつペアを作って掛け合わせ、すべての組み合わせで作った積を足し合わせたものを2次基本対称式とよぶ。以下、数の個数だけ。。。

例)4つの数 a, b, c, dについての基本対称式

1次対称式
_  a+b+c+d
2次対称式
_  a*b+a*c+a*d+b*c+b*d+c*d
3次対称式
_  a*b*c+a*b*d+a*c*d+b*c*d
4次対称式
_  a*b*c*d

_◇ジラールの定理
最高次数の係数が1のn次方程式があったとする。
解がn個あって、その解のn個の解の1次基本対称式を-1倍したものが方程式のn-1次の係数、2次基本対称式の1倍がn-2次の係数、3次基本対称式の-1倍したものがn-3次の係数、以下同様に続く、ただし1倍と-1倍とが交互に出てくる

◎数列
ある規則に従って並んだ数の列

※あるいは

無限個の実数 a_1, a_2,…,a_n,…の列を数列といい、これを {a_n}で表す
⇒番号nを限りなく大きくするにしたがって、a_nの値が限りなく一定の値 a に近づくとき、数列{a_n}はaに収束するという。
このとき a を数列 {a_n}の極限値という

◆等差数列
前の数に同じ数(公差)を足して得られる数列。
欧州では 算術数列 (arithmetic progression)という。

初項 a, 交差 d

一般項 an = a + (n-1)*d

初項から第n項までの和Sn

Sn = (1/2) * n * (n+1)

※単利法
元金a,利率r,期間nの元利合計
a(1+n*r)

◆等比数列
前の数に同じ数をかけて得られる数列

初項a,公比rの等比数列の一般項
An = A * r^(n-1)

_◇等比数列の和
初項a,公比rの等比数列の初項から第n項までの和をSnとする。
Sn = a + ar + ar^2 … + ar^(n-1)
r倍すると
rSn = ar + ar^2 + ar^3 … + ar^n

rSn – Sn = (r-1)Sn = -a + ar^n
よって
r≠1のとき
_  Sn = (a*(1-r^n))/(1-r)

r=1のとき
_  Sn = n * a

※複利法
元金a,利率r,期間nの元利合計
a(1+r)^n

◆階差数列
ある数列において、その隣りあう各項の差を項とする数列をもとの数列の階差数列という。
_  bn = an+1 – an
※階差数列の階差をとっていくことでより高次の関係が分かることがある。
※{an}の第k階差数列が定数列となる場合、anはnのk次式で表すことができる。

◆フィボナッチ数列
_  1 1 2 3 5 8 13 21 34 …
※自然界に現れる。植物の葉の配列、オウム貝の螺旋
※隣り合う数の比は(ほぼ)黄金比になる。
⇒隣会う2項の比は1だけからなる連分数となる
1+1/(1+1/(1+1/…))

※連続する任意の3つのフィボナッチ数
_  真ん中の数字の二乗とその前後の数の積との差は1になる

※ゼロ以外の任意の2つの初期値から2つの項を足し合わせて次の項をつくるというルールでフィボナッチ数列のような再帰数列が作れる。数列の値そのものは異なるが、連続する2項の比は黄金比に近づく
⇒リュカ数列 2 1 3 4 7 11 …

_◇フィボナッチ数列の一般項Fn

Fn = 1/√5(((1+√5)/2)^n-((1-√5)/2)^n)

◆下方階乗冪
xn_ = (x-0)(x-1)(x-2)…(x-(n-1))

n! = nn_

nCk = nk_ / kk_

◆数列の収束

定義:数列{a_n}に対して、ある数αが存在して、次の条件が成り立つとき、a_nはn→∞のときαに収束するという

_  どんな小さい正数εをとっても、ある番号Nが存在して
_  n≧N ならば |a_n-α|<ε

※そしてこのことを lim[n→∞]a_n=α と表す。

_◇数列の極限
定理:数列{a_n},{b_n}がともに収束するとき、次のことが成り立つ。
(i) lim a_n + lim b_n = lim(a_n + b_n)
(ii) lim a_n – lim b_n = lim(a_n – b_n)
(iii) lim a_n * lim b_n = lim(a_n*b_n)
(iv) b_n≠0 (n=1,2,…) lim b_n ≠ 0のとき
lim a_n / lim b_n = lim (a_n/b_n)

_◇コーシーの定理
数列{an}が、ある数αに収束する必要十分条件は、どんな小さい正数εをとっても、ある番号Nを適当にとると、次の条件(C)が成り立つことである。

(C) m,n≧N ならば |am-an|<ε

_◇上極限と下極限

cn = sup{an,an+1,an+2,…}

とおくと、c1≧c2≧c3≧… となる。このとき

~lim an = lim[n→∞]cn

と定義する。

◆二項定理

(a+b)^n
= a^n + n*a^(n-1)*b + … +
{n*(n-1)*…*(n-r+1)/r!}*a^(n-r)*b^r
+ … + n*a*b^(n-1) + b^n

◎級数

数列{an}の項を順に和の記号+で結んだもの

a1 + a2 + a3 + … + a4 + …

定義:記号 a1 + a2 + a3 + … + a4 + … または記号
Σ[n=1:∞]anを、数列{an}から得られる級数という。

※第n部分和
Sn = Σ[k=1;n] ak = a1 + a2 + … + an

※無限数列{Sn}がsに収束するとき、その無限級数は収束するといい、sを級数の和という。

定義:数列{Sn}が、n→∞のときσに収束するとき、級数Σ[n=1:∞]anは、和σをもつといい
_  Σ[n=1:∞]an=σ
と表す。このとき級数Σ[n=1:∞]anはσに収束するともいう。また収束しない級数は発散するという。

