Mechanical
☆金言
タービンの場合には、水が衝突を起こさないように流れ込んでいかなければならない。熱機関の場合には、温度変化の飛躍ができるだけ小さくなるように熱が与えられなければならない。
「名人芸は、一度消えたら二度とは戻らないのである。技術者を舐めるにも程がある。」
---吉田武
「時計は、60年代に高精度を実現したクオーツ時計、70年代にデジタル情報機器の先兵となったデジタルウオッチと、精度と表示の2つの革新を経て進化したものの、80年代には他の情報機器から取り残されていった。社会がさまざまな情報機器によってネットワーク化、オンライン化を進めていたのに、時計だけは独立独歩で自分たちの世界に閉じこもっていたからだ。」
---織田一朗(元セイコー)
「機械工学では、丸棒の断面積を表す場合、円の面積に直径を用いることが一般的です。通常、丸棒の太さを測る場合には、軸を挟み込んで直径で測定する方法が用いられるからです。」 ---小峯龍男
A = (π*d^2)/4
「開発が思うように進まず、開発費が削られる中で、百瀬は理解ある上司の必死の保護のもとで会社上層部には秘密の『闇研究』として開発を続けました。そして14年後、研究はついに実を結び、『コニカC35AF』が完成するのです」
---世界初のオートフォーカスカメラの開発について
「放電現象には整然たる理論体系はなく、現象を理解した後は経験が第一である」
---栗木、荒川編、電気推進ロケット入門
「出てくるアイディアの質と量は、もっている知識の質と量に比例する」
---栗崎彰
「解析業務の中で、一番多い間違いは何だと思いますか。それは単位です。」
---栗崎彰
☆力学
◆質量と力の単位
質量m[kg]の物体に加速度a[m/s^2]を生じさせる力の大きさをF[N]として
F = m * a [N]
※重力場では、全ての物体に重力加速度g(9.8m/s^2)が作用していると考え、質量m[kg]の物体の重さをW[N]を
W = m * g = 9.8 m [N]
力Fと重さWは同じ力であるが、慣用的に重さの記号をWとする。
◆モーメント
物体を回転させようとする力Mをモーメントとよぶ。
回転の中心から力の作用線までの垂直距離L[m](腕の長さ)、力の大きさF[N]としたとき
M = F * L [N*m]
※テコ
支点Oの周りのモーメントの総和がゼロでつりあう
Fa*La – Fb*Lb = 0
※腕に対して力の作用線が傾いているときには、腕の長さと力の腕に対する垂直成分との積をモーメントとする。
◆偶力
直径d[m]のハンドルの円周に大きさが等しく平行に作用し、モーメントだけを発生する力F[N]を偶力という
M = F * d [N*m]
◆物体の運動
_◇運動の法則
①慣性の法則
②運動方程式
F = m*a [N]
③作用反作用の法則
_◇物体の静止条件
①作用力の総和がゼロであること
②モーメントの総和がゼロであること
_◇直線運動
初速v0[m/s], 加速度a[m/s^2], 経過時間t[s], 時刻tのときの速度v[m/s], 移動距離s[m]
v = v0 + a*t
s = v0*t + (a*t^2)/2
2sa = v^2 – v0^2
_◇放物運動体
斜めの運動はX-Yに分解する。地球の重力加速度は9.8[m/s^2]とする。
_◇円運動
回転数N [rpm, rps]
周速度v [m/s]
角速度ω [rad/s]
物体の質量m[kg], 周速度v[m/s], 角速度ω [rad/s], 回転半径r[m], 向心力F[N], 向心加速度a[m/s^2]として
a = v*ω = v^2 / r [m/s^2]
F = m*a = m*v*ω = m*(v^2/r) [N]
◆重心
①平面図形の場合、実験的には、2点でつるせば鉛直線の交点としてもとまる
②算出する場合、分解各部のモーメントのつりあいからもとまる
X,Yに分けて平衡を考えればよい
◆仕事
仕事Aは、力F[N]を物体に与えて距離L[m]だけ移動したとき
A = F * L [N*m]
と定義される
ここで、
1 [N*m] = 1 [J]
_◇重量W[N]の錘を鉛直にh[m]引き上げた場合は
A = W * h [J]
_◇斜面
A = F * s = (W*sinθ) * (h/sinθ) = W * h
仕事は鉛直に持ち上げたのと等しいが、力は小さくなるので楽。
◆動力
単位時間あたりの行う仕事の量。A=F*L[J]をt[s]で行ったときの動力は、
P = (F * L)/t [J/s]
ここで
1 [J/s] = 1 [W]
L/tは速度v[m/s]に等しいので、
P = F * v [W]
◆エネルギー
_◇運動エネルギー
Ek = (m * v^2) / 2 [J]
_◇位置エネルギー
Ep = m * g * h [J]
_◇エネルギー保存則
エネルギーは形を変えても保存される。
_◇効率
効率η = 有効仕事 / 供給エネルギー
◆滑車
①定滑車
力の向きを変えるだけ
②動滑車
ロープの片側における力は重量の1/2となる
(同じ仕事を行うには距離を2倍とる必要がある)
③輪軸
直径Dの大きな円板と直径dの小さな軸を同心軸で一体にしたもの(ロープ固定)
F = W * (d/D) [N]
てこのつりあいと同じ
④差動滑車
輪軸にロープを固定せずかけたもの。滑車にかかる荷重自体が、荷重自体を持ち上げようとするモーメントを生み出す。
◆摩擦
運動に対する抵抗力となる摩擦力よりも大きな作用力が働いたとき、物体が動き出す
摩擦係数μ、重さWとすれば、摩擦力fは最大で
f = W * μ [N]
摩擦力は、物体を動かそうとする力Fに対する反作用力なので、Fと等しく反対向きに働く
静止摩擦力
最大静摩擦力(動き出す瞬間)
動摩擦力(動摩擦係数)
※どのような接触面の組み合わせでも
静摩擦力>動摩擦力
となる。
※重さW,幅bの箱を高さhの1点で引っ張るとき
引っかかる床上前端点Oとして前に倒れるモーメントをMr,後ろに倒れるモーメントをMlとすると
Mr = f * h = W*μ*h
Ml = W * (b/2) … 重心にWがかかっている
MrとMlがつりあう必要があるので
h = b/2μ
摩擦係数と幅だけで決まる。
※静摩擦係数と斜面
W*sinθ = W*cosθ*μ
より
μ = tanθ
滑り出す瞬間のθを静止摩擦角といい、このときのμの値が静止摩擦角となる。
☆冶金、金属材料
※ローマ帝国が成立して以降の歴史には、鉄の記述がほとんどなくなる。(中略)鉄の供給が安定するとほとんど記述されなくなることは、他の地域の歴史においても同様である。
矢田浩
◆金属結晶
_◇結晶格子
体心立方格子
面心立方格子
稠密六方格子
_◇単結晶金属
機械的な強度は高くない
_◇合金
数種の元素からなる多結晶構造
①固溶体
合金元素が完全に溶け合っている
②共晶体
複数の結晶が混ざりあった結晶構造
③金属間化合物
もとの合金元素とまったく異なった結晶構造
④析出
固溶体から余分な元素が押し出される
合金平衡状態図
温度
↑ ___金属B融点
│金属A融点 /
│_ /
│ \ /
│ \ 固溶体 /
│金属A\ / 金属B
│+固溶体\ / +固溶体
│─────┰─────────
│金属A ┃ 金属B
│+共晶体 ┃ +共晶体
│ ┃
└─────┸────────→含有量
金属A ↑ 金属B
100% 共晶体 100%
◆製鉄
大きく二工程からなる
①鉄鉱石から銑鉄を取り出す工程
②銑鉄から余分な炭素を取り出し、鋼を製造する工程
_◇製鉄法
①直接製鉄
鉄鉱石を固体状態で還元して鉄(錬鉄)を作る。炭素量0.1%以下。約700度以上で一酸化炭素を使って可能。内部にガング(鉄以外の鉱物)が残るので、叩いて搾り出す工程が必要。(欧州近世まで)
②間接製鉄法
炭素の溶解により融点を下げながら炭素濃度の高い銑鉄を作り、これを脱炭して鋼にする。(高炉転炉法もこれ。中国では紀元前から)
③たたら製鉄
