DesignBasics

金言
※立ち上がり時間が回路に固有の遅延時間と比較して短いとき、回路は分布定数的に振る舞う。一方、比率が大きいときには集中定数素子として振る舞う。それぞれの絶対値は関係しない。
実際の回路で発生するトラブルは、ICが理想的な素子ではないことが原因になる場合が非常に多い。
---鈴木雅臣
「信号や回路の動きは数式で示され、それは実体の動きと同じ」
---石井聡
「使えるレベルの精度の値を求めることが設計における本質」
---石井聡
「グラウンドに信号を落とせば、回路は動くと回路設計初心者は思いがち、路として回っていることに気がつかない限り、かならず痛い目を見る」
---石井聡
「AD 変換ではエリアスを避けるためにフィルタを必ず使いますが、オーバシュートしたところでサンプリングすると、誤差を持ち込みます。これらは、周波数領域で信号選択に使用するフィルタとは違う基準です。従来の周波数ドメインでの考え方に対し、パルス信号ではタイムドメインでの設計が必須になってくるわけです。」
---T. Fujiwara
「設計者の仕事は偶然を必然に変えること」
---川村憲一郎、村田製作所
「アースという言葉は、エレクトロニクス関連で使用される場合と、電力関係で使われる場合とでは同じ言葉であっても、その意味する内容はまったく違う」
---伊藤健一、イトケン研究所所長
「動作原理となる部分の基本的な性質が十分にはわかっていない場合でも、試行錯誤を繰り返して経験的にその性質を把握すれば、技術開発は可能なのです」
 ---竹内敦
「アナログ設計者は、エンジニアとしての才覚と、数学者としての資質と、芸術家としての才能を身につけなければならない」
 ---Behzad Razavi

☆基礎知識

◆基本法則
_◇オームの法則
I(A)=V(V)/R(Ω)
V=IR(V)
R=V/I(Ω)
I(mA)=V(V)/R(KΩ)
_◇コンダクタンス
※抵抗Rの逆数
G=1/R
_◇電流
1アンペアとは、導体の断面を1秒間に1クーロンの電気量が通過したときの電流の大きさである。
_◇受動素子—passive elements
①抵抗(R)
v=Ri
②インダクタンス(L)
v=L(di/dt)
③コンデンサ(C)
v=C(dv/dt)
_◇能動素子—active elements
自分からエネルギーを発生する素子
_◇電圧源
理想的な電圧源は、流れ出す電流の量にかかわらず端子の電圧が変化しない、という特性のもの
※電圧源(起電力)の極性と流れ出す電流方向の定義
電流の極性は電圧源のプラスの端子から回路に向かって流れ出し、マイナス側の端子に流れ込むとして決定。
_◇電流源
理想的な電流源は、つながる回路の抵抗の大きさに関わらず端子から流れ出る電流が変化しない、という特性のもの
※電流が一定になるように電流源の両端の電圧は変化する。
_◇抵抗による電圧降下の電圧極性と電流の方向
電圧降下は電流が流れ込む側が電圧が高くなり、そちらをプラスとする。
※電流の流れる方向を基準とすれば、起電力のプラス方向の定義の逆の方向となる。
※基準となる電圧レベル:例えば「電圧源のマイナス端子側の電圧を基準にする」
◆鳳テブナンの定理
(Ho-Thevenin’s theorem)
電源を含む任意の2端子回路網があるとき、その回路は2端子の外から見た性質に関する限り、その端子対を開放したときに現れる電圧Vをもつ電圧源と、すべての電源を取り除いて短絡したときにその2端子から見たインピーダンスZiとを直列に接続した回路と等価である。
①端子を開放したまま端子間の電圧Vopenを測定すれば、電流が流れないので、電圧降下はなくVopenは電圧源の電圧そのものである。
②抵抗RLを外部につないだとき、電流Iが流れた場合、内部の等価直列抵抗をRSとすれば
I=Vopen / (RS + RL)
この式を変形すれば
RS = Vopen / I – RL
RS = (Vopen * RL) / Vload – RL
※Vloadを測定するだけでRSを求めることができる。
_◇ノートンの定理
(Norton’s theorem)
電源を含む任意の2端子回路網があるとき、その回路は2端子の外から見た性質に関する限り、その端子対を短絡したときに流れる電流をもつ電流源と、すべての電源を取り除いて短絡したときにその2端子から見たアドミタンスGsを並列に接続した回路と等価である。
※電圧源Vと直列抵抗Rから成る直列回路は、I=V/R, G=I/Rとして電流源Iと並列コンダクタンスGを持つ並列回路に置き換えることができる。
①端子を短絡し、端子間に流れる電流Ishortを測定
②抵抗RLを接続し、端子間の電圧Vを測定
等価並列抵抗分をRSとすれば
1/RS = Ishort/V – 1/RL
_◇ミルマンの定理
複数の電圧源+それぞれの内部抵抗があり、これを並列接続した場合の端子電圧V
V= (V1/R1 + V2/R2 + V3/R3)/(1/R1+1/R2+1/R3)
◆キルヒホッフの法則
①電流則
ある接続点に流れ込む電流と、流れだす電流の両は等しい。
②電圧則
ある点を基準にして回路を一回りすれば、個々の起電力と電圧降下をすべて足したものは、元の基準となる電圧レベルに戻る。
※キルヒホッフの法則は非線形回路(トランジスタやダイオード)でもなりたつ
_◇接点電位法
回路中の3本以上の配線が結線されるポイントの電圧を基準にし、接続点ごとにキルヒホッフの第1法則を適用して方程式を立てる。
※すべて電流が流れ込む方向に電圧が生じるとして式を立てる。(仮に一方向に規定することで、逆方向に流れる電流はマイナスとして得られる)
 ┌──┐ V ┌──┐
○┤R1├─┬─┤R3├○
V└──┘ │ └──┘V
1    ┌┴┐    3
     │R│
     │2│
     └┬┘
    V2○
V1-V V2-V V3-V
----+----+----=0
 R1   R2   R3
上記の形の式が各点について得られるのでこれを解く。
_◇網目電流法(閉路電流法、メッシュ電流法)
回路中に流れる電流を基準とする。(電流源のある回路では応用できない)
※各ループ毎に電流を仮定し、複数の電流が重なる部分は方向により加減しながら、電圧を足して行った結果がゼロになる。
◆重ね合わせの理
複数の電圧源/電流源を持つ回路の場合
①電圧源/電流源を全部取り去った回路を考える
電圧源はショート(抵抗0)
電流源はオープン(抵抗無限大)
②それぞれの電圧源、電流源1個ずつを戻して電流、電圧を計算。
③それぞれの計算結果を加え合わせれば、全部の電圧源/電流源が接続された場合の結果と等しくなる
※電界/磁界も、重ね合わせの理で束流の大きさ、方向が成り立っている。
◆可逆定理(相反定理)
※無線通信
アンテナ1<-(無線通信路=空間)->アンテナ2
送受を逆にしても同じ電力量が伝達されることを「可逆」という
※回路
第1の点に内部抵抗R0の電圧源Vを取り付ける、第2の点にR0と同じ大きさの抵抗を取り付けたとき流れる電流をIとする。
逆に第2の点にR0とV、第1の点にR0としたときにR0に流れる電流もIになる
※可逆定理は非線形回路(トランジスタやダイオードなど)や方向性のある素子では成り立たない
 I1┌──┐ I2
○→─┤  ├─←○
↑  │  │  ↑
│V1│  │  │V2
│  │  │  │
○──┤  ├──○
   └──┘
 I1┌──┐ I2
○→─┤  ├─←○
↑  │  │  ↑
│0 │  │  │V2
│  │  │  │
○──┤  ├──○
   └──┘
 I1┌──┐ I2
○→─┤  ├─←○
↑  │  │  ↑
│V1│  │  │0
│  │  │  │
○──┤  ├──○
   └──┘
電源、E1(電圧V1)、E2(電圧V2)をそれぞれ除去した条件下でもとめた
E2/I1|E1=0
E1/I2|E2=0
が成立する。
◆交流信号と位相
振幅信号の大きさを示す
周波数1秒間にどれだけ切り替わるか
位相切り替わりのタイミングを示す
_◇交流信号
電圧と電流はまったく同じ位相になっているわけではなく、どちらかが進んだり遅れたりする。
※周波数も位相もラジアンとして一緒に考える。
交流信号s(t)
s(t) = 振幅 * cos(2π*周波数*t+位相)
振幅A
周波数f
位相θ
2π*f*t=ω 角周波数[rad/sec]
※一旦周波数を忘れて、振幅成分と位相成分で極座標で考える。
X軸の+方向を角度ゼロ、左周り+として位相θ
大きさが振幅A
X軸が実軸
Acosθ
Y軸が虚数軸
Asinθ
複素平面上で
Acosθ+j*Asinθ=A*e^(jθ)
※通常、電圧の位相を基準としてそれからの差分として電流を考える。位相の異なる複数の電圧がある場合は、どれかを基準とする。
※複素数を使えば、オームの法則の電圧、電流、抵抗の関係で位相も表すことができる。
※複素数の実数部をとることで、実際の信号の振る舞いに戻すことができる
※位相を表す上で、周波数成分2πfは影響を与えない。また、回路上、位相は変化するが、周波数自体は変化しないので、複素平面上では周波数情報は示さず、位相情報だけを示す。
※オイラーの公式に関する基本公式
A+jB=√(A^2+B^2)(cosθ+jsinθ)=√(A^2+B^2)e^jθ
θ=tan^-1(B/A)
※共役複素数 complex conjungate
z=A+jB
z*=A-jB
(A+jB)(A-jB) = A^2 + B^2
_◇位相
※x軸時間のグラフでは
位相φが負右に平行移動位相遅れ
位相φが正左に平行移動位相進み
※位相を角周波数で割った値は、波形のズレ時間
位相[rad]
--------=ズレ時間[秒]
角周波数[rad/秒]
_◇インピーダンス
電圧と電流を位相も含めて結びつける。交流に対する抵抗量に相当する。Z~(複素数)
※ある周波数における部品や回路の交流電流の流れを妨げる量。
⇒複素平面上のベクトル量、実部が抵抗R,虚部がリアクタンスX
※位相を買えら得る要素はコイルとコンデンサだけ。コイル、コンデンサの抵抗量に相当するのはリアクタンスX(虚数部のみ)
Z~ = R + j(Xc + Xl)
①振幅
|Z| = √(R^2+X^2)
②位相
tanθ=X/R
※Zをインピーダンスの大きさとして
Z*e^jθ
と表すこともできる。θはインピーダンス自体の位相。
|Z|∠θ
※抵抗成分を実軸、リアクタンス成分を虚軸としてプロットした複素平面をインピーダンス平面とも呼ぶ。
※オームの法則を表せば
Ie^j(2πf+θ1-θ2)=Ve^j(2πf+θ1)/Ze^jθ2
_◇リアクタンス
XL=2πfL
XC=1/2πfC
_◇コイルやコンデンサの流れる交流電流と抵抗の関係
①コイル
インダクタンス L[H]のコイルによって生じる逆起電力V~は、電流I~に対して(電圧降下の極性+と考えた場合)
V~ = L * (dI~/dt)
I~=Ie^j2πftとして、tで微分すれば
dI~/dt=j2πft*Ie^j2πft=j2πf*I~
よって
V~=j2πf*I~*L
XL~ =V~/I~=j2πf*I~*L/I~=j2πfL
交流電流を妨げる成分、リアクタンスXL
X L = 2πf L [Ω] … 大きさ(位相はj)
複素インピーダンスではj2πf L
交流電圧をかければ電流の位相は電圧から90度遅れる。
複素数表現すれば
e^(-jπ/2)=cos(-π/2)+j*sin(-π/2)
=0-j=-j
オームの法則
I=Ve^j2πft/+jXL=-j*Ve^j2πft/XL
(ここで1/j=-jである。)
②コンデンサ
容量 C[F]のコンデンサに充電される電流によって発生する端子電圧V~は、電流I~に対して(電圧降下の極性+と考えた場合)
V~=Q/C=1/C∫I~dt
I~=Ie^j2πftとして、tで積分すれば
V~=1/C∫(Ie^j2πft)dt
=(1/C)*(Ie^j2πft/j2πf)=I~/j2πfC
よって
XC~=V~/I~=1/j2πfC=-j/2πfC
交流電流を妨げる成分、 リアクタンスXC
X C =1/2πf C  [Ω] … 大きさ(位相は-j)
複素インピーダンスでは-j/2πf C
交流電圧をかければ電流の位相は電圧から90度進む。
複素数表現すれば
e^(+jπ/2)=cos(π/2)+j*sin(π/2)
=0+j=j
オームの法則
I=Ve^j2πft/-jXC=j*Ve^j2πft/XC
(ここで1/j=-jである。)
※コイル、コンデンサともに流れる交流電流の周波数によって、抵抗(インピーダンス)が変わる。
※実際の信号は
V~=Ve^j(2πft+θ)の実数部をとり
V(t)=Vcos(2πft+θ)
実数をとる操作 Re(V~)
_◇アドミタンス、コンダクタンス、サセプタンス
並列回路の計算に便利(そのまま足せばよいから)
①アドミタンス
インピーダンスZ~の逆数
Y~=1/Z~
※単位は[S](ジーメンス)
Y = G + jB
②コンダクタンス
G=1/R
③サセプタンス
B=1/X
※相互の関係
Y=√(G^2+B^2)
_◇実効値
RMS: Root Mean Square
※実効値で考えることで、電力も含めて交流回路と直流回路を同等に取り扱うことが可能になる。
①コサイン波
周波数f=1Hzの振幅Vmaxのコサイン波が抵抗Rに加わった場合の電力Pは、
P=(1/R)∫[0:1](Vmax^2*cos^2(2πt))dt
=(1/R)∫[0:1](Vmax^2*{(1+cos(2*2πt))/2})dt
=(1/R)*Vmax^2[t/2 + (1/2)*sin(2*2πt)/(2*2π)]0:1
=(1/R)*Vmax^2*{((1/2)+S1) – (0/2+S2)}
=(1/R)*(Vmax^2)/2
S1=(1/2)*(sin(2*2π)/4π)=0
S2=(1/2)*(sin(2*0)/4π)=0
直流Vdcが抵抗Rに加わった場合のPは
P=Vdc^2/R
交流の場合の
P=Vmax^2/2R
より、
Vrms = Vmax/√2
と定め、Vrmsを使用すれば、電力の計算も直流と同様に行える。
※交流が運ぶ電力は、電流波形と電圧波形の掛け合わせの平均値となる。コサイン波の場合、平均値は最大電力の1/2となる。ここで電流、電圧の各々の最大値の1/√2をとれば、最大電力の1/2となる。よって、実効値は最大値の1/√2とすればよい。
②三角波の実効値
f=1Hz, R=1Ω,Vmax=1Vと単純化すれば,電圧の傾きは4となり
P=4^2{∫[0:0.25]t^2dt +
      ∫[0.25:0.75](-t+0.5)^2dt +
  ∫[0.75:1](t-1)^2dt}
=4^2{[(1/3)t^3]0~0.25 +
[(-1/3)(-t+0.5)^3]0.25~0.75 +
[(1/3)(t-1)^3]0.75~1 }
=4^2(4/3)*(0.25)^3=1/3
P = Vmax^2/3R
より
Vrms = Vmax/√3
※正弦波形状ではない信号の電力を計算する場合、信号をフーリエ級数に展開し、それぞれの項の電力を計算した上で足し合わせる。
③矩形波の実効値
f=1Hz, R=1Ω,Vmax=1Vと単純化すれば,
P=∫[0:0.5]1^2dt + ∫[0.5:1]-1^2dt
=[t]0~0.5 + [t]0.5~1 = 1
Vrms = Vmax
_◇平均値
波形の半周期の平均を計算する。波形形状により平均値異なる。(一周期を積分するとゼロになるため、半周期を積分したものの2倍をとって1周期相当とする。このため半サイクル平均値と呼ぶ。)
①サイン波