例)
Σ[n=1;∞](1/2)^n = 1
Σ[n=0;∞](1/n!) = e
Σ[n=1;∞](1/n^2) = π/6

例)発散する
lim[k→∞]Σ[n=1;k](1/n) = ∞
※1350年頃に発見された。

◆等差級数

a+(a+d)+(a+2*d)+…+{a+(n-1)*d}
=n*{2*a+(n-1)*d}/2

◆等比級数(幾何級数)
等比級数。等比数列の各項を+で結んだもの

初項 a, 公比 r

一般項  an = a * r^(n-1)

r≠1のとき部分和は、

Σ[k=1;n]ak=a*(r^n-1)/(r-1)

|r|<1のとき、収束し、級数の和は、
_  a / (1-r)

定理:等比数列Σ[n=1:∞]a*r^(n-1)は
(i)a=0のときには収束しΣ[n=1:∞]a*r^(n-1)=0
(ii)a≠0のときには、|r|<1のときに限って収束し _  Σ[n=1:∞]a*r^(n-1)=a/(1-r) ◆調和級数 Σ[k=1:∞]1/k = 1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + … ※調和級数は正の無限大に発散することが知られている。 _◇調和級数の発散の証明 ニコル・オレーム(1323頃-1382)による証明 1/3+1/4 > 1/2
1/5+1/6+1/7+1/8 > 1/2

2項の和、4項の和、8項の和というように級数は無限個の区画にわけることができ、それぞれの区画は1/2より大きい。
よって総和は無限大となる

_◇オイラーの定数
オイラーは調和級数の増え方が極限において対数関数に等しいことを証明した。すなわち、調和級数と対数関数の差はある定数に収束する。それがオイラー定数である。
<オイラー定数は有理数か無理数か判明していない>

γ≡lim[n->∞](Σ[k=1:n](1/k) – ln(n))

※およそ0.57721 56649 01532 86060…

◆ライプニッツ級数
円周率を表すもっとも簡単な公式だが、極めて収束が遅いので実際の計算には使えない。

π/4 = 1 – 1/3 + 1/5 – 1/7 + 1/9 – 1/11 + …

◆級数の収束性
級数Σ[n=1:∞]a_nが収束するかどうかという問題は、数列
s_1=a_1, s_2=a_1+a_2, … , s_n=a_1+a_2+…+a_n, …
が収束するかという問題と同じなので、数列の収束の判定条件が、そのまま使える。

定理A: a_n≧0 (n=1,2,…)で、ある定数Kをとると
_  a_1+a_2+…+a_n < K が常に成り立つならば、Σ[n=1:∞]a_nは収束する。 ※一般に、a_n≧0のとき、級数Σ[n=1:∞]を正項級数という。※(上に)有界な正項級数は収束する。 定理B: コーシーの定理 級数Σ[n=1:∞]a_nが収束するための必要十分条件は、どんな正数εをとっても、ある番号Nがあって _  m>n≧N ならば |a_n+1 + a_n+2 + … + a_m| < ε
が成り立つことである。

定理(比較定理)
2つの正項級数Σ[n=1:∞]a_n, Σ[n=1:∞]b_nに対して
_  a_n ≦ b_n (n=1,2,…)
が成り立つとする。このとき
(i)Σ[n=1:∞]b_nが収束すれば、Σ[n=1:∞]a_nも収束する
(ii)Σ[n=1:∞]a_nが発散すれば, Σ[n=1:∞]b_nも発散する

定理(等比級数との比較定理)
正項級数Σ[n=1:∞]a_nに対し、適当な定数Aと、0<r<1をみたすrに対し
_  a_n ≦ A * r^n (n=1,2,…)
が成り立つならば、Σ[n=1:∞]a_nは収束する。

◆べき級数

_◇べき級数展開
関数をx^nの無限個の和であらわすこと。

※三角関数のべき級数展開
①sin

sin X = X-(1/3!)X^3+(1/5!)X^5-…
_  + ((-1)^n/(2n+1)!)x^(2n+1) +…

※ sin X = a0 + a1*X + a2*X^2 + a3*X^3 +…
とおいて、X=0代入、a0=1を求め、以後
_  両辺をXで微分、X=0とおいてanを決定
_  (sinを何回微分しても現れるのはsinとcosのみ)
という操作を繰り返すことでべき級数の係数を求めることができる。

②cos

cos X = X-(1/2!)X^2+(1/4!)X^4-…
_  + ((-1)^n/(2n)!)x^2n +…

※sinと同様な方法で求まる。

※指数関数 e^X のべき級数展開

e^X = 1 + X + (1/2!)X^2 + (1/3!)X^3 +…
_  + (1/n!)X^n +…

※sinと同様な方法で求まる。

_◇テイラー展開
区間Iにおいてx=aを中心とするテイラー級数に展開できるf(x)は「x=aで解析的である」と言われる

f(x) = a + b*x + c*x^2 + e*x^3 + …

e^x = 1 + x/1! + x^2/2! + x^3/3! + …

sin(x) = x – x^3/3! + x^5/5! – …

cos(x) = 1 – x^2/2! + x^4/4! – …

※xをi*xで置き換え、e^ixをsin,cosと比べると、オイラーの式
_  e^ix = cos(x) + i*sin(x)
を得る。

_◇マクローリン展開
f(x)のx=0を中心とする(x=0における)テイラー展開・テイラー級数を、「f(x)のマクローリン展開・マクローリン級数」と呼ぶ。

log(1+x)=x-x2/2+x3/3-…+(-1)n-1 xn/n+…
_  (|x|<1)

