□光学
☆光学の基礎とレンズと光学の基礎
◆用語
_◇光軸と主光線
※光軸
光学系の中心を通る軸。通常z軸とし、光の進む方向を正にとる。
※主光線
光束の中心。瞳の中心を通るが、光軸とは傾いていることがある。
※主光線と光軸のなす角が大きいと結像性能が悪くなる。
_◇メリジオナル面、サジタル面
※メリジオナル面(タンジェンシャル面、子午平面)
光軸と主光線を含む面
⇒光軸と主光線の傾斜最大
⇒この面の性能が重要
※サジタル面(球欠平面)
主光線を含み、メリジオナル面に直交する面
⇒光軸と光軸は一致
⇒斜入射の影響なし。
_◇共役と共役距離
※共役
物体と像のように、交換可能な関係を共役という
⇒共役な関係にある点を共役点という
物距離:レンズから物体/光源までの距離
像距離:レンズから像面/光検出器までの距離
物距離+像距離を共役距離という
_◇焦点と焦平面、焦点距離
※焦点
光軸に対して平行な光を凸レンズに入射させた時、その光が集光する位置
⇒物体側から入射させたときの位置⇒像側焦点(後側)
⇒像側から入射させたときの位置⇒物側焦点(前側)
凹レンズの場合は、発散光を逆向きにたどって集光する位置
※焦平面
焦点を含み、光軸に垂直な面
※焦点距離
レンズの中心(主点)から焦点までの距離
※光学では距離に符号をつける。
光の進む方向=正
凸レンズの像側焦点距離は正、物側焦点距離は負
凹レンズでは逆となる。
_◇主平面と主点
焦点にある点光源からでた光線と反対側からくる光軸に平行な光線の交点の集合
⇒主平面
⇒物体側と像側の主平面は一致しないのが普通
※主面(主平面)
複数のレンズの屈折の場合、1点で屈折すると単純化し、この仮想屈折点が形成する面を主面と呼ぶ。
※主点
主平面と光軸の交点=レンズの中心
⇒一般に物側と像側に主点は2つ
※フロントフォーカスとバックフォーカス
⇒主点の位置は作図で(幾何形状から)求めるしかない
⇒実際の光学系での決定は難しい
⇒そこで実際に測定しやすい
物体側焦点の位置から物体側の光学系の先端までの距離=フロントフォーカス
像側焦点の位置から像側の光学系の先端までの距離=バックフォーカス
※節点
物体側と像側の屈折率が等しい場合、節点は主点と一致する
屈折率が異なる場合は異なる
⇒パノラマ写真の場合はカメラをレンズの節点を中心に回転させる必要がある
_◇視野角
※視野角(画角)
カメラで見えている範囲を角度で表した数値
一辺Lmmの撮像素子
焦点距離fmmのレンズ
カメラの視野角θは、焦点距離fにおいた撮像素子の両端の画素に対応する2本の視線がなす角
⇒同じ焦点距離でも撮像素子の大きさが異なると視野角異なる
※視野は範囲を長さで、画角は角度で表現する
画角α、撮像面の大きさd, レンズの横倍率をβ、焦点距離f
α= 2 * atan { d / (2*(1+β)*f) }
(1+β)*f … 実効焦点距離
写真レンズの焦点距離=物体がレンズから無限遠にあるときの値
物体がレンズから有限の距離にある場合=実行焦点距離
⇒遠くにある物体の場合は以下の近似でよい
α= 2 * atan { d / (2*f) }
⇒上記式はマクロ(接写)では使えない
※画角
水平画角
垂直画角
対角線画角=写真レンズで画角といったらこれ
35mmフィルム換算の対角線43.3mmで通常レンズでは110°程度が限界
※35mm換算の焦点距離
35mmフィルムの撮像面36mm x 24 mmに撮像素子の大きさを比例換算した場合の焦点距離。フィルムカメラと同様に、レンズの焦点距離=視野角の指標とするための数値。
