☆お言葉
「原稿や印刷物や黒板の数学記号の
正しい利用を見守っている神よ
どうか私を、そして私の罪を許し給え。」
---ヘルマン・ワイル、プリンストン高等研究所教授
「私は常に研究において、真理と美を統一しようとしてきたが
いずれか一方のみを選択しなくてはならない局面では、
多くの場合に美を選択してきた」
---ヘルマン・ワイル、数学者
「愛の本質を表したシェイクスピアの詩の如く、あるいは、人間の内面の奥深く潜む美を描いた絵画の如く、オイラーの方程式は人間存在の深みに達している」
---e^iπ + 1 = 0について、キース・デブリン
「証明は、それを与える人間と、それを受け取る人間がいて初めて成立する
---アウグスツス・ド・モルガン
「カントルが創ってくれたこの楽園から我々を追放することは誰にも許されない」
---ヒルベルト。カントルの集合論に深刻なパラドックスが発見されて数学全体が危機に陥ったときに
「我々は知らねばならない。我々は知るであろう」
---ヒルベルト
※これはエミール・デュボア・レーモン(生理学者、哲学者)の「われわれは知らない、そして知ることはないだろう」というモットーを嫌い、ラジオ講義で使った言葉
「ドレ、どこが?アア、この穴か。これなら前学期にもあいてたようだよ」
---ヒルベルト。ズボンの穴について
「数学の本質は、まさにその自由にある」
---カントル
「証明しながら後ろ向きに解くのでなく、ひらめきで前向きに解く和算」
---佐藤健一
「ある一つの分野が進歩していって、その進歩の最先端から新しい分野が生まれるのではなく、その分野の原始的なところから新しい分野が生まれる」
---小平邦彦
「彼は頭の回転が異常に速く悪魔のように鋭い」
「実は悪魔だった」
---フォン・ノイマンについての噂
「Galoisは殺されても無視されても純粋数学の真理は変わりようがない。若者の衝動を理解できない大人達を裁くのは、万古不易の数学の真理の力である」
---飯高茂
「毎日毎日10個位デタラメなことを考える。これを一ヶ月続けると中には面白そうなものが現れる」
---岡潔
「数式処理を使い出すと頭が悪くなる」という心配もあるが、数式処理はもともと頭が悪い人が使うものである。抽象的一般論を理解できない人が何とか分かるようになるためには、具体的例題の計算を積み重ねることしか方法はないのである。
---広田良吾
「不等式こそが微積分の心」
---広田良吾
「我が円をかき乱すな」
---アルキメデス
「物事を嫌い、それを遠ざける理由は百万通りあるだろうから、それを”説得する”のは、ほぼ不可能である」
---広田良吾
「数学の理解、特に基礎的な概念を理解するためには、”鳥の目”を必要とする。」
---広田良吾
「今学んでいることの意味が、後からようやく分かる場合もある」
---広田良吾
「数学は、人間性の本質に根ざしたものである」
---岡潔
「日本に数学をではなく、数学の中へ日本を投げ込め」
---岡潔
「数学を理解するということは、その数学的現象を「みる」ことである。「みる」というのは数覚によって知覚することである。」
---小平邦彦
「”人の心に火をつける”ことこそ教育であるはずなのに、相も変わらず”尻に火を点ける”ことばかりやっている」
---広田良吾
「ところで、これはフェルマーの最終定理が真であったことを意味している。[証明終わり]」
---アンドリュー・ワイルズ、”モジュラ形式、楕円曲線、ガロア表現”と題する3回の連続講義の最後に(1993/06/24)
「ハルペドナプタイ(rope stretchers)が, 3+4+5=12の結び目を持つ綱を用いて直角を作っていたと思われるという根拠のない話はあるものの、エジプト人がピタゴラスの定理の概念を有していたという徴候などない」
---ディルク・ヤン・ストロイク
「我々宇宙のあらゆることを指すのにカスモスという単語を作ったのはピタゴラスだった(カール・セーガンではない)」
---レオン・レーダーマン、物理学者、ノーベル賞
「E=m(a^2+b^2)=mc^2」
---作者不明の狂歌
「学校で習ったことは全部忘れてほしい;そんなものは習わなかったのだから」
---エドムント・ランダウ、「解析学の基礎」
「数学者に何を言っても、彼らは自分自身の言葉に置き換える。そしてそれは直ちに何かまったく違ったものになる。」
---ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
「暗号が安全であるとは、みんなで解読を試みて解読できなかったということ」
---Javaで作って学ぶ暗号技術、森北出版
「甲南女子大学の学生の全体は集合であるが、芦屋のお嬢様全体が集合かどうかは疑わしい」
---萩谷昌己、岩波講座 応用数学9より
「500ページほど書きましたが、そのほとんどはクズ同然です」
---アクセル・トゥエ、数学者
「重要な結果が得られそうになるたびに、それが既知の結果であることがわかるのだ。何か、ほんとうに新しいといえること、れっきとした数学者が興味深いと思えるようなことがまだ残されていればいいのだが」
---アクセル・トゥエ、数学者
「控えめな人柄のミンコフスキーは、話術で聞き手を引き付けるタイプではなかったため、彼の講義を欠席する学生は多かった。なかでも一人の学生はまったくと言っていいほど講義にでてこなかったため、とくにミンコフスキーの怒りを買った。」
---ジョージ・G・スピーロ、ミンコフスキーとアインシュタインについて
『ある幾何学の定理について』
---フェイエシュ・トートが円充填問題についての定理を証明した論文のタイトル。47行の文と1枚の図だった
「偉人たちの多くには、外聞をはばかる秘密があるものだ。ニュートンも例外ではなかった」
「ニュートンは、述べたことも行ったことも、ほとんどずべて正しかった。しかしその彼も絶対に間違いを犯さないとは言えないことは、水銀を金に変えようとしたことからもわかる。」
---ジョージ・スピーロ
「ホッペの人性は平々凡々たるものだったが、業績リストの内容もまた凡庸だった」
---ジョージ・スピーロ
「教授たちは、完璧な講義をするか、あるいは誰もが途方に暮れるようなわけのわからない話をするかのいずれかだった」
---ジョージ・スピーロ、ゲッティンゲン大学の数学研究所について
「かって生まれたなかでもっとも重要かつ創造的な数学的天才」
アインシュタイン、女性数学者エンミ・ネーターについて
「ここで『初等的』という言葉にだまされてはいけない。それは『簡単』とは別のことである」
---ジョージ・スピーロ
「この世には旧約聖書と新約聖書と整数列大事典がある」
---ある読者の言葉、ニール・スローンの整数列大辞典の
「より短い、あるいはよりエレガントな証明を示さないかぎり、証明が長いことに文句を言うべきではない」
---ガウス、ゼーバーの本の書評。ゼーバーは248ページの本を書いて弱い定理を証明しただけであったが、ガウスはたった40行でゼーバーが出来なかった証明を与えた。
「既知の真理に対して新しい証明を見出すことは、しばしば発見それ自体と同じくらいに重要である」
---ガウス
「多くの数学者が信じ、すべての物理学者が知っている」
---ロジャース。1958年にケプラー予想が正しいことについて
「誰かが新しい言葉をひねり出し、古いアイディアを新しい包装紙で飾ろうとするときには注意しよう。それは往々にして、真の革新などどこにもないときに、さもオリジナリティーがあるかに見せかけようとする兆候だからだ」
---ジョージ・スピーロ
「この証明が見苦しいという点ではみんなの意見が一致した~しかし、少なくともあの時点では、あれがわれわれにできる最善の仕事だった」
---ファーガソン、ケプラー予想についてのヘールズの証明について
「フォン・ノイマンは、どんなに難しい論文でも、パラパラとページをめくっただけで査読を終えたといわれている~彼はちゃんと読んだ。ただ、彼の頭脳は常人の十倍のスピードで働いたということだ」
---ジョージ・スピーロ
「フェルマーの最終定理に関するワイルズの証明は『戦争と平和』のようなものであり、ケプラー予想に関するトムの証明は電話帳のようなものである」
---イアン・スチュアート
「私がきちんと証明できないかぎり、私の言ったことを信じてはいけないよ」
---あるスイスの数学教師
「数学は、社会的なプロセスである。真理はコンセンサスにより真理として認められる」
---ジョージ・スピーロ
「数学こそは神の栄光、国益増進、そして個人の栄達の鍵である」
---ジョン・ディー「魔術師」、エリザベス1世の占星術師
「袋小路と行き止まりを組み合わせたら、壁がくずれて新しい道が見えてきたのだ」
---ジョージ・スピーロ
「リーマン予想は、本書で用いたものよりも初歩的な数学を使ったのでは説明できない」
---ジョン・ダービーシャー、素数に憑かれた人たち
「リーマンはずっと便秘に苦しんでいた」
---ノイエンシュヴァンダー
「数学者は一般に、特定の関数の感触を、それと長く親しくつきあうことによってつかむ。その特徴や特異なところを観察するのである」
---ジョン・ダービーシャー
「『これで~は明白である』というような、いらいらする断定が出てくるが、実際には、欠けている途中を補い、検算するために著者がかけた何時間かをかけないことにはそういうことにはならず、明白でない場合も多い」
---ジョン・ダービーシャー
「『数える』ための数と『量る』ための数との区別は、人間の思考と言語の習慣の奥にある」
---ジョン・ダービーシャー
「実は、算術には特異な性格がある。問題を言い表すのは簡単だが証明するのは恐ろしいほど難しいということである。」
「ディリクレの変わったところは、出席者を見ないことだ~~~眼は手で覆われているか、そうでなくてもたいていは閉じていた。メモも使わず、頭の中に想像上の計算が見え、それをわれわれに向かって読み上げていた~~~そいういう講義が私は好きだ」
---トマス・ハースト
「だが、僕たちの前にあるこの見本なんぞは、暗号文の実にもっとも単純な種類に属するものだと思いたまえ」
---ウイリアム・ルグラン(エドガー・アラン・ポー作『黄金虫』)
「数学とは、計算して答えが合えばいいという教科ではなく、『あるゆる可能性を考える学問』なのだ」
---南みや子
「人が呼吸をするように、ワシが空を舞うように、オイラーは苦もなく計算をした」
---アラゴー
「角の三等分よりも、便箋を簡単に三等分に折り畳む方法を発明するほうがよほど社会の役に立つ」
---ド・モルガン
「私は2足す2が4であり、4足す4が8であることを信じます」
---マウリッツ、死の床で神父に「悔い改めよ」と促されて
「後の世の人は好意的に見て欲しい。私がここに説明したことに対してだけではなく、意図的に書くのを省略したことに対してもだ。それによって、新しく発見する喜びを残しておいたのだから」
---デカルト、余裕をかましたコメント
“Never at rest”
---ウエストフォールによるニュートン伝の題名
「オイラー先生がいらっしゃる所に、私如きが行けるわけもございません」
---ラグランジュ、ベルリンアカデミーからの誘いを一端断るときに
「ある種の問題は、まず工学的な方法で答えが明らかになってしまう。もちろん後で幾何学的に証明を付けなくてはいけないのだけれども、それでも最初から答えがわかっているのと、一からかんがえなくてはならないのとでは雲泥の差がある」
---アルキメデスからエラトステネスへの手紙の一節
「微分積分のもとになっている分析・総合という方法は人間の精神活動のもっとも普遍的で根本的な方法であって、誰でもつねに使っている方法にすぎないのである」
---遠山啓
「世の中には(高等)数学ファンが数千人しかいないことは、いくら常識はずれの僕でも心得ている」
---竹内薫
「無限は数学の母体です」
---志賀浩二
「その結果、多くの”やさしい~”と書かれた教科書は難しい」
---吉田武
「今日知られている数の性質は、大部分が観察によって明るみに出たのであり、それが真実であることが厳密な証明によって確かめられるよりずっと前に分かっていたのである」
---オイラー
「ぼくは1あら10まで自力でできることがやりたいんだ。だからコンピュータの助けを借りて作った定理や、一人ではやれそうにないからといって、何人もの数学者がよってたかって作ったよう長々しい証明には興味がないよ。」
---ピエール・デリーニュ
「我々の見方からすれば、数学は自然科学ではないという意味で、科学ではない。数学の正否をためすのは実験ではない」
---R.P.ファインマン、物理学者
「社会科学や自然科学への線形代数の応用では、行列のn乗や行列の指数関数が必要になることが多い。従来の線形代数の教科書では、与えられた行列が対角化できない場合には、ジョルダン標準形を用いてそれらを計算することが多いように思われる。しかし、必ずしもそれは絶対に必要というわけではなく、スペクトル分解、一般化スペクトル分解がわかれば十分」
---藤田、石井
「『まじめに式をたてると難しくて大変』というときに、『ひとまずまっすぐで近似してみよう』は、理工学の常套手段」
---平岡、堀 「プログラミングのための線形代数」
「どの基底を取るかに依存しない概念こそ、対象の本来の性質をとらえたものだ」
---平岡、堀 「プログラミングのための線形代数」
「無限次元はおっかないものです」
---平岡、堀 「プログラミングのための線形代数」
「『不確実さに立ち向かうこと』『数を数えて定量化すること』『物理的世界を視覚化すること』『日常世界を超越すること』」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「この世はカオスが支配しているのだ」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「データから意味をうまく導き出すのは、危険と紙一重の作業だ」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「偶然の一致は起こる」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「ランダムな出来事に意味を付け加えるということこそは、あらゆる種類の愚かしい超自然的な話の源泉なのだ」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「ある数を正確に特定するには、その数の全桁が必要なのである。」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「報道機関にはありふれていないことを多く扱うという偏った傾向があるのだ。」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
「長きにわたる努力にもかかわらず、宇宙は大多数の数学の問題に対する答えを隠し続けている。」
---エドワード・バーガー、マイケル・スターバード
☆概念・用語
◆無定義術語
定義しなかった基本的な言葉や述語(predicate)
「議論の根拠は公理系にすべて述べられているはずなので、直感的な定義や説明はいらない」
「無定義術語は、諸公理によって間接的に定義される」
◆QED
quod erat demonstrandum ラテン語
以上が証明すべきことであった
※アメリカの教科書では小さな四角形のこともある。
◆定義
言葉の意味を決める説明
※「定義は、わかりやすさと便利さのためにあるので、公理さえきちんと与えてあれば、なくても原理的にはかまわない」
◆公理
①数学を議論するための前提
②誰もが認めざるを得ない当たり前の事実
(アリストテレス的)
※理論体系の出発点となる公理のリストを公理系という。
※公理主義、数学的構造主義
一般的、統一的な理論を可能にするために公理系を構築する。公理系は特定のモデルを想定していない、抽象的・一般的な体系。個々の公理が「正しいか、否か」ということはまったく意味がない。
※モデル
公理系をみたす世界
◆命題
証明によって公理から論理的に導かれた文章
※命題の候補も単に命題と呼ばれたりする
◆定理
公理を元にして論理的に証明されたもの
証明された命題のうち、解くに重要なもの
※存在定理
「存在する」ことだけを証明し、個別の具体的な要素には踏み込まない論法。
◆予想
おそらく正しいが証明されていないもの
◆ユークリッド「原論」のスタイル
①定義
定義1 点とは大きさの無い位置のことである
…
定義23 平行線とは同一の平面上にあって、どちらの側に延長しても、けっして交わらない直線のことである。
②公理(公準と公理)
公理1 任意の点から任意の点に直線をひくことができる
公理2 与えられた有限の直線を、どちらの側にもいくらでも延長できる
公理3 任意の点を中心とする、任意の半径の円を描くことができる
公理4 すべての直角は互いに等しい
公理5 ある直線が他の2直線に交わり、その1つの側の内角の和が2直角より小さいとき、それらの2直線をその側に延長すると、いつかは交わる
公理6 同じものに等しいものは、互いに等しい
公理7 等しいものに等しいものが加えられれば、得られる結果は等しい
公理8 等しいものから等しいものが引かれれば、残りは等しい
公理9 互いに重なりあうものは互いに等しい
公理10 全体は部分より大きい
③定理とその証明
◆超数学 metamathematics
対象:
公理系によって記述された、数学の形式的体系
公理系が満たすべき基準
①公理系は、望みの命題をすべて証明できるよう、十分に与えられている。(完全性 completeness)
②公理はすべて必要で、どのひとつも省くことができない
(独立性 independence)
③公理系は自己矛盾を含まず、互いに矛盾するような定理はけっして出てこない (無矛盾性 consistency)
「記号から意味をはぎとって、純粋に形だけについて、記号論理に基づく」
※完全性:恒真文は例外なく、かならず証明できる
※形式的無矛盾性:どんな文Mについても、Mとその否定-Mとが両方とも証明されることは決してない
※内容的完全性と形式的完全性
_◇不完全性定理(第1)
自然数論を含む述語論理の体系Zは、もし無矛盾ならば、形式的に不完全である。
(矛盾を含む公理系はすべて完全)
_◇不完全性定理(第2)
Zがもし無矛盾ならば、Zの無矛盾性をZの中で証明するのは不可能である
…◆座標系
◆座標系
_◇右手系
right-handed system
positive-oriented system
右手
親指 x
人差し指 y
中指 z
_◇左手系
左手
親指 x
人差し指 y
中指 z
◎ヒルベルト空間論
◆距離空間
任意の集合Xの2要素を、順序も考慮して組にしたものを要素とする集合
{(x,y)|x,y∈X)
をXのべき集合とよび、XxXあるいは単にX^2と記す。集合xのべき集合X^2から実数の集合
R≡{r|rは有理数または無理数}
への写像
d:X^2 → R
を考え、X^2の任意の要素(x,y)が対応させられる実数をd(x,y)とする。
このとき3条件
d(x,y) ≧ 0
(∀x,y∈X,等号はx=yのときのみ)
d(x,y) = d(y, x)
(∀x,y∈X)
d(x,y) ≦ d(x,z) + d(z, y)
(∀x,y,z∈X)
を満足する写像dを集合X上の距離関数と呼ぶ。最後の条件は3角不等式と呼ばれる。
_◇距離空間の定義
定義1(距離空間)
距離関数が存在する集合を距離空間という
※距離空間となるとなる集合の要素は点と呼ばれる。
_◇距離空間の例
①実数の集合
②複素数の集合
③実数の集合のn次のべき集合
R^n = RxRxRx…xR
距離関数
d(x,y) = √(Σ[j=1:n](xj-yj)^2)
_◇離散距離空間
任意の集合Xは距離関数
d(x,y) = { 0 (x=y)
{ 1 (x≠y)
の存在によって距離空間である。この距離空間は、特に離散距離空間と呼ばれる。
※距離空間とは距離関数の値として、任意の2要素の間に遠近の概念が与えられた集合に他ならない。
◆ベクトル空間
_◇直積
実数の集合Rと集合Xの要素を、この順序で組にしたものを要素とする集合
{(λ,x)|∀λ∈R, ∀x∈X)
をRとXの直積集合とよび、RxXと記す。簡単に直積とも呼ぶ。
_◇スカラー倍
直積集合RxXからX自身への写像
・:RxX → X
でRxXの任意の要素(λ,x)が対応させられるXの要素を・(λ,x)とする。このとき、任意のλ,μ∈Rについて
・(λμ,x)=・(λ,・(μ,x))=・(μ,・(λ,x))
を満足する写像・を集合X上のスカラー倍という。
※・(λ,x)≡λx
λμx=λ(μx)=μ(λx)
_◇ベクトル和
スカラー倍の定められた集合Xのべき集合X^2からX自身への写像
+:X^2→X
でX^2の任意の要素(x,y)が対応させられるXの要素を+(x,y)とする。このとき
+(x,y)=+(y,x)(∀x,y∈X)
+(λx,μx)=(λ+μ)x(∀λ,μ∈R,∀x∈X)
λ(+(x,y))=+(λx,λy)(∀λ∈R,∀x,y∈X)
なる条件を満たす写像+を、スカラー倍の定められた集合Xの上の重ね合わせ、あるいはベクトル和とか単に和という。
※+(x,y)≡x+y
_◇ベクトル空間の定義
定義2(ベクトル空間)スカラー倍とベクトル和が存在する集合をベクトル空間という。
※ベクトル空間となる集合の要素はベクトルと呼ばれる。
※ベクトルのスカラー倍と和の演算の組み合わせを線形結合とか一次結合と呼ぶ
※ベクトル空間の任意のベクトルxに対して実数0をスカラー倍して得られるベクトルは常に単一のベクトルに等しく、零ベクトルと呼び、記号0で表す。
_◇ベクトル空間の例
実数の集合R
複素数の集合C
実数の集合のn次のべき集合R^n
実数の集合Rからそれ自身への写像(関数)を要素とする集合F
F(R)={f|f:R→R}
は、実数と関数の積をスカラー倍、関数と関数の和をベクトル和と考えることにより、ベクトル空間と考えられる。
_◇複素ベクトル空間
スカラー倍を複素数で定めた場合
(スカラー倍が実数で定められた場合は実ベクトル空間)
_◇線形従属、線形独立
任意のベクトル空間Vのベクトルの系列{x1,x2,…}が与えられたとき、あるベクトルy∈Vが
y = λ1×1 + λ2×2 + …
のように系列{x1,x2,…}の中のベクトルについてのスカラー倍とベクトル和によって表されるならば、ベクトルyは系列{x1,x2,…}に一次従属(線形従属)であるという。それ以外を一次独立(線形独立)という。
※ベクトル空間Vのベクトルの系列{x1,x2,…}が一次独立な系列であるとは、系列に含まれる任意のベクトルが、系列のそれ以外のベクトルが作る系列に対して常に一次独立となることをいう。
☆数
◆RとCとZ
変数xを定義するときに、x∈Rやx∈Cという形に書く。
Rは変数が実数の範囲ということを表す。
Cは変数が複素数の範囲ということを表す。
Zは変数が整数であることを表す。
◆「数」の役割
①基数 数や量を表す
②順序数 物の順序を表す
③標識数 記号として使われる
数 number
◆自然数
_◇自然数の定義
①すべての自然数は必ず一つ後ろの数を持つ
②任意の自然数n1とn2に対しては次の3つの関係の中の1つだけが成立する
n1<n2, n1=n2, n1>n2
③自然数は加算の交換法則を満たす
a+b=b+a
④自然数は加算の結合法則を満たす
a+(b+c)=(a+b)+c
⑤自然数は数を並べた直線の上では、飛び飛びの点の集まりとして表される。
※自然数全体の集合をN(二重文字)で表す
Natural number
_◇完全数
約数のうち、自分自身を除いた数の合計が元の数と一致するもの
6, 28, 496, 8128 …
※現在見つかっている完全数は全て偶数。
※すべて6か8で終わっている。
※800万桁ほどまでの数のなかで40個前後しかない。
※ユークリッドによる完全数の法則
2^n-1が素数なら、2^(n-1)*(2^n-1)は偶数の完全数
_◇メルセンヌ数
Mersenne number
2^n-1という形で表せる数
素数である場合をメルセンヌ素数という
※2^13466917 – 1
4053946桁の数
※メルセンヌ素数
2,3,5,7,13,19,31,61,89,107,127,521,607,1279,…
…,6972593
までの38個が『何番目』と確定している
※他に1000万桁を越えるような大きな数を含む7個が見つかっているが、何番目とは確定できていない。
_◇不足数、過剰数
※不足数
約数の和が元の数より小さい数
※過剰数
約数の和が元の数より大きい数
_◇友愛数,婚約数,社交数
※友愛数
約数の和が相手の数になる
220-284, 17296-18416, …
※婚約数
約数の中から1を除いた和がお互いの数になる
(4組しか見つかっていない)
48-75, 140-195, 1050-1925, 1575-1648
※社交数
ある数の約数の和が別の数になるという循環関係が成立
12496-14288-15472-14536-14264-
_◇三角数
t_n = (1/2)*n*(n+1)
_◇カプレカー操作、カプレカー数
※カプレカー操作
例)4つとも同じ数字の4桁の数をのぞく4桁の数に対して、各桁の数字を並べ替えてできる最大の数から最小の数の差を求める。このとき0が先頭に来てもよいこととする。
これを繰り返すと、6174に至る。
※3桁の数でこれを行うと、495で終結する。
※カプレカー数
例)
45^2 = 2025
2025を中央でわけて足し算をすると
20 + 25 = 45
55^2 = 3025
30 + 25 = 55
※平方数が奇数桁のときは先頭に0をつける。
297^2 = 088209
088 + 209 = 297
1, 9, 45, 55, 297, 703, 2223, 2728, 7272, 7777, …
_◇3x+1手続き
正の整数について
①偶数だったら2で割る
②奇数だったら3倍して1を足す。
③以上を繰り返すと、1に至る
_◇カタラン数
カタラン数(Catalan number)
自然数で、ベルギーの数学者Catalanによって名づけられた。
n番目のカタラン数Cnは
Cn=(1/n+1)「2n n」= (2n)! / (n+1)!*n!