Vmax*sin(2πft)において簡単のためVmax=1V,f=1Hzとする。
Vavr = (1/0.5)∫[0:0.5]sin(2πt)dt
= 2*1/2π[-cos(2πt)]0~0.5
= (1/π)*-1*{(cos(π)-cos(0)}=(1/π)*-1*(-1-1)=2/π
よって
Vavr = 2*Vmax / π
②三角波の平均値
Vavr = Vmax / 2
③矩形波の平均値
Vavr = Vmax
_◇波形率、波高率、尖頭値、p-p 値
①波形率=実効値/平均値
サイン波π/2√2
三角波2/√3
②波高率=尖頭値/実効値
クレスト・ファクタと呼ばれる。
サイン波√2
三角波√3
※振幅は尖頭値とも呼ばれる
※尖頭値、p-p 値
尖頭値:波の山または波の谷の最大値
p-p 値:波の変化幅
※Vp Vp-pの半値
※15dBμの正弦波の振幅をVrms,およびVp-p表記する。
10(15/20)=5.6 [μVrms]
5.6*10e-6*2√2=15.8 [μVp-p]
_◇3相交流
3本の電線を用いて、3つの相の交流を伝送する。相はUVW相もしくはRST相と呼ばれるが120°ずつずれている。
Vr = √2 * V*e^(jωt)
Vs = √2 * V*e^(jωt-2π/3)
Vt = √2 * V*e^(jωt+2π/3)
※パーセントインピーダンス
変圧器の内部インピーダンスによる電圧降下を変圧器の定格電力で割ったもの。(異なる変圧器を並列にして運転する場合等に計算がしやすい)
※ブロンデルの定理
ブロンデルの定理とはn相の電力測定には単相電力計がn-1個必要というものです。たとえば三相3線式の電力は2個の単相電力計で測定ができます(二電力計法)。
※三相負荷の消費電力P[W]
単層電力計W1,W2の電力の読みをP1[W],P2[W]とすると、
P=P1+P2
P=Vac * Ia * cosφa + Vbc * Ib * cosφb
_◇フェーザ図
交流の角周波数ωが定数であれば、電圧の実効値Ve=Vm/√2および位相θから、交流電圧の瞬間値を決めることができる。
V = Ve ∠θ
これを正弦波交流のフェーザ表示と呼ぶ。
※フェーザ表示で表した正弦波交流電圧をフェーザ電圧、電流をフェーザ電流と呼ぶ。
※フェーザは大きさと角度を持った量なので平面上のベクトルとして表示でき、これをフェーザ図と呼ぶ
_◇スペクトル表示
横軸に周波数をとった
振幅スペクトル
位相スペクトル
Acosθ=(A/2)e^jθ+(A/2)e^-jθ
と複素指数関数を使ってかける
θ=2πft
⇒正負の2つの複素正弦波からcos波形が得られる
⇒それぞれの最大振幅は1/2
※方形波の振幅スペクトル
⇒離散的(とびとびの値しかもたない)
⇒周波数間隔⊿f[Hz]は、方形波の繰り返し周期の逆数の2倍(周波数2*f0[Hz])に一致する。
⊿f=2*f0
※インパルス信号のスペクトル
全周波数領域にわたって均一の振幅スペクトル(一定)
位相スペクトルは全周波数領域で0
◆電力、電圧、電流の関係
▽電力は電圧と電流の積
▽送電線
高電圧にするほど電流は小さくなり送電線における発熱量は少なく、 損失が小さくなる。
▽新幹線
送電電圧は2万5000V。(一般の電車は1500V)
⇒新幹線のパンタグラフは、通過する電流が小さくてよいため、 一般の電車のパンタグラフに比較して小さくなっており、空気抵抗が小さくできる。
▽直流電力
電圧と電流の積
▽交流電力
電圧と電流には位相差があり、単純な(実効)電圧と(実効)電流の積では求められない。
_◇力率(power factor)
皮相電力に対する有効電力の割合。電圧、電流の位相差よりcosθを力率と呼ぶ。
①変位力率
電圧に対する電流の位相ずれによる
②歪み率
電流波形を歪ませる電流中の高調波成分による
※力率を「歪み率と変位力率の積」と定義することもできる。
※PFCの目的は電力コンバータ自体が入力電圧に対して線形抵抗として振舞うようにすること
※昇圧型コンバータがPFCの実装には適する。
_◇皮相電力 apparent power
電圧の実効値と電流の実効値との積、単位はボルトアンペア(VA)で量記号はS
    S = |V||I| = √(P^2 + Q^2)
P:有効電力、Q:無効電力
※実効値:抵抗RLに交流Emを印加したとき消費される電力Pが、同じ抵抗に直流Eを印加したときに消費される電力と等しいとき、EをEmの実効値と呼ぶ。
単純計算での見かけ上の電力。
電圧の実効値V, 電流の実効値I, 位相θとすると
電圧と電流の時間波形
v(t) = √2Ve^jωt
i(t) = √2Ie^(jωt+θ)
皮相電力S
S = V*I単位[VA]
※実際に負荷で消費されるわけでないので[W]は使わない。
※変圧器の定格表示に利用される
_◇有効電力 real power
※有効電力(active-power)
負荷で実際に消費される電力、単位はワット(W)で量記号はP
    皮相電力と位相差(cosθ)の積。
    P=Scosθ=√(S^2-Q^2)
※実際に負荷で消費される電力(消費電力)
大きさは実効値表記、v(t)とi(t)の位相差成分のみで考えると、
v = V
i = I(cosθ+j*sinθ)
複素数での電力は
v*i = V*I(cosθ+j*sinθ)
実際に負荷で消費される電力は、実数部だけであるので、有効電力Pは
P = V*I*cosθ
これが抵抗での損失となって熱になる
※cosθを力率と呼ぶ。
力率は、有効電力と皮相電力の割合を表し、0~1の間の値をとる。
_◇無効電力 reactive power
負荷と電源とで往復するだけで消費されない電力、単位はバール(var)で量記号はQ。誘導負荷に由来する遅れ無効電力と、容量負荷に由来する進み無効電力からなる。打ち消しあって無効電力がゼロになるのが理想的な状態。
    Q=Ssinθ=√(S^2-P^2)
※負荷では消費されない電力。
複素数での電力
v*i = V*I(cosθ+j*sinθ)
の虚数部。
Q = V*I*sinθ
単位は[Var]。無効電力は、消費されずに電源に戻される電力。コンデンサやコイルが理想的には電力を消費しないことに相当する。
_◇rms (root mean square)
irms = √((1/T)∫i^2dt)
_◇進相コンデンサ、直列リアクトル
◆相互インダクタンス
磁気的に結合された2つの巻線の一方の電流を変化させると、もう一方の巻線に誘導起電力を生じる
E = -M * dI/dt [V]
E:生じる誘導起電力
M:相互インダクタンス [H]
I:巻線の電流 [A]
※相互インダクタンス
M=k*√(L1 * L2) [H]
k:結合係数
L1:自己インダクタンス [H]
L2:自己インダクタンス [H]
結合係数は2つの巻線の大きさ形状、相互位置などの幾何学的な量、周辺の透磁率[A/m]によって決まる
◆アナログ電子回路の問題点
①素子の特性のばらつき
②特性の精度が比較的低いこと
③精度に経年劣化があること
④雑音の重畳が起こりやすいこと
⇒種々の原因により信号が劣化する
◆接地はなぜ必要か
モーターや変圧器のような電気設備は、機器と外枠が絶縁物によって絶縁されている。 この絶縁物が劣化すると絶縁が悪くなり、外枠に漏電する。 この漏電機器に人体が触れると感電事故となり、大変危険である。そこで電気設備の外枠は、接地(アース)することで安全が図られる。
_◇グラウンド記号
①アースグラウンド
地面に打ち付けられた鋼棒を意味する
  │
──┴──
 ───
  ─
②シャーシコモン
  │
──┴──
/ / /
③信号グラウンド(信号コモン)
◆共振回路
_◇直列共振回路
   ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐
 ┌─┤R├─┤L├─┤C├┐
┌┴┐└─┘ └─┘ └─┘│
│E│           │
└┬┘           │
 └────────────┘
→I=→E/Z
Z=R+jωL-1/jωC
 =R+j(ωL-1/ωC)
ω=2πf
※fを変化させて虚数部を零としたとき→Iは最大となる。このときのωをω0とおくと(誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが打ち消しあう)
ω0L-1/ω0C=0
ω0^2=1/LC
よって
f0=1/2π√LC
f0を共振周波数。共振状態になるとインピーダンスは最小となってRに等しく、電流は最大値E/Rをとる。
※共振時の各素子の端子電圧は、
→Er0 = R * I0
→El0 = jω0L * I0
→Ec0 = 1/jω0C * I0
*El0とEc0は絶対値が同じで位置が180度異なる電圧。Eにかかる係数をQとおいて共振電圧の大きさを表す目安とする。(Q値)
Ec0=El0=Q * E
Q = ω0*L / R = 1 / ω0*C*R
※Q値は共振周波数f0と、I0がI0/√2に低下する周波数fu,fdとの差の比を表している。
f0 / (fu -fd) = Q
※ω0より低い周波数のときは、回路は容量性となり、高い周波数のときは誘導性となる。
_◇並列共振回路
 ┌────┐
┌┴┐ ┌─┴┐
│E│┌┴┐ │
└┬┘│R│┌┴┐
 │ └┬┘│C│
 │ ┌┴┐└┬┘
 │ │L│ │
 │ └┬┘ │
 │  └─┬┘
 └────┘
全体のアドミタンスYを計算し、誘導サセプタンス(リアクタンスの逆数)と容量サセプタンスが打ち消しあう状態を求めると、
       ωoL
-------------- = ωo・C
R^2 + ωo^2・L^2
よって
         (   1      R^2  )
ωo = √ ( —- – —— )
         (  LC      L^2  )
このときの電流の大きさは、
              R                    C
I = E ——————-  =  ER・—
        R^2 + ωo^2・L^2           L
※並列共振のQ
      ωoL
 Q = ——
       R
_◇共振回路に共振周波数を入力すると
f=1/(2π√(LC)) の交流信号を各回路に入力する
共振周波数fに対して、直列共振回路はZ=0Ω、並列回路はZ=∞Ωなので
①直列共振回路
入力⇒    出力⇒
 ┌─┐┌─┐
○┤L├┤C├○
 └─┘└─┘
入力=出力
②並列共振回路
入力⇒    出力⇒
  ┌─┐
 ┌┤L├┐
○┤└─┘├─○
 │┌─┐│
 └┤C├┘
  └─┘
出力に信号は出てこない
③並列共振回路
入力⇒    出力⇒
○──┬───○
 ┌─┴─┐
┌┴┐ ┌┴┐
│L│ │C│
└┬┘ └┬┘
 └─┬─┘
   ┴
入力=出力
④直列共振回路
入力⇒    出力⇒
○──┬───○
  ┌┴┐
  │L│
  └┬┘
  ┌┴┐
  │C│
  └┬┘
   ┴
出力に信号は出てこない
_◇リアクタンス成分のキャンセル方法
①インダクティブ(+jX)な回路
        ┌─┐+jX=+j2πfL
      ○─┤L├─┐
        └─┘ │
           ┌┴┐
           │R│
           └┬┘
            ┴
  ┌─┐   ┌─┐
○─┤C├─○─┤L├─┐
  └─┘   └─┘ │
     -j    ┌┴┐
-jX=----   │R│
    2πfC   └┬┘
            ┴
Z=(-jX)+jX+R=Rで、抵抗Rのみの回路となる。
②キャパシティブ(-jX)な回路
        ┌─┐-jX=-j/(2πfC)
      ○─┤C├─┐
        └─┘ │
           ┌┴┐
           │R│
           └┬┘
            ┴
  ┌─┐   ┌─┐
○─┤L├─○─┤C├─┐
  └─┘   └─┘ │
           ┌┴┐
+jX=j2πfL  │R│
           └┬┘
            ┴
Z=(+jX)+(-jX)+R=Rで、抵抗Rのみの回路となる。
◆Q(Quality factor)
共振回路の帯域特性を示すパラメータ
f0は中心周波数。2⊿fは出力レベルが3dB下がる帯域幅。
Q=f0/2⊿f
※リアクタンスの純度を示す
抵抗が小さく、どの程度純粋なリアクタンスに近いか
⇒回路に蓄えられたエネルギーと消費されたエネルギーの比(無次元量)
  X B
Q=-=-
  R G
※インダクタンスの複素ベクトルでは
Qはθのタンジェント
※コンデンサではQの逆数であるD(損失係数)を使う
⇒θの余角であるδのタンジェント
⇒タンデルタ
_◇共振回路のQ
共振において、本来Rはゼロのとき理想状態となり、Rが大きくなれば共振性能は低下する。この性能を示す指標をQ値(Quality Factor)と呼ぶ。
▽直列共振
Q = Wres * L / R = 1 / (Wres * C * R)
▽並列共振「タンク回路」
Q = R / Wres * L = Wres * C * R
※実回路ではコイルの方がQ値の低下に影響を与えやすい。(直列抵抗が大きい)また、コイルのカタログ表記では、共振状態を考えずに、ある周波数におけるインダクタンスと直列抵抗の比としてQ値を表すことがある。
※共振時ω0のときのI0とωのときのIについて
ω f
- = -- = n
ω0 f0
とおくと
I 1
- = -----------
I0 √(1 + (n-1/n)^2*Q^2)
I/I0を縦軸に、nを横軸にとると、共振状態の電流と周波数をそれぞれ1とした尖鋭な曲線を得る。この尖鋭さを表すものがQである。
ω0L 1 1
- = --*-- = Q
R R ω0C
※直列共振回路では電圧が、並列共振回路では電流が、Q倍になる
①直列共振回路に外部からE[V]を加えると、素子の両端にQE[V]が発生
②並列共振回路に外部からI[A]を加えると、素子にQI[A]が流れる
※共振回路のQは、周波数の選択度を表す
共振周波数f0で共振した際、
①直列共振回路では素子の両端電圧QE
②並列共振回路では素子に流れる電流QI
を基準(0dB)とする。
※直列共振時のインピーダンスは抵抗分だけとなり最小となり、電流は最大となる。CとLの両端子電圧は電源電圧のQ倍となり電圧増幅される。
この際、共振周波数f0に対して上下の周波数で、値が-3dB(基準値の1/√2=0.707倍、パワーで2分の1)となる周波数(f1、f2)が半値幅となる。
※高周波回路では共振の鋭さを表すのにも使われる.この値が大きいほど帯域が狭い.
共振回路のQ値
Q = (1/R)√(L/C)
_◇アンテナのQ値
Q値とは中心周波数(搬送波の周波数) とバンド幅 の比
Q=ω0/Δω
※ω0は共振ピークでの共振周波数、Δωは共振ピークの左側において振動エネルギーが共振ピークの半値となる周波数と共振ピークの右側において振動エネルギーが半値となる周波数の差(半値幅)。
※Δωが大きい(Qが小さい)方が多くの情報を送れるが、混信の問題が起こる。Qが大きければエネルギー散逸が少なく、正確な周波数で、発振が長く続く。
_◇コイルQと損失率D
※Q (Quality)の値が大きいほど、良いコイル。テレビやラジオで使われるコイルの質の良さを示す数値で、次式で表される。
Q =εLx / Rx
※損失率D
損失率とは、コイルの良さQ の逆数
D = 1/Q = Rx / εLx
※コイルの品質を表す.値が大きいほど損失が少ない.
