☆解析(その2 微分積分)
古くは、未知数を含む方程式を解く技法を意味したが、現在では微分積分学を中心とする「極限の概念に関わる」数学を解析学という。
※実数が連続性と無限分割可能性を持っていることが微分積分学の出発点となる
◎実数の性質
◆実数の性質
_◇実数の性質
①稠密性
aとbをaT ならば |a(t)-A|<ε
という条件がみたされるTを見つけることができ、tが限りなく大きくなるとき、a(t)はAに収束するといい、Aを a(t)の極限という
│ lim[t→+∞]a(t)=A
※収束するかどうかを証明することは、不等式の変形の問題に帰着する
(t>…から |a(t)-A|<εが必然的に出てくることがたしかめられたら証明されたことになる)
※収束の速さ
※もっぱら0に収束する関数を考えれば一般の場合を尽くすことができる
※どんな正の数εが与えられた場合にも、それに対して適当な正の数δを見出して
│ 0<|x-a|<δ であれば |f(x)-b|<ε
となるようにすることができるとき
│ lim[x→a]f(x)=b
であるとする
_◇右極限と左極限
独立変数 x が実数 a より大きな値をとりながら、限りなく a に接近するときに、関数 f(x)の値が b に限りなく近づくとする。この事実を
│ lim[x→a+0]f(x)=b
で表し、bを f(a+0)で表す。このf(a+0)を点aにおけるf(x)の右極限値という。
⇒左極限値
※lim[x→a+0]f(x)とlim[x→a-0]f(x)が存在するとき、lim[x→a]f(x)が存在するための必要十分条件は
│ lim[x→a+0]f(x)=lim[x→a-0]f(x)
であることである。このとき、極限値lim[x→a]f(x)は、lim[x→a+0]f(x)=lim[x→a-0]f(x)に一致する。
※0+0のことを普通+0と書き、0-0のことを普通-0と書く
_◇無限大
どんな(大きい)正の数M(負の数-M)が与えられた場合にも、それに対して適当な正の数δを見出して
│ 0<|x-a|<δ
│ であるとき
│ M < f(x) (-M > f(x))
となるようにすることができるとき
│ lim[x→a]f(x)=+∞ (-∞)
であるとする
※任意に与えられた正の数εに対して(適当に大きい)正の数M(負の数-M)を見出して
│ M
が存在すれば、関数f(x)は x=a で微分可能であるといい、この極限値を関数f(x)のx=aにおける微分係数という
※「限りなく近づける」と「等しくする」は違う
→「分母=0」となるか否かがポイント
分母=0となるような場合では
│ bをaに近づけるといってbにaを代入してはならない
│ 分母≠0ならば、bにaを代入してしまってもよい。
※関数 f(x) が開区間 I の各点で微分可能ならば f(x)は区間Ⅰで微分可能であるという。
_◇幾何学的意味
f'(a)は、x=aにおけるy=f(x)の接線の傾きを表す。
※曲線C上の1定点Pと動点Qを結ぶ直線PQと、Pをとおる定直線PTとが与えられたとする。点Qが曲線Cに沿ってPに限りなく近づくとき、α=∠QPTがα→0となるならば、定直線PTを点Pにおける曲線Cの接線という。
⇒微分可能な関数 y=f(x)のグラフCでは、点Pにおける接線が存在して、その傾きはf'(x)に等しい。
点P(x,y)におけるグラフCの接線の方程式は
│ Y-y=f'(x)*(X-x)
※(X,Y):流通座標:曲線上の点の座標
⇒接線PTとx軸のなす角をθとすれば
│ f'(x)=tanθ
_◇⊿fとdf
ともに微小変化だが
⊿f 関数f(x)の変化量
│ f(x)の変化量 f(a+⊿x)-f(a)
df 関数f(x)の微分
│ 微分係数f'(a)による変化量
│ f'(a)*⊿x
※⊿xが0に近づけば⊿fとdfの差は無くなる
⇒テイラー展開により、⊿fとdfの差は⊿xの2次以降の項であり、⊿xが0に近づくと急速に0になる
※独立変数xについては、常に