条件により錬鉄から銑鉄まで作れる上、玉鋼も直接作れる。(①、②のいずれにもはっきり分類できない。)
※高炉による製銑過程
コークス=鉄鉱石を溶かすための燃料+還元剤
石灰石=鉄鉱石中の不純物と結合し、鉄分を分ける
⇒鋼滓⇒(冷却硬化)高炉スラグ
※石灰石で取り除かれた不純物は軽いので密度差により分離される
⇒銑鉄1トンの製造から約290kgの高炉スラグが発生。高炉スラグは副産物でありながら品質も安定(化学成分的にはセメントに近いのでコンクリート製造に使われる)
⇒石灰石の溶解によりCO2も発生
_◇鋼材の製造過程
①製鉄
鉄鉱石、コークス、石灰石
↓
高炉
↓
銑鉄
②製鋼
銑鉄、屑鉄
↓
電炉
転炉
平炉
↓
鋼(溶鋼)
③造塊(連続鋳造ではこの工程はない)
鋼(溶鋼)
↓
鋼塊(インゴット)
④分塊圧延
溶鋼、鋼塊
↓
鋼片
スラブ
ブルーム
ビレット
⑤圧延
鋼材
_◇製鋼法
不純物や炭素分の多い銑鉄から鋼を作り出す
転炉。。。70%
電気炉。。。30%
平炉はほとんど用いられない。
鋼塊⇒粗鋼
※鋳造、鍛造されるのはわずか、大半は圧延工法
_◇炭素濃度
0.04~2.1% 鋼
0.04%以下 錬鉄(柔らかすぎる)
2.1~6.7% 鋳物
※炭素含有量が増加
比重、線膨張係数、熱伝導度⇒減少
比熱、電気抵抗⇒増加
※普通鋼の炭素含有量と用途
極軟鋼 ≦0.15 電信線、ブリキ、トタン
軟鋼 0.15~0.30 造船、橋梁、建築材管、釘
硬鋼 0.50~0.80 機械部品、ばね
最硬鋼 0.80~1.20 機械部品、ばね
炭素工具鋼 0.30~0.50 刃物
_◇弾性係数
炭素量などに影響されずほぼ一定
E=200kN/mm^2
※鋼の強さ=引張強さ
一定の硬さの範囲内では硬さと比例関係にある
◆鋼材
_◇鉄の変態と熱処理
鉄にはbccとfccの2つの構造がある
bcc 体心立方格子
原子間の間隔が小さく、他原子の溶解度は小さい
fcc 面心立方格子
原子間の間隔が広く、侵入型の固溶体を作りやすい
炭素原子侵入により構造に歪みを生じる
最大2wt.%⇒炭素鋼
※純鉄の相変化
①α鉄
常温におけるbccの安定構造
軟らかく、延性がある
⇒α鉄が他の元素を固溶した状態をフェライトという
②γ鉄
910℃~1400℃で安定なfcc相
軟らかく、延性がある
⇒鍛造、圧延に適する
⇒温度にかかわらず強磁性でない
⇒γ鉄が他の元素を固溶した状態をオーステナイトという
③δフェライト
1440℃以上のbcc構造、α鉄と同じ
1538℃。。。融点
※フェライト
炭素の固溶限は0.001%以下
⇒固溶限以上の炭素はFe3Cを形成し(組成が3:1)、これをセメンタイトという
⇒鋳鉄:グラファイト、鋼:Fe3C
※セメンタイト
硬い、A0変態点以下で強磁性を示す
※炭素鋼の相変化
パーライト
約0.8%の炭素を含むオーステナイトを冷却
723℃で
γ→α(0.025%C)+Fe3C
の分解反応がおきる
⇒共析反応
この共析組織をパーライトと呼ぶ
※亜共析鋼
共析組成よりも低炭素の鋼
共析温度に下がる間にフェライトが初析する
※過共析鋼
共析組成よりも高炭素で約2%以下
共析温度に下がる間にセメンタイトが初析する
※鋳鉄
2%以上の炭素を含有。1150℃以上で一部融解。
※変態点
A0変態点 210℃ 磁気変態点
これ以下の温度で強磁性
A1変態点 730℃(727)
A2変態点
A3変態点
_◇マルテンサイト
炭素を含んだオーステナイトからフェライトへ変態する場合、フェライトの炭素の固溶限が低いため、結晶中から炭素を移動させないとならない。⇒拡散変態
しかし、急冷すると炭素は移動できず、フェライトのbcc格子の一軸を引き伸ばし、無拡散変態する。
※マルテンサイト構造を作るのが焼き入れ
よって炭素量が0.3%以上でないと効果は期待できない
_◇焼き戻し
tempering
鋼に靭性を与える熱処理
※600℃程度での焼き戻し
ソルバイト組織
セメンタイトの粒状化が進み
靭性に富、腐食されにくい
※400℃程度での焼き戻し
トルースタイト組織
やや軟らかく、靭性に優れる
腐食されやすい
_◇焼きなまし
annealing
加工硬化による内部のひずみを取り除く
_◇焼きならし
normalizing
加工によるひずみのとりのぞき、組織を戻す。
焼き入れの予備処理
_◇JIS
例)
S45C
S:Steel
C:Carbon
45=0.45%カーボン
SCM435
S:Steel
C:Cr(クローム
M:Mo(モリブデン
通常の鋼にくらべ、靭性が高まる
⇒Cr-V(クローム、バナジウム鋼)代替素材、多少安い
SWRH62A
冷間圧造用炭素鋼線材
※ドライバなどに使う
_◇鋼材の分類
一般構造用圧延鋼材
車両、船、建築、橋
炭素含有量0.35%以下の低炭素鋼
機械構造用炭素鋼
熱処理によって調質しやすい
工具鋼
高張力鋼、高力鋼
高速道路、長大橋
_◇鋳鉄
炭素含有量 2.1~6.7%
鋼とくらべると、
引っ張りに弱く圧縮に強い
靭性が低いが硬度が高い
振動をよく吸収する
低い温度で溶け、流動性が高い
※ねずみ鋳鉄
南部鉄のような黒色で、割れた断面が灰色の鉄
※可鍛鋳鉄
含有金属や熱処理を加えて靭性を持たせたもの
◆ステンレス
サビにくくするためにクロムやニッケルをまぜた合金鋼
クロムが空気中の酸素と結合し、ごくうすい不動態皮膜を作る、硝酸などに対しては大きな耐食性を示すが、硫酸や塩酸には耐食性がおとる
⇒さらにニッケルを8%以上加えて耐蝕性を高める
※もらい錆
ステンレスに接触した鉄の錆が内部に侵食してステンレス自体が腐食する
_◇オーステナイト系ステンレス
鉄-クロムーニッケル合金
SUS304など
非磁性で低温脆性がない
_◇フェライト、マルテンサイト系ステンレス
鉄-クロム合金
磁性体
SUS403 マルテンサイト系
SUS430 フェライト系
◆銅
_◇青銅
約2%のスズを加える。
銅の融点(1083℃)より低く鋳造しやすい
純粋な銅より高い機械的強度を持つ
ばね、ねじ、軸受け、観賞用美術品
※応力腐食割れに強く、水道管のプラグ等にも使われる
_◇黄銅(真鍮)
銅と亜鉛の合金
機械の軸受け部品など
◆アルミニウム
大気中では、瞬時に酸素と化合し酸化アルミニウムの皮膜が表面にできる。皮膜は耐食性があるが、酸、アルカリ、塩類で耐食性が低下する。
_◇アルマイト
陽極酸化法により、多孔質の酸化皮膜をつくり、この微細孔に着色をしたもの。そのままだと微細孔が微細孔が腐食の原因となるので、封孔処理(酢酸ニッケル溶液、重クロム酸溶液、熱湯など)をする。
_◇アルミニウム合金
アルミニウムは軟らかいが、これに銅、マグネシウムなどを高温で加え、冷却させて析出結晶を作ることで
高力アルミニウム合金
耐食アルミニウム合金
を作ることができる
※ジュラルミン
◆マグネシウム合金
実用金属では最も軽い。アルミニウムやマンガンなどと合金を作る。
軽くて強い。強靭性と成形性、放熱性、磁気特性
◆ニッケル合金
加工が容易で、耐食性が高い
◆チタンとその合金
耐食性が高く、軽い。
※チタン合金は高温での性質が高い⇒ジェットエンジン部品など
☆材料力学
材質と荷重に関する問題を扱う
_◇疲労限度
鋼では、ある応力以下(一般に引っ張り強さの半分程度)では力をいくら繰り返しかけても決して破断しない。この応力を疲労限度という。
※非鉄金属や合金には疲労限度はなく、低い応力でも繰り返しているといつかは破断する。
◆剛体
荷重を受けても変形をしないと考える理想物体を剛体と呼ぶ
※実在材料では変形が生じる
◆荷重
各種の力のうち、材料に作用し、材料が受け持つ力を荷重と呼ぶ。(外部から作用する力)
※内力
分子間の結合力が変形に対して作用することから生まれる。
垂直荷重:分子間距離を伸縮。
接線荷重:分子どうしを滑らせる
_◇垂直荷重
力の作用線に垂直な平面で荷重を受け持つ。
※材料に荷重が加わって材料に移動や変形が生じない場合には荷重による力のつりあいが成立している。
引張荷重
圧縮荷重
