力学 mechanics
静力学 statics
動力学 dynamics
運動学 kinematics
狭い意味の動力学 kinetics
☆位置、速度、加速度、ベクトル
◆質点、質点系、剛体
_◇質点
質量を持ち、大きさのない、回転は無視できる点
_◇質点系
質点の集まり
_◇剛体
大きさを持ち、回転を考えられる。(変形しない。)
_◇力の作用線
力を現すには、
力の大きさ
力の方向
力が物体に作用する点(作用点)
を示す必要がある。
※力の作用点をとおり力の方向を向いている直線を力の作用線という。
◆速度ベクトル、加速度
原点から測った質点Pの位置ベクトルrが時間の関数のとき
v=d r(t)/dt
ここから
①スカラー関数mとの積
d (mr)/dt = (dm/dt)r + m(dr/dt)
②ベクトル関数pとの内積
d (r・p)/dt = (dr/dt)・p + r・(dp/dt)
③ベクトル関数pとの外積
d (r×p)/dt = (dr/dt)×p + r×(dp/dt)
_◇加速度
α = d^2 r/dt^2
◆摩擦力
※接触面を通して面に垂直に相手の物体に作用する力を垂直抗力という。
※接触している2物体が互いに接触面に平行で、相対運動を妨げる向きに作用しあう力を摩擦力という。
_◇静止摩擦力
接触面で物体が滑っていない場合の摩擦力を静止摩擦力という。物体を押す力fの大きさをある限度の大きさFmax以上に大きくすると物体は動きはじめる。このFmaxを最大摩擦力という。
Fmax = μN
Fmaxは垂直抗力のおおきさNにほぼ比例する。μは静止摩擦係数である。
_◇動摩擦力
速度に差がある2つの物体の間におこる、速度の差を減らすような摩擦力。動摩擦力も垂直抗力の大きさNにほぼ比例するが、比例定数は異なる。
F = μ’N
一般に、動摩擦係数μ’は静止摩擦係数μより小さい。
☆運動
◆速さ、速度
v = s / t
v:速さ[m/s]
s:移動距離[m]
t:かかった時間[s]
※方向を含んだ速さを速度という。
◆等速運動
s = v * t
◆加速度と等加速度運動
a = (v – v0) / t
a:加速度[m/s^2]
v:t秒後の速度[m/s]
v0:最初の速度[m/s]
t:時間[s]
◆速さ
運動している物体が、時間tに距離sだけ移動したとすると、物体の平均の速さvは、
v = s/t
※速さの単位 m/s
_◇等速運動
s = v*t
_◇等速直線運動
x = v0*t + x0
_◇曲線運動での速度
v(t) = dr/dt = (dx/dt, dy/dt)
◆加速度
a(t) = dv/dt = (d/dt)(dx/dt) = d^2 x / dt^2
_◇曲線運動での加速度
a(t) = dv/dt = (d^2x/dt^2, d^2y/dt^2)
◆等加速度直線運動
初速v1
加速度a
任意の時刻tにおける速度v
v = a * t + v1
時刻tまでに移動した距離sは
s = ∫[0..t]v dt
= (1/2) * a * t**2 + v1 * t
※等加速度直線運動
初速0なら
s = (1/2) * a * t^2
初速v0
s = (v0 * t) + ((1/2) * a * t^2)
◆自由落下、放物運動
※自由落下
s = (1/2) * g * t^2
g:重力加速度9.8[m/s^2]
※地上での放物運動
初速v0で、角度θに物体を投げ上げた場合の高度h,水平距離xは、
h = v0*sinθ*t – (1/2)*g*t^2
x = v0*cosθ*t
物体が地上へ落ちるまでの時間は、
t = (2 * v0 * sinθ) / g
◆仕事
「仕事」とは、力に逆らって何かを動かすこと
例)
重力に逆らって物体を持ち上げると
mgh
m=50kg, g=9.8m/s^2, h=2mなら
980kg*m^2/s^2 [kg*m^2/s^2 = J]
※エネルギー
系が仕事をする能力の尺度
◆位置エネルギーと運動エネルギー
(1/2)*m*v^2 + mgh = 一定
_◇運動エネルギー
(1/2)*m*v^2
m:質量
v:速さ
_◇重力による位置エネルギー
mgh
g:重力加速度
h:高さ
◆運動の法則
①慣性の法則