インダクタ
Q = (2πfL)/R
キャパシタ
Q = 1/(2πfCR)
※高いQ値使用には温度補償必要
◆特性インピーダンス
characteristic impedance
一様な伝送路を用いて電気エネルギーを伝達するときに伝送路上に発生する電圧と電流の比率
⇒分布定数回路における概念
※空間
電圧と電流の代わりに電場と磁場の比率が用いられる
※通常インピーダンスは周波数によって変化する
⇒分布定数系の伝送線路の場合、一定の範囲の高周波では、伝送線路の単位長さあたりのLとCという線路の特性によって周波数によらず一定のインピーダンスになる。
※単位長さあたりのインダクタンスLの電気伝導体と、単位長さあたりの静電容量Cの絶縁体を組み合わせた損失のない均一な伝送路の特性インピーダンスZ0は
Z0=√(L/C)
※「75Ω」の同軸ケーブルの場合、ケーブルの中心と外部導体間のインピーダンスの値は、低周波(数十KHz程度以下)では、Z0=√(R/j*2πfC)で減少し、1MHz程度までの遷移領域で折れ曲がり、1MHzを超える高周波領域では、ほぼ一定の値Z0=√(L/C)となる。
⇒同軸ケーブルでは75Ωもしくは50Ωが多い
※プリント基板上では50Ωが多い
※差動ペアでは100Ω(2本のラインを一対とするため)
⇒PCI Express, SATA
※差動でも100Ωでないものもある
USB2.0 90Ω
_◇インピーダンス平面
横軸に抵抗成分R, 縦軸にリアクタンス成分jXをとる。
※正規化インピーダンス平面
RとXをシステムで使われる特性インピーダンスZ0で割って求めたものを正規化インピーダンスと呼ぶ。
※無線系では50Ωにすることが多い。
※重み付け正規化インピーダンス平面
0.21/3
0.52/3
1.01
2.04/3
5.05/3
∞2
と重み付けをすることで桁の大きな数を扱えるようにする。
_◇スミスチャート
重み付け正規化インピーダンス平面について、抵抗の正の無限大とリアクタンスの正、負の無限大をリアクタンス軸を円状にしてまるめて重ねた図表。
伝送路のインピーダンス整合を設計する際に用いられる、複素インピーダンスを示す円形の図表
伝送路の負荷の正規化インピーダンスZL(負荷のインピーダンスを特性インピーダンスで割ったもの)を使って、
Γ= (ZL – 1)/(ZL + 1)
を複素平面、ただし、虚軸を円とし、原点を左の端、実軸、虚軸の無限大を右の端、としてプロットしたもの。
図の中心(1,0)は負荷と伝送線路が整合された状態。図の周囲の円は100%の反射で、周囲の角度は反射係数の位相を0から180度で示す。
※ネットワークアナライザ
高周波回路網の通過反射電力を測定する装置
通過反射電力特性はSパラメータとして測定され、スミスチャートなどで出力される。
_◇Sパラメータ(散乱行列)
   a1    2端子回路網   a2
 ┌──→┐┌─────────┐┌←──┐
┌┴─┐ └┤ ──S21─→ ├┘ ┌─┴┐
│Z0│  ││       ││  │Z0│
└┬─┘  ││S11 S22││  └─┬┘
┌┴┐   │↓       ↓│    │
│~│  ┌┤ ←─S12── ├┐   │
└┬┘  │└─────────┘│   │
 └──←┘           └→──┘
   b1             b2
a1:入力端子への入射波
b1:入力端子からの反射波
a2:出力端子への入射波
b2:出力端子からの反射波
連立方程式を考える
b1 = S11*a1 + S12*a2
b2 = S21*a1 + S22*a2
S**は、入力端子と出力端子を特性インピーダンスZ0で終端したときに得られる定数で、S(Scattering:散乱)パラメータと呼ぶ。
入力反射係数
S11 = b1/a1 (a2=0のとき)
順方向伝達係数
S21 = b2/a1 (a2=0のとき)
逆方向伝達係数
S12 = b1/a2 (a1=0のとき)
出力反射係数
S22 = b2/a2 (a1=0のとき)
Sパラメータは
反射係数∠位相角
伝達関数∠位相角
と複素表現する。
※伝達関数または、反射係数をΓ、位相角をθで表す。
例)1GHzにおけるSパラメータが
|S11|=0.26 50Ω系の信号発生器から1GHzの信号を入力すると
(0.26^2)*100=6.8%
の電力反射が起こる。
|S21|=3.744 50Ω系の信号発生器から1GHzの信号を入力すると
10*log(3.744)^2=11.5dB
の利得がある。
|S12|=0.136 50Ω系の信号発生器から出力に1GHzの信号を入力すると
10*log(0.136)^2=-17.3db
減衰した信号が入力に現れる
|S22|=0.266 50Ω系の信号発生器から出力に1GHzの信号を入力すると
(0.266^2)*100=7.1%
の電力反射が起こる。
※正規化インピーダンスZn=Rn+jXnとΓ,θの変換
Rn=(1-(Γcosθ)^2-(Γsinθ)^2)
 / ((1-Γcosθ)^2+(Γsinθ)^2))
Xn=2Γsinθ / ((1-Γcosθ)^2+(Γsinθ)^2))
|Γ|=√{((Rn-1)^2+Xn^2)/((Rn+1)^2+Xn^2)}
θ=tan^-1{2Xn/((Rn-1)*(Rn+1)+Xn^2)}
※回路網の通過、反射電力特性を表現する。
Sパラメータの各要素を複素数とすることにより回路の振幅に対する影響に加えて位相に対する影響も記述できる。
S11: 端子1から信号を入力したときに、端子1に反射する信号
S21: 端子1から信号を入力したときに、端子2に通過する信号
S12: 端子2から信号を入力したときに、端子1に通過する信号
S22: 端子2から信号を入力したときに、端子2に反射する信号
_◇インピーダンス整合
受け側回路において得られる電力を最大にするために、インピーダンスを等しくすること。
※特性インピーダンス
無限長の伝送線路を、その端からみたときの等価的なインピーダンス
例)75Ω同軸ケーブルの先を切って75Ω抵抗を接続しても他端から見た場合、抵抗があるのか、無限にケーブルが続くのか区別できない。マッチングのとれたケーブルにやってきた信号(電気)は終端反射を起こすことなく、全て抵抗に渡される。
信号源の出力インピーダンス
Zs = Rs + jXs
負荷のインピーダンス
Zl = Rl + jXl
伝送線路の特性インピーダンス
Zt = Rt + jXt
もっとも良い電力伝送ができる条件は、
Rs=Rt=Rl
Xs=Xt=Xl=0
※信号はインピーダンスが異なる境界で反射する
⇒インピーダンス整合が取れていないと終端部で大きな反射波が発生する
①電圧源、内部インピーダンス
Zs = Rs + jXs
②負荷、インピーダンス
Zl = Rl + jXl
※電源から取り出される電力は、
 Zl = Zs~
のとき最大となり、最大値は、
 Pa = |Vs|**2 / 4*Rs
※Paを電源の有能電力(available power)とよぶ。
※Zl = Zs~であるとき負荷は電源インピーダンスと整合しているという。
※回路と回路が接続される境界において双方のインピーダンスが等しくない場合に、回路(伝送路)と回路(負荷)の境界にインピーダンス整合回路を挿入する。
_◇終端反射
回路要素のインピーダンスと伝送路の特性インピーダンスが異なるとエネルギーの一部が反射されて伝達されない。この行き先がなく跳ね返る状態をケーブルの終端反射という。
例)
上流
特性インピーダンスZ1
下流
特性インピーダンスZ2
  Z2-Z1
m=-----
  Z2+Z1
Vsの振幅の信号が上流から到達し、Vrの振幅の反射が返る
※電圧反射係数
Vr / Vs = m
※電圧透過係数
Vt / Vs = 1 + m
_◇インピーダンス変換回路
インピーダンスを整合させるためにその変換を行う回路
⇒π型で入出力端を構成した共振回路やトランスでインピーダンス変換を行う。
※トランス(変成器)
巻数比(変圧比)nのトランス2次側につながれた抵抗Rは1次側からみると電圧1/n倍、電流n倍になるので、見かけの負荷は、1/n^2倍に変換される。この値が供給側のインピーダンスに等しくなるように変圧比nを設定する。
※コイルとコンデンサによる整合
高周波回路で使われる。低周波回路では実部のインピーダンス整合のみで良い場合が多いが、高周波では虚部のインピーダンス(リアクタンス成分)の整合が必要になるため。接続する回路または部品のインピーダンスが複素共役の関係になるように整合回路を設計する。
※抵抗による整合
低周波の場合、簡易、広帯域的にインピーダンスを整合させる方法として、出力インピーダンス0Ωとみなせるオペアンプに特性インピーダンス75Ωの同軸ケーブルをつなぐために75Ωの抵抗を直列にいれる。あるいは入力インピーダンス∞とみなせる非反転型オペアンプに同軸75Ωをつなぐために並列に75Ωの抵抗を入れる。
_◇集中定数インピーダンス整合回路
2つの異なる抵抗成分のみのインピーダンスR1とR2の回路を接続するとき(それぞれの回路は、扱う周波数で共振させてあり、リアクタンス成分Xは0とする)、以下のL型インピーダンス整合回路が用いられる。
※扱う周波数が低いとき(数百MHzまで)は集中定数回路として個別部品で実現できる。
     ┌─┐
○──┬─┤L├─○
R1┌┴┐└─┘ R2
  │C│
  └┬┘
○──┴─────○
Q=√(R1/R2 – 1)
C=Q/(2πfR1) [F]
L=R2*Q/(2πf) [H]
※L型インピーダンス整合回路のQは、通常5~10
_◇Qマッチング回路
分布定数回路によるインピーダンス整合回路
長さがλg/4の伝送路を用いる。
R1←→R3のインピーダンス変換を行う場合、Qマッチング回路の伝送線路の特性インピーダンスをR2とすると
R2=√(R1*R3)
マイクロストリップ線路によるQマッチング回路
───┐
   └──────
R1   R2   R3
   ┌──────
───┘     │
   │ λg/4│
   │←───→│
_◇アンテナにおけるマッチング
給電線とアンテナを伝達損失が無いように接続する。
※給電線
アンテナと送信機、受信機の間で高周波電力を伝送するための伝送路。アンテナとの接続点を給電点(feedpoint)という
①平衡型(フィーダー線)
②不平衡型
同軸ケーブル
ストリップライン
_◇空間インピーダンスと電波暗室
※空間インピーダンス
電界と磁界の比。真空中の空間インピーダンスη0(空気中とほぼ等しい)は約377Ω
η0=√(μ0/ε0)
※電波暗室
部屋の壁をフェライト材のような電磁的に吸収する材質で貼って、空間を進んできた平面波が来ると377Ωの抵抗を示すようにすると壁で電磁波が吸収され反射しない。
_◇受動二端子対網とZ行列
2つの端子対を持つ回路。それぞれの端子対で回路に入る電流と回路から出てくる電流が等しいもの。
 I1┌──┐ I2
○→─┤  ├─←○
↑  │  │  ↑
│V1│  │  │V2
│  │  │  │
○←─┤  ├─→○
 I1└──┘ I2
※内部に電源を含まないものを受動二端子対網、内部に電源を含むものを能動二端子対網と呼ぶ
V1 = z11*I1 + z12*I2
V2 = z21*I1 + z22*I2
2端子対網のインピーダンス行列(Z行列)
Z=(z11 z12)
  (z21 z22)
各要素をインピーダンスパラメータと呼ぶ
V=(V1)
  (V2)
I=(I1)
  (I2)
とベクトル表示すると
V=ZI
※インピーダンス行列においてz12=z21が成立する回路(相反定理が成立する回路)は相反回路とよばれる。抵抗、コイル、コンデンサだけからなる回路は相反回路である。
※対称2端子対網
1次、2次を交換しても関係式が同じになるもの
相反回路に加えてz11=z22が成り立つ。
_◇影像パラメータ
2端子対網にZI1,ZI2を接続したときに、入力インピーダンスがZI1,出力インピーダンスがZI2に、端子対から見た左右のインピーダンスが等しくなるとしたときの、ZI1,ZI2を映像インピーダンスと呼ぶ。
        ┌──┐
 ┌─○────┤  ├────○─┐
 │      │  │      │
┌┴──┐ → │  │ ← ┌──┴┐
│ZI1│ZI1│  │ZI2│ZI2│
└┬──┘   │  │   └──┬┘
 │      │  │      │
 └─○────┤  ├────○─┘
        └──┘
内部インピーダンスがZI1に等しい電源と、ZI2に等しい負荷を回路に接続したときに
e^θI=√((V1*I1)/(V2*I2))
となるθI
θI = (1/2)ln((V1*I1)/(V2*I2))
を影像伝送量(影像伝達定数)という。
※影像インピーダンスと影像伝送量をあわせて影像パラメータと呼ぶ
◆集中定数回路と分布定数回路
電子回路で扱う周波数が高くなって高周波の領域に達すると、単純な回路図どおりに動作しなくなる。
例)10MHz→1波長30m
1GHz→0.3m
損失がなく波長短縮が起こらない理想的な電線に10V、10MHzの信号を流したとすると、起電点の電圧0Vのとき、10MHzなら起電点から7.5mで10V。1GHzの信号であれば0.075mで10Vとなる。この位置に長さ3cmの無損失の2端子部品を入れたとすると
10MHz出力端は9.9998V
1GHz出力端は8.09V
例)
30MHz。。。波長10m
信号強度が≒とみなせるのは20cm
600MHz。。。波長50cm
信号強度が≒とみなせるのは2.5cm
例)
40芯のIDEケーブル⇒46cm程度(33MHz限界)
※周波数が上がると単なる配線がコイル、コンデンサ、抵抗の組み合わせのように見える
_◇集中定数回路
その回路が扱う信号において、部品がその部品の電気特性を示す回路素子として扱える回路
※集中定数回路網で扱える回路を「低周波回路」ということがある。通常の電子部品の大きさであれば、30MHz程度が目安となる。
※1mm角のような小さな電子部品で数cm程度の配線で行えば300MHz程度まで集中定数回路網として扱えることがる。
_◇分布定数回路
配線の長さや部品の大きさを考慮して回路を組まないと十分な性能を出せない回路