⊿x = dx
よって
df=f'(a)⊿x
は
df=f'(a)dx
と同じ
_◇微分
dyを xにおける関数 y=f(x) の微分という。
|h|が十分小さいとき、dyは f(x+h)-f(x)を近似する
※一般に y=f(x) の微分 dy=f'(x)*hを
│ dy = f'(x)*dx
と書き表せる。よって、
dy
--=f’(x)
dx
※微分係数 f'(x)は、yの微分dyをxの微分dxで割った商になっており、f'(x)を微分商ともいう。
※x=aにおけるdy/dxの値を表したいときは
(dy)
(--)
(dx)x=a
という記号を用いる。
◆導関数
関数 y=f(x) が区間Ⅰで微分可能であるとき、Ⅰの各点xにf(x)の微分係数を対応させる関数を考え、これを関数
y=f(x)の導関数という
dy/dx, df(x)/dx, y’, f'(x)
などの記号であらわす。
※関数 y=f(x) からその導関数 f'(x)を求めることを
f(x)をxで微分するという。
_◇定義
関数y=f(x)の導関数(y’)とは、
f'(x) = lim[h->0]{( f(x+h) – f(x) ) / h }
※微分とは、導関数を求めることである。
例)y=x^2 の微分
(x^2)’ = lim[h->0]{( (x+h)^2 – x^2 ) / h }
│ = lim[h->0]{ (x^2 +2xh+h^2 – x^2 ) / h }
│ = lim[h->0]{ h(2x+h) / h }
│ = lim[h->0]{ 2x+h }
証明)
(d/dx)x^a ≡ lim[⊿x->0]{(x+⊿x)^a-x^a}/⊿x
│ 分子の第1項を展開すると
│ x^aが引き算で消える
│ 残った部分を⊿xで割ると第2項から後ろには
│ ⊿xがかかっており⊿x→0の極限でゼロ
│ のこったのはa*x^(a-1)
(証明終わり)
_◇導関数の公式
①y=c(定数)
│ y’=0
②y = x^n
│ y’ = n * x^(n-1)
③y = sin(x)
│ y’ = cos(x)
④y = cos(x)
│ y’ = -sin(x)
⑤y = e^x
│ y’ = e^x
⑥y = log(x)
│ y’ = 1/x
※ f(x)とg(x)が微分可能ならば
⑦ (f+g)’ = f’ + g’
│ y = f(x) + g(x) ならば
│ y’ = f'(x) + g'(x)
⑧ (f-g)’ = f’ – g’
⑨ (f*g)’ = f’* g + f * g’
│ (d/dx)(f*g)=(df/dx)*g + f*(dg/dx)
※関数の積の微分
│ {f(x)*g(x)}’=f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)]
⑩ (k*g)’ = k * g’ (kは定数)
│ y = k * f(x) ならば
│ y’ = k * f'(x)
⑪(f/g)’ = (f’* g – f * g’)/g^2 (g≠0)
⑫(1/g)’ = -g’/g^2 (g≠0)
⑬(a*f+b*g)’ = a*f’ + b*g’
例題)
(1) 4*x^3+2*x+1
(4*x^3+2*x+1)’
=12*x^2+2
(2) (e^x)*sin(x)
((e^x)*sin(x))’
=(e^x)*sin(x)+(e^x)*cos(x)
=(e^x)*(sin(x)+cos(x))
(3) log(x)/x
(log(x)/x)’
=((1/x) * x – log(x) * 1)/x^2
=(1 – log(x))/x^2
_◇陰関数の導関数
①両辺そのままxで微分し dy/dxを含む式を作る
②dy/dxについてとく
例)
x^2+y^2=a^2
d(x^2)/dx+d(y^2)/dx=d(a^2)/dx
2*x + {d(y^2)/dy}*{dy/dx}=0
2*x + 2*y *(dy/dx)=0