静止しているものは力を加えない限り静止し続け、動いているmのは力を加えない限り同じ速度で動き続ける。⇒運動方程式でF=0ならば dv/dt=0となる
②運動の第2法則
加速度の大きさは、力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する。
※質量1kgの物体が加速度1m/s^2で運動しているときに働いている力の大きさを1[N]と決める。
※ニュートンの運動方程式
F = m * a
F:力[N]
m:質量[kg]
a:加速度[m/s^2]
※運動方程式とは、原因である左辺の力と、その結果である右辺の運動とを統合で結んだものであり「因果律」を示す。
※位置r(t)を使って書き直す
dr^2(t)
m*-------=F
dt^2
※運動量pで書き直す
dp
--=F
dt
⇒運動量の変化が力に等しい
③作用反作用の法則
物体Aが物体Bに力(作用という)を及ぼしているとき、同時に物体Aも物体Bから力(反作用)を受けている。この作用と反作用の力は一直線上にあり、逆向きで、大きさが等しい。
⇒運動量の保存則
※ニュートンの運動方程式
⇒ガリレイ変換に関して共変
運動方程式は、慣性系同士では F=m*a のままで形を変えない
◆ニュートンの3保存則
①エネルギー
E=(1/2)m*v^2
②運動量
M=m*v
③角運動量
L=m*v*r
◆等速円運動
半径r[m]の円周上を一定の速さv[m/s]で回転しているとき、1回転するのに要する時間(周期)T[s]
T = 2 * π * r / v
※等速円運動では、速さは一定だが、速度は常に変わっている。中心へ向かう力は向心力F、このときの加速度aは、
a = Δv / Δt = vΔθ / (rΔθ/ v) = v^2 / r
F [N]は、質量m[kg]と加速度の積で求められるので
F = m * v^2 / r
※向心力は実際に働いている力だが、遠心力は円運動をしている物体から見かけ上存在する力で向心力に等しい。
※向心加速度は位置ベクトルrと方向が逆なのでマイナスをつける。また、
|⊿v|≒v*⊿θ=(rω)*(ω⊿t)
a = rω^2 = vω = v^2/r
F = m * v^2 / r = m*r*ω^-2
※コリオリ力
回転体の上での直線運動をそらそうとする力。見かけの力である。地球上では、北半球では進行方向右向きにコリオリ力が働き、渦は左巻きとなる。自転によるコリオリ力は小さいので、日常生活レベルのサイズの渦では検知できない。フーコー振り子では見ることができる。
※角速度ω
θ(t) = ωt
θ(t)は角位置
◆回転運動と並進運動
並進運動 回転運動
速度v 角速度ω
質量m 慣性モーメントI
運動量p=m*v 角運動量L=Iω
※角運動量Lは物体の運動量pに基準点からの距離rを掛けた
L = r*p
物体の速度v=r*ωとかけるので
L = m*r*v = m*r^2*ω
※慣性モーメント
I = m*r^2
◆運動量と力積
質量mの物体に、短い時間⊿tの間、力Fを作用したとき、物体の速度がvからv’=v+⊿vに変化したとする。
加速度 a = ⊿v/⊿t = (v’-v) / ⊿t
よって運動方程式は
m * a = m * ((v’-v) / ⊿t) = F
これを変形すると
m*v’ – m*v = F*⊿t
ここで物体の質量mと速度vの積
p = m * v
という運動方向を向いているベクトル量を運動量と呼び、力Fと作用時間⊿tの積F⊿tを力積とよぶ
※運動量の変化 ⊿p = m*v’ – m*v は、その間に作用した力積F*⊿tに等しい
※運動量はベクトル量だが、運動エネルギーはスカラー量である。
◆粘性抵抗と慣性抵抗
_◇粘性抵抗
流体の中を運動する物体は、運動を妨げる向きに働く抵抗力を受ける。物体の速さvが小なときは、抵抗力の大きさFは速さvに比例する
F = b * v
これを粘性抵抗という。bは流体の粘度と、物体の大きさ、形状で定まる。
_◇ストークスの法則
半径Rの球状の物体に対する粘性抵抗の大きさは
F = 6 * π * η * R * v
η:流体の粘度
_◇慣性抵抗
物体の速さvが速くなり、運動物体の後方に渦ができるようになると、抵抗力の大きさFは速さvの2乗に比例するようになる。
F = (1/2) * C * ρ * A * v^2
C:0.5~1の定数
ρ:流体の密度