※力Fは2つ図示されていても力は2FでなくF。釣り合いのために、Fと同じ大きさで逆向きの力が必要になるため。作用、反作用と書かないのは、荷重の場合、どちらを作用力とするか決められない(相対的)なため。
⇒基準点と座標軸を考えたFと-Fの作用する問題と考えてはいけない。
_◇接線荷重
せん断荷重。平行逆向きの力
せん断荷重を受ける平面をせん断面という。
せん断は材料の結合力を滑らせる向きの働き
_◇曲げ荷重
長手方向に引張荷重と圧縮荷重が同時発生、荷重の方向にはせん断荷重が発生。
_◇ねじり荷重
軸線に対して垂直な断面にはせん断荷重が発生、長手方向には圧縮荷重が発生
_◇組み合わせ荷重
一つの荷重で複数の荷重成分を含むもの
_◇静荷重と動荷重
静荷重:荷重変化がないか、極めて緩慢な場合
動荷重:時間が変化すると荷重も変化する。
繰り返し荷重
荷重が周期的に増減するが向きは変わらない。
交番荷重
荷重の向きが周期的に交代する
※「引張荷重と圧縮荷重」の用な相反する荷重が長時間材料に加わると、小さな荷重でも破壊の危険性高まる。
衝撃荷重
大きな荷重が短時間に作用する
※予め衝撃荷重を予測して設計をしている工作機械などはともかく、対処していない箇所に衝撃荷重が作用すると一瞬で装置が破損する危険がある。
※移動荷重
列車や自動車のように荷重が移動する場合
_◇集中荷重と分布荷重
集中荷重:力の着力点が一点集中と考える
分布荷重:広い面積にわたり作用すると考える
※等分布荷重:長さあたりに等しい荷重が作用すると簡略化したもの
※材料の重量自体も荷重となる
_◇疲労とクリープ
※金属疲労
小さな繰り返し荷重や、交番荷重が長期間作用するうちに材料が劣化、破損する。おもな原因は、材料組織の不均一。破損するときに破裂するような音を発することがある。
※疲れ試験
一定の繰り返し荷重を加え、破断したときの回数 N を測定する。Nに対して、発生応力の最大値 S をプロットし、S-N線図を得る。
S-N線図
S↑
│ \
│ \
│ \
│ \
│ \
│ \
│ 疲労限→ ─────
│
└────────────→
N
※N=10^6, 10^7, 10^8
※クリープ
高温環境で長時間一定荷重を与えると変形が増長して破断にいたる。鉄鋼系材料では300℃以上で発生。
伸びの量は試料の元の長さにより異なるので、伸びを元の長さで割った「ひずみ」を用いる。
応力:荷重と面積の比
ひずみ:伸びと元の長さの比
ひずみ-時間線図
↑ 破壊×
│ |
ひ│ /
ず│ /
み│ --
│ --
│ --
│ --
│ --
│/
└──────────────→
時間
◆応力
材料に荷重(外力)Fを与え材料が平衡を保つときには、荷重につりあう大きさの内力が発生する。ここで材料を剛体と考える。材料の強さは、単位断面積あたりに発生する内力の大きさで表し、材料の寸法に関係しない値を求め、これを応力と呼ぶ。内力は荷重に等しい。
荷重:F[N]、断面積:A[mm^2]を用いて、
応力= F/A [N/mm^2] = F/A [MPa]
_◇垂直応力と接線応力
垂直応力はσ
引張応力σt
圧縮応力σc
接線応力はτ
σ=F/A
τ=F/A
※一般に使用する鉄鋼系材料の上限値
σ 400MPa程度
τ 300MPa程度
◆ひずみ
同じ材料で、力の大きさが同じでも元の長さにより変形量は異なる。
変形量を単位長さあたりの値で表し、これを「ひずみ」と呼ぶ。(長さを長さで割るので無名数か%で表記する)
垂直ひずみ
ε=⊿l/l
せん断ひずみ
γ=⊿l/l
γが微小なとき
tagγ=⊿l/l≒γ
⊿l:材料の変形量
l:材料の元の寸法
_◇応力ひずみ線図
引張試験により材料の強度基準を設定する代表的破壊検査
応力↑ 引張強さ ____
│ / \
│ 上降伏点 / ☆
弾性限度│----/\/\/ 破断
比例限度│ /|下降伏点
│ / |
│ / |
│/ | 変形
└────────────────→
ひずみε
①応力とひずみが比例する領域を比例領域といい、最大点を比例限度と呼ぶ
②材料が良好な弾性を保つ領域を弾性領域といい、最大点を弾性限度と呼ぶ
③弾性変形から塑性変形に推移する領域を降伏領域という。材料内部で分子結合の裂断と結合が繰り返され、応力は増加せずにひずみだけが増長する。この領域の最大値を上降伏点(じょうこうふくてん)最小値を下降伏点(かこうふくてん)という。
※一般に下降伏点を弾性変形の極限値と考える。
※公称応力-ひずみ線図
試験前の元の断面積で応力を求めたグラフ
応力の最大値を引張強さまたは極限強さといい、材料の強度を示す値とする。塑性域では、荷重を軽減すると弾性領域の変化とほぼ平行に変形量が戻り、荷重がゼロになってもひずみが残る(永久ひずみ:プレス加工などでの加工量となる)
※真応力-ひずみ線図
伸びの増加とともに断面積が減少するので、現象する断面先で荷重を割って応力を求めたグラフ。
(鉄鋼系材料。。。破断点では元の断面積の30%ほど)
※ポアソン比
材料に引張荷重を与えて荷重の方向に発生する伸びによるひずみを縦ひずみ、垂直な面で断面積減少によるひずみを横ひずみと呼ぶ。
横ひずみ
ν=----
縦ひずみ
νをポアソン比と呼ぶ。弾性金属材料の場合、約0.3程度の大きさを持つ。
_◇縦弾性係数(ヤング率)
比例領域では、ひずみεに応力σが比例(フックの法則)し、この範囲の比例定数⊿σ/⊿εは、材料の外力に対する剛性の度合いを示す。
この比例定数を縦弾性係数(ヤング率)Eとよぶ
F*l
E=⊿σ/⊿ε=----
A*⊿l
εは無名数なのでEはσと同じ単位となる。
※通常金属材料の縦弾性係数はGPaで表す。
引張強さ[MPa] 縦弾性係数[GPa]
軟鋼 402 192
硬鋼 608 206
鋳鉄 196 98
_◇安全率
機械材料の寸法は、材料自体の強度に十分に余裕を持たせて決定する。
σr
S=--
σa
S:安全率
σr:基準強さ
σa:実際の使用で発生すると考える最大応力(使用応力
※基準強さには、引張強さや降伏点荷重を用いる。
例)安全率
鋼 鋳鉄
静荷重 3 4
繰り返し荷重 5 6
交番荷重 8 10
衝撃荷重 12 15
◆はり
機械や構造体で、おもに曲げ荷重の作用する部材を「はり」と呼ぶ。
(a)集中荷重両端支持はり
▼F1 ▼F2
─────────────────
△ △
(b)等分布荷重両端支持はり
W=w・l
←─────l────────→
━━━━━━━━━━━━━━━━━
△ △
(c)集中荷重片持ちはり
▼F1 ▼F2 ┃
────────────────┨
┃
(d)等分布荷重片持ちはり
W=w・l
←─────l────────→┃
━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃
(e)固定はり
┃ ▼F1 ▼F2 ▼F3 ┃
┠───────────────┨
┃ ┃
(f)連続はり
▼F1 ▼F2 ▼F3 ▼F4 ▼F5
─────────────────
△ △ △ △
複数の支点で支える
※静定はり
(a)~(d)。荷重条件だけで、はりに起こる現象を知ることができる。
※不静定はり
はりの支点に生じる力がはり自体を曲げようとする作用を作り出すので、荷重条件だけでははりの様子を求めることができない。
_◇静定はり
①支点反力を求める
②力のつり合いを求める
③はりに発生するモーメントを求める
④はりの強さを考える
⑤はりの変形を考える
│←L3────────→│
│←L2────→│ │
│←L1→│ │ │
│ ▼F1 ▼F2 ▼F3
─────────────────
△A ○B
↑Ra ↑Rb
│←──L──────────→│
①はりは回転しないでつりあうのでモーメントの総和は0
支点Aを中心にして左回りを+とすると
Rb・L-(F1*L1+F2*L2+F3*L3) = 0
∴Rb=(F1*L1+F2*L2+F3*L3)/L
はりは移動しないでつりあっているので合力は0.
