数学モデル
抽象化 数式化
┌────┐ → ┌─────┐ → ┌─────┐
│実在現象│ │物理モデル│ │数学モデル│
└────┘ ← └─────┘ ← └─────┘
検証 検証
※流体現象と電磁気現象のような2つのあい異なる実在現象を考えると「物理モデル」も当然異なってくる。ところが、その「数学モデル」すなわち基礎方程式が同じになることがある。
※1つの「数学モデル」によって、異なる2つの「物理モデル」について考察することが可能になる。このとき2つの現象の間にアナロジーが成り立つという。
※線形=2つの解を重ね合わせることができる。
☆場
◆スカラー量とベクトル量
_◇スカラー量
大きさだけしか持たないもの。質量、密度、温度など。
※座標系の取り方を変えてもスカラー値は変わらない
_◇ベクトル量
大きさと方向を持つもの。速度。電流。電場など。
※座標系を変えると、一定のルールに基づいて成分の表現が変化する
◆座標系
_◇直角座標
rectangular coordinates
ψ(x, y, z)
_◇円柱座標
cylindrical coordinates
ψ(r, θ, z)
_◇球座標
spherical oordinates
ψ(r, θ, φ)
◆場
物理量Q(スカラーでもベクトルでもよい)が場所と時間の関数として指定されている場合、Qの場があるという。
Q(r,t)
r:は位置ベクトル
※Qがスカラーならばスカラー場、Qがベクトルならばベクトル場という。
例)
温度や電位の場 スカラー場
流体の速度、電場、磁場 ベクトル場
※一般化すれば、スカラー、ベクトルでなく「行列」が分布しているもの
⇒量子場
_◇ベクトル場
①湧き出し
②渦
_◇場のモデル
質量mの玉をバネ係数kのバネでつないだもの
◆ポアソン方程式
(∂^2/∂x^2)φ(x、y、z)
+(∂^2/∂y^2)φ(x、y、z)
+(∂^2/∂z^2)φ(x、y、z)
=f(x、y、z)
△φ≡∇^2φ=f
※△:ラプラスの演算子(ラプラシアン)
例)
与えられた電荷の分布から電位を求める
∇^2V=-(ρ/ε0)
◆ラプラス方程式
(∂^2/∂x^2)φ(x、y、z)
+(∂^2/∂y^2)φ(x、y、z)
+(∂^2/∂z^2)φ(x、y、z)
=0
△φ≡∇^2φ=0
例)
電荷分布のない一様な媒質中の静電ポテンシャル
定常的な熱伝導
◆ヘルムホルツ方程式
(∇^2+k^2)A=0
kは定数、A=A(x、y、z)は3次元ユークリッド空間で定義された未知関数
※時間と空間の両方を含む偏微分方程式において変数分離をおこなって、時間によらない部分を求めるとヘルムホルツ方程式がしばしば現れる。
※波動方程式と関連がある
☆ベクトル解析
※場Q(r,t)の時間変化は一つの変数tについての変化
※空間変化
⇒ベクトルrについての変化
⇒空間rについての微分∂/∂rはどのように行えばよいのか?これを議論するのがベクトル解析
※直交座標系 xyz でのベクトル関数(ベクトル場)
点P(x,y,z)にベクトルA→(x,y,z)が対応する
⇒成分で (Ax,Ay,Az)と書く
⇒ベクトル関数A→(x,y,z)をx方向に⊿xだけ移動
⇒A→(x+⊿x,y,z)
⇒成分で書くと
( Ax(x+⊿x,y,z),Ay(x+⊿x,y,z),Az(x+⊿x,y,z) )
⇒これに極限値が存在すれば
∂A→ ∂Ax ∂Ay ∂Az
---=(---、---、---)
∂x ∂x ∂y ∂z
と書くことができる
◆ベクトルの演算
①ベクトルの和
A→ + B→ =C→
※平行四辺形の法則:AとBの作る平行四辺形(対角線)によってA+Bがつくれる。
※ベクトルの和は交換則と結合則を満たす。
A + B = B + A
(A + B) + C = A + (B + C)
②ベクトルの差
A→ =C→ – B→
※ベクトルは全角文字で書くようにする。
③ベクトルAとスカラーnの積
Aの|n|倍の大きさで、nの正負によりAと方向が同じか反対のベクトルとなる
④単位ベクトル
Aと方向が同じで大きさが1のベクトル
※x,y,z軸方向の単位ベクトルをex,ey,ezと書く。
⑤Aをそれと角θをなす方向Sに投影したものを、AのS方向成分という。
As=Acosθ
⑥直行座標での成分A=(Ax,Ay,Az)
A=Ax*ex+Ay*ey+Az*ez
Ax,Ay,Azはスカラー、ex,ey,ezは単位ベクトル
_◇スカラー積(内積)A・B
A・B=ABcosθ
※直交するときは0となる。
ei・ej=δij (i,j=x,y,z)
※クロネッカーのδ
δij 添え字が一致するときだけ1、それ以外で0
※内積の性質
A・B = B・A
A・A = A^2
A・(B + C) = A・B + A・C
A・B = AxBx + AyBy + AzBz
_◇ベクトル積(外積)
2つのベクトルAとBのベクトル積AxBは、その2つのベクトルの作る平行四辺形の面積ABsinθの大きさをもち、AとBの決める平面に垂直で、AからBに右ねじをまわすとき進む方向のベクトルである。
※x,y,z軸方向の単位ベクトル、ex,ey,ezに対して
ex×ey = ez
ey×ez = ex
ez×ex = ey
ei × ej = εijk * ek
ただしεijkは、
1 (i,j,k)が偶置換
-1 (i,j,k)が奇置換
0 その他
偶置換 (i,j,k)が1->2->3->1の順にあらわれるもの
奇置換 (i,j,k)が3->2->1->3の順にあらわれるもの
※外積の性質
A×B = -B×A
A×A = 0 (同じベクトルでなくても平行ならば0)
A×(B+C) = (A×B) + (A×C)
A×B=(AyBz-AzBy)ex
+ (AzBx-AxBz)ey
+ (AxBy-AyBx)ez
※A・(B×C)は平行六面体の体積なので
A・(B×C)=B・(C×A)=C・(A×B)
◆基底と成分
_◇基底と反変成分
base
※平面の場合
平面上で直線上にない2つのベクトル e1, e2の始点を一致させ、それを原点Oとする
⇒この平面城のあらゆるベクトルはこの2つのベクトルを基準にして表現できる(1次独立)
⇒このベクトルを考えている空間の基底(base)といい,{e1→,e2→}と表す
任意のベクトルA→は
A→ = A1*e1→ + A2*e2→