A:運動物体の断面積
※音速以下の飛行機が空中で受ける抵抗は慣性抵抗である
※音速を超えると衝撃波が生じるので当てはまらなくなる
◆弾力(フックの法則)
個体を変形させると変形をもとに戻そうとする復元力が働く。力が加わっていない自然な状態からの変形の大きさが小さいときには、復元力の大きさは変形の大きさに比例する。この場合の復元力を弾力という。
_◇フックの法則
F = -k * x
F:弾力
k:弾性定数(ばねの場合はばね定数)
x:変形量
復元力と変形の向きが逆のためにマイナスをつける
◆単振動
フックの法則にしたがう復元力による振動を単振動という。
※水平方向でのバネ振り子の運動方程式
m(d^2x/dt^2) = -k * x
ω=√(k/m)とおくと
d^2x/dt^2 = -ω^2 * x
◆衝撃
衝撃中心
☆万有引力の法則
F=G*(m*M)/r^2
F:万有引力の大きさ(N)
G:万有引力定数(N*m^2/kg^2)
m:物体1の質量(Kg)
M:物体2の質量(Kg)
r:物体間の距離
Gの精密値
6.67259*10^-11
◆重力加速度
g=9.80665m/S^2 (国際標準値)
_◇Gal = 1cm/S^2
◆ケプラーの法則
第1法則:惑星は太陽を一方の焦点とするだ円軌道を描く第2法則:太陽と惑星を結ぶ線分が同じ時間に描く面積は一定である。
第3法則:惑星の公転周期の2乗は、だ円の長半径の3乗に比例する
T^3 = k * a^3
※ケプラーの第3法則の導出
F = G*(m*M)/r^2 (万有引力
F = m * v^2 / r (等速円運動
T = 2*π*r / v (等速円運動の周期
T^2 = (4 π^2 / (G * M)) * r^3
※地表面での脱出速度
F = m * v^2 / r (等速円運動
F = m * g (重力
両辺を等しいとおいてvで整理すれば
v = SQRT ( g * R )
地表面での仮想人工衛星の公転周期は上記から
T = 2 * π * SQRT ( R / g )
◆制限3体問題
_◇ラグランジュ点
直線解
第1ラグランジュ点(月と地球の間)
第2ラグランジュ点(月の裏側)
第3ラグランジュ点(地球の裏側)
正三角形解
第4ラグランジュ点(月公転軌道前方)
第五ラグランジュ点(月公転軌道後方)
※太陽を含めた制限4体問題
ラグランジュ点の周りを楕円に近い軌道でゆっくりと回る
☆反発係数
衝突前後の相対速度の大きさの比が一定となる。
_◇静止している床に落下
e = -v’ / v
_◇動く物体同士
e = -(V1′ – V2′) / (V1 – V2)
☆解析力学
◆最小作用の原理
質点は「作用積分」と呼ばれる関数が、各時刻において最小となるような機動を描く。それがすなわち、ニュートンの運動法則の解となる軌道である。
※ハミルトンの原理
※変分原理
◆ラグラジアン
システムの運動エネルギーKと位置エネルギーPの差
L=K-P
※一般化座標qであらわされる
※ラグランジェの運動方程式
d/dt(∂L/∂qi’)-∂L/∂qi=0
□流体力学
☆流体の静力学
◆応力
_◇個体における応力
(一般に力が加えられている)個体内に任意の微小面dSを考えると、この面には同じ大きさで逆向きの力が働いている。この力を単位面積あたりの力に換算して、応力と呼ぶ
※応力
法線応力
圧力
張力
接線応力
_◇応力に基づく流体の定義
「流体とは静止状態において圧力のみが働く物質である。」
◆静止流体内の圧力
①水平面でのつりあい
静止している流体の水平面に沿って、幅の狭い直方体を考え、x方向の力のつりあいを考えると
Pa * S = Pb * S
ここで、Pa, Pbはそれぞれの面の圧力。つまり水平面内ではどこでも圧力は等しい。
②鉛直面でのつりあい
面積S高さδzの直方体についてz方向の力のつりあいを考える。流体の密度をρとする。
直方体に働く重力ρ(Sδz)g
下面鉛直上方向の圧力Pd
上面鉛直下方向の圧力Pc
Pd*S = Pc*S + ρ(Sδz)g
よって
Pd = Pc + ρgδz
ここでPc-Pd=δpと書けば
δp = -pgδz
δz→0の極限で
δp/δz = -pg
密度が一定の場合、[0,z]で積分すれば
p = p0 – pgz
ただし、p0はz=0における圧力.