F1+F2+F3 = Ra+Rb
∴Ra = F1+F2+F3 – Rb
◆例題・課題
_◇応力
①面積5cm^2をm^2で表せ
5e-4 m^2
②20N/cm^2をMPaで表せ
0.2MPa
③断面積10mm^2の円形断面に1000Nの引張荷重が垂直に作用している。引張応力を求めよ。
1000 / 10 = 100 [N/mm^2]
100MPa
※2.2.1
①10kN/cm^2をN/mm^2で表せ
10e3 / (10*10) = 100 [N/mm^2]
②一辺0.1mの正方形断面に垂直な圧縮力10kNが作用した場合の圧縮応力をMPaで求めよ
10kN / (0.1 * 0.1) = 1000 [kN/m^2] = 1 [MPa]
③10mm×50mmの長方形断面に1000Nのせん断力が作用している。発生するせん断応力を求めよ。
1000 / (10*50) = 2 [MPa]
④断面A(10mm^2), B(20mm^2), C(30mm^2)と断面積が変化する立体に1000Nの引張荷重がかかるとき、各断面に発生する応力を求めよ。
1000 / 10 = 100 [MPa]
1000 / 20 = 50 [MPa]
1000 / 30 = 33.3 [MPa]
⑤2枚の板をΦ6のピンで接合している。それぞれの板を500Nの力で引っ張るとき、ピンに生じる応力を求めよ
500 / (6^2 * (π/4)) = 17.68 [MPa]
⑥2500Nの引張荷重を受ける丸棒に80MPaの応力が発生している。丸棒の直径を求めよ。
2500 / x = 80
x = 31.25
(d^2 * π)/4 = 31.25
d= √((31.25 * 4) / π) = 6.31 [mm]
_◇ひずみ
①長さ10mの材料を引っ張ったところ3mm伸びた。ひずみを求めよ。
3e-4
②長さ5mの材料を圧縮したところ0.02%のひずみを生じた。変形量を求めよ。
0.02e-2 = x / 5
x = 1 [mm]
③直径20mm、長さ5mの丸棒に25000Nの引張荷重を加えたところ2mmの伸びを生じた。この棒に発生した引張応力と縦ひずみを求めよ。
σ= 25000 / ((20 * 20 * pi)/4) = 79.6 [MPa]
ε= 2 / 5e3 = 4e-4
_◇縦弾性係数
①ある材料に引張応力50MPaで0.025%のひずみが生じた。縦弾性係数を求めよ。
⊿σ=50 [MPa]
⊿ε=2.5e-4
より
E = 50/2.5e-4 = 200e3 200[GPa]
②縦弾性係数190GPaの軟鋼に0.05%のひずみを生じさせる応力を求めよ。
190e3 = x / 5e-4
x = 190e3 * 5e-4 = 95 [MPa]
③直径20mm、長さ5mの丸棒に20kNの引張荷重を加えたところ2mmの伸びを生じた。この材料の弾性係数を求めよ。
⊿σ= 20e3 / ((20*20*π)/4) = 63.7 [MPa]
⊿ε= 2e-3 / 5 = 4e-5
E = ⊿σ / ⊿ε = 159 [GPa]
④長さ1m、直径32mmの軟鋼棒に60kNの引張荷重を与えた。弾性係数を200GPaとして発生する応力、変形量、ひずみを求めよ。
⊿σ= 60e3 / ((32*32*π)/4) = 74.6MPa
200e3 = ⊿σ/⊿ε = 74.6 / ⊿ε
⊿ε= 3.73e-4
⊿ε=⊿l/l
⊿l=⊿ε*l = 0.373 [mm]
_◇安全率
例題)引張強さ 400MPa の材料の安全率を8とする。使用応力を求めよ。
400 / 8 = 50 [MPa]
2>>2>>4
①(a)~(c)の材料内部に生じる応力を求めよ
(a)直径10mm^2の円柱に10kNの引張力がかかった場合
σ=10e3/((10^2*π)/4)= 127.3 [MPa]
(b)厚8mmの頭部をもつΦ10mmのビスを板の差込み、下から20kNで引っ張ったとき
σ=20e3/((10^2*π)/4)= 254.6 [MPa]
τ=20e3/(8*10*π)= 79.6 [MPa]
(c)厚10mm、幅50mmの材料に幅方向に50kNのせん断力がかかったとき
τ=50e3 / (10*50) = 100 [MPa]
②材料の降伏点強さ380MPaを設計上の基準強さとして、安全率を4とする引張荷重15kNを受ける丸棒の直径を求めよ
4 = 380 / σa
σa = 95 [MPa]
95e6 = 15e3 / ((d^2 * pi)/4)
d = √( (4/π)*(15e3/95e6) )
≒ 14.2 [mm]
_◇静定はり
例題)
静定はりの説明図で
L=1200mm, L1=200mm, L2=700mm, L3=900mm
F1=400N, F2=200N, F3=300Nとする。
Ra Rbを求めよ
☆構造力学
形状と荷重に関する問題を扱う
☆有限要素法
http://www.cae4all.com/
◆強度
_◇強度の健全性
①その部品は力をかけたとき、壊れないか
②その部品は振動を受けたとき、壊れないか
③その部品は高熱にさらされたとき、変形しないか
◆解析
_◇正しい解析を行うための5ステップ
①材料力学、有限要素法の座学
②ツールのコマンドの意味と操作方法
③解析特有のテクニック
④自社製品への解析の適用方法
⑤解析品質の安定化
_◇構造解析における自由度
※6自由度
並進 x、y、z
回転 Rx, Ry, Rz
※モノの移動はすべて6自由度で表現することができる
※6自由度の成分は座標系によって決まる
☆熱力学
◆効率
_◇カルノーサイクルの効率
η=1-(TL/TH)
_◇各種エンジンの効率
※ニューコメン機関。。。1%以下
※ワットの頃の蒸気機関。。。数%
※一般的なガソリンエンジン…20%
※効率のよいディーゼルエンジン…40%
⇒ディーゼルエンジンの効率>ガソリンエンジン
人間を含む動物の生命活動の効率…25%
※コンバインド(複合)サイクル発電
低温の熱浴に捨てていた熱の再利用
①ガスタービン 1300℃~1500℃のガス
⇒効率40%
②ガスタービンの排ガスの熱で蒸気タービンを回す
⇒合計で効率50%以上
※コジェネレーション
需要家近傍に発電機を接地、電力を得るとともに、排熱を再利用しトータルの熱効率をあげる
⇒設備の設置や維持費とのバランス検討が必要
☆伝熱工学
◆概論
_◇基本的な定義
※定常状態と非定常状態
⇒非定常状態 unsteady-state condition
物体の温度が時間により変化する状態
⇒定常状態 steady-state condition
十分に時間が経過し温度が変化しなくなった状態
∂T/∂t=0
※温度分布 temperature distribution
⇒熱流方向の座標系をxとするx方向の温度変化
⇒任意の点xにおける温度分布の接線を温度勾配
(temperature gradient)
※伝熱量
単位面積、単位時間あたりの伝熱量q
[W/m^2]
⇒熱流束(heat flux)
_◇熱移動の三形態
熱伝導 heat conduction
熱伝達 heat transfer
熱輻射 thermal radiation
◆熱伝導
heat conduction
個体、静止液体、静止気体内部の温度差
⇒高温部から低温部への熱の流れ
⇒高温の分子から低温の分子への熱の伝導
_◇フーリエの法則
Fourier’s law
一様な温度T1[Kまたは℃]の平板
伝熱面積A[m^2]
厚さL[m]
平板の一面をT2に一瞬で下げ
他面はT1を維持
⇒非定常状態:時間とともに板内各部の温度は下がる
⇒定常状態になると、流入熱量と流出熱量はバランスし、物体内の温度勾配は一定となる
⇒温度勾配がx方向だけの1次元の場合
伝熱における熱流束 q [W/m^2]は
dT
q=-λ--
dx
※定常状態でも非定常状態でもなりたつ
※dT/dx [K/mまたは℃/m]
⇒熱流方向への温度勾配
※λ [W/(m*K)]
熱伝導率 (thernal conductivity)
⇒一般に物体の熱伝導率は温度により変化する
⇒座標を熱流方向にとると温度勾配が負となる。そのときに流れる熱量を正とするために負号をつける
_◇純金属の熱伝導率
[W/(m*K)]
300K 600K
銅 398 383
金 315 304
アルミ 235 —
鉄 80.3 54.7
チタン 21.9 19.4
_◇熱伝導方程式
物体内の微小体積要素 dx,dy,dz に対する熱収支にフーリエの法則を適用する.