と表すことができる。
⇒A1, A2の1,2は上付きの添え字で表す
(累乗と区別するために累乗を表すときはカッコつける)
⇒(A1,A2)を基底{e1→,e2→}におけるA→の反変成分(contravariant component)という
◆Landauの記号
変数xの2つの関数g(x), h(x)について、xがある値αに近づくときの大小関係を表すのに、g=O(h), g=o(h)という記号を使う。
g = O(h)
x->αのとき適当な正数Aを選べば|g/h|<Aが成り立つ。 つまり O は同じオーダを表す。 g = o(h) x->αのとき任意の正数εに対して|g/h|<εが成り立つ。 εはどんなに小さくてもかまわないから、|g/h|->0を意味するので、o は「ずっと小さい」ことを表す。
※g = o(h)ならば、当然 g = O(h) である。
※αは±∞でもよい。
◆微分可能性
関数 y=f(x) が x=x0 で微分可能であるというのは、
lim(δx->0) {(f(x0+δx)-f(x0))/δx} = λ
という極限値λが存在することである。
このことは、
δx->0のとき
f(x0+δx) = f(x0) + λδx + o(δx)
と表すこともできる。すなわち、微小な項o(δx)を無視すればδxの一次式であり、f(x)がx=x0の近傍で一次式として表されることを示している。
「微分可能性とは近似的に一次式として表される」ことである。
◆微分演算子ナブラ
※ハミルトンの演算子
∂ ∂ ∂
∇=(--、--、--)
∂x ∂y ∂z
※
≡∂/∂r
◆勾配(グラディエント)
※∇φ=gradφは、dr→における、スカラー関数φの変化率とその方向を示す。
i,j,kを単位ベクトルとし、直角座標を(x,y,z)とすれば、点Pに対する位置ベクトルrは
r = xi + yj + zk
と書ける。
点Pに対する(スカラー)関数をΦ(r)と書いたとき、点r0(x0,y0,z0)の近くでΦ(r)が
Φ(r0+δr) = Φ(r0) + λ・δr + o(|δr|) …①
のように表されるものとする。
λは定数ベクトル(λx,λy,λz)であり
|δr|はベクトルδrの大きさ、すなわち
√{(δx)^2+(δy)^2+(δz)^2}
λ・δrは、λとδrのスカラー積であり
λ・δr = λxδx + λxδy + λxδy
①はr=r0の近傍で関数Φ(r)が近似的に1次式で表されることを意味し、このとき関数Φ(r)≡Φ(x0, y0, z0)は点r0で全微分可能であるといい、定数ベクトルλを点r0でのΦ(r)の勾配(グラディエント)とよぶ。
λ=(gradφ)0
と表す。
λx,λy,λzを偏微分係数とよび、
λ= ( ∂φ/∂x, ∂φ/∂y, ∂φ/∂z )
そこで
∇≡ i(∂/∂x) + j(∂/∂y) + k(∂/∂z)
という記号を導入すると
λ=∇φ
と書ける。
※∇φ
gradは、三次元のスカラー関数φ(x,y,z)に
微分演算子∇を
∇φ
と作用させて得られる。
xyz軸の単位ベクトルをi→,j→,k→とすると
∇φ= ( ∂φ/∂x, ∂φ/∂y, ∂φ/∂z )
= (∂φ/∂x)i→+(∂φ/∂y)j→+(∂φ/∂z)k→
gradφは、φに微分演算子∇を施したもの
※高次の無限小o(∂r)を無視すれば
dr→=(dx,dy,dz)=dx*i→+dy*j→+dz*k→
であるので
dφ = (∂φ/∂r→)・dr→ = ∇φ・dr→
◆発散(ダイバージェンス)
div A
divergence
ベクトル関数A(x,y,z)を考えたとき
∇・A(x,y,z)
で与えられるスカラー量
∂Ax ∂Ay ∂Az
divA≡───+───+───
∂x ∂y ∂z
※divA = ∇・A
発散(ダイバージェンス)
※空間の中で微小な立方体を考える
※立体の各面から出る方向をプラスにとる(慣習)
※ベクトル関数の空間微分であるテンソルTの対角要素の和をとったもの
┌∂Ax ∂Ax ∂Ax┐
│─── ─── ───│
│∂x ∂y ∂z │
│ │
┌dAx┐ │∂Ay ∂Ay ∂Ay│ ┌dx┐
│dAy│=│─── ─── ───│・│dy│
└dAz┘ │∂x ∂y ∂z │ └dz┘
│ │
│∂Az ∂Az ∂Az│
│─── ─── ───│
└∂x ∂y ∂z ┘
◆回転(ローテーション)
rot A
∂Az ∂Ay
rotA≡(───-───,
∂y ∂z
∂Ax ∂Az
───-───,
∂z ∂x
∂Ay ∂Ax
───-───)
∂x ∂y
※rotA = ∇×A
回転(ローテーションまたはカール)
※ベクトル関数の空間微分であるテンソルTの主対角線に関して対称な位置にある要素の差をとったもの
┌∂Ax ∂Ax ∂Ax┐
│─── ─── ───│
│∂x ∂y ∂z │
│ │
┌dAx┐ │∂Ay ∂Ay ∂Ay│ ┌dx┐
│dAy│=│─── ─── ───│・│dy│
└dAz┘ │∂x ∂y ∂z │ └dz┘
│ │
│∂Az ∂Az ∂Az│
│─── ─── ───│
└∂x ∂y ∂z ┘
◆ベクトル場
ベクトルAを一つの実体としてとらえる。直観的イメージとしては流体の流れの場。各点での流速をvとすると、vはベクトル場を与える。
_◇流線と渦度
流れの場を直観的に表すのが流線(各点での接線方向が流速の方向に一致するような曲線)
流線の微小部分drが流速ベクトルvに平行
dr//v
※流線に対する微分方程式
成分であらわせば
dr=(dx,dy,dz)
v=(vx,vy,vz)
dx/vx = dy/vy = dz/vz
※流れの中で任意の微小な球形の流体部分。自転しながら並進運動をする。
並進運動の速度=微小球の中心での流速v
自転の角速度Ω
Ω=(1/2)ω
ω=rotv
ω=rotvを渦度と呼ぶ。(rotvは流体微小球の自転角速度の2倍という実体的なイメージを持つ)
※任意のベクトル場について、dr//Aをベクトル線という。またrotAをAの渦度と呼ぶ。
※電場E、磁場Hのベクトル線は、それぞれ電気力線、磁力線とよばれる。
_◇流量、流束
流れの場で任意に微小面積dSをとり、その法線方向の単位ベクトルをnとする。ベクトルdS=ndSを面積要素ベクトル、nを法線ベクトルという.