※分布定数回路網として扱う必要があるような回路を高周波回路ということがある。
_◇ストリップライン、マイクロストリップライン
※ストリップライン
表裏面に導体箔を形成した板状誘電体基板の内部に線状の導体箔を形成した構造を持ち電磁波を伝達する伝送路。
内部導体から外部導体に向かう方向の電界と、内部導体周囲を囲む方向の磁界によって電磁波を伝送する。同軸ケーブルの外部導体の両側面を切り開いて2枚の板とし、内部導体を箔状に引き延ばした形状に相当する。
ベタ面の上を走る基板パターン(信号線路)の場合、線路の幅Wとベタ面からの距離Hおよびその間の絶縁材の比誘電率εrにより特性インピーダンスが決まる。ガラスエポキシ基板では比誘電率εrは4.5程度。線路に近接しているベタ面が電源層でもグランド層でもDC電圧にかかわらず特性インピーダンスは同じとなる。
例)2枚の御同じ厚さの層構成のPCB
一方が誘電率 4.3
他方が誘電率 3.5
特性インピーダンス 50Ωのパターン
2枚目の幅が1枚目の幅より広くなる
※信号に影響を与えるのは、その立ち上がり、立下りのエッジが広がる範囲に対する実効的平均特性インピーダンスである
立ち上がり時間秒
伝搬速度 m/秒
の積で範囲が決まる
例)誘電率4.3なら伝搬速度6インチ/ナノ秒
⇒ある1点だけのインピーダンスの乱れは影響しにくい
※マイクロストリップライン
ストリップラインの構造を半分片面としたもの。
_◇マイクロストリップ線路
主にUHF帯からSHF帯の領域で使われる。
プリント基板の裏面を全面グラウンド、表面にパターンによる線路を作成する。
※プリント基板に線路を引くと、プリント基板の誘電体の効果により、自由空間よりも電気長が短縮される。誘電率が高い基板を使用すると、分布定数回路を小型にできる。
※特性インピーダンスの近似式
Zt=120π/((W/h+1)√(εr+√(εr))) [Ω]
※ショートスタブ回路
─────────
Z0
──┐  ┌───
  │Zs│↑
  │  ││l
  └┬─┘↓
   ┴接地
スタブ自体の特性インピーダンスをZsとすると、ショートスタブと伝送線路の交点のインピーダンスZは、
Z=j*Zs*tan(βl)
ここで
β=2π/λg
λgは位相定数で、波長短縮率を考慮したストリップ線路上での1波長の長さ
λg=λ/√(εrel)
①l<λg/4のとき、インダクタンス
───┬─────
   │
  ┌┴┐
  │L│
  └┬┘
   ┴接地
②λg/4<l<λg/2のとき、キャパシタンス
───┬─────
   │
  ┌┴┐
  │C│
  └┬┘
   ┴接地
※オープンスタブ回路
─────────
Z0
──┐  ┌───
  │Zs│↑
  │  ││l
  └──┘↓
スタブ自体の特性インピーダンスをZsとすると、ショートスタブと伝送線路の交点のインピーダンスZは、
Z=-j*Zs*tan(βl)
①l<λg/4のとき、キャパシタンス
───┬─────
   │
  ┌┴┐
  │C│
  └─┘
②λg/4<l<λg/2のとき、インダクタンス
───┬─────
   │
  ┌┴┐
  │L│
  └─┘
_◇1/4波長スタブ回路
①1/4波長ショートスタブ回路
等価的に並列共振回路にみえる。伝送線路とスタブの交点のインピーダンスは∞。高周波的には高インピーダンスで、直流的には0Ω。グラウンドを直流的に分離し、インピーダンスの低い電源を接続するとショートスタブが高周波用チョークコイル(RFC)として機能する。
○───┬───○
  ┌─┴┐
 ┌┴┐┌┴┐
 │C││L│
 └┬┘└┬┘
  └─┬┘
    ┴
②1/4波長オープンスタブ回路
末端がオープンであるにも関わらず、等価的にグラウンドと信号線の間に直列共振回路を挿入したものと等価となる。伝送線路とスタブの交点のインピーダンスが0Ωとなる。高周波的には低いインピーダンスで、直流的にはインピーダンスは∞となり、バイパスコンデンサとして機能する。
○───┬───○
   ┌┴┐
   │L│
   └┬┘
   ┌┴┐
   │C│
   └┬┘
    ┴
※電源供給回路
───────
──┐ ┌──
  │ │ ↑
  │ │ │λg/4
  │ │ │
  │ │ ↓
 ┌┘●└┬─
 │   │↑
 │   ││λg/4
 │   ││
 │   │↓
 └───┘
●が電源供給点
◆シングルエンド、ダブルエンド
_◇シングルエンド(不平衡入力)
◆トランスジューサの可逆性
◆過渡現象/過渡応答
定常状態<>過渡状態
※過渡現象を発生させるのは、「コイルとコンデンサ」として、ほぼ当てはまる。
①微分型(ハイパス型)回路
    /    ┌─┐
 ┌─○ ○─○─┤R├┬─○
 │ SW  ↑ └─┘│ ↑
┌┴┐    │入  ┌┴┐│出
│+│    │力  │L││力
│-│    │   └┬┘│
└┬┘    ↓    │ ↓
 └─────○────┴─○
R:100Ω
L:1mH
    /    ┌─┐
 ┌─○ ○─○─┤C├┬─○
 │ SW  ↑ └─┘│ ↑
┌┴┐    │入  ┌┴┐│出
│+│    │力  │R││力
│-│    │   └┬┘│
└┬┘    ↓    │ ↓
 └─────○────┴─○
R:100Ω
C:1uF
②積分型(ローパス型)回路
    /    ┌─┐
 ┌─○ ○─○─┤L├┬─○
 │ SW  ↑ └─┘│ ↑
┌┴┐    │入  ┌┴┐│出
│+│    │力  │R││力
│-│    │   └┬┘│
└┬┘    ↓    │ ↓
 └─────○────┴─○
R:100Ω
L:1mH
    /    ┌─┐
 ┌─○ ○─○─┤R├┬─○
 │ SW  ↑ └─┘│ ↑
┌┴┐    │入  ┌┴┐│出
│+│    │力  │C││力
│-│    │   └┬┘│
└┬┘    ↓    │ ↓
 └─────○────┴─○
R:100Ω
C:1uF
_◇抵抗とコイルのケース
①コイルに電圧が加わった瞬間は、抵抗値は無限大
②じょじょに抵抗が小さくなり
③抵抗量はゼロになる
_◇抵抗とコンデンサのケース
①コンデンサに電圧が加わった瞬間は、抵抗値はゼロ
②じょじょに抵抗が大きくなり
③抵抗量は無限大となる
_◇回路方程式
結局、過渡現象でも回路方程式は変わらない。
Vcoil(t)=L(di(t)/dt)
Vcap(t)=Q(t)/C=(1/C)∫i(t)dt
例えば、コイル抵抗の回路であれば、微分方程式
E=R*i(t)+Vout(t)=R*i(t)+L(di(t)/dt)
これを解くと
i(t)=(E/R)*(1-e^(-R*t/L))
を得る
微分型ならVout=Vcoil, 積分型ならVout=Vrを求めれば、これが求める過渡応答の電圧波形となる。
Vr=R*i(t)=E*(1-e^(-R*t/L))
Vcap==E*(1-e^(-t/CR))
_◇時定数
t=L/R もしくは t=C*Rとおいてみると、eの指数部が1となり、大きさは最終値の(1-1/e)倍となる。このtを時定数と呼び、τで表す。τは過渡現象の進みの速い遅いを表す定数となる。
※約63.2%
◆周波数応答
制御系に正弦波の入力信号を与え、出力信号が正弦波の定常状態に達したときの応答を周波数応答という
_◇ボード線図
ゲイン対周波数の関係と相対周波数の関係を直交座標上に表し、一組としたもの
通常、周波数は横軸に対数目盛りで
ゲインはdB単位 20log10|G(jω)|
_◇ベクトル軌跡
周波数を0からまで変化したとき、周波数伝達関数の絶対値および偏角によって定まる点を複素面上に描いたものをベクトル軌跡という。
_◇ナイキスト線図
制御系の一巡伝達関数のベクトル軌跡をナイキスト(Nyquist)線図ともよぶ。
※ベクトル軌跡
周波数を0から∞まで変化させたとき、周波数伝達関数の絶対値および偏角により定まる点を複素平面上に描いたもの
◆インパルス応答
_◇方形波
非常に高い周波数成分を含む。
_◇インパルス
インパルス信号は高調波を同じ強度で含む。応答を解析すれば周波数特性のみならず過渡特性も推定できる。
◆IQ平面と直交変調
_◇直交変調
2系統のデータI信号とQ信号は、90度異なるIF信号で変調される。その結果を加算してベースバンド(BB)信号を得る。
_◇IQ平面
BB信号は直交したIQ平面上の点で表すことができる。
※I,Q2系統のDAC出力を軌跡を含めてIQ平面上で表現すればベクトル図となる
※しかし、I、Q信号自体は実際のアナログ電圧として存在しているわけでなく、デジタル信号処理上の仮想的な量であるかもしれないことに注意。
※極座標で解釈すれば距離の変化(AM)と角度の変化(PM)の組み合わせで変調を表現しているとも見れる。
⇒ポーラ変調 Polar Modulation
ポーラ変調ブロック図
     ┌───┐振幅変調
   ┌→┤変調器├──────┐
   │ └───┘      │
I ┌┴───┐        │
─→┤    │        │
  │極座標 │        │
Q │信号処理│        │
─→┤    │        │
  └┬───┘   位相変調 ↓
   │ ┌───┐ ┌─┐ ┌─┐ RF
   └→┤変調器├→┤~├→┤ >─→
     └───┘ └─┘ └─┘
_◇I-Qコンスタレーション
(I-Q constellation)
直交変調に対し,同相成分をx軸,直交成分をy軸として信号(コード)を表したもの.
※途中のベクトルでなく、コード点のみの表現。
※I側Q側のゲインが異なる
縦横比が1:1にならない
※IF信号の位相差が90度でない
平行四辺形となる(各頂角の角度が90度でない)
※ノイズ
頂点が滲む
⇒誤差が大きくなり、隣の点と識別できなくなればエラーとなる。
_◇エラーベクトルとEVM
※エラー・ベクトル(EV)とは、伝送されてきたシンボルがIQ平面上で実際に占める位置(測定信号)と理想的な位置(基準信号)との差のベクトル。
振幅エラー(IQエラー振幅)
位相エラー(IQエラー位相)
※ベクトルの大きさをEVMとよぶ
Error Vector Magnitude
※実際の基準信号とは、CDR処理をおこなう過程で受信側で推定した理想的なタイミングである。
_◇アイパターン
IまたはQのデータを横軸に時間(ただし、クロック波形を抽出し、このタイミングにあわせたもの)をとって表現したもの
◆トーンバースト信号(波束)
瞬間的に発生する交流信号。波束の伝播速度を群速度と呼ぶ。
※フーリエ合成では、中心周波数fcのコサイン波にその周辺周波数のコサイン波を混ぜる(たとえばガウス分布で重みをつけて)ことで生成できる。
◆群遅延
波束は以下でφn=0とした合成波と見なせる
f(t) = ∑[n=1:∞]Cn*cos(n*ω*t+φn)
このような波束に対して、周波数に依存する位相遅れ(例えばfcでは位相遅れ無いが、(f-fc)⊿φとなるような位相遅れ)があったとすると、波束の中心位置が遅延して同型の波形が観測されることになる。
※群遅延時間の定義式
⊿t=-dφ/dω=(-1/2π)dφ/df
…位相シフトの周波数微分値
※群遅延による時間遅れは、信号が媒体を伝わる時間に由来するものではなく、位相歪みの現れである。
※位相遅れが周波数に比例して変化するならば、全周波数にわたって⊿tは一定となる。
◆雑音
※雑音
振幅がデタラメに変化する波形
⇒振幅Aに対する発生頻度p(A)の形状により分類できる
ランダムな変動⇒高い周波数成分を多く含む
_◇雑音の分類
外来雑音
内部雑音
_◇電力スペクトル密度による分類
※電力スペクトル密度 Pn(f)
周波数 f を中心とする1Hzの帯域内の平均電力
[W/Hz]
⇒周波数帯域で積分すれば帯域内の rms値を得られる
※電流、電圧での比較の方が便利なので平方根をとる
⇒雑音スペクトル密度
※電流スペクトル密度による内部雑音分類
①Pn(f) = c
白色雑音(ホワイトノイズ)
発生源により分類
ショット雑音
PN接合
ジョンソン雑音
②Pn(f) ∝ 1/f
フリッカ雑音
1/fコーナーを越えると平坦となる
③Pn(f) ∝ 1/f^
…._◇アンプにおける雑音スペクトル密度の表示
_◇アンプにおける雑音スペクトル密度の表示
noise density
※電圧ノイズ
アンプ入力端子ショート⇒出力電圧変動
※電流ノイズ
アンプ出力端子オープン⇒出力電流変動
⇒アンプ利得を考慮しなくて良いように入力値に換算
V/√Hz
_◇一様分布雑音
uniform distribution
p(A)=1/(2*Amax) |A|≦Amaxのとき
=0|A|>Amaxのとき
※white noise
※平坦な振幅スペクトル
位相スペクトルはデタラメな値
…._◇正規分布雑音
_◇正規分布雑音
normal distribution
p(A)=(1/√(2π)σ)*e^(-(A^2/(2*σ^2)))
σは標準偏差
※雑音スペククトルは一様分布と似ている
◆ブリッジ
_◇ホイートストンブリッジ
a-c間抵抗:Q 既知抵抗
a-d間抵抗:P 既知抵抗
c-b間抵抗:X 未知抵抗
d-b間抵抗:R 既知抵抗
_◇平衡条件(零位方)
Q/X=P/Rより、
X=(Q/P)R(Ω)
_◇すべり線ブリッジを使用した場合X=(l/(L-l))R(Ω)
※ブリッジは電源電圧が変化しても平衡条件が変化せず測定確度が高い
※ホイートストンブリッジ回路
ホイートストンブリッジ回路では、ブリッジの平衡条件である
a : b <-E
a : c R1
a : d R2
c : b R4
d : b R3
R1*R3 = R2*R4
R1/R4 = R2/R3
が成立するとき、cd間に電位差は生じず、cd間に電流も流れない。
ブリッジが平衡状態ならば、ブリッジを構成する抵抗のうち、3個の抵抗値がわかっていれば、残りの抵抗値がわかる。
例えばR 1 、R 3 、R 4 の値がわかっている場合には、R 2 は、
R2 = R1*R3 / R4
で求めることができる。
ブリッジの平衡状態が崩れて(R 2 の温度が変化)、R 2 が R ‘2 になったときに、 cd間に電位差が生じて電流が流れる。ここに検流計を接続すれば R 2 と R ‘2 の抵抗の偏差を計測できることになり、 この偏差に特定の係数をかければ温度℃になる。