_◇母関数
数列に対応づけられらた関数。xのべき乗の無限和(ベキ級数)として定義される。

◆ゼータ関数
オイラーにより定義され、リーマンにより名づけられた
_        1   1   1
ζ(s)=1+---+---+---+。。。
_       2^s 3^s 4^s

ζ(s)=Σ[n]n^-s

ζ(k)=Σ[n=1:∞](1/n^k)

kが偶数の場合
ζ(2)=π^2/6
ζ(4)=π^4/90
ζ(6)=π^6/945
ζ(8)=π^8/9450

kが奇数の場合
ζ(3)…近年ようやく無理数であることが判明した

※sが1に非常に近いとき、ゼータ関数は 1/(s-1) のように振舞う。

_◇バーゼル問題

次の無限級数の閉じた形を求めよ。
_   1   1   1
1+---+---+---+。。。
_  2^2 3^2 4^2

※ヤーコプ・ベルヌーイにより問題が立てられた

※ある数を正確に表したものを「閉じた形」という
→近似値は「開いた形」である

※1735 レオンハルト・オイラーにより解かれた
π^2
---
_ 6
→オイラーにより、Nが偶数であれば
_   1   1   1
1+---+---+---+。。。
_  2^N 3^N 4^N
はもとまり

N=4、π^4/90
N=6、π^6/945

奇数の場合の閉じた形は知られていない。N=3が無理数であることは1978に証明された。

_◇リーマン予想
複素数全体(s≠1)へゼータ関数を拡張した場合、ζ(s) の自明でない零点 s は、全て実部が 1/2 の直線上に存在する。

_◇黄金の鍵の式
ζ関数について、エラトステネスの篩を適用していくと

ζ(s) = Π[p](1-p^-s)^-1

「sのゼータは、1マイナス、pのマイナスs乗の、さらにマイナス1乗をとり、すべての素数について掛けた積に等しい」
※小文字のpはすべてのプライムナンバについてと読む

Σ[n]n^-s = Π[p](1-p^-s)^-1

◆級数展開
与えられた関数を有限個または無限個の既知の関数の和として表現することを級数展開と呼ぶ

_◇Taylor展開

f(t)=f(a) + (f'(a)/1!)*(t-a) + (f”(a)/2!)*(t-a)^2 +…

◆Fourier級数

Fourier級数は、有限区間で定義された関数をその定義区間の整数分の一を周期として持つ三角関数で展開したものである。
※Fourier級数展開自体が本質的な物理的意味、工学的意味を持つ場合が少なくない

べき級数ではx^nの無限個の和として関数を表したが、sin(nx), cos(nx)の無限個の和で表すのがフーリエ級数展開である。

※不連続な曲線や、角ばった曲線でも表現できるが、ディクリレが展開可能な条件があることを示した。

_◇原理

x-y座標系で点(a,b)についてのサインとコサイン

X軸と原点から点(a,b)へ引いた直線の成す角θ
原点から点(a,b)への距離r=√(a^2+b^2)
つかうと

sinθ≡b/r

cosθ≡a/r

※sinθは原点を中心に点対称な奇関数
_  f(θ)=-f(-θ)
⇒奇関数は、積分範囲の始点と終点が原点から等距離で、かつ符号が異なるときには、その積分は必ず0となる

_  ∫[-L:L]{f(θ)}dθ=0
⇒sinθは、θ=n*π(nは整数)のところで必ず0

※cosθは原点を中心にして左右で線対称となる偶関数
_  f(θ)=f(-θ)
⇒cosθは、θ=n*π+π/2(nは整数)のところで必ず0

※sinを微分するとcos, cosを微分すると-sin

_◇三角関数の直交性

∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ
(m,nは整数で、m≠nの場合)

sin(x)*sin(y)=(1/2){cos(x-y)-cos(x+y)}
を使って書き直すと
∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ
=(1/2)∫[-π:π]{cos(mθ-nθ)-cos(mθ+nθ)}dθ
=(1/2*(m-n))[sin((m-n)θ)][-π:π]
-(1/2*(m+n))[sin((m+n)θ)][-π:π]

ここで, m,nは整数であるので、m-nも、m+nも整数
θ=-πでもθ=πでも値は0となる。

よって
∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ=0
(m,nは整数で、m≠nの場合)

m=nの場合は、
sin(nθ)*sin(nθ)=(1/2){cos(nθ-nθ)-cos(nθ+nθ)}
=(1/2){cos(0)-cos(2nθ)}
=(1/2){1-cos(2nθ)}
なので

∫[-π:π]{sin(nθ)*sin(nθ)}dθ
=(1/2)∫[-π:π]{1-cos(2nθ)}dθ
=(1/2)[θ-sin(2nθ)/2n][-π:π]
θ=±πでsin(2nθ)=0なので
πとなる

クロネッカーのデルタを使い、2つをまとめると、
(1/π)∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ=δmn
(m,nは整数)
⇒積分範囲を[-π:π]から[0:2π]に変えても同じ

※積分が0になる性質を直交性という
⇒関数の場合の直交性とは、かけあわせて積分するとゼロになる場合をいう。

※コサインの直交性も同様に成り立つ
(1/π)∫[-π:π]{cos(mθ)*cos(nθ)}dθ=δmn
(m,nは整数)

