Physics_matter

☆物性物理学

◆フォノン
結晶の原子の振動も波として伝わる⇒音響量子(フォノン)という準粒子の集まりとして扱われる。

◆スピン
電子は本質的に回転運動を内在し、角運動量を持つ。
⇒角運動量のミクロな単位 h/2πで 1/2
⇒存在できる量子状態は +1/2と-1/2のみ

※スピンは、X,Y,Zの自由度とはまったく独立なので
電子の物質波を表す波動関数Ψは

Ψ=X(x)*Y(y)*Z(y)*S(s)

※スピン空間

_◇電子磁石
マグネトン(ボーア磁子)
スピンが不変量なので、磁気も不変量

◆フェルミ準位
フェルミ準位とは、物質の電子分布において、電子の存在確率が1/2になるエネルギー

※フェルミ準位の異なる材料を接合すると、接合面でフェルミ準位が一致するように電子または正孔の移動が起こる

→接合面近くのバンド図は曲がったものになる

※フェルミ準位がどこにあるかで物質の性質がきまる

_◇伝導体と禁止帯
原子のエネルギー準位が飛び飛びであるのと異なり、金属や半導体では広がりを持って連続的になる。有限の幅があるのでエネルギーバンドと呼ぶ。バンドとバンドの間には電子の存在できないギャップがある。

許容帯:電子が存在するエネルギー帯
禁止帯:存在できないエネルギー帯

※充満帯(価電子帯)
電子が一杯まで入っているエネルギー帯

※伝導帯
フェルミ準位を持つ帯。空所があるので、電子は自由に動くことができる。
⇒フェルミ準位が下がって伝導体が空になれば絶縁体となる

☆核物理学

◆放射性元素

_◇自発核分裂

核が自然に核分裂する。

_◇崩壊モード
①アルファ崩壊
陽子2個と中性子2個からなるヘリウム4原子核を放出する
⇒より不安定になった場合、中性子が多いとβ-,陽子が多いとβ+崩壊が発生する

②ベータマイナス崩壊
中性子が陽子に遷移する。
電荷の保存:電子を放出
エネルギーとモーメント保存:反ニュートリノを放出

③ベータプラス崩壊
陽子が中性子に遷移する。
電荷の保存:陽電子を放出
エネルギーとモーメント保存:ニュートリノを放出

※ガンマ崩壊は、核のパリティ保存によってベータ崩壊できない場合に起こる

_◇崩壊系列
安定同位体になるまでの一連の崩壊
いずれの系列も鉛のそれぞれ異なる安定同位体になるまで崩壊する

①ウラン系列

②トリウム系列

③アクチニウム系列

④ネプツニウム系列

_◇中性子誘発核分裂

中性子が核と反応して複合核をつくり、2つの核分裂片に分裂する。

※分裂は対象ではない。
※液滴モデル

ウランの場合、質量数130~150と80~100の2つに分裂する。
⇒核分裂生成物

_◇ウラン、プルトニウムの核分裂

※ウラン、プルトニウムのうち質量数が奇数の核種は偶数の核種よりも不安定で、熱中性子(速度が遅い)を照射すると核分裂を生じる
U235,Pu239,Pu241
⇒核分裂性物質

※偶数質量の核では熱中性子では核分裂の閾値を超えない
⇒高速中性子で核分裂を生じる(しきい値反応)
U238では1MeVの中性子

※U238は中性子を吸収してPu239に変換する
(親物質)

