Sensing

Sensing
「そこまでいうなら、間を取って11進法にしましょうか」
 ---ラグランジュ、メートル法に10進法を採用するにあたって12進法を主張する委員に対しての言葉
「すべての時代に、すべての人々にそれは捧げられなければならない」
 ---コンドルセ、メートル法について
「本当のプロフェッショナルと言われる専門家は机上だけでは育たない」
 ---伊藤泰郎
「本来、量と数とは関係のないものであるから、量を数値で表すためにはあらかじめ両者に1:1の対応関係の規則を定めておく必要がある」
 ---眞島、磯部著『計測法通論』
「薄板、針金を平らにあるいは真直ぐにする一番良い方法はは引張ることである。」
 ---眞島、磯部著『計測法通論』
「重要特許ほど係争が激しく、特許登録までに時間がかかる傾向にある」
 ---越智成之
「CCDの研究開発は雑音との果てしない戦いの歴史となった。」
 ---越智成之
「真の科学者が現在の真理を破壊し、未来の真理を想像する者とすれば、真の技術者は理論限界を探求する者ではなく、技術的ブレークスルーで理論限界を超える者ではないだろうか?」
 ---越智成之

☆一般

測定とは、量を基準と比較し数値を用いて表す操作をいう。

◆直接測定と間接測定

_◇直接測定
測定値とそれの基準量を直接比較して測る
_◇間接測定
別に測定した量から、間接的に測定値を求める
※測定量の誤差と結果の誤差の検討が必要
⇒大きな影響がある量は精密に、誤差があっても大した影響の無い量は簡略に
y = f(x1,x2,…)
x1にδx1, x2にδx2などの誤差を生じたとするとδyは
   ∂f(x1..)
δy=--------*δx1+。。。
   ∂x1
全体の誤差は各単独の誤差により生じる量の和になる
◆測定誤差と精度
_◇真の値と誤差
真の値:仮想される正しい値。通常の測定では求めることが出来ない理想の値。
⇒測定には誤差が伴う
誤差:測定値から真の値を引いた差
_◇精密さと正確さ
精密さ:測定ばらつきの小さい程度
※無限に多数回の測定を行ったときの平均値と真の値の差を偏りという
正確さ:偏りの小さい程度
⇒誤差率もしくは誤差百分率で表す。
1%の正確率は得られた数値の100分の1までは数値が確かである、ということを意味する
⇒「絶対正確さ」:誤差の絶対値で表す
⇒「正確率」: 測定値に対する誤差の比率で表す
⇒正確さを良くするには、 種々の誤差を減少させることが大切
※測定精度
正確さと精密さを含む、もしくはそのいずれかを言う
※測定量自身が変化し、明確に決まらないケースも多い
_◇感度
測定量の変化に対する指示量の変化の割合
※精密さや正確さとは別
⇒ 感度の良い測定 ≠ 正確な測定
※感度はまた、その測定器の検知し得る最小の量
⇒一般に、感度の良い測定器は、振動等の外部の影響を受けやすく取扱いが面倒
⇒目的とする測定に適した感度の測定器を使用する
_◇系統誤差と偶然誤差
※誤差の分類
①間違いによる誤差
②系統誤差(計測者、計測器)
⇒偏りの原因となる
⇒通常、補正が可能なことが多いが、補正できない場合もある
③偶然誤差
⇒ばらつきの原因となる
外乱(つきとめられない種々雑多な要因)
測定量自体の変動(測定精度の自然限界もある)
⇒測定値の平均をとるのは偶然誤差を除くための手段
⇒最小2乗法もその手段
_◇有効数字
位取りを示すための0を除いた意味のある数字を有効数字という。
測定値のばらつきは、多くの場合、正規分布をとる。測定結果の標準偏差σに対し、測定値は平均値mのまわりに
m-σ ~ m+σ68.3%
m-2σ ~ m+2σ95.4%
のようにばらつく。この物理量の測定結果を
m±σ
とあらわし、σを誤差という。
※誤差があるので、平均値mの桁数をむやみに多くしても意味がない。標準偏差の大きさ相当の桁までを意味のある数字として用いる。測定値は以下の形式で表現するので
a x 10^n
aの絶対値が1以上、10以下の数になるようにした有効数字で表す。
※計算の際には有効数字に注意して行うこと
_◇Gaussの誤差法則
※偶然誤差は多数の原因から生ずる微小な誤差の集積であると考え、それぞれの原因は等しい確率で+の誤差と-の誤差を生じるものとすると
⇒絶対値の小さい誤差ほど生ずる機会が多い
⇒原因が無限に多く、各原因の誤差は無限に小さい極限
xとx+dxの間にある誤差の生ずる確率は
p(x)dx = {(h/√π)e^(-h^2*x^2)}dx
※この確率分布を正規分布という
-∞から+∞まで積分すれば
∫[-∞:+∞]p(x)dx
=(h/√π)∫[-∞:+∞]{e^(-h^2*x^2)}dx=1
※h/√πは積分が1になるように定めた係数だが、hにより山の鋭さが変化する(h大で鋭くなる)ので、hを精度定数と呼ぶ。
_◇最小二乗法の原理
principle of least squares
最も確からしい値を求めるために2乗の和を最小にするという方法の原理
Riを測定値、tiを入力値とし, 未知の定数a,bから
Ri=a+b*ti
のようにかけるとして、誤差の二乗の和S
S=∑[i=1:n]{Ri-(a+b*ti)}^2
を最小にするa,bの値を決定する。
∂S/∂a = 0
∂S/∂b = 0
より
∑[i=1:n]{Ri-(a+b*ti)}=0
∑[i=1:n]{Ri-(a+b*ti)}*ti=0
あるいは
n*a + b*∑ti      = ∑Ri
a*∑ti + b*∑ti^2 = ∑Ri*ti
からa,bを求める
⇒正規方程式
_◇母集団と偏差、残差、誤差
※測定値 M
※真の値 Z
※母集団
仮想的な無限に多くの測定値の集まり
※試料平均
測定値の算術平均
M~
※母平均 a
母集団についての平均(仮想のもの)
⇒知ることはできないが推定できる
※偏差
測定値と母平均との差
M-a
※残差
測定値と試料平均との差
M-M~
※偏り
母平均と真の値との差
a-Z
※誤差 x
測定値と真の値の差
x=M-Z
※偶然誤差だけの場合、正規分布をするのは偏差である
※母分散
偏差の二乗の平均 σ^2
⇒母標準偏差σ
※試料分散
残差の2乗の平均
S^2=(1/n)*∑[i=1:n](Mi-M~)^2
⇒試料標準偏差S
※試料分散は測定値から計算できるが、母分散は本当の値を知ることができない。母分散を試料分散S^2から推定する場合、測定値の数nを使って
(n/(n-1))*S^2
を用いる⇒不偏分散
⇒母標準偏差σの推定値u
u=√{(1/(n-1)∑[i=1:n](Mi-M~)^2}
※試料平均M~の標準偏差の推定値
un=√{(1/(n*(n-1))∑[i=1:n](Mi-M~)^2}
※推定値にはnを付記することが望ましい
_◇測定値の重み
※10回測定して得た平均値は8回の測定から得た平均値に対して 10/8の価値(重み)がある
※重みの違った測定値にそれぞれの重みを乗じて加え、重みの合計で割ったものを重みつき平均という
_◇誤差の伝播法則
y=f(x1,x2,…,xn)
なる関係式を用い、x1,x2,…,xnを観測してyを求める間接測定で、x1,x2,…,xnの測定値の標準偏差が
σx1,σx2,…,σxn
であれば、算出したyの値の標準偏差σyは
σy
=±√{(∂f/∂x1)^2*σx1^2+…+(∂f/∂xn)^2*σxn^2}
◆近似
原因と結果との関係は、一般には複雑で線形ではない
そこで、近似式として展開形式を採用することがある(先にいくほどどんどん小さくなることを前提とする)
l=l0*(1+α1*t+α2*t^2+α3*t^3+…)
_◇実験式
empirical formula
測定された2量の関係に最もよく適合する代数式を用いて表す。
①直線
y=a+b*x
②放物線または双曲線
y=a*x^n
xおよびyの対数をとって
log(y) = log(a) + n * log(x)
※両対数プロットで直線となる
※nが正なら広義の放物線、負なら双曲線
※プロット上のxが大きいところでは直線だが、小さいところでは上または下に曲がる曲線は
y=a*(x+b)^n
があてはまる
③指数関数
y=a*e^(b*x)
両辺の対数をとれば
log(y) = log(a) + b*x*log(e)
※片対数プロットで直線となる
④ベキ級数
y = a + b*x + c*x^2 + d*x^3 + …
◆Retardation
リターディション:遅延
◆測定法
_◇零位法
zero method, null method
測定量を、それに独立の調整可能な基準量に釣り合わせ、調整した基準量から測定量を知る方法

☆温度、熱計測

◆温度
※物質の物理的性質はほとんどすべて温度の影響を受ける
①物体の体積、圧力
②電気抵抗
③接触電位差
④物体の発する光の強さ、色
⑤気体、液体、固体の状態
⇒定量的に知りうる
※熱平衡
2つの物体を熱的に接触させ、十分長い時間放置
⇒温度が等しくなる
⇒測定対象と温度計を熱平衡に到らせることが必要
(測定対象の熱的状態が温度計に乱されないことがのぞましい)
◆温度センサの選定のポイント
※熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタについては共通
(1)  測定対象物の温度範囲に近い測定範囲のセンサを選定し、むやみに測定範囲の広いものを選定しない。
(2)  用途と目的に合った精度と階級のものを選定する。
(3)  使用環境を調べ、特に腐食性・耐熱性などを考慮する。
(4)  機械的強度や応答性を考慮して、形状やサイズを選択する。
(5)  温度センサのメーカは、用途別に多くの商品を用意しているが、特殊用途ではメーカに相談することが望ましい。
(6)  計測器はそれぞれのセンサに適合するものを選定する。
(7)  取付けるときには、感温部を測定対象物に密着させて保持する。
※放射温度計の場合、
(1)  必要以上に測定範囲の広いものは選択しない。通常、低温になるほど感度が悪く、誤差が大きくなる。
(2)  高温測定の場合には短い波長、低温測定の場合には長い波長の放射温度計が用意されているが、放射率を考慮すれば、温度が許す限り波長が短いものを選択する。
(3)  放射温度計と測定対象物間の距離と測定対象物の大きさを確認して選定する。 固定焦点形の放射温度計では、標的のサイズと距離の関係図を参考にし、可動焦点形の放射温度計では、距離係数を考慮する。
(4)  取付けおよび使用する場合には、光路に障害物やちりほこりがないように清掃・保守する。
◆ニュートンの冷却の法則
「物体が放射によって失う熱量は、その物体と周囲との温度差に比例する」
※経験則であり、媒質と固体との温度差が極端に大きい場合には成り立たないことがある
媒質中の固体から媒体に熱が伝わる速度は、固体の表面積および固体と媒質の温度差に比例する。熱量Q,時刻t、固体の表面積S、固体の温度T、媒質の温度Tmの間には
 dQ
---=α*S*(T-Tm)
 dt
比例定数α:表面熱伝導率
物体の熱容量をCとすれば
dQ  dT
--=C--
dt  dt
これを冷却の法則に適用すると
  dT
-C--=α*S*(T-Tm)
  dt
Tについて解けば
T=(T0-Tm)e^{(-α*S/C)t}+Tm
T0:t=0における固体の温度
◆温度測定法のまとめ
※接触式
①膨張式
気圧温度計、蒸気圧温度計
水銀温度計、アルコール温度計
バイメタル
②電気式
白金抵抗温度計
熱電対
サーミスタ
ダイオード
③計数式
発振周波数(水晶温度計)
④その他
サーモペインド
液晶
※非接触式
①輝度検出方式
光高温用
2色式温度計
自動輝度温度計
②放射エネルギー検出方式
熱型
抵抗型
サーモパイル
焦電型
量子型
光伝導
光起電力
◆温度計
_◇水銀温度計
ガラスで出来たキャピラリーに水銀を封じこめたもの
液体温度:-38.87℃~356.58℃
_◇熱電対温度計
銅とコンスタンタン
白金と白金ロジウム合金
_◇バイメタル温度計
_◇水晶温度計
_◇放射エネルギー検出型
①淡色放射温度計
赤外線の強度を測定する
※物体の温度と放射される赤外線の波長とは比例関係がある。
②全放射温度計
全放射エネルギーを測定する
◆熱電対と熱電効果
_◇ゼーベック効果
種類の異なる2本の金属線の端同士を接続したとき、二つの接続点に温度差があれば、その差に応じて起電力(熱起電力)が発生する  ┌───────┐
T2○       ○T1
  ┗━━━━━━━┛
⇒この熱起電力を利用するセンサの代表が熱電対
⇒実際には、片側の接続点を開いて電圧を計測する
T2○───────┐
  ↑       │
  │v      ○T1
  │       ┃
  ↓       ┃
T2○━━━━━━━┛
v = R * (T2-T1)
R:金属の組み合わせにより決まる定数
T1,T2:各接点の温度
⇒金属の種類と両端温度に依存するが、形状や大きさには無関係
※接触電位差
金属内部の自由電子の熱運動による「圧力差」
⇒接触電位差の代数和を熱起電力、流れる電流を熱電流
例)
鉄と銅の場合
高温接点では銅から鉄
低温接点では鉄から銅
_◇ペルチェ効果
異種金属の接点を通し電流を流せば、接点で熱の吸収、発生を生ずる現象。
⇒熱量は全電気量に比例
⇒電流の向きにより吸収と発生は逆となる
※ゼーベック効果によって生ずる熱電流も高温接点での熱の吸収、低温接点での熱の放出を起こす
⇒ゼーベック効果+ペルチェ効果は一種の熱機関として働く
_◇トムソン効果
接点に限らず、導線各部に温度勾配があり、電流がながれれば熱の吸収、発生を生ずる
※銅線
温度勾配と同方向に電流を流すと発熱する⇒温度勾配なだらかに
※鉄線
温度勾配と同方向に電流を流すと吸熱する⇒温度勾配急となる
_◇熱起電力の性質
※回路に電流がながれるとペルチェ効果、トムソン効果により接点の温度が変化する可能性があるので、温度の測定に際しては、回路に電流を流さないようにして起電力を測定することが望ましい
i) 単一均質の線からなる回路については各部の温度分布、線の太さに関わらず回路に熱起電力を生じない
⇒熱起電力は異種金属の接点の温度のみで定まる
ii)中間に第3の金属線をつないだ場合、すべての接点温度が等しければ熱起電力は生じない
⇒途中に第3の金属をはさんでもその両端の温度が等しければその影響はない。
金属AとCとの回路の熱起電力が Eac
金属BとCとの回路の熱起電力が Ecb
であれば、金属AとBとの回路の熱起電力Eabは
Eab=Eac+Ecb
⇒白金線を基準とし、他種の金属線の熱起電力を温度の関数として求めておけば、各種金属組み合わせの熱起電力を知ることができる
iii)中間の温度
2接点の温度がそれぞれT1, T2のときに熱起電力 E1
2接点の温度がそれぞれT2, T3のときに熱起電力 E2
2接点の温度がそれぞれT1, T3のときに熱起電力 E1+E2
⇒中間の温度T2を0℃にとって熱起電力を求めておけば、任意の温度差に対する熱起電力を知ることができる
_◇熱電対の特徴
低温域から高温域まで(-200℃~+1800℃)測定可能
経済的
工業用として広く使用
=選定ポイント=
1. 用途に適した温度特性をもった熱電対を選択する
2. 使用環境により耐振性や腐食性を考慮して選択する
3. 応答速度や機械的強度を考慮した形状とサイズを選択する
=特徴=
1. 起電力が小さい
⇒微小電圧を測定する技術が必要
2. 比較的高い温度まで測れる
(JIS C1602、1610、Z8704、8710)
3. 素線を裸で用いると熱容量が小さい
⇒小物体や表面温度の測定ができる
4. 基準接点の温度の影響を受ける
_◇熱電対種類
※JISで定められている熱電対の素線の組合わせ
熱電対の種類記号にK、J、E、Tなどがある
※一般的な熱電対
K クロメル アルメル -200℃~1000℃
J 鉄 コンスタンタン 0℃~600℃
T 銅 コンスタンタン -200℃~300℃
※特徴のある熱電対
E クロメル コンスタンタン -200℃~700℃
⇒熱起電力大
N ナイクロシル ナイシル -200℃~1200℃
⇒熱起電力安定
※白金素材
⇒精度良、ハラツキ、劣化少、高温、酸化雰囲気に耐える
R 白金-ロジ13 白金 0℃~1400℃
S 白金-ロジ10 白金 0℃~1400℃
B 白金-ロジ30 白金-ロジ6 0℃~1500℃
⇒ロジ=ロジウム(Rh)
クロメル
クロム・ニッケル合金Ni 90% Cr 10%
アルメル
ニッケル合金 NI 95% Al 2% Mn 2% Si 1%
コンスタンタン
銅・ニッケル合金Cu 55% Ni 45%
ナイクロシル
ニッケル・クロム・Si合金
ナイシル
ニッケル・Si合金
_◇シース熱電対
絶縁材料
マグネシア(MgO)、アルミナ(Al2O3)は磁性材より熱伝導率がよく、また固く充填されているため応答時間が速く、防食、耐熱、機械的にもすぐれる
_◇補償導線
熱電対の測温接点と記録計や調節計などの計測器間が長い場合、熱電対素線の代用線を用いると安価になる
⇒補償導線は、熱電対素線の代用として用いる
⇒補償接点での温度特性が熱電対素線に近いものを用い、測定器の位置を基準接点とする。
⇒熱電対の種類に合わせて専用の補償導線を使用
⇒補償導線以外の導線は誤差の原因となる
◆金属測温抵抗体センサ
銅やアルミニウムなどの金属は、温度にほぼ比例して抵抗値が増大する。
※白金は抵抗値が安定で温度以外の要因で変化しない
⇒白金測温抵抗体素子
温度 t(℃)と抵抗値 R (Ω)の関係
R = R0 * (1 + α*t)
R0 温度0における抵抗値
α 温度係数(金属の種類により異なる)
_◇抵抗温度計
◆サーミスタ
温度によって抵抗の値が変化する酸化物半導体材料でできた感温抵抗
※「thermal (sensitive) resistor」
→サーミスタ(thermistor)
※利点
実装面積が小
安価
※欠点
抵抗値の温度特性が非線形
→広範囲にわたって温度を測定したい場合にはサーミスタのリニアライズ(直線化)が必要
※用途
体温計、液晶パネルや2次電池の保護回路,プリンタ・ヘッドの温度検出,パソコンのメイン・ボードでの温度検出、比較的狭い温度範囲で,ある温度を超えたか否かで切り替えるスイッチ
※抵抗体として、セラミック半導体の電気抵抗の温度特性を利用したもので、温度変化による抵抗値変化が極めて大きいことが特徴
⇒一般に、指数関数的に減少する
_◇NTC: Negative Temperature Coefficient thermistor
負の温度特性を持つサーミスタ
ある温度以下では温度上昇につれて抵抗さがる
負の温度係数を有するサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)の総称
_◇PTC: Potive Temperature Coefficient thermistor
正の温度特性を持つサーミスタ
ある温度以上では抵抗値が指数関数的に増加する
PTCサーミスタは、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とし微量の希土類を添加して導電性を持たせた半導体。
PTCサーミスタは、キューリー点という特定の温度で起こる相転移によって、抵抗値が急激に増大する性質を持ち、電流制限素子,定温度発熱体,あるいは温度センサとして利用される
_◇CTC Critical temperature Coefficient
NTCタイプより大きく指数関数的に抵抗値が減少する。
(ある温度を境に急激に抵抗値が減少する)
_◇サーミスタの温度係数式
α=(1/R)dR/DT=B/T^2
B はサーミスタ定数
温度に対する抵抗変化の目安となる
通常3000~4000K
※温度T [K]の抵抗値をR T とすると、R T はT を関数として、 T 0 [K]のときの抵抗値R 0 とB 定数によって
RT=R0 exp ( B * (1/T – 1/T0) )
※サーミスタの温度特性式
t [℃]における抵抗値R [Ω]は近似的に次式となる
R = R25exp{B (1/T-1/T25)}[Ω]
T (K)=t [℃] + 273.15
R :温度T(K)における抵抗値[Ω]
R25:温度T25(K)=273.15 + 25[℃]における抵抗値[Ω]
B :素子の温度係数(K)
B >0~正特性、B <0~負特性
◆サーモパイル(thermopile)
熱電対を多数直列に接続することによって、熱電対としての感度を向上させたもの。放射式温度計や電子体温計の感温素子として広く利用される。
※特殊なもの
P型とN型の半導体をくし型に切断し、これを蒸着技術で多数を一度に接続し、体温と外気温の差で発生する電圧を腕時計の電源として実用化
※サーモパイル
thermopile
熱電効果を利用。分光感度特性が広い範囲で平坦。光パワーの標準器、温度検出に応用。
ほとんど黒体とみなせる物質に光を照射して、温度上昇を熱電素子で検出、電圧に変換する。
※光パワーメータは温度検出精度を上げるために熱電対を多数直列接続した構造(パイル)をとる。
※環境温度の影響を受けやすい
◆焦電センサ
焦電効果により赤外線を含む光を検出
_◇焦電効果
pyroelectric effect
温度変化により誘電体(PZTなど)の分極が変化
→焦電体。(焦電体は圧電効果も示す。強誘電体は必ず焦電体でもある。)
※ただし、通常は表面にイオンなどを吸着してしまい分極は観測できない。温度変化により分極が変化した場合に、それを検出できる。
_◇センサ原理
通常複数のレンズを持ち、このレンスが赤外線を集光し、これを焦電素子にあつめている。この赤外線により焦電素子は暖められるが、一様な温度で変化がなければ焦電効果は見えない。人体が入ってくると、周囲より高い熱源であり、赤外線量に変化が起こる。このときの焦電効果を検出する。
※レンズ材料としては、ポリエチレンが使われることが多い。(人体からの赤外線を透過させやすいため)
_◇NaPiOn
人検知センサMPモーションセンサ。パナソニック電工
内部にレンズ、焦電素子、アンプ+安定化電源一体化ICを持つ。
※デジタル信号出力型
※アナログ信号出力型
感度調整が可能。
※標準、微動検出、スポット検出、10m検出など
◆静電容量式温度センサ
コンデンサの比誘電率変化を利用
※原理
1) 平板型コンデンサに電圧を印加すると、コンデンサ電極端から電気力線がはみ出る
2) 付近の液体に漏れた電気力線が印加される
3) 比誘電率変化が起こり、コンデンサ容量が変化
4) 液体の比誘電率は温度に依存
5) よって、液温が測定できる
◆熱感知器
_◇作動式スポット型感知器
周囲温度の急上昇により、感知器に内部の空気が急膨張する現象をダイアフラムで感知する。穏やかな上昇の場合にはリーク孔からの空気漏れにより感知しない。
◆炎感知器
_◇赤外線式炎感知器
炎は高温の二酸化炭素ガスから放射される4.3μmにピークを持つ赤外線を多く照射し、しかもそれが2~15Hzの範囲でちらつくという特徴がある。このような赤外線を検知する。
_◇紫外線式炎感知器
◆赤外線サーモグラフィ
光学系により対象物体の表面温度分布を測定する
⇒温度分布から遠隔で異常などが分かる
ゲルマニュウムレンズ
赤外線センサ(焦電センサ、ボロメータの微小アレイ)
AD変換(以下信号処理)
※30℃程度の物体表面から放射される赤外線は10μm付近にピークを持つ。
◆極低温と高温度測定用計器、放射温度計
※超電導現象機器用極低温用センサ
ゲルマニウム測温抵抗体
カーボン測温抵抗体
Pt-Co合金測温体 (4K程度まで測定できる)
※高温用温度計
検出素子にSiやInGaAsを用いた放射温度計で3500℃程度まで
※放射温度計は、物体から出る電磁波のエネルギーを測定して温度を得る。
※光高温計
物体が放射する熱放射を標準の比較用光源と比較して、測温対象物の熱放射のレベルを知り、温度を知る
物体からの熱放射[m]と標準ランプからの光[s]を光切換機構で周期的に切換え、検出素子である光導電セルに当てる
このとき[m]と[s]に差がある場合には、増幅回路に入る信号は交流となる
信号演算処理部では、信号の交流部分がなくなるように、ランプ電源の電流を制御。このときの標準ランプの電源電流から物体の熱放射量を知ることができる
◆熱流量計
W/m^2
京都電子工業 http://www.kyoto-kem.com
◆カーボンナノ温度計
カーボンナノチューブで作ったナノオーダのキャピラリー細管の中にガリウムを封じ込めたもの。原理的には水銀温度計やアルコール温度計と同じ。
液体温度:29.78℃~2403℃
◆熱膨張計
炉内の熱膨張を「やとい」により炉外に取り出して測定しようとしても温度分布が不明なので、やといの熱膨張分を計算できない
⇒同一材料(石英)を同一方向にならべることで温度分布の効果をキャンセルし、試験片の正味の膨張だけを取り出す。この長さの変化を光学テコで測定する