※「」は2項係数の記号
※C0からの列記
1,1,2,5,14,42,132,429,1430,4862…
2項係数を用いた形のカタラン数の表現
Cn=「2n n」-「2n n-1」 n≧1
漸化式
C0=1、Cn+1=(2*(2n+1)/(n+2))Cn=∑(i=0:n)Ci*Cn-i
母関数
(1-√(1-4x))/2x = ∑(n=0:∞)「2n n」x^n/(n+1)
※n組の()を正しくならべる方法
※n本の木で作られた二分木にn+1の葉をつける方法の総数
※対角線を跨がずに向かい合った点をつなぐ道順の総数
_◇自然数に関する有名な算術式
①
111111111×111111111
=12345678987564321
②
1x9+2=11
12x9+3=111
123x9+4=1111
。。。
12345679x9+9=111111111
③
1+2=3
4+5+6=7+8
9+10+11+12=13+14+15
16+17+18+19+20=
21+22+23+24
④
123456789x9=111111111
123456789x18=222222222
123456789x27=333333333
⑤
9x9+7=88
98x9+6=888
987x9+4=8888
。。。
98765432x9+0=888888888
⑥
3^2+4^2=5^2
10^2+11^2+12^2=13^2+14^2
21^2+22^2+23^2+24^2=25^2+26^2+27^2
36^2+37^2+38^2+39^2+40^2=
41^2+42^2+43^2+44^2
⑦
3x37=111
6x37=222
9x37=333
。。。
27x37=999
⑧
33x3367=111111
66x3367=222222
。。。
297x3367=999999
_◇フェルマーの最終定理
x^n+y^n=z^n (n≧3)を満たす
自然数x,y,zは存在しない
_◇パスカルの3角形
各行の両端は1
上段の隣り合う数を足した数が下段の数となる。
※n段目の数列は (a+b)^nを展開したときの各項の係数と等しくなる
※パスカルの3角形に斜線を引き、囲まれた部分の数字を足すとフィボナッチ数列が出現する。
◆可算
自然数の集合 N と1対1の対応をつけられる集合を可算であるという。
◆素数
prime number
自然数で1とその数地震の他に、約数(divisor)を持たないもの
自然数の分類
①約数が1個の数。。。1
②約数が2個の数。。。素数
③約数が3個以上の数。。合成数(composite number)
※合成数は素因数分解可能
⇒順番を考慮しなければ一意に決まる
⇒素因数分解の一意性(uniqueness)
factorization into prime factors
※自然数2は唯一偶数の素数で偶素数と呼ばれる
※任意の3以上の整数は
素数
奇素数の倍数
4の倍数
※1を素数としないのは、素因数分解の一意性のため
⇒名の通った数学者で素数に1をいれた最後の人は、アンリ・ルベーグで1899年のこと。
_◇エラトステネスの篩
Eratosthenes’ sieve
①1は素数でないので除く。
②残った先頭の2は素数なので、2の倍数を全て除く。
③残った先頭の3は素数なので、3の倍数を全て除く。
。。。これを繰り返すことで、素数だけが残る。
※ある自然数Nまでの全ての素数を求めるには
[√N] 「[]」はガウスの記号まで繰り返す必要がある
_◇フェルマー素数
pを負でない整数とし、
Fp = 2^2^p + 1 の形をした整数が素数であるときにFpをフェルマー素数という。
F0 = 3
F1 = 5
F2 = 17
F3 = 257
F4 = 65537
F5は素数でない。
_◇互いに素(coprime)
2つの整数が1と-1以外に共通の約数を持たない場合の2数の関係である。
整数a,bが互いに素であれば ax+by=1 を満たす整数x,yが存在する。
aとbが互いに素 ⇔ (2^a)-1 と(2^b)-1 が互いに素
_◇素数個数関数
プライム・カウンティング・ファンクション
π(N)
Nまでの素数の個数(Nより小さいか等しい)
_◇素数定理
π(N) ~ N / log(N)
~「漸近的に近づく」
→Nが素数である確率は ~1/log(N)
→N番目の素数は ~N * log(N)
π(N)より小さい推定値を出す
※対数積分関数を使って
π(N) ~ Li(N)
こちらの方がπ(N)に近く、π(N)より大きい推定値を出す。
_◇ベルトランの要請
任意の数とその2倍の数の間には、必ず素数が見つかる
_◇ゴールドバッハ予想
2を除いたすべての偶数は2個の素数の和として表せる
4=2+2, 6=3+3, 8=3+5…
_◇双子素数予想
※双子素数
⇒偶数を挟む2つの奇数の素数のペア
例)5と7、11と13、17と19など
※双子素数予想
双子素数は無限にある
◆整数
※全順序
※有理整数<>代数的整数
※整数全体の集合をZ(二重文字)で表す
ganze Zahl
※0で割ることは禁止。
1 ÷ 0 = x
なるxがあったとすると、上の式は、
0 × x = 1
でなければならない。よって答えxは無い(不能)
_◇偶数、奇数
2の倍数(multiple)を偶数(even number)と呼ぶ
他を奇数(odd number)とよぶ
◆有理数
rational number
整数に分数が加わった数の集合
0
有限小数
無限小数のうち循環小数
※有理数全体の集合をQ(二重文字)で表す
Quotient
※人間が1つ1つの数をきちんと表現して認識できるのは、有理数までである。有理数は自然数から始まって四則演算が自由にできるように範囲を広げていった結果得られた数の体系である。
※実数の連続性の要請から
0.9999… = 1 である(記法が異なるだけ)と考える
※有理数の稠密性
※有理数の濃度も自然数と同じアレフゼロである。
※
分子 numerator
分母 denominator
約分 abbreviation
_◇循環小数
recurring decimal
※無限循環小数の数の並びの一つのまとまりを「循環節」と呼び、循環節の初めと終わりに黒丸を打って略記する。
※純循環小数
pure recurring decimal
循環節が小数第1位から始まるもの
※混循環小数
mixed-recurring decimal
循環節が小数第2位以降から始まるもの
_◇循環小数の分数への変換
J.Robertsonによる方法
※純循環小数の場合
①分子に循環節をとる
②分母に同じ桁数だけの9を並べる
③約分する
※混循環小数の場合
①有限小数の部分を分離し別に分数とする
②循環節の部分を小数第1位からになるようにして純循環小数の変換を行う
③②の結果の桁を①に結果にあわせて加える
_◇循環小数の循環部の先頭を求める定理
W.G. Leavittによる定理
入力の整数nが何回2と5で割り切れるかを求めて、その大きい方の値に1を加えたものが循環部の先頭の桁をあらわす
例)
44544000= 3 * 29 * 2^12 * 5^3
2で12回
5で3回
割り切れる
max(12,3)=12 これに1を足して 小数点以下13桁目が循環部の先頭となる。
◆無理数
irrational number
整数と自然数の比で表すことができず、小数点以下不規則な数列が無限に続く(無限非循環小数)
代数的無理数代数方程式の解になる
超越数代数方程式の解として表せない
π=3.141592…
自然対数の底 e=2.718281828459…
※無限小数
infinite decimal
_◇超越数
代数方程式の根として導くことができない数を「超越数」と呼ぶ。
例)π
◆実数
※実数全体の集合をR(二重文字)で表す
Real Number
※デデキントは、有理数の切断(A~,B~)全体が、新しい数の体系である実数を与える、と考えた。
①大小の順序をつけられる
②無限分割可能性がある
③連続性がある
④4則演算が可能
◇実数の連続性
2つの実数列
a1,a2,…,an,…
b1,b2,…,bn,…
が、次の2つの性質(i),(ii)をみたしているとする。
(i) a1<a2<…<an<…<bn<…<b2<…<b1
(ii) bn-an →0 (n→∞)
このとき、ただ1つの実数αが存在して
an < α <bn (n=1,2,3,…)
が成り立つ。
※このαは、実数列a1,a2,…とb1,b2,…の共通の極限値であるといい、このことを記号で
α=lim[n→∞]an=lim[n→∞]bn
とあらわす。
_◇デデキントの連続性
実数を2つの部分AとBにわけ、Aに属する数は、Bに属する数よりも小さいとする。このときこの切断を与える実数αがただ一つ存在する。αがAに属しているときは、αはAの最大数で、このときBには最小数はない。αがBに属しているときは、αはBの最小数で、このときAには最大数はない。
_◇数直線
number line
実数には切れ目がなく、連続なので数直線を使って図示できる。
※閉区間 closed interval
※開区間 open interval
※半開区間 semi-open interval
※端点 end point
_◇ガウス記号
Gauss’ symbol
[N]
Nを越えない最大の整数を表す
◆虚数(imaginary number)、複素数
※複素数全体の集合をC(二重文字)で表す
Complex Number
◆複素数
_◇虚数単位i
i^2 = -1
_◇複素数、共役複素数
z = a + bi
※共役複素数
a – bi
※(a + bi)(a – bi) = a^2 + b^2
虚部が消える。
ガウス平面上の原点からの距離の二乗となる
※ふくそきょうやく
※複素共役の数は、複素平面上、実軸を対称軸とする線対称の位置にある。
a+i*b = r(cosθ+i*sinθ) = r*e^(iθ)
に対して
a-i*b = r(cosθ-i*sinθ)
= r(cos(-θ)+i*sin(-θ)) = r*e^(-iθ)
_◇複素数平面(ガウス平面)
虚軸をy軸、実軸をx軸にとる。
_◇複素数の絶対値
√(a^2+b^2)
ガウス平面の原点からの距離を示す。
複素数にその数の共役複素数をかけることで複素平面上の原点からの距離の二乗であるa^2+b^2がもとまる。
_◇複素数の加減算
複素平面上での点の平行移動を表す。
_◇複素数の乗除算
複素平面上での点の回転と拡大、縮小を表す
(割り算は、分母の共役複素数を分母分子に掛ける)
※乗除する数wのX軸とのなす角度をθ、距離をWとすれば
掛ければ反時計方向の回転θ、拡大W。割れば時計方向の回転θ、縮小1/W.
_◇実数の複素数乗
実数mは
m=e^log(m)
(log は自然対数)と書ける
m^x=m^(a+bi)=m^a * m^bi
=m^a(e^log(m))^bi=m^a * e^(bi・log(m))
=m^a *{cos(b・logm)+isin(b・logm)}
_◇虚数の虚数乗
i^i = (e^i(π/2))^i = e^(-π/2)
実数値となる。
i^i =0.2078795…
_◇複素関数
①sin z
三角関数のべき級数展開においてxに複素数を代入して求めることができる。(i~2=-1なのでi^3=-i…となりiのべき乗はみなiになってまとめられる)
例)sin i = (1+1/3!+1/5!+…)i
係数を計算すると、1.17520119…となる
べき級数展開の式をsin zの定義とする。
_◇極形式
z=a+biを複素平面上の点(a,b)に対応づけると、点zと原点Oとの距離をr, ∠xOz=θとすると、
a=r*cosθ
b=r*sinθ
なので
z = r * (cosθ + i sinθ)
とあらわせる。rは複素数zの絶対値といい |z| と表される。
_◇複素数での微分
実数の微分と同じ結果となる。
_◇ド・モアブルの定理
(cosα+i*sinα)^n=(e^iα)^n=e^inα
=cos(n*α)+i*sin(n*α)
※複素数zをn乗すると、偏角がn倍になる。
_◇オイラーの公式
e^iθ=cosθ + i sinθ
※e^i * π = -1
※導出
cosθ、sinθをべき級数展開(テイラー展開)し、e^iθのべき級数展開と比較することによりオイラーの公式が導かれる
※オイラーの公式から、複素数の掛け算は、複素平面上での回転と拡大縮小を表すことがわかる。
z = r * (cosθ + i sinθ)
w = s * (cosα + i sinα)
z * w = r*s*{cos(α+θ)+i*sin(α+θ)}
_◇4元数
複素数を3次元に拡張する。4つの単位4元数1,i,j,kをつかい、4元数qは
q = a + bi + cj + dk
という形で表現される。
i × j = -j × i = k
j × k = -k × j = i
k × i = -i × k = j
i^2 = j^2 = k^2 = i × j × k = -1
※加減算は「通常」の算術法則に従うが、乗法の交換法則は成り立たない。
◆群の公理
数のある集合Gについて、以下が成り立つとき、Gは加算に関して群をなす、という。(可換群<アーベル群>)
ある数の集合Gは、加算a+bについて閉じていて、次の4つの規則が成り立つ。
a, b, cはGの任意の数とする。
G1. 交換法則
a + b = b + a
G2. 結合法則
a + (b + c) = (a + b) + c
G3. 特別な数 零 0 があって
a + 0 = 0 + a = a
G4. aの反数 -a があって、
a + (-a) = (-a) + a = 0
※群
群は、元と、任意の2つの元どおしの間の演算から成る。
元の集まりが群になるためには、任意の2つの元に演算を施した結果が、やはりその群の元になっていなければならない。他に
どの元と結びつけても変化を生じない元が含まれている
どの元にも逆元が存在すること
_◇有限群の分類
※散在型単純群。。。26個存在
※コンウエイ群
リーチ格子の対称性を表す
◆環の公理 ring
以下のようなシステムRを単位元を持つ可換環という。
ある数の集合Rは、和 c=a+b と積 d=a*b について閉じていて、次の8つの規則が成り立つ。
a, b, cはRの任意の数とする。
R1. 加算の交換法則
a + b = b + a
R2. 加算の結合法則
a + (b + c) = (a + b) + c
R3. Rには特別な数 零 0 があって
a + 0 = 0 + a = a
R4. 各aに対して反数 -a があって、
a + (-a) = (-a) + a = 0
R5. 乗算の交換法則
a * b = b * a
R6. 乗算の結合法則
a * (b * c) = (a * b) * c
R7. Rには特別な単位 1 という数があって
a * 1 = 1 * a = a
R8. 加算と乗算の間の分配法則
a * (b + c) = a*b + a*c
(b + c) * a = b*a + c*a
◆2元2次形式
a*x^2+2*b*x*y+c*y^2
※幾何学的には2次形式は格子上の2点間の距離とみなせる
(格子はx方向に長さaおよびy方向に長さc)
2つの軸がなす角度の正弦
b/ac
※2次形式の判別式
⊿ = a^2*c^2 – b^2
(負ならば b^2 – a^2*c^2)
◆ディオファントス方程式
Diophantine equation
整係数多変数高次不定方程式
※整数解や有理数解を問題にしたい場合に用いられる用語
※整数および変数の定数乗の加減乗算からなる方程式は、すべてディオファントス方程式である
_◇ベズー方程式
ax + by = d
※ユークリッド互助法により一般の整数解が求まる
_◇ピタゴラス方程式
x^2 + y^2 = z^2
※ピタゴラス数。。。一般生成公式が存在
_◇ベル方程式
x^2 – ny^2 = 1
※連分数により一般の整数解が求まる
_◇楕円曲線
y^2 = f(x)
f(x)は重根をもたない、3次または4次の多項式
_◇超楕円曲線
y^2 = f(x)
f(x)は重根をもたない、5次以上の多項式
◎無限
◆無限
無限桁の数はあるが、無限桁目の数字はない
※桁目ということは、どこかで「止まる」必要あるが、どこまでいっても最後ではないので、決められない。
◆0.999… = 1 の証明
S=0.999… とおく(無限桁だが有限の数なのでSとおける)
10S=9.99…
10S – S = 9S = 9.00…
よって
S = 1
※無限大になってしまうものを数として置いてはならない!
※0.131313…の分数への変換
S=0.131313…
100S=13.1313…
100S-S=99S=13
∴
S=13/99
◆コーシー列
どんな精度で観測しても、十分先までいけばどの2つも区別がつかなくなる列
※数の正体
◆無限の濃度
数えることができる無限自然数、整数、有理数
数えることができない無限無理数
※有限集合の場合、全体は必ず部分より大きいが、無限集合の場合はそうとは限らない。
※アレフゼロ。。。自然数の無限の濃度
偶数、奇数もまた自然数と同様の濃度アレフゼロを持つ。どれだけ多くの部分に分けようともアレフゼロの持つ存在の濃さは減じない。
※部分と全体が同じ内容を持つ、それが無限というものである。
※無限とは、対応関係に何らかの規則性があり、その規則性が破綻する理由が論理的に見つからない場合に現れる。
_◇連続無限と可算無限
数直線 連続無限(非可算無限。自然数すべてを使っても数え切れない)
自然数 可算無限(1,2,3と番号をつけられる)
_◇ベルンシュタインの定理
あるカップルの取り方でAの方があまり、別のカップルの取り方でBが余るならば、その両方のカップルの取り方を組み合わせることで、AもBも余り無くピッタリとなるようなカップルの作り方を作ることができる
※無限集合AとB
(1)AとBは個数が同じ
(2)Aの方がBより個数が多い
(3)Bの法がAより個数が多い
◆可能無限と実在無限
_◇可能無限
※どんな大きな数よりも、さらに大きな数がある
※とにかく一つとったnについて議論し、証明する
※証明ができてしまえばどんなnについても成り立っているので無限に大きいnについて照明したことになる
※直感としては無限だが、論証に使う数としては有限
_◇アルキメデスの原理(数学)
0以上の数で、どんな自然数nに対しても1/nよりも小さいものは0に限る
_◇実在無限
無限回の操作を行った結果を考える。S=0.99999…
_◇無限の算術
∞ + 1 = ∞
∞ + ∞ = ∞ (2 * ∞ = ∞)
∞ * ∞ = ∞
足し算は2つの集合を合わせる、掛け算はペアを作る操作なので可能だが、∞を引き算するのは0で割り算するのと同様に情報が失われる。
※0の割り算。「何かに0を掛けたら0になった。何に0を掛けたか?」
◆√(1+√(1+…)
数直線上にプロットできる数であるので、これはxを置くことができる。
x = √(1 + x)
これから
x = (1+√5)/2
となる
☆集合と論理
◎集合
◆集合
set
ものの集まり。特定のものが特定の集合に属しているか否か、数学的に厳密に判断できなければならない。
すべての要素を列挙したリストがあればそれを集合Wとして、ある概念は、集合Wの要素のことである、と定義できる。
要素が無限にある場合は、条件式により集合Gを定義し、そこである概念は、集合Gの要素のことである、と定義する。
_◇集合の要素もしくは元
element
x∈A
ものxが集合Aの要素であることを表す
_◇外延 denotoation
ある概念にあてはまるものの集合を、その概念の外延という。
_◇内包 connotation
ある概念にあてはまるものがみたすべき性質を内包という
※内包を既定して概念を定義するのを内包的定義、外延を既定して概念を定義するのを外延的定義(集合論的定義)という
※集合(set)とは、ものの集まりのことである。ただし、特定のものが特定の集合に属しているかどうかは、数学的に厳密に判定できなければならない。
_◇有限集合 finite set
要素の数が有限であるような集合。要素を網羅することにより記述できる。
※n個の要素x1,…,x2からなる有限集合を
{x_1,…,x_n}
とかく。
_◇無限集合 infinite set
要素の数が無限であるような集合。
※一般に
{ x | … }
によって「…」を満たすようなxの全体からなる集合を現す。この記法は無限集合に対しても用いることができる。
※無限集合には「濃度」の異なる集合が無限にある
_◇集合の等しさ
集合Aと集合Bが等しい、すなわち
A=B
であるとは、AとBが同じ要素からなる集合であることを意味する。
⇒外延的な等しさ
extensional equality
_◇空集合 empty set
要素が一つもない集合を空集合という。
要素が一つもない集合は互いに等しいから、空集合は一つだけ存在する。
空集合をΦで表す。
_◇濃度
無限集合を扱う場合、集合を比べるのに使われる概念
2つの集合の要素を1対1のペアとできれば、2つの集合の濃度は等しい
_◇部分集合
subset
集合Aの要素が集合Bの要素にもなっているとき、AをBの部分集合という。
A⊂B
とかく
A=BのときもA⊂Bはなりたつ
A=Bが成り立つことと、A⊂BかつB⊂Aは同値
{a∈A| … }
によって、…を満たすようなaからなるAの部分集合を表す
※空集合は任意の集合に含まれる
A\Bで、集合Aに入っているが集合Bには入っていないような要素の集合を表す。特にB⊂AのときA\Bを
A-B
と書く
_◇集合の大きさ
集合Yが集合Xよりおおきいとは、Xの要素にYの要素を対応させるどんな関数でも、Yのすべての要素をおれなく対応させることはできない
◆結びと交わり
_◇結び union
AとBの結びとは、AとBの両方の要素からなる集合のことである。
A∪B
A∪B={x|x∈A または x∈B}
_◇交わり intersection
AとBの交わりとは、AとBの両方に共通の要素から成る集合のことである。
A∩B
A∩B={x|x∈A かつ x∈B}
_◇集合における「互いに素」
2つの集合が交わりを持たない (disjoint) あるいは互いに素( mutually disjoint)とは、それらが共通の元を持たないことを言う。
※A∩B=Φのとき
◆直和と直積
_◇直積
direct product
二つの集合 A, B に対し、
A × B = {(a,b) | a ∈ A, b ∈ B}.
で定義される集合を A と B の直積集合とよぶ。ここで (a,b) は、順序対を表す。つまり一般には (a, b) ≠ (b, a) である。これらは、たとえ a, b (a ≠ b) がともに A にも B にも属していたとしても異なるものとして区別される。したがって、A × B と B × A は集合として相異なる。
※
A×B={<x,y>|x ∈ X, y ∈ Y}.