_◇万能ブリッジ
Lx = Cs * Ra * Rb
Rx = Ra * Rb / Rc
Cx = Cs * Rb / Ra
◆フィルタ
2ポート回路において、入力信号のうち特定の周波数成分の信号を取り出す回路をフィルタ(濾波器)という。
RBJ Audio-EQ-Cookbook
URL: http://www.harmony-central.com/Computer/Programming/Audio-EQ-Cookbook.txt
_◇回路形式、L,T,π型
▽L型
 ┌─┐
─┤①├┬─
 └─┘│
   ┌┴┐
   │③│
   └┬┘
────┴─
▽T型
 ┌─┐ ┌─┐
─┤①├┬┤②├─
 └─┘│└─┘
   ┌┴┐
   │③│
   └┬┘
────┴────
▽π型
  ┌─┐
─┬┤②├┬─
 │└─┘│
┌┴┐ ┌┴┐
│③│ │④│
└┬┘ └┬┘
─┴───┴─
※パッシブフィルタ
L,R,Cなどの受動素子だけを組み合わせた
※アクティブフィルタ
トランジスタ、オペアンプなどの能動素子を加えて構成したもの(Lの使用はほとんどない)
_◇種類
ある周波数f0を基準として分類される。
▽ローパスフィルタ LPF
f0より高い周波数を減衰させる
位相はfに対し遅れ、f0で90度遅れる
▽ハイパスフィルタ HPF
f0より低い周波数を減衰させる
位相はfに対し遅れ、f0で90度遅れる
▽バンドパスフィルタ BPF
f0の高低両側の周波数を減衰させる
ピークとなるf0より、-3dB減衰点の幅を⊿fとし
Q = f0 / ⊿f
位相はfに対し遅れ、f0で90度遅れる
▽帯域除去フィルタ BEF
f0の前後⊿fの帯域のみを減衰させる
-3dB減衰点の幅を⊿fとし
Q = f0 / ⊿f
位相はf0に向け90度まで遅れるが、
f0で+90度まで進みまた元に戻る。
▽オールパスフィルタ APF
周波数に対する通過電圧の変化はないが、位相だけが変化する。
※Qはフィルタの遮断特性の良さを表す係数である。
※アクティブフィルタの特性を決定する回路素子はC、Rの組み合わせを使うのが一般的であるが、f0を決定する素子としてCRを1組使用した場合を1次フィルタ、2組使った回路を2次フィルタと呼ぶ。
_◇
▽定K形フィルタ
▽誘導M形フィルタ
_◇回路計算例
①抵抗コイルによるローパスフィルタ
(実使用例は少ない)
       ┌─┐
 ┌─○─○─┤L├─┬─○
f│ ↑   └─┘ │ ↑
┌┴┐│      ┌┴┐│
│~││V     │R││Vr
└┬┘│      └┬┘│
 │ │       │ │
 └─○─○─────┴─○
ω=2πf
<以下は実効値での計算、周波数成分e^jωtは無し>
抵抗とコイルLの合成インピーダンスは
Z=R+jωL
回路に流れる電流は
I=V/(R+jωL)
抵抗の両端の電圧は
Vr=IR=V*R/(R+jωL)
※周波数成分を入れて尖頭値(実効値の√2倍)で表すならば、
Vr=√2VRe^jωt/(R+jωL)
※Vrから伝達関数H(ω)を求めると
H(ω)=Vr/V=R/(R+jωL)
⇒周波数が大きくなると伝達関数H(ω)が減衰する
②抵抗コイルによるハイパスフィルタ
(実使用例は少ない)
       ┌─┐
 ┌─○─○─┤R├─┬─○
f│ ↑   └─┘ │ ↑
┌┴┐│      ┌┴┐│
│~││V     │L││Vl
└┬┘│      └┬┘│
 │ │       │ │
 └─○─○─────┴─○
抵抗とコイルLの合成インピーダンスは
Z=R+jωL
回路に流れる電流は
I=V/(R+jωL)
コイルの両端の電圧は
Vl=I*jωL=V*jωL/(R+jωL)
※伝達関数
H(ω)=Vl/V=jωL/(R+jωL)
⇒周波数が小さくなると伝達関数H(ω)が減衰する
③抵抗コンデンサによるローパスフィルタ
       ┌─┐
 ┌─○─○─┤R├─┬─○
f│ ↑   └─┘ │ ↑
┌┴┐│      ┌┴┐│
│~││V     │C││Vc
└┬┘│      └┬┘│
 │ │       │ │
 └─○─○─────┴─○
抵抗とコンデンサの合成インピーダンス
Z=R+1/jωC
回路に流れる電流は
I=V/(R+(1/jωC))
コンデンサの両端の電圧は
Vc=I*(1/jωC)=V/(jωCR+1)
※伝達関数
H(ω)=Vc/V=1/(1+jωCR)
⇒周波数が大きくなると伝達関数H(ω)が減衰する
④抵抗コンデンサによるハイパスフィルタ
       ┌─┐
 ┌─○─○─┤C├─┬─○
f│ ↑   └─┘ │ ↑
┌┴┐│      ┌┴┐│
│~││V     │R││Vr
└┬┘│      └┬┘│
 │ │       │ │
 └─○─○─────┴─○
抵抗とコンデンサの合成インピーダンス
Z=R+1/jωC
回路に流れる電流は
I=V/(R+(1/jωC))
抵抗の両端の電圧は
Vr=IR=VjωCR/(jωCR+1)
※伝達関数
H(ω)=Vr/V
=jωCR/(jωCR+1)
⇒周波数が小さくなると伝達関数H(ω)が減衰する
_◇3dBカットオフ周波数
減衰量が1/√2になるところをカットオフ周波数とよぶ。
20*log(1/√2)≒-3
①抵抗コイルのローパスフィルタ
伝達関数は、
H(ω)=R/(R+jωL)
ここでR=ωLとなる場合、
R+jωL=R+jR
絶対値をとると
|R+jR|=√(R^2+R^2)=√(2)R
から
|H(ω)|=R/√(2)R=1/√2
つまり、
R=ωL=2πfLより
カットオフ周波数は、
f=R/2πL
②抵抗コンデンサのローパスフィルタ
伝達関数
H(ω)=1/(1+jωCR)
1=ωCRで、絶対値1/√2となる
よってカットオフ周波数は、
f=1/2πCR
_◇アクティブフィルタ
▽多重帰還型アクティブフィルタ
      ┌────┬────┐
     ┌┴─┐ ┌┴─┐  │
     │Y4│ │Y5│  │
     └┬─┘ └┬─┘  │
  ┌──┐│┌──┐│┌──┐│
○─┤Y1├┼┤Y3├┴┤- ││
ei└──┘│└──┘ │ A├┴○
○    ┌┴─┐  ┌┤+ │ eo
│    │Y2│  │└──┘ ○
│    └┬─┘  │     │
┴     ┴    ┴     ┴
伝達関数
eo        -Y1Y3
--=--------------------
ei Y5(Y1+Y2+Y3+Y4)+Y3Y4
▽VCVS型アクティブフィルタ
▽状態変数型アクティブフィルタ
◇ナイキストフィルタ
(Nyquist filter)
インパルス応答がシンボル周期Tと同じ周期で0となるフィルタ。
※インパルス応答がT(sec)ごとにゼロクロスする=ナイキスト第1基準。(ナイキスト第一基準を満足するシステムを,ナイキストフィルタと呼ぶ)
※コサインロールオフフィルタ(cosine roll-off filter)=ナイキストフィルタの一種
※通信用フィルタとしての周波数特性
ビットレートの2分の1(カットオフ周波数)を中心に対称となるようにする。
_◇ガウシアンフィルタ
インパルス入力に対して、オーバシュートが無く、かつ時間軸で左右対称な出力(例:ガウスカーブそのもの)が得られるフィルタを総称して、ガウシアンフィルタと呼ぶ。
※理論的なガウシアン特性は LCR では実現できない
※高次の Besselはガウシアンに入れる派と入れない派がある。
※ガウシアンエッジで信号の立ち上がり、降下を表現すれば、信号エッジを折れ線(PWL: Piecewise-Linear)法で表現するより現実の信号に近くなる(高速システム)
※ガウシアンフィルタの近似例
5段のCLフィルタ回路
_◇カルマンフィルタ
カルマンフィルターは、誤差のある観測値を用いて、ある動的システムの状態を推定あるいは制御するための、無限インパルス応答フィルターの一種である。
カルマンフィルターは隠れマルコフモデル (hidden Markov model) の類似であると考えることができる。2 者の主たる差異は隠れマルコフモデルにおける状態変数が、連続であるか離散であるかである。また、隠れマルコフモデルでは状態変数の未来への変化を任意の分布に従う形式で統計的に与えることができる一方で、カルマンフィルターでは、ガウス分布に従う雑音によって未来の状態変数が統計的に記述される点が異なっている。したがって、カルマンフィルターと隠れマルコフモデルの間には強固な双対性が存在する。
_◇IIRとFIR
無限インパルス応答 Infinite impulse response (IIR)
無限長の時間においてゼロでない値を返すインパルス応答関数を持つ
例)単純なRCフィルタはアナログIIRである。
※一般にIIRフィルタはFIRフィルタに比較して高速で安価だが、バンドパスフィルタとしての性能や安定性が劣る。
有限インパルス応答 (FIR)
有限の時間についてのインパルス応答があるもの
_◇Biquadratic filter (Biquad filter)
伝達関数の分母・分子ともに2次のIIRフィルタ。双2次フィルタ。
RCL回路でアナログの双2次フィルタが作れる。
◆デシベル
_◇定義
ある基準電力すなわち単位時間当たりの仕事量に対する比の常用対数の値を「ベル」(bel)として、それを更に10倍(=デシ[d])する
電圧比の2乗が電力比だから、電力比の定義を電圧比に書き換えると対数の係数が2倍の20となる。
※電力比なら定義どおり
G [dB] = 10*log{P2/P1}
※電圧比
増幅器の入力に接続された抵抗R1の両端にV1の電圧が生じたときの増幅器への入力電力をP1, 出力に接続された抵抗R2の両端にV2の電圧が生じたときの出力電力をP2とすると、
P1=V1^2/R1, P2=V2^2/R2
G [dB] = 10*log{(V2^2/R2)/(V1^2/R1)}
R1とR2が等しい場合には、
G [dB] = 10*log{V2^2/V1^2}
より
G [dB] = 20*log{V2/V1}
となる
※電流比
同様に電流で考えても、R1とR2が等しい場合には
G [dB] = 20*log{I2/I1}
※増幅器の入力インピーダンスと出力インピーダンスが等しいときに成り立つ式である。
_◇電圧比早見表
db 電圧比
0 1
3 1.4
6 2
14 5
20 10
26 20
34 50
40 100
60 1000
80 10000
100 100000
_◇電圧利得
OPアンプのような入力インピーダンスが非常に高く、出力インピーダンスが非常に低い増幅器で、入出力のインピーダンスが等しく無いにも関わらず以下で求めることがある。
G [dB] = 20*log{V2/V1}
_◇電力[dBm]
デシベル[dB]表示で、電力を表したのがディビーエム[dBm]。1ミリワットを0dBmと定義。
  1mW 0 dBm
  10mW 10 dBm
  100mW 20 dBm
  1W 30 dBm
  1kW 60 dBm
※電力のデシベル[dB] = 10*log(真値)
例)600オームの抵抗負荷に1mWの電力を供給するのに必要な交流電圧は約0.775VRMS
_◇電圧[dBμV]
1μV = 0dBμVと定義。
※無線通信での電界強度表示の基準
a[μV]の電力をdBμVで表すと
dB=20 log a
※dBμVは電圧基準なので、負荷抵抗により電力異なる。
EMF(Electro Motive Force)開放端
PD(Potential Drop)負荷端
※負荷の値
低周波のシステム600Ω系
無線機50Ω系
測定器75Ω系
※dBm(50Ω系), dBuV(EMF), dBuV(50Ω系)の関係式
0dBm = 113 dBuV(EMF) = 107 dBuV(PD)
_◇電圧、電界強度
電力は、電圧や電界強度の二乗に比例するので、電圧/電界強度のデシベル、デシベル値の「変化量」は2倍。電力の2倍は約3dBだが、電圧の2倍は6dB。
※電圧/電界強度のデシベル[dB] = 20*log(真値)
_◇dBμV→dBm変換
①負荷端電圧1uVが75Ωの終端抵抗にかかっている場合
1uV=0dbuVだから、負荷端電圧 0dBuV(LOAD)
電力は、電圧の二乗を終端抵抗で除算すればよい
(dBm単位-1mW-に単位換算するため1000を掛けている)
10*log((1e-6)^2/75*1000) dBm(75Ω) = -108.75 dBm(75Ω)
②開放端電圧の場合
負荷端電圧0dBuV(LOAD)とは、信号源から約-109dBmの電力が出力され、その約-109dBmの電力を終端抵抗で消費している。この状態から終端抵抗を取り外すと、信号源の出力電圧は、(終端抵抗の項参照)2倍の6dBuVとなる。よって、開放端電圧0dBuV(EMF)は-109dBmよりも6dB低い、約-115dBmである。
※開放端電圧1uVに負荷を繋いだときの負荷端電圧は、半分の0.5uVになるので、
 開放端電圧 0dBuV(EMF) → 10*log((1e-6/2)^2/75*1000) dBm(75Ω)
 = -114.77 dBm(75Ω)
③測定器などインピーダンスが50Ωの場合
 負荷端電圧 0dBuV(LOAD) → 10*log((1e-6)^2/50*1000) dBm(50Ω)
 = -106.99 dBm(50Ω)
 開放端電圧 0dBuV(EMF) → 10*log((1e-6/2)^2/50*1000) dBm(50Ω)
 = -113.01 dBm(50Ω)
_◇dBV
電圧、絶対値
1V を 0dBV とする。
※負荷に無関係
※家庭用オーディオ機器で使われる音声信号レベル基準
通常のマイクロホン出力が-40dB(10mV)~-50dB(3mV)程度。
※民生機器と業務機器の相互接続時には注意
_◇dBu (dBv)
0.775Vを0dB
※dBvと書くとdBVと混乱するためdBuと表記することが多い
※電圧。負荷のインピーダンスは無関係。
⇒由来的には、600Ωの負荷で1mWの電力が得られる電圧振幅0.775Vから来ている
⇒600Ω負荷のdBmとは