※イメージサークル
レンズにより収差の問題なく結像できる円形の範囲
⇒通常は撮像面の画角の外側にある
⇒魚眼レンズでは内側にあることがある
_◇倍率
※像倍率
物体に対する像の大きさの比
※横倍率
もっとも一般的な像倍率
β=y’/y
y’:像の大きさ
y:物体の大きさ
※角倍率
入射主光線が軸となす角θと射出主光線が軸となす角θ’の比
γ=tanθ’/tanθ
⇒軸に垂直な像の大きさの比較なのでtanをとる
⇒望遠鏡の像倍率
⇒対物レンズの焦点距離/接眼レンズの焦点距離
⇒入射瞳径/射出瞳径
※縦倍率
微小物体が立て方向に移動したときの像点の位置
α=Δz’/Δz
通常、像倍率としては使われない
※ズーム倍率
※光学器械の倍率m
肉眼の視角ωと光学器械を通して見た像の視角ω’の比
角倍率とは異なる
焦平面上にある物体の虚像を明視距離dにつくるとして
虚像の大きさをy”、物体の大きさをy、焦点距離をfとすれば
m=tanω’/tanω=(y”/d)/(y/d)=(y/f)/(y/d)=d/f
_◇収差
理想的な結像からのズレ
⇒光学設計の目的は収差を低減すること
※色収差
光学材料の分散⇒波長による屈折率の違い
⇒補正のためのルールあり
①軸上色収差(縦の色収差)
光の周波数の違い⇒屈折率異なる⇒光軸上で色がにじむ
②倍率色収差(横の色収差)
光の周波数の違い⇒屈折率異なる⇒光軸からの離れ具合で色がにじむ
(通常、青色の側が拡大されたように見える)
⇒色により横倍率異なる
⇒焦点から白色光をだすと凸レンズにより平行となる筈だが、横方向に色がわかれる
※単色収差
単色光(レーザー)などでも生じる
⇒光学設計の主眼、万能ルールはない(ここの補正方法は知られている)
⇒光線追跡⇒収差解析⇒提言
※ザイデルの5収差(単色収差)
①球面収差
球面レンズの周辺での屈折のズレ。光軸にあつまるべきものが広がる
⇒軸上で一点に集光しない
②コマ収差
視野周辺の斜めに入射する光が周辺方向に尾を引く
⇒軸外で、点像が尾を引く
③非点収差
点像が縦や横長になる
⇒メリジオナル面とサジタル面での集光位置が異なる
④像面収差
結像面が平面にならず、曲面となる
⇒像面が近似的に球面となる
⑤歪曲収差
像が糸巻状やたる形になる
⇒横倍率が光軸からの距離により異なる
※収差の補正
凸凹組み合わせ
屈折率の異なるガラスの組み合わせ
非球面レンズの使用
画像処理
_◇物体深度、被写界深度
※許容錯乱円
点光源を撮影したときに許容されるボケの限界
フィルム写真では、撮像面の対角線長の1/1000~1/1500
⇒1000万画素デジカメで3.5画素、2000万画素で5画素
※焦点深度
結像に許容錯乱円までのボケがゆるされるので、撮像面とレンズの距離に誤差が許容される。焦点側の値
Δ’≒2*ε*F
εは光学系の分解能
⇒被写体側にもある幅のピントが合っていると見なせる範囲が存在する
⇒被写体側を論ずれば被写界深度(物体深度)
※物体深度
レンズと像面を固定、物体の位置を変化させても結像される範囲
※被写界深度
写真レンズにおける物体深度
①焦点距離が短いほど深い
②口径が小さいほど深い
③物体までの距離が遠いほど深い
Δ≒2*ε*(OA)/{|β|*D}
OA:射出瞳の中心から物体までの距離
β:横倍率
D:レンズ径
_◇パンフォーカス
あらゆる位置にある物体が同一面上に結像されている状態
⇒凸レンズでは不可能だが、物体深度(被写界震度)が深い結像を近似的に呼ぶことがある
_◇共役寸法
物サイズ:物体、光源の大きさ
像サイズ:像面、光検出器の大きさ