※
<x,y,z> = <x,<y, z>>
A×B×C=A×(B×C)
直積演算を 2 つの集合だけでなく、複数個の集合に対しても拡張することが出来る。n 個の集合 A1, …, An に対する直積集合を、
Π(i=1;n) ai = {(a1,…,an)|a1 ∈ A1,…,an ∈ An}
と定義する。Π(i=1;n)Ai を A1 × … × An とも表す。
※A^n
_◇直和
direct sum
集合の直和(disjoint union, 非交和)とは、共通部分が空集合であるような二つの集合の和集合。(互いに交わらない)
※直和 direct sum
A+B={<0,x>|x ∈ A}∪{<1,y>|y ∈ B}
0,1は要素がどちらの集合から来たかを区別するためのものである。
◆関数空間とベキ
集合Aと集合Bに対して、AからBへの関数の全体から成る集合をB^AもしくはA→Bとかく
A→Bを関数空間(function space)という
※A→Bに属する関数fとgはAの任意の要素aに対して
f(a)=g(a)
となるとき、そして、そのときに限り等しいものとする。
※外延的等しさ extensional equality
※集合Aに対して、Aの部分集合の全体から成る集合をAのべき集合(power set)といい
2^AもしくはP(A)
と書く。
_◇特性関数 (characteristic function)
集合”2”を2={0,1}と定義する。Sを2^Aの要素、すなわちSをAの部分集合としたとき、Aから2への関数
χs(a)= 1 … a ∈ S
0 … a ∈/ S
※1,0は逆であってもよい。部分集合Sの特性関数
◆集合族、Π、Σ
_◇集合族
family of sets
Iを集合とする。Iの各要素iに集合Aiが対応しているものとする。
i→Ai
はIの要素に集合を対応させる対応。このような対応を集合族という。
{Ai}_i∈I
と書く
※集合I
添数集合(index set)
※集合族に対してその結び∪(Aiの要素を集めてできる集合)、交わり∩(どのAiにも属している要素の集合)を定義できる
※集合Π
集合族
{Ai}_i∈I
の結び
U=∪[i∈I]Ai
とおき、fをIからUへの関数とする。
i∈Iに対してf(i)∈Uが成り立つ
関数f∈U~Iの内でi∈Iに対して必ずf(i)∈Aiがなりたつようなもののみを考え、
そのような関数全体からなる集合を
Π[i∈I]Ai
I={0,1,2}とするとΠ[i∈I]Aiの要素は
f(0)∈A0,f(1)∈A1,f(2)∈A2
を満たす。逆にf(0)∈A0, f(1)∈A1, f(2)∈A2を定めればΠ[i∈I]Aiに属する関数f
が定まるので、関数fと三組<f(0), f(1), f(2)>を同一視することにより
Π[i∈{0,1,2}Ai = A0 x A1 x A2
※集合Σ
Σ[i∈I]Ai = {<i,x> | i∈I, x∈Ai }
I={0,1,2}とすると
Σ[i∈I]Ai = A0 + A1 + A2
◆有界な集合の上限(sup)と下限(inf)
定義:集合Mに対し、ある数Kが存在して、Mに属する点xに対し、つねにx<Kが成り立つとき、Mは上に有界な集合であるという。またある数Lが存在して、Mに属する点xに対し、常にL<xが成り立つとき、Mは下に有界な集合であるという。
定理:Mを上に有界な集合とする。このとき次の性質をみたす実数αが存在する。
(i)x∈Mならば、x≦α
(ii)どんなに小さい正数εをとっても
α-ε<x~
をみたすx~∈Mが存在する
※αをMの上限という
※上に有界な集合Mに対し、その上限を
supM
と表す。 (supremum)
※下に有界な集合Nに対しては、その下限を
infN
と表す。(infimum)
◎形式論理、記号論理
数学の証明の中で使われている推論規則を形式化し、定理や推論規則に関する一般てきな性質を調べるのが形式論理もしくは記号論理である。
◆命題論理
propositional logic
命題を単位とした推論を形式化した論理。それぞれの命題の内部構造にまでは立ち入らない。
_◇命題
proposition
正しいか間違っているかのどちらかであるはずの主張もしくは文
※真偽値 truth value
真(true)または偽(false)
真T
偽⊥
命題Pが正しい P=T
命題Pが間違っている P=⊥
_◇論理記号
logical symbol
※連言 conjunction
命題「PかつQ」
P∧Q
命題P∧Qは、どちらも正しいとき、そのときに限り正しい。
※論理記号∧は、真偽値に対する2項演算として可換的かつ結合的である
※選言 disjunction
命題「PまたはQ」
P∨Q
命題P∨Qは、どちらかが正しいとき、そのときに限り正しい。
※論理記号∨は、真偽値に対する2項演算として可換的かつ結合的である
※∨は∧よりも結合力が小さいとする
※否定 negation
¬P
※¬は∨や∧よりも結合力が強いとする。
※含意 implication
「PならばQである」という命題を
P⊃Q
とかく
P=TかつQ=TならばP⊃Q=Tである
P=T、Q=⊥ならばP⊃Q=⊥である
※P=⊥の場合、Qの真偽に関わらず
P⊃Q=T
「PならばQである」という形の論理は定理の前提であるPが成り立たなければ常に正しい
P⊃Q=¬P∨Q
が成り立つ
※⊃は∨や∧よりも結合力が弱いとする
※同値命題 equivalence
「PならばQであり、QならばPである」
P←→Q
P←→Q=(P⊃Q)∧(Q⊃P)
※←→は⊃より結合力が弱い
※命題変数 propositional variable
※命題変数、真偽値、論理記号を組み合わせて命題論理式が作られる。
propositional formula
_◇トートロジ
tautology
※命題変数にどのような真偽値の組み合わせを代入しても必ず真となるような命題論理式
※排中律 (excluded middle)
PまたはPでない
P∨¬P
⇒典型的なトートロジ
※AとBを命題論理式としたとき A⇔Bがトートロジであるとき、AとBは同値であるという equivalent
A⇔Bがトートロジであるならば、AとBの中の命題変数にどのような真偽値の組み合わせを代入してもAとBの真偽値は等しい
どのような真偽値の組み合わせを代入してもAとBの真偽値は等しいならばA⇔Bはトートロジである。
※Wangのアルゴリズム
トートロジの判定
_◇シークエント
sequent
A1,…,AmとB1,…,Bnを命題論理式の並びとしたとき
A1,…,Am→B1,…,Bn
をシークエント、矢式、連鎖、式という
A1,…,Am 前提部 antecedent
B1,…,Bn 結論部 succedent
m=0, n=0でもよい。とくにm=n=0の場合は→のみかかれる
m=0の場合は前提部は真
n=0の場合は結論部は偽
→は T⊃⊥ を意味するがこれは、⊥と同値
※シークエントの意味
A1∧…∧Am ⊃ B1∨…∨Bn
→シークエントがトートロジであるばあい、どのような真偽の組み合わせを代入してもAのどれかが偽となり、Bのどれかが真となることを意味する
→トートロジでなければ、適当な真偽の組み合わせの代入により、Aの全てが真、Bの全てが偽となることを意味する
※イニシャル・シークエント
initial sequent
初式
⇒命題変数のみからなるシークエントで、前提部と結論部の両方に同じ命題変数が現れるもの
⇒イニシャル・シークエントはトートロジ
※任意のシークエントは
Γ→Δ
と書くことができる
※「、」をつかってΓの後ろに命題論理式Aを追加した並びを表す
Γ、A
_◇推論規則
inference rule
既にトートロジと分かっているシークエントから、新たなトートロジであるシークエントを得る規則
※推論規則の形
前提1。。。前提n
――――――――― (規則の名前)
結論
※前提(premise)
シークエント
※結論(conclusion)
シークエント
※すべての前提がトートロジであるとき、結論もトートロジとなる
※イニシャルシークエントから始めて推論規則を有限回的用して得られるシークエントはすべてトートロジである
⇒イニシャルシークエントから始めて推論規則を有限回的用して得られるシークエントを証明可能(probable)であるという
⇒証明可能なシークエントはトートロジである
⇒そのようなとき推論規則の全体は健全(sound)であるという
_◇完全性
任意のトートロジであるシークエントが証明可能であるとき、
推論規則の全体は完全(complete)であるという。
◆述語論理
_◇ストラクチャ
_◇モデル
_◇Herbrand領域
◎証明、論法
◆∀と∃
「∀」は数学的には「任意」という。この記号は単独で使うことはなく「∀x」といったように使う。意味は「すべてのxが」。
「∃」は「特定の・・・」といった意味になる。「∃x」といったように書くと意味は「あるxが」となる。
f(∀x)=0だとxがなんであれ、f(x)=0ということになり、f(∃x)=0だとxがある特定の値を持つとf(x)=0になる。
●∴と∵
∴は「よって」,「したがって」という意味がある。
∵は「なぜならば」という意味がある。
◆数学的帰納法
Mathematical Induction
「数学的帰納法は自然数の性質というよりも、数学的帰納法が使えるシステムが自然数そのものなのである」
—芹沢正三
やってみればわかるように
「n=k-1のときを仮定してn=kの場合を証明する」方式にしておいた方が、結論の式がそのまま現れてずっと計算しやすい
—芹沢正三
◆無限降下法
※数学的帰納法の一種
証明する対象が無数にある場合、ひとつについてだけ証明して、他の数に対してもその証明法で証明できることをあきらかにする。
◆ε-δ論法
関数f(x)の極限値が存在するときに、関数f(x)が極限に近づく過程において、f(x)の値が極限値に近づいたり、遠ざかったりすることもありえる。そのふらつきがどんどん小さくなることを正確に記述するもの。
どんな正数εを指定されても、適当に正数δを選ぶと、次の条件が成り立つ。
0 < | x – a | < δを満たすどんな x についても
| f(x) – b | < ε
◆背理法
例)√2が無理数であることの証明
①√2が有理数であると仮定する
②√2=p/q (p,qは互いに素)とおける
③両辺にqをかけて分母を払う
√2×q=p
④両辺を二乗する。
2q^2=p^2
上の式からp^2は2の倍数であることが分かるので、pも2の倍数である。
⑤上からp=2k(kは整数)と書ける
⑥4k^2=2q^2とおけるので、両辺を2で割ると
2k^2=q^2となる
⑦上からq^2は2の倍数であることがわかり、qも2の倍数となる。
⑧しかし、pとqは互いに素なので、これはありえない。よって、√2が有理数であるという仮定が誤っていたことになる。
よって、√2は無理数である。(証明終了)
◆対角線論法
例)
すべての自然数にすべての実数を対応させることはできない
[証明]
自然数に実数を対応させる任意の関数をhとして、関数値h(n)を十進小数で表し、nの小さい順にならべる。(実際の右辺はどのように数字が並んでいてもよい)
右辺の小数の、小数点より左は無視して、小数点以下の桁数字、特にh(n)の小数点以下n桁目に注目する。この対角線状にならぶ桁数字を並べて先頭に0と小数点をつけると、また一つの実数を作ることができるが、そこで、先頭の0を除き、4以下は7に、5以上は2に書き換える。
この新たに生成した実数は、h(n)のどれとも異なるので、実数側に対応もれがある。
◆公理で証明しているのか直感で当たり前と思っているのか
点の代わりにビールジョッキ
直線の代わりに椅子
という言葉を使って見る
公理「2つの相異なるビールジョッキP,Qに対して、その2つのビールジョッキを通る椅子PQがただ一脚だけ存在する」
命題「相異なる3つのビールジョッキP,Q,Rがあって、椅子PQはビールジョッキRを通らないとする。すると、椅子QRはビールジョッキPを通らない」を証明する
証明:
◆コンピュータによる証明
①証明すべきことがらを、反例となりうる有限個のケースからなるリストに還元する
②それをひとつずつ消去していく
◎パラドックス
◆パラドックス
悪しき循環(vicious circle)
病的な文(pathological sentence)
①数学の中で使う分は、その文の中の全ての語句が、その意味を確定できるものでなければならない
②数学の中で使われる分は、自分自身を直接または間接に指示する語句を含んではならない
※
①集合Xを確定するためには、その全ての要素が確定していなければならない
②集合Xの要素の中に、集合Xが確定しないと決まらないものがあってはならない
_◇ラッセルの階型理論(type theory)
①基本的な対象の集合をDとする(1階の対象)
Dの上で次のような集合だけを公認する
②Dの要素の集合(2階の対象)
③2階の集合を要素とする集合(3階の対象)
。。。以下n階の対象というが、nは有限でなければならない。
_◇超言語、メタ言語、metalanguage
2階以上の言葉の体系。もとの言語を対象言語という。
◆カントルのパラドックス
カントルの証明
Xの全ての部分集合の集合をYとすると、YはXより大きい。
よって、全てのものの集合Sを考えると、これより大きなものは存在しない筈なのに、それより大きい集合Yが存在してしまう筈だが、そんな集合はありえない。
◆ラッセルのパラドックス
「自分自身を要素として含まないような集合」を全部集めた集合をRとする。この定義から当然、任意の集合Xについて
☆ XがRの要素である。
とは
★ XがXの要素でない
のと同じことである。
では、R自身は、この集合Rの要素だろうか、☆と★のXのところにRをあてはめると
☆ RがRの要素である
とは
★ RがRの要素でない
のと同じことである、となってしまい矛盾が発生する。
◆ウソつきパラドックス(エピメニデスのパラドックス)
クレタ人のうちのある預言者が
「クレタ人はいつもウソつき」
といっているが、この非難はあたっている
(新約聖書「テトスへの手紙」第1章)
◆視覚的パラドックス
_◇ペンローズの三角形
◆パラドックスではないがそう呼ばれるもの
_◇バースデーパラドックス
Birthday paradox
あるクラスで誕生日が一致する組が一組以上ある確率
数学的にはパラドックスではないが、以外な結果であるためにパラドックスと呼ばれる。
異なるm個の数から、重複を許してk(≦m)個の数を選んだとき、その中に同一の数が2回以上現れる確率Pとx=k/√(m)の関係
P(%) xの近似値
10 0.459044√(m)
20 0.668047√(m)
30 0.844600√(m)
40 1.010768√(m)
50 1.177410√(m)
60 1.353729√(m)
70 1.551756√(m)
80 1.794123√(m)
90 2.145966√(m)
◎論理学
◆fallacy
_◇量化子交換の虚偽
∀∃のつく前件と∃∀のつく後件を持っているが、∀∃は∃∀を含意しない。
量化子変換の誤り(a quantifier-shift fallacy)
英語での別名: illicit quantifier shift
前提:すべてのPがあるQに対してRという関係を持っている。
結論:あるQはすべてのPに対してRという関係を持っている。
例)
前提:すべての学生はある教師を尊敬している。
結論:ある教師はすべての学生から尊敬されている。
この例の前提の意味は、すべての学生がそれぞれ少なくとも1人の教師を尊敬しているということである。このことから、少なくとも1人の教師がすべての学生から尊敬されているという結論は出せない。
☆代数学
◎整式と方程式
◆整式
_◇整式
多項式と単項式をあわせたもの
※積を構成しているひとつひとつの式を因数または因子という。
※和を構成しているひとつひとつの式を項という。
_◇因数定理
多項式f(x)が因数x-aを持つための必要十分条件は f(a)=0 である。
_◇等式
2つの式を、等号で結んだもの
_◇方程式、恒等式、定義式
①方程式 ある数に対してなりたつ
②恒等式 全ての数に対してなりたつ
③定義式 式を見やすくするために名前を付ける
※数学で「公式」と言えば恒等式を指す場合が多い。物理で「公式」といえば方程式を指す場合が多い。
_◇部分分数分解
partial fraction decomposition
有理式(多項式の商で表される式)に対し、その有理式の分母が多項式の積で表されるとき、その有理式を多項式と複数の有理式(ただし、分子の次数は分母の次数より小さい)の和で表すこと
◆一次方程式の解の公式
ax = b (a ≒ 0)
x = b / a
◆不等式
inequality
不等号(inequality sign)を含む式
_◇三角不等式
triangle inequality
|a+b| ≦ |a| + |b|
※a*b ≧ 0のときに等号が成り立つ
|a| – |b| ≦ |a-b|
◆連立1次方程式の解の公式
ax + by = c
dx + ey = f
ae – bd ≒ 0 のとき
x = (ce – bf) / (ae – bd)
y = (af – cd) / (ae – bd)
◆2次方程式の解の公式
ax^2 + bx + c = 0 (a ≒ 0)
x = (-b ±√(b^2-4ac)) / 2a
※判別式 Discriminant
D=b^2-4ac
D>02つの実数根
D=0重根
D<02つの虚数根
◆3次方程式の解の公式
※x^3+y^3+z^3-3*x*y*zの因数分解
x^3+y^3+z^3-3*x*y*z
=(x+y+z)*(x^2+y^2+z^2-x*y-y*z-z*z)
※タルターリャの公式(カルダノの公式)
x^3 + p*x + q = 0
上の方程式の左辺がその上の因数分解の左辺と一致するように定数y,zを定めるならば、
-3*y*z = p
y^3+z^3 = q
とおけばよい
ところで2次方程式 a*x^2+b*x+c=0の解α、βと係数の関係
α+β=-(b/a)
α*β=c/a
がある。
-3*y*z = p式を-3で割ってから3乗して
y^3*z^3=-(p^3/27)
とすれば、y^3,z^3をα、βとみて解と係数の関係を適用できるので、y^3, z^3は
(q±√(q^2+(4/27)*p^3))/2
となり、y, zはこの3乗根をとって
√[3]{(q±√(q^2+(4/27)*p^3))/2}
最初の因数分解からx=-y-zが解となるようにy,zを置いたのであるから
x=
-√[3]{(q-√(q^2+(4/27)*p^3))/2}
-√[3]{(q+√(q^2+(4/27)*p^3))/2}
=
√[3]{(-(q/2)+√((q/2)^2+(p/3)^3))}
+√[3]{(-(q/2)-√((q/2)^2+(p/3)^3))}
※カルダノ変換
カルダノは以下のカルダノ変換によりどんな3次方程式も2次の項がないタルターリャの公式が適応できる形に変換できることを示した
x^3+a*x^2+b*x+c=0
なる3次方程式に対して
X=x+(a/3)と変数変換すれば2次の項が消える
X^3+(b-(a^2/3)*X+((2/27)*a^3-(a*b/3)+c)
⇒一般のn次方程式に対しても
x=X-a/n
と変数変換すれば、n-1次の項を消すことができる
◆4次方程式の解の公式
※フェラーリの4次方程式
◆置換
並べ替えるしかた、あるいは順列を表す関数のことを置換といい、特に、2つの数を入れ替えそれ以外は変えない置換のことを互換という。
どんな置換でも、いくつかの互換の合成関数で表すことができる。
※偶置換、奇置換
◆代数的解法
「代数的解法によって解き得るのは、4次方程式まで」
※アーベル/ガロアによる方程式論→群論
◆代数学の基本定理
n次の代数方程式は、複素数の範囲でn個の根を持つ
◆剰余定理とn次方程式の解の個数
_◇剰余定理
_◇n次方程式の解の個数
◆ジラールの定理
_◇基本対称式
いくつかの数があったとする。その数全ての和を1次基本対称式と呼ぶ。次に2つずつペアを作って掛け合わせ、すべての組み合わせで作った積を足し合わせたものを2次基本対称式とよぶ。以下、数の個数だけ。。。
例)4つの数 a, b, c, dについての基本対称式
1次対称式
a+b+c+d
2次対称式
a*b+a*c+a*d+b*c+b*d+c*d
3次対称式
a*b*c+a*b*d+a*c*d+b*c*d
4次対称式
a*b*c*d
_◇ジラールの定理
最高次数の係数が1のn次方程式があったとする。
解がn個あって、その解のn個の解の1次基本対称式を-1倍したものが方程式のn-1次の係数、2次基本対称式の1倍がn-2次の係数、3次基本対称式の-1倍したものがn-3次の係数、以下同様に続く、ただし1倍と-1倍とが交互に出てくる
◎数列
ある規則に従って並んだ数の列
※あるいは
無限個の実数 a_1, a_2,…,a_n,…の列を数列といい、これを {a_n}で表す
⇒番号nを限りなく大きくするにしたがって、a_nの値が限りなく一定の値 a に近づくとき、数列{a_n}はaに収束するという。
このとき a を数列 {a_n}の極限値という
◆等差数列
前の数に同じ数(公差)を足して得られる数列。
欧州では 算術数列 (arithmetic progression)という。
初項 a, 交差 d
一般項 an = a + (n-1)*d
初項から第n項までの和Sn
Sn = (1/2) * n * (n+1)
※単利法
元金a,利率r,期間nの元利合計
a(1+n*r)
◆等比数列
前の数に同じ数をかけて得られる数列
初項a,公比rの等比数列の一般項
An = A * r^(n-1)
_◇等比数列の和
初項a,公比rの等比数列の初項から第n項までの和をSnとする。
Sn = a + ar + ar^2 … + ar^(n-1)
r倍すると
rSn = ar + ar^2 + ar^3 … + ar^n
rSn – Sn = (r-1)Sn = -a + ar^n
よって
r≠1のとき
Sn = (a*(1-r^n))/(1-r)
r=1のとき
Sn = n * a
※複利法
元金a,利率r,期間nの元利合計
a(1+r)^n
◆階差数列
ある数列において、その隣りあう各項の差を項とする数列をもとの数列の階差数列という。
bn = an+1 – an
※階差数列の階差をとっていくことでより高次の関係が分かることがある。
※{an}の第k階差数列が定数列となる場合、anはnのk次式で表すことができる。
◆フィボナッチ数列
1 1 2 3 5 8 13 21 34 …
※自然界に現れる。植物の葉の配列、オウム貝の螺旋
※隣り合う数の比は(ほぼ)黄金比になる。
⇒隣会う2項の比は1だけからなる連分数となる
1+1/(1+1/(1+1/…))
※連続する任意の3つのフィボナッチ数
真ん中の数字の二乗とその前後の数の積との差は1になる
※ゼロ以外の任意の2つの初期値から2つの項を足し合わせて次の項をつくるというルールでフィボナッチ数列のような再帰数列が作れる。数列の値そのものは異なるが、連続する2項の比は黄金比に近づく
⇒リュカ数列 2 1 3 4 7 11 …
_◇フィボナッチ数列の一般項Fn
Fn = 1/√5(((1+√5)/2)^n-((1-√5)/2)^n)
◆下方階乗冪
xn_ = (x-0)(x-1)(x-2)…(x-(n-1))
n! = nn_
nCk = nk_ / kk_
◆数列の収束
定義:数列{a_n}に対して、ある数αが存在して、次の条件が成り立つとき、a_nはn→∞のときαに収束するという
どんな小さい正数εをとっても、ある番号Nが存在して
n≧N ならば |a_n-α|<ε
※そしてこのことを lim[n→∞]a_n=α と表す。
_◇数列の極限
定理:数列{a_n},{b_n}がともに収束するとき、次のことが成り立つ。
(i) lim a_n + lim b_n = lim(a_n + b_n)
(ii) lim a_n – lim b_n = lim(a_n – b_n)
(iii) lim a_n * lim b_n = lim(a_n*b_n)
(iv) b_n≠0 (n=1,2,…) lim b_n ≠ 0のとき
lim a_n / lim b_n = lim (a_n/b_n)
_◇コーシーの定理
数列{an}が、ある数αに収束する必要十分条件は、どんな小さい正数εをとっても、ある番号Nを適当にとると、次の条件(C)が成り立つことである。
(C) m,n≧N ならば |am-an|<ε
_◇上極限と下極限
cn = sup{an,an+1,an+2,…}
とおくと、c1≧c2≧c3≧… となる。このとき
~lim an = lim[n→∞]cn
と定義する。
◆二項定理
(a+b)^n
= a^n + n*a^(n-1)*b + … +
{n*(n-1)*…*(n-r+1)/r!}*a^(n-r)*b^r
+ … + n*a*b^(n-1) + b^n
◎級数
数列{an}の項を順に和の記号+で結んだもの
a1 + a2 + a3 + … + a4 + …
定義:記号 a1 + a2 + a3 + … + a4 + … または記号
Σ[n=1:∞]anを、数列{an}から得られる級数という。
※第n部分和
Sn = Σ[k=1;n] ak = a1 + a2 + … + an
※無限数列{Sn}がsに収束するとき、その無限級数は収束するといい、sを級数の和という。
定義:数列{Sn}が、n→∞のときσに収束するとき、級数Σ[n=1:∞]anは、和σをもつといい
Σ[n=1:∞]an=σ
と表す。このとき級数Σ[n=1:∞]anはσに収束するともいう。また収束しない級数は発散するという。
例)
Σ[n=1;∞](1/2)^n = 1
Σ[n=0;∞](1/n!) = e
Σ[n=1;∞](1/n^2) = π/6
例)発散する
lim[k→∞]Σ[n=1;k](1/n) = ∞
※1350年頃に発見された。
◆等差級数
a+(a+d)+(a+2*d)+…+{a+(n-1)*d}
=n*{2*a+(n-1)*d}/2
◆等比級数(幾何級数)
等比級数。等比数列の各項を+で結んだもの
初項 a, 公比 r
一般項 an = a * r^(n-1)
r≠1のとき部分和は、
Σ[k=1;n]ak=a*(r^n-1)/(r-1)
|r|<1のとき、収束し、級数の和は、
a / (1-r)
定理:等比数列Σ[n=1:∞]a*r^(n-1)は
(i)a=0のときには収束しΣ[n=1:∞]a*r^(n-1)=0
(ii)a≠0のときには、|r|<1のときに限って収束し
Σ[n=1:∞]a*r^(n-1)=a/(1-r)
◆調和級数
Σ[k=1:∞]1/k = 1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + …
※調和級数は正の無限大に発散することが知られている。
_◇調和級数の発散の証明
ニコル・オレーム(1323頃-1382)による証明
1/3+1/4 > 1/2
1/5+1/6+1/7+1/8 > 1/2
…
2項の和、4項の和、8項の和というように級数は無限個の区画にわけることができ、それぞれの区画は1/2より大きい。
よって総和は無限大となる
_◇オイラーの定数
オイラーは調和級数の増え方が極限において対数関数に等しいことを証明した。すなわち、調和級数と対数関数の差はある定数に収束する。それがオイラー定数である。
<オイラー定数は有理数か無理数か判明していない>
γ≡lim[n->∞](Σ[k=1:n](1/k) – ln(n))
※およそ0.57721 56649 01532 86060…
◆ライプニッツ級数
円周率を表すもっとも簡単な公式だが、極めて収束が遅いので実際の計算には使えない。
π/4 = 1 – 1/3 + 1/5 – 1/7 + 1/9 – 1/11 + …
◆級数の収束性
級数Σ[n=1:∞]a_nが収束するかどうかという問題は、数列
s_1=a_1, s_2=a_1+a_2, … , s_n=a_1+a_2+…+a_n, …
が収束するかという問題と同じなので、数列の収束の判定条件が、そのまま使える。
定理A: a_n≧0 (n=1,2,…)で、ある定数Kをとると
a_1+a_2+…+a_n < K
が常に成り立つならば、Σ[n=1:∞]a_nは収束する。
※一般に、a_n≧0のとき、級数Σ[n=1:∞]を正項級数という。※(上に)有界な正項級数は収束する。
定理B: コーシーの定理
級数Σ[n=1:∞]a_nが収束するための必要十分条件は、どんな正数εをとっても、ある番号Nがあって
m>n≧N ならば |a_n+1 + a_n+2 + … + a_m| < ε
が成り立つことである。
定理(比較定理)
2つの正項級数Σ[n=1:∞]a_n, Σ[n=1:∞]b_nに対して
a_n ≦ b_n (n=1,2,…)
が成り立つとする。このとき
(i)Σ[n=1:∞]b_nが収束すれば、Σ[n=1:∞]a_nも収束する
(ii)Σ[n=1:∞]a_nが発散すれば, Σ[n=1:∞]b_nも発散する
定理(等比級数との比較定理)
正項級数Σ[n=1:∞]a_nに対し、適当な定数Aと、0<r<1をみたすrに対し
a_n ≦ A * r^n (n=1,2,…)
が成り立つならば、Σ[n=1:∞]a_nは収束する。
◆べき級数
_◇べき級数展開
関数をx^nの無限個の和であらわすこと。
※三角関数のべき級数展開
①sin
sin X = X-(1/3!)X^3+(1/5!)X^5-…
+ ((-1)^n/(2n+1)!)x^(2n+1) +…
※ sin X = a0 + a1*X + a2*X^2 + a3*X^3 +…
とおいて、X=0代入、a0=1を求め、以後
両辺をXで微分、X=0とおいてanを決定
(sinを何回微分しても現れるのはsinとcosのみ)
という操作を繰り返すことでべき級数の係数を求めることができる。
②cos
cos X = X-(1/2!)X^2+(1/4!)X^4-…
+ ((-1)^n/(2n)!)x^2n +…
※sinと同様な方法で求まる。
※指数関数 e^X のべき級数展開
e^X = 1 + X + (1/2!)X^2 + (1/3!)X^3 +…
+ (1/n!)X^n +…
※sinと同様な方法で求まる。
_◇テイラー展開
区間Iにおいてx=aを中心とするテイラー級数に展開できるf(x)は「x=aで解析的である」と言われる
f(x) = a + b*x + c*x^2 + e*x^3 + …
e^x = 1 + x/1! + x^2/2! + x^3/3! + …
sin(x) = x – x^3/3! + x^5/5! – …
cos(x) = 1 – x^2/2! + x^4/4! – …
※xをi*xで置き換え、e^ixをsin,cosと比べると、オイラーの式
e^ix = cos(x) + i*sin(x)
を得る。
_◇マクローリン展開
f(x)のx=0を中心とする(x=0における)テイラー展開・テイラー級数を、「f(x)のマクローリン展開・マクローリン級数」と呼ぶ。
log(1+x)=x-x2/2+x3/3-…+(-1)n-1 xn/n+…
(|x|<1)
_◇母関数
数列に対応づけられらた関数。xのべき乗の無限和(ベキ級数)として定義される。
◆ゼータ関数
オイラーにより定義され、リーマンにより名づけられた
1 1 1
ζ(s)=1+---+---+---+。。。
2^s 3^s 4^s
ζ(s)=Σ[n]n^-s
ζ(k)=Σ[n=1:∞](1/n^k)
kが偶数の場合
ζ(2)=π^2/6
ζ(4)=π^4/90
ζ(6)=π^6/945
ζ(8)=π^8/9450
kが奇数の場合
ζ(3)…近年ようやく無理数であることが判明した
※sが1に非常に近いとき、ゼータ関数は 1/(s-1) のように振舞う。
_◇バーゼル問題
次の無限級数の閉じた形を求めよ。
1 1 1
1+---+---+---+。。。
2^2 3^2 4^2
※ヤーコプ・ベルヌーイにより問題が立てられた
※ある数を正確に表したものを「閉じた形」という
→近似値は「開いた形」である
※1735 レオンハルト・オイラーにより解かれた
π^2
---
6
→オイラーにより、Nが偶数であれば
1 1 1
1+---+---+---+。。。
2^N 3^N 4^N
はもとまり
N=4、π^4/90
N=6、π^6/945
奇数の場合の閉じた形は知られていない。N=3が無理数であることは1978に証明された。
_◇リーマン予想
複素数全体(s≠1)へゼータ関数を拡張した場合、ζ(s) の自明でない零点 s は、全て実部が 1/2 の直線上に存在する。