A面(dy*dz)に単位時間あたり流入する熱量Qx[W]
∂T
Qx=-λ--dydz
∂x
A面から距離dx離れたB面(dy*dz)から流出する熱量Qx+dxは
テイラーの定理により(2次以下の微小項を省略すると)
Qx+dx=Qx+(∂Qx/∂x)dx
=-λ(∂T/∂x)dydz – (∂/∂x)(λ(∂T/∂x))dxdydz
流入熱量から流出熱量を差し引いた熱量は
Qx-Qx+dx=(∂/∂x)(λ(∂T/∂x))dxdydz
同様にy,z方向でももとめ
これを加えれば、微小6面体に蓄積される熱量⊿Q1は
⊿Q1=[(∂/∂x)(λ(∂T/∂x))+…]dxdydz
一方、同じ体積がdt時間にdTだけ温度上昇したとすると
物体の比熱を c[J/(kg*K)]
物体の密度を ρ[kg/m^3]
として
⊿Q2=c*ρ*(∂T/∂t)dxdydz
とも書ける
⊿Q1と⊿Q2は等しいことから
(かつλが物体の全ての場所で一定であれば)
∂T ∂2T ∂2T ∂2T
cρ--=λ(---+---+---)
∂t ∂x2 ∂y2 ∂z2
なる微分方程式を得る
⇒3次元の非定常熱伝導方程式
※左辺:非定常項
_◇定常熱伝導
3次元の非定常熱伝導方程式をx方向のみの1次元定常熱伝導問題に適用した場合
左辺の非定常項=0
λ:一定とする
よって
d^2 T/dx^2 = 0
よって解は
T = c1*x + c2
⇒1次元定常熱伝導においてλ一定ならば、物体内の温度は直線分布となる
※境界条件x=0でT=T1, x=LでT=T2を与えると
T=((T2-T1)/L)*x + T1
また熱流束はフーリエの法則から
q=-λ(T2-T1)/L
例)
厚さ20mm、λ=0.26W/(m*K)の木の壁
内側の表面温度32℃、外側の表面4℃
壁の広さ2.5m^2を通過する単位時間あたりの熱量
q=-0.26*(4-32)/0.02=364 [W/m^2]
Q=A*q=2.5*364=910W
_◇物体表面近傍の温度分布と境界条件
典型的には、以下の3状態を考える必要がある
①一定温度
②一定熱流束
③流れている流体に接する
例)
容器内部の一定温度の液体(容器内壁温度一定、温度降下なしとする)
容器は外気により冷却されている(定常状態)
厚さLの容器壁
内壁温度T1,外壁温度T2,外気温度T∞
T1>T2>T∞
q=-λ(T2-T1)/L=α(T2-T∞) …(1)
上記式からT2は
T2=(T1+Bi*T∞)/(1+Bi) …(2)
ここで
Bi=α*L/λ
⇒Bi: ビオー数(Biot number)
⇒流体での熱移動と物体内熱移動との関係を示す無次元数
⇒ビオー数が小さいと物体内部の温度は一様に近づく
類似)ヌッセルト数(λは固体でなく流体の熱伝導率、対流で用いる)
例)
厚さ0.03mの平板
片面50℃、他面8℃
外気流体の熱伝導率10W/(m^2*K)
外壁温度と熱流束を求めよ。
平板の材料:
アクリル(0.21W/[m*K])
鉄(80.3W/[m*K])
外表面温度を(2)式より求め,そこでもとめたT2より
(1)式をつかってqを求めればよい
アクリルの場合
T2=25.29℃, q=172.9W/m^2
鉄の場合
T2=49.84℃, q=428.3W/m^2
例)一定熱流束の場合
⇒一般に両表面温度を求めることが問われる
外表面温度は
T2=T∞+q/α
内表面温度は
T1=T2+q*L/λ
例)流れている流体に接している場合
⇒固定壁の一方の流体から他方の流体への伝熱を熱通過という。
流入する熱流束
q=αin*(Tin-T1)
通過する熱流束
q=-(λ/L)*(T2-T1)
流出する熱流束
q=αout*(T2-T∞)
定常状態では上の3つの熱流束が等しくなる。
T2,T1を消去することができ
q=1/((1/αin)+(L/λ)+(1/αout))*(Tin-T∞)
※1/α:熱伝達抵抗
※L/λ:熱伝導抵抗
(1/K)=(1/αin)+(L/λ)+(1/αout)
K:熱透過率[W/(m^2*K)]、熱伝達率と同じ次元
よって
Q=q*A=K*A*(Tin-T∞)
◆熱伝達
物体表面が流れている流体に接していて、物体と流体間に熱のやりとりがある状態
⇒物体の表面温度Twと流体温度T∞の間の温度差が熱伝達における熱移動の発生力となる。
①個体壁から流体に熱が伝わるとき
②流体から個体壁へ熱が伝わるとき
⇒伝熱量は流体の挙動に影響をうける
⇒流体温度は壁面との伝熱に影響をうける
⇒定常状態においても温度分布は直線とならない
⇒熱伝達
_◇ニュートンの冷却法則
Newton’s law of cooling
q=α(Tw-T∞)
Tw:壁面温度
T∞:物体から十分離れた場所の流体温度
α:熱伝達率(heat transfer coefficient)
[W/(m^2*K)]
⇒対流の強さや流体の種類により変化する
⇒物性値ではない
例)
空気の熱伝達率
流速により10~250W/(m^2*K)
流れている水の熱伝達率
流速により250~5000W/(m^2*K)
※表面積Aを含まるならば
Q=α*A*(Tw-T∞)
_◇強制対流熱伝達
対流を送風機やポンプなどの外力で生じさせた場合
_◇自然対流熱伝達
(自由対流熱伝達)
対流が流体の密度差により生じる場合
◆熱輻射
物体内部の分子運動
⇒熱エネルギーを電磁波の形で放出
※黒体 black body
表面に到達する輻射熱を全て吸収する物体
_◇ステファン・ボルツマンの法則
Stefan-Boltzmann’s law
※輻射熱流束 E [W/m^2]
黒体の場合
E=σ*T^4
T[K]
σ=5.67e-8 [W/(m^2*K^4)]
ステファン・ボルツマン定数
一般物体
E=ε*σ*T^4
ε:輻射率
物体の表面形状、温度により変化する
※2つの物体間の正味輻射熱量
吸収熱量-放射熱量
※一般に伝熱面温度が常温程度であれば、輻射熱流束は、熱伝導や熱伝達に比べて無視できるが、高温になると輻射が優位となる
◆相変化をともなう伝熱現象
沸騰、凝縮、凝固、融解、昇華、蒸着
☆機械加工
☆機械要素
☆射出成型
◆MIM
金属粉末射出成型
Metal Injection Molding
70年代にNASAのために開発。
①粉末にした金属と樹脂を混練して流動性を持たせる
②直径3ミリ程度に造粒したものを高圧の中で型に射出成型し、常温で固形化
③型から取り出した成型体を真空状態で熱を加えて樹脂を蒸発(脱バインダー)させる
④1300℃以上で焼結。完成サイズに仕上げる
⑤表面処理の加工
☆機構
W = トルク[N*m] * 回転速度[rad/s]
☆自動制御
◆フィードバック制御
_◇クローズドループ制御
目標値と検出量との偏差をゼロに近づけるように操作量を決定する閉回路。
│外乱
↓
目標値┌───┐偏差┌───┐操作量┌─┴──┐制御量
──→┤比較部├─→┤制御部├──→┤制御対象├┬→
└─┬─┘ └───┘ └────┘│
↑ ┌───┐ │
└────┤検出部├←────────┘
└───┘フィードバック信号
_◇セミクローズドループ制御
実際の出力を直接検出せず、それに連動する前段の駆動量などをフィードバック信号として使用する方式
_◇伝達関数
※制御系は各要素を接続したブロック線図でかんがえることができる
※各要素の入力信号と出力信号の関係=伝達関数
⇒全要素の伝達関数をまとめて等価変換⇒全体の関数化
※伝達関数はGで表し、フィードバック信号のような後ろ向き要素はHで表す
Y=G・X
Y:出力信号
X:入力信号
G:伝達関数
W+┌─┐ ┌──┐X┌──┐Y┌──┐Z
─→┤ ├→┤G1├→┤G2├→┤G3├┬→
└┬┘ └──┘ └──┘ └──┘│
-↑ ┌─┐ │
└──────┤H├←──────┘
└─┘
※等価変換で得られた全体の伝達関数を総合伝達関数と呼ぶ
※等価交換規則
①順序の交換
②直列結合
③並列結合
④加算点の移動
⑤分岐点の移動
⑥加算点信号の反転
⑦入出力の斑点
⑧フィードバック
_◇バンバン制御
_◇追従制御
_◇PID制御
☆機関
◆蒸気機関
◆ガソリン機関
_◇ロータリーエンジン
※真空ポンプとの類似性
◆ディーゼル機関
◆タービン
◆ロケット
☆鉄道
RAILWAY 英国
RAILROAD アメリカ
※定進路性
軌道によって制約された進路のみを走行する
◆鉄道のシステム
①車両
②輸送路
③駅設備
④エネルギー供給
⑤システム管理
◆線路
路盤、軌道、付帯設備から構成される
_◇路盤
天然地盤
盛土
切土
人口路盤
高架構造物など
地下構造物
橋梁
_◇軌道
トラック
道床、枕木、レール、レール締結装置、付帯部材
※バラスト道床軌道
路盤上にバラスト(砂利、砕石)を敷き詰め道床とする
枕木をならべ
2本のレールを平行敷設
⇒車両重量や衝撃をバラストの個々が噛みあって広い範囲に圧力を分散吸収する
⇒適切なメンテナンスが必要となる
⇒路盤が土の場合よりコンクリートの場合は緩衝効果が落ちるのでバラストマットというゴムの板をコンクリートとバラストの間にいれる
※コンクリート道床軌道