※無限共役比デザインでは角度であらわす
_◇開口数とFナンバー
NA, F/#
光学系によって集光あるいは出射できる光の最大推角
開口数が大きいとFナンバーは小さくなる
※Fナンバーは光学系の明るさを表す
⇒望遠鏡やカメラレンズはFナンバー
焦点距離fを有効径Dでわる
⇒カメラでは絞りをFナンバーで表す
⇒光量1/2はF1.4なので、F1.4の倍数系列も使われる
⇒Fの逆数を口径比とよぶ
⇒F<1もありえる
※F値
焦点距離/有効口径
⇒絞り1/2⇒有効口径1/2⇒像の明るさ1/4
⇒焦点距離2倍⇒像縦横2倍⇒明るさ1/4
⇒F値は像の明るさの平方根に反比例する
⇒絞りを絞ると同じレンズでもF値は大きくなる⇒絞り値
(絞りなし=開放F値)
※開口数
Numerical Apertureの頭文字でNAとも
光束の開口角の1/2のsin
⇒大きいほど明るくなる
⇒明るさだけでなく光線の角度を示す
⇒顕微鏡の対物レンズ、マイクロレンズなどの明るさを示すときに使われる
⇒sinをとるので1より大きくなることは通常ない
(液浸レンズで液体の屈折率がかかる場合にありえる)
NA=sinθ
(1/2)F=D/(2*f)=tanθ
※有効口径
レンズ光軸に平行に入射する光束のなかで、絞りによって隠蔽されない直径
_◇絞り
光束を制限するもの
レンズの端、レンズの固定枠なども絞り
⇒レンズが複数枚あれば絞りも複数
⇒もっとも有効に光束を制限している絞りを開口絞りという
※瞳
入射瞳 開口絞りを物体側から見たときに見える絞りの虚像
射出瞳 像側から開口絞りを見たときに見える絞りの虚像
⇒射出瞳を単に瞳という
※斜入射の場合は、開口絞りとは別な絞りがかかる
⇒視野絞り
⇒視野絞りの虚像を窓
⇒斜入射の場合は、メリジオナル面とサジタル面で光束の制限される量が異なる
⇒開口部は楕円=口径食(ビネッティング)
※コサイン4乗則
垂直入射光の照度に対して入射角のコサインの4乗になる
レンズを通過する単位面積あたりの光量がθのコサイン
レンズに入射するトータル光量がコサイン2乗分の1(距離)
集光面の単位面積あたりの光量がコサイン
⇒周辺減光
_◇解像力
倍率や回折限界により上限値が制限される
_◇アッペ数
Abbe Number
※平均分散
長波長の屈折率と短波長の屈折率差
⇒一般に水素の輝線スペクトルの波長
F線 486.1nm 青緑色
C線 656.3nm 赤色
nF-nC
※アッベ数
⇒色収差を評価する場合につかう
⇒平均分散の逆数⇒アッベ数が大きいと分散小
νd=(nd – 1) / (nf – nc)
nd: ヘリウムd線 587.6nm(黄色)における屈折率
※分散曲線
屈折率の波長変化を表現した曲線
※分散式
屈折率を波長の関数で表現した式
①コーシーの分散式
②ハルトマンの分散式(光学ガラスでよく使われる)
③セルマイヤの分散式
※屈折率が高くなると分散も大となる傾向がある
⇒理想的なガラスはない
※レンズの屈折力K
K=(n-1)(c1-c2)
n:屈折率
c1:曲率半径
c2:曲率半径
屈折率がΔn変化したときの屈折力変化ΔK
ΔK=Δn*(c1-c2)
ΔK=K/ν
ν:アッベ数
_◇アクロマートレンズとアポクロマートレンズ
色消しレンズ
※アクロマートレンズ
2波長で色収差を補正
⇒波長対焦点位置のズレの関係は2次曲線
⇒設計手順あり
単体レンズでは不可
2枚以上のレンズを使う
⇒白色光下ではアクロマートレンズでないと実用に耐えない
⇒貼り合わせアクロマートレンズ
クラウンガラスの凸(分散小)
フリントガラスの凹(分散大)