☆湿度

◆湿度の定義
①一定体積に含まれる水分量
②飽和水蒸気量に対する割合(相対湿度)rh
relative humidity
※飽和水蒸気量
気温℃ g/m^2
5 6.8
10 9.4
15 12.8
20 17.3
25 23.1
30 30.4
◆湿度計
_◇乾湿球湿度計
_◇毛髪式
◆湿度センサ
_◇高分子センサー
湿度により電気抵抗が変化
_◇高分子膜湿度センサー
湿度により誘電率が変化し、静電容量が変化

☆光計測

光の測定は、空間、時間、波長にかかわる複合した量の測定となる。
◆放射測定
光の強さを測定する。単位は放射照度[W/m^2]
※光ディスク関係ではWを使う
※もしくはdBm(通信分野)
※人間の目に見えない光ということもある。
※光パワーは dBm だが、ゲインやロスは単なる比率なので dB であることに注意。
◆測光
明るさを測定する。人間の感度に依存。
測光の単位は[lx](照度)
放射量の分光密度Xe(λ)と測光量Xv[lm]の関係
Xv=Km * ∫[360nm:830nm]Xe(λ)*V(λ)dλ
Km:測光量と放射量を結びつける定数 683lm/W
Xe:波長あたりの入射エネルギー[W]
V(λ):標準分光視感効率。555nmでV(λ)=1として正規化された人間の目の感度の関数。
◆輝度
ある特定方向に放出されている光の強度
cd/m^2
◆測色
人間は赤、緑、青を中心とする3つの分光感度を持つが、個人差があり、背景光にも影響される。
_◇色彩
3属性からなる
①色相 H(Hue)
色相環として輪をなす
②明度 V(Value)
色相環がXY平面にあるとするとZ軸。明るさを表す。
③彩度 C(Chroma)
XY平面にある色相環に対して、原点からの距離。鮮やかさ、くすみ具合を示す。
_◇表色系
①マンセル表色系
JIS Z8721
②L*a*b*表色系
エルスター、エースター、ビースター
国際照明委員会(CIE)規定。JIS Z8729
明度をL*, 色相と彩度をa*, b*で表す
a* + 赤方向
a* – 緑方向
b* + 黄方向
b* – 青方向
a,bの数値が大きい方が彩度が大きく、中心に近いとくすんだ色
③L*C*h 表色系
L*a*b*表色系をベースに、a*, b*という直交座標でなく、C* と hという極座標で表したもの
C* 彩度
h a*+を0度として反時計回りの角度
④ハンターLab表色系
主として塗装関係で使われる。L*a*b*と同様だが数値が異なる
⑤XYZ(Yxy)表色系
CIE標準表色系
Y: 反射率 (明度に対応)
xy: 色度
無彩色が中心
_◇色差
⊿E*
表色系の中での各色の間の距離
_◇色温度
照明により、波長分布(分光分布)は異なる
※黒体輻射の波長分布をそのときの温度で呼ぶ
⇒色温度
※ほとんどの光源は黒体輻射と完全には一致しないので、もっとも近い温度で呼ぶ
※太陽や白熱灯は、滑らかな連続分布だが、蛍光灯などは蛍光物質の特定波長の重なりで連続ではない
_◇RGB光センサ
※RGBカラーセンサ
光源の色温度
色検査、色補正、ホワイトバランス
※光源の色温度を測ることにより被写体の色を正確に再現できる
※RGBの3色LEDを混合して白色を作り出す場合、カラーフィードバックシステムが必要
※物体色の識別
反射光をRGBカラーセンサに入力する。
色識別、紙幣鑑別、色管理
※3つのフォトセンサにRGB各色の光学フィルタを組み合わせる
※RGB3チャネルタイプ
外乱光が入射しにくい遮光性パッケージと透明パッケージのタイプがある
フィルタは近赤外に2次透過があるため、赤外吸収フィルタと組み合わせてある
※R/G/B単色タイプ
遮光性パッケージ。赤外成分のカットは干渉フィルタ(入射角依存性がある。垂直入射で使う)
◆人間、人体
_◇人間の視感度ピーク
555nm
_◇人体からの放射赤外線の波長
約5um~20um
◆化学物質、吸収帯
_◇赤外域、吸収帯
二酸化炭素 2.5~3um 4~5um
アルコール 3~4um
◆光の波長と名称
※広義の光
1nm ~ 1mm 波長範囲の電磁波
_◇紫外線
※どこから紫外線かという統一された定義はない
※可視光に近い側からUV-A,B,Cと唱える。
UV-A 315 – 400 nm
地上への照射量多
UV-Bに比べた影響力は百~千分の1
UV-B 280 – 315 nm
地上への照射量小
皮膚ガンや白内障の原因となる
UV-C 100 – 280 nm
地上への照射無し
殺菌光線
皮膚ガンや白内障の原因となる
※オゾンの存在する大気では300nmより短い紫外線は吸収される
_◇オゾンホールとドブソン分光光度計
オゾン量が2.2mm相当量以下にまで減少した場所
※地上でオゾンが0.02ppm以上の濃度だとオゾン臭として人間は感知できる
※ドブソン分光光度計
太陽光を320nmより短い波長域と長い波長域に石英プリズムで分光する。オゾン層のオゾン量に応じて短い波長の光は吸収されるので、両者の光度を光センサで測定し、その比からオゾン濃度が求められる
◆波長と検出器
_◇Siフォトダイオード
紫外光から可視光
①紫外用Siフォトダイオード
@200nm 0.1A/W 高感度素子 浜松フォトニクスS1227-BQ
②補正フィルタ付きSiフォトダイオード
可視光用
例)S7686 浜松フォトニクス
③Siフォトダイオード
近赤外向け
※フォトン1個から正負の電荷1個が生じ、これが平均化されて出力としては「直流」に見える。しかし、実際にはフォトン1個一個に対応するパルスの集まりである。(但し、フォトン1個1個が電子1個分の電荷なので、検出は難しい)
①フォトダイオードには逆バイアスがかけられており、PN接合部には空乏層がある。
②ここに光が照射され、光エネルギーがバンド・ギャップエネルギーEgよりも大きいと価電子帯の電子が伝導帯に励起され、価電子帯にはホールが残る。
③逆バイアスかかっているのでホールはN->P、電子はP->N方向に移動する。
④ここでダイオードの両端を短絡すれば光の強度に比例した電流がアノードから外部をとおりカソードへ流れる。
※暗中では通常の整流ダイオードと同様の特性を示す。
※入射光量に対する出力電流
Psat = (Vbi + Vr)/(Rs+Rl)*Sλ
Psat:直線性上限エネルギー[W]
Vbi:接触電位差[V] 0.2~0.3V
Vr:逆電圧[V]
Rs:負荷抵抗[Ω]
Rl:素子直列抵抗[Ω] 数Ω程度
Sλ:波長λにおける受光感度[A/W]
※NEP(等価雑音電力)
Noise Equivalent Power
雑音電流と等しい電流を発生させる入射光量(S/N=1となるときの入射光量)。逆方向の暗電流等により決まる検出限界。[W/√Hz]
暗電流や光電流によるショット雑音電流is[A/Hz]
<帯域幅 B [Hz]で正規化した値>
is=√(2q(il+id)B)
q:電子の電荷(1.602e-19 C)
il:入射光による光電流[A]
id:暗電流[A]
熱雑音電流ij[A/Hz]
ij=√(4kTB/Rsh)
トータルの雑音電流in[A]
in=√(is^2+ij^2)
Pnep = in / S
S:受光感度[A/W]
※PNフォト・ダイオード
通常のPN接合によるもの
※PINフォト・ダイオード
p-intrinsic-n
pnフォトダイオードの間に真性半導体(intrinsic)層を挟み、電極間距離をあけて静電容量を低下させ高速化を狙ったもの。
※ショットキーフォトダイオード
P層の代わりに金メッキなどを使用して空乏層をきわめて薄くつくったもの。短波長の感度が高くなる。
※APD(アバランシェ・フォト・ダイオード)
大きな電界によりアバランシェ増倍を起こして高感度に検出するもの。(逆バイアスを印加することにより光電流が増倍される)
※アノードにマイナス電源を接続してバイアス
①飽和レベルが上昇、直線性が改善できる
②端子間容量が減少、応答性が改善できる
③暗電流は増える
※500nm~850nm程度の領域の温度依存性は小さい。
※フォトダイオードの直線性は非常によい。ダイナミックレンジも広い。直線性はフォトダイオード自体よりも周辺回路の方が問題となる
※暗電流は素子の面積と温度上昇により増加する
→微弱な光パワー測定では必要最小面積のダイオードを冷却使用する
_◇フォトトランジスタ
通常シリコン。ベースが受光面となり、ベース・コレクタ間で発生した光電流がhfe倍されてコレクタ電流として取出せる。
※等価回路
      コレクタ○
 ┌──┬─────┤
 ↓Ip│     ↓Ic
 ┴ ┌┴──┐  │
⇒▲ │CCB│  │
 │ └┬──┘┃/
 └──┴───┨
        ┃\
          V
          │
          │
      エミッタ○
※2端子で、コレクタとエミッタが出ている。
例)コレクタ-エミッタ間5V
光電流1mA@1000lx
※特性のばらつきが大きく、高速でもないが、感度が高い。
※入力がパルスの場合、周波数が上がると出力電圧が低下する。(エミッタ抵抗が大きいと影響が出やすい)
_◇フォトIC
モノリシック型
受光部と信号処理を同一チップに形成
ハイブリッド型
フォト・ダイオードと信号処理チップを同一パッケージ内で接続。
※照度-周波数変換フォトIC
_◇GaAsPフォトダイオード
①ショットキー型GaAsPフォトダイオード
紫外光用
②拡散型GaAsPフォトダイオード
可視光用
_◇GaPフォトダイオード
感度波長範囲が600~700nm程度までなので、紫外光を中心にとらえ、赤外光の感度を抑えられる。
_◇光導電素子
光電効果を利用した素子。入射する光の強度に応じて素子の抵抗率が変化する。
※可視光用
CdS (高感度だが、環境汚染のため使用不可)
CdSe
⇒照度計、露出計
※赤外
PbS
PbSe
InSb
⇒放射温度計、水分計、ガス分析計
_◇光電子増倍管
紫外光から可視光
非常に高感度。入射窓に入った光により、電子が放出され、それをダイノードと呼ばれる2次電子放出部に導き、ここで何段にも増倍する。フォトン・カウンティングが可能。
※光電増倍管
たった1個の光子でも検出できる。金属板に光子があたると電子が一個はじきだされ、この電子が別のプラスに帯電している金属板に引かれて衝突し、この板から3,4個という具合に10回から12回増幅することで、電流となって普通の増幅器にかかるようになる。
_◇InGaAsPINフォトダイオード
近赤外線
標準タイプで波長1.5um程度まで
長波長タイプで波長2.6um程度まで
※ブルーシフト
温度が下がると分光感度特性上のピークが短波長側にずれる。長波長側では受光感度が急激に変化するので、そこでのズレには配慮が必要
_◇InAs/InSb素子
赤外。これも光導電効果。
InSbフォトダイオード、波長5μmまで
※波長がながい赤外線検出素子は熱の影響を受けやすい。ノイズ低減のため、冷却器つきのものもある。
※赤外レーザ検出
_◇MCT素子(HgCdTe)
赤外。これも光導電効果。
HgTeとCdTeの組成比を変えることにより長波長(10um)以上の検出可能。
素子冷却が必要。
※FTIR(赤外分光光度計の一種)
_◇フォトンドラッグ素子
CO2レーザ検出用
◆比検出能力 D*
光入力が1Wのときの交流的なS/Nを表す
素子面積1cm^2, 雑音帯域1Hzで規格化
単位は cm√(Hz)/W
D*(A, B, C)のように表す。
A:光源の温度[K]または波長[nm]
B:入射光のON/OFFのチョッピング周波数[Hz]
C:雑音帯域幅[Hz]
◆分光感度特性
波長毎の感度の特性。フォトンのエネルギーが、受光素子のバンドギャップエネルギーEgより大きくなると、電子-ホール対が生じて、光起電力が生じる。単位 [A/W]
λh = 1240 / Eg
λh: 波長 [nm]
Eg: バンド・ギャップ・エネルギー [eV]
※シリコンの室温におけるバンドギャップ
Eg = 1.12eV
⇒上式より約1100nm以下の波長で感度を持つ
※In0.53Ga0.47As
Eg = 0.73eV
⇒1.7μm
※短波長
拡散層が薄く、PN接合が表面に近いほどよい
◆量子効率 Qe
入射した光子がどのくらいの割合で光電流に寄与するかを表した割合
Qe = (S * 1240 / λ) * 100
Qe:量子効率
S:受光感度[A/W]
λ:波長[nm]
◆応答特性
_◇上昇時間 tr
tr = √(t1^2 + t2^2 + t3^2)
t1:応答時定数
t1=2.2*Ct*Rl [sec]
Ct:端子間容量 [F]
Rl:負荷抵抗 [Ω]
t2:空乏層外のキャリアの拡散時間
数μS以上
t3:空乏層をキャリアが走行する時間
走行速度Vd [cm/sec]は
キャリアの移動度μ[cm^2/(V*sec)]
空乏層の電界強度E[V/cm]
Vd = μE
空乏層の厚さをW[cm]とすると
E=Vr/W (Vrは逆電圧)
t3=W/Vd=W^2/μVr
_◇遮断周波数 fc
出力が3dB減衰する周波数。
trとは
tr≒0.35/fc
という関係あり。
◆測定回路TIPS
※IV変換の発振を防ぐ帰還抵抗と並列の補償コンデンサ
Cf>Cin(端子間容量、配線容量、入力容量の和)
※対数変換ICを使用すればdBm単位の光パワーをレンジ切替等無しに測定できる
※分光感度特性の補正
レーザ光源と校正データつき光パワーメータによる
※パワー測定=すべての光を受光できるように
ガウス分布のように裾が広がるので余裕を持った大きさが必要になる
→意図的に集光し、小さな面積で受光する方法もある
※受光感度の高い InGaAsなどでは、光パワーが大きな電流に変換され、結果として電圧出力が飽和することが起こりえる。電流バッファをつける、受光素子に光学的アッテネータを付ける。
※帰還抵抗の切替にアナログスイッチなどを使う場合は許容電流に注意
※帰還抵抗の値が小さいときに、アナログスイッチで切替する場合は、ON抵抗の影響に注意
※感度を上げるため、帰還抵抗の値が大きいときには、抵抗の温度依存性や長期安定性に注意。OPアンプはバイアス電流が小さいものを選ぶ
※収束するビームの単位面積あたりのエネルギーに注意。紫外線照射は劣化を招きやすい。
※フォトダイオード表面にはARコーティング(反射防止)が施されている場合あり、有機溶剤は指定されたもの以外は使わない
※測定可能な全波長での校正はまずできないので、特定の波長近辺のみでおこなうことが多い。
※光パワー測定値にセンサの位置や照射角度で測定値が変化する場合、
フォトダイオードの飽和
反射、多重反射の影響
をチェックスルコト
※光の入射角が大きすぎると界面の反射の性質で感度が変化する
※偏光(p偏光、s偏光)により反射の様子が異なる。
→入射角依存性
※表面をつや消し(拡散板)にすれば入射角依存性を減らせるが、受光感度の低下、分光感度特性の変化などが起こる。
※フォットダイオードの受光面内の位置で測定値は変化する(均一性:uniformity)
→なるべく中央でビームを広げると良い
◆光度と照度
_◇光度
光源の明るさを表す。人間の感度特性を加味する。
単位:cd (カンデラ)
※元は蝋燭1本が1カンデラだった
0.9933 [cd]
※550nmの波長の単色光を点光源から1mの球面上においた1m四方の正方形(1ステラジアン)に照射し、受けたエネルギーが1/683 Wになるとき 1cd。550nm以外は視感度特性による係数を乗じる。
※面光源の光度:
cd / m^2
lm / m^2
_◇照度
単位面積が受ける光の量を表す。
1cd の光源から1m離れたところの照度が 1 [lx]
(ルクス)
JIS Z9110-1979 照度基準
防犯5~2 lx
FIFA基準(サッカー場) 1400 lx
※照明の波長分布
⇒色温度で規定
※被写体照度と面照度
センサ表面の照度を面照度という
E0: 被写体照度
R: 反射率
T: レンズの透過率
F: レンズF値
m: 結像面倍率m(m<<1通常)
Ep: 面照度
Ep=R*T*E0/{4*(F^2)*(1+m)^2}≒R*T*E0/(4*F^2)
_◇光束
※SI
1 [cd]の光源から1ステラジアン内に放射される光束
lm (ルーメン)
※ANSIルーメン
プロジェクタの光源の発する光束の単位。投影面を縦横3つ、計9領域に分割、それぞれの平均照度 [lx]に投影面の面積 [m^2]をかけた値
※光度エネルギーはルーメン秒で表す
※発光効率(ランプ効率)
[lm/W]
◆照度センサ
フォトダイオード+フィルタなどで、人間の目に近い感度特性を持たせたもの
例)
NJL6501R-3新日本無線
EL7900インターシル
フォトダイオードが受けた光電流に短絡電流の大きさが比例する。この電流を電圧に変換して照度を読み取る
回路例)
光起電流I
Vout ≒ I * R
    ┌─┐
   ┌┤R├┐
   │└─┘│
 I │┌─┐│
 ┌←┴┤-││
┌┼┐ │ >┴○
│┴│┌┤+│ Vout
│▲││└─┘ ○
└┬┘│    │
 ┴ ┴    ┴
Rは1M程度がMax (安定性や精度の問題で)
※真っ暗でも暗電流が流れる(素子によりばらつく)
温度にも依存する
→ノイズ(低照度で問題となる)
→入力電流がセンサの暗電流より小さいCMOS OPアンプが良い
→レール・ツー・レールのOPアンプでも単一電源では出力がGNDそのものにはならずわずかに残る。光がないような状態でも測りたい場合は、正負2電源が適する。
※レンジ
真夏の太陽: 200000 lx
→A/Dの分解能を上回る性能で増幅しても意味がない
測定レンジの分割を考える
Rをレンジで切り替える(Rを小さくしていけば感度が悪くなる代わりより明るい範囲まで測定可能)
※リプル除去
照明器具。。。毎秒100もしくは120回の脈動
→OPアンプ入力にコンデンサを入れるなどして平滑化して対処する。(Rと並列に)
※センサ出力ノードにノイズが入らないようにグラウンドで囲うと良い。
※校正
基準光度の標準電球のもとで、ゲイン調整(Rに直列にいれた可変抵抗による)する
※光源の指向性
※照度計は計量法でいう特定計量器である
_◇照度センサ(フォトIC)
EL7900 Intersil 照度センサ ピーク波長感度550nm, 600uA@1000lx 暗電流typ 0.15uA 電源電圧2.5~5.5V.
◆マイクロボロメーター
_◇ボロメータ(本来)
アブソーバーが放熱器に絶縁性の接続でつながっている
電磁波はアブソーバーに吸収され、温度が上昇、放熱器より高い温度となる。
温度の上昇を測定する。
本来は熱量計。
天文学では、絶対零度付近まで冷却
_◇マイクロボロメータ
非冷却赤外線撮像素子
酸化バナジウム(VOx)やアモルファスシリコンを使用した感熱素子をシリコン基板上い形成したもの。赤外線が感熱素子に照射されると抵抗値が変化するのでそれを検出する。高画素化できる。
◆日射計
ガラスドームの中に白黒に塗り分けられた板がある。白い面と黒い面の温度差を熱電対で測って陽射しのエネルギーを測定する
※ドームを水平におけば全天の輻射エネルギーを測定できる。