dy/dx=-x/y
_◇逆関数の微分
関数 y=f(x) が強い意味で1価単調で、微分可能であり、かつ dy/dx≠0ならば、その逆関数 x=f^-1(y)も微分可能であって
│ dx/dy = 1 / (dy/dx)
_◇媒介変数表示の微分
x=f(t), y=g(t)で、x=f(t)の逆関数 t=f^(-1)(x)が存在し、いずれも微分可能であって、dx/dt≠0であれば
dy/dx = (dy/dt) / (dx/dt)
_◇関数の微分可能性と連続性の関係の定理
関数 y=f(x) が x=a で微分可能ならば、x=a で連続である。
※逆は必ずしも成り立たない。関数 f(x)が x=aで連続であっても f(x)は x=a で微分可能であるとは限らない。
_◇高次導関数
関数f(x)をn回微分して得られる関数を、f(x)の第n次導関数といい、f^(n)(x)と表す。
あるいは
│ d^n y
│ -----
│ dx^n
※関数y=f(x)がn次導関数をもては、f(x)はn回微分可能であるという。
※x^nは、n回微分するとxが消え、n!になる
※sinXは4回微分すると元に戻る。
※高次導関数
導関数 f'(x)
2階導関数 f”(x)
3階導関数 f”'(x)
例)
f(x)=sin(2*x+3)
f'(x)=2*cos(2*x+3)
f”(x)=2*2*(-sin(2*x+3))
=-4*sin(2*x+3)
例)
g(x)=e^(4*x+5)
g'(x)=4*e^(4*x+5)
g”(x)=16*e^(4*x+5)
_◇極値と変曲点
①一次導関数の+、-、0を判別することで、元の関数の傾きおよび極大、極小を求めることができる。
②二次導関数の正負を判別することで元の関数が
│ 上に凸 y”<0
│ 下に凸 y''>0
を判定できる。
※関数の凹凸が変化する点を変曲点という。
⇒その点における接線が曲線自体と交差する点
⇒2次導関数の符号が変化する点
⇒1次導関数が極値をとる点。
_◇導関数に関する定理
①ロールの定理
関数 y=f(x)が閉区間[a,b]で連続で、かつ開区間(a,b)で微分可能で、さらにf(a)=f(b)ならば、f'(c)=0, a
差から積への公式
sinα-sinβ = 2*cos((α+β)/2)*sin((α-β)/2)
を適用してまとめると
y’ = lim[h->0]{(cos(x+(1/2)h)*sin(1/2)x) / (1/2)h}
※三角関数の極限値
lim[h->0]{ sinθ/θ } = 1
よりsin(1/2)x) / (1/2)hは1に近づくので
y’ = cos x
② cos x
│ (cos x)’ = -sin x
③ tan x
│ sec^2(x)
※cot(x) -cosec^2(x)
④ y=asin(x)
つまり x=sin(y)
逆関数の微分定理より
dx/dy = 1/(dy/dx)なので
dx/dy = cos(y)だから
dy/dx = 1/cos(y)
ここで、y=asin(x)は主値であり、
cos(y)=sqrt(1-sin^2(y))=sqrt(1-x^2)
よって
dy/dx = 1/sqrt(1-x^2)
⑤y=asin(x)
y’=-1/sqrt(1-x^2)
⑥y=atan(x)
y’=1/(1+x^2)
◆対数関数の微分
(log(a) x)’ = lim[h->0] (log(a)(x+h)-log(a)x)/h
│ 対数の性質から差を商に変換し、
│ =lim[h->0] (log(a)((x+h)/x))/h
│ x/hでまとめられるように変形すると
│ 1/h = 1/x * x/h
│ (x+h)/h = (1 + h/x)
│ かつ k*log M = log M^k であるから
│ =(1/x) * lim[h->0] log(a) (a+h/x)^x/h
│ x/hをkとして書き直すと