v・dS=(v・n)dS=vndS
はdSをとおる流量を表す。任意の曲面S(閉曲面でも開曲面でもよい)についての積分
∬[S]v・dS
はSを通過する流量を表す。これをSを通る流束という。
※任意のベクトル場Aについて、
∬[S]A・dS
を面Sを通るAの流速とよぶ。流束はSをつらぬくベクトル線の総数を表す。
※流束 flux
フラックス=物理量/(m^2*s)
⇒単位時間に単位面積を通過する物理量のこと
物理量として: 質量、モル数、熱量、運動量など
①質量流束またはモル流束
Na→ [g/(m^2*s)][mol/(m^2*s)]
Na = Ja + Ca*v
Ca:モル濃度[mol/m^3]
②熱流束
H→ [J/(m^2*s)]
H = q + ρ*Cp*T*v
ρ:密度[kg/m^3]
Cp:比熱[J/(kg*℃)]
T:温度
③運動量流束
Mx [(kg*m/s)/(m^2*s)]
Mx = τx + ρ*Vx*v
Vx:x方向の速度成分
⇒運動量=質量x速度 [kg*m/s]
⇒フラックスはベクトル
※拡散項(diffusive flux)と対流項(convective flux)
拡散項:隣の分子との差で動く分
対流項:流れに乗っかって動く分
mass/heat/momentum
macroscopically/microscopically
⇒収支をとる
①分布(profile)を知る
②平均値(average)を知る
③境界(boundary)での値を知る
_◇循環
流れの場で任意に閉曲線Cをとり、Cに沿っての流速vの線積分
∫[C]v・dr
を考える。流体力学ではこれを循環という。
※任意のベクトル場Aについても、線積分
∫[C]A・dr
をCにそってのAの循環という
_◇v、divv、rotvの意味
①一様膨張
v=αr(α>0)
v//rであるから流線は原点から出る放射線となる。
流速は距離rに比例して増加する。原点を中心にして一様に膨張する流れをあらわす。
divv=α(
∂x ∂y ∂z
div v=α(──+──+───)=3α
∂x ∂y ∂z
divvは膨張の度合いを表す。α<0の場合には収縮となる。
②一様回転
v=(-Ωy,Ωx,0)=Ωk×r
z軸のまわりに角速度Ωで剛体のように回転する流れ。
この場合の過度ω=rot vは
ω=2Ωk
_◇Gaussの定理、Stokesの定理
ベクトル場Aについて、その空間微分の体積積分をAの面積積分で、また、面積積分を線積分で表す公式
※Gaussの発散定理
∫∫∫[v]divAdV = ∬[S]A・dS= ∬[S]AndS
Sは任意の閉曲面、VはSの囲む面積。AnはAの法線成分
※Stokesの定理
∬[S]rotA・dS = ∫[C]A・dr= ∫[C]Asds
Sは任意の開曲面、CはSの縁の閉曲線。AsはAの接線成分
※Greenの公式
ベクトルに関するGaussの定理からスカラー関数
φ(r)≡φ(x,y,z)
に関するGreenの公式を導く。
AとしてA=φ(r)*i≡(φ,0,0)をとる。iはx方向の単位ベクトルである。
divA=∂φ/∂x
A・dS=φnxdS
よってGaussの定理は
∫∫∫[v]∂φ/∂xdV = ∬[S]φnxdS
となる。xの代わりにy,zをとっても同様であるから、
∫∫∫[v]∂iφdV = ∬[S]φnidS
ただし、
∂i=∂/∂xi (i=1,2,3)
なるxiについての偏微分演算子である。x1=x, x2=y, x3=z.