☆イメージセンシング

◆イメージセンシング
_◇イメージングの流れ
①光源
②被写体
③光学系
④イメージセンサ
光学像⇒信号
⑤信号処理
⑥蓄積、伝送
⑦出力
_◇光学像情報
※光学像情報の4要素
「強度、位置、波長、時間」
(i, r, λ, t)
被写体:3次元⇒光学像:2次元
r:2次元
λ:人間の視覚系RGB3原色近似で3次元
⇒合計7次元の情報
※光強度の検出
光センサ部での光電変換、電荷蓄積
※画素座標の同定
走査部のアドレシング、信号電荷転送、シフトレジスタ、デコーダ
※電荷両の検知と変換
信号電荷量もしくは信号電流を電圧、電流、周波数、パルス幅などに変換
_◇画像情報にかかわる制限
①システムの取り扱える信号の取り扱い範囲
光強度のダイナミックレンジ
扱える波長の範囲
②信号情報の分解能
強度情報に対する雑音
偽解像など位置情報のエラー
残像などの時間解像度のぼやけ
_◇イメージセンサにおける離散化
※本来、強度、位置、波長、時間は連続分布
※ハードウエアとして、位置、波長、時間は結像前からデジタル化されている
位置=画素の情報
波長=画素上のカラーフィルタの分光分布情報
時間=露光期間の情報
⇒システムでデジタル化されてしまっているため、その要素の雑音としては発生せず、光強度情報への偽信号として反映される
各画素が出力するのは光強度のみ
光学像強度分布x分光分布x感度分布を開口領域、波長領域、露光時間で積分した値
※i,r,λ,tは
s:信号電荷量
ra:画素アドレス
c:カラー
tfr:フレーム
により
s(ra, c, tfr)
というセットとして通常シリアル出力される
⇒4要素、7次元の信号が光強度の1次元情報となる
_◇空間サンプリング
開口をサンプリング点として空間サンプリングする
※標本化定理により、センサ2画素の距離が1周期となる周波数がナイキスト周波数となり、センサが正確にとらえられる上限周波数を与える。
注)ナイキスト周波数でもたまたま白と黒の50%点がセンサ中央にくると、各点は同じ出力となり、信号振幅がゼロとなることがありえるので、位相にも依存する
※MTF
modulation transfer function
変調度伝達関数
空間周波数依存性を示す比
白黒交流入力に対する振幅応答
――――――――――――――――
直流白入力に対するセンサ出力振幅
※開口が狭い場合は高いMTFで細部の情報が得られるが、開口が広いと画素内での光量の変化が大きくなり、平均化されてMTFは低下する
※MTF特性の評価チャート
CZP: circular zone plate
サーキュラゾーンプレート
※画素配置とナイキスト周波数
縦横斜めなど、画素配置の方向性で規定される解像度の方向性がある
⇒人間の眼は垂直、水平方向の感度が、ななめよりも高いという理論もあり
⇒センサアレー部を45°回転、あるいは千鳥配置で画素補間すると
⇒正方配列よりも縦横解像度を高くできる(p/√2)
⇒白黒カメラや3板カラーカメラには有効
1画素1色の単板カラーでは有効でない
_◇時間サンプリング
※センサは所定の露光時間について信号を積分する蓄積型
⇒時間開口も空間サンプリングと同様な構造
⇒フレームレートが高ければより高い時間解像度
⇒露光時間が短ければ高いMTFの鮮鋭な映像
⇒時間軸でも折り返しによる偽信号が発生する
例)動画中で、周期的な運動物体が、本来周期よりゆっくりと動いてみえたり、逆回転してみえたりする現象
※特殊な目的のイメージングシステムでは、非同期非蓄積型のセンサなども提案されている。
※電子シャッタ
露光期間を決定する
⇒信号電荷をリセット
※残像
信号電荷がセンサ部に残ると発生する
CCD⇒完全転送
CMOS⇒スイッチで定電圧に接続
_◇波長、色サンプリング
色は人間の網膜でうけた刺激で脳で発生する感覚。
⇒光の波長と色とは同じ物理量ではない。
⇒客観的な確認が困難
⇒照明環境も多様
⇒物理量的に正確な色再現は困難
⇒主観的な色表現
※より正確な波長情報を得るためには、マルチバンドカメラが適する
高いサンプリングピッチ
より狭い開口
※DSCで一般的なベイヤー配列のカラーフィルタ
サンプリング点は3点だけ
開口は広く、互いの重なりも大きい
⇒人間の眼が、RGBに相当する信号のセットで色として感知することを利用
⇒色は、RGBの原刺激の1次関数で表現できる
※ベイヤー配列(正方配列)
Bayer array
┌─┐┌─┐
│G││R│
└─┘└─┘
┌─┐┌─┐
│B││G│
└─┘└─┘
画素間の垂直、水平ピッチp
※色解像度
ベイヤー配列
RとBの水平垂直ピッチ2p
⇒ナイキスト周波数 1/4p
Gの水平垂直ピッチp、斜め45°方向√2p
⇒ナイキスト周波数1/2p、ななめ 1/(2√2)p
※クロストーク
ある画素に対応する信号が隣接画素の信号に混入する現象
⇒MTF低下
⇒カラー信号としては混色
※混色
クロストーク以外に、カラーフィルタの波長のオーバラップ起因もある
⇒色補正するが、混色が多いと色補正後の色SN比が降り
※カラーフィルタの波長オーバラップ
色相の弁別のためには必要
⇒オーバラップが大きすぎると、彩度が低下する
※原色フィルタ
RGB
※補色フィルタ
Cy=G+B
MG=R+B
Ye=R+G
_◇TIPS
※画像の明るさには緑の成分が大きく寄与
⇒濃淡画像処理ではGだけ扱うようにしてもよい
◆イメージセンサの基本
_◇イメージセンサの基本特性
※強度、位置、波長、時間の4要素の精度(分解能とレンジ)が特性のすべて
※うち位置、波長、時間の要素はシステムの「座標点」としてデジタル的に決定済なので、雑音が入る余地はすくない
⇒強度の特性がほとんど
①感度
Sensitivity
単位光量あたりのセンサ出力
※感度の表記
[ V / (lx*s) ]
アンプで増幅する前のセンサ部
[ 電子数 / (lx*s) ]
※シリコンの光吸収、波長依存性あり
※照明にも波長分布あり
⇒lxが定まっても状態は一義的に規定できない
※量子効率 quantum efficiency η
感度の指標
⇒センサの1画素の信号電荷数を1画素面積に照射された光子数で割った値
②雑音
noise
※発生モードによる分類
ランダム雑音 temporal noise
固定パターン雑音 fixed pattern noise (FPN)
※発生原による分類
光雑音
光ショット雑音(光強度のゆらぎ)
⇒光子はポアソン分布に従う⇒その分散が揺らぎ
⇒光子数をnとすると√nが雑音
電子雑音
kTC雑音(回路雑音)
容量に対するスイッチのON/OFF、オン抵抗は有限なので
⇒電圧表現としての雑音の2乗 kT/C
⇒イメージセンサでは信号量や雑音を電子数で表すのでkTC雑音も電子数表現
トランジスタ雑音(デバイス雑音)
1/f雑音低周波域で大きなノイズパワーを示す
熱雑音周波数に依存しない(thermal noise)
暗電流(熱エネルギー)
非平衡状態で、界面準位や結晶結果によるものを介して熱的に発生
分布はFPN
時間揺らぎはランダム
※RTS (random telegraph signal)
特定の画素の出力が2~3個程度の量子化された値を行き来する
⇒ランダム雑音とFPNの両方ある
※リセット雑音、ソースフォロアの1/f雑音対策
CDS(相関二重サンプリング)が有効
⇒雑音だけの状態とそこに信号電荷の入った状態での差分を得る
③SN比
⇒もっとも重要な特性
20*log(SN比)のdB表示
※相関のない雑音niの総和である全雑音電子数は、niの2乗和の平方根
④ダイナミックレンジ
※飽和特性
照度とセンサ出力が比例する範囲
⇒飽和レベルと暗示雑音の比のdBで定義
※撮像可能照度範囲
非線形の場合の拡張
_◇半導体の光吸収
シリコンに光 hν照射
シリコンのバンドギャップEgよりも高く、かつ準位が空いていれば価電子帯から伝導帯への電子の遷移が起こり吸収される
⇒荷電子帯にはホールが残る
⇒Egよりもhνが低ければ吸収されず透過する
Eg≒1.1eV hν的には約1100nmの赤外線
⇒可視光はSi自身が感光材料となる
※光の吸収係数(単位距離を進む間に吸収される確率)αは強い波長λ依存性がある
dλを照射された光量が吸収により1/eに減衰する距離とし
αλ=1/dλ
とすると
青(λ=435~480nm) 約0.2um
緑(λ=500~560nm) 約1um
赤(λ=610~750nm) 約4um
_◇フォトダイオード
Photo-diode PD
p型を接地電位としてn型に正電位を印加
逆バイアス状態のまま電気的に切り離して浮遊状態とする
光により電子正孔対が発生
⇒電界で分離
電子:n領域に蓄積
ホール:p領域に移動、素子外へ
※埋め込みフォトダイオード
pinned-PD
pn接合フォトダイオードの表面側にp+を浅く形成
(正孔を信号とする場合は逆)
⇒界面準位の影響を排除し、かつn領域の電位を安定化し、高画質化
埋め込みフォトダイオードのn層
⇒信号電荷が読み出された状態で完全に空乏化する不純物濃度と深さ
⇒信号電荷の読み残し電荷があると、残像が発生する
※界面準位
電子が価電子帯と伝導体を行き来する飛び石になる
⇒荷電子帯の電子が熱的に励起⇒光がないのに伝導帯へ
⇒暗電流の発生
_◇浮遊拡散層アンプ
floating diffusion amplifier: FDA
浮遊拡散層
転送電極を介して信号電荷に接続
リセット電極を介してリセットドレーンと接続
ソースフォロアアンプのゲート入力にも接続
①まずリセットドレーン電位Vrdに設定
②電気的に切り離しフローティング状態
③転送電極下のチャネルを通じて信号電荷を導入
④ソースフォロアアンプのVout出力
⇒再びリセット
※ソーフフォロアアンプ
高入力インピーダンス、低出力インピーダンス
1電子あたりの出力Vout/Ns
Vout/Ns = Gsf * q/Cfd [uV/e]
⇒変換利得(conversion gain)
一般にGsf=0.6~0.9程度
_◇基本動作
①光電変換
画素行列に光エネルギーが入射し、電子が励起される
それぞれの画素は色フィルタにより特定の波長の光に反応する
ゲート電極に電圧をかけることで空乏層ができ
そこに光が入射することで電子-正孔対が発生する
p型の場合、正孔は基板に捨てられ、表面付近に電子が溜まる
電子の充満帯から伝導帯への励起にはシリコンの禁制帯幅Eg=1.1eVから決まる限界光波長がある
λc=h*c/Eg=1240/1.1=1.1um (hはプランク定数)
※短波長は表面付近で九州されるが、長波長は基板奥まで入る。これにより人間の目の感度がない不要な赤外感度は減衰する
②電荷蓄積
※表面では雑音源にさらされるので、埋め込み層のポテンシャル井戸に蓄積される
③信号処理
雑音低減処理、新お具増幅
④信号読み出し
所要のフォーマットの信号として出力
_◇デジカメ用イメージセンサのサイズ
①コンパクト型 1/2.33インチ
6.2mm x 4.6mm
35mm換算50mmの実焦点距離と視野角:8.9mm, 46.6°
35mm換算200mmの実焦点距離と視野角:37.7mm, 12.3°
②フォーサーズ
17.3mm x 13.0mm
35mm換算50mmの実焦点距離と視野角:25mm, 46.8°
35mm換算200mmの実焦点距離と視野角:100mm, 12.3°
③一眼レフフルサイズ
36mm x 24mm
35mm換算50mmの実焦点距離と視野角:50mm, 46.8°
35mm換算200mmの実焦点距離と視野角:200mm, 12.3°
_◇画素数と解像度
画素数≒撮像素子の阻止数
解像度:本来画素の密度を表現する(200画素/mmなど)
⇒撮像素子の面積で代替
※MTF 変調伝達関数 Modulation Transfer Function
撮像システムとしての解像力を示す
システムに正弦波信号を入力したときの周波数と入出力波形の振幅比率(レスポンス)の特性
X軸に周波数
Y軸にレスポンス=出力画像振幅/入力画像振幅
をとる。低い周波数では100%だが、周波数が高まると落ち、あるところで0%となる
※レンズの中央から周辺に至る解像特性の比較のためには
横軸をレンズ中心からの距離、縦軸をレスポンスとするグラフもある
※解像度の限界
①サンプリング定理による限界
再現可能な濃淡変化は撮像素子の画素ピッチの2倍以上の周期
②光の回折限界
光の周波数による
546.1nm光、F4.0レンズ
素子面で1.75um周期の濃淡正弦波のMTF20%
1.0um周期ではMTF0%
⇒画素ピッチ1.0um辺りに限界がある
2400万画素(6000×4000)では
35mmフルサイズのセルサイズは6x6umだが、コンパクト型では1.03×1.15um
_◇撮像部の構造
①光学フィルタ
光学ローパスフィルタ
水晶の複屈折性を利用
入射光の半分を水平、垂直にずらし、入射光に重畳
⇒光像の高周波成分を減衰させる
赤外カットフィルタ
赤外線を除去
②撮像素子
マイクロレンズアレイ
光束をフォトセンサに集光⇒実質的な開口率を稼ぐ
カラーフィルタ
光像を3原色に色分解する
⇒RGB原色ベイヤー型が普通
(CMY補色フィルタは再現できる色域が狭い)
フォトセンサアレイ
_◇カラー画像の取得方式
①単板式
1個のセンサの各画素上にカラーフィルタを形成
⇒コストとサイズで有利
※人間の視覚特性を利用し、解像度と色生成を両立
輝度に敏感⇒輝度成分にもっとも寄与するG成分を多くする
水平、垂直感度が高い⇒斜め方向より垂直、水平にG成分を密に
②三板式
ダイクロイックプリズムにより、特定波長の光のみを反射し、3原色に分解
⇒構造が複雑だが、同じ画素数でも実質解像度は高い
R画像 600nm付近
G画像 550nm付近
B画像 450nm付近
⇒三個のセンサの位置合わせは画素レベルの精度が必要
⇒色フィルタのように特定の領域を通すために他を遮断するわけではない
⇒光の利用効率高く、感度が高い
⇒各画素のRGBが直接得られるので、色補間処理不要で高画質
⇒しかし、プリズム+3センサで高コスト
_◇色空間
通常sRGB色空間が使われる⇒CRT表示用の規格
AdobeRGB色空間もつかわれている
_◇色補間処理
demosaicking
ベイヤーフィルタ利用の単板カラー
⇒各画素はR,G,Bのうちひとつだけ
⇒他の色は、色補間で生成する
⇒色の境界となる画素は偽信号が発生しやすい
_◇色温度
※色の異なる光源(分光分布が異なる)をあらわす方法
※黒体放射⇒プランクの輻射式の波長分布
⇒ある温度の黒体放射と光源の放射が一致⇒そのときの温度を色温度とよぶ
⇒実際には一致しないので、もっとも近い温度で近似
_◇被写体照度と面照度
光源⇒被写体で反射⇒光学系⇒センサ表面
※センサ表面の照度を面照度という
E0 被写体照度
R 反射率
T 撮影レンズの透過率
F レンズF地
m 結像面倍率
Ep 面照度
        R*T*E0       R*T*E0
Ep=-----------------≒------
   4*(F^2)*((1+m)^2) 4*F^2
_◇撮像素子のダイナミックレンジ
一つの画素の蓄積できる最大電荷量とノイズとなる電荷量の比率SN
⇒20*log(電荷量の比)
※通常50~70dB
※撮像素子の出力ビット(量子化)数でダイナミックレンジ内の信号を表現
8ビット: 20*log(255)=48.1dB
12ビット: 72.2dB
14ビット: 84.3dB
_◇ノイズ
①インパルスノイズ
フォトダイオードの暗電流による
固定パターン的
②1/fノイズ(増幅器)
③ランダムテレグラフノイズ
④リセットノイズ
⑤回路的なノイズ
◆CMOSイメージセンサ
光センサ部:
pn接合フォトダイオード
フォトゲート型フォトダイオード
走査部;
シフトレジスタまたはデコーダ、MOSFETスイッチ
電荷量検知変換部:
浮遊拡散層アンプ
各画素に1個
※CMOSセンサはMOSセンサのCMOS版ではない
※CMOSセンサは駆動回路や信号処理回路をオンチップに集積できる
<>CCD
_◇埋め込みMOS構造
※プリミティブなMOS構造
ゲートに正電位を印加
⇒シリコン内では表面の電位が最も高くなる
⇒電子はSi-SiO2界面に集まる
※Si-SiO2界面には界面準位が存在⇒問題
1/f雑音
RTS(random telegraph signal)
暗電流の発生源
※チャネルの極大電位を界面ではなく基板内部に形成する構造
⇒埋め込みMOS
p型シリコンの表面側に濃度が低いn-層を形成
⇒n-層に正電圧を印加し、n-層ないの動ける電子を全て排除して空乏化
_◇CMOSセンサの構造
※アクティブピクセル構造(APS)
active pixel sensor
⇒画素部に画素アンプを持つ
⇒信号電荷量は電圧に変換されて出てくる
⇒画素アンプにより増幅されるため、見かけ上kTC雑音はゲイン分の1に軽減
なお、画素内に増幅器を持たないセンサ
PPS(passive pixel sensor)
※フォトダイオードにつながった読み出しTRを垂直、水平アドレスで指定
⇒垂直、水平走査の機能はMOSセンサと同様
※垂直と水平の間にFPN除去回路が存在
※FPN(fixed pattern noise)
固定パターン雑音
画素毎のアンプの特性バラツキなどに起因するオフセット性の雑音
※携帯向けの安価なカメラモジュールと一眼レフ向けの高級向けに分化
_◇シャッタコントロール
※グローバルシャッタとローリングシャッタ
CCD、信号電荷のリセット、蓄積は全画素同一時刻=グローバルシャッタ
CMOS、各行で1水平期間ずれる=ローリングシャッタ
※ローリングシャッタの欠点
①高速に動く物体の歪
②ストロボ発光タイミング
③信号電荷蓄積時間を変更する場合の無効フレームの発生
_◇読み出し方式
CCDはハードウエアの特性上で読み出しの順番は固定的
CMOSは画素選択後は、読み出し方式の自由度高い
※ブロック読み出し
画面の一部を切り出す
※スキップ読み出し
行、列を間引く
⇒出力画素数を落としてフレームレートをあげる
※ビニング読出し
隣接する2x2画素の出力を加算もしくは平均化して出力する
画素共有化により電荷ドメインで行ってしまう
列並列回路でアナログドメインで加算
デジタルドメインで加算
⇒カラーの場合は同色画素どうしでビニング
⇒空間解像度は低下するがSN比は向上する
※単純なスキップ読み出しでは、モアレが発生しやすいがビニング処理ではモアレの発生が低減化される
_◇画素補間配置素子
_◇超高速出力化
秒1000フレーム
_◇グローバルシャッター
全画素同時露光終了。シャッター不要。
_◇広ダイナミックレンジ
_◇背景ボケ
_◇湾曲化
_◇3次元化
◆CCDイメージセンサ
Charge Coupled Device
光センサ部:
pn接合フォトダイオード
フォトゲート型フォトダイオード
走査部;
CCD
電荷量検知変換部:
浮遊拡散層アンプ
各画素共有チップに1個
動作:
フォトダイオード⇒垂直CCDへ全画素同時転送
垂直CCD⇒水平CCDにより順次出力
※CCD
完全転送を行う(電荷は完全になくなる)
⇒走査領域でkTC雑音発生しない⇒低雑音
昔:画質はCMOSより優れていた
現在:コストと画質のバランスからコンパクトデジカメ向け
※CCDの場合、CMOS回路を作りこむとプロセスが複雑になりすぎる
駆動パルス発生回路、CDS回路、AD変換などは別IC
_◇CCDの原理
電極を複数隣接にならべる
電極の一方は共通接続
シリコン基板=共通電極
SiO2, Si3N3などの絶縁層
ポリシリコンなど=他方の電極
他方は転送電極として相の異なるクロックを与える
例)重なりのある4相駆動
電子に対する電位の井戸を電極化のチャネルに形成
印加される電極が順次シフトするにつれて、電位の井戸も移動
⇒電荷も移動
※CCDセンサ全体が大きな容量
⇒素子面積が大きいほど電力的に不利
⇒CMOSセンサの方が駆動すべき容量が小さいので優位となる
_◇CCDの方式
①FT-CCD
frame transfer CCD
フレーム転送CCDセンサ
素子構造単純
CCD構造が、露光期間中は光センサとして機能
露光終了後は、蓄積部にフレーム転送する走査部として動作
※CCD電極のポリシリコンは短波長の透過率が低いので、そのままでは青感度に課題が残る
②IT-CCD
interline transfer CCD
インターライン転送CCDセンサ
センサ部と走査部を独立形成
信号電荷は、一斉に垂直CCD(VCCD: vertical CCD)に送られ
後、1行ずつ水平CCD(HCCD: horizontal CCD)内を転送される
※80年代後半から10数年ほどCCDの主力となる
③FIT-CCD
framce interline transfer CCD
フレームインターライン転送CCDセンサ
IT-CCDの撮像部(VCCD含む)とHCCDの間にFT-CCDの蓄積部を設けたもの
VCCD内に電荷滞在する間に入射光などにより電荷が混入するとスミアを発生する
このためVCCDから蓄積部への転送を高速におこなってVCCDの滞在時間を1~3桁短縮する
⇒放送用テレビカメラなど向け
_◇相関二重標本化法
CDS(Correlated Double Sampling)
アンプ雑音、リセット雑音の除去回路
CCDから出力される信号の
リセット期間、フィード・スルー期間、信号期間のうち
クランプパルスDS1により、フィード・スルー期間をクランプ
クランプパルスDS2により、信号期間をクランプ
差動アンプにより両期間の電圧の差分を取る
◆MOSセンサ
光センサ部:
pn接合フォトダイオード
走査部;
シフトレジスタまたはデコーダ、MOSFETスイッチ
電荷量検知変換部:
オフチップJFETアンプ
外部のJFETの特性に左右され、CCDとのSN比競争に敗れた
_◇水平読み出し素子
TSL素子
transversal signal line sensor
第3世代MOSセンサ
それまでのMOSセンサは大きな寄生容量を持つ垂直信号線をリセットするときにkTC雑音が発生していた⇒TSLでは信号の読み出し期間でkTC雑音が発生しない
センサ自体の雑音は大きく低減されたが、外部のJFETの特性には左右される
◆CIGSイメージセンサ
◆MgZnO紫外線センサ
◆SOI紫外線センサ
◆赤外線イメージセンサ
_◇レンズ材料
通常のレンズに使われる石英ガラスは遠赤外線を投下しない。
可視光は感度低下要因となるので、可視光は透過しない方がよい。
①ゲルマニウム(Ge)
遠赤外線に対して、高い屈折率と透過率を持つ
⇒希少金属のため高価、かつ加工難しい。
⇒温度上昇で屈折率下がる
②カルコゲナイト
ヒ素(As) セレン(Se) 硫黄(S)の化合物
⇒ゲルマニウムより若干性能は劣るが、原料費やすく、モールド成形できる。
⇒温度変化に強い
⇒原料は毒物、劇物取締法の規制にかかる
③ZnS
⇒ゲルマニウムより性能は劣る。
⇒原料安く、モールド成形可能、温度変化に強い。
_◇パッケージの真空度
1~1x10^-2 Pa程度
真空管並み、中真空~高真空の境目くらい
_◇プラズモニック吸収体
Au膜のumオーダのデコボコの凹の周期に等しい特定の波長の光を選択的に吸収する。
◆3D深度センサ