(log(a) x)’ = (1/x) * lim[k->∞]log(a)(1+1/k)^k
_◇自然対数の底 e
(1+1/k)^kのkを限りなく大きくしたときに近づく数。
eにより対数関数の微分を書き直すと
(log(a)x)’ = (1/x) * log(a) e
底aをeとすれば log(e) e = 1なので
(log(e)x)’ = 1/x
※対数関数(自然対数)は、引数がxのときに傾きが1/xになる。
◆指数関数の微分
(a^x)’ = a^x * log a
特にa=eの場合、(e^x)’ = e^x となり、何回微分しても変わらないことになる。
(d/dx) e^ax = a*e^ax
◆全微分と偏微分
_◇偏微分
2つ以上の変数がある関数(多変数関数)を1つの変数だけに注目して他の変数は定数とみなして微分すること
⇒1変数関数とみなし、着目した変数の導関数を考える
⇒偏導関数
※xについての偏微分記号
∂
—–
∂x
⇒∂は「ラウンド」と読む
※
df(x,y)
——– =
dt
∂f(x,y) dx ∂f(x,y) dy
———・— + ———・—
∂x dt ∂y dt
※2変数関数f(x,y)の場合、一般にf(x,y)のグラフは3次元空間の中の曲面となる。ある点Pでf(x,y)のグラフに接している平面を接平面という
⇒ある点の接線の傾きを考えようとすると
│ x方向の傾き
│ y方向の傾き
が考えられる。x方向の導関数をxの偏導関数、y方向の導関数をyの偏導関数という。
例)f(x,y)=3*x^2+5*x*y+7*y^2
∂
—–f(x,y)=6*x+5*y
∂x
∂
—–f(x,y)=5*x+14*y
∂y
例) g(x,y)=e^(3*x+5*y)
∂ g(x,y)/ ∂x = 3*e^(3*x+5*y)
∂ g(x,y)/ ∂y = 5*e^(3*x+5*y)
例) h(x,y)=sin(3*x+5*y)
∂ h(x,y)/ ∂x =3*cos(3*x+5*y)
∂ h(x,y)/ ∂y =5*cos(3*x+5*y)
_◇高階偏導関数
組み合わせにより階数が増えるとどんどん増えていく
例)
f(x,y)
│ (∂/∂x)f(x,y)
│ (∂^2/∂x^2)f(x,y)
│ (∂^2/∂y∂x)f(x,y)
│ (∂/∂y)f(x,y)
│ (∂^2/∂x∂y)f(x,y)
│ (∂^2/∂y^2)f(x,y)
※多くのf(x,y)では、
(∂^2/∂y∂x)f(x,y)=(∂^2/∂x∂y)f(x,y)
_◇合成関数の偏導関数
①合成関数 t→(x,y)→z
における導関数は
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
dt ∂x dt ∂y dt
例)
x=cos(t)
y=sin(t)
f(x,y)=log(2*x+3*y)
dx/dt=-sin(t)
dy/dt=cos(t)
∂f/∂x=2/(2*x+3*y)
∂f/∂y=3/(2*x+3*y)
したがって合成関数の導関数は
df/dt=(∂f/∂x)*(dx/dt)+(∂f/∂y)*(dy/dt)
={2/(2*x+3*y)}*(-sin(t))+{3/(2*x+3*y)}*cos(t)
={-2*sin(t)+3*cos(t)}/{2*cos(t)+3*sin(t)}
②合成関数 (u,v)→(x,y)→z
における偏導関数
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
du ∂x du ∂y du
dz ∂z dx ∂z dy
--=--*--+--*--
dv ∂x dv ∂y dv
例)
x=2*u+3*v
y=u*v
z=f(x,y)=e^(x*y)
∂x/∂u=2
∂y/∂u=v
∂x/∂v=3
∂y/∂v=u
∂f/∂x=y*e^(x*y)
∂f/∂y=x*e^(x*y)
∂f/∂u=(∂f/∂x)*(∂x/∂u)+(∂f/∂y)*(∂y/∂u)