Greenの公式は、iの値を特定すればスカラーの等式であるが、iの値を特定しなければベクトルの等式とも考えられる。
∫∫∫[v]gradφdV = ∬[S]φndS
※
①ベクトル場であるので座標軸の選び方に依存しない。
②部分について成り立てば全体についても成り立つ。
◆テンソル
_◇ベクトル関数の空間微分
ベクトル関数A(r)の空間微分∂A/∂r
直角座標系(x,y,z)をとって考えれば、Aの空間的な変化の様子はAの座標成分(Ax, Ay, Az)の変化の様子として表される。ここでAxについて考えれば
dAx = (∂Ax/∂r)・dr
= (∂Ax/∂x)dx + (∂Ax/∂y)dy + (∂Ax/∂z)dz
dAy, dAzについてもまとめて行列として表現すれば
┌∂Ax ∂Ax ∂Ax┐
│─── ─── ───│
│∂x ∂y ∂z │
│ │
┌dAx┐ │∂Ay ∂Ay ∂Ay│ ┌dx┐
│dAy│=│─── ─── ───│・│dy│
└dAz┘ │∂x ∂y ∂z │ └dz┘
│ │
│∂Az ∂Az ∂Az│
│─── ─── ───│
└∂x ∂y ∂z ┘
上記は、以下にようにもかける
dA = T・dr
①座標系(x,y,z)の選び方によって成分Ax,Ay,Azは異なる
②しかしベクトル量A自体は座標系によらない一定の意味(実体)を持つ
③上記の等式が座標系の選択によらず成り立つ場合、右辺の行列はテンソルを表すという。⇒ベクトル関数A(r)の空間微分∂A/∂rはテンソル量である
_◇ベクトル関数の微分としてのテンソル
座標系の選び方によって成分は異なるが、ベクトル量Aそのものは、運動量のように、座標系によらない一定の意味を持つ。ここで
ベクトル = 行列 x ベクトル
という等式が、座標系の選択によらず成り立つ場合、右辺の行列はテンソルを表すという。
結局、ベクトル関数A(r)の空間微分∂A/∂rはテンソル量Tである。
_◇テンソルと階数
ベクトルの成分を掛け合わせる⇒そのすべての組み合わせ⇒テンソル
2つの成分を掛け合わせる⇒2階のテンソル
※2階のテンソル=テンソル
応力、ひずみ
※1階のテンソル=ベクトル
変形量、力、速度
※0階のテンソル=スカラー
温度
※座標系によるベクトル成分表現の積なので座標系により数値は変わるが、都合のよい座標系で成分を抽出できる
⇒テンソルにより、座標系によらない物理量表現ができる
◆保存量とその流れ
①連続的な物体あるいは媒質を総称して連続体とよぶ。
②一つの物理量が保存されるような連続体を考える。
③連続体の中の任意の領域Vに含まれるその物理量の総量をQとする。
④一般にQは時間的に変化する
※「保存法則」
Qの変化が、その物理量の領域Vの内部での発生と境界面Sを通っての流入によることを述べる
物体の体積密度ρ
「発生量」の体積密度γ
「物理量の流れ」の面密度q(n)
例)
物理量が電荷の場合には、ρは電荷密度ρe、q(n)は電流密度Jの法線成分Jn、電荷が注入される場合、その体積密度がγ
∂
--∫∫∫[V]ρdV=∫∫∫[V]γdV-∬[S]q(n)dS
∂t
⇒ここでq(n)は法線ベクトルnの面をnの向きに、単位面積、単位時間あたりに通過する量を意味する
※一般に、なんらかの保存法則に支配される物理量を保存量とよぶ。保存量Qには必ず「空間的な流れ」が付随する
※保存量がスカラーのばあいには、流れはあるベクトルqと法線ベクトルnのスカラー積q(n)として表すことができる。(座標系にかかわらず成立するので、qは真にベクトル量である)qを保存量Qの流量ベクトルとよぶ
※保存量が運動量のようなベクトル量の場合には、q(n)自身がベクトル量であり、
q(n)=T・n
のように、あるテンソルTと法線ベクトルnのスカラー積として表すことができる
⇒ベクトル量の流れはテンソル量である
_◇パリティ
Oを原点とする2つの直角座標系S(x,y,z)、S'(x’,y’,z’)を考える。それぞれの系の基底ベクトルをそれぞれ(i,j,k),(i’,j’,k’)とすると、位置ベクトルrは
r=xi+yj+zk=x’i’+y’j’+z’k’
のように表される。
※反転(inversion)
両系の座標軸が正反対の方向をもつとき、S系からS’系への座標変換を反転という。
x’=-x, y’=-y, z’=-z
i’=-i, j’=-j, k’=-k
⇒反転により位置ベクトルrの座標は大きさを保ち符合を変える。
⇒同様に座標成分が符号を変えるベクトルを極性ベクトル(polar vector)とよぶ。
速度ベクトルv=rドット
は極性ベクトルである
※2つの極性ベクトルA,Bのベクトル積C=A×Bを考える。
⇒Cは反転に際して符号を変える。
⇒反転により座標成分の符号は変わらない
⇒反転に際して符号を変えるベクトルを軸性ベクトル(Axial vector)あるいは擬ベクトル(pseudovector)という
※空間反転に対して符号を変えないか、変えるかに応じて、その量のパリティ(偶奇性)はそれぞれ、+1、-1であるとする。
⇒いくつかの量の積のパリティは各量のパリティの積になる
⇒極性ベクトルのパリティは+1、軸性ベクトルのパリティは-1
※ベクトル積はパリティを変える
2つの極性ベクトルのベクトル積は軸性ベクトルとなる
※div(∇・)は+1
※rot(∇×)は-1
※法線ベクトルは-1
※保存量Qの体積密度ρおよび流れqはQと逆のパリティを持つ