※サインとコサインの直交性
∫[-π:π]{sin(mθ)*cos(nθ)}dθ

※偶関数と奇関数
奇関数×偶関数=奇関数
偶関数×偶関数=偶関数
奇関数×奇関数=偶関数

m,n 自然数の場合

sin(mθ)は、常に奇関数
cos(nθ)は、常に偶関数
なので、sin(mθ)*cos(nθ)は常に奇関数
よって、
∫[-π:π]{sin(mθ)*cos(nθ)}dθ=0
が成り立つ。
⇒sinとcosは常に直交する

※積分が1になることを「正規」と言い、このような関数のセットを正規直交系と呼ぶ。
⇒三角関数の場合
(1/√π)*sin(mθ)
(1/√π)*cos(nθ)
_    (m,nは整数)

_◇f(x)=x のフーリエ級数
原点対象なので、sin xのみの和で以下のように表すことを考える。

x = a0 + a1*sin x + a2*sin 2x + a3*sin 3x + …

x=0を代入するとa0=0

さらに両辺にsin xをかけ算する。

x*sin x = a1*sin x*sin x + a2*sin 2x*sin x + …

この両辺を-πからπまで積分する

左辺は、
∫[-π:π]x*sin x dx = 2π
右辺は、
∫[-π:π]sin x*sin x dx = π
∫[-π:π]sin nx*sin x dx = 0 (n≠1)
なので、a1=2となる。

以下、順次sin nxをかけ-πからπまで積分することで係数anが求まる。

_◇簡単化で重要な式
∫[-π:π]sin mx*sin nx dx
_  = π (n=m≠0)
_  = 0 (n≠m)
∫[-π:π]cos mx*cos nx dx
_  = π (n=m≠0)
_  = 0 (n≠m)
∫[-π:π]sin mx*cos nx dx = 0

_◇フーリエ級数の一般化
f(x)=a0/2 + Σ[n=1:∞](an*cos nx + bn*sin nx)

ここで

a0 = (1/π)*∫[0:2π]f(x)dx
an = (1/π)*∫[0:2π]f(x)*cos nx dx
bn = (1/π)*∫[0:2π]f(x)*sin nx dx
_  n=1,2,3…

※フーリエ級数の導出
係数an, bnが求まれば関数f(θ)はサインとコサインで表すことができる。

f(θ)=C+Σ[n=1:∞](an*cos nθ + bn*sin nθ)

の両辺にcosθをかけて-πからπまで積分してみる

∫[-π:π]f(θ)*cosθdθ
=a1*∫[-π:π]cosθ*cosθdθ+a2*∫[-π:π]cos2θ*cosθdθ+…
+b1*∫[-π:π]sinθ*cosθdθ+b2*∫[-π:π]sin2θ*cosθdθ+…
+C∫[-π:π]cosθdθ

⇒cosとcos, sinとsinでm≠nのときは直交
⇒cosとsinは常に直交
⇒∫[-π:π]cosθdθは0、∫[-π:π]sinθdθも0
よって a1の項だけが残る
⇒∫[-π:π]cosθ*cosθdθ=πなので

∫[-π:π]f(θ)*cosθdθ=a1*π

つまり

a1=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cosθdθ

同様にcos nθをかけて-πからπまで積分することで、anが求まり

an=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos nθdθ

さらに同様にsin nθをかけて-πからπまで積分することで、bnが求まり

bn=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin nθdθ

定数項 C については、

f(θ)=C+Σ[n=1:∞](an*cos nθ + bn*sin nθ)
をそのまま、-πからπまで積分することで、an,bnのかかるcos, sinの積分は-πからπまでの区間の積分であるので、すべて0となって消え、
∫[-π:π]f(θ)dθ=C∫[-π:π]dθ=2Cπ
より
C=(1/2π)∫[-π:π]f(θ)dθ

このCの2倍をa0とすれば一般化式となる

_◇フーリエ級数展開可能な関数
フーリエ級数展開:ある関数をフーリエ級数で表すこと

※フーリエ級数展開可能な条件
周期2πの関数f(θ)を区間-π≦θ≦πで、フーリエ展開できるのは、f(θ)が区分的になめらかな連続関数であること

⇒区分的になめらかな連続関数であるとき、f(θ)は区間-π≦θ≦πで∫可能

※区間a≦x≦bで連続な関数
_  一本の連続した線で表せる⇒積分可能

区間a≦x≦bで連続でない関数
_  無限大に発散する部分がある⇒積分可能でない

※曲線が有限個の箇所で不連続、しかし、無限に発散する部分は無い
⇒それぞれの小区間では発散せず連続⇒区分的に連続
⇒積分可能

※ある関数が、f(x)であらわされるとして、この関数の1階微分 df(x)/dx が、連続な関数であるとき、これをなめらかな関数という

※区分的になめらかな関数、「一階微分が区分的に連続な関数」

※区分的に連続でも、区分的になめらかな関数ではないケースがある
_  例)y=√|x|
_  x=0で一階微分が±無限大に発散する

※区分的になめらかな連続関数であれば、フーリエ級数に展開できる。不連続点では、フーリエ級数は、上下の真ん中の点に収束する。

_◇フーリエ級数例:ノコギリ波

f(θ)=θ、-π≦θ≦π

※範囲外では同じ関数が2π周期で繰り返されているものとする
⇒区分的になめらかな関数

係数 a_n を求める

a_n=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos(nθ)dθ
_  =(1/π)∫[-π:π]θ*cos(nθ)dθ
——————————————
θ*cos(nθ)は奇関数なので
——————————————
a_n=0