=(4*u*v+3*v^2)*e^{(2u+3v)*u*v}
∂f/∂v=(∂f/∂x)*(∂x/∂v)+(∂f/∂y)*(∂y/∂v)
=(6*u*v+2*u^2)*e^{(2u+3v)*u*v}
_◇偏微分と極値条件
多変数関数f(x,y,u,…)が極値をとる条件:
それぞれの変数についての偏導関数の値がすべて0
_◇ラグランジュの未定係数法
例)2変数x,yにg(x,y)=0という条件があるときに、
関数f(x,y)の極値を求める場合
L=f(x,y)-λ*g(x,y) λは定数
とおき、このLの極値を求めれば、条件下のf(x,y)の極値が求まる
⇒n変数について成立する
例の場合、Lの極値は
∂L/∂x=0, ∂L/∂y=0
のとき、
この式とg(x,y)=0から、x, y, λを求め
もとまったx, yをf(x,y)に代入することでf(x,y)の極値が求まる
_◇全微分
Total derivative
二次元の領域 D 上定義された実数値関数 z = f(x, y) が x, y に関して偏微分可能であれば、各成分方向への瞬間の増分はその偏微分で与えられる。
z の増分 dz は、大抵の場合(たとえば偏導関数が全て連続なとき)には
dz = (∂z/∂x)dx + (∂z/∂y)dy
と表せる。そしてこのようにあらわせるとき微分可能であるといい、各変数方向への偏微分と無限小の積を全ての変数について加えたものを z の全微分という。
全微分は曲面 z = f(x, y) の点 (x, y) における一次近似を記述するものであり、接平面を表す。
例)f(x,y)=x*y
dz = (∂(x*y)/∂x)dx + (∂(x*y)/∂y)dy
= y*dx + x*dy
※2変数関数の全微分
df=(∂f/∂x)*⊿x + (∂f/∂y)*⊿y
xとyは独立変数なので⊿x=dx, ⊿y=dy
df=(∂f/∂x)*dx + (∂f/∂y)*dy
⇒1変数関数の df=(df/dx)dx と同じ
◆複素数の微分
実数と虚数を別々に微分する
d/dx (e^iax)
│ = d/dx (cos(ax) + i*sin(ax))
│ = d/dx (cos(ax) + i*(d/dx)*(sin(ax))
│ = -a*sin(ax) + i*a*cos(ax)
│ = i*a*(i*sin(ax) + cos(ax))
│ = i*a*e^iax
_◇複素指数関数の微分
d
--e^(iaθ)
dθ
※aとθは実数
⇒複素数の微分では、実数と虚数を別々に微分する
⇒オイラーの公式をつかって上の式を虚実に分ける
d
--e^(iaθ)
dθ
│ d
│ =--(cos(aθ)+i*sin(aθ))
│ dθ
=-a*sin(aθ)+i*a*cos(aθ)
=i*a(i*sin(aθ)+cos(aθ))
=i*a*e^(iaθ)
◎積分
◆不定積分
※微分方程式を解くための算法でもある
_◇定義
一般に、F'(x)=f(x)のとき
│ ∫f(x)dx = F(x) + C
│ C:積分定数
_◇公式
①k*f(x), kは定数のとき
│ ∫k*f(x)dx = k * ∫f(x)dx
②f(x)±g(x)
│ ∫{f(x)±g(x)} dx = ∫f(x)dx ± ∫g(x)dx
③f(x)g'(x) … 部分積分公式
│ ∫f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) -∫f'(x)g(x)dx
④f(x), x=g(t)のとき … 置換積分
integration by substitution
│ ∫f(x) dx = ∫f{g(t)}g'(t)dt
⑤x^n
│ ∫x^ndx = (1/n+1)x^(n+1) + C
│ n≠-1
例)
│ ∫1 dx = x + C
│ ∫x dx = (1/2)x^2 + C
⑥x^-1
│ ∫x^-1 dx = log x + C
⑦e^x