⇒パリティが-1のスカラーは擬スカラー。真のスカラーである質量や電荷に対して、密度ρや電荷密度ρeは擬スカラー
⇒流量ρvや電流密度Jのパリティは-1de,擬ベクトル
「物理量に関する方程式の各項は、次元のみならずパリティがすべて一致しなければならない」
☆微分方程式の立て方
◆ステップ
①座標軸を作る
②微小空間を作る
③微小空間に対する収支を丁寧に作る
④場面の状況を決める
⑤微分の定義式を頭に浮かべながら、割り算などの変形を行う
⑥フラックスの成り立ちを考えて、拡散、対流の流束を代入する
※微視的に扱う
微分の定義から、関数 y=f(x) の傾きは
傾き = [f(x+⊿x)-f(x)]/⊿x
で⊿xをゼロに近づけたもの。これを df/dx で表す。
ここで以下の関数(左)の微分は右のように書ける
f=N(z) dN/dz=lim[⊿z→0]{[N(z+⊿z)-N(z)]/⊿z}
f=rN(r) d[rN(r)]/dr=lim[⊿r→0]{[(r+⊿r)N(r+⊿r)-rN(r)]/⊿r}
f=r^2N(r) d[r^2N(r)]/dr=lim[⊿r→0]{[(r+⊿r)^2N(r+⊿r)-r^2N(r)]/⊿r}
例1)
コップの底から縁まで高さ方向に芳香成分Aが分布している
①コップの底をz=0として上に向かってz軸をとる。
②座標軸の途中のzとz+⊿zに囲まれた微小空間を考える
③微小空間での成分Aの収支式を作る。微小空間を上からみた断面積をS[m^2]とする。
入り成分) S * Na_z|z [mol/s]
⇒z=zの面から1秒間に微小空間へ入る成分Aのモル数。成分Aのz方向フラックスNa_zの横の”|z”は Na_zがz=zの面での値であることを示すための「面号」
滞留(たまご)分) (S⊿z)*∂Ca/∂t [mol/s]
⇒微小空間に入っている成分Aのモル数(S⊿z)Caが単位時間に変化するモル数
消滅(消して)分) (S⊿z)*Ra [mol/s]
⇒成分Aが何らかの反応により他に変換してしまう反応速度Ra[mol/m^3*s]
出る成分) S * Na_z|z+⊿z [mol/s]
⇒z=zの面から1秒間に微小空間から出ている成分Aのモル数。
S * Na_z|z – {(S⊿z)*∂Ca/∂t + (S⊿z)*Ra} = S * Na_z|z+⊿z
④場面の状況は時間が変わってもコップの高さ方向の香りの分布は変化しない定常状態とし、また、芳香成分Aは何らかの反応でなくなったりしないとする。
∂Ca/∂t=0
Ra=0
S * Na_z|z = S * Na_z|z+⊿z
⑤上の式の左辺を右辺に移項し、全体を微小体積 S/⊿zで割る
{Na_z|z+⊿z – Na_z|z}/⊿z = 0
⇒⊿zをゼロに近づければ
∂Na_z/∂z = 0
⇒フラックス一定(当然)
⑥フラックスNazの成り立ちを考えると、コップの中の対流は起きないとしているから
Naz = Jaz + Ca*Vz の Ca*Vz項はなく、拡散の流束のみ。
∂Ja_z/∂z = 0
※フィックの法則(経験則)を適用する
Ja_zはz方向の濃度の傾き⊿Ca/⊿z(濃度勾配)に比例する
⇒拡散係数Da (diffusivity)
Ja_z = -Da * (⊿Ca/⊿z)
(⊿z→0)
Ja_z = -Da * ∂Ca/∂z
よって、
∂{-Da * ∂Ca/∂z}/∂z = 0
Daは定数なので
∂^2Ca/∂z^2 = 0
これを解くとCa(z)が得られる。
※微分方程式を解く基本は、積分してもとの関数へたどり着くこと
⇒積分するたびに積分定数が生まれるので、それを境界条件(B.C.)により決定していく
液の底の濃度と縁での濃度が測定してあるとすれば
B.C.1(z=z1)で Ca=Ca1
B.C.2(z=z2)で Ca=Ca2
2回微分して0なら、1回微分したときは定数K
∂Ca/∂z = K
z1からzまで積分すると
Ca – Ca1 = K(z-z1)
z1からz2まで積分すると
Ca2 – Ca1 = K(z2-z1)
両辺を割ってKを消す
(Ca – Ca1)/(Ca2 – Ca1) = (z-z1)/(z2-z1)
例2)
成分Aのしみこんだ長さL(長い)の多孔質棒から成分Aが蒸発し、放射状に拡散する
①棒の心をr=0として放射状にr軸をとる
②r軸の途中に r その先に r+⊿r をとる。
⇒微小空間ができる
③成分Aの収支式を作る
厚みLの内側面の面積 2πrL
「入りたまご消して出る」
入り)
2πrL x Na_r|r [mol/s]
1秒間に微小空間へ入る成分Aのモル数
たまご)
(2πrL⊿r) x ∂Ca/∂t [mol/s]
微小空間に入っている成分Aのモル数の単位時間当たりの変化
消して)
(2πrL⊿r) x Ra [mol/s]
Ra[mol/(m^3s)]は成分Aがなんらかの反応を起こしたときの反応速度。
出る)
{2π(r+⊿r)L} x Na_r|r+⊿r [mol/s]
微小空間の外側面から出ていく成分Aのモル数
入り – {溜まる+消える}= 出る
④状況:成分Aの分布が変化しない定常状態を感がける
∂Ca/∂t=0
Ra=0
そこで式は、
2πrL x Na_r|r = {2π(r+⊿r)L} x Na_r|r+⊿r
左辺を右辺に移項し、微小体積2πrL⊿rで割るならば
(1/r)[(r+⊿r) x Na_r|r+⊿r – r x Na_r|r]/⊿r=0