(だだし気体ではρはzの関数となるので上記は成り立たない。)
温度一定の理想気体では、ボイルの法則から圧力と密度は比例するため、cを比例定数として
ρ=cp
δp/δz = -cgp
この微分方程式を解いて
p = A*e^(-cgz) A:任意定数
ここでz=0のとき、p=p0, ρ=ρ0とすれば
p = p0 * e^( -(ρ0/p0)gz)
☆流体の運動
◆流線と流管、ベルヌーイの定理
流速:ベクトル量
_◇流線
その曲線上の各点で接線を引いたとき、接線の方向がその場所の流速ベクトルの方向を表すような曲線。
※流速が0である点を除いて流線は交わらない。
※流線を横切って流体は流れない。
_◇流管
流体内に考えたひとつの閉曲線Cについて、その境界上の各点を通る流線を考える。このとき流体内には流線で囲まれた流管ができるがこの管のことを流管と呼ぶ。これを横切って流体は流れない。
_◇流管内での流体の運動
流体内に一つの流管を考え、そのなかを流れる粘性が無視できる流体の定常運動を考える。
①質量保存則
流管内で、
ρuS = 一定
※密度ρが一定とみなせる流体であれば、速度と断面積が反比例することを表す。
②運動量の法則
流体の小部分にニュートンの運動の第二法則を適用する
(質量)* (加速度) = (力)
小部分の質量をmとすれば
m * (dv/dt) = F
小部分の質量mが変化する場合には
d(mv)/dt = F
あるいは
δ(mv) = F * δt
※運動量の変化が外から加えられた力積に等しい
外力としては圧力を考えるが、粘性が無視できない場合には、粘性による内部摩擦も考える必要がある。
※単位時間に流管の断面AおよびBに流入する体積(流量)をQA,QBとすれば
QA=uA * SA (uAは流速、SAは断面積)
よって
ρB*QB*uB – ρA*QA*uA = F
流体の密度が一定とみなせるならば、ρ*Qは一定となるので
ρ*Q(uB – uA) = F
③エネルギー保存則
流管の断面A
ある基準面から高さhA
圧力PA
断面B
hB
PB
流管ABがδt後に流管A’B’に移動したとき、移動前後の全エネルギーの差が圧力差に対してなした仕事に等しい。
AB’部分は重なっているので、BB’の全エネルギーからAA’の全エネルギーを差し引いた
(ρB*uB*δt*SB)*((1/2)uB^2+g*hB) –
(ρA*uA*δt*SA)*((1/2)uA^2+g*hA)
圧力に対してなした仕事は断面Aでの(力x距離)から断面Bでの(力x距離)を引いたものなので
pA*SA*uA*δt – pB*SB*uB*δt
この2式を等値すれば
pA + (1/2)ρA*uA^2 + ρA*g*hA =
pB + (1/2)ρB*uB^2 + ρB*g*hB =
_◇ベルヌーイの定理
上の式で断面は任意にとれるので、流管内で
p + (1/2)ρ*u^2 + ρ*g*h = (一定)
がなりたつ。
例)平板上のカマボコ型の障害物にそってながれる流れ。遠方では圧力流速一定とする。
平板と障害物の接点A。。。流速0
(1/2)ρU^2 + p∞ = pA
圧力最大のよどみ点
※逆側の接点Bでも流れは逆方向だが圧力は最大となる
※中間点Cでは圧力は最小、流速最大となる(AとCとの圧力勾配により流れが加速される。)
※質量の保存は粘性のあるなしに無関係に成り立つが、運動量の法則やベルヌーイの定理は粘性を入れると非常に複雑になる。→粘性による摩擦により流体は境界に付着し、境界付近に境界による減速効果が及ぶ「境界層」ができる。
_◇ピトー管
ピトー間の先端を通る流線に着目すると、先端が流速0のよどみ点となる。途中のB点にたいして
pA = pB + (1/2)ρ*u^2
となるので
u = √(2(pA – pB)/ρ)
B点での流速は測定したい流れの流速とほぼ等しいと考えられる。
☆スケーリング
長さのスケールを変えても時間のスケールを適当に調節すれば、同じふるまいがみられる筈
☆乱流
◆ストレンジアトラクタ
_◇アトラクタ
過渡現象が消え去った後で、今あつかっている系をあらわす点Pが通る点の集合
⇒系に作用する力が時間に依存しない
⇒散逸系である
(粘性流体は自分自身の摩擦でエネルギーを散逸する)
(過渡現象が消えてなくなるのも散逸のため)
⇒無限次元空間の中で少数の点の集合(アトラクタ)となる