係数 b_n を求める

b_n=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin(nθ)dθ
_  =(1/π)∫[-π:π]θ*sin(nθ)dθ
——————————————
部分積分の公式:
∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
=[f(x)*g(x)][a:b]-∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx
より
f(θ)=θ
g(θ)=-cos(nθ)/nとする
_  g'(θ)=sin(nθ)
——————————————
=(1/π)[θ*{-cos(nθ)/n}][π:-π]
+(1/π)∫[-π:π]cos(nθ)/ndθ

=(1/nπ)(-π*cos(nπ)-π*cos(-nπ))
+(1/n^2*π)[sin(nθ)][-π:π]
——————————————
第2項の積分はnが自然数のときに0になる
第1項は、cosは偶関数なのでcos(nπ)=cos(-nπ)
——————————————
よって

b_n=-2*cos(n*π)/n
——————————————
nが偶数のとき、cos nπは1であり、奇数ならば-1
⇒cos nπ=(-1)^n
⇒-cos nπ=(-1)^(n+1)と書ける
——————————————
b_n={(-1)^(n+1)}*2/n

よって f(θ)=θのフーリエ級数は、

f(θ)=∑[n=1:∞](b_n*sin(nθ))
=2*sinθ-sin(2θ)+(2/3)*sin(3θ)-(1/2)*sin(4θ)+..

_◇フーリエ級数例:方形波
_  4      1      1
y=-(sinθ+-sin3θ+-sin5θ+。)
_  π      3      5
_  4∞   SⅠN(2n+1)θ
_ =-∑-------------
_  πn=0  2n+1

方形波となる
S(θ)={1  0<θ<π
_     {0  θ=-π、0、π
_     {-1 -π<θ<0

_◇フーリエ級数の周期性

sin(mθ)=sin(mθ+2nπ)

m、nは整数

※sin(mθ)の和で表されるフーリエ級数は2πの周期性を持つ

※1周期が-πからπの関数を扱うときは周期2πの関数に対応していることを忘れないこと

_◇複素フーリエ級数
オイラーの公式
e^inx=cos nx + i*sin nx
e^-inx=cos nx – i*sin nx
より、足すとcos、引くとsinが求められる

cos nx = (e^inx + e^-inx)/2
sin nx = (e^inx – e^-inx)/2i

これで一般化されたフーリエ級数のcosとsinを書き換える

f(θ)=a0/2+Σ[n=1:∞](an*cos nθ + bn*sin nθ)
=a0/2+Σ[n=1:∞](
((an-i*bn)/2)*e^(i*nθ) + ((an+i*bn)/2)*e^(-i*nθ)
)

※e^(-i*nθ)の項をa0/2の左にならべると

=…+{(a2+i*b2)/2}*e^(-i*2θ)
+{(a1+i*b1)/2}*e^(-i*θ)
+a0/2
+{(a1-i*b1)/2}*e^(i*θ)
+{(a2-i*b2)/2}*e^(i*θ)
+…

※係数の an, bnをnが負の場合にも拡張
コサインは偶関数で、サインは奇関数であるので
_  cos(nθ)=cos(-nθ)
_  sin(nθ)=-sin(-nθ)

an=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos nθdθ
=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos(-nθ)dθ=a_-n

bn=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin nθdθ
=-(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin(-nθ)dθ=-b_-n

※この拡張により
=…+{(a_-2-i*b_-2)/2}*e^(-i*2θ)
+{(a_-1-i*b_-1)/2}*e^(-i*θ)
+a0/2
+{(a1-i*b1)/2}*e^(i*θ)
+{(a2-i*b2)/2}*e^(i*θ)
+…

ここで
c_n≡(a_n – i*b_n)/2  (nは整数)
と定義すれば

f(x)=Σ[n=-∞:∞]C_n * e^(i*n*θ)

c_nを定義に従って計算すると

c_n=(1/2π)∫[-π:π]f(θ)*e^(-i*n*θ)dθ

_◇周期の拡張
周期2πのθから、周期2Lの変数xに変換する
_  -π≦θ≦π
へ変換
_  -L≦x≦L

_  x≡L*θ/π

f(θ)=f(π*x/L)=f~(x)

f~(x)=a_0/2+∑[n=1:∞]{a_n*cos(nπx/L)
+ b_n*sin(nπx/L)}

a_n, b_nを変数変換するために、置換積分を行う
_  dx/dθ=L/π
∴dx=(L/π)dθ

a_n=(1/π)∫[-π:π]{f(θ)*cos(nθ)}dθ
=(1/π)∫[-L:L]{f(πx/L)*cos(nπx/L)}(π/L)dx
=(1/L)∫[-L:L]{f~(x)*cos(nπx/L)}dx

b_n=(1/π)∫[-π:π]{f(θ)*sin(nθ)}dθ
=(1/π)∫[-L:L]{f(πx/L)*sin(nπx/L)}(π/L)dx
=(1/L)∫[-L:L]{f~(x)*sin(nπx/L)}dx

※複素フーリエ級数の場合

f~(x)=∑[-∞:∞]C_n*e^(inπx/L)

c_n=(1/2π)∫[-π:π]{f(θ)*e^(inθ)}dθ
=(1/2L)∫[-L:L]{f~(x)*e^(inπx/L)}dx

_◇フーリエ級数を使った微分方程式解法

LCR交流回路とその微分方程式

L*(d^2 Q / dt^2) + R(dQ/dt) + (1/C)Q = V(t)