_◇黄金の鍵の式
ζ関数について、エラトステネスの篩を適用していくと
ζ(s) = Π[p](1-p^-s)^-1
「sのゼータは、1マイナス、pのマイナスs乗の、さらにマイナス1乗をとり、すべての素数について掛けた積に等しい」
※小文字のpはすべてのプライムナンバについてと読む
Σ[n]n^-s = Π[p](1-p^-s)^-1
◆級数展開
与えられた関数を有限個または無限個の既知の関数の和として表現することを級数展開と呼ぶ
_◇Taylor展開
f(t)=f(a) + (f'(a)/1!)*(t-a) + (f”(a)/2!)*(t-a)^2 +…
◆Fourier級数
Fourier級数は、有限区間で定義された関数をその定義区間の整数分の一を周期として持つ三角関数で展開したものである。
※Fourier級数展開自体が本質的な物理的意味、工学的意味を持つ場合が少なくない
べき級数ではx^nの無限個の和として関数を表したが、sin(nx), cos(nx)の無限個の和で表すのがフーリエ級数展開である。
※不連続な曲線や、角ばった曲線でも表現できるが、ディクリレが展開可能な条件があることを示した。
_◇原理
x-y座標系で点(a,b)についてのサインとコサイン
X軸と原点から点(a,b)へ引いた直線の成す角θ
原点から点(a,b)への距離r=√(a^2+b^2)
つかうと
sinθ≡b/r
cosθ≡a/r
※sinθは原点を中心に点対称な奇関数
f(θ)=-f(-θ)
⇒奇関数は、積分範囲の始点と終点が原点から等距離で、かつ符号が異なるときには、その積分は必ず0となる
∫[-L:L]{f(θ)}dθ=0
⇒sinθは、θ=n*π(nは整数)のところで必ず0
※cosθは原点を中心にして左右で線対称となる偶関数
f(θ)=f(-θ)
⇒cosθは、θ=n*π+π/2(nは整数)のところで必ず0
※sinを微分するとcos, cosを微分すると-sin
_◇三角関数の直交性
∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ
(m,nは整数で、m≠nの場合)
sin(x)*sin(y)=(1/2){cos(x-y)-cos(x+y)}
を使って書き直すと
∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ
=(1/2)∫[-π:π]{cos(mθ-nθ)-cos(mθ+nθ)}dθ
=(1/2*(m-n))[sin((m-n)θ)][-π:π]
-(1/2*(m+n))[sin((m+n)θ)][-π:π]
ここで, m,nは整数であるので、m-nも、m+nも整数
θ=-πでもθ=πでも値は0となる。
よって
∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ=0
(m,nは整数で、m≠nの場合)
m=nの場合は、
sin(nθ)*sin(nθ)=(1/2){cos(nθ-nθ)-cos(nθ+nθ)}
=(1/2){cos(0)-cos(2nθ)}
=(1/2){1-cos(2nθ)}
なので
∫[-π:π]{sin(nθ)*sin(nθ)}dθ
=(1/2)∫[-π:π]{1-cos(2nθ)}dθ
=(1/2)[θ-sin(2nθ)/2n][-π:π]
θ=±πでsin(2nθ)=0なので
πとなる
クロネッカーのデルタを使い、2つをまとめると、
(1/π)∫[-π:π]{sin(mθ)*sin(nθ)}dθ=δmn
(m,nは整数)
⇒積分範囲を[-π:π]から[0:2π]に変えても同じ
※積分が0になる性質を直交性という
⇒関数の場合の直交性とは、かけあわせて積分するとゼロになる場合をいう。
※コサインの直交性も同様に成り立つ
(1/π)∫[-π:π]{cos(mθ)*cos(nθ)}dθ=δmn
(m,nは整数)
※サインとコサインの直交性
∫[-π:π]{sin(mθ)*cos(nθ)}dθ
※偶関数と奇関数
奇関数×偶関数=奇関数
偶関数×偶関数=偶関数
奇関数×奇関数=偶関数
m,n 自然数の場合
sin(mθ)は、常に奇関数
cos(nθ)は、常に偶関数
なので、sin(mθ)*cos(nθ)は常に奇関数
よって、
∫[-π:π]{sin(mθ)*cos(nθ)}dθ=0
が成り立つ。
⇒sinとcosは常に直交する
※積分が1になることを「正規」と言い、このような関数のセットを正規直交系と呼ぶ。
⇒三角関数の場合
(1/√π)*sin(mθ)
(1/√π)*cos(nθ)
(m,nは整数)
_◇f(x)=x のフーリエ級数
原点対象なので、sin xのみの和で以下のように表すことを考える。
x = a0 + a1*sin x + a2*sin 2x + a3*sin 3x + …
x=0を代入するとa0=0
さらに両辺にsin xをかけ算する。
x*sin x = a1*sin x*sin x + a2*sin 2x*sin x + …
この両辺を-πからπまで積分する
左辺は、
∫[-π:π]x*sin x dx = 2π
右辺は、
∫[-π:π]sin x*sin x dx = π
∫[-π:π]sin nx*sin x dx = 0 (n≠1)
なので、a1=2となる。
以下、順次sin nxをかけ-πからπまで積分することで係数anが求まる。
_◇簡単化で重要な式
∫[-π:π]sin mx*sin nx dx
= π (n=m≠0)
= 0 (n≠m)
∫[-π:π]cos mx*cos nx dx
= π (n=m≠0)
= 0 (n≠m)
∫[-π:π]sin mx*cos nx dx = 0
_◇フーリエ級数の一般化
f(x)=a0/2 + Σ[n=1:∞](an*cos nx + bn*sin nx)
ここで
a0 = (1/π)*∫[0:2π]f(x)dx
an = (1/π)*∫[0:2π]f(x)*cos nx dx
bn = (1/π)*∫[0:2π]f(x)*sin nx dx
n=1,2,3…
※フーリエ級数の導出
係数an, bnが求まれば関数f(θ)はサインとコサインで表すことができる。
f(θ)=C+Σ[n=1:∞](an*cos nθ + bn*sin nθ)
の両辺にcosθをかけて-πからπまで積分してみる
∫[-π:π]f(θ)*cosθdθ
=a1*∫[-π:π]cosθ*cosθdθ+a2*∫[-π:π]cos2θ*cosθdθ+…
+b1*∫[-π:π]sinθ*cosθdθ+b2*∫[-π:π]sin2θ*cosθdθ+…
+C∫[-π:π]cosθdθ
⇒cosとcos, sinとsinでm≠nのときは直交
⇒cosとsinは常に直交
⇒∫[-π:π]cosθdθは0、∫[-π:π]sinθdθも0
よって a1の項だけが残る
⇒∫[-π:π]cosθ*cosθdθ=πなので
∫[-π:π]f(θ)*cosθdθ=a1*π
つまり
a1=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cosθdθ
同様にcos nθをかけて-πからπまで積分することで、anが求まり
an=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos nθdθ
さらに同様にsin nθをかけて-πからπまで積分することで、bnが求まり
bn=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin nθdθ
定数項 C については、
f(θ)=C+Σ[n=1:∞](an*cos nθ + bn*sin nθ)
をそのまま、-πからπまで積分することで、an,bnのかかるcos, sinの積分は-πからπまでの区間の積分であるので、すべて0となって消え、
∫[-π:π]f(θ)dθ=C∫[-π:π]dθ=2Cπ
より
C=(1/2π)∫[-π:π]f(θ)dθ
このCの2倍をa0とすれば一般化式となる
_◇フーリエ級数展開可能な関数
フーリエ級数展開:ある関数をフーリエ級数で表すこと
※フーリエ級数展開可能な条件
周期2πの関数f(θ)を区間-π≦θ≦πで、フーリエ展開できるのは、f(θ)が区分的になめらかな連続関数であること
⇒区分的になめらかな連続関数であるとき、f(θ)は区間-π≦θ≦πで∫可能
※区間a≦x≦bで連続な関数
一本の連続した線で表せる⇒積分可能
区間a≦x≦bで連続でない関数
無限大に発散する部分がある⇒積分可能でない
※曲線が有限個の箇所で不連続、しかし、無限に発散する部分は無い
⇒それぞれの小区間では発散せず連続⇒区分的に連続
⇒積分可能
※ある関数が、f(x)であらわされるとして、この関数の1階微分 df(x)/dx が、連続な関数であるとき、これをなめらかな関数という
※区分的になめらかな関数、「一階微分が区分的に連続な関数」
※区分的に連続でも、区分的になめらかな関数ではないケースがある
例)y=√|x|
x=0で一階微分が±無限大に発散する
※区分的になめらかな連続関数であれば、フーリエ級数に展開できる。不連続点では、フーリエ級数は、上下の真ん中の点に収束する。
_◇フーリエ級数例:ノコギリ波
f(θ)=θ、-π≦θ≦π
※範囲外では同じ関数が2π周期で繰り返されているものとする
⇒区分的になめらかな関数
係数 a_n を求める
a_n=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos(nθ)dθ
=(1/π)∫[-π:π]θ*cos(nθ)dθ
——————————————
θ*cos(nθ)は奇関数なので
——————————————
a_n=0
係数 b_n を求める
b_n=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin(nθ)dθ
=(1/π)∫[-π:π]θ*sin(nθ)dθ
——————————————
部分積分の公式:
∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
=[f(x)*g(x)][a:b]-∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx
より
f(θ)=θ
g(θ)=-cos(nθ)/nとする
g'(θ)=sin(nθ)
——————————————
=(1/π)[θ*{-cos(nθ)/n}][π:-π]
+(1/π)∫[-π:π]cos(nθ)/ndθ
=(1/nπ)(-π*cos(nπ)-π*cos(-nπ))
+(1/n^2*π)[sin(nθ)][-π:π]
——————————————
第2項の積分はnが自然数のときに0になる
第1項は、cosは偶関数なのでcos(nπ)=cos(-nπ)
——————————————
よって
b_n=-2*cos(n*π)/n
——————————————
nが偶数のとき、cos nπは1であり、奇数ならば-1
⇒cos nπ=(-1)^n
⇒-cos nπ=(-1)^(n+1)と書ける
——————————————
b_n={(-1)^(n+1)}*2/n
よって f(θ)=θのフーリエ級数は、
f(θ)=∑[n=1:∞](b_n*sin(nθ))
=2*sinθ-sin(2θ)+(2/3)*sin(3θ)-(1/2)*sin(4θ)+..
….._◇フーリエ級数例:方形波
_◇フーリエ級数例:方形波
4 1 1
y=-(sinθ+-sin3θ+-sin5θ+。)
π 3 5
4∞ SⅠN(2n+1)θ
=-∑-------------
πn=0 2n+1
方形波となる
S(θ)={1 0<θ<π
{0 θ=-π、0、π
{-1 -π<θ<0
_◇フーリエ級数の周期性
sin(mθ)=sin(mθ+2nπ)
m、nは整数
※sin(mθ)の和で表されるフーリエ級数は2πの周期性を持つ
※1周期が-πからπの関数を扱うときは周期2πの関数に対応していることを忘れないこと
_◇複素フーリエ級数
オイラーの公式
e^inx=cos nx + i*sin nx
e^-inx=cos nx – i*sin nx
より、足すとcos、引くとsinが求められる
cos nx = (e^inx + e^-inx)/2
sin nx = (e^inx – e^-inx)/2i
これで一般化されたフーリエ級数のcosとsinを書き換える
f(θ)=a0/2+Σ[n=1:∞](an*cos nθ + bn*sin nθ)
=a0/2+Σ[n=1:∞](
((an-i*bn)/2)*e^(i*nθ) + ((an+i*bn)/2)*e^(-i*nθ)
)
※e^(-i*nθ)の項をa0/2の左にならべると
=…+{(a2+i*b2)/2}*e^(-i*2θ)
+{(a1+i*b1)/2}*e^(-i*θ)
+a0/2
+{(a1-i*b1)/2}*e^(i*θ)
+{(a2-i*b2)/2}*e^(i*θ)
+…
※係数の an, bnをnが負の場合にも拡張
コサインは偶関数で、サインは奇関数であるので
cos(nθ)=cos(-nθ)
sin(nθ)=-sin(-nθ)
an=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos nθdθ
=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*cos(-nθ)dθ=a_-n
bn=(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin nθdθ
=-(1/π)∫[-π:π]f(θ)*sin(-nθ)dθ=-b_-n
※この拡張により
=…+{(a_-2-i*b_-2)/2}*e^(-i*2θ)
+{(a_-1-i*b_-1)/2}*e^(-i*θ)
+a0/2
+{(a1-i*b1)/2}*e^(i*θ)
+{(a2-i*b2)/2}*e^(i*θ)
+…
ここで
c_n≡(a_n – i*b_n)/2 (nは整数)
と定義すれば
f(x)=Σ[n=-∞:∞]C_n * e^(i*n*θ)
c_nを定義に従って計算すると
c_n=(1/2π)∫[-π:π]f(θ)*e^(-i*n*θ)dθ
_◇周期の拡張
周期2πのθから、周期2Lの変数xに変換する
-π≦θ≦π
へ変換
-L≦x≦L
x≡L*θ/π
f(θ)=f(π*x/L)=f~(x)
f~(x)=a_0/2+∑[n=1:∞]{a_n*cos(nπx/L)
+ b_n*sin(nπx/L)}
a_n, b_nを変数変換するために、置換積分を行う
dx/dθ=L/π
∴dx=(L/π)dθ
a_n=(1/π)∫[-π:π]{f(θ)*cos(nθ)}dθ
=(1/π)∫[-L:L]{f(πx/L)*cos(nπx/L)}(π/L)dx
=(1/L)∫[-L:L]{f~(x)*cos(nπx/L)}dx
b_n=(1/π)∫[-π:π]{f(θ)*sin(nθ)}dθ
=(1/π)∫[-L:L]{f(πx/L)*sin(nπx/L)}(π/L)dx
=(1/L)∫[-L:L]{f~(x)*sin(nπx/L)}dx
※複素フーリエ級数の場合
f~(x)=∑[-∞:∞]C_n*e^(inπx/L)
c_n=(1/2π)∫[-π:π]{f(θ)*e^(inθ)}dθ
=(1/2L)∫[-L:L]{f~(x)*e^(inπx/L)}dx
_◇フーリエ級数を使った微分方程式解法
LCR交流回路とその微分方程式
L*(d^2 Q / dt^2) + R(dQ/dt) + (1/C)Q = V(t)
Q,Vをフーリエ級数展開すれば、n番目の式は、
Qn(t)=Cn*e^inωt
Vn(t)=Dn*e^inωt
ここでωは角周波数
dQn/dt = inω*Cn*e^inωt
d^2Qn/dt^2 = -n^2*ω^2*Cn*e^inωt
(-n^2*ω^2*L^2+i*n*ω*R+1/C)Cn*e^inωt = Dn*e^inωt
Q(t)=Σ[n=-∞:∞]C/(1-n^2*ω^2*LC+inωRC)*e^inωt
_◇Dirichlet核(関数)
Dn(τ)=
sin((2N+1)*(π/T)*τ)
―――――――――――
T*sin(π/T)*τ
∫[-T/2:T/2] Dn(τ) dτ = 1
_◇有界変動な関数
各点でFourier級数の収束が保証されるための十分条件
区間[a,b]で有界変動な関数とは、[a,b]の任意の分割
a=t0<t1<…<tn=b
に対して
Σ[k=1:n] |x(t_k)-x(t_k-1)| < M
を満足する変動の総和の上限M>0が存在する関数のことである
※x(t)が有界変動であればx(t)の不連続点はたかだか可算個
⇒第一種の不連続点
※t=cがx(t)の第1種の不連続点であるとは
x(c+0)=lim[h→0+] x(c+h)右極限
x(c-0)=lim[h→0-] x(c-h)左極限
が存在しそれらが異なる場合
_◇Dirichlet-Jordanの定理
x(t)は周期Tの周期関数、あるtの近傍で有界変動
このときxN(t)はN→∞で右極限と左極限の平均
xバー(t)=(1/2)*(x(t+0)+x(t-0))
に収束する
_◇Gibbs現象
不連続点の近傍で、収束が一様でなくなり、項の数を増やしても誤差のひろがりは減少するが誤差の大きさそのものは一定値以下にはならない現象。
「有限と無限の間のギャップが生み出した特異現象のひとつ」
_◇Riemann-Lebesgueの定理
x(t)は周期Tの周期関数で、区間[0,T]で可積分、
∫[0:T]|x(t)|dt < ∞
とする。このときx(t)のFourier係数Cnは
Cn→0 (n→∞)
となる。
_◇Parsevalの等式
x(t)は周期Tの周期関数
Cnはx(t)のFourier係数
∫[0:T]|x(t)|^2 dt = Σ[n=-∞:∞]|cn|^2
_◇Fourier級数の一般化
Hilbert空間における直交展開として一般的に定式化
⇒いわゆるFourier級数は一つの特殊な場合
Hilbert空間Xが与えられたとし、x,y∈Xの内積を(x,y)と書く。
Xから可算個の元{x_n}n=1:∞を選び
(x_i, x_j) = { 0 (i≠j)
{1(i=j)
が成立するとき、S={x_n}n=1:∞は、正規直交系であるという。
もし
(x, x_n) = 0(n=1,2,…)
を満足するxが0以外にないならば、正規直交系S={x_n}n=1:∞は完全である、という。
x∈Xに対し
s_n = Σ[n=1:N](x, xn)xn … (1)
とおく。
||x – s_n||^2 = ||x||^2 – Σ[n=1:N]|(x, xn)|^2
※Besselの不等式
Σ[n=1:N]|(x, xn)|^2≦||x||^2
⇒s_nがN→∞で収束することを意味する
(1)のN→∞での極限
s = Σ[n=1:∞](x, xn)xn
をxのFourier級数とよぶ。
◆フーリエ変換と逆変換
Fourier級数は有限区間で定義された関数またはその周期関数にその適用範囲が限られている。その制約を取り除き、もっと一般的な関数にFourier級数を拡張したのがFourier変換である。
例)周期的でない単一のパルス
_◇周期的な方形波のフーリエ級数からフーリエ変換へ
高さ1、幅l、周期2lの方形波f(x)
複素形式のフーリエ級数の係数Cn
Cn=(1/2l)∫[-l:l]f(x)(cos(nπx/l)-i*sin(nπx/l))dx
偶関数なのでsinの項は∫するとゼロとなる
Cn=(1/2l)∫[-l:l]f(x)(cos(nπx/l))dx
-(l/2)≦x≦(l/2)の範囲でf(x)=1, それ以外で0なので、積分範囲を狭めることができる
n≠0のとき
Cn=(1/nπ)sin(nπ/2)
n=0のとき
Cn=1/2
同様に方形波の間隔をlから3l(周期は4l)とひろげると
n≠0のとき
Cn=(1/nπ)sin(nπ/4)
n=0のとき
Cn=1/4
周期 2mlにおいては
n≠0のとき
Cn=(1/nπ)sin(nπ/2m)
n=0のとき
Cn=1/2m
※mが無限に多い場合は
∑[n=-∞:∞]Cn=∫[-∞:∞]Cdn
がなりたつ
※周期mlの場合のフーリエ級数
∞
f(x)=∑{C_n*e^(inπx/ml)}
n=-∞
nは整数、隣の点との距離は1、
mは極めて大きいので、nの変化にたいする
e^(inπx/ml)
の変化は極めてゆっくりなのでf(x)は
∫[-∞:∞]{C_n*e^(inπx/ml)}dn
と書き直せる
L=mlの場合のC_nは
C_n=(1/2ml)∫[-ml:ml]{f(x)*e^(inπx/ml)}dx
ここで
k≡nπ/ml
おいて変数をnからkに変換すると
dk/dn=π/ml
dn=(ml/π)dk
f(x)=∫[-∞:∞]{C_n*e^(ikx)*(ml/π)}dk
C_n=(1/2ml)∫[-ml:ml]{f(x)*e^(ikx)}dx
C_nの式をf(x)の式に代入すると
f(x)=(1/√(2π))*
∫[-∞:∞]{(1/√(2π))*∫[-ml:ml]{f(x)*e^(ikx)}dx
}*e^(ikx)dk
ここで単一のパルスを扱うにはm→∞とすればよい
f(x)=(1/√(2π))*
∫[-∞:∞]{
(1/√(2π))*∫[-∞:∞]{f(x)*e^(ikx)}dx
}*e^(ikx)dk
※単一パルスを表す関数にまで対応できるようにしたフーリエ展開に相当する
内側をフーリエ変換、外側をフーリエ逆変換と呼ぶ
_◇フーリエ変換と逆変換
※フーリエ変換
F[f(x)]=F(k)≡(1/√(2π))*∫[-∞:∞]{f(x)*e^(ikx)}dx
※フーリエ逆変換
F^-1[F(k)]=f(x)=(1/√(2π))*∫[-∞:∞]F(k)*e^(ikx)dk
⇒両方に(1/√(2π))をつけているが、フーリエ逆変換にまとめて(1/2π)をつける定義もある(分野による)
※フーリエ変換
F(ω)=∫[-∞:∞]f(t)e^-iωt dt
逆変換
f(t)=(1/2π)∫[-∞:∞]F(ω)e^iωt dω
_◇単一方形パルスのフーリエ変換
F(k)=(2ml/√(2π))C_n
の関係があるので、これに
Cn=(1/nπ)sin(nπ/2m)
を代入し、さらに変数nをkに変換、W≡l/2
と定義(パルス幅を2Wで定義する)
F(k)=√(2/π)*{sin(k*W)/k}
_◇指数関数のフーリエ変換
αが正の実数、x<0ではゼロとする。
f(x) = e^(-α*x) x≧0
= 0x<0
α>0
※減衰を表す関数
※フーリエ変換の計算
F(k)=(1/√(2π))*∫[-∞:∞]{f(x)*e^(ikx)}dx
=(1/√(2π))*∫[0:∞]{e^(α+ik)x}dx
=(-1/√(2π))*[e^(α+ik)x/(α+ik)][0:∞]
α>0なので、x→∞のときe^(-αx)→0
=(1/√(2π))*(1/(α+ik))
=(1/√(2π))*(α-ik)/(α^2+k^2))
Re{F(k)}=(1/√(2π))*(α)/(α^2+k^2))
Im{F(k)}=(1/√(2π))*(-k)/(α^2+k^2))
(α)/(α^2+k^2)
変数kに対して左右対称の偶関数
ローレンツ型関数
面積はπに等しい
◆離散Fourier変換
計算機でx(t)のFourier変換を行うためには
①サンプリングによってx(t)を数列に変換する(離散化)
②定義域を有限にする(局所化)
③計算機の語長が有限である(量子化)
離散化され、局所化された関数に対してFourier変換を拡張したのが離散Fourier変換である。
_◇Shannon-染谷のサンプリング定理
x(t)のFourie変換X(ω)が、ある数Wより大きなωで0となるならば、X(t)は間隔T=π/Wのサンプル値から完全に再現できる。
⇒Wより大きな周波数成分を持たない信号は、π/Wの間隔でサンプリングをしても情報が失われない。
_◇高速Fourier変換
Fast Fourier Transform (FFT)
離散Fourier変換(DFT)を計算するにはN^2回の乗算が必要。Nが大きくなると計算時間膨大となる。
◆Laplace変換
Fourier変換がFourier級数の拡張であるとすれば、Laplace変換はFourier変換の拡張である。
Fourier変換でiω=sとおいた
X(s) = ∫[-∞:∞]x(t)*e^(-st)dt
をx(t)のLaplace変換と呼ぶ。
※Laplace変換が本格的に用いられたのは、Heavisideによって提案された演算子法を数学的に基礎づけるためである。
◆z変換
Laplace変換を離散化したのがz変換である。Laplace変換が線形微分方程式を代数的に解くのに用いられるように、z変換は線形差分方程式を代数的に解くのに用いられる。
◆ウエーブレット変換
基底関数としてウェーブレット関数を用いる周波数解析。フーリエ変換で失われる時間領域の情報を残すことができる。
※フーリエ変換では、サイン波、コサイン波という局在化していない波で表現するため、時系列情報は窓関数を乗ずることによる。
※これに対して、ウエーブレット変換では基底関数の拡大、縮小を行う。
※ウエーブレットにはメキシカンハット関数、変形ガウシアンなどがある。
_◇離散ウエーブレット変換
◎階乗
◆階乗
自然数nに対し、1からnまでの自然数の総乗を言う。これをn!と書く。
0! = 1 である。
_◇スターリングの公式
大きな数の階乗の値の近似値を得るための公式
N^N * e^-N * √(2π*N)
◆Πの定義式
Π([k=0;m] f(k)) = f(0)*f(1)*f(2)*…*f(m)
※Productの頭文字Pをギリシア文字の大文字Πにしただけ。
※パイと読む
n! = Π[i=1;n](i)
◆Γ関数
階乗の定義域を実数に拡張したもの(負の整数を除く複素数の範囲まで拡張される)
◎行列
◆行列、ベクトル、行列式
数を縦横に長方形状にならべたもの
横の並びを行⇒1行とりだせば行ベクトル
縦の並びを列⇒1列とりだせば列ベクトル
個々の数を成分
※行数がmで列数がnである行列を mxn行列という
※行列に名前をつけるときは通常アルファベットの大文字をつかう
※i行、j列に相当する数を a_ij と書き、行列 A のij成分とよぶ
※行と列の数が等しい正方形の行列を正方行列という。
※ベクトル
空間の中の点、矢印
※行列
空間から空間への素直な写像
※行列式
行列による写像による体積拡大率
_◇束縛ベクトル
位置ベクトルのように、始点を固定したベクトルを束縛ベクトルという
◆線形空間
加算と定数倍が定義された空間
⇒ベクトル空間
※現実世界の機能縮小抽象化版
※ゼロベクトルのみが特別で、他は対等。
⇒原点がある
※長さも角度も定義されていない。
⇒異なる方向のベクトルの大小比較はできず、回転も定義されない
_◇基底と座標
基底:基準となる一組のベクトルのこと
(e1→, e2→)
⇒基底のメンバであるe1→などのベクトルを基底ベクトルとよぶ
あるベクトルv→が基底をつかって
v→= x*e1 + y*e2→
のようにあらわせるとき、(x,y)を座標と呼ぶ
※基底となる条件
u1*e1→ + … + un*en→ = O→
なら
u1=…=un=0
⇒線形独立
⇒u1…unを線形結合の係数とよぶ
※線形結合
以下の形をいう
u1*e1→ + … + un*en→
※e1→ … en→の線形結合で任意のベクトルx→が表せ、しかもその表し方が唯一であるとき、(e1→, … ,en→)を基底と呼ぶ
◇次元
※基底ベクトルの本数をもってその空間の次元とする
_◇内積空間
「拡張された」線形空間、長さ、角度が定義される
※和と定数倍だけでは、座標系に依存しない内積を定めることができない
※長さを定義し、それをつかって内積を定義
⇒計量ベクトル空間、計量線形空間
◆アフィン空間
線形空間から原点を取り払ったような空間
◆線形代数における正当な演算
ある座標系で = であった演算は、別な座標系で表現しても=。
⇒座標系が変わると変わってしまう演算は、対象そのものの性質ではなく、特定の座標系での見た目の性質
◆行列の和と積
_◇行列の相等
対応する成分がすべて等しい同じ形の2つの行列 A, B を等しいといい
A = B
と書く。
⇒すべてのi,jについて
a_ij = b_ij
_◇行列の加法・減法
①形の等しい2つの行列A, Bの加法は、対応する成分同士の和
②形の等しい2つの行列A, Bの減法は、対応する成分同士の差
※行列の和
交換法則がなりたつ
A+B=B+A
結合法則がなりたつ
(A+B)+C=A+(B+C)
A+O=A
A+(-A)=O
_◇行列のスカラー倍
分配法則が成り立つ
(a+b)*A = a*A + b*A
a(A+B) = a*A + a*B
結合法則が成り立つ
(a*b)*A = a*(b*A)
0*A = O
1*A = A
_◇行列の乗法
※行列 A と B の 積の行列
行列A の i 行目の行ベクトル
行列B の j 列目の列ベクトル
の内積をij成分とする i x j 行列を積の行列とい、ABと書く
※一般に交換法則は成りたたない
AB ≠ BA
※分配法則は成り立つ
A(B+C)=AB+AC
(A+B)C=AC+BC
※行列Aの列数と、行列Bの行数が一致するときだけ積を求めることが可能
結合法則はなりたつ
(A*B)*C = A*(B*C)
単位行列
A*E = E*A = A
A*A =A であれば、A=E
ゼロ行列
A*O = O*A = O
※行列の積とは、写像の合成である
(B*A)x→ = B*(Ax→)
_◇2次の正方行列の和と積
~A= (a b)
(c d)
~B= (e f)
(g h)
~A + ~B = (a+e b+f)
(c+g d+h)
~A~B = (ae+bg af+bh)
(ce+dg cf+dh)
~B~A = (ea+fc eb+fd)
(ga+hc gb+hd)
※乗法に関して非可換である。
~A~B≠~B~A
※交換法則の成り立つ形は可換であるという。
_◇スカラー三重積
A・(B×C)
=
|Ax Ay Az|
|Bx By Bz|
|Cx Cy Cy|
※ベクトルA,B,Cが右手系をなすならば、スカラー三重積は、A,B,Cを辺とする平行6めんたいの体積に等しい
→スカラー3重積では、3つのベクトルを循環的に順序を変えてもその値は変わらない
_◇ベクトル三重積
一般に
A×(B×C)≠(A×B)×C
である
◆ゼロ行列と単位行列
_◇零行列
すべての成分が0である行列。通常 O で表す
※零行列の掛け算については交換法則が成り立つ
AO=OA=O
_◇正方行列
行の数と列の数が等しい行列。正方形の形
※nxn行列をn次の正方行列という
※対角線上に並んだ成分を対角成分と呼ぶ
※トレース
n次正方行列の対角成分の和
a11+a22+…+ann
をAのトレースという。tr(A)で表す
※上三角行列
正方行列の一種で、上方が三角形、それ以外の成分が0
A=(a_ij)n*nにおいて、a_ij=0(i>j)
※下三角行列
下方が三角形、それ以外が0
A=(a_ij)n*nにおいて、a_ij=0(i<j)
_◇対角行列
正方行列の一種、対角成分以外の成分がすべて0
※スカラー行列
対角行列の一種で、対角成分がすべて等しい行列
_◇三重対角行列
対角成分とその上下左右に隣接する成分のみに0以外の値が出現する行列
_◇単位行列
左上から右下にかけての対角線上に位置する成分が1で、他の成分が0である正方行列を単位行列という。通常 E または I であらわす
※単位行列の掛け算については交換法則がなりたつ
AE=EA=A
_◇2次の正方行列のゼロ行列と単位行列
~O = (0 0)
(0 0)
~E = (1 0)
(0 1)
※ゼロ行列、単位行列は通常の数の「0」および「1」の役割を果たすが、しかし、行列においては
①ゼロ行列でない2つの行の積がゼロ行列になることがある。
②二乗してゼロ行列になるものもある。
_◇直交行列
orthogonal matrix
逆行列と転置行列が等しい実行列
◆行ベクトルと列ベクトル
_◇行ベクトル
1xn行列をn次の行ベクトルという
※行ベクトルについては、成分の間にコンマを書くことがある。(行列として扱う場合は、コンマなしの習慣がある)
_◇列ベクトル
mx1行列をm次の列ベクトルという
◆転置行列
transported
_◇転置行列
a_ij を (i,j) 成分とする (m,n)型の行列 A=(a_ij) に対して,a_ji を (i,j) 成分とする (n,m)型の行列をAの転置行列(transposed matrix)といい,A^T,または tA で表す.