☆デジタルカメラ

◆デジカメの概要
_◇デジカメ方式
┌─レンズ一体型(コンパクト)
└─レンズ交換式
   ├─ ミラーレス一眼
   └─ 一眼レフ
※一般的なレンズの焦点距離(一眼レフ)
35mm以下広角レンズ
50mm程度標準レンズ
100mm以上望遠レンズ
◆デジカメ処理の流れ
_◇デジカメの画像処理パイプライン
撮像部生画像
デモザイク
ノイズ除去
階調補正、色補正
顔検出
歪み補正など幾何変換
高域強調やぶれ補正
画像の圧縮伸長
画像の表示、保存
_◇DSC信号処理フロー例
       ┌─┐┌─┐   ┌─┐
┌─┐┌─┐┌┤3├┤4├───┤5├───→Y
│1├┤2├┤└─┘└─┘   └─┘
└─┘└─┘│┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐ R-Y
      └┤6├┤7├┤8├┤9├┤A├→
       └─┘└─┘└─┘└─┘└─┘ B-Y
1:ベイヤーフィルタのイメージセンサ
2:AD
3:輝度生成
4:輪郭補正
5:γ補正
6:色補間
7:色変換
8:ホワイトバランス
9:γ補正
A:色差変換
_◇画像の補間とデモザイク
撮像部の生画像(CFA画像)
各画素の値は、R,G,Bいずれかの値
⇒主としてCFAには原色ベイヤー配列が使われることが多い
グリーンを斜めに
レッドとブルーはグリーンの半分の数を千鳥に
※画像を補完し、各画素にRGBの値を持たせる
①バイリニア補間
4近傍の画素v1~v4を補完に用いる
補完する画素vに対し、以下の図の面積をつかった加重平均を行う
v1     v2
●━━┯━━━●
┃d │c  ┃
┠──●───┨
┃  │   ┃
┃b │ a ┃
┃  │   ┃
●━━┷━━━●
v3     v4
v=(a*v1+b*v2+c*v3+d*v4)/(a+b+c+d)
②バイキュービック補間
③超解像度処理
簡単なもの:エッジ方向の考慮など
※偽色
原シーン⇒CFA画像⇒デモザイク⇒RGB画像の家庭で、原シーンにない色が発生してしまう現象
⇒鮮鋭なエッジ、激しい濃淡変化部などで発生しやすい
※色相関補間方式デモザイク
局所的な領域では色信号の変化が一定であると見なして補間する
①G成分は密にサンプリングされているので、これだけで画像を補完しておく
②Gについては①の補間画像をLPF、R,Gについても補間+LPF
③Rについては②のLPF結果とGのLPF結果の比を①のG補間画像に乗じることで値を得る
④Bについても、Rと同様に計算する
_◇ノイズ除去
①古典的ノイズ除去、平滑化フィルタ
⇒加重平均、重みはガウス分布、均一分布
※小領域での形状や重み分布を、画素の局所的な性質で適応制御するとノイズ除去性能を改善できる。
②メディアンフィルタ
小領域の画素の中央値を出力⇒インパルスノイズ除去に効果あり
※原シーン情報の保全
⇒エッジ保存が重要
③バイラテラルフィルタ
Bilateral Filter
エッジ保存型平滑化フィルタ
⇒注目点からの距離に応じたガウス分布重みと、注目点との値の差に応じたガウス分布重みからなる2つの重み係数を設定し、掛け合わせて用いる
④画像の統計的な性質を用いた方法
⑤ウェーブレット変換
⑥ブロックマッチング
※ノイズ除去の評価
PSNR (Peak Signal-to-Noise Ratio)
単位dB, 画像一致すれば無限大、40dB以上あれば区別がつかない
原画像 S(i,j), ノイズのある画像N(i,j)
PSNR=10*log{255^2 / (1/(m*n))Σ[i=1..m]Σ[j=1..n](S(i,j)-N(i,j))^2*
※ノイズモデル
加法性白色ガウスノイズを仮定
⇒周波数パワーが等しい=白色
⇒ノイズ分布はガウス分布
例)8ビットの濃淡画像に標準偏差20の白色ガウスノイズを加えると22dBほどの劣化画像となる。バイラテラルフィルタでは29dBほどの画像に修復される
_◇光学的、幾何学的劣化補正
①シェーディング補正
周波数の低い濃淡むら
cosθ4乗則の周辺減光
口径食(けられ)
※装置に固定⇒画素位置に応じた係数で補正可能
②歪曲収差
幾何的歪
たる型
いと巻き型
※画素位置に応じた変位量で補正可能
③倍率色収差
※色収差:レンズの屈折率が光の波長によりことなるために像位置がずれる現象
※倍率色収差
画像周辺部
青色像は緑像より拡大方向
赤色像は緑像より縮小方向
⇒3色の画像が正確に重なるように青色、赤色を移動させることで補正する
_◇階調と色の補正
①トーンマネジメント
※γ特性
標準ディスプレイ(ブラウン管)の基本特性
入力信号の2.2乗に比例した明るさで表示される
⇒LCDなどでも、過去のシステムと互換性を保つためにガンマ特性を持たせてある
※撮像素子
像の明るさに比例した信号を出力
⇒デジカメ内部でガンマ補正(階調補正)を行う
例)撮像素子γ=0.45、ブラウン管γ=2.2
例)10x10程度に分割した領域で測光
全体的な輝度分布から、露光量や階調特性をする
※ニー補正
あるレベル以上の明部の信号を圧縮する
※ヒストグラムを使った階調補正
画素値が密集する階調近傍を伸長し、疎な階調近傍を圧縮する
⇒視認性が改善されることがある。
②高ダイナミックレンジ画像の取得
※現実世界の輝度
夜空 10^-2 cd/m^2
太陽光 10^9 cd/m^2
⇒撮影されるシーンのダイナミックレンジが100dB以上となることもある
⇒一般的コンパクトデジカメ50dB
⇒一眼レフデジカメ70dB
※高ダイナミックレンジ HDR(High Dynamic Range)画像の取得
同じシーンに対して露光量を変化させて複数枚の画像を取得し、合成
⇒表示にも問題あり、HDRを直接表示できない場合は、トーンマッピング処理を行う
③ホワイトバランス補正
◆デジカメ画像処理
①画像のノイズ除去、歪み補正、色、階調補正
⇒基本写真画像処理
②オートフォーカス、オートアイリス
⇒カメラ制御技術
⇒顔検出や、動被写体の追跡などのCV技術を含む
③ブレ、ボケの補正、コンピュテーショナルフォトグラフィ技術
_◇オートフォーカス
AF: Auto Focus
被写体に自動的に焦点を合わせる機能
①位相差方式
一眼レフで一般的
撮影レンズの端部の光線をセパレータレンズで分離、
AFセンサ上に2つの像を結像
像の位置の差(位相差)から被写体までの距離を求める
⇒位相差からレンズ位置を調整
※主要被写体の位置を判断するため、多くの測距点について距離を求める
※直接距離をもとめるので、高速
②コントラスト方式
コンパクトデジカメで一般的
複数の焦点位置の異なる画像のコントラストの評価値から評価値最大となるようにレンズを制御する
※複数の画像を必要とするので、合焦に要する時間が長いが、精度は良い。
※単純方式では画像の中心に焦点を合わせていたが、顔オートフォーカスが一般化
移動体に追随するオートフォーカスもあり
_◇自動露出 AE
オートアイリス
Auto Exposure
人間の視覚を模擬するように光の絶対量を補正する機能
※コンパクトデジカメでは撮像素子自身の出力を光センサとして使う
※画面の平均的明るさだけでなく、小領域の測光量にもとづいて逆光や、主要被写体の光量を測定することが行われる
_◇ホワイトバランス
色のバランスを補正する機能
⇒人間の視覚は環境光の違いによらず、被写体本来の色を(あるていど)知覚
⇒デジカメ画像は環境光の影響を直接受ける
⇒人間にとって自然な画像に補正する操作をホワイトバランスという
※ホワイトバランスの手動設定
晴天、くもり、電灯、蛍光灯などから選択
環境光の色温度を指定できるものもある
※オートホワイトバランス
①環境光センサ
②撮影された画像からの推定
⇒輝度が高く彩度が低い部分の色信号を積算
⇒これにカメラの焦点距離、露光量などを付加して推定
RGB->YUV変換
画像の中の明るい部分のUV信号を積算し環境光を推定
UV信号を補正
_◇ISO感度
※ISO感度
写真フィルムの感光感度の規格
感度が2倍になれば半分の光量で同じ濃度の画像
※デジカメでのISO感度
撮像素子から読み出される信号ゲインをあげる
⇒ノイズが目立つ
_◇シャッター
①メカニカルシャッター
CCDのスミア(電荷転送中の光の漏れ込みによる筋状の白とび)対策など
②電子シャッター
⇒撮像素子内で電荷蓄積モードと廃棄モードを切り替える
※CCD
グローバルシャッター
⇒全画素同一タイミング
※CMOS
ローリングシャッター(フォーカルプレーンシャッター)
⇒行ごとに時間がずれる
⇒フォーカルプレーン歪みの発生
_◇ぶれとぼけ
①ピンボケ
本来の焦点位置からはずれた位置にフォーカス
②ぶれ
1)被写体ぶれ
シャッターが開いている間に被写体が動いた
2)手ブレ
シャッターが開いている間にカメラが動いた
※いずれも映像の記録前に発生を抑えるのが基本
※ボケ対策
オートフォーカス
※被写体ブレ対策
高速シャッター、高感度撮影
※手ぶれ対策
光学式手振れ補正
※記録前に抑えきれない場合
⇒画像処理による補正、修復
※手ぶれ補正
①光学式
レンズと撮像部を機械的に制御し、光像を安定化
レンズシフト方式(レンズ内蔵方式)
撮影レンズの一部を上下左右に移動させて安定化する
⇒一眼レフの光学ビューファインダー像も安定化できる
センサシフト方式(ボディ内蔵方式)
撮像素子を移動させて安定化する
⇒一眼レフの場合、交換レンズの選択しやすい
②電子式
撮影されてしまった画像を画像処理によって補正
※手ぶれ補正の性能はシャッター速度の段数換算で表す
例)3段分⇒8倍遅いシャッター速度でも同程度のテブレ
※動画の場合
連続するフレーム間の動きを計算し、画像を位置あわせし、画像表示枠を再設定する
⇒ジャイロ不要
⇒2画像の位置合わせ方法
テンプレートマッチング
フレーム1のある矩形領域と最も類似度の高いフレーム2の位置を探す
勾配法(オプティカルフロー)
2波形のズレ量を勾配から推定
※静止画
加算合成式
高速で連写⇒ここは露光時間短くノイズ多いが手ぶれは小さい
⇒位置合わせして加算合成
画像復元式
点広がり関数をジャイロセンサなどで推定
長短露光2画像合成
加算合成に近いが、平たん部は長露光、エッジ部は短露光で合成
_◇点拡がり関数
点光源に対する撮影画像の輝度分布を表した関数
⇒点像分布関数、点応答関数
※ボケやブレのない画像にN個の点像が含まれるとする
n番目、座標(xn, yn),輝度f(xn,yn)
点拡がり関数h(x,y)
⇒ボケ、ブレ発生後の輝度分布
g(x,y)=Σ[n=1:N]{h(x-xn,y-yn)*f(xn,yn)}
※2次元で画素間隔Δx,Δyを無限小とすれば
g(x,y)=∬d{h(x-x0,y-y0)f(x0,y0)}dx0dy0
⇒畳み込み積分、コンボリューション
畳み込み演算子「*」をつかって
g(x,y)=h(x,y)*f(x,y)
※空間シフト不変性
点拡がり関数が画像全体で一定
⇒広角レンズでは中心と周辺ではボケがことなり厳密にはなりたたない
※線形性
ぼけやブレの重なりを加算できること
※空間シフト不変で線形であれば、複数の点拡がり関数を
h(x,y)=h2(x,y)*h1(x,y)
と計算できる
_◇ぼけ、ブレの周波数解析
※2次元フーリエ変換
空間周波数の異なるさまざまな正弦波パターンに任意の画像が分解できる
F(ωx,ωy)=∬D{f(x,y)e^(-j(ωx*x+ωy*y))}dxdy
ωx 横軸周波数
ωy 縦軸周波数
ωy/ωx 横軸からの傾き
√(ωx^2+ωy^2) 傾き方法に沿った周波数
画像のフーリエスペクトルF(ωx,ωy)
複素数
絶対値が各空間周波数(ωx,ωy)の振幅スペクトル
Arg[F(ωx,ωy)]が基準パターンからのずれ量(位相スペクトル)
⇒中心が直流成分、周辺へ行くほど空間周波数が高くなる
⇒逆フーリエ変換
各空間周波数の正弦波パターンe^(j(ωx*x+ωy*y)をF(ωx,ωy)で重みづけして足し合わせれば、もとの画像が再生できる
※点拡がり関数の2次元フーリエ変換(伝達関数)
H(ωx,ωy)=∬{h(x,y)e^(-j(ωx*x+ωy*y))}dx,dy
により、ぼけブレ画像g(x,y)が, 被写体f(x,y)=e^(j(ωx*x+ωy*y))に対して
g(x,y)=H(ωx,ωy)*e^(j(ωx*x+ωy*y))
のように係数倍を除いて不変な関数e^(j(ωx*x+ωy*y))を固有関数
そのときの係数H(ωx,ωy)を固有値とよぶ
⇒振幅、位相は変化するが同じ周波数(正弦波)が表れる
⇒MTF(変調伝達関数),|H(ωx,ωy)|の直流成分を1に規格化したもの
※ボケ、ブレ画像
元画像の各正弦波にHにより振幅、位相が変化させられ、それらが重ねあわされたもの
⇒ボケブレ後の画像スペクトルは元の画像スペクトルに伝達関数の利得を乗じたもの
※コンボリューション定理
畳み込み∬が、周波数領域では単に各成分の乗算で表せること
_◇ぼけブレの補正、修復
ボケぶれ画像G(ωx,ωy)、点拡がり関数H(ωx,ωy)が計算できれば
F(ωx,ωy)=G(ωx,ωy) / H(ωx,ωy)
これを逆フーリエ変換すれば、ぼけぶれの修復されたf(x,y)を求めることができる
⇒逆フィルタ、デコンボリューション
⇒ぼけブレによる高周波成分の減衰H(ωx,ωy)を打ち消すには、
逆に増幅 1/H(ωx,ωy) してやればよい
※問題点
H(ωx,ωy)は高周波で0に近い値をとるので、逆数は非常に大きくなることがある
⇒わずかな雑音が大きく増幅される
H(ωx,ωy)が0となる遮断帯域については逆数をとれない
⇒不良設定問題
※疑似逆フィルタ
遮断帯域を0としてしまう
⇒情報は消失する
※正則化逆フィルタ
雑音の増幅を抑制しながら」の修復
           *
^         H (ωx、ωy)
F(ωx、ωy)=--------------・G(ωx、ωy)
         |H(ωx、ωy)|^2+Γ
*は複素共役演算
Γは正値のパラメータ(逆フィルタと雑音抑制の調整パラメータ)
H(ωx、ωy)が0の場合は0
H(ωx、ωy)が十分大きい場合はΓは無視でき、逆フィルタとして働く
中間の場合は、効果を弱めた逆フィルタとして働く
※パワースペクトル
⇒スペクトルの二乗平均
※ウィナーフィルタ
Γの値を以下の式で決めたもの
Sn(ωx、ωy) 画像に加わる雑音のパワースペクトル
Sf(ωx、ωy) 元画像のパワースペクトル
  Sn(ωx、ωy)
Γ=---------
  Sf(ωx、ωy)
⇒周波数によりパラメータが変わる
⇒雑音が小さい帯域では逆フィルタ、雑音が大きくなると遮断フィルタとなる
⇒ただし、通常は各周波数での雑音の寄与比が分からないことが多いので、手動のΓ調整となることも多い
※フーリエ変換を必要とせず画像領域での繰り返し演算により修復する方法
①Lucy-Richardson法
②Iterative Back Projection法
_◇ブラインド・デコンボリューション
点拡がり関数が不明の場合
※確実な方法は存在しない
⇒事前知識をつかう
※ボケの修復
①点拡がり関数の情報をボケ画像から得る
例)天体画像⇒星は点光源とみなせる
一般の風景、人物⇒物体境界のエッジに着目
エッジ=ステップ関数⇒ステップ応答
点光源の1次元インパルス関数はステップ関数の1次微分
ステップ応答の1次微分が点拡がり関数
②Ayers-Dainty法
画像と点拡がり関数についての事前知識を使って、画像と点拡がり関数を交互に推定、事前知識で修正しながら絞りこんでいく
_◇各種手ぶれ補正方式
①加算合成方式
手振れが無視できるような短い露光時間で連写、フレーム間の位置ずれを修正し加算
②長短露光2画像合成方式
露光時間の長い画像を画像平たん部に、短い方をエッジ部につかって画像合成
③画像復元方式
通常の露光時間の撮影⇒点拡がり関数により修復
A)ブラインド・デコンボリューション相当
手振れ画像一枚の点光源などを細線化処理、軌跡を抽出
B)ジャイロセンサからの角速度情報⇒軌跡を算出
⇒光学式手振れ補正同様ジャイロセンサを用いるが、補正は画処理なので低コスト
_◇リンギング
修復画像の輪郭付近に現れる波打ち状の模様
※高周波を遮断した伝達関数により高周波成分がなくなり、平たん領域を形成するときに打ち消すべき高周波成分が残ったままになる
※雑音が重畳する場合には、雑音の増幅が問題となる
⇒リンギング低減とは相反
※バイラテラルフィルタなどで輪郭を残したまま、近傍のみを平滑化する
⇒一種の非線形フィルタ、超解像法ともいえる
_◇ブレの測定、補正性能
①静止画テストチャート
理想画像からの歪みや劣化を測る
※手ブレ計測
点光源の撮影⇒軌跡(点拡がり関数)⇒定量化
水平 ヨー
垂直 ピッチ
輝線パターンに対するフーリエスペクトル解析
縦方向、横方向
縦軸:振幅、横軸:規格化周波数
⇒空間周波数領域では微小な手振れでも高域は大きく減衰
⇒直接画像領域で測るより高感度
②動画テストチャート
高速に切り替わるパターンを撮影
例)格子パターン⇒手振れがまったくなければ等間隔
手振れがあるとパターンが移動、回転
⇒乱れからずれ量を時系列にもとめられる
⇒専用のLEDディスプレイが使われる
※撮影画像一枚一枚のテブレ軌跡を求めても偶然性高い
⇒平均的傾向をみる
_◇反射鏡の跳ね上がりによるカメラ内部振動
_◇規格化周波数
画素を大きさΔxの正方形とすると、坐像の波形はΔxの間隔で標本化される
正規化角周波数ω
角周波数Ω
※画像をピクセル単位で考えれば
Δx:サンプリング周期=画素の大きさ(1ピクセル)
正規化角周波数と標本化前の角周波数は等しい
ω=Ω
※画像解像度がD(PPI: Pixcel per inch)のとき、mm単位で考えると
サンプリング周期Δx(mm)は
Δx=25.4/D (mm)
ω=25.4Ω/D
標本化前の角周波数は
Ω=2πf
f:を空間周波数とよぶ
※2次元の周期信号(振幅0~255)
g(x,y)=(255/2)*sin(ω1*nx+ω2*ny)+(255/2)
ここで
ω1=Ω1*Δp
ω2=Ω2*Δp
ω1,ω2 標本化された信号の正規化角周波数
例)256ピクセルで1周期の信号ならω=2π/256
Δp:サンプリング周波数(画素の大きさ)
Ω1、Ω2:標本化前の角周波数
nx,ny=0,1,2…
_◇人間の視覚特性
人間の視覚特性は、デジカメの入出力デバイスの特性とは大きくことなるので、人間の視覚による見え方に近づけるように画像処理するのが基本
※人間の眼の構造
角膜、虹彩、水晶体、網膜
外界からの光は、角膜と水晶体により網膜上の中心窩に結像。
虹彩は瞳孔の大きさを調整(絞り)
網膜、2種の視細胞。
杆体 暗い条件下、明るさのみ
中心窩から離れた方が多い
錐体 明るい条件で、3種存在、異なる波長応答性⇒色彩知覚
中心窩近傍に分布
神経接続、4つの神経細胞
双極
水平
アマクリン
神経節
※画像生成のしくみ
光源
分光エネルギー分布
物体
分光反射率
⇒視角系への入力
反射光分光分布⇒光沢の無い場合
⇒光沢やハイライトを含むと⇒鏡面反射の成分が加わる
⇒人間の可視光、400nm~700nm
錐体の分光感度
※階調特性
人間の環境
夜空の星の明るさ10^-4 cd/m^2
太陽の明るさ10^9 cd/m^2
ディスプレイ
1~1000強、レンジ100~1000と狭い
⇒人間は10000程度のレンジに対応可能
⇒人間の明るさの間隔は非線形
⇒Weberの法則:弁別可能な輝度差は環境光の輝度に比例する
⇒Fechnerの法則:明るさ感覚Rは輝度の対数に比例する
R=k*log(L/L0)
L:入射光の輝度、L0:明るさ間隔の無くなるときの輝度
k:比例定数
⇒Stevensの式(心理物理学)
R=k*(L-L0)^n
n=1/3
⇒生理学的な動物網膜の光応答(Rは電圧)
R=Rmax*(L^n/(L^n + L_1/2^n))
L_1/2はRがRmax/2となるときの光強度
※色恒常特性
人間の視覚系は、照明変化に対して物体の色の見えが大きく変化しない
⇒色恒常性、カラーコンスタンシー
※色順応特性
明るさの変化への対応⇒明暗順応
照明光の変化による色彩の順応⇒色順応現象
※色の見えの空間特性
等色でも、人間は画像の空間構造に依存して、異なる解釈をする
_◇デジカメにおける画像獲得
①量子化特性
入射する光の強度:連続的アナログ量
⇒量子化⇒必ずしも線形な量子化特性ではない
②分光感度
デジカメの分光感度曲線は錐体の分光感度曲線とは直接一致しない
⇒ホワイトバランス
例)赤みの強い白熱灯下では、昼光モードより、赤センサの感度を下げ、青センサの感度をあげる
③HDR
人間の視覚系約10^4:1の明暗比を見分けることができる
⇒デジカメのレンジは狭く、ハイライト部分では容易にレンジを超える
⇒白飛び、画素値の飽和
※HDR(High Dynamic Range)画像
⇒センサレベルでの実現が難しい
⇒複数のシャッタースピードの画像を合成し、ダイナミックレンジの広い画像とする
⇒たとえばシャッタースピードを半分、4分の1などとする
④出力デバイス特性
非線形
※CRTの場合
L=I^γ
L:ディスプレイ輝度値
I:画像デジタル値
γ:ディスプレイのγ、2.0~2.5