│ ∫e^x dx = e^x + C
│ ∫e^ax dx = (1/a)*e^ax + C
│ ∫e^-x dx = -e^-x + C
⑥sin x
│ -cos x
⑦cos x
│ sin x
⑧∫{f'(x)/f(x)}dx=log{f(x)}
_◇部分積分公式の導出
※関数の積の微分
{f(x)*g(x)}’=f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)
これを a から b まで積分すると
∫[a:b]{f(x)*g(x)}’dx
│ =∫[a:b]{f'(x)*g(x)+f(x)*g'(x)}dx
よって
[f(x)*g(x)][a:b]
=∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx +∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
これを移項すれば
∫[a:b]{f(x)*g'(x)}dx
=[f(x)*g(x)][a:b]-∫[a:b]{f'(x)*g(x)}dx
_◇積分の変数変換
∫f(x)dx=∫{f(x(t))*x'(t)}dt
◆定積分
※もともと面積、体積を求めるための算法であった
aを下端、bを上端とするとき
│ ∫[a b]f(x)dx = [F(x)]a b =F(b) – F(a)
例)
∫[1 3]x^2 dx = [(1/3)x^3]1 3=(1/3)3^3 – (1/3)1^3
│ =26/3
∫[0 π]sin x dx = [-cos x]0 π=-cosπ-(-cos0)
│ =-(-1)-(-1)=2
◆異常積分
関数 f(x)が積分領域内に不連続点がある場合
積分領域が有界閉領域にない場合
⇒広義積分または異常積分
_◇特異点をもつ異常積分
※f(x)が点x=aで定義されないか、定義されてもその点で不連続のとき、点x=aをf(x)の特異点という
区間[a, b]に有限個の特異点をもつとき
(i) 区間[a,b]がx=bで不連続(a≦x A(x) = ∑(k=0:∞)Akx^k
Bn = B0, B1, … , Bn, … <-> B(x) = ∑(k=0:∞)Bkx^k
An * Bn = ∑(k=0:n)AkBn-k <-> A(x)B(x) = ∑(n=0:∞)∑(k=0:n)AkBn-kx^n
畳み込み積分
g(t) * f(t) = ∫(0:t)f(t-τ)g(τ)dτ
自己相関関数(関数fの
f(t)*f(t)
相互相関関数(関数fとgの
f(t)*g(t)
コンボリューションの物理的意義は、時間領域上での線形フィルター操作に相当し、例えばリモートセンシング画像へのフィルタリング処理の場合などに適用される。
◎微分方程式
求めるべき未知関数の微分を含む方程式を「微分方程式」と呼ぶ。
求めるべき未知関数に関する情報が、未知関数及びその微分の間の関係式によって与えられれているものを微分方程式という。
※連続量の変化を記述する方程式
⇒離散的な量の変化には適さないが、離散量でも数が膨大で、連続量とみなして微分方程式を適用することがしばしば許される。
※常微分方程式
※偏微分方程式
※微分方程式において、その中にある導関数の最高階数を、その微分方程式の階数という
※微分方程式をみたす関数のことを、その微分方程式の解という。
※n階の常微分方程式で、任意定数をn個持っている解を一般解という
※任意定数にある特別の値を代入して求まる解を特殊解という。
※常微分方程式を解くとき、xのある値におけるyの条件をその微分方程式の境界条件という
◆常微分方程式
ordinary differential equation
※1独立変数の微分方程式
※yがxの1変数関数のとき、x,yおよびyの導関数y’,y”,…
を含んだ方程式を常微分方程式という
※ただひとつの独立変数に依存する未知関数 u(x) に対する微分方程式は
適当な関数Fを用いて