⇒ラムスデン型接眼レンズ
レンズ離れている。
同じ材料のレンズ2枚で色消しができる
※アポクロマートレンズ
⇒3波長で補正
⇒3次曲線
⇒異常部分分散特性をもった光学材料必要
昔:蛍石(フローライト)
現在:特殊分散ガラス(EDガラス)
⇒望遠鏡の対物レンズ、望遠レンズ
_◇接眼レンズ
対物レンズ側を視野レンズ
眼側のレンズを対眼レンズとよぶ
①ラムスデン
2枚平凸
②ホイヘンス
2枚平凸
③ケルナ
2群3枚
④オルソスコピック
2群4枚
⑤エルフレ
3群5枚
_◇曲率
半径の逆数
非球面でも微小な球面の集合と考えることで曲率を定義できる
_◇ベンディング
焦点距離を変えずにレンズの形を変えること
_◇色温度
※色の異なる光源(分光分布が異なる)をあらわす方法
※黒体放射⇒プランクの輻射式の波長分布
⇒ある温度の黒体放射と光源の放射が一致⇒そのときの温度を色温度とよぶ
⇒実際には一致しないので、もっとも近い温度で近似
_◇被写体照度と面照度
光源⇒被写体で反射⇒光学系⇒センサ表面
※センサ表面の照度を面照度という
E0 被写体照度
R 反射率
T 撮影レンズの透過率
F レンズF地
m 結像面倍率
Ep 面照度
R*T*E0 R*T*E0
Ep=-----------------≒------
4*(F^2)*((1+m)^2) 4*F^2
◆基本原理
_◇フェルマーの原理と光路長
光は最短時間で到達できる経路を進む
⇒光は光路長が最短となる経路を進む
※光路長=距離に屈折率をかけた値
⇒光速が物体の中で遅くなった分を考慮した長さ
_◇虚像と実像
実際に光が集まってできている像を実像
発散光線を逆向きにたどった時に見える像を虚像
⇒光が集まっているわけではないので、実際に像はできないが、人間の目の光学系により結像させることで像が見える
_◇光線可逆進の定理
※元の物体に対する結像位置に像と同じ物体を置くならば、光は逆に進んで元の物体の位置に像をつくる。
_◇結像
※レンズは2つの球面からできている
1枚のレンズ⇒2枚の曲面
※合成光学系
1枚のレンズ=2枚の曲面
複数枚のレンズ
⇒いずれもひとつの合成光学系と考えられる
※薄レンズ
厚さを無視したレンズ
⇒焦点距離を直接パラメータとできる
_◇ラグランジュの不変量
照明光学系を考えるときに重要
_◇アッベの不変量
球面の結像を考える上で重要
◆光線と光束
※光線⇒光の進む道筋を示す線
※点光源から4方8方にひろがる⇒光束
⇒測光量である光束と区別する場合は光線束
bundle of ray
※光束 luminous flux
物理量である放射束を視感度で評価した値
単位はルーメン[lm]
※波面
伝搬する波の位相が等しい面
_◇近軸結像と近軸光線
※近軸光線:光軸からおおきく離れない光線
⇒sinθ tanθをθで置き換えられる程度(10°程度)
⇒良好な結像性能
⇒近軸領域もしくはガウス領域とよぶ
⇒球面レンズによって点に集光
※近軸結像
近軸光線の範囲の結像
_◇薄レンズ近似
レンズの厚さ、表面形状、屈折率を無視
1面で屈折するとみなした近似
⇒焦点距離がパラメータとなる
_◇プリズム近似
頂の異なるプリズムの集合と考える
※プリズムの頂角α
光が屈折する2面のなす角度
※プリズムの振れ角δ
入射する光線と、出射する光線のなす角度
⇒入射角によって異なる
⇒最小となる振れ角からプリズムの屈折率を算出できる
⇒第1面の入射各θ1と第2面の屈折角θ2’が等しいときに最小となる
頂角αとすると
δmin=2θ1 – α
屈折率 n = sin((δmin+α)/2)/sin(α/2)