※液晶ディスプレイではS字曲線となる
※キャリブレーション⇒ルックアップテーブル
_◇画質改善
※多くの被験者をつかった主観評価
⇒人間の視覚による見え方に近づける
※トーンマネジメント
画像の階調特性を制御して画質を改善すること
⇒その操作=トーンマッピング
※階調変換曲線
TRC:Tone Reproduction Curve
⇒最適な曲線は画像に依存
⇒ルックアップテーブル処理
※レティネックス(Retinex)モデル
古典的な視覚モデル
⇒カメラ画像から照明光の影響を除去することで画質を改善
①空間不変法
画像全体に単一の階調変換を適用する
⇒線形圧縮法
入力輝度レンジをディスプレイの輝度レンジに均等に割り当てる
コントラストが小さくなる
⇒ヒストグラム平坦化法
画像の輝度値の分布に偏り⇒画素値のヒストグラムを平坦化する
輝度値Y(R,G,Bからの変換)
Y=0.299*Ir + 0.587*Ig + 0.114*Ib
Yのヒストグラムで平坦化
特定の領域や輝度レベルで階調性に問題が残ることがある。計算コストが高い。
⇒Weber-Fechnerの法則
⇒Stevensらの指数関数式
⇒ニー(Knee)関数
カメラ内部のダイナミックレンジ圧縮に用いられる
白飛び抑制
低~中輝度の階調レベルは不変
ニーポイント(Knee Point)と呼ばれる閾値以上で高輝度を圧縮
区間的には線形
ニーポイントの設定が重要
⇒シャドーアップ関数(Shadow-Up)
写真撮影のレフ板にあたる
被写体の影部分の黒つぶれを防ぐために低輝度部分を持ち上げる
暗部だけを集中的に明るくするので不自然さを生じる場合があり、局所領域毎に階調カーブを変化させるなどの方法がある
②レティネックス
空間可変のトーンマッピング
局所的な特徴量に応じて、画素毎に異なる階調変換をする
人間は、照明光の影響を排除し、反射率を知覚する
※撮影画像I、反射率画像R,照明光分布L
I(x,y)=R(x,y)*L(x,y)
⇒なんらかの方法でLを推定すればR=I/Lより反射率画像Rが復元できる
※C/Sモデル(Center/Surround)
局所的な照明光をガウス関数の畳み込みによって推定
⇒注目画素の輝度と周辺の平均輝度の比から相対的な反射率画像を得る
※SSR(Single-Scale Retinex)
各画素の処理時に単一のSurround情報のみを使用
⇒勾配の大きい領域の境界で不自然な帯状妨害(Halo)が発生する
対数空間
※MSR(Multi-Scale Retinex)
周辺領域の広さが異なる複数のSSRに加重をかけて合成
⇒出力値が不安定、カラーバランス崩れやすい
対数空間
※線形SSRモデル
σ小だと、照明光推定の意味が薄れる。σ大だとHaloが発生する
⇒ここでもMSR化
⇒パラメータ多く、自動化難しい
⇒計算量大
③HDR、視覚系の順応効果を考慮した方法
網膜応答の関係式(Rmax=1で正規化、L_1/2をパラメータ化)
R=I^n / (I^n + σ^n)
I:シーンの輝度
n:感度コントロールパラメータ、0.7~1.0 Hunt順応モデルでは0.73
σ:半分応答のパラメータ。シーンの輝度に対する順応値、大きく変動する。
※順応モデルの逆変換式からディスプレイ輝度を求める
I=((R/(1-R))^(1/n))*σ
※バイラテラルフィルタの利用
_◇バイラテラルフィルタ
Bilateral Filter
2つのガウシアンフィルタ
①標準空間フィルタ:注目画素と近傍画素の距離を荷重として演算
②輝度に関するガウスフィルタ:注目画素と近傍画素の輝度差で荷重を決める
◆画像認識
_◇シーン分類
撮影時のカメラパラメータの最適化
撮影済画像の検索
※被写体までの距離やシーンの測光値などの情報も加味
_◇パノラマ画像合成
3脚などでカメラの投影中心が移動しなければ継ぎ目なく合成可能
手持ち撮影などでは限界がある
※仮想投影面への射影
円筒、球、平面
⇒投影面により合成画像のしあがり異なる
※動画像の場合には合成条件緩和
⇒しかし、カメラの動きによって複雑にゆがむ
_◇超解像度処理
※一般的バイリニア補間、バイキュービック補間
⇒元画像に存在しない高周波成分は生じない
※超解像度処理
⇒元画像に存在しない高周波画像を生成
※複数画像を用いた超解像処理
同一被写体の任意方向に若干位置連れさせた複数の画像
⇒サブピクセル精度で位置合わせ⇒画像復元
※一枚の画像による超解像処理
⇒サンプリング定理の枠組みを超える
⇒画像の性質になんらかの仮定を置く推定
事例ベースの超解像
フラクタル性を利用した超解像
_◇3D処理
①2組の撮像系
※対物レンズ1枚でも、レンズの左側の画像と右側の画像を光学的に分離すれば可能
※平行移動しながらの動画像から3D化も可能
※完全に1枚の画像からは、シーンに対する仮定が必要
◆顔認識技術関連
_◇顔画像センシング技術の概要
┌顔検出:オートフォーカス、オートアイリス
│    オートフレーミング、インデキシング
└顔トラッキング───顔器官検出+顔向き推定
           │├顔認証
           │├年齢推定
           │└笑顔度推定
           ├顔器官開閉トラッキング
           └肌領域検出、顔輪郭検出
_◇顔検出
※顔の多様性、変化、付加物
※撮影環境
※実装課題
①顔の局所的な領域の明暗差を特徴量とし、多数組み合わせる
②検出は階層構造とする
※Haar-like特徴
2つの矩形領域の平均輝度の差を特徴量とする
⇒顔のさまざまな①に共通する明暗差が存在
⇒非常に少ない情報量で顔の特徴を表現
※積分画像
左上からその画素までの輝度累積値をその画素の値とする
積分画像があると
⇒矩形領域の大きさに関わらず3回の加減算で輝度値の合計を求めることができる
A┌─────┐B
 │     │
C└─────┘D
A-B-C+D
※AdaBoost
顔検出に有効な特徴量を選び出す統計的学習手法
投票型の学習アルゴリズム
※階層的な検出器構造
着目する位置をずらしながら顔を探索
⇒顔を大まかにとらえる構造を先に配置、細部は階層構造の深い位置におく
⇒非顔を高速に落としながら、精度も確保
※大きさ、向き、傾き
大きさ:複数の大きさの画像を用意、小さい画像から判定
向き:例0、45°、90°など複数の検出器を用意
傾き:やはり角度の異なる複数の検出器
_◇顔器官検出技術
※手順
3次元の顔のモデルを作成
それを2次元画像上の顔画像にフィッティング
⇒顔の向きなどによらず、より正確な器官の位置と形状を検出
①3次元顔モデル
マルチアングルカメラで多数の顔を多数の角度から撮影
特徴的な点(目尻、目頭、鼻の両端。。。)を人手で入力
⇒平均3次元座標間を結ぶ
⇒注目点から放射状にサンプリング点を配置
Retinotopic Sampling
各点でHaar-like特徴
⇒3次元顔モデルは回転、縮小拡大など自在
②2次元画像へのフィッティング
※べたなトライ&エラー
※誤差相関学習
_◇笑顔度推定技術
笑顔になったときの特徴を検出
※Haar-like特徴は、顔表面のしわの情報を豊富に含む
※笑顔度=事後確率
※学習
スパースプロビット回帰で人間が100%の笑顔と識別した画像を学習させる
⇒重み係数はラプラス分布
_◇年齢推定技術
おおまかな流れ
①顔検出
②顔器官を見つける(3次元モデルフィッチング)
③エリア毎に特徴を抽出
④これを数十万人の顔画像と実年齢情報から統計学習したものと識別
⑤エリア毎の推定を統合し、推定年齢を算出
※各年齢クラス別の特徴ベクトルが写像された線形空間
入力画像を上記空間に写像、入力特徴ベクトルと各クラスの平均距離算出
⇒両隣のクラスも考慮
_◇顔認証
あらかじめ登録しておいた顔画像と、あらたに入力された顔画像を照合
⇒十分に類似度が高ければ本人と認識する
⇒顔画像の登録が少ない中で特徴の変動範囲を予測、マッチングを行う
※ガボールフィルタ
周波数領域での解析用の特徴量
Haar-like特徴より精度が良いが、速度が遅い
※Haar-like特徴
_◇顔最適撮影
顔の位置を検出し、自動的に焦点や、露出、構図をあわせる
①顔オートフォーカス
顔の領域に最適な焦点をあわせる。
画像内での位置、複数顔の処理など
②顔オートアイリス
顔の領域が最適な明るさや色合いになるように露出を合わせる
③特定個人優先 顔オートフォーカス、オートアイリス
登録特定個人を優先して処理
④赤ちゃん、こども優先 顔オートフォーカス、オートアイリス
画像中から検出した顔のうち、年齢推定により赤ちゃんや子供を優先して処理
⑤顔オートフレーミング
顔が最適な位置に来るように、画像をクリッピング
_◇顔最適タイミング撮影
①笑顔最適撮影
画像から検出された顔で、最も笑顔度の高い瞬間を自動記録
②目つむり防止
対象の顔や全員が目を開いている瞬間を自動的に記録
※類似
顔の向きを推定し、正面に近いタイミングを記録
タイマ撮影者が1名増えたら記録
_◇顔最適補正
①美肌補正
肌領域を認識し、ソフトフォーカスをあて、シミ、ソバカスなどを目立たなくする
②美白補正
肌領域を認識し、より白く+美肌補正
③赤目補正
フラッシュにより発生する赤目などを認識し、本来想定される目の色に補正する
④小顔補正
検出した顔を、つなぎが違和感ないようにしつつ、顔を小さく細く補正する
⑤瞳補正
眼を少し大きく補正、あるいは瞳の中に光をいれてアイキャッチを目立たせる
_◇顔画像検索
①顔インデキシング
人の顔画像の検索用意か
②顔検索
指定の顔が写っている画像を検索
人物別にフォルダ分類
_◇OKAO Vision
オムロン
大量の画像データが基礎
①機械学習で生成
顔、人体、手などの特定パターン
⇒認識時には統計的識別手法を使う
②モデル化
顔や手などの3次元形状モデル
⇒認識時には3次元モデルを2次元画像に適合
(モデルフィッテング)
◆物体追跡技術
与えられた動画像の中で指定対象が、各画像間でどのように移動したかを推定する
※事前に(タッチパネルなどで)指定された追跡対象を後続フレームにおいて探索する
_◇物体追跡の分類
①逐次処理
被写体の初期x0が次フレームにおいて移動量Δx移動したことを順方向に逐次処理
②一括処理
既にある動画像を時空間として、順、逆の両方向から追跡
⇒物体の重なりによるオクルージョン(隠れ)に対して頑健
⇒動画像の撮影後に利用
※双方向追跡
初期フレームと最終フレームで追跡対象を指定
初期フレームから順方向
最終フレームから逆方向に追跡
オクルージョン時には双方の結果から軌跡を推定
_◇物体追跡の応用
※領域ベースの追跡
①オートフォーカス
②オートアイリス
③オートフレーミング
※特徴点ベースの追跡
④パノラマ写真
_◇領域ベースの追跡手法
※同一物体と特定するための特徴量
⇒カラーヒストグラムが多い
※全探索
⇒全領域で、類似度が最大となる位置を見つけ出す
処理量大
⇒アクティブ探索
テンプレートとある領域の類似度が低ければ、周辺の重なりをもつ領域の類似度も低いとして、計算量をはぶく
⇒領域Aと領域Bの重なり率と領域Aとテンプレートとの類似度がわかれば、領域Bとテンプレートとの類似度の上限も判明する
⇒追跡対象に近いところでは密な探索、そうでないところでは疎な探索となる
※局所探索
物体①を推定し、局所を探索
⇒Mean Shift
追跡対象領域のカラーヒストグラム情報をより多く持つ方向に追跡
次のフレームと前のフレームの対象領域のヒストグラムの頻度の比率で重みをつける
同じなら1、
増えるなら1以下(新たに入ってきた別なもの由来)
減るなら1以上(対象領域から対象物が出て行ったから)
⇒重みから移動方向を推定
⇒大きな移動や、オクルージョンの発生に弱い
※確率的探索
⇒Particle Filter
物体の移動位置をあらかじめ予測し、周囲にパーティクルを散らして対象物体と似たカラー情報を持つ領域を観測する
⇒パーティクルの数が多ければ精度が高いが、計算量は増大する
※カラーヒストグラム
フレーム間で変動の多き、アピアランスの変化
⇒カラーヒストグラムは姿勢変化の影響を受けにくい
⇒しかし照明変化でRGB値は変化しやすい
⇒階調数を減らして減色
分割数Qのときの色番号
i=R*Q*Q+G*Q+B
⇒あるいはHSIで明度を除き、色相と彩度をつかう
⇒対象物の面積が異なると頻度が変化するので合計が1となるように正規化する
⇒類似度の算出方法
ヒストグラムインタセクション
Bhattacharyya係数
※ヒストグラムインタセクション
p:テンプレート
q:対象領域
ρ(p,q)=Σ[i=0,n]min(pi, qi)
⇒各色番号の頻度の小さい方の総和を求める
※Bhattacharyya係数
ρ(p,q)=Σ[i=0,n]√(pi*qi)
⇒色番号数が多いときには、ノイズの影響を受けにくい
_◇特徴点ベースの追跡手法
※パノラマ写真
画像上の特徴点を抽出
複数画像間の対応点を複数求めて、点と点を重ねてつなぐ
※特徴点検出
輝度分布(濃淡パターン)の情報を用いる
_◇SIFT(Scale Invariant Feature Transform)
画像の回転や拡大縮小に強い
⇒スケールと回転を整えた状態で領域間の類似度を計算する
※SIFT応用
Photosynth
いろいろな角度で撮影した複数枚の写真を3次元空間に並べる
⇒SfM(Structure-from-Motion)により撮影位置と対応点の3次元位置を計算する
http://phtosynth.net/
◆コンピュテーショナルフォトグラフィー
Computational Photography
「画像認識に不可欠な前段の処理を実行した上で出力するイメージ・センサがあれば、プロセッサは後段の処理に集中できる。」
―――ソニー(日経エレ2012.8.20,P.39)
※画像処理と光学設計の組み合わせ
⇒画像処理を前提にレンズを設計しなおす
※そのまま人間が認識できる画像らしい画像を記録するわけではない
_◇プレノプティック関数とカメラによる記録
※3次元空間を満たす光の分布=プレノプティック関数
I=P(X,Y,Z,θ,φ,λ,t)
⇒干渉、量子的効果は無視
⇒このような光線で埋められた3次元空間をライトフィールドという
※カメラによる光線の記録
⇒画素の面積はゼロではないので、一つの画素がとらえる光の方位(θ、φ)には幅がある。
⇒絞りを絞り過ぎても記録できず
⇒シャッターにも速さの制限があり
⇒波長も狭くしすぎると感度が低下
⇒カメラはプレノプティック関数Pの値を直接得るのではなく、ある範囲の値を積分した値を出力する
⇒積分の工夫がポイントとなる
_◇ライトフィールドカメラ
空間の中の光の位置や向きなどを記録
⇒プレノプティック関数Pを記録する装置
⇒プレノプティック関数の7パラメータをそのまま取り込むのは難しいので減らす
⇒光は減衰せず、直進すると仮定
⇒幾何学的パラメータ(X,Y,Z,θ,φ)を4つに減らす
通過位置(x,y), 傾き(u,v)
⇒λとtは別に考える
⇒カメラ用のライトフィールド表現
I=P0(x,y,u,v)
※通常カメラの2次元⇒4次元(通過位置+光線の傾き)
※古典的カメラアレイ
⇒イメージベーストレンダリング
⇒ViewPlus ProFUSION 25
※主レンズ以外にレンズアレイあるいはマスクで主レンズの特定領域の光だけに感度を持つようにする
⇒コサインマスクを用いたヘテロダインカメラ
※Lytro
センサは通常のCMOSセンサだが、保護ガラス兼用のマイクロレンズアレイが特殊。
撮像素子半径5画素にたいしてマイクロレンズ1個の割合
マイクロレンズアレイはハニカム
撮像素子画素:3280×3280
マイクロレンズアレイ:330×380
生成する画像:1080×1080
⇒ライトフィールドレンダリング?で解像度を上げている
※カメラによる画像撮影過程
①光源
色、配光、強度、配置
②対象
形状、配置、色、反射特性、動き
③反射
⇒光エネルギーは、3次元空間をうめる
⇒カメラはその一部を記録する
④撮影
レンズ特性、撮像素子特性、配置、動き
※空間中の光線の記述
①光線が通過する位置
⇒三次元座標3パラメータ
②3次元空間中の向き
⇒オイラー角3パラメータで表されるが、方向を軸とする回転は無視
2パラメータで表す
③色
⇒物理的には色の概念はないので波長をそのままパラメータとする
④時刻
⇒物体や光源の動きに連動
_◇インテグラルフォトグラフィ
ディスプレイ面のそれぞれの位置から、さまざまな方向へ異なる強さの光を照射
⇒立体視できる
※ライトフィールドカメラが取り込む光線をインテグラルフォトグラフィ方式で投影できれば、立体(窓を通して外を見る感じ)が見える
⇒光線再生方式
_◇コンピュテーショナルフォトグラフィの画像生成
ライトフィールドカメラ
インテグラルフォトグラフィによる再生
通常カメラによる再撮影
※これをコンピュータ内で演算で代替すれば画像となる
_◇デジタルリフォーカス
撮影後に、被写体の任意の部分にピントを合わせなおす
※対象物体が静止していれば、デジタルカメラを上下左右に平行移動させながら多数の画像を撮影することで、原理的にはライトフィールドを取得するこはできる
⇒素直にやれば装置は大がかりとなる
⇒特徴点追跡から、カメラの位置や姿勢を推定
※ボケ生成技術
小口径のレンズで主要被写体の背景などをぼかさせる技術
_◇符号化撮像法
※露光量を減らすと
画像暗くなる、ノイズが相対的に増える
※露光量を増やす(絞り大、シャッター長)
ボケ、ブレ
※積分による情報の喪失
区間一定
⇒積分区間の幅に周期が一定する信号とその整数倍は失われる
⇒ブレ除去などの処理のときに、特定信号が元からないので復元できない
※露光量を保ったまま、細かな情報を取り出したい
⇒符号化撮像法
重みを付けた積分により、信号の喪失がなくなる
(積分の符号化により情報の損失を防ぐ)
①符号化露光
露光時間中にシャッターを難度も開閉
(液晶シャッターなど利用)
⇒照明の明滅でも可能
⇒通常の露光では、露光時間に対応する空間周波数で情報が失われ、空間周波数特性に多数の谷ができてしまうが、符号露光では情報の損失が抑制される
②符号化開口
位置のパラメータX,Y,Zに符号化を適用
※レンズにより画像をぼかす⇒点光源は円形に広がる
⇒この円の半径に対応した元からある信号は失われる
⇒絞り付近に設置したマスクにより符号化開口を行う
⇒点拡がり関数が変化
⇒ボケ除去などに効果あり
※符号化開口技術はX線天文学で発達していた
⇒天文学では対象が無限遠と仮定できた
⇒カメラでは、カメラから被写体までの奥行を求める必要がある
※分光計測(昔から)
⇒アダマール変換分光法。いくつかの波長の組み合わせを計測しておいて、逆変換から分光分布を求める
※正方形画素
⇒その画素の形にぴったり収まる正弦波の情報を失う
⇒微妙にずれた画像を多数用いて解像どを向上させる超解像度処理では、失われたものが復元されるわけではない。
⇒画素をコード化すれば、画像が多数集まれば解像度を高められる
※Wavefront Coding
ボケを得られる光学系だが、対象物体までの奥行によって性質が変わらない
※露光中に撮像素子を光軸方向に移動される
ボケた情報とどこかにピントがあった情報が重ねあわされている
⇒ボケ復元処理により全体にピントが合った画像を得られる
_◇符号化絞りカメラ
Coded Aperture Imaging
符号パターンを入射光に付加することで空間の中の光の位置や向きなど記録
⇒時間軸情報をもった静止画
※絞り形状の変更
LCOS (liquid crystal on silicon)
_◇フォーカス・スウィープ・カメラ
撮像素子を動かすことでさまざまなポイントに焦点の合った複数画像を記録
_◇透明物体認識
※LFD
Light Field Distortion特徴
透明物体による光線の屈折をライトフィールド上でモデル化
_◇Smart Headlight
Carnegie Mellon University
雨粒をカメラで撮影、将来の軌跡を予測して、雨粒がある場所だけ抜けたパターンを投影する
⇒雨粒に反射せず、見通すことができる
_◇3D
_◇超高フレームレート
_◇スペクトラム拡大
_◇距離情報の取得
※ToF
time of flight
距離計測法
光源から対象物に照射した光の反射光から対象物の距離を算出する
①直接到達時間計測
②光源変調、反射光との位相差から算出
_◇ほけ関数
PSF
point spread function
点広がり関数
点光源のにじみの強度分布を関数として把握
◆空間認識技術
_◇ステレオ測距
①個体ごとの補正情報により画像を補正
レンズ位置、ひずみ、向き
②左右の画像の画素同士を照合
⇒視差からカメラとの距離を算出する
⇒各点の3次元座標を生成
_◇SmartAR
SONY
①特徴点抽出
②特徴量算出
③前フレームとの照合
④カメラの動き推定(因子分解法)
⑤カメラの動きにあわせて仮想物体を描画
_◇因子分解法
3次元空間の物体を撮影した複数の画像
⇒物体の3次元座標
⇒カメラの位置、向き
を推定する
※この問題の安定的近似解法
_◇LK法
Lucas-Kanade法
物体の動きをベクトルで表す「オプティカル・フロー」を求める手法の一種