du d^m u
F(x,u,—,…,—–)=0
dx dx^m
という形にかける
⇒未知関数の微分の最高階数mを微分方程式の階数(order)とよぶ
⇒関数 u(x) が微分方程式の解(solution)であるとは、これを上の式に代入したとき、u(x)の定義域上いたるところで等式が満足されることをいう。
_◇常微分方程式の正規形
normal form
du
— = f(x, u)
dx
※多くの微分方程式は、新たな未知関数を導入することで、正規形の連立方程式と同値とできる
⇒最高階の導関数について解けた形になっているもの m階常微分方程式の正規形
例)最高階の導関数について解けた場合
d^m u du d^(m-1) u
—– = g(x, u, –, … , ———-)
dx^m dx dx^(m-1)
ここで
v_0=u
du
v_1 = —
dx
…
d^(m-1) u
v_m-1=———
dx^(m-1)
これをベクトル値の微分方程式とすればよい
例)単振動の方程式
d^2 x
—– = -k^2 * x (kは定数)
dt^2
⇒以下の正規形に帰着できる
dx
— = y
dt
dy
— = – k^2 * x
dt
_◇懸垂線の方程式
d^2y dy
――――=√{1+(――)^2}
dx^2 dx
_◇ロジスティック方程式
du
–=u*(K-u)
dt
特異解が存在しないが、下位を単一の一般解の表現式では表せない。
⇒u≡Kとu≡0のときで別表現となる
_◇Ricatti型方程式
◆偏微分方程式
partial differential equation
※未知関数が複数個の独立変数をもつ場合、微分方程式は未知関数の偏導関数を含む
zがxとyの2変数関数のとき、x,y,zおよびzの偏導関数zx,zy,
zxx,zxy,…を含んだ方程式を偏微分方程式という
_◇Laplace方程式
真空中の電位ポテンシャル
∂^2Φ ∂^2Φ ∂^2Φ
――――+――――+――――=0
∂x^2 ∂x^2 ∂x^2
◆線形と非線形微分方程式
※線形方程式 linear
未知関数およびその導関数についての1次式で表される微分方程式
例)
du
–=a(x)*u
dx
d^2x
—-=-k*x
dt^2
※非線形方程式 nonlinear
線形以外のもの
例)
dx
–=x^2
dt
◆線形斉次微分方程式
homogeneous linear differential equation
すべての項が未知関数を含むか0であるような線形微分方程式
⇒あるいは「同次方程式」
※線形非斉次微分方程式
inhomogeneous linear differential equation
例)
d
–f(x) + f(x) = 0 は斉次
dx
d
–f(x) + f(x) = α は非斉次
dx
※特徴
①方程式の解s(x)が得られた場合、その定数倍 c*s(x)も解となる
②解の線形結合も解となる
◆全微分型常微分方程式
※陰関数(implicit function)
◆解の幾何学的意味
_◇解曲線
solution curve
※軌道(orbit, trajectory)
_◇自励系
autonomous system
_◇方向場
direction field
_◇ベクトル場
vector field
※積分曲線
integral curve
※磁場の積分曲線=磁力線
※流体の速度場の積分曲線=流線
_◇包絡線
envelope
※Clairaut型微分方程式
◆導関数の表記法
関数 u=u(x) が与えられたときの導関数
(Leibniz流)
du d^2 u d^m u
–, —–, … , —–
dx dx^2 dx^m
⇒差分商 ⊿u/⊿xや⊿u/⊿t において変化量⊿xや⊿tに無限小の値を代入したものが微分であると捉える考え方
u’, u”, … , u^(m)
※独立変数が時間変数 t である場合の t に関する微分(Newton流記法)
. ..
