□相対論
☆特殊相対性理論
慣性系(inertial system)に対してのみ成り立つ理論であるので「特殊」とよばれる。
⇒重力場が存在しないか、無視できる場合
時空 space-time
◆ガリレイ変換
静止系S(x,y,z)、等速vで運動している系S’(x’,y’,z’)
x軸方向へ速度vで運動している質点p(x,y,z)への各座標系原点からのベクトルを
r=(x,y,z)
r’=(x’,y’,z’)
とすれば
x’=x-v*t
y’=y
z’=z
t’=t
S系におけるベクトルrの変化(速さ)は
dr
--=(dx/dt,dy/dt,dz/dt)
dt
S’系におけるベクトルr’の変化は
dr’
--=(dx’/dt,dy’/dt,dz’/dt)
dt
S系からr’を見れば
dr’
--=(dx/dt-v,dy/dt,dz/dt)
dt
上の2つをもう一回時間で微分してみると、同一となる
①速度はSとS’で異なる
②加速度はSとS’で同じ
よって運動方程式
力=質量*加速度
は、慣性系同士では変わらない。(ガリレイ変換に関して共変である)
◆アインシュタインの相対性原理
①ある慣性系に対して一定の速度で運動する座標系は慣性系であり、すべての慣性系で、同じ形の物理学の基本法則が成り立つ。
②すべての慣性系で真空中の光の速さはその進行方向によらず一定である。
◆ニュートン力学での速度の変換則
x軸方向に一定の速度uの相対運動をしている2つの座標系O-xyz(S系)とO’-x’y’z'(S’系)での座標の間には
x’ = x – u*t
y’ = y
z’ = z
t’ = t
という関係があると考える。(時計は共通)
2つの座標系での速度Vと速度V’の関係は
Vx’ = dx’/dt’ = (d/dt)(x – u*t) = Vx – u
Vy’ = Vy
Vz’ = Vz
よって
V’ = v – u
◆ローレンツ変換
異なる慣性系での時計の進みは異なる。
x’ = x – u*t / √(1 – u^2/c^2)
y’ = y
z’ = z
t’ = (t-(u/c^2)*x)/√(1 – u^2/c^2)
S系での速度VとS’系での速度V’の関係
Vx’ = (Vx – u) / (1 – u*Vx/c^2)
Vy’ = (√(1-u^2/c^2) / (1 – u*Vx/c^2)) * Vy
Vz’ = (√(1-u^2/c^2) / (1 – u*Vx/c^2)) * Vz
◆固有時(高速で動いている時間の遅れ)
※高速で一定速度u[m/s]で動いている系の上で進行方向と直角にある長さL[m]を光が往復するのにt'[s]かかった.
t’ = 2*L / c
※「とまっている」系の上で上記を観測すると、往復の間にutだけ進行していることになるので、光は往復ではなく3角形の2辺を進んだように見える。ピタゴラスの定理をつかって
(ct/2)^2 = (ut/2)^2 + L^2
より
t = 2L / (c * √(1 – u^2/c^2))
これら2つの関係から
t’ = t * √(1 – u^2/c^2)
※固有時
運動している物体に固定されている時計の刻む時刻をその物体の固有時と呼ぶ。ある慣性系に対して速さuで動いている物体の固有時の進み方は、その慣性系に静止している時計の進み方の
√(1 – u^2/c^2)
倍である。
◆ローレンツ収縮
静止している場合に長さL0の剛体の棒の長さを棒の方向に速さuで等速度運動している観測者測定した場合の測定値Lは
L=L0*√(1 – u^2/c^2)
これをローレンツ収縮という。
◆運動量と質量
運動量保存則が相対性理論でも成り立つための運動量pの定義
p = (m0 * v) / √(1 – u^2/c^2)
よって速さvで動いている物体の質量mは静止している場合の質量(静止質量)m0より大きくなり
m = m0 / √(1 – u^2/c^2)
と解釈できる。
※相対性理論での運動方程式
ニュートンの運動方程式は、速度のみが時間の関数であったので、
m(dv/dt) = F
とかけたが、相対性理論では質量mも時間の関数となるので
dp/dt = F
となる。
◆速さvで動いている物体のエネルギー
E = m*c^2 = (m0 * c^2) / √(1 – v^2/c^2)
ニュートン力学の成り立つv<<cのときには
E = m0 * c^2 + (1/2)*m0*v^2 + …
と展開でき、
第1項 静止している物体のエネルギー
第2項 ニュートン力学の運動エネルギー
◆静止質量とエネルギーの等価性
E=mc^2
☆一般相対性理論
general theory of relativity
※重力の影響が無視できようができまいが、あらゆる状況で成り立つ
※重力は、時空の幾何学的構造として表される。
※物体は時間がよりゆっくり経過する領域に向かって動く
◆アインシュタイン方程式
1 8πG
R‘μν--g‘μν*R=---T‘μν
2 C^4
☆宇宙論
◆Ω
臨界質量密度に対する実際の宇宙の質量密度の比率
※Ωが100億年以上にわたって1の近くに留まるためには、初期の宇宙でのΩの1からのずれはきわめて小さくなければならない
⇒時間の経過とともに急激に増大もしくは減少するため
◆宇宙原理
宇宙は均質で等方性をもつという仮説
◆フリードマン方程式
※宇宙モデルが時間の点で開いていれば、空間の点でも開いている(無限大の体積を持つ)
◆ハッブル定数
単位 km/sec 毎メガパーセク
◆ブラックホール
「ブラックホールには毛がない」---ウィーラー
※ブラックホールになると
質量
電荷
角運動量
の3つの性質しか残らない