☆偏光、干渉計

◆偏光
 光は横波なので、振動方向は進行方向と直交している。この振動方向を偏光という。電波では偏波という。
◇電気光学効果
偏光面に電界、磁界が及ぼす効果。高速シャッターや光変調器として応用される
①ファラデー効果
光の進行方向に磁界を加えると、光の偏光方向が回転する現象
どのくらい回転するかは、材料により異なる。
②ポッケルス効果
電界を加えた場合に直線偏光が楕円偏光になる現象。
③カー効果
電界の2乗に比例して偏光に影響を及ぼす
◆干渉計
a)マイケルソン干渉計
2つの光路が直交しており、距離測定に用いられる代表的な干渉計
b)マッハツェンダ干渉計
2つの光路が並行であり、試料の屈折率測定などに応用される
c)ファブリペロ干渉計
2枚の平行なハーフミラーの間の多重反射を利用した干渉計で、共振ピークが鋭い
FSR(Free Spectrum Range) ピークとピークの間隔
FWHM:半値全幅 ピークの幅を示す。
※高感度な角速度センサである光ファイバジャイロにはサニヤック干渉計が使われている。
※サニヤック効果
※可干渉性
干渉計で二つのミラーの距離差を大きくしていくと、ついには干渉しなくなる。
→光源の質により干渉できる長さが限られている
→可干渉距離あるいはコヒーレント長
※渉の「よさ」をビジビリティといい、干渉信号の最大値と最小値から式のように定義する
ビジビリティ=(最大値-最小値)/(最大値+最小値)
※微弱信号の検出:ロックインアンプ
断続した光を受光素子で検出する場合、その出力と光源を断続している信号との掛け算を行い、その出力にローパスフィルタを通すと、外乱光や雑音の影響を排除して、微弱な光の測定をすることができる
→発生源が同じ信号だけを取り出す鋭いフィルタ
※表面に弾性表面波の振動を起こす
例)
ベアリングの玉の表面にあるわずかな傷を調べるのに弾性表面波を光で励振する方法
①二つの光を斜めに照射すると干渉縞が生ずる
②干渉縞の周期が励振したい弾性表面波の波長に合うように光の角度を調整
③片方の光の周波数をわずかにずらすと、周波数のずれに応じて干渉縞が横に走る
④この速度を弾性表面波の伝搬速度に等しく調整する
⑤高い効率で弾性表面波が起こる
→弾性表面波の走る方向を選べる
→表面に傷があると、弾性表面波が減衰したり反射されたりするので、そのことから表面のようすを知ることができる。
◆ファブリ・ペロー干渉計
Fabry-Perot interferometer
二つの高い反射能力を持った平面板から成る多光束等傾角干渉計
①二つの平面板は、それぞれの面を光波が何回も往復するようにスペーザーによって互いに平行にセット
②与えられた波長の反射光波の干渉は特定の角度、例えば平面に垂直のみ満たされる
→高解像度の分光器として使える。
→レーザー共振器
ミラー表面に垂直に当たる特定の周波数の光のみが連続反射で強められ、発振モードを形成する迄増幅
◆強度変調方式による距離測定
光強度の変調
最も簡単なのは、光をON/OFF
→反射光は往復の伝搬時間だけON/OFFのタイミングがずれるので、このずれを測定する
※EX-ORとローパスフィルタ(LPF)を用いるだけで、距離に比例した出力電圧が得られる
例)
ON/OFFの周波数が30MHzであるとすると、1周期は10m(往復)に相当
1/1000周期のずれまで読み取れる=5mm(片道)の距離変化がわかる
※正弦波で変調する方式や、複数の周波数で変調して精度を向上させる方式もある
◆光ファイバ
光ファイバは、透明度の高いガラスの繊維であるが、二重構造になっている。屈折率が大きいコアを、やや屈折率が小さいクラッドが取り囲んでいる。コアとクラッドの境界で光は反射するので、細いコアの中に閉じ込められて遠くまで光は伝わる。通信用の光ファイバでは普通、クラッドの直径は125μmで、髪の毛ほどの太さである。実用の光ファイバケーブルでは、クラッドの周りに何層かの樹脂製保護層が設けられている。
クラッド(Cladding)…屈折率小
コア(Core)…屈折率大
①光ファイバの中の後方散乱光
光ファイバは非常に低損失な伝送路である。しかし、さまざまな理由で、光の一部が散乱されて、逆方向に戻り、損失となる。これが後方散乱光である。ガラスの屈折率のゆらぎなどによるレイリー散乱は入射光と同じ波長の光が戻る。ブリルアン散乱、ラマン散乱は異なった波長の光が散乱する現象である。光ファイバに光を伝えると、光ファイバ中に微弱な音響波が発生するが、この音響波による散乱がブリルアン散乱である。ブリルアン散乱では、入射した光とわずかに波長の異なった散乱光が生ずる。通信用光ファイバでは、光の周波数で約10GHz程度の差のある光が生ずる。一方、ラマン散乱は、ガラス分子の振動に起因する散乱で、散乱波の波長は大きくずれる。ブリルアン散乱やラマン散乱は、光ファイバに加えられたひずみや温度で波長や大きさが変わるので、センサ応用に役立つ。
②OTDR(Optical Time-Domain Reflectometry)
光ファイバ中の光速を20万km/sとすると、パルス幅は距離換算で、20万[km/s]×5[ns]=1[m] となる。OTDR計測は反射計測なので往復経路を測定するから、距離分解能は半分の50cm。
③BOTDRセンサ
光ファイバに光を通すと微弱な音響波が生ずることが知られている。この音響波で発生する光の散乱がブリルアン散乱である。ブリルアン散乱された光は、入射した光に対して周波数が10GHz程度ずれる。このずれは、ひずみ量に応じて変化するので、ひずみ量がわかる。パルス光を用いれば、光が戻ってくる時間から距離が求められるので、どこでどれだけのひずみが生じているかがわかる。このように、1本の光ファイバによって、それに沿った長大な距離のひずみ分布などがわかるのが光ファイバセンサの特徴である。
④光ファイバ温度センサ
光ファイバのガラス分子の振動によるラマン散乱光は温度による影響を受けるので、温度センサとして利用することができる。光ファイバに沿った温度分布を遠隔測定する。トンネルや建物の火災検知などの応用が考えられている。ラマン散乱光では、入射した光よりも波長が長いストークス光と波長が短いアンチストークス光が発生するが、アンチストークス光は温度により大きく変化する。パルス光を入射してアンチストークス光が戻ってくる時間から場所を割り出すOTDR法を用いれば、どの場所で温度変化がどれだけ生じているのかがわかる。
⑤ファイバグレーティング
光ファイバグレーティングは、光ファイバ・コアの屈折率を長さ方向に周期的に変調した光ファイバである。変調周期が光波長の半分であると、多数の屈折率変化部分からの反射がすべて強めあうブラッグ反射が生ずる。従って、特定の波長だけ反射する光フィルタとして動作する。これをファイバブラッググレーティング(FBG)と呼んでいる。FBGに引張り力を加えたり、温度変化を与えると周期が変化するので、反射波長も変化する。この性質がセンサとして利用されるのである。多数の反射波長の異なるFBGを1本のファイバ中に設ければ、波長によってどのFBGにひずみや温度変化が生じているかを判別できる。OTDRのような時間で分離する時分割多重方式に対して、このような位置判別法を波長分割多重方式という。
ファイバグレーティング製造法:光ファイバに紫外線を照射して屈折率をわずかに変化させる。周期変化は、二つの紫外線の干渉縞を用いる方法かマスクを用いる。光ファイバにゲルマニウムを加えて高圧水素で処理することで、紫外線に対する感度を向上し、屈折率変化を長持ちさせる。
光ファイバ同士の接続:コネクタ利用。光ファイバのコアの直径は10μm程度。1μm以下の精度で位置合わせ。放電の熱で光ファイバを溶かして接続する融着接続器もある。コネクタよりも光の反射や損失が少ない良好な接続。
※光ファイバコネクタ
フェルール ferrule … 光ファイバから飛び出している部分
平面(端面にマッチングオイル要)
斜め平面(要マッチングオイル)
PC
APC (Angled PC)
※マッチングオイル。。。屈折率整合剤
※PC Phycical Contact
※フェルール端面には触らない、息を吹きかけない、要防塵キャップ、要クリーニング。
※光コネクタの端面を覗き込まないこと(ハイパワーのレーザ光源が接続されるかもしれない)
※光ファイバ、最小曲げ径あり、曲げると断線する
光ファイバ中の偏光:通常の光ファイバでは、外力などによって偏光面は容易に変化。偏光面が保たれる偏波面保存ファイバあり。
光ファイバ中の光の速度:光ファイバのガラスの屈折率は1.5くらい。真空中の1/1.5程度。約2×108m/s。
光ファイバの減衰:光波長によって減衰量は変化。1.5μm帯で約0.2dB/km。1km先で光の強さは5%減。
※光ファイバ通信回線上の損失
①光ファイバ(シングルモード)
0.3~0.5dB/km (1310nm)
0.2~0.3db/km (1550nm)
②コネクタ
0.5dB
③融着(スプライス)部
0.05dB
※光ファイバの種類
①シングル・モード・ファイバ
長距離通信 1310nm/1550nm
②マルチモードファイバ
近距離通信 850nm/1300nm/1310nm
◆OCT 光コヒーレンス・トモグラフィ
◆メタンガスの光吸収特性と吸収分光法
メタンガスは波長1.6537μm に大きな吸収
(メタンガスの分子振動に起因)
→吸収量を測定することでガス濃度を推定
※吸収分光法
光波長をわずかな幅だけ変調して高感度な測定を行う
例)周波数10kHzで波長変調
吸収の最大値に中心波長が一致したときは、波長変調の2倍の周波数である20kHzの信号が出力される。この出力振幅から吸収量がわかる。
◆音響光学変調器
音は媒質の疎密なので、光の屈折率も変化する
①圧電素子でガラスの中に超音波振動を伝える
②超音波の疎密で周期的な屈折率変化が生じる
③これは光に対して回折格子として作用
④超音波のON/OFFで光の進む方向を切り替える光スイッチに利用
※回折された光は超音波の周波数だけ光周波数がずれる
→光周波数をシフトするために使う
◆音響ルミネッセンス
超音波洗浄器のようなきわめて強い音を出すと、媒質の水が光る
※1気圧に達するような高音圧では、負の半周期でほぼ気圧ゼロになる瞬間があり、このとき小さな空洞、あるいは気泡ができる。正の半周期でこの泡がつぶれる瞬間に1000気圧以上の高圧が発生→この瞬間に発光
◆PAS 光音響顕微鏡
◆共焦点の原理
①光源からの光はハーフミラーを通り、レンズ1で集束して、被測定物に当たる。
②反射光はレンズ1で平行光に戻り、ハーフミラーで進路を直交方向に曲げられる。
③別のレンズ2でピンホール上に集められ、ピンホールを抜けた光が受光素子で電流の大きさに変換される
※レンズ1と被測定物の距離L1が、レンズ2とピンホールとの距離L2に等しいときに出力が最も大きくなる
→レンズ1を前後に動かして、出力が一番大きくなる位置を被測定物の位置として記録
→レンズ移動の精密さと、ピンホールの大きさ、受光素子でどこまで小さな電流変化が読み取れるかで分解能が決定される