Q,Vをフーリエ級数展開すれば、n番目の式は、

Qn(t)=Cn*e^inωt
Vn(t)=Dn*e^inωt
ここでωは角周波数

dQn/dt = inω*Cn*e^inωt
d^2Qn/dt^2 = -n^2*ω^2*Cn*e^inωt

(-n^2*ω^2*L^2+i*n*ω*R+1/C)Cn*e^inωt = Dn*e^inωt

Q(t)=Σ[n=-∞:∞]C/(1-n^2*ω^2*LC+inωRC)*e^inωt

_◇Dirichlet核(関数)
Dn(τ)=
sin((2N+1)*(π/T)*τ)
―――――――――――
T*sin(π/T)*τ

∫[-T/2:T/2] Dn(τ) dτ = 1

_◇有界変動な関数
各点でFourier級数の収束が保証されるための十分条件

区間[a,b]で有界変動な関数とは、[a,b]の任意の分割
_  a=t0<t1<…<tn=b
に対して
_  Σ[k=1:n] |x(t_k)-x(t_k-1)| < M を満足する変動の総和の上限M>0が存在する関数のことである

※x(t)が有界変動であればx(t)の不連続点はたかだか可算個
⇒第一種の不連続点

※t=cがx(t)の第1種の不連続点であるとは
_  x(c+0)=lim[h→0+] x(c+h)  右極限
_  x(c-0)=lim[h→0-] x(c-h)  左極限
が存在しそれらが異なる場合

_◇Dirichlet-Jordanの定理

x(t)は周期Tの周期関数、あるtの近傍で有界変動
このときxN(t)はN→∞で右極限と左極限の平均
_  xバー(t)=(1/2)*(x(t+0)+x(t-0))
に収束する

_◇Gibbs現象

不連続点の近傍で、収束が一様でなくなり、項の数を増やしても誤差のひろがりは減少するが誤差の大きさそのものは一定値以下にはならない現象。

「有限と無限の間のギャップが生み出した特異現象のひとつ」

_◇Riemann-Lebesgueの定理
x(t)は周期Tの周期関数で、区間[0,T]で可積分、
_  ∫[0:T]|x(t)|dt < ∞
とする。このときx(t)のFourier係数Cnは
_  Cn→0 (n→∞)
となる。

_◇Parsevalの等式
x(t)は周期Tの周期関数
Cnはx(t)のFourier係数

_  ∫[0:T]|x(t)|^2 dt = Σ[n=-∞:∞]|cn|^2

_◇Fourier級数の一般化
Hilbert空間における直交展開として一般的に定式化
⇒いわゆるFourier級数は一つの特殊な場合

Hilbert空間Xが与えられたとし、x,y∈Xの内積を(x,y)と書く。
Xから可算個の元{x_n}n=1:∞を選び

(x_i, x_j) = {  0  (i≠j)
_       {  1  (i=j)

が成立するとき、S={x_n}n=1:∞は、正規直交系であるという。

もし
_  (x, x_n) = 0  (n=1,2,…)
を満足するxが0以外にないならば、正規直交系S={x_n}n=1:∞は完全である、という。

x∈Xに対し
_  s_n = Σ[n=1:N](x, xn)xn … (1)
とおく。
_  ||x – s_n||^2 = ||x||^2 – Σ[n=1:N]|(x, xn)|^2
※Besselの不等式
_  Σ[n=1:N]|(x, xn)|^2≦||x||^2
⇒s_nがN→∞で収束することを意味する

(1)のN→∞での極限
_  s = Σ[n=1:∞](x, xn)xn
をxのFourier級数とよぶ。

◆フーリエ変換と逆変換
Fourier級数は有限区間で定義された関数またはその周期関数にその適用範囲が限られている。その制約を取り除き、もっと一般的な関数にFourier級数を拡張したのがFourier変換である。

例)周期的でない単一のパルス

_◇周期的な方形波のフーリエ級数からフーリエ変換へ

高さ1、幅l、周期2lの方形波f(x)

複素形式のフーリエ級数の係数Cn

Cn=(1/2l)∫[-l:l]f(x)(cos(nπx/l)-i*sin(nπx/l))dx

偶関数なのでsinの項は∫するとゼロとなる

Cn=(1/2l)∫[-l:l]f(x)(cos(nπx/l))dx

-(l/2)≦x≦(l/2)の範囲でf(x)=1, それ以外で0なので、積分範囲を狭めることができる
n≠0のとき
_  Cn=(1/nπ)sin(nπ/2)
n=0のとき
_  Cn=1/2

同様に方形波の間隔をlから3l(周期は4l)とひろげると
n≠0のとき
_  Cn=(1/nπ)sin(nπ/4)
n=0のとき
_  Cn=1/4

周期 2mlにおいては
n≠0のとき
_  Cn=(1/nπ)sin(nπ/2m)
n=0のとき
_  Cn=1/2m

※mが無限に多い場合は
_  ∑[n=-∞:∞]Cn=∫[-∞:∞]Cdn
がなりたつ

※周期mlの場合のフーリエ級数
_     ∞
f(x)=∑{C_n*e^(inπx/ml)}
_    n=-∞
nは整数、隣の点との距離は1、

mは極めて大きいので、nの変化にたいする
e^(inπx/ml)
の変化は極めてゆっくりなのでf(x)は
∫[-∞:∞]{C_n*e^(inπx/ml)}dn
と書き直せる