※レンズの振れ角
◆人間の視覚
※虚像をつくる光学機器でも、人間の眼の光学系により網膜上には実像ができる
水晶体:目のレンズ
小さくて、焦点距離も短い
※視角ω
※距離lにおかれた高さhの物体の視角ωの関係
h=2*l*tan(ω/2)
※両眼視差
両眼で物を見るときの角度の違い=輻輳角(視角ともいうので注意)
◆レンズの光学的評価項目
_◇透過率
外部透過率
反射による損失を含む
内部透過率
材料そのもの
_◇着色度
透過率は波長により異なる
主として短波長が透過しない⇒着色されたように見える
※厚さ10mmの試料の反射損失を含んだ透過率が80%、5%になる波長
⇒10nm単位であらわす
BK7 330nmで80%, 28nmで5% 33/28と表記
_◇屈折率
プリズム分光計による最少振れ角測定による
◆凸レンズ
_◇焦点
凸レンズの軸に平行に入射した光は焦点に集まる。
レンズの中心から焦点までの距離が焦点距離
_◇凸レンズの作る像
※実像(じつぞう)
スクリーンに映る像。凸レンズの場合は物体と上下左右が逆になった倒立の像。
※虚像(きょぞう)
レンズを通して物体側に直接見える像。凸レンズの場合は物体より大きく、正立の像。
⇒焦点より内側に物体をおく
※1点からでる代表的な光線の道すじを作図すると、その交点が像の位置となる
①レンズの軸に平行に進む光線は反対側の焦点をとおる
②レンズの中心に入る光は直進
③物体側の焦点を通る光はレンズの軸に平行
※物体を焦点の外側におくと実像を結ぶ
焦点距離の2倍位置で同じ大きさの実像が反対側の位置にできる
レンズから離れれば実像は小さくなり、像の位置はレンズに近づく
※物体を焦点の内側におくと、物体より大きい虚像が見える。
※焦点上におくと像を結ばない。
_◇レンズの公式
レンズから物体までの距離 a
像までの距離 b
焦点までの距離 f
結像倍率 m
※焦点と像点がレンズより物体側にあることを負の数値であらわす
⇒凹レンズの場合は焦点距離を-fとすればよい
1/f = 1/b + 1/a
m = – b/a
※aが2fのときbも2fとなり、物体と像の大きさは等しくなる
⇒等倍結像
※物側焦点距離をf、像側焦点距離を f’とすると
fは負、aは負なので
-(1/a)+(1/b)=-(1/f)
-(1/a)+(1/b)=(1/f’)
_◇コリメーター
レンズの公式でa=fとおくとbは∞となる
⇒像は無限遠にできる=光は平行
焦点に光源をおいて平行光線を投影
※平行光線を投影している状態=コリメーション
_◇凸レンズのベンディング
※レンズの焦点距離を変えずに面の形状を変える操作をベンディングという
凸メニスカス
平凸
両凸
◆凹レンズ
光を発散させず、単体では実像を作ることはない。
単体での使用⇒近視用のメガネ
※色消しレンズ、収差補正の不可欠
_◇凹レンズの作る像
単体では実像を結像しない。
常に正立虚像で、物体と同じ側
レンズから物体までの距離 a
像までの距離 b
焦点までの距離 f
結像倍率 m
※焦点と像点がレンズより物体側にあることを負の数値であらわす
1/f = 1/b + 1/a
m = – b/a
※凹レンズをとおる光線の道筋
①軸に平行な光線は凹レンズを通った後、入射側にある軸上の焦点から出たように発散する
②レンズの後方の焦点に向かう光線は軸に平行
③レンズの中心を通る光線は直進
_◇凹レンズのベンディング
※レンズの焦点距離を変えずに面の形状を変える操作をベンディングという
凹メニスカス
両凹
平凹
※メニスカスレンズ⇒メガネのレンズ
