◎熱設計
◆トレンド
①リーク電流は温度上昇で指数的に増加する。
ー>リーク制御のため、105℃->85℃->それ以下に設計温度を下げざるを得ない傾向にある。
②90nmではリークは 25~40%だが、65nmでは50~75%に達する。
③チップ温度の上昇はタイミングに影響する。15℃上昇すると10~15%遅延。
④エレクトロマイグレーションは温度に対して指数的に増加する。
⑤抵抗は温度に線形依存し、15℃の温度上昇で10%大きくなる。
⑥クロックゲーティングやマルチVTはチップ上の温度変動を増加させる。
◆熱設計と熱解析
試作品と作ってから、実記で温度を測り、危険箇所に熱対策を施し再設計するようなプロセスでは十分でない。
熱設計と熱解析が両輪
_◇熱設計
消費電力、温度上限、周囲温度→設計
→基板、実装、筐体の構造
※装置の冷却能力を決めるシステムアプローチ
※発熱体の被冷却能力を決めるコンポーネントアプローチ
※ともかく危ない部品と危なく無い部品を早く見つける
危ない部品
小型化しすぎ放熱能力不足のもの
プリント基板への対策で回避できるものが多い
消費電力が大きいもの
※目安
目標熱抵抗が30K/W以上なら放熱能力不足
30K/W以下ならパワー過剰
※自然空冷
内部空気温度上昇の範囲は15℃から25℃程度で設計
熱流束600W/m^2を超える部品は危ない
発熱と空気の流れはカップリングされている
カバーを外したら一番温度が下がる
※強制空冷
風速によるが熱流束1200W/m^2を超える部品は危ない空気の流れと発熱はカップリングしていない
カバーにより意図的に風速を高めているので、カバーを外すと温度があがってしまう。
風上は温度が低い。また筐体内より突入風速は高い。
※ファンの電力性能係数
冷やされる側の消費電力をファンの消費電力で割ったもの
20以下なら強制空冷失敗。
通常は40程度目指す。
※機器内部温度の計算式
W=(2.8Stop+2.2Sside+1.5Sbottom)*(⊿T/2)^1.25
+4*σ*ε*S*Tm^3*(⊿T/2)
+1150*Qv*⊿T
W:装置の消費電力[W]
⊿T:筐体内部空気温度上昇(℃)
Sside:筐体側面[m^2]
Stop:上面[m^2]
Sbottom:底面[m^2]
S:全表面積[m^2]
σ:ステファンボルツマン定数 (5.67e-8)
ε:筐体表面放射率
Tm:平均環境温度[K]
(=周囲空気絶対温度+⊿T/4)
Qv:風量[m^3/s]
※風量を推定する計算式
Qv=A*0.166*(ht*⊿T)^(1/2)
A:通風孔面積[m^2]
ht:実効煙突長(筐体長さの1/2)
※設計プロセス
①目標熱抵抗値算出
それぞれの部品に与えるべき熱抵抗を算出する。
許容温度上昇と、消費電力を分けると見通しが悪くなるので、目標熱抵抗という1つのパラメータで表現する。
→すべての部品について
部品の使用温度上限-機器内部空気温度
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消費電力
②必要な放熱面積、風速、実装位置などを決める論理対策
※表面積と熱伝達率を掛けたものの逆数が熱抵抗
※発熱の密度→熱流速
消費電力を表面積で割る
③配線パターン、流路構造などの物理対策
_◇熱解析
基板、実装、筐体の3次元モデルと条件→解析
→予測温度
設計プロセスと逆のルートをとおる。