u, u, …
◆スカラーとベクトル
未知関数や、方程式Fはスカラー値である場合もベクトル値である場合もある
⇒ベクトル値関数の場合、微分は成分毎に行う
※未知関数u(x)がベクトル値の場合、求めるべき未知関数の個数は実質上複数個
⇒未知関数の個数に見合った数の方程式を揃える必要がある。
│ 一般にn=l
※単独方程式
n=l=1のとき
※系(system) または連立方程式
n,l≧2
◆初等解法
微分方程式の解を具体的な式で書き表すことを、微分方程式を解くという
⇒不定積分をとる操作を含む有限回の式変形
⇒求積法 (quadrature)
⇒初等解法とは通常、求積法をさす
初等解法以外
※Fourie変換、Laplace変換は求積法には含まれない
※級数展開を用いる解法
※摂動論
_◇任意定数、一般解、特解
※任意定数C
例)単独常微分方程式 y’=yの解
│ y = C*e^x
※単独のm階常微分方程式の解は m個の任意定数を含む形で表される
⇒方程式を変形して最終的に未知関数の微分を含まない形にもち込むまでにm回の積分操作を必要とするため。
※未知関数がベクトル値、階数は1階
未知関数は実質n個⇒それぞれの微分により、解は通常n個の任意定数を含む
例)2階常微分方程式 y”=a*yの解
a>0のとき y = C1 * e^(√(a)*x) + C2 * e^(√(a)*x)
a=0のとき y = C1 + C2*x
a<0のとき y = C1 * cos(√(-a)*x) + C2 * cos(√(-a)*x) ※一般解 未知関数の個数に見合った数の任意定数を含む形で書き表された解 ※特解(特殊解) 一般解に現れる任意定数に特定の値を代入して得られる個々の解 ※特異解、異常解 ⇒方程式によっては一般解に含まれない解が現れる _◇解析的に解ける形 ①変数分離型 │ dy │ g(y)*--=f(x) │ dx ②同次型 dy y --=f(-) dx x ⇒w=y/xとおくと、変数分離型に帰着できる dw --={g(w)-w}/x dx ③1階線形微分方程式 y'+P(x)*y=Q(x) ④ベルヌーイ型 y'+R(x)*y=S(x)*y^k ⑤完全微分方程式 dy P(x,y) --=- ------ dx Q(x、y) ⑥一階高次微分方程式 (y')^n+P1(x,y)*(y')^n-1+...+Pn-1(x,y)*y'+Pn(x,y)=0 ⑦定数係数2階線形(同次)微分方程式 y''+a*y'+b*y=0 ⑧定数係数2階線形(非同次)微分方程式 y''+a*y'+b*y=Q(x) ⑨オイラー型 x^(n)*y'(n)+a1*x^(n-1)*y'(n-1)+... +a_n-1*x^(n-1)*y'+an*y=Q(x) _◇変数分離形 未知関数を y=y(x)とするとき dy --=g(x)*h(y) dx の形の微分方程式を変数分離型という dy ----=g(x)dx h(y) と形式的に変形し両辺を積分することで解ける ∫{1/h(y)}dy=∫{g(x)}dx ※上ではh(y)=0となる解は除外されているが、初期値問題の解の一意性定理によりそのような解は定数に限る。 ※1階の線形常微分方程式(斉次) dy --=a(x)*y dx y≠0として ∫(1/y)dy = ∫a(x)dx ∴ log|y|=A(x)+C (Cは積分定数、A(x)はa(x)の原始関数の一つ) ∴ y = C*e^A(x) y≡0も解であることをかんがえても 一般解は上のようになる。aが定数のときには特に y = C*e^(a*x) ※ y'=f(x)*g(y) │ dy │ g(y)*--=f(x) │ dx ⇒標準形とする g(y)*dy=f(x)*dx ⇒両辺を積分する ∫g(y)*dy=∫f(x)*dx+C ⇒G(y)=F(x)+C Cは任意定数 ⇒求まった式を変形し、きれいな形にして一般解とする ※境界条件y(a)=bを満たす特殊解を求めたいときは 求めた一般解にx=a, y=bを代入し、定数Cを決定して特殊解を求める _◇公式 y'+a*y=0 │ y=C*e^(-a*x) x*y'=1 │ x*(dy/dx)=1⇒dy=(1/x)*dx y*y'=1 │ y*(dy/dx)=1⇒y*dy=dx y*y'=e^x │ y*(dy/dx)=e^x⇒y*dy=(e^x)*dx y^2*y'=log(x) │ y^2(dy/dx)=log(x)⇒(y^2)*dy=log(x)*dx (x+1)*y'=y │ (x+1)*(dy/dx)=y⇒(1/y)dy=(1/(x+1))*dx ◆初期値問題 initial value problem ※初期条件 initial conditon _◇系の時間発展 _◇解の延長 extension ※延長不能解 ※局所解(local solution) ※大域解(global solution) _◇解の爆発 blow up ◆境界値問題 boundary value problem ※境界条件 boundary condition ◎変分法 ある値を最小(あるいは最大)にする関数そのものを求める。