⊿rをゼロに近づけるならば
(1/r)∂(rNa_r)/∂r = 0
⇒rNa_rは定数となることが分かる
部屋の中に流れはないとして、フラックスNa_rに拡散項Ja_rのみを代入すると
(1/r)∂(rJa_r)/∂r = 0
ここでもフィックの法則(経験則)を適用すると
Ja_rはr方向の濃度の傾き⊿Ca/⊿r(濃度勾配)に比例する
⇒拡散係数Da (diffusivity)
Ja_r = -Da * (⊿Ca/⊿r)
(⊿z→0)
Ja_r = -Da * ∂Cr/∂r
さらに(1/r)は外すと
∂(r∂Ca/∂r)/∂r = 0
B.C.1 r=r1でCa=Ca1
B.C.2 r=r2でCa=Ca2
なる境界条件を使って解くと
r∂Ca/∂r=K(一定)
なので
r1からrまで積分すると(∫(1/r)dr = ln r)
Ca – Ca1 = K(ln r – ln r1)
z1からz2まで積分すると
Ca2 – Ca1 = K(ln r2 – ln r1)
両辺を割ってKを消す
(Ca – Ca1)/(Ca2 – Ca1) = (ln r – ln r1)/(ln r2 – ln r1)
☆振動
◆振動子
※振り子の等時性
振幅が十分小さい範囲内において、振幅によらず周期は一定となる。
T=2π√(l/g)
振り子の振動は「一つの平面内」で起こる。
※調和振動子
如何なる振幅においても等時性がなりたつ理想の振り子
F=-Kx (フックの法則)
T=2π√(m/K)
◆波の表現
_◇進行波、定在波
※定在波、2方向の進行波が重なって進行しないように見える。波長λに対してλ/2の整数倍のところでしか成り立たない。
_◇空間的に振動する波
sin ax
※cosでもよい
_◇空間的に減衰する波
e^(-bx)
例)
壁の厚さをxとした音の大きさ
※bを負の実数にとれば、大きくなる波を表すことができる
_◇空間的に振動しながら減衰する波
sin ax * e^(-bx)
※振動しながら減衰(もしくは増大)する波は前二つの掛け算で表すことができる
※オイラーの公式を使えば、sinで振動する波は
e^(i*(a+i*b)*x)
=e^(i*a*x) * e^(-b*x)
=cos(a*x)*e^(-b*x) + i*sin(a*x)*e^(-b*x)
の虚部となる(a, b実数)
⇒cosで振動する波は実部を取ればよい
※
Im[ … ] Imaginary number
Re[ … ] real number
※電気系など
式の実部か虚部で波を表現可能
虚数は表現が便利だから
※量子力学
虚数の存在は便宜的なものではなく本質
◆波動関数
波を表す式
_◇波動関数の表現
座標 x と時間 t の2つの変数の関数として表される
A*e^i*( k*x – ω*t )
振幅 A, 座標 x, 角振動数 ω, 時間 tは実数
波数 k は複素数
A * e^(i*k*x) * e^(-i*ω*t)
※kが実数の場合は
A * {cos(k*x-ω*t)+i*sin(k*x-ω*t)}
※e^(i*k*x)
x軸上で振動したり減衰したりする空間的な波。波数kは波がサイン波の場合は実数、減衰か増大する波の場合は、虚数となる。kが実数の場合は波長λと
k=2*π/λ
の関係となる
※e^(-i*ω*t)
時間軸上の振動。ω=2*π*f
※波は空間的に広がり、かつ時間的に振動しており、2つのかけ算で表される
※sin(k*x-ω*t)
ω*tの前の符号がマイナスのときは、x軸のプラスの方向に進む波となる
ω*tの前の符号がプラスのときは、x軸のマイナスの方向に進む波となる
_◇波の振幅
波の絶対値の2乗
Ae^i(a+ib)x Aは振幅
複素共役をかけると
A*(cos(ax)*e^-bx + i*sin(ax)*e^-bx)
* A*(cos(ax)*e^-bx – i*sin(ax)*e^-bx)
= A^2*cos^2(ax)*e^-2bx + A^2*sin^2(ax)*e^-2bx
= A^2*e^-2bx
※指数関数のまま計算しても簡単
Ae^i(a+ib)x = Ae^(iax-bx)
なので
Ae^(iax-bx) * Ae^(-iax-bx) = A^2*e^-2bx
※波の振幅の2乗を表し、bの正負によって振動の減衰、増大を表す。
◆ソリトン
あたかも粒子のように振舞う波。
孤立波(ソリタリーウエーブ)。粒子性を語にこめてソリトンと呼ぶ。
_◇KdV方程式
推進の浅い運河を一方向に進行していく波。
波は高くなく、渦は生じず、密度一定、水底平面
進行方向に垂直な面では一様な一次元的な波
波の高さをuは、座標xと時刻tの関数である。
∂u ∂u ∂^3(u)
--+6u--+------=0
∂t ∂x ∂x^3
※上記を
u_t+6uu_x+u_xxx=0
と書く。
※符号と数とは適当に調節されている。
※非線形とは、未知関数uの2次以上の項(上式ではuu_x)が方程式の中に存在することを意味する。
◆周波数引き込み現象
モード・ロッキング
◆位相速度、群速度、信号速度
_◇位相速度
_◇群速度
_◇信号速度
☆座標変換
◆視点の変換による「見掛けの力」
「見掛け」といっても「ある立場の人」にとっては実効ある力である。
_◇コリオリの力
運動に対して直角方向に働く見掛けの力
☆モデル化
①観察、計測、統計などデータ収集
②モデル化
③微分方程式などによる数式化
④解をもとめる
⑤解がデータとよくあっているか?