※先行するtは上付き文字
※行と列を交換した行列である
※転置行列を使うと、行列の掛け算表現を簡潔にすることができる。
_◇転置行列の性質
① t(A+B) = tA + tB
② t(c*A) = c * tA
③ t(A*B) = tB * tA
※転置行列の転置は元に戻る
t(tA)=A
_◇対称行列
正方行列で、左上から右下への対角線に関し、成分の値が対称になっている行列
⇒i行j列目の成分と, j行i列目の成分がすべて等しい正方行列
※転置させても同じ行列になる行列。
※実正方行列Aが
Aの転置=A
のとき、対称行列という
_◇交代行列
行列Aの転置行列をtAとするとき
tA = -A
となる行列 A を交代行列という
例)
A= ( 0 -1 3 )
( 1 0 -2 )
( -3 2 0 )
※実正方行列Aについて
Aの転置行列=-A
のとき交代行列、または反対称行列という
⇒交代行列では対角要素はすべて0である
_◇エルミット行列
Aの要素a_ijをその複素共役a_ij*で置き換えて得られる行列をA*で表す
※正方行列Aについて、
Aの転置行列=A*
のときAをエルミット行列という。
⇒実行列の対称行列を要素が複素数の場合に拡張したもの
⇒エルミット行列で実行列のものが対称行列
※転置と複素共役とを同時に行って得られる行列をエルミット共役行列といい、A†で表す。
A†=(A*)T=(AT)*
⇒エルミット行列は行列とそのエルミット共役行列とが等しい行列
※正方行列AがA†=-Aをみたすとき、反エルミット行列という。
⇒反エルミット行列で実行列のものが交代行列である
_◇ユニタリー行列
正方行列Aが
Aの転置=(A*)^-1
をみたすときユニタリー行列という
⇒実ユニタリー行列が直交行列
◆行列の分割
_◇行列の分割
s-1本の横線とt-1本の縦線により、lxm行列
A=(a_ij)lxm
をst個の行列に分割する
_◇行列の分割による行列の積の計算
lxm行列A をst個の行列に分割
mxn行列B をtu個の行列に分割
分割した行列の添え字を行p, 列qであらわすと
AB=
(Σ[q=1:t]A1qBq1 [q=1:t]A1qBq2 … [q=1:t]A1qBqu)
(Σ[q=1:t]A2qBq1 [q=1:t]A2qBq2 … [q=1:t]A2qBqu)
(… … … … )
(Σ[q=1:t]AsqBq1 [q=1:t]AsqBq2 … [q=1:t]AsqBqu)
⇒A,Bを分割してできた行列を”各行列の成分(数)”であるかのように考えて行列の積を実行することより積ABを求めることができる
◆行列の対角化
対称行列Aは固有ベクトルVkから作った直交行列Vによって対角行列Λに変換できる
⇒これを行列の対角化という
※行列Aがエルミット行列の場合にはユニタリー行列Uによって
U†AU
を対角行列にすることができる。
◆正則行列と逆行列
※正則
⇒基底には依存しない
_◇逆行列
inverse matrix
行列の割り算は定義されていないが、逆行列をかけるという計算が割り算に相当する
⇒逆数に相当する
A*X=B なので BをAで割ったものが A^-1 * B に相当する。
n次正方行列Aに対して
AX=XA=I
ここで、Iはn次単位行列。
となるn次正方行列Xが存在するとき、Aはn次正則行列といい、XをAの逆行列とよび、A^-1と書く。
(エー・インバースと発音する)
※行列 A に対して、その逆行列 A^-1は存在するとはかぎらない
※有限次の行列であればAX=IもしくはXA=Iのどちらかが成り立てばX=A^-1であることが証明される。
※行列ではE÷Aのような表現はしない
_◇2次の正方行列の逆行列
A=(a b)
(c d)
のとき、a*d – b*c ≠0ならばAは正則であり
A^-1=(1/(a*d-b*c))*(d -b)
(-c a)
_◇正則行列
regular matrix
逆行列が存在する行列のことを正則行列という
※正則行列であるための必要十分条件は行列式が0でないことである。
※正則行列の各列ベクトルは互いに一次独立である。同様に各行ベクトルは互いに一次独立である。
※正則な行列Aの逆行列はただ1つしか存在しない
※n次正方行列Aに対して
AX=XA=I
となるXが存在すれば
Aは正則行列
XはAの逆行列
⇒有限の次数であればAX=IであればXA=Iであるので、どちらか一方が証明できればよい
※実数の世界で正則でないものは「0」だけだが、行列の世界では無数にある。
_◇特異行列
逆行列を持たない行列
◆行列の階数と基本変形
_◇r次小行列
mxn行列Aから、r本の行とr本の列を任意に選び、それらの交点にあたる成分を新たな成分とした正方行列
_◇行列の階数
①行列Aのr次小行列の中に少なくとも一つ正則行列がある
②(r+1)次小行列はすべて正則行列にならない
上記の条件を満たすとき、行列Aの階数はrであるという
※Bのような形の行列に変形できれば階数はrである
1 … 0 … a_1n
0 … … … …
0 … 1 … a_rn
0 … … … 0
0 … … … 0
0 … … … 0
左上部分が単位行列
下部分が零行列
※自由度
未知数の数から係数行列Aのrank[A]を引いたもの
⇒未知数2でrank[A]なら自由度は1、解は無数に存在する
_◇行列の基本変形
①ある行(列)をk(≠0)倍する
②2つの行(列)を入れ替える
③行列のある行(列)の何倍かを他の行(列)に加える
※このような基本変形をおこなっても行列の階数は変わらない
※基本変形をおこなって、左上が単位行列、下を零行列となるような形に変形した行列を標準形という
_◇階段行列
0が階段状になっている行列。
行が増えるにしたがって、左端から連続して0の数が同じか増える
ある行で0である列の行の下の行の同列はすべて0.
※「同じか増えている」ので
(3 4 5)
(0 0 4)
(0 0 2)
も階段行列となる
(2 3 4)
(0 5 6)
(0 0 0)
も階段行列
◆連立1次方程式と行列
_◇連立一次方程式の行列表現
例)
(a b)(x) = (p)
(c d)(y) (q)
A*X=B
※Aが逆行列A^-1をもてば
X=A^-1*B
※n個の未知数x1,x2,..,xnの連立一次方程式
a11x1+a12x2+…+a1nxn=b1
a21x1+a22x2+…+a2nxn=b2
…
am1x1+am2x2+…+amnxn=bm
ここで
A=
(a11 a12 … a1n)
(a21 a22 … a2n)
(… )
(am1 am2 … amn)
X=
(x1)
(x2)
(…)
(xn)
B=
(b1)
(b2)
(…)
(bm)
O=
(0)
(0)
(…)
(0)
連立方程式を
Ax=B
と書ける。あるいは
(A|B)(X )=O
(-1)
ともかける
⇒Aを連立1次方程式の係数行列
⇒(A|B)を拡大係数行列という
_◇係数行列と拡大係数行列
例)
(a b)(x) = (p)
(c d)(y) (q)
のとき係数だけの行列
(a b)
(c d)
を係数行列という
※拡大係数行列
係数行列に定数項の行列を加えたもの
(a b p)
(c d q)
_◇掃きだし法
※ガウスの掃きだし法
①行列の基本変形をつかって第1行第1列に1を作る
②これを使って下の行の第1列を全て0に履きだす
③上記の①、②を第n行第n列について適用し対角成分を1にする
⇒拡大係数行列について基本変形を繰り返すことで解を得ることができる。
※解の存在と個数に注意
_◇同次形の連立1次方程式
以下の連立方程式において
Ax=b
b=0のとき
Ax=0
を同次形の連立一次方程式という。
同次形の連立一次方程式は必ず一つの解x=0を持つ。
⇒自明な解
※x1,…,xkが解ならば、これらの一次結合も解となる
λ1x1+…+λkxk
※同次形の場合、拡大係数行列ではなく、係数行列の簡約化を行えば十分
◆変換
_◇線形変換
n次元のベクトルXをn次元のベクトルYに移す変換式が
n次の正方行列Aを用いて
Y=A*X
とかける変換を1次変換(線形変換)という
※変換式が定数項のない1次式でかける変換
⇒正比例をn次元に拡張したもの
※1次変換は線形性をもつ
(1)f(U+V)=f(U)+f(V)
(2)f(λ*U)=f(λ*U)
λは定数、U,Vはベクトル
_◇座標軸の回転
xy直交座標軸に対して座標軸を原点中心にθ回転してえられるXY直交座標軸
X=x*cosθ+y*sinθ
Y=-x*sinθ+y*cosθ
※この関係は、xy直交座標系上で点P(x,y)をθ回転した
点Q(X,Y)に移す場合にもなりたつ
※角θの回転
(cosθ -sinθ)
(sinθ cosθ )
この行列を2回繰り返す(2乗)すれば、2θの回転と等価になるので、
(cos2θ -sin2θ) = (cosθ -sinθ)^2
(sin2θ cos2θ ) = (sinθ cosθ )
=(cos^2θ-sin^2θ -2sinθcosθ)
(2sinθcosθ cos^2θ-sin^2θ)
※倍角公式が得られる。
_◇アフィン変換
_◇ギブンス回転
Givens rotation
detが1の直交行列
(i,k)平面での回転
(1 … 0 0 … 0)
(0 … … 0)
(0 cosθ sinθ 0)
(0 -sinθ cosθ 0)
(0 … … 0)
(0 … 0 0 … 1)
_◇ハウスホルダー変換
Householder transformation
uに直交する超平面に関する鏡映
◆複素共役行列
行列 A=(a_i,j) について,a_i,j の複素共役を(i,j)成分とする行列をAの複素共役行列(complex conjugate matrix)といいA~で表す.
※共役転置行列
行列Aの複素共役行列の転置行列をAの共役転置行列(conjugate transposed matrix)といい,A^* で表す.
◆ユニタリ行列
n次正方行列Uが
U・U^*=I
を満たすときUをユニタリ行列と言う
◆行列式
_◇行列式
determinant
正方行列に対して定義される。
※n次の正方行列Aに対し、ある規則に従って数を対応させた、その数を
行列Aの行列式
といい
|A|, det A
とあらわす。
⇒|A|をAの絶対値と呼んではならない
⇒n次の正方行列に対応する行列式をn次の行列式という
⇒行列式はスカラー量である。
⇒detAとも書く。
※帰納的定義
1次の行列式)
A=[a]のとき
|A|=|a|=a
2次の行列式)
A=[a b]
[c d]
行列式は
|A|=|a b|=a*d – b*c
|c d|
2次、別記法)
|a11 a12|
|a21 a22| = a11 * a22 – a12 * a21
3次の場合(サラスの公式)
|a11 a12 a13|
|a21 a22 a23| = a11*a22*a33+a12*a23*a31+a13*a21*a32
|a31 a32 a33| -a13*a22*a31-a12*a21*a33-a11*a23*a32
4次以上の行列式
n次正方行列Aに対し、Aの行列式|A|を帰納的に次のように定義する
(i) n=1,2,3の場合は、上で定義
(ii) n≧4で(n-1)次の行列に対し、その行列式が定義されていると仮定する
(iii) n次の正方行列に対し、Aの行列式|A|を
|A|=A(1,j)~A(1,j)+A(2,j)~A(2,j)+…+A(n,j)~A(n,j)
ここでjは1,2,…,nのうちどれか一つでよい
と定義する。
※「ある行(列)のk倍を他の行(列)に加えても行列式の値は変わらない」という性質を繰り返して適用する
⇒三角行列式に変形することができる。
⇒行列式の値は三角行列式の対角成分の積となる。
※歴史的には行列が表す一次方程式の可解性を判定する指標
※幾何的には線型空間上の自己準同型に対して定義され、線型変換によって空間の体積要素が何倍に変わるかという概念を抽象化したもの
※行列の可逆性を判定する指標
_◇行列式の展開
n次正方行列
A=
[ A(1,1) … A(1,j) … A(1,n) ]
[ … … … … … ]
[ A(i,1) … A(i,j) … A(i,n) ]
[ … … … … … ]
[ A(n,1) … A(n,j) … A(n,n) ]
に対して
|A|=A(1,j)~A(1,j)+A(2,j)~A(2,j)+…+(A(n,j)~A(n,j)
ただしjは1..nのどれか一つ
を|A|の第j列による展開
|A|=A(i,1)~A(i,1)+A(i,2)~A(i,2)+…+(A(i,n)~A(i,n)
ただしiは1..nのどれか一つ
を|A|の第i行による展開
という
※展開を」するとき、なるべく0の多い行または列で展開すれば、余因子の計算を減らすことができる。
_◇行列式の性質
①行と列をすべて入れ替えても行列式の値は変わらない
|A|=|t_A|
②行列式の2つの行(列)を入れ替えると符号が替わる
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|A(i,1) … A(i,n) |
|A(i+1,1) … A(i+1,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
=
-|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|A(i+1,1) … A(i+1,n) |
|A(i,1) … A(i,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
⇒隣り合った行同士でも、離れた行同士の入れ替えでも成り立つ
⇒i行とj行(j>i)を入れ替えるには、隣通し入れ替えが
2*(j-i)-1 回
(-1)^(2*(j-i)-1)=-1
③ある行(列)のk倍を他の行(列)に加えても行列式の値は不変
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|A(i,1) … A(i,n) |
|… … … |
|A(j,1) … A(j,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
=
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|A(i,1)+c*A(j,1) … A(i,n)+c*A(j,n) |
|… … … |
|A(j,1) … A(j,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
④1つの行(列)が他の行(列)のk倍ならば行列式の値は0
|A(1,1) … A(1,n) |=|X|
|… … … |
|C(1) … C(n) |
|C(1) … C(n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
2つの行を入れかえると符号が変わるから
|X|=-|X|
2*|X|=0
よって
|A|=0
⑤行列式は行(列)に関して線形性を持つ
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|A(i,1)+B(i,1) … A(i,n)+B(i,n)|
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
=
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|A(i,1) … A(i,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
+
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|B(i,1) … B(i,n)|
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
|c*A(i,1) … c*A(i,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
=
|A(1,1) … A(1,n) |
|… … … |
c*|A(i,1) … A(i,n) |
|… … … |
|A(n,1) … A(n,n) |
_◇行列式と正則行列
|A|≠0ならばAは正則行列
_◇行列の積の行列式
※定理
|AB|=|A||B|
ただし、A,Bは同じ次数の正方行列
※一般にAB≠BA
しかし、|AB|=|BA|
※n次正方行列Aが逆行列を持つ条件は|A|≠0
_◇行列式による連立方程式の解の表現
例)
(a b)(x) = (p)
(c d)(y) (q)
x=|p b|/|a b|
|q d| |c d|
y=|a p|/|a b|
|c q| |c d|
行列による連立一時方程式の表現
AX=B
X=A^-1 B
それぞれの解は行列式により以下のように表される。
1 |a11 … b1 a1n|
xj=---|a21 … b2 a2n|
|A||… … … …|
|an1 … … ann|
※行列式を用いて逆行列を表すと
(A B) 1 (D C)
( )=----( )
(C D) |AB|(B A)
|CD|
◆余因子、余因子行列
_◇余因子
n次の正方行列Aにおいて、Aの第i行と、第j行を取り除いたn-1次の正方行列をA(i|j)で表す。この時、
a_ij = (-1)^(i+j) |A(i|j)|
を成分a_ijに関する余因子と呼ぶ。
※n次正方行列Aに対して、(i,j)成分であるA(i,j)を中心に第i行と第j列を取り除いて(n-1)次の行列式を作り、符号(-1)^(i+j)をつけたものを~A(i,j)と書き、A(i,j)の余因子または、Aの(i,j)余因子という。
例)
A=
[1 2 3]
[4 5 6]
[7 8 9]
~A(2,2)
=(-1)^(2+2)| 1 3 |=1*9-3*7=-12
| 7 9 |
_◇余因子行列
(i,j)を余因子としたAの行列式の値を(i,j)の位置にいれた行列。
◆固有値
※基底には依存しない
_◇固有値の定義
n次の正方行列A, n次の列ベクトルv→にたいして
Av→=λv→
を満たす数λを行列Aの固有値, v→をλに属する固有ベクトルという(v→はゼロベクトルではない)
例)
(1 5)(1)=6(1)
(2 4)(1) (1)
λ=6が行列Aの固有値。
(1)が固有ベクトル
(1)
※幾何的には
Av→ と v→ が並行であることを意味する
⇒v→ をk倍した kv→も固有値λの固有ベクトル
固有ベクトルは、Aで表される空間の変化により伸びちじみしても方向は変わらない。
伸縮率が固有値
固有ベクトルの方向に斜交座標をとれば、座標軸に沿った伸縮のみとなる
⇒対角化
_◇固有方程式と固有値
※一般のn次の正方行列に対して固有値を考えられる
Av→=λv→
は右辺を左辺に移項しv→を括りだすと
(A-λE)v→=0
と書き直せる(Aと同じn次のE:単位行列)
もし、A-λEが逆行列を持てば、両辺に左からかけることで
v→=0
となってしまい、ゼロベクトルでないv→は存在しないことになる
よって、A-λEが逆行列をもってはならない
ゆえに
|A-λE|=0…①
⇒方程式①を行列Aの固有方程式という
例)
2次正方行列
A=(a b)
(c d)
|A-λE|=(a-λ)(d-λ)-bc=0
※λについてのn次方程式となるので、代数学の基本定理により複素数の範囲でn個の解を持つ。
⇒ひとつの正方行列にn個の固有値(および固有ベクトル)が考えられる
※行列Aの固有方程式
det(A-λE)=0
を未知数λの方程式として解いて固有値λを求める
※固有ベクトル
各々の固有値を連立方程式
(A-λE)x→=0→
に代入して対応する固有ベクトルを求める
_◇対称行列と固有値
①対称行列の固有値はすべて実数
②対称行列のおのおのの固有値に対する固有ベクトルは、どの2つのベクトルも互いに垂直
_◇スペクトル分解
対称行列は固有値と規格化(大きさ1)された固有ベクトルを用いて以下のように展開できる。
⇒これをスペクトル分解という
例)2次の対称行列
A=(a b)
(c d)
A=λ1(p)(p q) + λ2(r)(r s)
(q) (s)
_◇累乗法
対称行列Aの固有値λ、固有ベクトルu→の近似解を求める方法
適当なベクトルv→に行列Aを何度もかけると、行列Aの一番大きな固有値λと、その固有ベクトルu→に平行なベクトルが得られる
※算法
①適当なベクトルv→をえらぶ
②これとAをかける Av→
③ここで得られたベクトルに対し、これとAをかける
A(Av→)
④これを繰り返す
A(..A(A(Av→)))
するとA(..A(A(Av→)))からもとめたベクトルと
ひとつ前のベクトルにある1個の数値をかけたものが
ほぼ等しくなるような数値を見つけることができる
⇒これが固有値の近似値
⇒このときのベクトルを規格化すれば固有ベクトルの近似値を得る
※原理
対称行列Aをスペクトル分解する
⇒固有値と固有ベクトルを使って表現したことになる
また、適当なベクトルv→を固有ベクトルの合成として表現する
⇒適当なベクトルv→も固有ベクトルで表現される
これをかけ続けるが、固有ベクトル相互には垂直で内積は0であるので、各固有ベクトルをかけ続けた項しかのこらず、かつ各項にはλのべき乗がかかる
⇒べき乗によりλの最大の項が他の項にくらべて大きくなり、ほぼ≒とみなせるようになる。
⇒A-λ1U1→tU1→をつくり、再び累乗法を適用するとu2→が求まる
◆行列のランク
写像でうつった先の次元数をランクという。
⇒つぶれる⇒次元が減る⇒detは0
※基底には依存しない
◆次元定理
元の次元数 – つぶれた次元数 = 残った次元数
◆行列分解
_◇LU分解
行列Aを下三角行列Lと上三角行列Uの積
A=L*U
と分解すること
_◇QR分解
QR decomposition
直交行列Qと上三角行列Rの正規に分解すること
_◇コレスキー分解
Cholesky分解
_◇特異値分解
singular value decomposition
_◇グラム・シュミット分解
線形独立なベクトルの組を作り出すアルゴリズム
_◇ツイスト分解法
◆ケーリーハミルトンの定理
◎ベクトル
大きさと向きを持つ量
◆ベクトルの成分表示と大きさ
※成分表示
大きさと向きを持つ量ベクトルは、ベクトルの始点を原点にもってきた場合の終点の座標で表現することができる。
⇒n次元ベクトルはn個の数の組で表現できる。
※ノルム
ベクトルの大きさ
|v→|
と書く。
ベクトルの大きさは、各成分の平方和の平方根である。
※v→=(a1, a2, … , an) のとき
|v→|=√(a1^2 + a2^2 + … + an^2)
◆和、差、定数倍
同じ次元の列ベクトル同士、または行ベクトル同士では、加法、減法をおこなうことができる。
※加法
各成分同士の和
※減法
各成分同士の差
※定数倍は、各成分に定数を乗ずればよい
◆内積
2 つのベクトルに対してある数(スカラー)を定める
(a,b)=|a||b|cosθ
⇒θは2つのベクトルの成す角
※内積の成分表示
a=(a1,a2), b=(b1,b2)
(a,b)=a1*b1+a2*b2
⇒対応する成分同士の積の和
|a|=√(a1^2+a2^2)
※内積の性質
①交換法則
②実数倍
③分配法則
※2つのベクトルのなす角
cosθ=(a,b)/|a||b|=(a1b1+a2b2)/√(a1^2+a2^2)*√(b1^2+b2^2)
n次元では
(a1*b1+…+an*bn)/(√(a1^2+…+an^2)*√(b1^2+…+bn^2))
※ベクトルの垂直条件
内積=0
◆外積
2つのベクトル
a=(xa、ya、za)、b=(xb、yb、zb)
に対して、aとbの外積a×bを以下のように定義する。
a×b=
(yazb-ybza、zaxb-zbxa、xayb-xbya)
※c=a×b、d=b×a とするとき、以下の性質がある。
①c・a=0、c・b=0
②c=-d
③cの向きは、aをbに向けて、180°より小さい方の角の方向に回転させたとき、
右ネジの進む方向に向く。
aとbの角が0°または180°のときは、c=0
④|c| は、aとbとで作られる平行四辺形の面積に等しい。
⇒長さと面積がイコールという意味は?