路盤の上でレールを枕木に締結して、正規の位置に持ち上げたのちバラストの代わりにコンクリートを打ち込む。高架や地下隧道。
※スラブ軌道
工場でつくられた鉄筋コンクリート製SLAB(厚い平板)をコンクリート構造物の路盤上に5m間隔で設けられた円柱状の突起に合わせながら並べ、路盤とスラブ間にセメントアスファルトを注入充填する。スラブ上面にはレール締結用のボルト穴まで加工されているので枕木は不要
(防振ゴムをいれた防振スラブ軌道もある)
スラブ
厚さ200mm
長さ4950mm
幅2000mm(1067mmゲージ)
幅2340mm(1435mmゲージ)
※枕木
桧、ブナ、松をクレオソートで防腐処理したもの
200mm * 140mm * 2100mm (1067mmゲージ)
200mm * 140mm * 2400mm (1435mmゲージ)
※PC枕木
プレ・ストレスド・コンクリート
長大レールやロングレール向き
※レールの締結
車両振動を吸収するため、弾性支持
犬釘
タイプレート
軌道パッド
板バネ締結装置
_◇レールとゲージ
レール(軌条)、炭素鋼、特殊鋼
日本ではT型レール(I型レールも創設期には使われた)
※レールの種別
1mあたりの重量
30kg, 37kg, 50kg
40kgN, 50kgN, 50kgT, 60kg
長さ25mが標準
60kgレール
頭部幅65mm, 高さ174mm, 底部幅145mm
※内側傾斜角1/40
※ゲージ(トラックゲージ)
左右2本のレールの頂面から16mm(新幹線は14mm)下がった位置の内側距離。
1435mm 4′-8(1/2)”を標準期(スタンダードゲージ)という
1067mm 3′-6″狭軌(ナローゲージ)
⇒ケープタウンゲージ
※レールの長さ
短尺 5m~定尺
定尺 25m
長尺 25~200m
長大 200m以上 (ロングレール)
新幹線用 定尺x60本溶接 1500m
ガス圧接
エンクローズ・アーク溶接
※温度変化による伸縮
自由伸縮の膨張係数0.0000114/℃
⇒長くなると伸縮力が締結した道床や枕木との摩擦抵抗力により高速される⇒200m以上になると両端100m以外の中間部は不動区間とみなせる
⇒温度差35度で約50mm前後(新幹線スラブ軌道で60kgレールの1500mロングレールの場合10mm前後)
⇒トングレールをつかった伸縮継目
_◇曲線
①シンプルカーブ(単心)
Rはひとつ
②コンパウンドカーブ(複心)
同一の側に曲心2つがあり、曲線半径R1とR2がある
③リバースドカーブ(Sカーブ)
反対方向にそれぞれ曲心がある。R1とR2
極力避けるように敷設される。両曲線間に適当長の直線路を挿入。
※最小曲線半径
一般の本線:160~800m
東海道新幹線:2500m
他の新幹線:4000m
⇒曲線通過速度の向上は振り子式車両
分岐、側線などでは80~160mの半径もある
※カント
遠心力とつりあわせるため、外側レールを内側より高くする
高すぎると停車時に不安定となる
1067mmゲージ 105mm最大
1435mmゲージ 150mm最大
新幹線 180mm最大
※緩和曲線
直線から曲線でいきなり所要のカントをつけられないため、カント量0から漸次増加させる曲線
※スラック
内外輪の走行距離の差から車輪がきしまずに通過できるように内側のレールを曲心側に広げる。最大値30mm
_◇勾配
2点間の水平距離で2点間の高低差を除した値、分母を1000に換算して表す
⇒パーミル
例)
25/1000 25‰
※最大勾配
電気車列車 35‰(約2°)
全電動車編成 100‰
ラックレール式で280‰
_◇分岐
車両が現在の軌道から他の軌道へ移る(進路変更)
分岐器
ターンテーブル。。。機関車の転車
トラバーサー(遷車台)。。工場内
※分岐器
ポイント(転轍器)
クロッシング(轍叉)
リードレール
ガードレール
転換装置に結合したポイントのトングレール(テーパーつき)をとおり、リードレールをへてクロッシングに入り、ガードレールで導かれる
※渡り線(クロスオーバーロード)
※交差渡り線(シーサース・クロッシング)
_◇軌道中心間隔
並行した2つの軌道の中心間距離
※一般2線 3.6m以上
※3線の場合 2つの中心間距離の一方を4m以上
※駅構内では 3.4~4m以上
※路面電車など、車両最大幅+400mm
_◇電車線路
架線などの電車への電力供給設備
※発電所からの供給
50Hzまたは60Hz
三相交流特別高圧22kV~77kV
※直流変電所
直流変成装置(シリコン整流器など)で1500V、または600V,750Vに変換。電車線にフィーディングする
※交流変電所
変圧
新幹線 30kV
その他 22kV
※電車線路の構造
①架空単線
架空電線(トロリー線)が+、レールが帰線
②架空複線
2本のトロリー線で+と-
③第3軌条
地下鉄の一部
コレクティヴ・シュー(集電靴)
④剛体複線
新交通システム、モノレールなど
※架線
①直接ちょう架方式
②剛体ちょう架方式
③シンプルカテナリー
④変形Y型シンプル
⑤コンパウンドケテナリー
⑥剛体シンプルカテナリー
⑦ヘビーシンプルカテナリー
⑧ヘビーコンパウンドカテナリー
※直流、交流区間の切り替え
①接続駅での地上切り替え
②慣性運転中の車上切り替え
_◇粘着と粘着係数
車輪の踏面とレールの接触面との摩擦による抗力
⇒粘着あるいは粘着力とよぶ
F≦μW
F:牽引力または制動力(レールに平行な力)
W:軸重(レールに垂直な力)
μ:摩擦係数、鉄道では粘着係数
F>μWとなると空転、滑走がおこる
※駆動力や制動力が粘着力を上回った場合
起動時、加速時⇒空転(スリップ)⇒レールが局部的に磨り減る
制動時⇒滑走(スキッド)⇒車輪が局部的に平らになる(フラット)
※粘着係数は接触面の状態により大幅に変化する
乾燥、清浄状態で0.2~0.3
小雨、霜で2分の1
油気で3分の1
※動摩擦係数は静摩擦係数よりはるかに小さい
※350~380km/hに粘着の速度限界がある
◆蒸気機関車
_◇蒸気機関車の車軸配置
x-y-z
x:先輪の数
y:動輪の数
z:従輪の数
◆電気機関車
◆電車
☆船舶
◆生産工程
_◇仕様
船の種類、積載貨物、旅客数
速力、航行区域
_◇開発設計
※基本設計
主要寸法(長さ、幅、深さ、喫水)
概略配置
主機、必要馬力など
※詳細設計
船体構造の詳細、艤装の詳細
※水槽試験
曳航水槽における抵抗試験
曳引台車による模型船の曳航
例)
模型船8mクラス
水槽の全長240mx18m×8m
船体にかかる抵抗を求める⇒エンジンの馬力を決定
※キャビテーション試験
キャビテーションが発生するとプロペラの先端から螺旋状に気泡が流れる
_◇資材調達
※水切り
主要材料である鋼板
製鉄所⇒小型船やパージ⇒造船所の鋼材桟橋に陸揚げ
水切りを行う岸壁を水切り場と呼ぶ
※ショットブラスト処理と防錆処理
※鋼材ヤードに鋼板を搬入
_◇加工
※NC印字装置による自動罫書き
※NC自動切断機による鋼板の切断
NCプラズマ切断機
NCガス切断機
※曲げ加工
冷間加工(長く真っ直ぐな部分)
プレス機
ベンディングローラー
熱間加工(船首尾部の複雑な曲線)
ギョウ鉄
ガスバーナで加熱後、水をかけ急冷、収縮させて
鋼材をまげる
_◇小組立
電気溶接により部材を組み立てる。パネルに小部材を配置する程度の構造。重量は最大80トン程度
_◇大組立
小組み立てが行われた各部材を大型化し、ブロックを作る
ブロックは最大600トン程度
※ブロック建造法
※平面ブロックと曲がりブロック
※ロンジ先付け工法
板継ぎ作業⇒ロンジ材仮付け⇒溶接⇒トランス材取り付け⇒溶接
※多電極ラインウエルダー
_◇ブロック塗装
ブラスト処理、塗装
_◇艤装工事
配管や配線、各種機器など船を動かすために必要な部品をとりつける
※先行艤装
ブロック段階で行う
※ブロック艤装
※ユニット艤装(艤装品どおしをユニット化)
※艤装工事の分類
①船体艤装
操舵機、係船装置、荷役装置、居住設備、各種配管
②機関艤装
主機、ボイラー、発電機、プロペラなど
③電気艤装
電気配線、電気機器
_◇総組立
ブロック同士をつなぎ合わせてさらに大きな搭載ブロックを作る(建造ドック近くの屋外)
※ゴライアスクレーン
_◇ブロック搭載
※起工(keel laying)
最初のブロック搭載
機関室から船尾にかけての構造が複雑なので、機関室前端のブロックであることが多い
※盤木
ドック内の支え
ブロック搭載⇒溶接による接続⇒船内艤装(先行艤装されたものの接合など)
※エンジン搭載
_◇船体塗装
区画塗装 進水前には外板の塗装を終えなければならない
※プロペラ周辺
プロペラの銅合金と船体の鋼、海水により腐食電流が発生するので、何種類も塗料を塗り重ねる
※塗装後、船名、喫水標、満載喫水線マークなどを描く
_◇進水/岸壁儀装
※進水
ドック進水:ドック内に注水し、船体を浮かばせる
⇒浮上した瞬間を進水とよぶ
船台進水:海に向かって傾斜した船台の上で船を建造し、完成後滑らせて海に浮かせる方法
_◇海上試運転
一般に3~5日程度。関係者立会い。
速力試験、急旋回、急ブレーキ、後進、操舵機、主機、航海計器の性能
※旋回力試験
舵をいっぱいに切って、回頭字の旋回半径を求める
_◇命名・引渡し式
①国家吹奏