0dBm = 0dBu@600Ω
※主に業務用オーディオ機器で利用される音声信号レベルの基準。
※民生機器と業務機器の相互接続時には注意
_◇dBi
アイソトロピックアンテナ(全ての方向に均等に電波を放射する仮想的なアンテナ)を基準としたアンテナの利得。ダイポールアンテナを基準にする場合はdBdまたは単にdBと表す。dBi表記はdBdより2.14大きい
_◇dBc
高調波ひずみ等を表記する場合使われる。c(キャリア)に対する比を表現している。
例)基本波が5dBmで,高調波レベルが-40dBm
高調波レベルを-45dBcと表記する
※dBcで表記されている場合は,キャリア(基本波)のレベルが重要
_◇dBSPL
音圧レベル
20uPa = 0  dBSPL … 人間の耳の感知限界
1Pa   = 94 dBSPL
◆誘電率
_◇真空中の誘電率
真空中に面積S[m^2]の金属板2枚を距離d[m]で対向させ、コンデンサを形成した場合の容量[F]の式における係数ε0[F/m]
      S
C=ε0*---
      d
※ε0=8.85e-12 [F/m]
_◇比誘電率
誘電体の効果により、誘電体を間に挟んだ面積S[m^2]の金属板2枚を距離d[m]で対向させた場合、金属板の面積は、真空中の場合より拡張されたように見える。この比率を比誘電率εrとし、
         S
C=ε0*εr*---
         d
誘電率は
ε=ε0*εr [F/m]
_◇複素誘電率
誘電体には電気長を短縮する効果があるが、その分、損失を伴う。比誘電率εrは、電気長短縮に寄与するεr’と損失分εr’’にわけて考えられる。
εr=εr’+i*εr’’
ここで
     εr’’
tanδ=---
     εr’
を誘電正接といい、誘電体の損失を判断するパラメータとなる。
_◇実効誘電率
金属板の形状等により、金属板間に発生する電界の分布が一様でないとき、誘電率は一様である場合とは異なってくる。この場合の誘電率を実効誘電率といい、その値εrelは比誘電率εrよりも小さくなる。
マイクロストリップ線路で、パターンの幅をW、誘電体の厚みをh、比誘電率をεrとすると、以下の近似式が成り立つ。
①W/h < 1
εrel = ((εr+1)/2) + ((εr-1)/2√(1+12*h/W))
    + 0.02*(εr-1)*(1-W/h)^2
②W/h ≧ 1
εrel = ((εr+1)/2) + ((εr-1)/2√(1+12*h/W))
※誘電率は面積の効果なので、長さに換算して考えると実効誘電率のルートに反比例する
Lg=L/√εrel
◆ジュールの法則
Q=R*I*I*t [J]
◆アース
電力関係のアース
大地に接続し、人身を感電から保護する
電気事業法「電気設備技術基準」
①第1種アース「弱電流電線、低高圧電路当に高電圧の進入の恐れがあり、かつ危険度の大きい場合」10Ω以下
⇒大型コンピュータ等で準用
⇒低湿地なら10Ωは簡単だが、岩石の多い山岳地帯などでは困難。普通の土地でも接地抵抗低減剤(土壌安定剤、導電性助剤)を使うことなり。
②第2種アース 電力関係のみ
③第3種アース 100Ω以下。人間の感電防止。
_◇分散型アース、集中型アース
落雷時など、大きなサージ電流が流れる場合には分散型アースの方が故障少ない、との意見あるが、ケースによる。
_◇高層ビルのアース
アース導線の持つ抵抗だけでも抵抗値高く、インダクタンス成分もはいってくる。浮遊容量、相互インダクタンスもあり、実質的には専用アースにならない。建物の鉄骨をアースとみなすことが多い。
_◇家庭用100V
「6600Vの高圧電源が混触によって2次側に侵入してきた場合においても電力使用者の安全を守るため、片線をアースしなければならない」
家庭用AC100Vは片線アース
   ○──┐ ┃ ┌───→
AC   ┌┴┐┃┌┴┐100V
6600V│ │┃│ │
     │ │┃│ │
     │ │┃│ │
     └┬┘┃└┬┘
   ○──┘ ┃ └─┬─→
        ┸   ┴
※片線アースの弊害
①制御系
②医用電子機器
⇒絶縁変圧器を中間に入れ、AC100Vの電線を2本ともアースから浮かせる(非接地配電)
⇒ME機器(内視鏡、脳波計、心電計)
直接身体に電極を接触させ、あるいは心臓の近くで電気をとりあつかわねばならない機器
(安全基準)電源側と2次側とを2重に絶縁するか、あるいはヒューズ、安全抵抗などを設けなければならない
(二重絶縁にすることで、一方の絶縁が破壊しても他方の絶縁によって感電の危険を防ぎ、さらにリーク電流を少なくするため)
※電源コンセント、プラグ
①アース側に(W)マークがついている
②幅の広い方がアース側
③アースマーク
アース付き3本足プラグ
アースターミナル付きコンセント
アース線の接続は電源ケーブルを接続する前に行う
※水道管はアースにならない
硬質塩化ビニール管などが使用されている部位が多い
水の伝導性は低い
ρ[Ωm]
純水2.5e5
水道水1e0~2
海水0.3
飽和食塩水0.04
※エレクトロニクスのアースは、電子機器との寸法の大小によるが、その近傍の金属で一番大きいもの(例えば筐体)

☆デジタル回路

◆数値表現
_◇絶対値表示整数
※MSBにより、0は正数、1は負数のように数値の正負をあらわし、残りのビットで数値の大きさを表す
_◇2の補数表示整数
two’s compliment
※(2^N) + n の結果をNビットで表示する
正:0≦n<2^(N-1) 2^N項は桁あふれにより消滅し、|n|となる
負:-2^(N-1)≦n<0 2^(N-1) – |n|
⇒反転して1を足す
※負の2の補数表現も、反転して1を足せば絶対値となる
◆ド・モルガン則
de Morgan’s law
X~ + Y~ = (X*Y)~
X~ * Y~ = (X+Y)~
◆加算器
_◇半加算器
half adder
1ビットの加算器、下からの桁上げなし
C = X and Y
S = X xor Y
_◇全加算器
full adder
    ┌───┐       ┌─┐
 X○─┤X C├───────┤O│
    │   │ ┌───┐ │R├○CO
 Y○─┤Y S├─┤X C├─┤ │
    └───┘ │   │ └─┘
CI○───────┤Y S├────○S
          └───┘
◆順序回路
sequential circuit
※状態(state)と呼ばれる変数を記憶する回路を持つ
※現在の状態からと入力の組み合わせから次の状態が決まる
※出力は状態と入力の組み合わせできまる。
※クロック信号⇒記憶の更新タイミング
◆ステートマシン
_◇ワンホット型ステートマシン
1ビット1状態、デコードの必要なし
⇒高速

☆電気数学

◆交流回路に必要な三角関数公式
①コサイン波の2乗 (半角の公式)
電力を求めるために用いる。
cos^2(ωt) = (1 + cos(2ωt))/2
※周波数が2倍となり、平均レベル1/2を中心にして振幅1/2
sin^2(ωt) = (1 – cos(2ωt))/2
※導出
加法定理→倍角公式→半角公式
※加法定理
sin(α±β)=sinαcosβ±cosαsinβ
cos(α±β)=cosαcosβ-+sinαsinβ
tan(α±β)=(tanα±tanβ)/(1-+tanαtanβ)
※倍角公式
加法定理でα+αを考えれば
sin(2α)=2sinαcosα
cos(2α)=cos^2α-sin^2β
※半角公式
ここでsin^2α+cos^2α=1であるから
cos(2α)=1-2*sin^2α
よって
sin^2(α)=(1-cos2α)/2
αをα/2で置き換えると
sin^2(α/2)=(1-cosα)/2
同様にcos(2α)=1+2*cos^2αから
cos^2(α/2)=(1+cosα)/2
②サイン波とコサイン波を掛け合わせる (倍角の公式)
無効電力を求めるのに用いる。
sin(ωt) * cos(ωt) = (1/2) * sin(2ωt)
※周波数が2倍となり、ゼロレベルを中心として振幅1/2
③掛け算を足し算に直す (積和変換公式)
無線通信回路の変調/復調や、周波数変換で使われる。
2つの周波数ω1とω2を掛け合わせる
cos(ω1t) * cos(ω2t)
= (1/2){cos((ω1 + ω2)t) + cos((ω1 – ω2)t)}
※足した周波数(ω1 + ω2)と、引いた周波数(ω1 – ω2)が発生し、それぞれの振幅は1/2となる。
※積和変換公式まとめ
sinθ1 * cos θ2 = (1/2){sin(θ1+θ2)+sin(θ1-θ2)
cosθ1 * sin θ2 = (1/2){sin(θ1+θ2)-sin(θ1-θ2)
cosθ1 * cos θ2 = (1/2){cos(θ1-θ2)+cos(θ1+θ2)
sinθ1 * sin θ2 = (1/2){cos(θ1-θ2)-cos(θ1+θ2)
※和積変換公式まとめ
sinθ1 + sin θ2
= 2*sin((θ1+θ2)/2)*sin((θ1-θ2)/2)
sinθ1 – sin θ2
= 2*cos((θ1+θ2)/2)*sin((θ1-θ2)/2)
cosθ1 + cos θ2
= 2*cos((θ1+θ2)/2)*cos((θ1-θ2)/2)
cosθ1 + cos θ2
= -2*sin((θ1+θ2)/2)*sin((θ1-θ2)/2)
◆複素数、ベクトルと電気回路
_◇複素数
コイルやコンデンサのある回路に交流電圧を加えると電流の位相は、π/2進んだり遅れたりする。これは虚数単位iもしくは-iを掛けることで表現される。
※金言
「実際問題、回路は複素数で動いているわけではありません。~中略~数式上で取り扱えるようにするためのツールのようなもの」石井聡
※電気工学における記号の約束
①虚数単位には j を用い、しかもそれを前に書く(iは電流に用いるため)
数学: a + bi
電気工学: a + jb
②複素数の極座標表示
Z_ = x + jy = r (cosθ + jsinθ)
※r∠θと書くことがある。
r 絶対値
θ偏角
r=SQRT(x**2 + y**2)
※電気分野ではθは-π<θ≦+πの間で表す。
θ = tan(-1) y/x = tan(-1) Im(Z_)/Re(Z_)
※実部、虚部を抜き出す演算
Re(Z_) = Re(a + jb) = a
Im(Z_) = Im(a + jb) = b
※共役複素数
z_ = x + jyに対し、
z_~ = x – jy
※z_の上にバーをつけて共役であることを表す。
※絶対値
z_ = a + jbを複素平面上のベクトルとあらわしたとき、ベクトルの長さを絶対値といい、|Z_|であらわす。
|Z_| = √(a^2 + b^2)
_◇ベクトルによる正弦波電流、電圧の表現
※R回路
I = E / R
I:→
E:→
※L回路
I = E / ωL = E / XL
I:→
E:↑
※C回路
I = E / (1/ωC) = E / XC
I:→
E:↓
※正弦波交流を複素数を用いて表現する方法を記号法といい、これにより、電流、電圧などの計算が、複素数の加減乗除に帰着できるようになる。記号法では、電流、電圧を、I、Eの上にドットをつけて表す。
(以下ドットを_で表す)
E_ = R * I_
E_ = jωL * I_
E_ = -j(1/ωC) * I_
※R-L-C直列回路
E_ = {R + j(ωL – 1/ωC)} * I_
ここで、
Z_ = R + jX = R + j(ωL – 1/ωC)
をインピーダンスという。インピーダンスのうち虚部
X = ωL – 1/ωC
をリアクタンスという。
|Z_| = √(R^2 + (ωL – 1/ωC)^2)
※インピーダンスによって、交流の場合も、
E_ = I_ * Z_
というオームの法則に対応する法則が得られる。ただし、Z_は周波数により異なる。
_◇正弦波交流の複素数表示
例)瞬時値(最大値)√2*10の正弦波交流
i = √2*10*sin(ω*t + π/6)
※単位ベクトル1+jの絶対値は√2となる。
よって
I_ = 10(cos(π/6)+j*sin(π/6))
= 5√3 + j5
※コサイン波で交流波形を表す
v(t) = √2*V*cos(2πft) (V)
V : 実効値(RMS)
f : 周波数
①サイン波でなく、コサイン波を使う理由
②進み遅れはπ(180度)を境とする。
③回路を計算するうえでは、振幅を性格に計算する必要はなく、実効値で表記、計算できればよい。そのため、通常、ベクトル表記する場合、ほぼ全て実効値で表記される。(√2倍するか、しないか、だけで本質は同じ計算。)
※金言
「位相は、同じ周期の2つの波形の関係を示すもの。波形自体の周波数や周期という時間概念はあまり関係ありません。」石井聡
「位相を考えるうえでは、基準にした角度との相対関係さえわかっていればよいことですから、2πftについては考えなくてもよい、ということに気がつくと思います。」石井聡
_◇複素数で表される電流の大きさと位相角φ
I_ = 8 + j6
|I_| = √(8^2+6^2)=10
φ = tan(-1)(6/8) = Aとおくと
I_ = 10 * (cos(A)+j*sin(A))
= √2*10*sin(ωt+A)
_◇複素数の指数関数型表示
e^jθ = cosθ + jsinθ
x + jy = re^jθ
※この場合は、θはラジアンでなければならない
※金言
「e^jθは、θを指定すれば位相という針が動くだけの定型フォームである。」石井聡
※公式
①e^jθ1 * e^jθ2 = e^j(θ1+θ2)
②e^jθ1/e^jθ2 = e^j(θ1-θ2)
③1/e^jθ = e^-jθ
※オームの法則でインピーダンスを使って、位相量を変換する行為は定型フォームを掛けたり、割ったりすればよい。
I=V/Z
Z= re^jθ(インピーダンス)
=純抵抗量+リアクタンス量(虚)
インピーダンスZは、オームの法則の抵抗量と同じように流れにくさを決める量であるとともに、位相量を変換させる要素でもある。e^jθをを用いれば位相量をθだけ変化させるという操作ができる。
※Z=50e^(-j(π/6))Ωとは何者か?