※3次元空間の外積は便利だが、3次元に特有の意味
※n次元の拡張
◆∇:ベクトル微分演算子(ナブラ)
∇=(∂/∂x,∂/∂y,∂/∂x)=i∂/∂x+j∂/∂y+k∂/∂x
演算子 ∇ をスカラ場 φ に形式的に施したもの ∇ φ
スカラ場の勾配 grad φ を表す
ベクトル場 A と ∇ の形式的な内積 ∇ ・ A
場の発散 div A を表す
3 次元空間におけるベクトル場 A と ∇ との形式的な外積 ∇ × A
ベクトル場の回転 rot A を表す (curl A)
◆n次元空間におけるベクトル
任意のn個の数の順序集合であると定義
◎置換群
◆記法
①N、Z、Q、R、Cを順に自然数、整数、有理数、実数、複素数全体からなる集合とする。
②集合Aが集合Bの部分集合であることを
A⊆B
であらわす。特にAがBの真部分集合であることを
A⊂≠B
であらわす。
③空集合をΦであらわす
④集合Aが有限集合で、その元(要素)の個数がnのとき
|A|=n
であらわし、集合Aが無限集合のとき
|A|=∞
で表す。なお、集合の元(要素)を点ともいう。
⑤集合Sが互いに素な部分集合Ti(i∈I)の直和になっているとき、
S=Σ[i∈I]Ti
と書く。とくにIが有限集合{1,2,…,n}であるとき、
S=T1+T2+…+Tn
と書く。
⑥命題Pが成立すれば命題Qも成立することを
P⇒Q
であらわす。そして、命題Pと命題Qが同値であることを
P⇔Q
で表す。
⑦相違なるn個のものからr個を選ぶ場合の数
nCr
は、
(n)
(r)
であらわす。
※本来は一つの縦長のカッコ
⑧集合Aから集合Bへの写像fと集合Bから集合Cへの写像gが与えられているとき、fとgの合成写像を
fg
とあらわす。そしてAの元aのfによる像を
(a)fあるいはa^f
によって表す。このように定めることによって指数法則から連想できる
a^fg=(a^f)^g
がなりたつ。また、Aの部分集合⊿に対し、Bの部分集合
{(a)f|a∈⊿}
を
(⊿)fあるいは⊿^f
によって表す。
⑨2つの整数aとbに対し、aがbの約数であることを
a|b
で表し、aとbの最大公約数を
(a,b)
で表す。また、a-bが自然数(正の整数)nの倍数のとき、
a≡b(mod n)
で表す。aとbはnを法として合同であるという。
◆写像
※数学用語の「変換」には対等のものに移すというニュアンスがあるので、n次元空間からm次元空間など別の世界に移すものを変換というのは支障あり、写像と呼ぶ。
_◇単射
fを集合Aから集合Bへの写像とする。fがAからBへの単射であるとは、Aの相異なる任意の2元a,a’に対し(a)f≠(a’)fとなることである。
_◇全射
fがAからBへの全射であるとは、Bの任意の元bに対し(a)f=bとなるAの元aが存在することである。
_◇全単射
fが単射かつ全射のとき全単射という。
_◇逆写像
fがAからBへの全単射であるとき、Bの任意の元xに対し(y)f=xとなるAの元yを対応させる規則によって、BからAへの写像が定義される。この写像をfの逆写像といいf^-1によって表す。
_◇置換
集合ΩからΩ自身への全単射をΩ上の置換という
_◇線形写像
x, yは同じサイズのベクトル、cは数、f(x)の値はベクトルとしたとき
一般に f(x+y)=f(x)+f(y), f(c*x)=c*f(x) という性質を持つ写像fを線形写像と呼ぶ
⇒行列をかける形の写像は線形写像である
⇒任意の線形写像fは行列を掛けるという形でかならずかける
◆対称群
有限集合Ω上の任意の置換f,gに対し、f○gもΩ上の置換となる。すなわち、Ω上の置換全体からなる集合S^Ωにおいては、写像の合成に関する演算○が定義できる。その演算を定めたS^ΩをΩ上の対称群といい、|Ω|=nのときS^ΩをSnと書いてn次対称群という。
S^Ωは演算○に関して結合法則
(f○g)○h = f○(g○h)
が一般に成り立ち、Ω上の恒等写像eを元としてもつ。さらにS^Ωの任意の元fに対し、fの逆写像f^-1もS^Ωの元である
_◇巡回置換、互換
有限集合Ωの相異なるt個の元α1,α2,…,αtに対し、αiをαi+1(i=1,2,…,t-1),αtをα1に移し、それら以外のΩの元を固定するΩ上の置換を
(α1 α2 … αt) または (α1,α2,…,αt)
で表し、そのようなものを一般に長さtの巡回置換という。とくに長さ2の巡回置換を互換という。
◆群
集合Gに演算*が定義されているとき、すなわち任意のa,b∈Gに対してa*b∈が成り立つとき、次の条件①、②、③を満たすならばGは*に関して群であるという。
※とくに演算記号を意識する必要がない場合、a*bを単にabと表す。また、演算記号として「・」を用いることもある。
①結合法則が成り立つ。任意のa,b,c∈Gに対して
(a*b)*c = a*(b*c)
②単位元を持つ。ある元e∈Gがあって、Gの任意の元aに対して
a*e = e*a = a
が成り立つ。(「1」と表す)
③すべての元は逆元をもつ。任意の元a∈Gに対して、
a*b = b*a = e (単位元)
となるb∈Gがある。bをaの逆元とよび、普通a^-1で表す。
_◇可換群(アーベル群)
Gの任意の元a,bに対して
a*b = b*a
が成り立つとき、Gを可換群またはアーベル群という。
※可換群Gの演算は+で表すこともあり、その場合a+bをaとbの和といい、Gを加法群という。加法群Gの単位元はとくに零元といい、0で表す。
※bの逆元を-bで表し、a+(-b)をa-bで表す
※単位元は唯一である。
※任意の元xに対して逆元も唯一である。
☆解析学
古くは、未知数を含む方程式を解く技法を意味したが、現在では微分積分学を中心とする「極限の概念に関わる」数学を解析学という。
※実数が連続性と無限分割可能性を持っていることが微分積分学の出発点となる
◎実数の性質
◆実数の性質
_◇実数の性質
①稠密性
aとbをa<bを満たす任意な実数とすれば、不等式
a<x<b
を満足する実数xは無数に存在する
⇒実数の分布状態は、整数の分布状態と本質的に異なる
②無限性
Mをどんなに大きい正の整数としても
M<x, -x<-M
となる正の数xは常に存在する
③収束性
実数xはつぎつぎにその大きさを増大させながら変化するが、つねに特定の値Aより大きくならない場合には、xはある一定の値a(≦A)に限りなく接近する。
実数xがつぎつぎにその大きさを減少させながら変化するが、つねに特定の値Bより小さくならない場合には、xはある一定の値b(≧B)に限りなく接近する
_◇区間
実数全体の間には大小関係があり、実数全体を1列に並べることができる。
①2つの実数 aとb (a<b)が与えられたとき
a≦x≦b
を満足する実数x全体の集合を
[a,b]
で表す
②同様に、a≦x<b, a<x≦b, a<x<b
を満足する実数全体の集合をそれぞれ
[a,b), (a,b], (a,b)
であらわす
③不等式 a≦x, a<x
を満足する実数x全体の集合をそれぞれ
[a,+∞), (a,+∞)
であらわす
④不等式 x≦a, x<a
を満足する実数x全体の集合をそれぞれ
(-∞,a], (-∞,a)
であらわす
⑤実数全体の集合を
(-∞, +∞)
であらわす
※これらの集合を区間と呼ぶ
※両端点を含む有限の区間[a,b]を閉区間という
※両端点を含まない有限の区間(a,b)を開区間という。または、(-∞,a),(a,+∞)を開区間ともいう。
◆収束と極限
関数 a(t) に対して、勝手な正数εをとったとき
t>T ならば |a(t)-A|<ε
という条件がみたされるTを見つけることができ、tが限りなく大きくなるとき、a(t)はAに収束するといい、Aを a(t)の極限という
lim[t→+∞]a(t)=A
※収束するかどうかを証明することは、不等式の変形の問題に帰着する
(t>…から |a(t)-A|<εが必然的に出てくることがたしかめられたら証明されたことになる)
※収束の速さ
※もっぱら0に収束する関数を考えれば一般の場合を尽くすことができる
※どんな正の数εが与えられた場合にも、それに対して適当な正の数δを見出して
0<|x-a|<δであれば|f(x)-b|<ε
となるようにすることができるとき
lim[x→a]f(x)=b
であるとする
_◇右極限と左極限
独立変数 x が実数 a より大きな値をとりながら、限りなく a に接近するときに、関数 f(x)の値が b に限りなく近づくとする。この事実を
lim[x→a+0]f(x)=b
で表し、bを f(a+0)で表す。このf(a+0)を点aにおけるf(x)の右極限値という。
⇒左極限値
※lim[x→a+0]f(x)とlim[x→a-0]f(x)が存在するとき、lim[x→a]f(x)が存在するための必要十分条件は
lim[x→a+0]f(x)=lim[x→a-0]f(x)
であることである。このとき、極限値lim[x→a]f(x)は、lim[x→a+0]f(x)=lim[x→a-0]f(x)に一致する。
※0+0のことを普通+0と書き、0-0のことを普通-0と書く
_◇無限大
どんな(大きい)正の数M(負の数-M)が与えられた場合にも、それに対して適当な正の数δを見出して
0<|x-a|<δ
であるとき
M < f(x) (-M > f(x))
となるようにすることができるとき
lim[x→a]f(x)=+∞(-∞)
であるとする
※任意に与えられた正の数εに対して(適当に大きい)正の数M(負の数-M)を見出して
M<x (x<-M)
ならば
|f(x)-b|<ε
となるようにすることができるとき
lim[x→+∞]f(x)=b(lim[x→-∞]f(x)=b)
である
_◇無限小
独立変数 x が x→a となるとき、
関数 y=f(x) が f(x)→0 となるならば、変数 yまたは
f(x)は(x→aのとき)無限小となるという。
※無限小はゼロではない。無限小はその絶対値がいかなる正の数よりも小さくなりえる変数のことである。
※ゼロは、その絶対値がいかなる正の数よりも小さい定数である。
定理1.1
(1)2つの無限小の和はまた一つの無限小である
(2)2つの無限小の差はまた一つの無限小である
(3)無限小と0でない定数との和は無限小でない
(4)無限小と無限小でない関数との和は無限小でない
定理1.2
(1)無限小と定数との積はまた無限小である
(2)無限小を0でない定数で割った商はまた無限小である
(3)無限小と有界な関数との積はまた無限小である
定理1.3
2つの無限小の積はまた無限小である
※x→0のとき、uとvを無限小であるとする。
このとき
u/v → 0 ならば、uはvより高位の無限小
u/v → ±∞ ならば、uはvより低位の無限小
u/v → b≠0 ならば、uとvは同位の無限小
※u が x^n と同位の無限小であるとき、uをxに対してn位の無限小であるという
_◇極限に関する定理
定理 1.4
lim[x→a]f(x)=b, lim[x→a]g(x)=cであれば
(1) lim[x→a]{f(x)+g(x)}=b+c
(2) lim[x→a]{f(x)-g(x)}=b-c
(3) lim[x→a]k*f(x)=k*b (kは定数)
(4) lim[x→a]f(x)*g(x)=b*c
(5) lim[x→a]f(x)/g(x)=b/c (g(x)≠0,c≠0)
(6) f(x)≦g(x)ならば, b≦c
定理 1.5
lim[x→a]f(x)=b, lim[y→b]g(y)=cならば
lim[x→a]g(f(x))=c
ただし、g(b)=cとする
※※※
定理1.n個の関数 a_1(t),a_2(t),…,a_n(t)が極限A_1, A_2,…,A_nに収束するとき、任意のε>0を与えたとき、N(ε)<t に対して、
|a_1(t)-A_1|<ε,
|a_2(t)-A_2|<ε,
…
|a_n(t)-A_n|<ε
となるようなN(ε)が見出せる
※この定理は有限のnに対しては成立するが、無限個に対しては成立しない
定理2.和の極限
lim[t→+∞](a(t)+b(t))=lim[t→+∞]a(t) + lim[t→+∞]b(t)
定理3.差の極限
lim[t→+∞](a(t)-b(t))=lim[t→+∞]a(t) – lim[t→+∞]b(t)
定理4.積の極限
lim[t→+∞]a(t)*b(t)=lim[t→+∞]a(t) * lim[t→+∞]b(t)
定理5.3つ以上の一般のn個の関数の積についても積とlimの順序交換は成り立つ
定理6.逆数の極限
lim[t→+∞](1/a(t))=1/(lim[t→+∞]a(t))
定理7.商の収束
a(t)≠0, lim a(t)≠0のとき
lim[t→+∞](b(t)/a(t))=
lim[t→+∞]b(t)/lim[t→+∞]a(t)
_◇数列の極限
※数列の中のある項nが何番目であるかを示すのはその添え字のnであるので
a_n = a(n)
とすれば、a(n)は自然数nに対して定義された関数であると考えることができる
※任意の整数εを与えたとき、|a_n – a|<εという不等式が、N(ε)<nなるすべてのnに対して成り立つようなN(ε)が発見できるとき、数列 a_n は極限 a に収束するといい
lim[n→+∞]=a
とかく
※数列の収束条件(コーシーの収束条件)
数列 a_1, a_2,…,a_n,…
が収束するためには任意に与えられた整数εに対して定まるN(ε)より大きなm,nに対しては
|a_m-a_n|<ε
となるようなN(ε)が発見できることが必要かつ十分である。
⇒この条件を満足する数列を基本数列(fundamental sequence)という
_◇ lim[x→0](sin(x)/x)
lim[x→0](sin(x)/x)=1
_◇ lim[x→∞]{(1+(1/x))^x}
lim[x→∞]{(1+(1/x))^x}=e
※極限値 e は無理数であって
e = 2.71828…
※eを自然対数の底という
h=1/xとおけば
lim[h→0]{(1+h)^(1/h)}=e
※eを底とする対数を自然対数という
※指数関数 e^x 自然対数 log(x) は連続関数である
※
lim[x→0]{log(1+x)/x}=1
1/xを対数の中にいれると
lim[x→0]{log(1+x)^(1/x)}
対数関数は連続なのでlogは前に出せる
log{lim[x→0]{(1+x)^(1/x)}}
中身はeになるから
log(e)=1
lim[x→0]{(e^x-1)/x}=1
log(1+x)=zとおけば、e^z=1+x、e^z-1=xなので
x/(log(1+x))と等価となる
lim[x→∞]{(1+a/x)^x}=e^a (a≠0)
z=x/aとおけば
lim[z→∞]{{(1+1/z)^z}^a}
{lim[z→∞]{(1+1/z)^z}}^a
◆無限大と無限小の排除
※「無限大」という語を含む数学の命題はすべて、この用語を使わない形に書き換えられることができる。
例)調和級数の和は無限大になる
→いかなる数Sを取っても、それがいくら大きかろうと、調和級数の和は、いずれはこのSを上回る
※数列が極限aをもつ
→どんなに小さな数xをとっても、数列のあるところから先は、数列のすべての項とaの差がxよりも小さくなる
◎関数
◆変数と関数
実数のある範囲Dに属する任意の実数を代表させるのに文字x, y, z,…などを用いる。
範囲Dに属する任意の実数を代表する文字xを、xをD内で変動させることができるという意味を含んで変数という
範囲Dを変数xの変域という
変域Dの変数xのおのおのの値に対して、他のただ一つの実数yを定める対応が与えられているとき、yをxの関数と呼ぶ
y=f(x)
y=y(x)
y=F(x)
などで表す
範囲Dを関数の定義域という
変数xを独立変数
yを従属変数という
yのとり得る値の範囲を関数の値域という。
_◇陰関数
独立変数xと従属変数yの間の対応が F(x,y)=0の形の方程式で与えられたときに、この対応を陰関数という
⇒一般に陰関数では独立変数xの1つの値に対して、従属変数yの値は2個以上対応する
⇒xの1つの値に対して、yのr個の値が対応するとき、与えられた陰関数はr価関数であるといわれ、rが2以上のとき多価関数という。(無限多価関数もある)
⇒陰関数に対して普通の関数を陽関数ということがある
※単に関数といえば1価な陽関数である
_◇偶関数と奇関数
※関数 y=f(x)が、その定義域のすべてのxに対して
f(-x)=f(x)
を満足するならば、これを偶関数という
※f(-x)=-f(x)を満足するならば、この関数を奇関数という。
_◇周期関数
独立変数 x の値のいかんにかかわらず f(x+T)=f(x)を成り立たせるような正の数 T が存在すれば、関数 f(x)を周期関数とよび、この性質をもつ正の最小のTをその周期という。
_◇増加関数、減少関数
関数 y=f(x)において、x1<x2ならば、つねにf(x1)<f(x2)であるとき、この関数を強い意味の増加関数という
関数 y=f(x)において、x1<x2ならば、つねにf(x1)≦f(x2)であるとき、y=f(x)を単に増加関数という
⇒強い意味の減少関数
⇒単なる減少関数
※増加関数と減少関数をまとめて単調関数という
_◇有界な関数
関数 y=f(x) が与えられたとき、2つの実数 m と M が存在して、その定義域に属する x のいかなる値に対しても、つねにm≦f(x)≦Mがなりたつとき
y=f(x)を有界な関数という
mを下界、Mを上界という
※上界のみを有する関数を、上方に有界な関数といい、下界のみを有する関数を、下方に有界な関数という。
_◇逆関数
関数 y=f(x) において、yの値に対してxの値が定まるときに、yを独立変数、xを従属変数と考えて、xとyを置き換えてyについて解いたものを
y=f^-1(x)
で表し、逆関数と呼ぶ。
※逆関数のグラフは元の関数のグラフと直線y=xに関して対称
_◇合成関数
2つの関数 y=f(x) と y=g(x) が与えられた場合に、関数 y=f(g(x)), y=g(f(x)) をこれらの関数の合成関数という。
◆関数の連続性
_◇連続の定義
y=f(x)という関数で、xがaに近づいたときに、f(x)はある値に収束し、しかも、その値がf(a)に等しいときに、y=f(x)はx=aにおいて連続であるという。
※つまり
lim[x→a]f(x)=f(a)
となるとき、f(x)はx=aにおいて連続であるという。
※「連続」は関数のグラフがつながっていることを必ずしも意味しない。とくに「1点において」連続というときにはそのような意味はない。
※「連続」は
lim[x→a]f(x)=f(a)=f(lim[x→a]x)
と等価である。
※不連続の例
f(x)=sin(1/x)
xを右から0に近づければ1/xは+∞に近づく
xを左から0に近づければ1/xは-∞に近づく
いずれにせよ、sin(1/x)の値は+1から-1の間を振動し、一定の値に収束しない
よってf(x)はx=0において不連続
※いたるところ不連続の例
h(x)
0…xが有理数のとき
1…xが無理数のとき
_◇いたるところ連続
どの区間でも連続
_◇ほとんどいたるところで連続
ある特定の点では不連続であるが、その他の点では連続
_◇関数の連続
関数 y=f(x) において、実数 a がその定義域に含まれていて、さらに
極限値 lim[x→a]f(x)
が存在して
lim[x→a]f(x)=f(a)
であるとき、この関数 y=f(x) は x=a で連続であるという。
※定義域が限定されている関数の場合は、その定義域の中で連続だが、グラフにすれば定義域に含まれない断続があるものもありえる
※区間Ⅰが y=f(x)の定義域に含まれていて、区間Iに属する全ての実数 a で y=f(x) が連続ならば関数 y=f(x) は区間Ⅰで連続であるという
※y=f(x)がx=aで連続であるということは、xがaから微小変化したとき、これに対するf(x)の変動もまた微小であることを意味する
※連続関数のグラフは連続曲線である
※不連続
関数 y=f(x) が点 x=a で定義されているが、
lim[x→a]f(x)
が存在しなかったり、存在しても
lim[x→a]f(x)≠f(a)
であるときに、y=f(x)は点 x=a で不連続である
※一般に点 x=a で左右両極限は存在するが一致しないために、関数f(x)が点 x=a で不連続である場合には、関数
y=f(x)のグラフには点 x=a で切断が現れる
_◇連続関数の性質
定理 1.6
f(x)とg(x)が点 x=a で連続であるとする。
このとき
(1) f(x)+g(x)とf(x)-g(x)は点 x=a で連続である
(2) k*f(x)とf(x)*g(x)は点 x=a で連続である
(kは定数)
(3) 点x=aの近くで g(x)≠0ならば f(x)/g(x)は点 x=a で連続である
定理 1.7
f(x)とg(x)がそれぞれ点 x=a と点 y=f(a) で連続であれば、その合成関数 g(f(x)) は点 x=a で連続である
定理 1.8
関数 f(x) が点 x=a で連続であるとする。f(a)>0 (<0)
ならば、点 x=a に十分近くでは f(x)>0 (<0)である
定理 1.9 中間値の定理
(1) 関数 f(x)が閉区間[a,b]で連続であって、f(a)とf(b)が異符号ならば、f(ξ)=0となる点 x=ξがaとbの間に少なくとも1つ存在する。
(2)関数 f(x)が閉区間[a,b]で連続であって、f(a)<f(b)とすれば, f(a)<k<f(b)である任意の実数 kに対して、f(ξ)=kとなる点x=ξがaとbとの間に少なくとも1つある。
定理 1.10 関数f(x)が閉区間[a,b]で連続ならば、f(x)は閉区間[a,b]で最大値と最小値をとる
⇒開区間であれば、連続であっても最大値も最小値もとらないことがありえる
定理 1.11
(1) lim[x→c]f(x)=aで、関数g(y)がy=aで連続ならば
lim[x→c]g(f(x))=g(lim[x→c]f(x))=g(a)
(2) 数列 {a_n}が収束し、lim[n→∞]a_n=aであって、関数g(y)がy=aで連続ならば
lim[n→∞]g(a_n)=g(lim[n→∞]a_n)=g(a)
_◇ワイエルシュトラス関数
Weierstrass function
連続関数であるにも関わらず至るところで微分不可能。
w(x)=Σ[n=0:∞]{a^n*cos((b^n)*π*x)
ここで 0<a<1, bは正の奇数整数
a*b > 1+(3/2)π
◆関数の極値
※関数 y=f(x)の値が最小のとき、関数y=-f(x)の値は最大
_◇極値と極値条件
※極大
関数を部分的にみて最大になるとき
※極小
関数を部分的にみて最小になるとき
※極値
極大や極小になる関数の値
※なめらかな関数が x=a で極値をとる必要条件
f'(a)=0
⇒導関数 f'(x)が負から正に変われば極小
⇒導関数 f'(x)が正から負に変われば極大
◎関数の定義
◆関数の定義
y=f(x)
※1つの実数xに対して、ただ1つの実数yが定まるとき、yをxの関数という。
x独立変数
y従属変数
例)y^2 = x は、1個のxに対して2個のyが対応するので関数ではない。
※代入できるxの値の範囲を関数yの定義域、yのとれる値の範囲を値域という。
※関数は、定義域という集合を値域という集合のなかに写す写像と考えてよい
_◇整数論的関数
自然数を定義域とする
_◇多変数関数
独立変数が2つ以上あるもの
⇒多変量解析
◆逆関数
直線 y=x に関して対称。
◆代数関数
xとyの多項式f(x,y)に対して、方程式f(x,y)=0で決まるxの関数yを代数関数という。
◆線形関数
f(a_1*x_1 + a_2*x_2) = a_1*f(x_1) + a_2*f(x_2)
(a_1, a_2は定数)
を満足する関数を全て線形関数と呼ぶ。
線形関数では、解の重ね合わせができる。
※線形性を持たない関数を非線形である、という。
※微積分の基本計算は線形性を有する。
◆超越関数
代数関数でない関数を超越関数という。
◆陰関数
関数をy=f(x)の形でなく、f(x,y)=0という関係式で与えるとき、陰関数表示という。
◆関数の内積
定義(関数の内積) 区間(a,b)で定義されている二つの関数f(x),g(x)の内積(inner product)またはスカラー積(scalar product)を
____
(f,g) = ∫(a b) f(x)g(x)dx
と定義する。また(f,g)=0のときfとgは直交(orthogonal)するという.