L=mlの場合のC_nは
C_n=(1/2ml)∫[-ml:ml]{f(x)*e^(inπx/ml)}dx

ここで
k≡nπ/ml
おいて変数をnからkに変換すると
dk/dn=π/ml
dn=(ml/π)dk

f(x)=∫[-∞:∞]{C_n*e^(ikx)*(ml/π)}dk
C_n=(1/2ml)∫[-ml:ml]{f(x)*e^(ikx)}dx

C_nの式をf(x)の式に代入すると

f(x)=(1/√(2π))*
∫[-∞:∞]{(1/√(2π))*∫[-ml:ml]{f(x)*e^(ikx)}dx
}*e^(ikx)dk

ここで単一のパルスを扱うにはm→∞とすればよい

f(x)=(1/√(2π))*
∫[-∞:∞]{
(1/√(2π))*∫[-∞:∞]{f(x)*e^(ikx)}dx
}*e^(ikx)dk

※単一パルスを表す関数にまで対応できるようにしたフーリエ展開に相当する

内側をフーリエ変換、外側をフーリエ逆変換と呼ぶ

_◇フーリエ変換と逆変換

※フーリエ変換
F[f(x)]=F(k)≡(1/√(2π))*∫[-∞:∞]{f(x)*e^(ikx)}dx

※フーリエ逆変換
F^-1[F(k)]=f(x)=(1/√(2π))*∫[-∞:∞]F(k)*e^(ikx)dk

⇒両方に(1/√(2π))をつけているが、フーリエ逆変換にまとめて(1/2π)をつける定義もある(分野による)

※フーリエ変換
F(ω)=∫[-∞:∞]f(t)e^-iωt dt

逆変換
f(t)=(1/2π)∫[-∞:∞]F(ω)e^iωt dω

_◇単一方形パルスのフーリエ変換

F(k)=(2ml/√(2π))C_n

の関係があるので、これに
_  Cn=(1/nπ)sin(nπ/2m)
を代入し、さらに変数nをkに変換、W≡l/2
と定義(パルス幅を2Wで定義する)

F(k)=√(2/π)*{sin(k*W)/k}

_◇指数関数のフーリエ変換
αが正の実数、x<0ではゼロとする。 f(x)   = e^(-α*x)  x≧0 _    = 0      x<0 α>0

※減衰を表す関数

※フーリエ変換の計算
F(k)=(1/√(2π))*∫[-∞:∞]{f(x)*e^(ikx)}dx
=(1/√(2π))*∫[0:∞]{e^(α+ik)x}dx
=(-1/√(2π))*[e^(α+ik)x/(α+ik)][0:∞]
α>0なので、x→∞のときe^(-αx)→0
=(1/√(2π))*(1/(α+ik))
=(1/√(2π))*(α-ik)/(α^2+k^2))

Re{F(k)}=(1/√(2π))*(α)/(α^2+k^2))
Im{F(k)}=(1/√(2π))*(-k)/(α^2+k^2))

(α)/(α^2+k^2)
_  変数kに対して左右対称の偶関数
_  ローレンツ型関数
_  面積はπに等しい

◆離散Fourier変換
計算機でx(t)のFourier変換を行うためには

①サンプリングによってx(t)を数列に変換する(離散化)
②定義域を有限にする(局所化)
③計算機の語長が有限である(量子化)

離散化され、局所化された関数に対してFourier変換を拡張したのが離散Fourier変換である。

_◇Shannon-染谷のサンプリング定理
x(t)のFourie変換X(ω)が、ある数Wより大きなωで0となるならば、X(t)は間隔T=π/Wのサンプル値から完全に再現できる。
⇒Wより大きな周波数成分を持たない信号は、π/Wの間隔でサンプリングをしても情報が失われない。

_◇高速Fourier変換
Fast Fourier Transform (FFT)

離散Fourier変換(DFT)を計算するにはN^2回の乗算が必要。Nが大きくなると計算時間膨大となる。

◆Laplace変換
Fourier変換がFourier級数の拡張であるとすれば、Laplace変換はFourier変換の拡張である。

Fourier変換でiω=sとおいた
_  X(s) = ∫[-∞:∞]x(t)*e^(-st)dt
をx(t)のLaplace変換と呼ぶ。

※Laplace変換が本格的に用いられたのは、Heavisideによって提案された演算子法を数学的に基礎づけるためである。

◆z変換
Laplace変換を離散化したのがz変換である。Laplace変換が線形微分方程式を代数的に解くのに用いられるように、z変換は線形差分方程式を代数的に解くのに用いられる。

◆ウエーブレット変換
基底関数としてウェーブレット関数を用いる周波数解析。フーリエ変換で失われる時間領域の情報を残すことができる。
※フーリエ変換では、サイン波、コサイン波という局在化していない波で表現するため、時系列情報は窓関数を乗ずることによる。
※これに対して、ウエーブレット変換では基底関数の拡大、縮小を行う。
※ウエーブレットにはメキシカンハット関数、変形ガウシアンなどがある。

_◇離散ウエーブレット変換

◎階乗

◆階乗
自然数nに対し、1からnまでの自然数の総乗を言う。これをn!と書く。

0! = 1 である。

_◇スターリングの公式
大きな数の階乗の値の近似値を得るための公式

N^N * e^-N * √(2π*N)

◆Πの定義式
Π([k=0;m] f(k)) = f(0)*f(1)*f(2)*…*f(m)
※Productの頭文字Pをギリシア文字の大文字Πにしただけ。
※パイと読む

n! = Π[i=1;n](i)