純抵抗成分43Ω
リアクタンス成分-25jΩ
(f=50Hzで127μFのことである)
Cのリアクタンスは
-1/ωC
角速度ω=2π*50(Hz)=100π
C=127e-6
これから-25jΩとなる
_◇コイル
電圧基準
V0 * e^j0
電流の位相はπ/2遅れる
Ie^-j(π/2)
リアクタンスXLは、
XL = V/I = (V0 * e^j0) / (Ie^-j(π/2))
= V/I e^j(π/2)
= +j2πfL
※e^j(π/2) = j
_◇コンデンサ
電圧基準
V0 * e^j0
電流の位相はπ/2進む
Ie^j(π/2)
リアクタンスXCは、
XC = V/I = (V0 * e^j0) / (Ie^j(π/2))
= V/I e^-j(π/2)
= -j(1/2πfC)
※e^-j(π/2) = -j
_◇Z=R±jX と e^jθ
実際問題は、抵抗毎、リアクタンス毎に計算するため、Z=R±jX形式で計算することが多い。最後に「大きさ」*ejθに変換し、オームの法則で電流量を求める。
インピーダンスZ
=√(純抵抗量^2 + リアクタンス量^2)
θ
=tan^-1 (リアクタンス量/純抵抗量)
Z=R+jX=(Vrms/Irms)e^(j(φI-φv))
= (Vrms/Irms)cos(φI-φv)
  + j(Vrms/Irms)sin(φI-φv)
_◇ド・モアブルの公式
(cosθ + j*sinθ)^n = cos(nθ) + j*sin(nθ)
◆微分公式
dt = lim[⊿t→0]⊿t
Aは定数、tは変数として
①A’ = 0
②t’ = 1
③(At)’ = A
④(At^2)’ = 2At
⑤(At^n)’ = nAt^(n-1)
⑥(A/t)’ = -A/t^2
⑦(A/t^2)’ = -A/(2t^3)
⑧(A/t^-n)’ = -A/(nt^(n+1))
⑨(sin t)’ = cos t
⑩(cos t)’ = -sin t
⑪{sin(At)}’ = A * cos(At)
{sin(ωt)}’ = ω * cos(ωt)
⑫(e^t)’ = e^t
⑬(e^jt)’ = j*e^jt
(e^jωt)’ = jω*e^jωt
⑭(ln(t))’ = 1/t
ln(t) = log[e](t)
⑮{f(t)±g(t)}’ = {f(t)}’ ± {g(t)}’
⑯{f(t)*g(t)}’ = f'(t)*g(t) + f(t)*g'(t)
⑰{f(t)/g(t)}’ = {f'(t)*g(t) – f(t)*g'(t)}/{g(t)}^2
_◇合成関数の微分
y=f(t), t=g(x)
y=f{g(x)}
y’=df(t)/dx=dy/dx=(dy/dt)*(dt/dx)=f'(t)*(dt/dx)
例)y=(sin x)^2 y=t^2, t=sin x
y’ = (dy/dt)*(dt/dx) = 2t * cos x
 = 2*sin(x)*cos(x)
◆積分公式
※∫とdt
f(t)dtという「微に入り細に入り分割した量」を、足し合わせる行為が∫
_◇定積分と不定積分
定積分:「t0からt1まで」と積分する範囲が決まっている
不定積分:積分する範囲を決めず、積分の形だけを示す。
∫f(t)dt = {f(t)を積分した結果}+C
C:積分定数
_◇積分公式
①∫1 dt = t
②∫A dt = At
③∫At dt = (1/2)At^2
④∫At^n dt = (A/n+1)t^(n+1)
⑤∫1/t dt = log[e]|t|
⑥∫A/t^2 dt = -A/t
⑦∫A/t^3 dt = (-A/2)*(1/t^2)
⑧∫A/t^n dt = (-A/(n-1))*(1/t^(n-1))
⑨∫sin(t) dt = -cos(t)
⑩∫cos(t) dt = sin(t)
⑪∫sin(At) dt = (-1/A)cos(At)
⑫∫cos(ωt) dt = (1/ω)sin(ωt)
⑬∫e^t dt = e^t
⑭∫e^(jt) dt = (1/j)e^(jt)
⑮∫e^(jωt) dt = (1/jω)e^(jωt)
⑯∫{f(t)±g(t)}dt = ∫f(t)dt ± ∫g(t)dt
⑰∫[a:c]f(t) dt = ∫[a:b]f(t) dt +∫[b:c]f(t) dt
⑱∫[a:b]f(t) dt = -∫[b:a]f(t) dt
_◇置換積分
複雑な関数y=f(t)の積分を求めるとき
別の変数xを用いて関数y=f(t)の一部をx=G(t)で置き換える。ここでx=G(t)は、t=g(x)というGの逆関数g(x)が定義できること。(逆にt=g(x)から、x=G(t)を求めても良い)
①f(t)をx=G(t)とt=g(x)を用いて、f(x)の関数に置換
y=f(t)=f{g(x)}=f(x)
②dt/dx=g(x)’を計算する
③積分範囲を変数tからxにx=G(t)を使って変更する
∫[a:b]y dt = ∫[a:b]f(t) dt
= ∫[G(a):G(b)]f(x)*g(x)’ dx
= ∫[G(a):G(b)]f(x) * dt/dx * dx
例)f(t) = e^jωt, t=0~Tまで積分する
x=jωt, f(x)=e^xと置換すると
∫[0:T]f(t) dt = ∫[0:T]e^jωt dt
= ∫[0:jωT]e^x * dt/dx * dx
ここで、x=jωtからt=x/jωであるから、dt/dx=1/jω
= ∫[0:jωT]e^x * 1/jω * dx
= (1/jω)[e^x][0:jωT]=(1/jω)(e^jωT-1)
※検算
d/dt {(1/jω)e^jωT} = e^jωt
_◇部分積分
もともと2つの関数、たとえばa(t),g(t)について、その掛け算
a(t)*g(t)
を積分する場合、a(t)が
a(t)=f'(t)
で置き換えることが出来る場合
∫[a:b]a(t)*g(t) dx = ∫[a:b]f'(t)*g(t) dx
= [f(t)*g(t)][a:b] – ∫[a:b]f(t)*g'(t) dt
例)減衰振動波の電圧
v(t) = A * sin(ωt) * e^(-t/τ)
が抵抗Rに加わった場合の発熱量Q
電力P(t)=v^2(t)/Rを時間tで0から∞まで積分したものがQである。
Q = ∫[0:∞]P(t) dt = ∫[0:∞]v^2(t)/R dt
 = (A^2/R)∫[0:∞]sin^2(ωt)*e^(-2t/τ) dt
ここで、
sin^2(θ)=(1/2)-(1/2)*cos2θ
であるので
∫[0:∞]sin^2(ωt)*e^(-2t/τ) dt
=(1/2)∫[0:∞]{e^(-2t/τ)-cos(2ωt)*e^(-2t/τ)}dt
=(1/2)∫[0:∞]e^(-2t/τ)dt –
 (1/2)∫[0:∞]cos(2ωt)*e^(-2t/τ)dt
ここで I=∫[0:∞]cos(2ωt)*e^(-2t/τ)dtとおいて
=(1/2)∫[0:∞]e^(-2t/τ)dt – I
さらに
a(t)=cos(2ωt)=f'(t), f(t)=(1/2ω)sin(2ωt)
g(t)=e^(-2t/τ)
と考えて、Iについて部分積分を適用すれば、
I=[f(t)*g(t)][0:∞] – ∫[0:∞]f(t)*g'(t) dt
=[(1/2ω)sin(2ωt)*e^(-2t/τ)][0:∞] –
 ∫[0:∞]{(1/2ω)sin(2ωt)*(-2/τ)*e^(-2t/τ)}dt
さらに
∫[0:∞]{(1/2ω)sin(2ωt)*(-2/τ)*e^(-2t/τ)}dt
部分について
a(t)=(1/2ω)sin(2ωt)=f'(t)
f(t)=(-1/4ω^2)cos(2ωt)
g(t)=(-2/τ)*e^(-2t/τ)
として、再度、部分積分すれば
∫[0:∞]{(1/2ω)sin(2ωt)*(-2/τ)*e^(-2t/τ)}dt
=[(-1/4ω^2)cos(2ωt)*(-2/τ)*e^(-2t/τ)][0:∞]-
∫[0:∞]{(-1/4ω^2)cos(2ωt)*(4/τ^2)*e^(-2t/τ)}dt
=[(-1/4ω^2)cos(2ωt)*(-2/τ)*e^(-2t/τ)][0:∞]+
(1/ω^2/τ^2)∫[0:∞]cos(2ωt)*e^(-2t/τ)dt
ここで∫[0:∞]cos(2ωt)*e^(-2t/τ)dt=Iであるので
=[(1/2ω^2/τ)cos(2ωt)*e^(-2t/τ)][0:∞]+
(1/ω^2/τ^2)*I
Iについての元の式に上の結果を代入すれば
I=[(1/2ω)sin(2ωt)*e^(-2t/τ)][0:∞] –
[(1/2ω^2/τ)cos(2ωt)*e^(-2t/τ)][0:∞]+
(1/ω^2/τ^2)*I
=[0-0]-[0-1/2ω^2/τ]-(1/ω^2/τ^2)*I
I+(1/ω^2/τ^2)*I=1/2ω^2/τ
であるので
I=τ/(2*(ω^2*τ^2+1))
Q = (A^2/R)∫[0:∞]sin^2(ωt)*e^(-2t/τ) dt
=(A^2/2R)∫[0:∞]e^(-2t/τ)dt –
 (A^2/2R)*I
=(A^2/2R)[(-τ/2)e^(-2t/τ)][0:∞]-(A^2/2R)*I
=(A^2/2R)[-0+(τ/2)]-(A^2/2R)*I
=(A^2/2R){τ/2-τ/(2*(ω^2*τ^2+1))}
=(A^2τ/4R){12-1/(ω^2*τ^2+1)}  …[J]
となって抵抗Rに発生する熱量が求まる。またこれを抵抗の熱容量で割れば温度上昇が計算でき、T[sec]で繰り返すとすれば抵抗Rでの電力消費はQ/T[W]となる。
◆ラプラス変換
時間軸tを基準としてf(t)と表されている信号を、sという複素数の変数を持つ、e^-stという関数を掛け合わせ積分してみることで、f(t)をsの関数として変換し、複素周波数軸上の変数sに対する関数F(s)と考えることで解析を簡単にする。
sを複素周波数、ラプラス演算子、ラプラス変換と呼ぶ
F(s)=∫[0:∞]{f(t)*e^-st}dt
F(s)=Lf(t)
※ユニットステップ関数 U(t)
t=0のときにスイッチオンで電圧E[V]がかかるような場合は、E*U(t)と考える
※回路方程式上、sとjωは置き換え可能
_◇ラプラス変換表
①微分則
df(t)
----- ⇒ sF(s)-f(0+)
 dt
※初期値がゼロの場合、f(t)の微分df(t)/dtのラプラス変換は、F(s)にsをかけることで求まる。
②積分則
           F(s)  Init(0)
∫[:t]f(t)dt⇒----+--------
            s    s
※初期値がゼロの場合、f(t)の積分∫[0:t]f(t)dtのラプラス変換は、F(s)をsで割ることで求まる。
※初期値がある場合は、無限過去からの定積分∫[-∞:t]f(t)dtが初期値となる。
③線形則
a*f(t)+b*g(t)
  ⇒a*F(s)+b*G(s)
④相似則
f(at)⇒(1/a)F(s/a)
⑤推移則
f(t-t1)U(t-t1)⇒e^(-t1*s)*F(s)
⑥変移則
e^(-at)*f(t)⇒F(s+a)
⑦ユニットステップ関数
U(t)⇒1/s
⑧指数減衰関数
e^-at⇒1/(s+a)
⑨指数関数
e^at⇒1/(s-a)
⑩複素周波数
e^-jωt⇒1/(s+jω)
⑪比例関数
t⇒1/s^2
⑫サイン波
sin(ωt)⇒ω/(s^2+ω^2)
⑬コサイン波
cos(ωt)⇒s/(s^2+ω^2)
⑭減衰サイン波
(e^-at)sin(ωt)⇒ω/((s+a)^2+ω^2)
⑮減衰コサイン波
(e^-at)cos(ωt)⇒s/((s+a)^2+ω^2)
※Init(0)=∫[-∞:0]f(t)dt
f(0+), Init(0)ともども初期値
_◇ラプラス変換、逆変換
ラプラス変換→計算→ラプラス逆変換
F(s)=Lf(t)
f(t)=L^-1(F(s))
f(t) + g(t) ⇒ F(s) + G(s)
※f(t)*g(t)はF(s)*G(s)ではない。
※たたみ込み演算
F(s)*G(s)=L{∫[0:t]f(τ)g(t-τ)dτ}
_◇ラプラス変換による回路解法
①各回路素子ごとの電圧vと電流iの関係を微分/積分の関係として表す
②これを変換表を使ってラプラス変換する
③電圧を基準にするか、電流を基準にするかで、このラプラス変換された要素を用いて回路方程式を立てる
④式を整理する
⑤部分分数展開する
⑥ラプラス逆変換する
⑦求める過渡応答の時間波形となる
例)抵抗とコイルの回路の過渡応答
①電源Eは、スイッチONで電圧のかかるユニットステップ関数を用いて
E*U(t)
と考える。
E*U(t) ラプラス変換⇒ E/s
②抵抗Rは
Vr(t)=R*i(t)
VR(S)=R*I(s)
③コイルLは
Vcoil(t)=L*(di(t)/dt)
VCOIL(s)=L*s*I(s)
これから回路方程式を立てると
E/s=R*I(s)+L*s*I(s)
I(s)で整理すると
E/s=(R+L*s)*I(s)
I(s)=E/(s*(R+L*s))
このままではラプラス逆変換は見つからないので、部分分数展開により式を変形する。
◆フーリエ級数、正弦波
_◇フーリエ級数
x(t)=A0 + Σ(n=1:∞) (An cos nωt +  bn sin nωt)
A0 =1/T * ∫(0:T) x(t) dt
An =1/T * ∫(0:T) x(t) cos nωt dt
Bn =1/T * ∫(0:T) x(t) sinh nωt dt
※正弦波
A*sin(ωt+θ) = A*sin(2πft+θ)
ω=2πf, 各周波数[rad/s]
※振幅の最大値: A
実効値: A / √(2)
平均値: 2*A / π (1周期を平均すると0になるので半周期を平均する)
「偏角」とは、ある基準線(理工系では,右に向いた横軸にとることが多い)からどれだけ偏っているかの角度を意味します。
位相という言葉の相は“外に表れる状態”を意味します。この意味を踏まえて、位相とは、周期運動において、ある瞬間の位置での状態(すなわち相)を意味します。正弦波信号の場合、時刻がゼロのときをある瞬間と考えて、この位置での相を角度としてとらえて、これを「位相角」と呼びます。
_◇複素フーリエ級数展開
※実数形式
x(t) = A0/2  + ∑[k=1:∞](
Ak*cos(2πk/T)t +
Bk*sin(2πk/T)t )
Ak = (2/T)∫[-T/2:T/2]x(t)*cos(2πk/T)*t dt
Bk = (2/T)∫[-T/2:T/2]x(t)*sin(2πk/T)*t dt
※複素形式
x(t) = ∑[k=-∞:∞]Ck*e^(j*(2πk/T)*t)
Ck = (1/T)∫[-T/2:T/2]x(t)*e^(j*(2πk/T)dt
_◇フーリエ変換
※コサイン変換
周波数ω0/2πのコサイン波の入力に対して角周波数ωのコサイン波をかける
ω=ω0のとき
ω0の正の信号となるので
長時間積分すれば正の値
ω≠ω0のとき
正負の値を繰り返すので長時間積分すれば0
※入力をコサイン波とサイン波の成分に分解する。この組み合わせにより入力の位相も表現できる。
_◇FFT
高速フーリエ変換
Fast Fourier Transform
1965年:ベル研、James W. CooleyとJohn W. Tukey。
離散的フーリエ変換(DFT)と逆変換を高速に計算する
※フーリエ変換する入力波形をいくつかのグループに分けて計算し、計算順序を工夫することにより計算量を大幅に減少させたアルゴリズム
⇒グループの数をNとした時の演算の回数は、通常の変換ではNの2乗に比例するが、FFTでは NlogN に比例する。
※FFTで扱える信号の範囲
低い信号=FFTの演算を行う範囲に1周期分以上のデータが入っていること
高い信号=ナイキスト周波数
fclk/k ≦ fin ≦ fclk/2
fclk:ADCのサンプリング周波数。fclkをあげれば上限があがる
k:サンプル数。サンプル数を増やせば下限が下がる。
◆アダマール変換
_◇ベクトル・行列の内積とユニタリ行列
(Y1)=(A11 A12)(X1)
(Y2) (A21 A22)(X2)
ドット積(内積)表示すれば
Y=A・X
成分表示では、縮約
Y1 = Aij Xj
これはXベクトルをAの行ベクトルでYに変換する式と考えられる。Xを入力信号とすれば、変換ベクトルの組み合わせで任意の出力ベクトルが合成できる。
※またこれは、連立方程式でもあるから、yを任意に取り、かつ変換ベクトルも任意の場合に入力ベクトルを決定できる。
※変換ベクトルは任意なので、Aとして構成行ベクトルが直交基底ベクトルであるものを選ぶことができる。このような直交基底を並べた行列Aをユニタリ行列と呼ぶ。
※ユニタリ行列は転置(行、列入れ替え)して複素共役をとると逆行列と等しくなる。
※A・X=Yの両辺に左から逆行列A^-1をかければ
X=A^-1・Y
となって、逆行列が求まればXは求まることになる。
よって、Aがユニタリ行列であるならばAを転置でひっくり返して内積(積和演算)ととるだけでXを求めることができる。
_◇4次の例
直交基底な行ベクトルとして
a1=(1/2)*(1 1 1 1)
a2=(1/2)*(1 1 -1 -1)
a3=(1/2)*(1 -1 -1 1)
a4=(1/2)*(1 -1 1 -1)
をとり、これをならべて変換行列Aとする。
Xとしてノコギリ波状の入力信号を考え、
X=(1 2 3 4)
Y=A・XからYを求めると
Y=(5, -2, 0, -1)
となる。
これは、変換行列を構成する4つの直交基底をそれぞれ波として見るならば、求めたYは、直交基底に対するスペクトルと見ることができる。
※それぞれの「波」にYの成分をかけて列毎にΣをとると入力波形が再現できる。
⇒Aの転置行列とYの内積をとっているのと同じ
⇒ユニタリ行列なので逆行列と内積をとる、つまり逆変換そのものである。
_◇N次のアダマール行列
Nは2のべき乗数となる。
H2=(1/√2)(1  1)
         (1 -1)
HN=H_2n=(1/√2)(Hn  Hn)
              (Hn -Hn)
※定義通りのものをナチュラル型、符号の変化する回数の少ない行順に並べ替えたものをウォルシュ型とよぶ
※変換行列の逆行列は転置行列と等しいというユニタリー行列の条件を満たす
※アダマール行列は転置前と転置後が等しいエルミート行列ででもある
◆離散コサイン変換(DCT)
◆計算例
_◇最大電力伝達条件
微分して最大値、最小値を求める
最大電力伝達条件
「負荷抵抗RL(R-load)が信号源抵抗RS(R-source)に等しいときに、負荷抵抗RLに最大の電力が供給される」
※式を一回微分して、イコールゼロとし、傾きがゼロの点を求める。ここでのX軸の値(RLの値)を計算すれば、最大値が求まる。
P(RL)=(V/RS+RL)^2 * RL
=(V^2/(RS^2+2*RS*RL+RL^2))*RL
ここでV^2を除いてY(RL)を考えれば
Y(RL)=(RS^2+2*RS*RL+RL^2))/RL
=(RS^2/RL)+2*RS+RL
これをRLで1回微分すると
dY(RL)     RS^2
—— = – —- + 0 + 1
dRL        RL^2
これを0とおいて計算すれば
RS=RL
となる。ここがY(RL)の最小点で、P(RL)の最大点となる。
※ただし、そのままでは最大点か、最小点か区別できないので、決定のために、もう1回微分してから、RS=RLを代入し、
(d^2 Y(RL))/d(RL)^2=RS^2/(2*RL^3)+0[RS=RL]
(d^2 Y(RL))/d(RL)^2=1/2*RS > 0
※プラスであればY(RL)の最小点(P(RL)の最大点)
マイナスであれば最大点
_◇コンデンサ・インプット型全波整流回路の力率
(簡略化した計算)
 ┌────┐       Vload
 │ ┌──┼────┬─○─→┐Iload
 │ │ ┌┴┐   │+ ↑ │
 │ │ ▽ ┼  ┌┴┐ │┌┴─┐
┌┴┐│ ┼ △  │C│ ││RL│
│~│└─┤ ├─┐└┬┘ │└┬─┘
└┬┘  ┼ ▽ │ │  ↓ │
 │   △ ┼ └─┴─○──┘
 │   └┬┘
 └────┘
仮定:Vmax=Vload, 負荷電流一定Iload=Vload/RL
半周期に必要とする電荷量Qは、
Q=∫[0:π]{Vload/RL}dθ=[(Vload/RL)θ][0:π]
 =(Vload/RL)π
※波形の形状を角度表示θで考えているが、実際は時間tでの積分を意図。
※入力となるダイオードからはQと同じ電荷量Qが流れ込まないとならない。
※半周期中にダイオードからCに電流が流れ込むのは、θ=θ1~π/2の短い期間に限られる。
仮定:電流波形Iin(θ)はサイン波で変化する
Iin(θ)=A*sin{π(θ-θ1)/((π/2)-θ1)}
ただし、θ1≦θ≦π/2
AはQに入力量をあわせるための仮定数。
半周期でコンデンサに流れ込む電流量Qinは、Iin(θ)を半周気にわたって積分して求める。
Qin = A*{∫[0:θ1]0dθ
 + ∫[θ1:π/2]sin(π(θ-θ1)/((π/2)-θ1))dθ
 + ∫[π/2:π]0dθ}
=A*∫[θ1:π/2]sin(π(θ-θ1)/((π/2)-θ1))dθ
ここで置換積分として、
x=π(θ-θ1)/((π/2)-θ1)
dθ/dx=((π/2)-θ1)/π
Qin = A∫[0:π]sin(x)*(dθ/dx) dx
 =(A*((π/2)-θ1)/π)*[-cos(x)][0:π]
 =(2A*((π/2)-θ1)/π)
Q=Qinと考えれば、
(Vload/RL)π=(2A*((π/2)-θ1)/π)
より
A=(π^2)*Vload/(2RL(π/2-θ1))
Iin(θ)=(π^2)*Vload/(2RL(π/2-θ1))*π(θ-θ1)/((π/2)-θ1)
ただし、θ1≦θ≦π/2
Iin(θ)からIrmsの算出
Irms=√((1/π)∫[0:π](Iin(θ)}^2)dθ)
=(π^2)*Vload/(2RL(π/2-θ1))
 *√((1/π)∫[0:π/2]sin^2(π(θ-θ1)/((π/2)-θ1))dθ)
置換積分により
Irms=(π^2)*(Vload/2RL)*√(1/2π((π/2)-θ1))
入力皮相電力Sは
S=(Vmax/√2)*Irms=(Vload^2/4RL)√(π^3/((π/2)-θ1))
出力負荷電力Pは
P=(Vload^2)/RL
※入力波形はサイン波なので、1/√2の実効値計算
力率cosΦ=P/Sなので
cosΦ=4√(((π/2)-θ1)/π^3)
よって、(π/2)-θ1が小さいほど力率は小さくなり、θ1の最小値0でもcosΦ=0.9になる。
※O. H. Schadeの計算図表

☆参考

◎記号
10**12…T(テラ)
10**9 …G(ギガ)
10**6 …M(メガ)
10**3 …K(キロ)
10**-3…m(ミリ)
10**-6…μ(マイクロ)
10**-9…n(ナノ)
10**-12…p(ピコ)
◎ブール代数
◆ブール代数と各種定理
 論理回路は,Analog信号を2値化することで,高速なSimulationが行えるように工夫されている.