※核分裂のエネルギーはどれもほぼ200MeV

_◇中性子過剰核のβ崩壊

中性子が過剰な核では中性子が陽子と電子に崩壊するか中性子が外に飛び出す。
β崩壊:電子がβ線として放出される。
遅発中性子

_◇セシウム Cs
セシウムCs133 天然核種、
非放射性

Cs137 放射性

_◇ウラン U
原子番号92

_◇ネプツニウム Np
原子番号93

_◇プルトニウム Pu
原子番号94

_◇アメリシウム Am
原子番号95
γ線源、煙感知器

_◇キュリウム
原子番号96

◆放射線

_◇荷電粒子線
α線
ヘリウム原子核
β線
電子
陽子線
陽子

_◇非荷電粒子線
x線
光子
γ線
光子
中性子線
中性子

◆半減期

_◇寿命と半減期
※崩壊寿命 τ
1個の原子核が崩壊を起こす平均的な寿命

※半減期 T_1/2
一種の不安定な原子核が多数あったときに、その数が崩壊により半分になる時間

T_1/2=0.693τ

_◇炭素14(14C)
半減期5730年。炭素14は大気上層で宇宙線により窒素から絶えず作られているため、大気中での存在比がほぼ一定。2酸化炭素の循環により生物に取り込まれるが、生物の死とともに循環が絶たれ減少する。
Z=6,N=8
⇒β崩壊により14N(Z=7,N=7)に変化する

_◇ウラン236

_◇ウラン238
半減期45億年

◆原子核

※少数多体系
少ない数(2個や3個よりは多い)粒子が関与した系
⇒1,2個の粒子の相互作用ではない
⇒無数の粒子の関与でもない

_◇陽子数と中性子数

陽子数:Z
中性子数:N

※陽子と中性子をまとめて核子とよぶ
陽子数と中性子数を足したもの質量数A=核子数

※元素記号を使った表記
左肩:質量数
左下:陽子数
右肩:中性子数

※アイソトープ
陽子数が同じで中性子数が異なる原子核

※アイソトーン
同じ中性子数で陽子数が異なる

※アイソバー
質量数が同じもの

_◇魔法数
原子核が安定となる陽子あるいは中性子の数
2,8,16,20,28,50,82,126

代表)2=ヘリウム
8=酸素
20=カルシウム

※16は、中性子の数が陽子の数にくらべてかなり多い原子核についてのいあてはまる魔法数

_◇核図表(セグレチャート)
陽子数と中性子数で原子核を分類した図

_◇核力

※荷電対称性
陽子間に働く核力も中性子間にはたらく核力も等しい

※陽子間にはクーロン反発力が働くので、陽子間の引力は中性子間よりわずかに弱い

※陽子と中性子缶の核力は強い
⇒陽子と中性子がほぼ等しい原子核は安定

_◇安定核と不安定核

※安定核
時間がたっても変化しない原子核

※不安定核
Radio Isotope=RI
自然に壊れ、異なった原子核に変化する

※アイソトープ
陽子数を一定にしたときに、中性子数の異なる原子核

※中性子過剰核
⇒安定なアイソトープより中性子数多いもの
⇒ベータ崩壊を起こす
⇒中性子の数が多いほど寿命が短くなる
⇒中性子ドリップライン(存在極限の原子核の境界を結んだもの)

※陽子過剰核
⇒安定なアイソトープより中性子数が少ないもの
⇒陽電子ベータ崩壊を起こす
⇒陽子ドリップライン

※安定線
the stability line
安定核の存在する領域をつなぐ線

◆RIビーム法
不安定核の高速粒子を作り出し、それを用いて散乱や反応を起こさせる方法

※加速器で加速される粒子
電子、
陽子
ヘリウム(α粒子)
重イオン
⇒リチウムより重い元素のイオンを重イオンとよぶ

◆加速器駆動未臨界炉

◆核融合物質

_◇トリチウム
水素の同位体の一種。三重水素
陽子1個と中性子2個
化学記号はTもしくはH3
半減期12.26年でβ崩壊し、ヘリウム3となる

※天然には宇宙線による原子核反応によりごく微量存在
※人口的には原子炉内でリチウム6に中性子をすわせることで大量生産

※水分子として生体に吸収されると内部被爆を起こす

_◇重水素
水素の同位体の一種。化学記号はD
陽子1個と中性子1個