◆Γ関数
階乗の定義域を実数に拡張したもの(負の整数を除く複素数の範囲まで拡張される)

◎置換群

◆記法

①N、Z、Q、R、Cを順に自然数、整数、有理数、実数、複素数全体からなる集合とする。

②集合Aが集合Bの部分集合であることを
_  A⊆B
であらわす。特にAがBの真部分集合であることを
_  A⊂≠B
であらわす。

③空集合をΦであらわす

④集合Aが有限集合で、その元(要素)の個数がnのとき
_  |A|=n
であらわし、集合Aが無限集合のとき
_  |A|=∞
で表す。なお、集合の元(要素)を点ともいう。

⑤集合Sが互いに素な部分集合Ti(i∈I)の直和になっているとき、
_  S=Σ[i∈I]Ti
と書く。とくにIが有限集合{1,2,…,n}であるとき、
_  S=T1+T2+…+Tn
と書く。

⑥命題Pが成立すれば命題Qも成立することを
_  P⇒Q
であらわす。そして、命題Pと命題Qが同値であることを
_  P⇔Q
で表す。

⑦相違なるn個のものからr個を選ぶ場合の数
_  nCr
は、
_  (n)
_  (r)
であらわす。
※本来は一つの縦長のカッコ

⑧集合Aから集合Bへの写像fと集合Bから集合Cへの写像gが与えられているとき、fとgの合成写像を
_  fg
とあらわす。そしてAの元aのfによる像を
_  (a)f  あるいは  a^f
によって表す。このように定めることによって指数法則から連想できる
_  a^fg=(a^f)^g
がなりたつ。また、Aの部分集合⊿に対し、Bの部分集合
_  {(a)f|a∈⊿}

_  (⊿)f  あるいは  ⊿^f
によって表す。

⑨2つの整数aとbに対し、aがbの約数であることを
_  a|b
で表し、aとbの最大公約数を
_  (a,b)
で表す。また、a-bが自然数(正の整数)nの倍数のとき、
_  a≡b  (mod n)
で表す。aとbはnを法として合同であるという。

◆写像

※数学用語の「変換」には対等のものに移すというニュアンスがあるので、n次元空間からm次元空間など別の世界に移すものを変換というのは支障あり、写像と呼ぶ。

_◇単射
fを集合Aから集合Bへの写像とする。fがAからBへの単射であるとは、Aの相異なる任意の2元a,a’に対し(a)f≠(a’)fとなることである。

_◇全射
fがAからBへの全射であるとは、Bの任意の元bに対し(a)f=bとなるAの元aが存在することである。

_◇全単射
fが単射かつ全射のとき全単射という。

_◇逆写像
fがAからBへの全単射であるとき、Bの任意の元xに対し(y)f=xとなるAの元yを対応させる規則によって、BからAへの写像が定義される。この写像をfの逆写像といいf^-1によって表す。

_◇置換
集合ΩからΩ自身への全単射をΩ上の置換という

_◇線形写像
x, yは同じサイズのベクトル、cは数、f(x)の値はベクトルとしたとき

一般に f(x+y)=f(x)+f(y), f(c*x)=c*f(x) という性質を持つ写像fを線形写像と呼ぶ
⇒行列をかける形の写像は線形写像である
⇒任意の線形写像fは行列を掛けるという形でかならずかける

◆対称群

有限集合Ω上の任意の置換f,gに対し、f○gもΩ上の置換となる。すなわち、Ω上の置換全体からなる集合S^Ωにおいては、写像の合成に関する演算○が定義できる。その演算を定めたS^ΩをΩ上の対称群といい、|Ω|=nのときS^ΩをSnと書いてn次対称群という。

S^Ωは演算○に関して結合法則
_  (f○g)○h = f○(g○h)
が一般に成り立ち、Ω上の恒等写像eを元としてもつ。さらにS^Ωの任意の元fに対し、fの逆写像f^-1もS^Ωの元である

_◇巡回置換、互換
有限集合Ωの相異なるt個の元α1,α2,…,αtに対し、αiをαi+1(i=1,2,…,t-1),αtをα1に移し、それら以外のΩの元を固定するΩ上の置換を
_  (α1 α2 … αt) または (α1,α2,…,αt)
で表し、そのようなものを一般に長さtの巡回置換という。とくに長さ2の巡回置換を互換という。

◆群
集合Gに演算*が定義されているとき、すなわち任意のa,b∈Gに対してa*b∈が成り立つとき、次の条件①、②、③を満たすならばGは*に関して群であるという。
_  ※とくに演算記号を意識する必要がない場合、a*bを単にabと表す。また、演算記号として「・」を用いることもある。

①結合法則が成り立つ。任意のa,b,c∈Gに対して
_  (a*b)*c = a*(b*c)

②単位元を持つ。ある元e∈Gがあって、Gの任意の元aに対して
_  a*e = e*a = a
が成り立つ。(「1」と表す)

③すべての元は逆元をもつ。任意の元a∈Gに対して、
_  a*b = b*a = e (単位元)
となるb∈Gがある。bをaの逆元とよび、普通a^-1で表す。

_◇可換群(アーベル群)
Gの任意の元a,bに対して
_  a*b = b*a
が成り立つとき、Gを可換群またはアーベル群という。

※可換群Gの演算は+で表すこともあり、その場合a+bをaとbの和といい、Gを加法群という。加法群Gの単位元はとくに零元といい、0で表す。

※bの逆元を-bで表し、a+(-b)をa-bで表す

※単位元は唯一である。
※任意の元xに対して逆元も唯一である。