☆蛍光X線測定

分析試料にX線を照射した時に発生する二次(蛍光)X線の強度を電気的に測定する分析法。広い含有率領域で高い分析精度が得られる分析方法。

☆表面プラズモン共鳴

◆概要
SPR Surface Plasmon Resonance
生体内で起こるさまざまな分子間の相互作用を検出するのに使われる現象。1990年代に抗原抗体反応のモニタリングを基本にスタート。
金膜表面上約1μmという限られた範囲内で起こる反応を、結合した物質固有の誘電率変化によりモニタリング。
特異的結合反応をリアルタイムに検出することができ、“結合の強さが判かり”、“結合の速さまで判る”解析が可能。
◆表面プラズモン共鳴現象の原理
金属薄膜の裏面の照射光は全反射すると同時に金属膜側に微弱なエネルギー波(エバネッセント波)を生じる。また誘電体に接触した金属表面では粗密波(表面プラズモン)が発生し、両者の波数が一致したときに共鳴して反射光が減衰する現象が生じる。これを表面プラズモン共鳴現象と呼ぶ。誘電率(屈折率の2乗)はエバネッセント波に影響し、センサチップ表面で引き起こされる物質間の相互作用は誘電率に差異を生じるため、これが表面プラズモンに影響し共鳴の変化として捉えることができる。
◆構成
レ-ザ光(半導体レ-ザ:670nm)を光学測定部のプリズム側より金膜へ入射する。この時金膜と金膜表面物質(サンプル固定化膜)との境界面に表面プラズモン(電子の疎密波:以下SP)が発生する。レ-ザの入射角度を45~78°まで変化させていくと、共鳴カ-ブが得られる。横軸はレ-ザの入射角度で、縦軸が反射光強度比(入射光強度に対する反射光強度の比率で1.0の時全反射)。これが表面プラズモン共鳴(SPR)現象である。経時的にSPRをモニタリングして金膜表面上で起こる反応を検出する。
◆エバネッセント波
evanescent
屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合、入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射する。その際、1波長程度まで低媒質側の内部に電場が浸透する。(Poynting vectorは境界に並行)その浸透した場をエバネッセント場といい、放出する電磁波をエバネッセント波、近接場光という。
※エバネッセント波の強度は界面からの距離に依存し、指数関数的に減衰する。
_◇誘電率の異なる境界における電磁波の反射
誘電率小→大に波が入射
境界が節になる。短絡端反射。
誘電率大→小に波が入射
境界が腹になる。解放端販社。

☆テラヘルツ波

◆周波数
0.1THz~10THzの電磁波
※電波法上の電波~3THzと赤外線に跨る
※ミリ波
100GHz … 波長約3mm
300GHz … 波長約1mm
※サブミリ波
1THz … 波長300um
3THz … 波長100um
※赤外線
10THz … 波長30um
◆特徴
※テラヘルツ波帯のフォトン・エネルギー
0.4meV~41meV
水素結合、ファンデルワールス結合、固体物質の素励起、分子の回転モード、巨大分子の内部振動モードなどのエネルギーに相当。
⇒さまざまな物質が、特有のスペクトル(指紋スペクトル)を持つ。
※室温の熱エネルギーもテラヘルツ帯
26meV@300K, f=6.25THz
①指紋スペクトル
②適度な透過力
③適度な空間分解能
測定器の開口が数十cm以下で数mm程度が得られる
④水分による大きな吸収がある
⑤水分およびコンティニュウム吸収成分(大気の衝突電離錯体)により、伝搬距離が短い
◆THz-TDS
テラヘルツ時間領域分光法
Terahertz Time Domain Spectroscopy
①パルス発生
フェムト秒レーザパルスを
半導体表面(フォト・デンバー効果)
非線形光学結晶(光整流効果)
光伝導スイッチ
に照射⇒サブピコ秒のモノサイクル・パルス電磁波発生
②パルス光をターゲットに通して検出器で計測
③計測された時間波形をフーリエ変換することで周波数成分を得る。
◆連続波発振技術
従来電子デバイスとレーザデバイスの中間で適当な半導体光源が存在しないギャップになっていた。
テラヘルツ量子帯カスケード・レーザ
THz-QCL : Terahertz Qauntum Cascade Laser

☆磁気計測

◆ホール素子
厚さ数マイクロのゲルマニュウム、ガリ砒素などの半導体素子の一面に制御電流を流す。この素子をこの面と直角の向きの磁束密度Bの磁界の中に置くと、電子がローレンツ力をうけ制御電流とは直交する方向に運動方向が曲がる。これにより発生する直交方向の電圧を検出する。
※直流定電流を流せば磁束密度に比例した電圧が得られる。
※1μTから大きな磁場まで測れる
~10k gauss
※磁界検出分解能 0.1 gauss
※応答周波数は数kHzと遅い
※冷蔵庫につけるフェライト磁石で0.4T
※ホール素子は素子を貫通する磁束密度に比例した電圧を出力する(磁電変換素子)
※出力電圧の極性により磁極を判別できる
※2入力2出力の四端子素子
一般的な接続
IN- … GND
IN+ … 抵抗を介して電源
(素子の定格みたすなら抵抗不要)
OUT-, OUT+
基準電位は入力電圧の中点電位で差動アンプで増幅
vout = K1 * Iin * B
vout = K2 * Vin * B
K1: 定数[V/A・T]
K2: 定数[1/T]
B: 素子周辺の磁束密度[T]
※実際には非対称になり、磁束密度が0でも不平衡電圧(オフセット)が発生する。
_◇ホール効果
Hall effect
電流の流れているものに対し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象。
※主に半導体素子で応用
※1879年、米国の物理学者エドウィン・ホール(Edwin Herber Hall, 1855-1938)によって発見
p又はn型の半導体試料において、x方向に電流を流し、y方向に磁場をかける。この時試料を流れている荷電粒子(キャリア)は磁場によるローレンツ力を受けてz方向に動く。これによって電流と磁場の両方に直交する方向に電場(ホール電場)が現れる。
※磁場の検出に用いられるほか、半導体の電気的特性の測定などに応用
簡単な古典論では、ホール電場をEH、電流をI、磁場をBとして
EH = RHIB
の関係がある。比例係数RHをホール係数と呼び、材質や温度などで決まる。 一般にキャリア密度をn、キャリアの電荷をeとして
|Rh| = γH / n e
の関係がある。ここでγHは散乱因子と呼ばれる。
電流方向の電場をEjとして、
θH = EH / Ej
をホール角(Hall angle)と呼ぶ。
また、電気伝導度σとホール係数Rの積
μH = | RH | σ = μγH
をホール移動度(Hall mobility) と呼ぶ。ここでμはドリフト移動度
_◇ホール素子の出力電圧VH
材料の移動度μHやホール係数RHに依存
→材料の移動度が大きければそれだけホール出力電圧も大きくなる。(このためホール素子の材料には移動度の大きいⅢ-Ⅴ族化合物半導体が用いられる)
※ホール移動度(Hall mobility)
Hallはholeでないので注意!
ホール移動度は電子移動度とほぼ等しい
[m^2/V*sec]
Si 0.15
Ge 0.36
GaAs 0.97
InAs 3.30
InSb 8.20
※半導体の種類 旭化成電子ラインナップ 電子移動度
(cm2/VS) バンドギャップ
(eV)
InSb HWシリーズ 78000 0.17
InAs HZ,HQシリーズ 33000 0.36
GaAs HGシリーズ 8500 1.4
※InSb
電子移動度78000(cm2/VS).
半導体中最大の電子移動度をもつが、温度依存性が大きい。
※GaAs
電子移動度が8500(cm2/VS)
InSbの1/10程度だが、バンドギャップが大きく温度特性が向上
※InAs
電子移動度、バンドギャップの値がInSbとGaAsのほぼ中間の値を示す。高感度で温度特性良好。
_◇不平衡電圧Vos
ホール素子の基本特性の1つ。磁束密度が0の時に出力端子間に生じる電圧。
ホール素子に電流や電圧を流すだけで発生するので残留電圧とも呼ばれる。
※ホール素子の出力端子間には不平衡電圧とホール出力電圧の和が出る
※不平衡電圧はホール素子を製造する際のパターンのアンバランス、不均一性等をはじめとした各種要因による
_◇ホールIC
ホール・センサ、アンプ、コンパレータ、出力トランジスタを1体化したもの。LED点灯、TTL出力可能。
※応用
流量計、パルスエンコーダ、カレントトランス
ドアの開閉検知、歯車の位置検出
→鉄による磁束の位置の移動を見る
_◇ホールICによるモーター回転検出
ブラシレスモーターの高精度な回転制御
(NとSの極性をもつロータの向きを検出する必要がある)
→ホールセンサでロータから出る磁束を検出
→小型化・損失低減を実現
※ホールICの利点
1. 非接触位置検知→耐久性
2. 磁気検出→塵・埃・油などの汚れに強い
3. 小型化・軽量化・損失低減
※原理
ホールIC
磁界強度に応じたON/OFFのデジタル出力
→ロータの位置検知
→モーターロータの磁極に対峙したステータ側に1~複数のホールICを並べて設置することで、その磁石の配置からロータの位置を検知し、回転を計測する
_◇ホールモータ
ホール・センサを使ったDCブラシレス・モータをとくにホールモータと呼ぶ。
※インナ・ロータ型3相ホール・モータ
①マグネットロータ、N極、S極それぞれ1個
→2極着磁タイプ
②ステータコイル、U,V,W相がそれぞれ120度ずれて配置。120度正方向通電、60度オフ、120度負方向通電、60度オフで1回転
ホールセンサはマグネット・ロータが回転することによって生じる磁束密度の変化を検出して電圧に変換、これを位置検出アンプで増幅し、スイッチマトリックスを介してモータドライバを駆動する。
→通電期間のちょうど中心で、ロータのS極とN極の境がコイルの中心と向き合うように駆動電圧を切り替えると効率が良い。
※ホールセンサの電源接続
ホールセンサの抵抗が全て同じ、各素子に加える電圧も同じとして、同一の電源電圧に対して電流制限抵抗を考えると、
①直列接続
他の2相の磁気抵抗効果(半導体に大きな磁界を与えると素子の抵抗値が大きくなる)の影響をうけ波形がひずむ。素子ばらつきの影響を受けやすい
②並列接続
制限抵抗は小さくなり、消費電力は大きくなる。また、温度の影響を受けやすくなる。
_◇ホールモータのゼロクロス検出回路
マグネットロータのN極がセンサに向いているとき、出力は正、S極ならば負、ホール出力電圧が0となるゼロクロス点がNとSの境目である。これは出力電圧の大小に依存しない。
※チャタリング防止のため、ある程度のヒステリシスを持たせるのが良いが、ヒステリシス幅が精度の悪化をもたらす。
_◇InSbタイプのホールセンサ
市場の80%。温度依存性が大きいが、感度が高く、不平衡電圧も比較的小さい
_◇精密位置検出 – Close Position Sensing –
ホールセンサによる微少な移動量あるいは位置の検出
※アナログ出力のホール素子
物体の「1mm」のストローク(移動距離)に対して、「数μm」オーダーの分解能で検出が可能
※「数mm」オーダーのストローク(移動距離)
2個のセンサを配置しそれぞれの出力を演算することで、「数μm」オーダーの分解能での検出が可能
→2個のセンサの温度特性もキャンセルされ、リニアな出力が得られる
→2センサ内蔵(1パッケージ)の製品を使用すれば、実装ずれを気にする必要がなく扱いが容易
※ホール素子による精密位置検出のメリット
1. 非接触で検出するため耐久性が高い
2. 磁気を検出するため、光センサに比べて塵・埃・油などの汚れに強い
3. 小型化が可能
※原理
ホール素子は、磁束密度に比例した出力を得ることができる。ホール素子位置に対し、測定物の移動量に比例した磁束密度がかかるようにレイアウトを設計することで、移動量に比例したホール出力を得ることができる。
_◇ホール効果電力計
ホール効果電力計のホール素子には、負荷電流I [A] に比例する磁束密度B [T] と電源電圧V [V]に比例する電流I [A] が加わり、ホール起電力V H が発生する。 電力に比例するV H は電圧と電流の積の値である。
Vh= K’ * V * I [V]
◆SQUID
Seperconducting quantum interference device
超伝導量子干渉デバイス
<スキッド>
※地磁気の100億分の1測定可能
※MEG Magnetoence phalograph
脳磁計:脳の神経活動に伴って発生する微弱磁場を計測する装置。
※DC-SQUID
超伝導リングに2個のジョセフソン接合を持つ
_◇原理
量子化された電子渦とジョセフソン効果の応用
直線運動をしている電子に磁場をかけると電子は磁場に垂直な面内で円運動をする
⇒微小な回転では電子が一回りしたとき電子の物質波の位相がピッタリ合わないとならないので、電子軌道は飛び飛びの半径を持つ
⇒周回は単位磁束のn倍の面積単位となる
⇒磁束量子化
◆MR素子
磁気抵抗素子
単体センサは2端子でホール素子より小型化可能。
地磁気による方位検出や、紙幣の磁気インク、磁性体の検出などに使われる。
※そのままでは感度は低い。バイアス磁界を加える
※ニッコーシ
MRS-H-21
※Honeywell
HMC1001, HMC1021S
※10GHzまで周波数に依存しない高周波特性があり、応答性にすぐれる
※磁界検出分解能 0.1 gauss
◆GMR素子
※磁界検出分解能 0.01 gauss
◆MIセンサ
磁気インピーダンス素子
_◇MI効果
Magneto-Impedance effect
アモルファスワイヤにパルス電流を流したときのインピーダンスが、微小な外部磁界によりよって極めて大きな変化を示す効果(毛利)
Z=a/(2√(2ρ))*Rdc*(1+j)*√(ω*μ*Hex)
Z:ワイヤのインピーダンス[Ω]
a:ワイヤの直径[m]
ρ:比抵抗[Ωm]
Rdc:直流抵抗[Ω]
ω:通電電流の角振動数[rad/sec]
μ:周方向の透磁率[H/m]
Hex:外部磁界[A/m]
透磁率μがワイヤ軸方向の外部磁界Hexによって変化するので、Zの変化から外部磁界の強さを検知できる。
※アモルファスワイヤではワイヤ表面のスピンの配列が円周方向にならぶ磁区構造をとり、μの変化が大きくなる
_◇MI素子
磁気インピーダンス素子
※Zから直接は磁界の方向は判断できず、直線性が出ないが、ワイヤにピックアップコイルを巻いて、誘導電圧を検知することで磁界の方向が判別でき、出力特性も直線的となる。
ピックアップコイルに発生した電圧をピークホールドし、差動アンプで増幅する
※アモルファスワイヤ(例
外径20μm
長さ1.5mm
◆地磁気センサ
_◇MR(magneto-resistive)素子
外部次回の強度変化とともに抵抗値が変わるパーマロイ(NiFe)など金属軟磁性体のMR効果を利用する。
_◇ホール素子
_◇AMI201
http://aichi-mi.com
ワンチップ電子コンパスIC
MIセンサ2個を直交配置
3.1×3.4×0.8mm 6mW, 10kHz
±3gauss (0.3mT)
200mV/gauss
直線性=フルスケールの1.3%
X,Y切り替えてアナログ信号を出力。
10ビットのA/Dで1°の分解能が可能
※方位角θ
tan(θ) = Hy / Hx
X軸とY軸の磁界から求められる。θが45°を超える場合は、cotから求めたほうが計算精度の低下が少ない。
※偏角、日本では西に7°
※キャリブレーション
地磁気中で水平に一回転させることでサインカーブを計測し、オフセットとゲインを求めてソフトウエア的なキャリブレーションに使用できる。
※2Dなので傾けると誤差がでる
※エレベータ内などは磁気シールド効果で地磁気が弱い
※鉄道の架線付近では外乱磁界強い
_◇HM55B
X,Y2軸のホールセンサ, 11ビットA/D変換器内蔵。シリアル出力。X,Yの地磁気の強度を出力する。3V電源。
http://www.hitachi-metals.co.jp/
_◇方位についての情報
http://www.kakioka-jma.go.jp/
気象庁地磁気観測所
http://wwwl.kaiho.mlit.go.jp/
海上保安庁
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/
国土地理院
_◇地磁気計測
機器ないの電流や磁性体部品から発生する地場の影響をいかに抑えるか。(オフセット磁場の補正)
◆サーチコイル
コイルに鎖交する磁束が変化すると誘導起電力が生じることを利用しているセンサ
コイル断面積:πr^2
コイルに鎖交する磁束密度:B
コイル巻き数
Vout = -n*π*r^2*(dB/dt)
※直流磁界は検出できない。交流磁界のみ。
◆リードスイッチ
2本の強磁性体リードが適当な接点距離で相対した状態でガラス管に封入されたもの。外部からリードの軸方向に磁界が加わるとリードが磁化して接点が閉じる。外部磁界を消せば、リードの弾性により回路が開く。
※接点寿命は1000万回程度
※NECトーキン
◆着磁状態可視化シート
磁性流体(界面活性材の相互反発とブラウン運動によって磁性超微粒子が媒体中で凝集しないようにした複合材料)の層をつくったもの
◆フラックスゲート磁束計
高感度。励磁コイルとピックアップコイルがトロイダルコイル・コアに巻かれている。励磁コイルに、コアが飽和するのに十分な電圧振幅の矩形波を加える。コアが不飽和な領域では、伝ry風は直線的に増減するが、コアが飽和すると、大電流のスパイクが流れる。外部磁界により、このスパイクの流れる位置が変化する。
※磁界検出分解能 10^-6 gauss
◆プロトン磁力計
NMRの周波数が、外部磁界に比例することを利用した高精度磁気センサ。
プロトンを多く含んだ、ケロシンあるいは水をいれた非磁性の容器の周囲に巻かれたコイルに直流電流を流して励磁、プロトンのスピンを同じ向きに揃える。励磁用磁界が消失すると、プロトンは外部磁場の方向に沿ってラーモア歳差雲度を行いながら減衰し、ランダムな方向に緩和される。このときコイルに発生する微弱な交流電流を増幅して周波数を求めると外部磁界の強さを測定できる。
2πf = rp |B|
rp: 原子核回転磁気率
※オーバーハウザー磁力計
励磁を共鳴周波数の交流パルスで行う
◆ファラデー効果
磁気旋光
ある物質に磁場をかけ、それと平行な方向に直線偏光を透過させたときに偏光面が回転する現象
⇒ファラデー回転(Faraday Rotation)
α=V*H*l
α:旋光度
V: ベルデ定数(物質の種類と偏光の波長、温度に依存する)
H:磁場の強さ
l:偏光が通過する物質の長さ
◆磁気光学カー効果
Magneto-optical Kerr effect
直線偏光を磁化した材料の表面にあてると、反射光が楕円偏光となる現象

☆ラマン分光

◆ラマン効果
物質に光を入射したとき、物質内の分子や結晶の振動準位や回転準位、電子準位によって、光が変調され、入射光と異なる波長の光が含まれる現象。光電場の振動と物質側の分極率の振動を掛け合わせた結果の「うなり」である。
※レイリー散乱の振動数より低いストークス成分と高い反ストークス成分があり、それぞれ基底から励起への遷移とその逆に対応しており、両成分の強度比から確率比が分かる。
※中間状態で入射光のエネルギー近傍に対応する電子状態が多いと、ラマン散乱強度が著しく増大する共鳴ラマン散乱が起こる。
◆レイリー散乱
光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱。散乱係数は波長の4乗に反比例する。
※光の波長と同程度以上のサイズの粒子による散乱はミー散乱と呼ばれる。
α=πD/λ
D:粒子直径
λ:波長
α<0.4 レイリー散乱領域
0.4<α<3 ミー散乱領域
α>3 回折散乱領域

☆ライダー

レーザ光によるレーダ
①空に向かってパルス光を撃ち出す
②逆散乱光を望遠鏡で観測
※物質の光吸収特性やラマン散乱などから、上空の有害微粒子やガス濃度を調べるのに利用
※ドップラー効果によって流れを観測するライダー
※飛行機の機首に搭載して、気流の乱れを知る