 このとき,設計/検証のよりどころになる基礎がブール代数.
 なお,演算子の意味は以下の通り.
 + : 論理和
 ・ : 論理積                    _             _
 ? : 排他的論理和 = A ? B = (A ・ B) + (A ・ B)
  _
  X : 否定
  =
  X : 二重否定
 交換則: A + B = B + A
            A ・ B = B ・ A
 分配則: A ・ (B + C) = (A ・ B) + (A ・ C)
            A + (B ・ C) = (A + B) ・ (A + C)
 単位元:  A + 0 = A
            A ・ 1 = A
                _
  補 元:  A + A = 1
                _
            A ・ A = 0
 結合則: A + (B + C) = (A + B) + C
            A ・ (B ・ C) = (A ・ B) ・ C
 吸収則:  A + (A ・ B) = A
            A ・ (A + B) = A
 巾等律:  A + A = A
            A ・ A = A
            A + 1 = 1
            A ・ 0 = 0
                 _
            A + (A + B) = 1
                 _
            A ・ (A ・ B) = 0
                 _     _                   _   _
            (A + B) ・ (A + B) = (A ・ B) + (A ・ B)
                 _     _                   _   _
            (A ・ B) + (A ・ B) = (A + B) ・ (A + B)
 二重否定:
             =
             A = A
 ド・モルガンの定理:
             _____    _   _
            (A + B) = A ・ B
             _____    _   _
            (A ・ B) = A + B
 リードマラーの定理:
             A ? B = B ? A
             _
             A ? B = A ? B
                 _
             A ? B = A ? B
             _____   _   _
             A ? B = A ? B
                     _
             A ? 1 = A
             A ? 0 = A
             (A ? B) ? C = A ? (B ? C)
 シャノン展開(シャノンの定理):
                      _
f(A, B, C, D, …) = {A ・ f(B, C, D, …)} + {A ・ f(B, C, D, …}
※これらは,論理圧縮/論理展開等におけるよりどころである.
※ド・モルガンの定理
論理演算で「和の否定は、否定の積」、「積の否定は、否定の和」を意味する。デジタル回路では非常によく使われる重要な定理。
◆項と必須項
 必須項は,項の一種であり,以下の定義が存在する.
 必須項: ブール代数式において,唯一出現する項
 項  : 必須項以外の項
 (例)
             _
  X = (A ・ S) + (B ・ S)
   A,B : 必須項
   S   : 項
 一般に,十分に論理圧縮された式では,必須項のみとなり,言い換えると必須項は,論理を維持するためには,削除不可能な項となる.
 ただし,ブール代数での表現に限界があるため,必ずしも項が存在するからと言って,論理圧縮が行えるとは限らない.特に,排他的論理和や選択については,項が存在してしまう.これを回避するためにリードマラーの定理が存在する.
◆論理圧縮手法
 論理回路の開発/設計を行う際には,論理圧縮を行う必要が生じてくる.
 論理圧縮を行わずに論理回路の開発/設計を行うと,冗長性(Renandancy)が大きくなり,回路規模が増大するばかりか,遅延量の増大,消費電力の増大,テスト性(Testerbility)の低下など,さまざまな問題を抱えることとなる.
 現在では,HDL言語設計を行うと,論理圧縮はCAD Toolが行うこととなるが,まれに論理圧縮ミスが発生したり,所定の動作仕様(伝播遅延時間や回路規模等)を満足しないことも発生する.
 この場合,開発/設計者が事前に論理圧縮や論理展開を行い,動作仕様を満足させる必要が生じる事もある.
 代表的な論理圧縮には
 1. ブール代数式による圧縮
 2. カルノー図法による圧縮
 3. クワイン・マクラスキー法による圧縮
 4. PLA法による圧縮
 5. BDD(2分決定木)による圧縮
 6. 関数法による圧縮
があり,それぞれに長所短所がある.特に5.,6.は,Software的に処理し易い方法で,主にCAD Toolで使用されている.CAD Tool用の圧縮方法としては,他にEspresso等がある.
◆リメディ
 通常は十分に論理圧縮を行うことが望ましいが,あえてRenandancyを設けて予想し得る問題を回避方法もある.
 (例)
              _
     X = (A ・ S) + (B ・ S) + (A ・ B)
 上記の式では,(A ・ B)は不要な式であり,これをリメディと呼んでいる.
◎誤り訂正符号
誤り訂正符号は、種々のものが考えられている。
ブロック符号、畳み込み符号ともに、ランダム誤りに適した符号とバースト誤りに適した符号がある。
ブロック符号では、ランダム誤り訂正のBCH符号、バースト誤り訂正のリードソロモン
符号がよく利用されている。
畳み込み符号では、復号にビタビ復号を行うことにより訂正能力が高められる。
ブロック符号
※ブロック符号(n,k)とは、情報長がk,全符号長がn,チェック符号長がn-k、η=k/nを符号化効率という⇒CRC符号など
    ランダム誤り
        ハミング符号
        ゴーレイ符号
        BCH符号
BCH符号(ビー・シー・エッチふごう)(BCH code)
Bose-Chaudhuri-Hocquenghem符号の略。
ハミング距離に基づいたブロック符号を一般化した符号であり、シフトレジスタによる線形演算で比較的容易に実現できる線形巡回符号の代表的なものである。
ランダムな誤りが生じる通信路におけるランダム誤り訂正に用いられる。
    バースト誤り
        ファイア符号
        リードソロモン符号
畳み込み符号
    ランダム誤り
        自己直交符号
        樹枝状符号
    バースト誤り
        ハーゲルバーガ
        岩垂れなど
◎通信におけるS/N,C/N
電気通信分野では、処理対象の情報を信号 (Signal) と呼び、ノイズ (Noise) との量との比率 (S/N) によって通信の品質を表現する。これを信号電力対雑音電力比( S/N、SNR、SN比、エスエヌひ)といい、対数表現の dB(デシベル)で表す。S/Nが大きいほど通信品質が良好であることを示す。但し、実際の通信では無信号時には雑音のみ (N) であるが信号を受信した際には信号と雑音が重畳されている(すなわち S+N )であるため、測定値は (S+N)/N をもって表現することが多く、このため厳密には両者は区別される。例えば S/Nが 0dB(すなわち信号とノイズの電力が等しい)場合でも (S+N)/N は 6dB になるため、通信方式によっては情報伝達が可能である。S/N比などは厳密には間違い。これはS/Nという表記そのものが 比 を表しているため。比を使う場合はSN比と表記すべきである。
※ランダムノイズに対する平均化回数 n の効果
S/Nの改善
S/N = 20 log10 (√n)
※「信号」を搬送波電力とした搬送波電力対雑音電力比 (Carrier to Noise ratio) あるいは C/N (シーエヌ、CN比、CNR とも)と呼び、デジタル信号伝送では主にこちらが用いられる。
◎各種特性値
◆主な金属の抵抗率ρ(Ωm)
銀 1.62e-8
軟銅 1.72e-8
金 2.4e-8
アルミニウム 2.75e-8
鉄 9.8e-8
ニクロム 109e-8
マンガニン 48e-8
◆主な強磁性体の磁化特性
最大比透磁率
鉄 5000
ニッケル 600
コバルト 250
パーマロイ 100,000
MK鋼 4
◎E12系列 E24系列
ほぼ10^(1/12)もしくは10^(1/24)ずつ増える(若干の増減あり)倍数系列である
◆E12シリーズ
1.0 1.2 1.5 1.8 2.2 2.7 3.3 3.9 4.7 5.6 6.8 8.2
◆E24シリーズ
1.0 1.1 1.2 1.3 1.5 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.7 3.0 3.3 3.6 3.9 4.3 4.7 5.1 5.6 6.2 6.8 7.5 8.2 9.1
◎商用電源周波数
◆日本
目安:静岡県富士川-新潟県糸魚川、東50Hz,西60Hz
実際には電力会社毎に定める。
山梨、静岡東部、伊豆、新潟はほぼ50Hz
長野、静岡中西部は60Hz
例外地域)
新潟:佐渡、妙高の一部、糸魚川の一部が60Hz
群馬:甘楽郡、吾妻群が60Hz
長野:松本、大町、飯山、小諸、安曇野、小谷等の一部が50Hz
◆世界
北米 100-127V/60Hz
ヨーロッパ 220-240V/50Hz
中国 220-240V/50Hz
台湾 100-127V/60Hz
韓国 220-240V/60Hz
オーストラリア 220-240V/50Hz
インド 220-240V/50Hz
マダガスカル 100-127V/50Hz
◆電源供給方式
_◇単相2線式100V
_◇単相3線式100V、200V
分電盤のアンペアブレーカーへ引き込まれた線の色が、白と黒と赤の三色の場合、または、外の電力量計のメーター上に赤帯で白く「単3」と書かれている場合。
※白線は中性線であり、トランスで接地されている。
※白黒間、白赤間で100V、赤黒間で200V。
※通常径の電線では、30A上限のため、40A以上の契約で使われる。
_◇三相3線式200V
_◇三相4線式100V、200V、三相200V
※コンセント
単相100V(太線側接地側極)
┃│
││
┃│
()
単相200V
¬-
--
¬-
()
--
()
三相200V
/ \
 ○
 -
┃ │
 □
※接地は、漏洩電流を安全に大地へ流すためのものであり、人体が触れる部分の対地電圧を人体に安全な値にするとともに、短絡電流によりブレーカを動作させる効果が期待される。
◆人体通過電流
1mA わずかに感じる程度
5mA ケイレンを起こす
10mA 不快
15mA 強烈なケイレン
50~100mA 致死
※直立する人体は、抵抗値300Ωの導体とみなせる。
◎強電、弱電の分類
強電
電圧48V以上
主に電気をエネルギー源として使用
電気工学
弱電
電圧48V未満
主に信号の伝送に使用
電子工学
◎事故事例分析
金属疲労
腐食
応力腐食割れ
共振、振動
磨耗
劣化
順法
運用管理
設計不良
設計変更
製品知識
製造不良
工程変更
要素作業
点検・整備
改造
ヒューマンエラー
想定外使用
想定外環境

☆参考文献

http://www.iti.iwatsu.co.jp/support/05_08.html
図解 アナログICのすべて 白土義男 東京電機大学出版局
ノイズ対策の基礎 TDK㈱EMCセンター 坂東明
http://www-lab.ee.uec.ac.jp/vlab/bridge/nagaoka/
http://mobiquitous.com/rfid/antenna-low.html
西村芳一 ADM SELECTION No.21
西村芳一 無線によるデータ変復調技術 2002/09/01 CQ出版
定本 トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣 CQ出版 1991/12/20
定本 続 トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣 CQ出版 1992/12/20
電子回路設計のための電気/無線数学 石井聡 2008/5/15 CQ出版
トランジスタ技術 1996年3月号
電気通信公式活用ポケットブック 平田礼一編 オーム社1967
http://www.geocities.jp/maeda_hashimoto/math/sig_ch01pr00p01.htm
高周波・無線教科書 根日屋英之 2008/4/1 CQ出版
回路シミュレータでスッキリわかる!アナログ電子回路のキホンのキホン 木村誠聡 2008/9/5 秀和システム
ノイズ対策ハンドブック 1994/8/30 伊藤健一監修 日刊工業新聞社
http://www.ice.gunma-ct.ac.jp/~mame/kougi/kairo/text.pdf
http://circit-e.com/001.html
www.jssa.gr.jp/greenpipe/g_news/technique08.pdf
インピーダンス測定ハンドブック 2003/11 Agilent Technologies