(統計的処理)
⑥現象の理解、予測
□波動
表面波 (媒質あり)
例)海の波
粗密波 (媒質あり)
例)音
密度の変化→密度変化を見れば波と分かる
電磁波 (媒質なし)
電界、磁界を測れば波と分かる
物質波 (媒質なし)
干渉効果を加えないと見えない
☆縦波と横波、波長、振幅、周期
◆縦波と横波
①波の伝わる方向と振動の方向が直角になる波を横波
⇒波源からの距離xに対して変位yをとってグラフとする。
②波の伝わる方向に媒質が振動することにより媒質に粗密ができて伝わる波を縦波(疎密波)
⇒波源からの距離xに対してx方向への変位量(進行方向をプラスとする)をyにとってグラフとする。
※一番密なところと疎なところは変位0となり、その中間に変位最大の点が正負交互に現れる。
例)
音。。。縦波
光。。。横波
水の波。。。水深深い(円運動)、浅い(楕円運動)
⇒単純に横波とも縦波ともいえない
◆波長、振幅、周期
①波長 λで表す[m]
②振幅 振動の中心位置から測った山の高さ、谷の深さ
③周期 Tで表す[s]
④振動数 f[Hz]
f = 1 / T
※波は1周期で1波長進むので、波の速度v[m/s]は、
v = f * λ = λ / T
◆ばねの振動
_◇振動数
√(k/m)
◆線形、非線形
☆干渉、回折、反射、屈折
◆波の独立性と波の重ね合わせの原理
重なりあった部分の変位は、それぞれの波の変位を単純に足し合わせた高さとなる。
◆干渉
重ね合わせの原理によって強めあったり弱めあったりする現象を干渉という。
強めあって波長が大きくなった場所:腹
弱めあって波長が小さくなった場所:節
※干渉
波の山と山、谷と谷が重なり合って波が高くなったり、山と谷が重なって消えたりする現象
※干渉縞(ニュートンリング)
◆回折、ホイヘンスの原理
「波面上の各点が次の波面となって素源波とよばれる円形波を出し、これらの波面の共通する面(包絡面)が次の波面になる。」
⇒これによる障害物背後への回り込みを回折という。
※回折
波の影になるところにも波が回り込んでくる現象
_◇回折格子
例)
非常に細かい一定間隔で、ガラス板に非常に多くの溝を引いた装置。溝=光を散乱。溝と溝の間=それぞれ光が通って回折し、互いに干渉する
….◆反射
◆反射
障害物によって跳ね返される現象
※反射の法則
入射角 θ1 = θ2 反射角
入射角、反射角とも境界面の垂線からの角度。
ホイヘンスの原理によって図形的に証明できる。
◆屈折
違う媒質に入ると方向が変わる現象
※屈折においても振動数は変化しない。
媒質1を速度v1、波長λ1、入射角θ1
媒質2を速度v2、波長λ2、入射角θ2
f = v1 / λ1 = v2 / λ2
※屈折の法則(スネルの法則)
sinθ1 / sinθ2 =
v1 / v2 = λ1 / λ2 = n2 / n1 = n12 (一定)
n12を屈折率という。
※プリズムなどに当たった光が、屈折率のちがいによっていろいろの光に分かれて散らばることを分散という
_◇屈折率
refractive index
直進する波が異なる媒質の境界で進行方向の角度を変える割合のこと。
※絶対屈折率
真空を1とする物質固有の値
※相対屈折率
2つの物質の絶対屈折率の比
※物質内においては光速度が真空中より遅くなり、境界においては入射角によって速度が生じるために進行方向が曲げられると考えることができる。
※屈折率は光の波長に依存する。(屈折率の分散)
※紫外線は波長が短く、通常の物質では屈折率は1に近い
※吸収のある物質の場合は、吸収率を虚数部に加えて複素屈折率で表す
n = (c/v) = √(εμ/ε0μ0)
c 真空中の光速度
v 媒質中の光速度
ε 媒質の誘電率
μ 媒質の透磁率
ε0 真空の誘電率
μ0 真空の透磁率
※ナトリウムD線(589.3nm)での屈折率
空気(0℃,1気圧) 1.000292
水(20℃) 1.3334
氷(0℃) 1.309
水晶(18℃)1.5443
光学ガラス 1.43-2.14
※屈折率が高いほど曲率が小さくレンズを薄くできる
_◇臨界角
Critical angle
全反射が起きる最も小さな入射角
θc=arcsin(n2/n1)
n1:入射元の物質の屈折率
n2:入射先の物質の屈折率
_◇光の絶対屈折率 n1
真空に対するある物質の屈折率
真空中の光速度をc、波長λ0
物質中の光速度v1、波長λ1
c / v1 = λ0 / λ1 = n1
v1 = c * (λ1 / λ0)
物質中では光の速度は波長に比例し、屈折率は波長に反比例する。⇒物質中では波長の長い赤い光の方が波長の短い青い光より速く伝わり、屈折率は小さくなる。
※0.589μm(黄色光)絶対屈折率
空気 1.0
水 1.33
エチルアルコール 1.36
石英ガラス 1.45
ダイアモンド 2.42
_◇複屈折
方解石などでみられる現象
一本の光線が入ると、進む方向によって速さの異なる波にわかれるために、二本の光線に別れて出てくる(偏光でわかれる
⇒光軸
◆全反射
屈折率の高い媒質から低い媒質に進むとき、入射角によっては入射波全てが反射されてしまう全反射が起こる。
sinθ1 / sinθ2 =
v1 / v2 = λ1 / λ2 = n2 / n1 (一定)
v1 / v2は一定なので、入射角θ1を大きくするとθ2も大きくなり、屈折角が90度になると全て反射されるようになる。(それまで反射波と屈折波の割合はかわる)。
全反射がおこるときの入射角を臨界角という。
※空気と水の場合の臨界角は、
sinθ1 / sin(90°) = sinθ1 =
1 / 1.33
より
θ1=48.8°
◆最小時間の原理
(フェルマーの原理)
一点から他の点に至る可能なすべての経路のうちで、光は最小の時間を要する経路をとる
…☆音波
☆音波
①音の高さ(振動数
②音の強さ(振幅
※ウエバーフヒナの法則
振幅10倍音量2倍、振幅100倍音量3倍
聴覚は対数特性
③音色
倍音などの混じり方
◆共鳴、共振
互いに干渉し特定の振動数で強めあう。
⇒固有振動数、定常波
※共振、共鳴
定常波によって強めあう干渉がおき、新たな振動や強い振動が発生する現象を共振と呼び、特に音の場合を共鳴という。
◆うなりの振動数
f = | f1 – f2 |
※