②支綱切断(しこうせつだん)
船主側の女性が銀色の斧で切断する
支綱につながれたシャンパンが船首に当たって砕け
垂れ幕が上がって船に描かれた船名が現れる
(斧は造船所が船ごとに新しく作る)
③船名発表
④出航
◆ドック
_◇乾ドック
_◇浮きドック
主に船の修理用
◆排水量
=船が押しのけた水の量=船の重さ
※船の体積はシンプソン公式などで求める
V=l*(Sa+4*Sb+Sc)/3
※浮力はアルキメデスの原理による
⇒水圧ρ*g*zの差
◆復元力
※重心G、浮力中心Z
2つの作用線間の距離を復元梃子とよびGZで表す。
※メタセンタ
浮力中心から鉛直上向きに働く浮力の作用線が船体の中心と交わる交点はほとんど移動しない。
メタセンタが重心より高ければ復元力はプラス
メタセンタが低ければマイナスとなって転覆する
重心-メタセンタ距離をメタセンタ長さGMという
※復元力
排水量(W)xGZ
排水量(W)xGMxsinθ
排水量(W)xGMxθ(θが小さいとき)
※復元力曲線(GZカーブ)
横に横傾斜角θ、縦にGZをとる。サインカーブのように原点から始まり山形になる。GZカーブが0となる横傾斜角を復元力消失角という。
※動復元力
船を10度まで傾けるために必要なエネルギーを排水量で割った値。GZカーブで、10度までを積分すれば求まる。
(復元力消失角まで積分すれば転覆させるために必要なエネルギーとなる)
※バラストタンク
積荷の状態に応じて重心を調節、復元力を維持できるようにする
◆流体抵抗
水中での流体抵抗は空気中の約800倍(流体の密度に比例する)
①造波抵抗
たて波(八字波)=ダイバージェントウエーブ
横波=トランスバースウエーブ
※造波抵抗を支配する物理パラメータはフルード数
U/√(g*L)
U:前進速度(m/s)
g:重力加速度(9.8m/s^2)
L:船の長さ(m)
実船(船長300m、速度24ノット)でのフルード数例
0.22
※造波抵抗係数
Cw=造波抵抗÷((1/2)*ρ*S*U^2)
ρ:水の密度
S:浸水表面積
※横軸にフルード数、縦軸にCwをとってグラフとする
ハンプ(山)とホロー(谷)がいくつかできる(波の干渉により抵抗が低下する速力がある)ので、ホローを狙って船の速力を設定する。
フルード数約0.3から造波抵抗の壁があり、約0.5にピーク(ラストハンプ)がある。
※高速船では造波抵抗が主
②摩擦抵抗
水中の船体の表面積に比例する。比較的速度の遅い船ではこれの占める割合大きい
③粘性圧力(造渦)抵抗
※摩擦抵抗と粘性圧力抵抗をまとめて粘性抵抗と呼ぶ
粘性抵抗はレイノルズ数に支配される
UL/ν
U:前進速度
L:船の長さ
ν:水の動粘性係数
実船(船長300m、速度24ノット)でのレイノルズ数例
31億
※空気抵抗
全抵抗の2~3%の空気抵抗もある
◆船体設計
造波抵抗のすくない先端のとがった形状と粘性圧力抵抗のすくない流線型は両立しないので、
水面下は流線型bulbous bow、水面上はとがった形が多く採用される。また、船の長さLと幅Bの比が大きいと造波抵抗を小さくできるが、復元力が減る。8以上にすると転覆の恐れが大きくなる。
船長 Length
船幅 Breadth
比率 L/B (エルバイビー)
※バルバスバウ
球状船首
船首が生じる波とバルバスバウがつくる波が干渉し、造波抵抗が減じる。
※マイクロバブル
摩擦抵抗の低減
_◇船型学
ラインズ
_◇船体に加わる力
※せん断力
船体各部の重力と浮力は一様でないので、重い貨物を積んだ船倉と空の船倉の間などにせん断力が働く
※ホギング
波の山が船体中央にきたときには上向きに折ろうとする力がかかる
※サギング
波の山が船首尾にきたときには下向きに折ろうとする力がかかる
※強度部材
外板。。。船体中央が引っ張り、圧縮力が強いので厚くする
甲板。。。船首から船尾まで全通する最上層の上甲板が重要
二重底
横隔壁
縦隔壁
※パンチング構造
波と衝突して強い衝撃をうける船首部の強度を保つ。
船尾部のパンチングは船首ほどではないが、プロペラやラダーなどの重要機器が集中するので強化する
_◇材料
軟鋼(炭素0.2%以下)が主で、強い負荷のかかる部分には高張力鋼を配する。軽量化が必要な部分ではアルミニウム合金の使用もある
※小型船ではFRP
_◇サイズ
※船の長さ=通常垂線間長
全長:船首の先から船尾の端までの水平距離
垂線間長:船首垂線と船尾垂線との水平距離
船首垂線:船首材と満載喫水線の交点から下ろした垂線
船尾垂線:舵軸位置を通る垂線
登録長:船首材の前面から船尾垂線までの距離を上甲板の下面で測定した距離
※船の幅=型幅
全幅:船の最も広い部分の長さ(外板の外から外)
肩幅:全幅から外板の厚さをのぞく
=登録幅
※船の深さ=型深さ
深さ:垂線間長の中央部におけるキール下面から上甲板の上面までの距離
型深さ:上記と同じ位置のキール上面から、上甲板の下面までの距離
※喫水
キールの下面から水面まで
型喫水:喫水からキールの厚みをのぞく
※主要寸法
垂線間長、全幅、深さ
※パナマックス
パナマ運河通行の最大船型
全長274.32m
全幅32.309m
最大喫水12m
コンテナ船でコンテナ4000個。載貨重量7万4000t
⇒オーバーパナマックス
※スエズマックス
スエズ運河通行の最大船型
全長330m
全幅48m
最大喫水:17.678m
載貨重量15~16万tのスエズマックスタンカー
※マラッカマックス
マラッカ海峡を通過できる最大船型
_◇トン数
①容積トン:国際総トン数
船全体の大きさを表す。船内容積(m^3)の合計を所定の式に代入して算出。
※国内総トン数:課税上の問題からもうけられた国内の算出方式
②容積トン:純トン数
貨物や旅客の輸送に使われる場所の大きさ。トン税、港税、パナマ、スエズ運河の通行料などの算定基準
③重量トン:排水トン数
そのまま船の重量。積載状態で変化するので、満載喫水線のときの排水量を満載排水量という。
※商船では企業秘密として公表されないことが多い
④重量トン:載貨重量トン数
船に積み込める貨物、燃料、水等の総量。満載排水量から軽荷重量を引いたもの。実際にはこの9割程度が搭載できる。
◆推進
_◇ウエーク(Wake:伴流)
船の表面近くにできる境界層ウエークのなかでプロペラを回す方が効率が良くなる。
_◇馬力
仕事率=仕事÷時間
仕事=力×移動距離[J]
船に必要なエンジン馬力は速度Vのときに船に働く抵抗をRとすると、仕事率 R×V = 有効馬力(EHP)
※1馬力=75キログラムメートル秒=0.7355kW
※Effective Horse Power
エンジン馬力×伝達係数(エンジンプロペラ間の損失)×推進係数(プロペラの効率)
エンジン馬力は有効馬力の30~40%増しにする
◆舵
ラダー
※右旋回(面舵)
※左旋回(取り舵)
※舵に働く揚力による
⇒回転中心と舵の距離が大きいほど回頭モーメント大きい
⇒揚力は水流速度の2乗に比例⇒プロペラの後ろが最も流速大きい
※バランス舵(釣り合い舵)
揚力の作用中心に舵軸をあわせたもの
※フラップ舵(ベッカー舵)
舵板の後縁にフラップをつけたタイプ
※キック
舵を切ると、船首を舵を切った方向に曲げつつ、舵の揚力により一端反対方向に横流れする
※旋回性
※保針性
◆船体運動
6自由度
直線運動
※ヒービング 上下ゆれ
※サージング 前後ゆれ
※スェイイング 左右ゆれ
回転運動
※ピッチング 縦揺れ
※ローリング 横揺れ
※ヨーイング 船首揺れ
※ビルジキール
※フィンスタビライザー
※アンチローリングタンク
減揺水槽
※トリムタブ
◆コンテナの規格
8x8.5x20 フィート
8x8,5x40 フィート
※パレット
48x40インチ(米)
120x80cm(欧)
◆造船所
_◇ユニバーサル造船 有明事業所
ドックx2
1号ドック 長さ620mx幅85m×深さ14m
700トン・ゴライアスクレーン
30万トンクラスの大型タンカーの建造可能
◆潜水艦
ベント
◆ファンネルマーク
商船三井 オレンジ一色
日本郵船 二引(赤2本のライン)
川崎汽船 Kライン
旭海運 A
東海運 赤丸5連
三光汽船 三光ノ松(三重の赤丸)
乾汽船 井ゲタ
大東通商 木の向こうから日が昇る
新和海運 S
☆航空工学
☆ロケット工学
◆人工衛星と宇宙速度
①第1宇宙速度
地表付近から水平に打ち出された物体が人工衛星になる速度
7.9km/s (28440km/h)
②第2宇宙速度
地表付近から水平に打ち出された物体が人口惑星になる速度(脱出速度)
11.2km/s (40320km/h)
③第3宇宙速度
地表付近から水平に打ち出された物体が太陽系の外へ向かう速度
16.7km/s (60120km/h)
※人工衛星の高度と速度
高度
250km スペースシャトルなど 7.91km/s
20200km ナブスター 3.87km/s
35786 静止衛星 3.07km/s
◆人工衛星の軌道
_◇軌道要素
①周期
②軌道傾斜角
地球の赤道面に対する角度
③遠地点高度、近地点高度
※静止軌道
遠地点高度と近地点高度が35786kmの円軌道
軌道傾斜角は0度、周期23h56m
_◇軌道分類
①同期軌道
周期24時間
②回帰軌道