…◎三角関数
◎三角関数
◆sin, cos, tan
_◇正弦関数
sinθ
_◇余弦関数
cosθ
_◇正接関数
tanθ
※sin, cos, tanの性質
①
sin(1/2π-θ) = cosθ
cos(1/2π-θ) = sinθ
tan(1/2π-θ) = 1/tanθ
②
sin(π-θ) = sinθ
cos(π-θ) = -cosθ
tan(π-θ) = -tanθ
③
sin(θ+2nπ) = sinθ
cos(θ+2nπ) = cosθ
tan(θ+2nπ) = tanθ
④
sin(-θ) = -sinθ
cos(-θ) = cosθ
tan(-θ) = -tanθ
⑤
sin(π+θ) = -sinθ
cos(π+θ) = -cosθ
tan(π+θ) = tanθ
⑥
sin(1/2π+θ) = cosθ
cos(1/2π+θ) = -sinθ
tan(1/2π+θ) = -1/tanθ
◆sin, cos, tan間の関係
①sin^2θ + cos^2θ = 1
単位円上の点Pの座標は(cosθ, sinθ)であり、ピタゴラスの定理から上記が求まる。
②tanθ = sinθ / cosθ
tanの定義より
◆割三角関数
_◇余割関数
cosecθ=1/sinθ
_◇正割関数
secθ=1/cosθ
_◇余接関数
cotanθ=1/tanθ
◆加法定理
単位円上に∠xOP=α+βなる点をとり、∠xOQ=βでかつ、PからOQにおろした垂線との交点がQとなるような三角形OPQを考え、PからX軸におろした垂線の交点S, QからX軸におろした垂線の交点R, QRの延長とPからX軸と平行に引いた直線との交点をTとすると、
PS=sin(α+β)
TQ=sinαcosβ
QR=cosαsinβ
であって、PS=TQ+QRであることから①が求まる。
①sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
②sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ
③cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ
④cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ
⑤tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)
⑥tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanαtanβ)
※加法定理により、2つの角の値をもとにして三角比の表を求めることができる。
◆正弦定理
※三角形ABCにおいて
①頂角∠A、∠B、∠C
大文字のA,B,Cで表す。
②辺BC,CA,AB
小文字のa, b, cで表す。
半径Rの円に内接する三角形ABCにおいて
a/sinA = b/sinB = c/sinC = 2R
◆余弦定理
角を挟む2辺と角の対辺の関係を示す。一般化されたピタゴラスの定理である。
a^2 = b^2 + c^2 – 2*b*c*cosA
b^2 = c^2 + a^2 – 2*c*a*cosB
c^2 = a^2 + b^2 – 2*a*b*cosC
◆ヘロンの公式
2辺b,cとその挟まれた角Aが分かれば3角形の面積は求まる
S = (1/2)*b*h = (1/2)*b*c*sinA
※ヘロンの公式
2s=a+b+cとおくと、面積Sは、
S = √(s * (s-a) * (s-b) * (s-c))
◆2倍角の公式
①sin2α = 2*sinαcosα
②cos2α = cos^2α – sin^2α
=1 – 2*sin^2α = 2*cos^2α – 1
③tan2α = (2 * tanα) / (1 – tan^2α)
◆半角の公式
①sin^2 (α/2) = (1 – cosα)/2
②cos^2 (α/2) = (1 + cosα)/2
③tan^2 (α/2) = (1 – cosα)/(1 + cosα)
◆和差から積への公式
①sinα+sinβ = 2*sin((α+β)/2)*cos((α-β)/2)
②sinα-sinβ = 2*cos((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
③cosα+cosβ = 2*cos((α+β)/2)*cos((α-β)/2)
④cosα-cosβ = -2*sin((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
◆積から和差への公式
①sinαcosβ = (1/2){sin(α+β)+sin(α-β)}
②cosαsinβ = (1/2){sin(α+β)-sin(α-β)}
③cosαcosβ = (1/2){cos(α+β)+cos(α-β)}
④sinαsinβ = (-1/2){cos(α+β)-cos(α-β)}
◆三角関数の合成
a*sinθ+ b*cosθ⇒r*sin(θ+α)
点P(a,b)、x軸とOPのなす角をα、OP=rとすると
cosα=a/r
sinα=b/r
また
a*sinθ+ b*cosθ=r*((a/r)*sinθ+(b/r)*cosθ)
と変形でき、a/r,b/rの部分をcosα、cosβで書き直せる
ので、
=r(cosαcosθ+sinαcosθ) 加法定理により
=r*sin(θ+α)
r=√(a^2+b^2) なので
=√(a^2+b^2)*sin(θ+α)
ただし、αはcosα=a/√(a^2+b^2),
sinα=b/√(a^2+b^2)
となる角。
◆ド・モアブルの定理
(cosθ+i*sinθ)^n = cos(nθ) + i*sin(nθ)
※複素平面上の単位円上でθの回転をn回繰り返すのはnθの回転に等しい
※n=2の場合から、倍角公式が求まる。
◆逆三角関数
_◇逆正弦関数
アークサイン
y = arc sin (x)
y=sin(x)の逆関数は無限多価関数であって、その定義域は[-1,1]。値域を閉区間[-π/2,π/2](主値)に制限した関数をアークサインという。
_◇逆余弦関数
アークコサイン
y = arc cos (x)
定義域は[-1,1]。値域は閉区間[0,π]
_◇逆正接関数
アークタンジェント
y= arc tan(x)
定義域は(-∞,∞)、値域は開区間(-π/2,π/2)
◆オイラーの公式
e^ix = cos(x) + i*sin(x)
複素数 z=ix を代入したe^zのべき級数展開とcos x, sin xのべき級数展開より求めることができる。
◎指数関数
A^B
A: 底
B: 指数
◆指数の法則
①a^m * a^n = a^(m+n)
②a^m ÷ a^n = a^(m-n)
③(a*b)^n = a^n * b^n
④(a^m)^n = a^(m*n)
※a,bは0でない数
_◇指数の拡張
a^0 = 1
a^-n = 1/a^n
a^(m/n) = n√a^m
_◇対数の定義から
x = e ^ (ln x)
◆指数関数
a>0, a≠1のとき、y=a^xをaを底とする指数関数という
①xの値はすべての実数、yの値は正の実数
②a>1のときは増加関数、0<a<1のときは減少関数
③x軸が漸近線となる
④グラフは(0,1)を通る
_◇eを底とした指数関数
①x=0で1を通る
②x>0で1より大、x<0で1より小
③x→∞で+∞に発散
④x→-∞で0に収束
⑤x=1のとき、2.718282…
⑥-0.1<x<0.1のように小さいとき
e^x =~ 1 + x
の近似が成り立つ
◎双曲線関数
◆カテナリー(catenary, 懸垂線)
紐を2点で吊るしたときのカーブ
y = cosh( x )
_◇定義
cosh( x ) = (e**x + e**-x) / 2
sinh( x ) = (e**x – e**-x) / 2
tanh( x) = sinh (x ) / cosh (x)
coth(x) = 1 / tanh (x)
sech(x) = 1 / cosh(x)
cosech(x) = 1 / sinh(x)
_◇級数展開
cosh (x) =1+x**2/2!+x**4/4!+…
cos(x)=1-x**2/2!+x**4/4!-…
※以下の放物線とxが小さいところでは似ている。
y = 1 + x**2/2!
_◇逆双曲線関数
arc sinh x = log(x + sqrt(x**2 +1))
arc cos x = ±log(x + sqrt(x**2 -1))
_◇三角関数との関係
sinh x = – i sin(ix)
cosh x = cos(ix)
◎対数関数
<logarithm>
1以外の正の数aと正の数Mに対して, M=a^pとなる実数pを
log(a)Mと書き、log(a)Mをaを底とするMの対数といい、Mをこの対数の真数という。
※指数関数 y=a^x (a>0, a≠1)の逆関数
y=log(a)x
aを底とする対数関数。定義域は(0,+∞)
y=log(a)x ⇔x=a**y
①log(a)a = 1
②log(a)1 = 0
③log(a)b = log(a)c * log(c)b
④対数の基本公式
log(a)AB = log(a)A + log(a)B
log(a)A/B = log(a)A – log(a)B
log(a)A^m = m*log(a)A
⑤a,c は1でない正数、b正数の時、
log(a)b = log(c)b / log(c)a
※底の変換公式
◆対数関数 y = log(a) x の性質
①xの値は正の実数、yの値は全ての実数
②a>1のときは、増加関数、0<a<1のときは減少関数
③y軸を漸近線とする
④点(1,0)を通り、指数関数y=a^xと直線y=xに関して対称になる。
_◇半対数グラフ(片対数)
一定の倍率で増加したり減少したりするケースで過去のデータプロットから未来を外挿する場合に向く。
y=a^(b*x+c)
a:正の定数
b,c:定数
が直線となる。
_◇両対数グラフ
横軸をx, 縦軸をyとすると
y=x^n
(nは定数、1でもよい)
という式のグラフは直線となる
_◇自然対数
①x=1で0、x>1で正、x<1で負
②x=1からxが大きい方へ追うと、yは大きくなるが緩やかにしか増加しない。
③x=1からxが小さい方へ向かうと急激に減少
x→0で-∞に発散
xにマイナスは無い
_◇スターリングの公式
∫[1:N]{log(x)}dx
Nは1より大きい整数
x=1でlog(x)=0だから、1≦x≦Nの範囲で、log(x)のグラフとx軸の間の面積となる
xが整数の時の値x幅1の短冊を考えれば
log(1)+log(2)+..+log(N-1)
< ∫[1:N]{log(x)}dx <
log(2)+log(3)+..+log(N)
また対数の和の公式 log(a)+log(b)=log(a*b)より
log(1)+log(2)+..+log(N-1) = log((N-1)!)
log(2)+log(3)+..+log(N) = log(N!)
∫[1:N]{log(x)}dx
は、部分積分公式を使って
∫f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) -∫f'(x)g(x)dx
=[x*log(x)][1:N]-∫[1:N]{x*(1/x)}dx
=N*log(N)-(N-1)
=N*(log(N)-1))+1
よって
log((N-1)!) < N*(log(N)-1)) + 1 <log(N!)
ここで、log((N-1)!) と log(N!) の差は、log(N)の短冊一つだけであり、Nが非常に大きければ総和に比べて無視できるほど小さい。
log((N-1)!) ~ log(N!)
log(N!)~N*(log(N)-1)
(最後の+1もNに比べて小さいので無視)
が近似的に成り立つ
※場合の数の対数にスターリングの公式を適用
log(N!/(N0!+N1!+Nj!))~N*log(N)-∑[0:j]{Nj*log(Nj)}
◆常用対数
底が10の対数。ブリックス(英)考案
log(10)N = log(10)(a * 10^n) = n+log(10)a = n+α
n:指標、α:仮数
例)
log(10)261 = log(10)(2.61 * 10^2) = 2 * log(10)2.61
※1以上10未満の数aの常用対数が分かれば、正数Nの常用対数が求められる。⇒常用対数表
掛け算を足し算で、割り算を引き算で計算できる。
累乗根は掛け算で計算できる。
log(10)√2=log(10)2^(1/2)=(1/2)log(10)2=0.1505
log(10)x = 0.1505 となる数を常用対数表からもとめれば1.41…となる。
※log(10)Nの指標がnのとき、
N≧0Nは(n+1)桁の数
N<0Nは小数第(-n)位に0でない数が初めて現れる。
例)3^1000は何桁の数か
log(10)3^1000 = 1000*log(10)3 = 477 + 0.1
よって478桁
※底の変換公式により、底が10でない対数も常用対数に直して演算できる。
※一定の倍率で増加、減少するときの回数を求める。
例)0.8^x≦0.05 になるx
常用対数をとれば
log(10) 0.8^x ≦ log(10)0.05
x * (log(10)2^3+log(10)10^-1) ≦ log(10)5+log(10)10^-2
これを常用対数表から計算すると、
-0.0970*x≦-1.3010
x≧13.41…
xが整数の場合、14回繰り返すことが分かる。
※半減期
例)炭素14の半減期5730年。
1年にp倍の割合で減少するとすると
p^5730 = 1/2 … p = (1/2)^(1/5730)
炭素14が3分の1のこっていたとすると、
P^x = 1/3
(1/2)^(x/5730) = 1/3
常用対数をとれば
(x/5730)*log(10)(1/2) = log(10)(1/3)
これより
x≒9082
◆自然対数の底 e
e = 2.718281828459045…
(log(a)X)’ = lim[h->0]{log(a)(X+h)-log(a)(X)}/h
= lim[h->0]{log(a)((X+h)/X)}/h
= lim[h->0](1/X)(x/h){log(a)(1+h/X)}
= (1/X)lim[h->0]{log(a)(1+h/X)^(X/h)}
(X/h)=kとおくとh->0のとき,k->∞
(log(a)X)’
= (1/X)lim[k->∞]{log(a)(1+k)^k}
(1+1/k)^kのkを限りなく大きくするとある一定の数に近づく
これが e (2.718281…)
よって
(log(a)X)’ = (1/X)log(a)e
a=eのとき
(log(e)X)’ = (1/X)log(e)e = 1/X
※eを底とする指数関数e^xを微分するとe^xになる。
(e^x)’ = e^x
※e = lim[n->∞](1+1/n)^n
定義2
階乗の逆数の和。第11項までで小数点以下7桁がでる。
e = 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4! …
◎符号関数
sgn(x) =
+1 (x>0のとき)
-1 (x<0のとき)
∫[-∞,∞](e^iωx / ω)dω
= iπsgn(x)
◎ガンマ関数
◎ベータ関数
◎微分
標語:微分可能性とは「近似的に一次式として表される」ことである⇒このように解釈すると多変数の関数の微分可能性も容易に理解できる
◆微分係数
_◇定義
※平均変化率
(yの変化量)/ (xの変化量)
= ( f(a+h) – f(a) ) / h
⇒極限をとると、微分係数
関数 y=f(x)が x=a を含む区間で定義されているとする
有限の極限
lim[h->0]{(f(a+h)-f(a))/h}= f'(a)
が存在すれば、関数f(x)は x=a で微分可能であるといい、この極限値を関数f(x)のx=aにおける微分係数という
※「限りなく近づける」と「等しくする」は違う
→「分母=0」となるか否かがポイント
分母=0となるような場合では
bをaに近づけるといってbにaを代入してはならない
分母≠0ならば、bにaを代入してしまってもよい。
※関数 f(x) が開区間 I の各点で微分可能ならば f(x)は区間Ⅰで微分可能であるという。
….._◇幾何学的意味
_◇幾何学的意味
f'(a)は、x=aにおけるy=f(x)の接線の傾きを表す。
※曲線C上の1定点Pと動点Qを結ぶ直線PQと、Pをとおる定直線PTとが与えられたとする。点Qが曲線Cに沿ってPに限りなく近づくとき、α=∠QPTがα→0となるならば、定直線PTを点Pにおける曲線Cの接線という。
⇒微分可能な関数 y=f(x)のグラフCでは、点Pにおける接線が存在して、その傾きはf'(x)に等しい。
点P(x,y)におけるグラフCの接線の方程式は
Y-y=f'(x)*(X-x)
※(X,Y):流通座標:曲線上の点の座標
⇒接線PTとx軸のなす角をθとすれば
f'(x)=tanθ
_◇⊿fとdf
ともに微小変化だが
⊿f 関数f(x)の変化量
f(x)の変化量 f(a+⊿x)-f(a)
df 関数f(x)の微分
微分係数f'(a)による変化量
f'(a)*⊿x
※⊿xが0に近づけば⊿fとdfの差は無くなる
⇒テイラー展開により、⊿fとdfの差は⊿xの2次以降の項であり、⊿xが0に近づくと急速に0になる
※独立変数xについては、常に
⊿x = dx
よって
df=f'(a)⊿x
は
df=f'(a)dx
と同じ
_◇微分
dyを xにおける関数 y=f(x) の微分という。
|h|が十分小さいとき、dyは f(x+h)-f(x)を近似する
※一般に y=f(x) の微分 dy=f'(x)*hを
dy = f'(x)*dx
と書き表せる。よって、
dy
--=f’(x)
dx
※微分係数 f'(x)は、yの微分dyをxの微分dxで割った商になっており、f'(x)を微分商ともいう。
※x=aにおけるdy/dxの値を表したいときは
(dy)
(--)
(dx)x=a
という記号を用いる。
◆導関数
関数 y=f(x) が区間Ⅰで微分可能であるとき、Ⅰの各点xにf(x)の微分係数を対応させる関数を考え、これを関数
y=f(x)の導関数という
dy/dx, df(x)/dx, y’, f'(x)
などの記号であらわす。
※関数 y=f(x) からその導関数 f'(x)を求めることを
f(x)をxで微分するという。
_◇定義
関数y=f(x)の導関数(y’)とは、
f'(x) = lim[h->0]{( f(x+h) – f(x) ) / h }
※微分とは、導関数を求めることである。
例)y=x^2 の微分
(x^2)’ = lim[h->0]{( (x+h)^2 – x^2 ) / h }
= lim[h->0]{ (x^2 +2xh+h^2 – x^2 ) / h }
= lim[h->0]{ h(2x+h) / h }
= lim[h->0]{ 2x+h }
証明)
(d/dx)x^a ≡ lim[⊿x->0]{(x+⊿x)^a-x^a}/⊿x
分子の第1項を展開すると
x^aが引き算で消える
残った部分を⊿xで割ると第2項から後ろには
⊿xがかかっており⊿x→0の極限でゼロ
のこったのはa*x^(a-1)
(証明終わり)
_◇導関数の公式
①y=c(定数)
y’=0
②y = x^n
y’ = n * x^(n-1)
③y = sin(x)
y’ = cos(x)
④y = cos(x)
y’ = -sin(x)
⑤y = e^x
y’ = e^x
⑥y = log(x)
y’ = 1/x
※ f(x)とg(x)が微分可能ならば
⑦ (f+g)’ = f’ + g’
y = f(x) + g(x) ならば
y’ = f'(x) + g'(x)
⑧ (f-g)’ = f’ – g’
⑨ (f*g)’ = f’* g + f * g’
(d/dx)(f*g)=(df/dx)*g + f*(dg/dx)
※関数の積の微分
{f(x)*g(x)}’=f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)]
⑩ (k*g)’ = k * g’ (kは定数)
y = k * f(x) ならば
y’ = k * f'(x)
⑪(f/g)’ = (f’* g – f * g’)/g^2 (g≠0)
⑫(1/g)’ = -g’/g^2 (g≠0)
⑬(a*f+b*g)’ = a*f’ + b*g’
例題)
(1) 4*x^3+2*x+1
(4*x^3+2*x+1)’
=12*x^2+2
(2) (e^x)*sin(x)
((e^x)*sin(x))’
=(e^x)*sin(x)+(e^x)*cos(x)
=(e^x)*(sin(x)+cos(x))
(3) log(x)/x
(log(x)/x)’
=((1/x) * x – log(x) * 1)/x^2
=(1 – log(x))/x^2
_◇陰関数の導関数
①両辺そのままxで微分し dy/dxを含む式を作る
②dy/dxについてとく
例)
x^2+y^2=a^2
d(x^2)/dx+d(y^2)/dx=d(a^2)/dx
2*x + {d(y^2)/dy}*{dy/dx}=0
2*x + 2*y *(dy/dx)=0
dy/dx=-x/y
_◇逆関数の微分
関数 y=f(x) が強い意味で1価単調で、微分可能であり、かつ dy/dx≠0ならば、その逆関数 x=f^-1(y)も微分可能であって
dx/dy = 1 / (dy/dx)
_◇媒介変数表示の微分
x=f(t), y=g(t)で、x=f(t)の逆関数 t=f^(-1)(x)が存在し、いずれも微分可能であって、dx/dt≠0であれば
dy/dx = (dy/dt) / (dx/dt)
_◇関数の微分可能性と連続性の関係の定理
関数 y=f(x) が x=a で微分可能ならば、x=a で連続である。
※逆は必ずしも成り立たない。関数 f(x)が x=aで連続であっても f(x)は x=a で微分可能であるとは限らない。
_◇高次導関数
関数f(x)をn回微分して得られる関数を、f(x)の第n次導関数といい、f^(n)(x)と表す。
あるいは
d^n y
-----
dx^n
※関数y=f(x)がn次導関数をもては、f(x)はn回微分可能であるという。
※x^nは、n回微分するとxが消え、n!になる
※sinXは4回微分すると元に戻る。
※高次導関数
導関数 f'(x)
2階導関数 f”(x)
3階導関数 f”'(x)
例)
f(x)=sin(2*x+3)
f'(x)=2*cos(2*x+3)
f”(x)=2*2*(-sin(2*x+3))
=-4*sin(2*x+3)
例)
g(x)=e^(4*x+5)
g'(x)=4*e^(4*x+5)
g”(x)=16*e^(4*x+5)
_◇極値と変曲点
①一次導関数の+、-、0を判別することで、元の関数の傾きおよび極大、極小を求めることができる。
②二次導関数の正負を判別することで元の関数が
上に凸y”<0
下に凸y”>0
を判定できる。
※関数の凹凸が変化する点を変曲点という。
⇒その点における接線が曲線自体と交差する点
⇒2次導関数の符号が変化する点
⇒1次導関数が極値をとる点。
_◇導関数に関する定理
①ロールの定理
関数 y=f(x)が閉区間[a,b]で連続で、かつ開区間(a,b)で微分可能で、さらにf(a)=f(b)ならば、f'(c)=0, a<c<bとなる実数 c が少なくとも1つ存在する
②平均値の定理
関数 y=f(x)が閉区間[a,b]で連続で、開区間(a,b)で微分可能であれば
f'(c)=f(b)-f(a)/(b-a), a<c<b
となる実数cが少なくとも1つある。したがって
f(b)=f(a)+f'(a+θ*(b-a))*(b-a), 0<θ<1
となる実数θが少なくとも1つある
③定理
関数 y=f(x)が[a,b]で連続、(a,b)で微分可能であり、(a,b)のすべての点xで f'(x)=0ならば、f(x)は定数である。
④定理
2つの関数 f(x)とg(x)が[a,b]で連続、(a,b)で微分可能であり、(a,b)のすべての点x f'(x)=g'(x)ならば、[a,b]のすべての点xで f(x)=g(x)+c である。ここにcはある定数である。
⑤定理
関数 y=f(x)が[a,b]で連続で、(a,b)で微分可能であるとする。もしも(a,b)でつねに f'(x)>0 (f'(x)<0)ならば、f(x)は[a,b]で強い意味での増加(減少)関数である。
_◇テイラー級数展開
x=0で展開すればマクローリン展開
f(x)=f(0)+(f'(0)/1!)*x+(f”(0)/2!)*x^2+…
_◇テイラーの定理
関数 y=f(x)が[a,b]を含むある区間で n-1 回微分可能で、f^(n-1)(x)が連続であるとする。さらに y=f(x)が(a,b)でn回微分可能であれば
f(b)=f(a)+f'(a)*(b-a)
+(f”(a)/2!)*(b-a)^2+…
+(f^(n-1)(a)/(n-1)!)*(b-a)^(n-1)+Rn
ここで
Rn=(f^(n)(c)/n!)*(b-a)^n=(f^(n)(a+θ*(b-a))/n!)*(b-a)^n
a<c<b, 0<θ<1
となるような実数 c と θが存在する。
※Rnをラグランジュの剰余という
※等式の右辺をf(x)の点 x=a におけるテイラー展開という。
_◇マクローリン展開
※マクローリンの定理
テイラーの定理で a=0, b=xとおけば得られる
関数 y=f(x) が x=0 を含むある区間Ⅰでn回微分可能ならば、この区間Ⅰで
f(x)=f(0) + f'(0)*x + (f”(0)/2!)*x^2 + …
+ (f^(n-1)(0)/(n-1)!)*x^(n-1)
+ (f^n(θx)/n!)*x^n
0<θ<1
等式の右辺をf(x)のx=0におけるマクローリン展開という
①e^x = 1 + x/1! + x^2/2! + …
+ (x^(n-1)/(n-1)!) + (x^n/n!)*e^(θx)
②(1+x)^α=1 + (α,1)*x + …
+ (α,n-1)*x^(n-1) + (α,n)*(1+θ*x)^(α-n)*x^n
ただし
(α,n)=α(α-1)…(α-(n-1))/n!