2面の曲率の方向が同じレンズをメニスカスレンズという
◆回折限界
完璧な形状のレンズを用いても、光を真に1点に集めることはできない
※焦点は有限の大きさを持つ
→これは光が波動であるため
※焦点の大きさΔ
光の波長λとレンズの大きさD 焦点距離fにより
Δ=2.4λf/D
※波長が短いほど焦点は小さく絞れる
※波長程度以下にはできない
※焦点は奥行き方向にも広がるが、同じように波長が短いほうが広がりが小さくなる。短波長の方が長さ方向の分解能も向上する。
◆魚眼レンズ
フィッシュアイレンズ
等距離射影(画面中心からの距離と角度が比例)
撮像面の対角線の画角を180°程度以上にしたもの
◆フレネルレンズ
球の表面だけを切り取って並べたもの
焦点距離を短く、しかし、レンズの肉厚を薄くするためのもの
もともとは灯台用
◆円柱レンズ
かまぼこ型
平行光を線状い集光
◆トロイダルレンズ
直交する方向の曲面の曲率が異なる
⇒トーリックレンズ
⇒乱視矯正
⇒非常に大きな非点収差⇒逆につかえば非点収差補正
◆円錐レンズ
アキシコン
レーザ、暗視野照明などの強度分布の整形用
◆回折型レンズ
屈折を使わず、回折により光をまげる
⇒ゾーンプレート
※屈折と回折の分散の符号は逆
⇒打ち消し合うように設計
⇒色消しレンズとなる
⇒ハイブリッド型色消しレンズ
☆屈折
◆屈折率
物質中の光速度をあらわすパラメータ
※真空中の光速度を1としたときの物質中の光速度の逆数
n = c / v
※屈折率は誘電率と透磁率によりきまる
※屈折率
空気 1.000
水 1.333
石英ガラス 1.459
ダイヤモンド 2.420
ゲルマニウム 4.092
_◇分散
屈折率が同じ物質でも波長によりわずかにことなること
_◇透過率
入射光の強度に対する透過光の強度
_◇スネルの法則
屈折率n1の入射側、入射角θ1
屈折率n2の透過側、屈折角θ2
n1*sinθ1=n2*sinθ2
※光の伝搬速度vと波長λの関係
v1 v2
--=--
λ1 λ2
と屈折面での等位相面が連続であることからスネルの法則が導かれる
※屈折率の高い物質から低い物質に光が入射すると、屈折角は入射角よりも大きい
_◇光学ガラス
屈折率 1.4~2.0
アッベ数 20~100
蛍石 1.4339 95.40
石英ガラス 1.4589 67.84
クラウンガラス BK7 1.5168 64.17
フリントガラス F2 1.6200 36.37
重フリントガラス SF4 1.7552 27.58
※クラウンガラス
通常のソーダガラスの改良
※フリントガラス
クリスタルガラス(鉛ふくむ)
※石英ガラス
⇒水晶
_◇光学プラスチック
※アクリル(PMMA)
※ポリカーボネート
_◇GRINレンズ
分布屈折率レンズ
イオン交換により、レンズの内部の屈折率が部分的に異なる
※アキシアルGRIN
円柱の中心軸の屈折率が高い
⇒セルフォックレンズ(商標)
⇒アキシアルGRINレンズのアレイ⇒広い範囲を等倍結像
⇒1ピッチで正立、1/2ピッチで倒立、1/4ピッチでコリメーターとなる
※スフェリカルGRIN
平板マイクロレンズ
⇒PML(Planar Microlens)
◆プリズム
※プリズムの頂角
α
入射する第1面と出射する第2面のなす角
※プリズムの振れ角
δ
入射する光線と出射する光線のなす角
δ=θ1’+θ2′-α
θ1′ 入射屈折角
θ2′ 出射屈折角
◆複屈折
※天然では方解石などでおこる
※偏光の状態により、屈折率が異なり2つの光線に分けられる。
⇒通常光線、異常光線。
☆反射