周期、地球の自転周期の整数分の1
1日のうちに何周かして同一地点上空に戻る
GPS衛星など
③準回帰軌道
1日のうちに地球を何周かするが
同じ地点の上空に戻るのに数日から数十日を要する
GLONASS,GALILEOなど
④極軌道
軌道傾斜角約90度
資源探査衛星など
⑤太陽同期軌道
太陽光線の照射角一定
※太陽同期準回帰軌道
◆推力理論
_◇流体中を運動するロケット
ロケットの運動座標系について、前後に無限大の広がりを持つ検査面A1(進行前方),A3(後方)を考えると、推力Fは
F=M3 + ∫pdA3 – M1 – ∫pdA1
M3, M1は検査面を単位時間に横切る流体の運動量
pは圧力
Aは面積
A3のうちロケット排気流部A2を独立さえ、流量m, 流速vで書き直すと
F=m2*v2+p2*A2+m3*v3+p3(A3-A2)-m1*v1-p1*A1
m1*v1=m3*v3
p1*A1=p3*A3
と考えられるので整理すると
F=m2*v2+(p2-p3)*A2
⇒第一項:運動量推力
⇒第2項:圧力推力
※真空下で動作し、p2の小さい電気推進では圧力推力はきわめて小さくなる。排気速度ue
ue=F/m≒v2
_◇比推力
Isp≡F/(m*g)
gは海面上での重力加速度
※次元は秒である
_◇ロケット公式
慣性空間を一次元運動するロケットについて
短時間の間に、一定の排気速度ueの推進剤の噴出により
質量M⇒M+⊿M
飛行速度v⇒v+⊿v
に変化したときの運動量保存の式
(M+⊿M)*(v+⊿v)-M*v=⊿M*(ue-v)
この時間積分から、ロケットの速度増分⊿Vは
⊿V=ue*ln(M1/Mf)
M1:初期質量
Mf:終期質量
※ペイロード比
Λ=ペイロード質量/M1
◆電気推進
_◇SEPS
Solar Electric Propulsion System
太陽エネルギー発電による電気推進システム
_◇NEPS
Nuclear Electric Propulsion System
原子力発電による電気推進システム
※RTG(Radioisotope Thermoelectric Generator)
ボイジャー搭載のもの
半減期約88年 酸化プルトニウム238⇒1330K高温熱源
Si-Geによる熱電変換 400W
☆重機
◆建設、鉱業用
_◇HD785
ダンプトラック
コマツ
全長 10290mm
全幅 6885mm
全高 5050mm
空車重量 72300kg
積載重量 91t
出力 1195ps
価格 1億5000万円
_◇CD60R
クローラダンプ
コマツ
全長 4825mm
全幅 2640mm
全高 2775mm
空車重量 8320kg
積載重量 6t
出力 135ps
価格 1120万円
_◇PC1250
油圧ショベル
コマツ
全長 16020mm(ショベル折り畳んだ状態)
全幅 5355mm
全高 6040mm
空車重量 109900kg
最大掘削高さ 13400mm
最大掘削深さ 9350mm
総排気量 23150cc
出力 700ps
価格 8000万円
_◇D375
ブルドーザー
コマツ
全長 10120mm
全幅 4695mm
全高 4285mm
空車重量 70800kg
ブレード幅 4695mm
ブレード高 2265mm
出力 614ps
価格 9120万円
☆配管
◆配管要素
_◇管
pipe
_◇管継ぎ手
fitting
_◇フランジ継ぎ手
Flange
_◇弁
Valve
※ダイヤフラム弁
_◇
シーラント
ガスケット
_◇
フレームアレスター 逆火防止器
_◇輸送器類
ポンプ
コンプレッサ
ブロワー
ファン
◆摩擦によるエネルギー損失
_◇ファニングの式
Fanning
F=4*f*(u~^2/2)*(L/Di) [J/kg]
F:摩擦による流れのエネルギー損失[J/kg]
f:流体摩擦係数
レイノルズ数と完璧の相対粗度(ε/Di)の関数
層流の場合は f=16/Re 粗さに影響されない
u~:管内平均流速[m/s]
L:配管長[m]
Di:管内径[m]
◆摩擦以外のエネルギー損失
管の曲がり部(エルボ)
管径の拡大縮小(レデューサ)
分岐(ティー)
弁
オリフィス
⇒エネルギー損失係数(抵抗係数)を与え、配管の内径Di[m]にその係数を掛け、配管長がその分長くなったと仮定して計算する
※相当長 Le
Equivalent Length
◆信頼性要因
エロージョン 耐摩耗性
コロージョン 耐薬品性
キャビテーション 耐うず腐食性
☆モータ
◆ロータリーエンコーダ
①インクリメンタル方式
回転を検出して2相のパルス信号を出力する。
┌───┐ ┌─────┐ ┌───┐
─┘ └───┘ └───┘ └A相
┌───┐ ┌─┐ ┌───┐
───┘ └───┘ └───┘ └──B相
正転のときはA相が90°進む、逆転のときはA相が90°遅れる。
②アブソリュート方式
回転角度をグレイコードで出力する。
※シャフトが何回転したかをカウントできるマルチターンアブソリュートエンコーダもある。
☆発電機
◆振動発電
外部から与えた仕事=発電量+損失
P=∫Fp*x’ dt = ∫Cp*x’^2 dt
=m*ζp*Yo^2*ωc^3*ω^3/{(1-ωc^2)^2+{2*(ζd+ζp)*ωc}^2}
ζpの最適化、dP/dζp=0
振動子の振幅には制約あり(Xlim)
P=(1/4)*m*ωn^3*y0*Xlim=(1/4)*m*a*ωn*Xlim
m:振動子質量
ωn:振動周波数
y0:外部振幅
Xlim:最大許容振幅
a:振動加速度
☆時計
◆用語
_◇棒テンプ
錘のついた横木。一定の角度で左右に往復運動を繰り返しながら時計に規則性をもたらす。
_◇歯割り
歯車の歯を正確に切ること
_◇ガンギ車
_◇アンクル
◆アナログクオーツ
_◇電子回路
発振回路
分周回路
駆動回路
_◇ステップモータ
駆動コイル
ステーター
ロータ
_◇駆動系
(ロータ) 1ステップ180°
5番車
4番車→秒針 360/60°(ギア比1:30)
3番車
2番車→分針 360/(60*60)
秒針に対するギア比1対60
日の裏車
筒車→時針 360/(60*60*12)
分針に対するビア比1対12
◆熱発電ウオッチ
BiTe (ビスマス・テルル)系合金
熱起電力 0.2mV 1℃あたり
1000素子を直列配列→0.2V電位差
(太さ80um x 長さ 600um素子を100個で1ユニット、
10ユニット構成)
0.2Vから1.55Vに昇圧し、2次電池に充電
☆製図
◆断面表示
※ハッチング
※スマッチング
◆面取り
chamfer
※C0.5
0.5mm 45°の面取り
☆信頼性
☆機械史
☆参考文献
はじめて学ぶ機械工学 小峰龍男 ナツメ社 2008/04/28
自動車の不思議 自動車技術研究会 ナツメ社 2006/1/4
図解雑学 船のしくみ 池田良穂 ナツメ社 2006/5/10
時計と人間 織田一朗 裳華房 1999/7/10
センサ・シンポジウム2009「マイクロ環境振動発電の現状と展望」東京大学 大学院 工学研究科機械工学専攻 准教授 鈴木雄二
流れのふしぎ 日本機械学会編 石綿、根本著 2004/8/20 講談社
新・ハンドツールバイブル 広田民郎 1998/2/20 山海堂
http://www.bekkoame.ne.jp/~bandaru/deta02st.htm
http://www.kuzekin.com/gijyutu.html
http://www.yano-kk.com/products/jiten/13rule.html
www.chemeng.titech.ac.jp/~tklab/MatSci/PPT/MS7_2006.pdf
プロが教える船のすべてがわかる本 池田良穂 ナツメ社 2009/2/9
鉄道車両メカニズム図鑑 1987/9/10 伊原一夫 グランプリ出版
化学工学の基礎知識(その2) 石井 配管技術 2009.11 日本工業出版
働く車大全集 モリナガ・ヨウ 2008/12/30 アスペクト
図解入門 よくわかる最新機械工学の基本 小峰龍男 秀和シスエム 2005/8/31
http://www.nejino-hozumi.com/knowledge/
電気推進ロケット入門 2003/5/28 栗木、荒川編 東京大学出版会
切る道具 2005/4/5 ものづくり・道具愛好会 リブリオ出版
打つ、回す、はさむ道具
モノができる仕組み事典 成美堂出版 2007/11/20
ロードレーサー 1981/09/10 中山秀太郎監修 小学館
続々・実際の設計 1996/10/30 実際の設計研究会 日刊工業新聞社
例題でわかる伝熱工学 2005/9/22 平田他 森北出版
図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 2012/1/30 栗崎彰 講談社サイエンティフィック
機械式時計解体新書 H13/3/4 本間誠二監修 春日孝喜写真 大泉書店
ドローンの世紀 2015/10/25 井上孝司 中央公論新社
宇宙はどこまで行けるか 2018/9/25 小泉宏之 中央公論新社
機械工学入門 2001/8/27 坂本卓 日刊工業新聞社