⊿ν * ⊿t ≧ 1
⊿ν:波の周波数の違い
⊿t:うなりの周期
◆音速
_◇気体中を伝わる音の速さ
v=√(γ*p/ρ)
γ:気体の比熱
p:気体の圧力
ρ:媒質の密度
※乾燥したt[℃]の空気中を伝わる音の速さv[m/s]
v = 331.5 + 0.6*t
※ヘリウム気体中 972 [m/s]
※水素(21.1℃) 1307 [m/s]
※酸素(0℃) 317 [m/s]
※水蒸気(100℃) 471.5 [m/s]
_◇液体・固体中を伝わる音の速さ
v=√(M/ρ)
M:弾性率
ρ:媒質の密度
※水中 1433 [m/s] 15℃
※鋼鉄 4900 [m/s]
※銅 3560 [m/s]
※鉛 1322 [m/s]
※ソーダガラス 5000~5300 [m/s]
※人体 1500~1600 [m/s]
_◇ドップラー効果
f=C/(C+V)*f0
C:固有音速
V:速度(近づく時マイナス)
f0:参照周波数
f:受信周波数
☆光
◆波長と振動数、エネルギー
C = λ * ν
C: 光速
λ: 波長
ν: 振動数
光のエネルギーEは振動数に比例する
E = h * ν
h: プランク定数
あるいは波長で書き直せば
E = (h * C) / λ
◆可視光の波長
赤 7.7e-7 [m] (770nm)
紫 3.8e-7 [m] (380nm)
◆振動面
光はある面に沿って振動する。振動面は丸の中に直線を引いて表す。
等方向な光 あらゆる振動面が混じる
偏光 振動面が一方向にそろった光
◆光の干渉縞
並行な入射波に対して2つの細いスリットを通した場合、スリットとスクリーンまでの距離Lが十分に長いとき、2つのスリットからの光の道筋の長さには
d * sinθ
d:スリット間の距離
θ:スクリーン上の点Pの中心線からの角度
の光路差が存在し、Lはdより十分に長いので、
d * sinθ ≒ d * tanθ = d * (x / L)
x:スクリーン上の中心線から点Pまでの距離
光路差の差が波長の整数倍になったとき、山と山が重なり、2分の1波長ずれると打ち消しあう。スクリーン中央からm番目の明るい縞までの距離xは、
d * (x/L) = m * λ (m=0,1,2…)
x = m * λ * (L / d)
※回折格子
干渉縞の式により、λが異なると波長ごとに強めあう位置がずれるのでスペクトルが見える。
※シャボン玉表面
膜の表面での反射と裏面での反射が干渉する。
裏面での反射角をθ、膜厚をdとした場合光路差は、2d*cosθとなるが、膜妙面での屈折率小→屈折率大の面での反射の際に、光は1/2波長ずれるので、反射光が強めあう条件は、
2d * cosθ=(m+1/2)*λ/n
n:シャボン液の屈折率
m=0,1,2…
◆偏光
光は電場の振動とそれに直交する磁場の振動を持つ横波であるが、自然光にはあらゆる方向に振動する光が含まれてる。
特定の方向にのみ振動する光を偏光という。
※s偏光
ガラスや雪などでの反射光は、入射光と反射光がつくる面に対して垂直な振動方向の光(s偏光)を多く含む。
※波が振動する方向の面を偏光面という
※偏光板(ニコル)、特定の偏光面だけをもった光だけを作ったり調べるための装置
_◇ポーラロイド
人造偏光板
非常に小さい結晶を詰め込んだ薄い酢酸セルロース膜など
特定方向に偏った光だけを通過させる
⇒ポーラロイドの軸
※OP方向に偏った光がOA方向に軸を持つポーラロイドに入射した場合
⇒透過光の振幅は、入射光の振幅を軸方向に射影した長さで与えられる。
※光の強さは振幅の二乗に比例
◆スペクトル
_◇線(輝線)スペクトル
原子が出す、一本一本が波長のハッキリした光
_◇連続スペクトル
複雑な分子や固体などが出す光
_◇吸収スペクトル
気体は自分が出す光と同じ波長の光を吸収する
_◇分光器
スペクトルを調べる装置
_◇水素のスペクトル
※バルマー系列
_◇高温気体から放射される光の線スペクトル
1 1 1
-=R*(--- - ---)
λ m^2 n^2
λ:放射された光の波長
m、nは任意の整数
R:リュードベリ定数
1.0973731534e7 m^-1
☆ドップラー効果、音速、光速
◎ドップラー効果
1845年、オーストリアの物理学者であるドップラーは、オランダでユニークな実験を行っています。2日間にわたって機関車が速度を変えた貨車を何度も引っぱり、貨車の上ではトランペット奏者がトランペットを吹き、地上では正確な音程を聞き分けることのできる音楽家が、機関車が近づいたり遠ざかったりするたびにその音の高さを記録したのです。この結果、ドップラーの公式の正しさは見事に証明されました。
◆周波数
f = f0 (1±V/C0)
◆波長
λ = λ0 / (1±V/C0)
※
f 観測される周波数
f0 静止時の周波数
v 距離の変化する速度
C0 波の速度
音速:
λ 観測される波長
λ0 元の周波数
※音源Sが速度vで近づく場合
f:静止時の音の周波数
c:音の伝播速度
静止している観測者Oに届く波長はλ1 =(c -v )/f 。そのときの周波数はf 1=c / λ1=c f /(c -v )と表せるので、ドップラー周波数はΔf =f 1-f =v f /(c -v )となる。
※スピードガン、伝播の反射を測定する場合
f:発射した電波
Δf =2 v f /(c -v )
※電波や光が移動物体に当たって反射する場合
移動物体を観測者と考えるときの受振周波数は、f2=f (c +v )/c となる。 次に、移動物体を発振源と考えるときの周波数は、f 3= f 2c / (c -v )=f (c +v ) / (c -v )となる。よって、ドップラー周波数はΔf =f 3-f =2v f /(c - v )となる。
※斜め方向での測定には補正が必要
移動物体のスピードを斜め方向から測定する場合は、角度の補正が必要である。たとえば、物体の進行方向に対して角度がθ の場合は、物体スピードはv cosθ として補正を行う。その結果、ドップラー周波数の式は、Δf =2f v cosθ / ( c -v cosθ) となる
◎音速
C = 331.5 + 0.61 t
( C : 音速 m/秒、 t :温度 ℃)。
◎光速
真空中の光速:
2.99792458e8 m/s