◆再帰性反射素材
◆反射の法則
※物体の表面に垂直な法線
入射角:入射光線と法線のなす角を入射角
反射光線は、法線に対して入射光線と対称な方向に反射する
入射角=反射角
_◇正反射と乱反射
正反射:反射の法則にしたがって反射。完全に正反射する物体では光は一方向のみに反射する。物体の色は識別できない。
乱反射:物体表面の細かな凹凸により反射光が拡散してみえる。微小な各部では反射の法則に従う。
_◇反射率
入射光の強度に対する反射光の強度
※反射率は偏光や角度により異なる
※内部反射もある
※反射率や透過率は、内部反射の影響も含めたトータルの値
☆光学系
※光学設計は光線追跡により実現される
◆実像をつくる光学系と虚像をつくる光学系
_◇実像をつくる光学系
結像させる。
①カメラ
像を記録する
写真レンズ→撮像面
ファインダの場合(一眼レフ)
写真レンズ→ミラー→レンズ→ペンタプリズム→レンズ→目
②プロジェクタ
スクリーンに投影
ランプ→集光レンズ→ダイクロイックミラー+ミラーでRGB系統
液晶パネルRGB→ダイクロイックプリズム→投影レンズ→スクリーン
_◇虚像をつくる光学系
目には平行光に近い光が入ればよい。眼球の光学系により網膜上に結像する。
①望遠鏡
対物レンズ+接眼レンズから構成される
遠方の物体像の像倍率を高くする必要⇒焦点距離長い
大口径(明るい)
接眼レンズの焦点距離により像倍率を可変
※ガリレオ式
対物:凸
接眼:凹
接眼レンズで直接虚像をつくる。視野が狭く、像倍率の変更不可。しかし、正立像が得られる。
※ケプラー式
対物:凸
接眼:凹
対物レンズで実像をつくり、接眼レンズでその虚像をつくる。視野が広く、接眼レンズの焦点距離を変えることで像倍率を可変。しかし、倒立像となる。
⇒ポロプリズム、ダハプリズムにより正立像にできる。
②顕微鏡
対物レンズ+接眼レンズから構成される
近くの試料までの像倍率を高く⇒レンズから物体までの距離を短く
⇒口径は小さく
対物レンズの焦点距離を変えることで像倍率を可変
※写真をとる場合は、望遠鏡も顕微鏡も実像をつくる光学系として働く
◆望遠鏡系とテレセントリック系
_◇望遠鏡系
平行光が入射、平行光が出射
⇒焦平面が無限大にある
※ビームエキスパンダ
レーザー光のビーム径を変換する光学系
※望遠鏡系もテレセントリック系の一つ
※平行光を入射させた場合は結像しないが、そうでない場合は結像する
_◇テレセントリック系
瞳(開口絞り)が焦平面にある光学系
⇒主光線が光軸と平行
※像側にテレセントリック
入射瞳が物体側焦平面、射出瞳が無限遠
※物体側にテレセントリック
入射瞳が無限遠、射出瞳が像側焦平面
※両側にテレセントリック
入射瞳が無限遠、射出瞳が無限遠
⇒望遠鏡系
⇒ステッパ
◆アフォーカル系、有限系、無限系
※アフォーカル系
結像しない
焦点距離無限大
望遠鏡
※無限系
レンズから無限の距離に像を結ぶ(結像しない)光学系
※有限系
レンズから有限の距離に像を結ぶ光学系
◆イメージング光学系とコンデンサー光学系
_◇イメージング光学系
物体の像を光を感知する検出体に転送する
アプリケーションが対象物から得ようとする情報が得られるだけの画質でないとならない
※画質の評価
解像力
像コントラスト
パースペクティブエラー
ディストーション(歪曲収差)Distortion
被写界深度
_◇コンデンサー光学系
光をエネルギーとして扱って、集光、発散、コリメート、スポット径の調整を行う
※性能評価
スループット(透過光エネルギー効率)
視野効率
スポットサイズ
角度分解能