※
1/(1+x)^2=1-2*x+3*x^2-4*x^3+5*x^4+…
③1/(1-x)=1+x+x^2+…
④√(1+x)=1+(1/2)*x^2-(1/((2^2)*2!))*x^2+…
⑤sin(x)=x-(1/3!)*x^3+(1/5!)*x^5-(1/7!)*x7+…
+{(-1)^(m+1)/(2m-1)!}*x^(2m-1)+…
⑥log(1+x)=x-(1/2)*x^2+(1/3)*x^3+…
+{(-1)^(n-2)/(n-1)}*x^(n-1)+…
⑦log(x)=2*{(x-1)/(x+1)+(1/3)*(x-1)^3/(x+1)^3+…}
※べき級数の項も参照
_◇関数の増減、極大極小・凹凸
◆合成関数の導関数
y=f(u), u=g(x)があるとき、合成関数 f(g(x)) におけるその導関数は、
{f(g(x))}’ = f'(u)g'(x)
※f(u),g(x)はそれぞれ微分可能であること
dy dy dz
--=--*--
dx dz dx
例)
y=sin(2x)
y’を求める
u=2*xとおけば、
u’=2
y=sin(u)
y’=d sin(u)/du * du/dx = cos(u)*2 = 2*cos(2*x)
※合成関数を○で記述する記法
f(x)=2*x+3
g(X)=sin(X)
(g○f)(x)=sin(2*x+3)
⇒(f○g)(x)=2*sin(x)+3
(g○f)'(x)=g'(X)*f'(x)
=cos(X)*2
=2*cos(2*x+3)
例)
e^(4*x+5)
f(x)=4*x+5
g(X)=e^X
f'(x)=4, g'(X)=e^X
e^(4*x+5)’=e^X * 4 = 4*e^(4*x+5)
◆三角関数の微分
① sin x の微分
y’ = lim[h->0]{ (sin(x+h)-sin x) / h }
差から積への公式
sinα-sinβ = 2*cos((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
を適用してまとめると
y’ = lim[h->0]{(cos(x+(1/2)h)*sin(1/2)x) / (1/2)h}
※三角関数の極限値
lim[h->0]{ sinθ/θ } = 1
よりsin(1/2)x) / (1/2)hは1に近づくので
y’ = cos x
② cos x
(cos x)’ = -sin x
③ tan x
sec^2(x)
※cot(x) -cosec^2(x)
④ y=asin(x)
つまり x=sin(y)
逆関数の微分定理より
dx/dy = 1/(dy/dx)なので
dx/dy = cos(y)だから
dy/dx = 1/cos(y)
ここで、y=asin(x)は主値であり、
cos(y)=sqrt(1-sin^2(y))=sqrt(1-x^2)
よって
dy/dx = 1/sqrt(1-x^2)
⑤y=asin(x)
y’=-1/sqrt(1-x^2)
⑥y=atan(x)
y’=1/(1+x^2)
◆対数関数の微分
(log(a) x)’ = lim[h->0] (log(a)(x+h)-log(a)x)/h
対数の性質から差を商に変換し、
=lim[h->0] (log(a)((x+h)/x))/h
x/hでまとめられるように変形すると
1/h = 1/x * x/h
(x+h)/h = (1 + h/x)
かつ k*log M = log M^k であるから
=(1/x) * lim[h->0] log(a) (a+h/x)^x/h
x/hをkとして書き直すと
(log(a) x)’ = (1/x) * lim[k->∞]log(a)(1+1/k)^k
_◇自然対数の底 e
(1+1/k)^kのkを限りなく大きくしたときに近づく数。
eにより対数関数の微分を書き直すと
(log(a)x)’ = (1/x) * log(a) e
底aをeとすれば log(e) e = 1なので
(log(e)x)’ = 1/x
※対数関数(自然対数)は、引数がxのときに傾きが1/xになる。
◆指数関数の微分
(a^x)’ = a^x * log a
特にa=eの場合、(e^x)’ = e^x となり、何回微分しても変わらないことになる。
(d/dx) e^ax = a*e^ax
◆全微分と偏微分
_◇偏微分
2つ以上の変数がある関数(多変数関数)を1つの変数だけに注目して他の変数は定数とみなして微分すること
⇒1変数関数とみなし、着目した変数の導関数を考える
⇒偏導関数
※xについての偏微分記号
∂
—–
∂x
⇒∂は「ラウンド」と読む
※
df(x,y)
——– =
dt
∂f(x,y) dx ∂f(x,y) dy
———・— + ———・—
∂x dt ∂y dt
※2変数関数f(x,y)の場合、一般にf(x,y)のグラフは3次元空間の中の曲面となる。ある点Pでf(x,y)のグラフに接している平面を接平面という
⇒ある点の接線の傾きを考えようとすると
x方向の傾き
y方向の傾き
が考えられる。x方向の導関数をxの偏導関数、y方向の導関数をyの偏導関数という。
例)f(x,y)=3*x^2+5*x*y+7*y^2
∂
—–f(x,y)=6*x+5*y
∂x
∂
—–f(x,y)=5*x+14*y
∂y
例) g(x,y)=e^(3*x+5*y)
∂ g(x,y)/ ∂x = 3*e^(3*x+5*y)
∂ g(x,y)/ ∂y = 5*e^(3*x+5*y)
例) h(x,y)=sin(3*x+5*y)
∂ h(x,y)/ ∂x =3*cos(3*x+5*y)
∂ h(x,y)/ ∂y =5*cos(3*x+5*y)
_◇高階偏導関数
組み合わせにより階数が増えるとどんどん増えていく
例)
f(x,y)
(∂/∂x)f(x,y)
(∂^2/∂x^2)f(x,y)
(∂^2/∂y∂x)f(x,y)
(∂/∂y)f(x,y)
(∂^2/∂x∂y)f(x,y)
(∂^2/∂y^2)f(x,y)
※多くのf(x,y)では、
(∂^2/∂y∂x)f(x,y)=(∂^2/∂x∂y)f(x,y)
_◇合成関数の偏導関数
①合成関数 t→(x,y)→z
における導関数は
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
dt ∂x dt ∂y dt
例)
x=cos(t)
y=sin(t)
f(x,y)=log(2*x+3*y)
dx/dt=-sin(t)
dy/dt=cos(t)
∂f/∂x=2/(2*x+3*y)
∂f/∂y=3/(2*x+3*y)
したがって合成関数の導関数は
df/dt=(∂f/∂x)*(dx/dt)+(∂f/∂y)*(dy/dt)
={2/(2*x+3*y)}*(-sin(t))+{3/(2*x+3*y)}*cos(t)
={-2*sin(t)+3*cos(t)}/{2*cos(t)+3*sin(t)}
②合成関数 (u,v)→(x,y)→z
における偏導関数
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
du ∂x du ∂y du
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
dv ∂x dv ∂y dv
例)
x=2*u+3*v
y=u*v
z=f(x,y)=e^(x*y)
∂x/∂u=2
∂y/∂u=v
∂x/∂v=3
∂y/∂v=u
∂f/∂x=y*e^(x*y)
∂f/∂y=x*e^(x*y)
∂f/∂u=(∂f/∂x)*(∂x/∂u)+(∂f/∂y)*(∂y/∂u)
=(4*u*v+3*v^2)*e^{(2u+3v)*u*v}
∂f/∂v=(∂f/∂x)*(∂x/∂v)+(∂f/∂y)*(∂y/∂v)
=(6*u*v+2*u^2)*e^{(2u+3v)*u*v}
_◇偏微分と極値条件
多変数関数f(x,y,u,…)が極値をとる条件:
それぞれの変数についての偏導関数の値がすべて0
_◇ラグランジュの未定係数法
例)2変数x,yにg(x,y)=0という条件があるときに、
関数f(x,y)の極値を求める場合
L=f(x,y)-λ*g(x,y) λは定数
とおき、このLの極値を求めれば、条件下のf(x,y)の極値が求まる
⇒n変数について成立する
例の場合、Lの極値は
∂L/∂x=0, ∂L/∂y=0
のとき、
この式とg(x,y)=0から、x, y, λを求め
もとまったx, yをf(x,y)に代入することでf(x,y)の極値が求まる
_◇全微分
Total derivative
二次元の領域 D 上定義された実数値関数 z = f(x, y) が x, y に関して偏微分可能であれば、各成分方向への瞬間の増分はその偏微分で与えられる。
z の増分 dz は、大抵の場合(たとえば偏導関数が全て連続なとき)には
dz = (∂z/∂x)dx + (∂z/∂y)dy
と表せる。そしてこのようにあらわせるとき微分可能であるといい、各変数方向への偏微分と無限小の積を全ての変数について加えたものを z の全微分という。
全微分は曲面 z = f(x, y) の点 (x, y) における一次近似を記述するものであり、接平面を表す。
例)f(x,y)=x*y
dz = (∂(x*y)/∂x)dx + (∂(x*y)/∂y)dy
= y*dx + x*dy
※2変数関数の全微分
df=(∂f/∂x)*⊿x + (∂f/∂y)*⊿y
xとyは独立変数なので⊿x=dx, ⊿y=dy
df=(∂f/∂x)*dx + (∂f/∂y)*dy
⇒1変数関数の df=(df/dx)dx と同じ
◆複素数の微分
実数と虚数を別々に微分する
d/dx (e^iax)
= d/dx (cos(ax) + i*sin(ax))
= d/dx (cos(ax) + i*(d/dx)*(sin(ax))
= -a*sin(ax) + i*a*cos(ax)
= i*a*(i*sin(ax) + cos(ax))
= i*a*e^iax
_◇複素指数関数の微分
d
--e^(iaθ)
dθ
※aとθは実数
⇒複素数の微分では、実数と虚数を別々に微分する
⇒オイラーの公式をつかって上の式を虚実に分ける
d
--e^(iaθ)
dθ
d
=--(cos(aθ)+i*sin(aθ))
dθ
=-a*sin(aθ)+i*a*cos(aθ)
=i*a(i*sin(aθ)+cos(aθ))
=i*a*e^(iaθ)
◎積分
◆不定積分
※微分方程式を解くための算法でもある
_◇定義
一般に、F'(x)=f(x)のとき
∫f(x)dx = F(x) + C
C:積分定数
_◇公式
①k*f(x), kは定数のとき
∫k*f(x)dx = k * ∫f(x)dx
②f(x)±g(x)
∫{f(x)±g(x)} dx = ∫f(x)dx ± ∫g(x)dx
③f(x)g'(x) … 部分積分公式
∫f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) -∫f'(x)g(x)dx
④f(x), x=g(t)のとき … 置換積分
integration by substitution
∫f(x) dx = ∫f{g(t)}g'(t)dt
⑤x^n
∫x^ndx = (1/n+1)x^(n+1) + C
n≠-1
例)
∫1 dx = x + C
∫x dx = (1/2)x^2 + C
⑥x^-1
∫x^-1 dx = log x + C
⑦e^x
∫e^x dx = e^x + C
∫e^ax dx = (1/a)*e^ax + C
∫e^-x dx = -e^-x + C
⑥sin x
-cos x
⑦cos x
sin x
⑧∫{f'(x)/f(x)}dx=log{f(x)}
_◇部分積分公式の導出
※関数の積の微分
{f(x)*g(x)}’=f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)
これを a から b まで積分すると
∫[a:b]{f(x)*g(x)}’dx
=∫[a:b]{f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)}dx
よって
[f(x)*g(x)][a:b]
=∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx +∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
これを移項すれば
∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
=[f(x)*g(x)][a:b]-∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx
_◇積分の変数変換
∫f(x)dx=∫{f(x(t))*x'(t)}dt
◆定積分
※もともと面積、体積を求めるための算法であった
aを下端、bを上端とするとき
∫[a b]f(x)dx = [F(x)]a b =F(b) – F(a)
例)
∫[1 3]x^2 dx = [(1/3)x^3]1 3=(1/3)3^3 – (1/3)1^3
=26/3
∫[0 π]sin x dx = [-cos x]0 π=-cosπ-(-cos0)
=-(-1)-(-1)=2
◆異常積分
関数 f(x)が積分領域内に不連続点がある場合
積分領域が有界閉領域にない場合
⇒広義積分または異常積分
_◇特異点をもつ異常積分
※f(x)が点x=aで定義されないか、定義されてもその点で不連続のとき、点x=aをf(x)の特異点という
区間[a, b]に有限個の特異点をもつとき
(i) 区間[a,b]がx=bで不連続(a≦x<b)のとき、
εを十分小さい整数として
∫[a,b]f(x)dx = lim[ε→+0]∫[a,b-ε]f(x)dx
が存在するならば、その極限値を∫[a,b]f(x)dxの値とする
(ii)x=aで不連続の場合も(i)と同様
(iii)x=a,bで不連続の場合はεおよびε’の両方について極限をとる
(iv)特異点cがa,bの間にあるとき
aからc-εとc+ε’からbに2区間に分割して考える
_◇無限積分
∫[a,∞]f(x)dx
∫[-∞,b]f(x)dx
∫[-∞,∞]f(x)dx
※定積分の範囲が∞を含むもの
⇒かつ発散しないもの
∫[a,∞]f(x)dx=lim[s→+∞]∫[a,s]f(x)dx
∫[-∞,b]f(x)dx=lim[s→-∞]∫[s,b]f(x)dx
….._◇無限積分公式
_◇無限積分公式
∫[0,+∞]e^(-x^2)*cos(2αx)dx
=(√π/2)e^(-α^2)
◆コンボリューション
convolution たたみこみ
数列に対応する母関数を考えたとき、数列をたたみこんだ数列に対応する母関数は元の母関数を掛けて得られた関数になる。
An = A0, A1, … , An, … <-> A(x) = ∑(k=0:∞)Akx^k
Bn = B0, B1, … , Bn, … <-> B(x) = ∑(k=0:∞)Bkx^k
An * Bn = ∑(k=0:n)AkBn-k <-> A(x)B(x) = ∑(n=0:∞)∑(k=0:n)AkBn-kx^n
畳み込み積分
g(t) * f(t) = ∫(0:t)f(t-τ)g(τ)dτ
自己相関関数(関数fの
f(t)*f(t)
相互相関関数(関数fとgの
f(t)*g(t)
コンボリューションの物理的意義は、時間領域上での線形フィルター操作に相当し、例えばリモートセンシング画像へのフィルタリング処理の場合などに適用される。
◎微分方程式
求めるべき未知関数の微分を含む方程式を「微分方程式」と呼ぶ。
求めるべき未知関数に関する情報が、未知関数及びその微分の間の関係式によって与えられれているものを微分方程式という。
※連続量の変化を記述する方程式
⇒離散的な量の変化には適さないが、離散量でも数が膨大で、連続量とみなして微分方程式を適用することがしばしば許される。
※常微分方程式
※偏微分方程式
※微分方程式において、その中にある導関数の最高階数を、その微分方程式の階数という
※微分方程式をみたす関数のことを、その微分方程式の解という。
※n階の常微分方程式で、任意定数をn個持っている解を一般解という
※任意定数にある特別の値を代入して求まる解を特殊解という。
※常微分方程式を解くとき、xのある値におけるyの条件をその微分方程式の境界条件という
◆常微分方程式
ordinary differential equation
※1独立変数の微分方程式
※yがxの1変数関数のとき、x,yおよびyの導関数y’,y”,…
を含んだ方程式を常微分方程式という
※ただひとつの独立変数に依存する未知関数 u(x) に対する微分方程式は
適当な関数Fを用いて
du d^m u
F(x,u,—,…,—–)=0
dx dx^m
という形にかける
⇒未知関数の微分の最高階数mを微分方程式の階数(order)とよぶ
⇒関数 u(x) が微分方程式の解(solution)であるとは、これを上の式に代入したとき、u(x)の定義域上いたるところで等式が満足されることをいう。
_◇常微分方程式の正規形
normal form
du
— = f(x, u)
dx
※多くの微分方程式は、新たな未知関数を導入することで、正規形の連立方程式と同値とできる
⇒最高階の導関数について解けた形になっているもの m階常微分方程式の正規形
例)最高階の導関数について解けた場合
d^m u du d^(m-1) u
—– = g(x, u, –, … , ———-)
dx^m dx dx^(m-1)
ここで
v_0=u
du
v_1 = —
dx
…
d^(m-1) u
v_m-1=———
dx^(m-1)
これをベクトル値の微分方程式とすればよい
例)単振動の方程式
d^2 x
—– = -k^2 * x (kは定数)
dt^2
⇒以下の正規形に帰着できる
dx
— = y
dt
dy
— = – k^2 * x
dt
_◇懸垂線の方程式
d^2y dy
――――=√{1+(――)^2}
dx^2 dx
_◇ロジスティック方程式
du
–=u*(K-u)
dt
特異解が存在しないが、下位を単一の一般解の表現式では表せない。
⇒u≡Kとu≡0のときで別表現となる
_◇Ricatti型方程式
◆偏微分方程式
partial differential equation
※未知関数が複数個の独立変数をもつ場合、微分方程式は未知関数の偏導関数を含む
zがxとyの2変数関数のとき、x,y,zおよびzの偏導関数zx,zy,
zxx,zxy,…を含んだ方程式を偏微分方程式という
_◇Laplace方程式
真空中の電位ポテンシャル
∂^2Φ ∂^2Φ ∂^2Φ
――――+――――+――――=0
∂x^2 ∂x^2 ∂x^2
◆線形と非線形微分方程式
※線形方程式 linear
未知関数およびその導関数についての1次式で表される微分方程式
例)
du
–=a(x)*u
dx
d^2x
—-=-k*x
dt^2
※非線形方程式 nonlinear
線形以外のもの
例)
dx
–=x^2
dt
◆線形斉次微分方程式
homogeneous linear differential equation
すべての項が未知関数を含むか0であるような線形微分方程式
⇒あるいは「同次方程式」
※線形非斉次微分方程式
inhomogeneous linear differential equation
例)
d
–f(x) + f(x) = 0 は斉次
dx
d
–f(x) + f(x) = α は非斉次
dx
※特徴
①方程式の解s(x)が得られた場合、その定数倍 c*s(x)も解となる
②解の線形結合も解となる
◆全微分型常微分方程式
※陰関数(implicit function)
◆解の幾何学的意味
_◇解曲線
solution curve
※軌道(orbit, trajectory)
_◇自励系
autonomous system
_◇方向場
direction field
_◇ベクトル場
vector field
※積分曲線
integral curve
※磁場の積分曲線=磁力線
※流体の速度場の積分曲線=流線
_◇包絡線
envelope
※Clairaut型微分方程式
◆導関数の表記法
関数 u=u(x) が与えられたときの導関数
(Leibniz流)
du d^2 u d^m u
–, —–, … , —–
dx dx^2 dx^m
⇒差分商 ⊿u/⊿xや⊿u/⊿t において変化量⊿xや⊿tに無限小の値を代入したものが微分であると捉える考え方
u’, u”, … , u^(m)
※独立変数が時間変数 t である場合の t に関する微分(Newton流記法)
. ..
u, u, …
◆スカラーとベクトル
未知関数や、方程式Fはスカラー値である場合もベクトル値である場合もある
⇒ベクトル値関数の場合、微分は成分毎に行う
※未知関数u(x)がベクトル値の場合、求めるべき未知関数の個数は実質上複数個
⇒未知関数の個数に見合った数の方程式を揃える必要がある。
一般にn=l
※単独方程式
n=l=1のとき
※系(system) または連立方程式
n,l≧2
◆初等解法
微分方程式の解を具体的な式で書き表すことを、微分方程式を解くという
⇒不定積分をとる操作を含む有限回の式変形
⇒求積法 (quadrature)
⇒初等解法とは通常、求積法をさす
初等解法以外
※Fourie変換、Laplace変換は求積法には含まれない
※級数展開を用いる解法
※摂動論
_◇任意定数、一般解、特解
※任意定数C
例)単独常微分方程式 y’=yの解
y = C*e^x
※単独のm階常微分方程式の解は m個の任意定数を含む形で表される
⇒方程式を変形して最終的に未知関数の微分を含まない形にもち込むまでにm回の積分操作を必要とするため。
※未知関数がベクトル値、階数は1階
未知関数は実質n個⇒それぞれの微分により、解は通常n個の任意定数を含む
例)2階常微分方程式 y”=a*yの解
a>0のとき y = C1 * e^(√(a)*x) + C2 * e^(√(a)*x)
a=0のとき y = C1 + C2*x
a<0のとき y = C1 * cos(√(-a)*x) + C2 * cos(√(-a)*x)
※一般解
未知関数の個数に見合った数の任意定数を含む形で書き表された解
※特解(特殊解)
一般解に現れる任意定数に特定の値を代入して得られる個々の解
※特異解、異常解
⇒方程式によっては一般解に含まれない解が現れる
_◇解析的に解ける形
①変数分離型
dy
g(y)*--=f(x)
dx
②同次型
dy y
--=f(-)
dx x
⇒w=y/xとおくと、変数分離型に帰着できる
dw
–={g(w)-w}/x
dx
③1階線形微分方程式
y’+P(x)*y=Q(x)
④ベルヌーイ型
y’+R(x)*y=S(x)*y^k
⑤完全微分方程式
dy P(x,y)
--=- ------
dx Q(x、y)
⑥一階高次微分方程式
(y’)^n+P1(x,y)*(y’)^n-1+…+Pn-1(x,y)*y’+Pn(x,y)=0
⑦定数係数2階線形(同次)微分方程式
y”+a*y’+b*y=0
⑧定数係数2階線形(非同次)微分方程式
y”+a*y’+b*y=Q(x)
⑨オイラー型
x^(n)*y'(n)+a1*x^(n-1)*y'(n-1)+…
+a_n-1*x^(n-1)*y’+an*y=Q(x)
_◇変数分離形
未知関数を y=y(x)とするとき
dy
–=g(x)*h(y)
dx
の形の微分方程式を変数分離型という
dy
—-=g(x)dx
h(y)
と形式的に変形し両辺を積分することで解ける
∫{1/h(y)}dy=∫{g(x)}dx
※上ではh(y)=0となる解は除外されているが、初期値問題の解の一意性定理によりそのような解は定数に限る。
※1階の線形常微分方程式(斉次)
dy
–=a(x)*y
dx
y≠0として
∫(1/y)dy = ∫a(x)dx
∴ log|y|=A(x)+C (Cは積分定数、A(x)はa(x)の原始関数の一つ)
∴ y = C*e^A(x)
y≡0も解であることをかんがえても
一般解は上のようになる。aが定数のときには特に
y = C*e^(a*x)
※
y’=f(x)*g(y)
dy
g(y)*--=f(x)
dx
⇒標準形とする
g(y)*dy=f(x)*dx
⇒両辺を積分する
∫g(y)*dy=∫f(x)*dx+C
⇒G(y)=F(x)+C
Cは任意定数
⇒求まった式を変形し、きれいな形にして一般解とする
※境界条件y(a)=bを満たす特殊解を求めたいときは
求めた一般解にx=a, y=bを代入し、定数Cを決定して特殊解を求める
_◇公式
y’+a*y=0
y=C*e^(-a*x)
x*y’=1
x*(dy/dx)=1⇒dy=(1/x)*dx
y*y’=1
y*(dy/dx)=1⇒y*dy=dx
y*y’=e^x
y*(dy/dx)=e^x⇒y*dy=(e^x)*dx
y^2*y’=log(x)
y^2(dy/dx)=log(x)⇒(y^2)*dy=log(x)*dx
(x+1)*y’=y
(x+1)*(dy/dx)=y⇒(1/y)dy=(1/(x+1))*dx
◆初期値問題
initial value problem
※初期条件
initial conditon
_◇系の時間発展
_◇解の延長
extension
※延長不能解
※局所解(local solution)
※大域解(global solution)
_◇解の爆発
blow up
◆境界値問題
boundary value problem
※境界条件
boundary condition
◎変分法
ある値を最小(あるいは最大)にする関数そのものを求める。
☆参考資料
◆カオスが現れる数列
X0 = c (0 < c < 1)
X{n+1} = d * x{n} * (1 – x{n})
d=2のときは、単調に0.5に近づく。
d=3.3では振動
dが4に近づくとカオスが現れる。
※図形的には上に凸なy=d*x(1-x)なる2次関数とy=xなる1次関数について、x軸から2次関数のyをもとめ、それをy=xでx軸に投影し、それを繰り返す操作になる。
◆開平法
例)
27.31
+—————-
2 |745.8361
2 |4
— |—
47 |345
7 |329
— |——
543 | 1683
3 | 1629
—— |——–
5461 | 5461
1 | 5461
|——–
| 0
◆開立法
例)
8 . 3 2
+—————-
8 8*8 |575 .930 368
8 8*8 |
8 8*8 (*8) |512
+—— |—
24 192 | 63 930
——- |—
243 19200 |
(243*3=)729|
+—-|
3 19929 (*3)| 59 787
3 (3*3=)9 |
+—————|—————-
249 (729+19929+9=)2066700
+—————|—————-
2492 2066700 | 4 143 368
(2492*2=)4984
——–|
2071684 (*2)| 4 143 368
+—————-
0
◆和算 塵劫紀による命数法
10^4 万
10^8 億
10^12 兆
10^16 京
10^20 垓 ガイ
10^24 禾予 ジョ
10^28 穰 ジョウ
10^32 溝 コウ
10^36 澗 カン
10^40 正 セイ
10^44 載 サイ
10^48 極 ゴク
10^52 恒河沙 ゴウガシャ
10^56 阿僧祇 アソウギ
10^60 那由他 ナユタ
10^64 不可思議 フカシギ
10^68 無量大数 ムリョウタイスウ
10^-1 分
10^-2 厘
10^-3 毛
10^-4 絲
10^-5 忽
10^-6 微
10^-7 繊
10^-8 沙
10^-9 塵
10^-10 挨
10^-11 渺 ビョウ
10^-12 漠 バク
10^-13 模糊 モコ
10^-14 逡巡 シュンジュン
10^-15 須臾 シュユ
10^-16 瞬息 シュンソク
10^-17 弾指 ダンシ
10^-18 刹那 セツナ
10^-19 六徳 リットク
10^-20 虚空 コクウ
10^-21 清浄 セイジョウ
◆googol
1の後に0を100個並べた数
※googleは、googolのスペルを間違えたスポンサーの小切手から名づけられたらしい
◆平均律音階
ドからシまで半音入れて12音階
ドから次のドまで1オクターブ、振動数2倍
r^12 = 2
半音上がると振動数は
r = 2^(1/12) ≒ 1.06倍になる
◆記号
_◇∀ すべての
例)
∀n∈NFor all n in N (Nは集合)
<すべてのNの要素nについて>
_◇∃ 存在する
例)
∃n∈Nn exists in N (Nは集合)
<nが存在する>
※この後に、式を書き、
such that …
_◇∂/∂x 偏微分
複数の独立変数を持つ関数において、∂/∂xは他の変数は定数とみなしてxだけで微分すること
_◇∇:ベクトル微分演算子(ナブラ)
∇=(∂/∂x,∂/∂y,∂/∂z)
=ex*∂/∂x + ey*∂/∂y + ez*∂/∂z
_◇≡ 合同、もしくは定義する
左辺を右辺で定義(definition)する
_◇[]ガウス記号
任意の実数xに対して、xを越えない最大の整数を[x]であらわす。
例)
[3.14] = 3
[3] = 3
[0] = 0
[-1] = -1
[-1.5] = -2
※小数第2位以下切捨て
[10x]/10
※端数切り上げ
-[-x]
※4捨五入
[x + 0.5] あるいは [2x] – [x]
_◇∨ 離接、選言(論理和) disjunction
_◇∧ 合接、連言(論理積) conjunction
_◇¬ 否定
_◇⇒ ならば
_◇⇔ 論理的同値(真偽が一致すること)
_◇Landauの記号
変数xの2つの関数 g(x), h(x)について、xがある値αに近づくときの大小関係を表すのに、g=O(h), g=o(h)という記号を使う。
g=O(h)とは、x→αのとき、適当な正数Aを選べば
|g/h|<A
が成り立つことである
g=o(h)とは、任意の正数εに対して
|g/h|<ε
が成り立つことである。|g/h|→0を意味する。
※g=o(h)ならば、g=O(h)である。
※αは±∞でよい
O:同じオーダー
o:ずっと小さい
◆アルゴリズム
ある結果を得るための手順、有限回で必ず終わる。
_◇n個の数値を比較の繰り返しで小さい順に並べ替えるとき、どんな方法でも平均比較回数はlog(2)n!より小さくできない。
◆チェビシェフ多項式
http://blog.livedoor.jp/seven_triton/archives/51179507.html
①任意の自然数nに対して,cosnθはcosθのn次多項式で表されることが予想される。
②x=cosθとすると、多項式は各次数に対して1つずつ存在し,n次のチェビシェフ多項式をTn(x)と表す。
Tn+1(x) = 2 x Tn(x) - Tn-1(x)
T1(x) = x
T0(x) = 1
※厳密には,まずはこの式のxがcosθと表される場合,つまり-1≦x≦1の場合が示され,その後で,両辺多項式なので全ての実数xに対して成立することが分かる
③n次のチェビシェフ多項式は,nが偶数のときはxの偶数次の項しかなく,またnが奇数のときにはxの奇数次の項しかない
nが偶数ならTn(x)は偶関数
nが奇数ならTn(x)は奇関数
④全係数の和が1。チェビシェフ多項式にx=1を代入すると1になる
Tn(1)=1
◆π
≒3.14159265
(BY Daisuke Takahashi)
012345678901の現れる場所
小数点以下1兆7815億1406万7534桁目から
小数点以下2兆3641億9038万6673桁目から
271828182845
小数点以下1兆160億6541万9627桁目から
小数点以下1兆5359億1732万8677桁目から
◆e
≒2.71828183
☆文献
図解雑学 指数対数 佐藤敏明 ナツメ社 2006/10/24
数学ガール 結城浩 ソフトバンククリエイティブ 2007
BB 素数入門 芹沢正三 講談社 2002/10/20
算数・数学百科 数学教育協議会 日本評論社 2005/8/10
http://www.nikonet.or.jp/spring/aporo_3/aporo_3.htm
数学超入門 郡山彬 日本実業出版社 2001/01/25
パラドックスの哲学 1993/04/10, R.M.セインズフリー,一ノ瀬訳 勁草書房
http://hawaii.naist.jp/~shige-o/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%C6%FE%CC%
ヒルベルト空間論 保江邦夫 日本評論社 2000/05/15
極限の深み 志賀浩二 岩波書店 1994/4/5
岩波講座 応用数学14 Fourier-Laplace解析 木村英紀 1993/9/8
Javaで作って学ぶ暗号技術 神永,山田,渡邊 森北出版 2008/5/12
岩波講座 応用数学9 論理と計算 萩谷昌己
ケプラー予想 ジョージ・G・スピーロ 青木訳 新潮社 2005/4/30
素数に憑かれた人たち ジョン・ダービーシャー 日経BP社 2004/8/30 1版1刷
よく分かる量子力学 2005/12/04 夏梅,二間瀬 ナツメ社
ポアンカレの贈り物 南、永瀬 講談社 2001/3/20
天才数学者はこう解いた、こう生きた 木村俊一 2001/11/10 講談社
微分と積分–その思想と方法 1970/2/28 遠山啓 日本評論社
http://homepage2.nifty.com/masema/transposed_matrix.html
応用物理の数理 1994/10/28 今井功 岩波書店
科学技術者のための基礎数学 修正20版 昭和54/1/10 矢野健太郎,石原繁 裳華房
新装版 オイラーの贈り物 -人類の至宝e^iπ=-1を学ぶ- 吉田武 2010/1/23 東海大学出版会
線形代数 近江著 柳下監修 2005/3/22 ナツメ社
金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式 1999/9/27 石村貞夫、園子著 東京図書
穴埋め式 線形代数 らくらくワークブック 藤田・石井 2003/12/10 講談社
プログラミングのための線形代数 2004/10/25 平岡、堀著 オーム社
物理のための数学 1983/3/14 和達三樹 岩波書店
カオスとアクシデントを操る数学 バガー、スターバード著、熊谷、松井訳 早川書房
数は科学の言葉 2007/2/19 ダンティク著メイザー編水谷訳 日経BP
岩波講座 応用数学 4 微分方程式Ⅰ 1993/12/22 俣野博 岩波書店
道具としての微分方程式 2013/4/1 斉藤恭一 講談社