◆光学系のデザイン
_◇光線行列
近軸光線の光線追跡
rin:入射光の軸からの距離
r’in:入射光の傾き
rout:出射光の軸からの距離
r’out:出射光の傾き
(rout) = ( 1 0 )(rin)
(r’out) (-1/f 1 )(r’in)
※空間を自由に伝搬する移行過程は
(rout) = ( 1 d )(rin)
(r’out) ( 0 1 )(r’in)
d:距離
_◇単位共役比デザイン
Finite Conjugate Design
有限距離にある物体からの光を光学系を通して別のある一点に集光する
※イメージング用途の大抵のカメラレンズ
※もっともシンプル=凸レンズ1枚
_◇アフォーカル系デザイン
Afocal Design
平行光(コリメート光)を所定の倍率の光学系により異なるサイズの平行光として出射
※望遠鏡
※ビームエキスパンダー
※もっともシンプル=凸レンズ2枚(倒立)
凸レンズ1枚+凹レンズ1枚(正立)
_◇無限共役比デザイン
Infinite Conjugate Design
無限遠にある物体からの光を一点に集光する、あるいは1点の光源を平行光に変換する
※オートコリメーター
※レーザーフォーカシングレンズ
※もっともシンプル=凸レンズ1枚
_◇近軸理論
Paraxial Theory
レンズの光学収差、厚さ、曲率半径、材質、分散の影響を考えず、レンズ位置と直径、焦点距離から、共役点の距離、物高、像高、倍率のおおよその値を幾何学的に決める
◆TIPS
_◇迷光
光学系の有効径の外に入射する光。レンズのコバ面に墨塗り等をして防ぐ
_◇反射防止膜
Anti-Reflection Coating
不要な戻り反射を低減し、透過率を改善する
※フレネル反射
周囲の媒質の屈折率と基板の屈折率で決まる
◆レンズ
_◇アクロマティックレンズ
光学特性の異なる2枚のレンズを樹脂接合して張り合わせ、色収差を補正したもの
※タブレットレンズ
※球面収差、コマ収差も改善する
※クラウンガラス:低屈折率、低分散
※フリントガラス:高屈折率、高分散
_◇トリプレットレンズ
レンズ3枚構成
_◇フレネルレンズ
薄く平らなアクリル樹脂に、階段状かつ同心円状に鋸波型の溝を密に施したもの。全体として1枚の大きなレンズと同じように働く
※溝のピッチが少ない方が画像の品質は良い
※ピッチが多いと集光効率が良くなる
※同じ大きさなら薄くできるので、透過効率が高い
※溝のある面を共役点の長い方に向ける
_◇レンチキュラーレンズ
平凸シリンドリカルレンズをアレイ状に配列した、一軸方向の高効率光拡散用レンズ
※立体視
◆光ファイバ
◆マクスウエル光学系
どこでも焦点を一致させる光学系。焦点深度を深くする
◆ホログラフィ
振幅だけでなく位相情報も記録し、立体像の記録、再生を可能としたもの
☆電気光学、磁気光学
◆カー効果
Kerr effect
※同じ名を「ケル効果」としている文献もある。
_◇電気光学カー効果
Electro-optical Kerr effect
狭義のカー効果
※ある物質に電場が印加されたとき、その物質の屈折率が電場の強さの2乗に比例した複屈折を生じる現象
⇒機械式シャッターでは不可能な高速スイッチングを行うことができる。
※ニトロベンゼンのような等方性物質を強い電場の中におくと、一時的に異方性をおび複屈折を起こす
※光カー効果
カー効果を引き起こす電場が光電場のとき、とくに光カー効果という。
_◇磁気光学カー効果
◆ファラデー効果
※磁気旋光
磁場に平行な直線偏光を物質に透過させると偏光面が回転する現象。