☆流体計測

◆流量測定時に考慮する点
気体か液体か、
気体は腐食性かそうでないか、
液体は導電性かそうでないか、
流れている状態は常に対象物で満たされているのかそれとも一部だけか、
液体なら泡が生じているのか、
管内に障害物はあるのか。
温度によって変わる体積を考慮して補正計算をするにはどんなデータが必要なのか
◆超音波式流量計
水流の向きと逆向きの2方向にそれぞれ発信器、受信器を配置して超音波パルスを発射。かかる時間と間の距離から音速を測り、その差から流速を求める。
※数十 MSPS の高速シグナルチェーン
◆電磁流量計
電磁流量計は、磁気コイルを巻きつけた非強磁性のチューブで構成されている。絶縁されたチューブの内面上にある電極は、チューブ内を流れる(伝導性のある)液体に接している。パイプの周りのコイルによってチューブ内に磁場が形成され、液体の速度に比例して、液内に電圧が誘導される。
※チューブ内の液体の速度を測定する。チューブの直径は既知なので、流量を計算することができる。なるべく電気抵抗の小さい液体を使用する必要がある。不導性の液体を使用して流量を測定することはできない。
※流体材料を扱う工場では主力の高信頼計測器
◆コリオリ流量計
振動を利用して低周波の力による偏向からチューブ内の液体の流量を測定する。誘導センサによって機械応力が測定および検出される。電圧が非常に低いので、高精度で、低ノイズの計測アンプがフロント・エンドで必要となる。
※実際にチューブ内を流れる液体の質量を測定できる。
◆フローセル流量計
◆羽車式
◆ガスメータ
蛇腹の円筒によるマス計量方式
◆水位計
河川における水深の計測
①フロート式
②デジタル式
③圧力式
④ダイバー水位計

☆EO結晶

Electro-Optic
非線形光学結晶
EO効果

☆応力、圧力、歪

◆ストレインゲージ
http://www.tml.jp/
_◇原理
電気抵抗線ひずみ計
金属線を引き伸ばすと電気抵抗が増す。これを利用して物体のひずみ、変位、力を電気抵抗変化で測定する。
抵抗線の長さの変化δL/Lに対する電気抵抗変化δR/Rの関係
δR   δL
--=S*--
R    L
S:ひずみ感度係数
※抵抗変化が幾何学的寸法の変化だけに起因するものと考えると、ρを比抵抗、Aを断面積として
R=ρ*(L/A)
より
δR/R=(δL/L)-(δA/A)=(1+2σ)*(δL/L)
σはポアソン比であって、普通の金属材料では共通におよそ0.3.
故にSはおよそ1.6になるはずだが、多くの金属では、伸縮により比抵抗ρも変化をきたしSは異なる。
_◇構造
絶縁シートの上に金属でできた抵抗でできた抵抗体を格子状に折り返したエレメント
※金属でできた箔を圧延、ベースと接着したのち、エッチングで形成
   │          │
   ├←───②────→┤
   │          │
─┬─╋━━━━━━━━━━┫ゲージリード
 ↑ ┃↑┏━━━━┯━━━╋━━━━━
 ① ┃③┣━━━━┿   ┃
 ↓ ┃↓┣━━━━┿━━━╋━━━━━
─┴─┻━┿━━━━┿━━━┛
     │    │ ゲージベース
     ├←──→┤
     │ゲージ長│
①ベース幅
②ベース長
③ゲージ幅
_◇ゲージ抵抗
①120Ω
一般的な応力測定
②350Ω
荷重計(変換器)
※海外では応力測定にも350Ωを使用することが多い
※500、1000Ωなどは特殊
※60、240は組み合わせて120Ωにすること多し
※高いほど消費電力減り、高い電圧加えられ測定楽になるが、リード線を延長したときにノイズの混入の可能性大
_◇ゲージ長
0.1mm~90mm
※2mm、5mm程度が多用される
※応力集中しそうな部分を詳しく測るには短いゲージ長
※複合材料(コンクリート、FRP)などでは不均等があるため、長いゲージ長で平均化する
※短いゲージ長では自己発熱の熱放散が悪いと測定エラー大となる
_◇ゲージ率
歪感度係数は原理的に約1.6であるが、抵抗率自体の変化等をいれて
※ひずみ量に対する抵抗値の変化量=ゲージ率
  1 ⊿r
K=-*--
  ε R
R:ひずみゲージの元の抵抗率
⊿r:抵抗変化分
ε:物体のひずみ量
K:ゲージ率(約2)
※ゲージ率はひずみゲージのロット別に測定してパッケージに記載される
_◇歪ゲージの型番
FLA-5-11-1L
FLA:一般用
QFA:高温用
CFLA:低温用
GFLA:プラスチック用
ゲージ長
1,2,5mmなど
適合温度係数
11:鉄
17:ステンレス
23:アルミ
リード線長さ
1,3,5mなど
配線数
L:2線
LT:3線
_◇分解能と単位
100万分の1(マイクロ)が最小分解能。便宜的な単位としても用いられる。通常の測定対象では1000分の1オーダとなると破壊する。
_◇抵抗線材料とひずみ感度S
白金        4.1
ニッケル    -12~-20
アドヴァンス    2.1
(銅ニッケル合金。相対温度効果がすくない)
イソエラスティック    3.6
(ニッケル、クロム、鉄。相対温度効果がやや大きくなるが、感度がよい)
※温度変化は影響するが、試験片も熱膨張があるので、温度係数そのものより相対温度効果が小さいことが望ましい。例えば試験片が鋼であれば、鋼に対する相対値として、1度の温度変化によって生じる正味の抵抗変化を等価な応力の大きさで割ったものを相対温度効果と称する
⇒温度1度の変化に対して生ずる正味の抵抗変化を、等価な応力の大きさ kg/cm^2で表したもの
[kg/cm^2*deg^-1]
_◇ゲージの形状
①グリッド型
通常のいったりきたり
②ソレノイド型
裏表で巻きついた形
③ロゼット型
方向もみるために傾きをつけた組
※ゲージの長さLは、その間でのひずみの平均値が測定されることから標点距離という。
1.5mm~200mmくらい
※グリッド型の25mmが代表
※抵抗値は50~2000Ω程度だが、120Ω、350Ωが普通
※フォイルゲージ
⇒放熱が良く、許容電流が大きい。絶縁性が良く水中でも使える。
_◇ホーイトストンブリッジ回路
    ┌──────┬──○
  ┌─┴┐   ┌─┴┐ ↑Vin
  │R1│   │R4│ │
  └─┬┘   └─┬┘ │
 ┌──┤      ├─┐│
 │┌─┴┐   ┌─┴┐││
 ││R2│   │R3│││
 │└─┬┘   └─┬┘││
 │  └──────┴─┤○
 │ Vout      │
 ○←──────────○
4つの抵抗値がまったく同じならVinにかかわらずVoutは0.
R1の抵抗がR1+⊿rとなったとすると
Vout=(⊿r/4R)Vin
ゲージ率の式を代入して整理すると
Vout=(ε/2)Vin
※ホイートストンブリッジの抵抗は、できるだけ温度による変化の少ない高精度抵抗を選ぶ
※入力オフセット電圧の温度ドリフトができるだけ小さいOPアンプを利用する
AD623A、AD627
INA114
※ブリッジとアンプの電源は同じ
※反固定抵抗によるバランス調整
※温度補償のため、R1をアクティブ、R2をダミーとしてアクティブに測定歪を与え、ダミーを無歪とする
(実用的には歪の生じる方向にむけたものをアクティブ、これと直交する方向に向けたものをダミーとしてもよい)
_◇測定回路
※ブリッジ回路で測定するが、2個のゲージを使い、一方に歪を、他方には歪を与えない板にはり
温度補償用とする。
    アクチブゲージとダミーゲージ
※4個歪ゲージ→フルブリッジ
※1個歪ゲージ、3受動抵抗→クオータブリッジ
※1端子、2歪ゲージ、ハーフブリッジ
温度係数の相殺
1ゲージ法
リード線の配線抵抗の温度変化によってドリフトが生じやすい。
    ┌──────┬──○
  ┌─┴┐   ┌─┴┐ ↑Vin
  │S1│   │R4│ │
  └─┬┘   └─┬┘ │
 ┌──┤      ├─┐│
 │┌─┴┐   ┌─┴┐││
 ││R2│   │R3│││
 │└─┬┘   └─┬┘││
 │  └──────┴─┤○
 │ Vout      │
 ○←──────────○
1ゲージ3線法
リード線の長さが同一にでき、配線抵抗が同一に近くなるので、ドリフトがキャンセルできる
    ┌──────┬──○
  ┌─┴┐   ┌─┴┐ ↑Vin
  │S1│   │R4│ │
  └┬┬┘   └─┬┘ │
 ┌─┘│      ├─┐│
 │┌─┴┐   ┌─┴┐││
 ││R2│   │R3│││
 │└─┬┘   └─┬┘││
 │  └──────┴─┤○
 │ Vout      │
 ○←──────────○
2ゲージ法
表裏2枚に張ることで曲げ成分を測り、伸び縮み成分をキャンセルする
同種、同ロットのゲージならば温度変化によるドリフト分もキャンセルできる
    ┌──────┬──○
  ┌─┴┐   ┌─┴┐ ↑Vin
  │S1│   │R4│ │
  └─┬┘   └─┬┘ │
 ┌──┤      ├─┐│
 │┌─┴┐   ┌─┴┐││
 ││S2│   │R3│││
 │└─┬┘   └─┬┘││
 │  └──────┴─┤○
 │ Vout      │
 ○←──────────○
4ゲージ法
ロードセルなどで使われる。外乱に強く、安定して信号を取り込める
    ┌──────┬──○
  ┌─┴┐   ┌─┴┐ ↑Vin
  │S1│   │S4│ │
  └─┬┘   └─┬┘ │
 ┌──┤      ├─┐│
 │┌─┴┐   ┌─┴┐││
 ││S2│   │S3│││
 │└─┬┘   └─┬┘││
 │  └──────┴─┤○
 │ Vout      │
 ○←──────────○
※電流を流した方が感度が良いが、自己発熱の問題がある。
350Ωで22.5Vの場合、32.2mA流れる
⇒0.0012ひずみ(1cm鉄棒に2t)⇒不平衡電流27.5uA
※湿気によるサビは抵抗を変化させるのでワセリンなどで保護する
_◇交流駆動
1kHz~3kHz程度の交流でブリッジを駆動し、不平衡電圧を増幅し、整流してメータで読む
_◇温度の影響
物体は温度により伸び縮みするので、温度変化による変形分は応力測定から除きたい
※線熱膨張係数。。。温度変化に起因する変形率
鉄 11.8e-6
銅 16.5e-6
ステンレス 29.8e-6
アルミニウム 23~24e-6
ガラス 8~10e-6
コンクリート 7~14e-6
※自己温度補償型センサ
歪ゲージの抵抗温度係数を測定対象の線膨張係数とちょうど逆の特性を持たせたもの
_◇歪ゲージの貼り付け方
①サンドペーパーでサビ、汚れをとる
②アセトンなどで油脂成分を拭う
③ゲージの裏に瞬間接着剤を1滴
④試験体にゲージをおき、ポリエチレンシートで1分ほど押さえる
※湿気による接着材の膨張、機械的性質の劣化、絶縁劣化の防止のため、ワセリンを塗るとよい
※棒のネジれを測る場合は、側面に45度に傾けてはりつける。
_◇ひずみと応力
σ=Eε
σ:応力[N/mm^2]
E:弾性係数[N/mm^2]
ε:ひずみ
_◇TIPS
※重量でなく、質量を測定するには、適応箇所の重力を知っておく必要がある。
※歪ゲージの接着
接着するエリアを磨く
※温度範囲は適切か
※被測定部品の応力と歪の関係を把握できているか
※異方性の材料ではないか
グラスファイバ、カーボンファイバ
2方向、3方向を同時測定必要
→ロゼット歪ゲージ
※応力がかかった状態で歪ゲージを接着していないか
ヒステリシス
※歪ゲージはある領域の歪の平均
穴などの応力集中が、平均により低めにでる
※加工による残留応力
※静電放電によるセンサの破損
※衝撃荷重や運動量の影響
※速乾性のエポキシ接着剤→発熱
※厚い接着層→部品とゲージの間の隙間の歪
※ゲージリードの熱電対効果
※配線の長さによってはS/N悪くなる
_◇半導体歪ゲージ
半導体結晶のピエゾ抵抗効果を利用したものもある
⇒感度が高い(ひずみ感度係数数十倍)
⇒ただし、抵抗が絶対温度Tにほぼ比例して増大
⇒ドリフトがおおきい
(2ゲージを接近させてアクティブ、ダミーとするとよい)
※MEMSでダイアフラムを形成。
_◇ロードセル式スケール
アルミ合金で作られた起歪体に歪ゲージを貼り付け、重量がかかったときの歪を測定して重量に換算する。
※ロードセル例
CB17-1K ミネベア
_◇ひずみゲージの応用
デジタル式体重計
米の分量を自動で測れる電気釜
自動で洗剤分量を示す洗濯機
◆容量ひずみ計
1枚の可動極板を共有する2個の平板コンデンサにより差動的に容量を変化させる。これでコンデンサブリッジ回路を組み発振器で交流電圧を加え、ブリッジの電圧を測定する。
◆その他の歪計測
_◇エポキシプラスティックによるモデリング
_◇StressCoat
脆性のラッカー。塗料のひび割れを見る
StressKote社
_◇PhotoStress
光フィルムの偏光
Vishay Intertechnology
◆電磁式スケール
天秤の一方に分銅を載せるかわりに電磁力を加えて釣り合わせる。精度が高い。
◆音叉式力センサ
◆圧力
_◇ゲージ圧
大気圧を基準にして測定した圧力
※大気圧下で0MPaを指すゲージを用いたときの読み
_◇気圧計
①フォルタン水銀気圧計
気象観測の標準計器。。。水銀
1013hPaのとき74.6cm
②アネロイド型気圧計
周囲を密閉して内部の気圧を低くした空ごうの伸び縮みを利用。
③電気式気圧計
_◇圧力計
長野計器 http://www.naganokeiki.co.jp/

☆体積、形状

◆レーザー干渉縞
◆液面計
電波、超音波
◆表面粗さの測定
_◇表面粗さ
※うねり
大局的な不平坦
※表面粗さ
細かい不規則な凹凸
_◇触針法
細かく振動する針の動きを光学テコにより拡大して読み取る。

☆位置、姿勢、長さ(距離)、速度、加速度

◆長さの基準
_◇線度器
国際メートル原器など、物体表面の標章間の距離で示す。膨張係数の低い合金が使われることが多い
※36% Ni-Steel 膨張係数 1e-6
⇒鋼11e-6
※不慮の破損、長さの経年変化などがありえる。
_◇波長基準
メートルの定義
[85:36]Kr原子の2p10-5d5間の遷移に対応する光波の真空中の波長の1650763.73倍
_◇端度器
金属塊の2端面の距離をもって長さの基準とする標準器
※線度器は顕微鏡を必要とするが、端度器は合わせれば分る。
※ブロックゲージ
密着すると強く固着し、和の長さを組み立てられる。
油などの薄膜の厚みは0.008u。合成長は個々の長さの和よりも0.06uほど短くなる。
正しい長さを示す温度は、インチ系、メートル系と会社により異なる
※標準バーゲージ
球面型端面のものは、2平面の間隔を測る場合、軸の傾斜によらない
※鋼球
ボールベアリング用の鋼球を選別して用いる
選別には、ナイフエッジの次第に広くなる間隙の上を転がす⇒径に等しい間隙で落下する
⇒常に同一場所に落下するものを選べば真球
樋から平面に落下させ、常に同じ位置に落ちるものを選べば焼きの一様性もみれる
※挟範
限界寸法
最小隙間~弛すぎる嵌合
リミットゲージ
ギャップゲージ
go通り側
not go止まり側
プラグゲージ(栓ゲージ)
◆長さの測定法
_◇テコの応用
変位を拡大するのにテコを使う
⇒支点と力点の間隔を小さくしき、これに長い指針を取り付ければ、微小変位が指針先端に拡大されて現れる。
※光学テコ
指針の代わりに反射鏡をつかって光の振れを観測する
たわまずにうでの長さを大にできる
反射角により倍率が2倍となる
※ローラー、ナイフエッジ、ラックピニオン、歯車も変位を回転角に変換するテコの延長の方法
※発条テコ
※つるまきばねの両端を引くと両端に回転が現れる。逆巻を中央で接続すると伸びが接合点の回転となって拡大率が増大する
⇒弾性を利用しているのでテコの支点の遊びや摩擦の問題がない
①ミニメーター
内蔵するテコによって微小な寸法の違いを測定する装置
②オプチメーター
光学テコにより、ミニメーター同様の微小な変位の測定をする装置
③マルテンスの伸び計
弾性率などの測定用に試験片の伸びを精密に測定する。ナイフエッジの傾きを反射鏡で読み取る。ナイフエッジを試験片の両側に取り付けて双方で測定することで、たわみ成分を相殺することができる。
④ミクロケーター
mikurokater
ねじった帯ばね中央の指針により微小なスピンドルの動きを拡大して読み取る
⑤細線測定器
⇒零位法を使っている
⑥ダイアルゲージ
ラックピニオンで直線変位を回転に直し、平歯車で拡大して指針を回転させる。歯車の遊びなどによる誤差を除くために、心棒をばねで非測定物に押し付けるとともに歯車にはぜんまいで逆方向に力を与える。
_◇斜面の応用
底辺ACと斜面ABの挟む角をαとする。
高さlは底辺Lに対し、
L = l / tanα
αが小さければlの代わりにLを測ることで拡大される
α=3°で約20倍となる
※ねじ=円筒の表面に斜面を巻きつけたもの
1回転のねじの進む距離=歩み(h)
①重ね楔
環の円形を測る。両側から差し込んで楔の両端の間隔をはかり径を計算する。
②2個の鋼球による内径測定
直径の分かった2個の鋼球を環の中に置いて高さHを測れば内径が得られる
D1+D2
-----*√(H*(D1+D2)-H^2)
  2
③イミクロ内径測定器
テーパネジをスピンドルの先につけ、測定子を押し出して内径を測定する。
④マイクロメータ
U字枠の一端にアンビル、他端に套管(雌ネジ)
スピンドルの雄ネジがこれにはまる。
スピンドル外側のシンブルにより1回転0.5mmの歩みを50分の1で表示し、1/100mmの前進を示す。
測定圧を一定にするため、ラチェット・ストップがある。⇒押す圧力がある値に達すると外れて空回りする
※差動ねじ
2つの僅かに異なる歩みを持つネジ2つと滑動ナットを組み合わせる、回転により歩みの差だけ僅かにナットが動く
_◇平坦度測定
※水面:5mの中央の誤差約1μm
⇒地球の半径6370kmが大きいので平面と見なせる
※水面への端子の接触
電路の開閉により検知する
下から 接触前は全反射鏡面
接触後は急に暗くなる
針先は錆、油のないこと、白金針
※ゴム管で連通した水銀容器を移動させて水銀面の差をマイクロメーターネジで測定する。
_◇顕微鏡応用
①接眼マイクロメーター
移動細線2本の間にしたの線を挟んで読み取る。精度約1μ。
②アッベの厚み計
厚みを測定する物体をスピンドルで押し(釣合錘により測定圧は小さい)、上部の標準尺の値を接眼マイクロメータで読み取る
③比長器
メートル原器のような線度器と線度器の比較に用いる
横動 傾きによる誤差を生じる
縦動 傾きによる誤差を生じない
※光電顕微鏡
光パルスを大きさ等しく符号反する電圧に変換し、これを時間積分して中点(0)からの偏りを得る
⇒観測者の個人誤差が除かれる。人間の輻射熱の影響がない。
④真直度の測定
_◇望遠鏡応用
①カセトメーター
2点間の鉛直距離を測る
②距離計
range finder
いわゆる三角測量の原理だが、基線が短いので一方の角を厳密に直角とし、他方の角を精密に定める
左右2つの対物レンズの像をプリズムもしくは鏡で共通の接眼鏡に導いて見る。像のズレをε、対物レンズの焦点距離をfとすると、左右にはいる光線のなす角ωは
tanω≒ω=ε/f
一方基線の長さをb、目標までの距離をEとすれば
tanω≒ω=b/E
両式から
E = (b * f)/ε
※実際には差を測るのでなく、像を合致させるためのプリズムの動きからεを測る
※外筒の両端に5角プリズムもしくは5角プリズムに相当する2枚のガラスで光線を90度曲げる。単純な鏡では傾きや、熱膨張、たわみなどで90度の確保が難しいが、5角プリズムでは2回の全反射で打ち消しあう効果により傾きの影響をキャンセルできる
※まったく倍率の同じ2枚のレンズを作れないため、片方には等倍力レンズを用いて調整する
誤差 dE=-(E^2)dω/b
肉眼による観測誤差dωの場合望遠鏡の倍率Mでわって
誤差 dE=-(E^2)dω/(b*M)
※生理科学的限界角は
点はほぼ53秒
直線は23秒
※基線長3m、倍率35倍の距離計で
1000mで誤差0.6m
15000mでは誤差130m
※基線長1m、倍率11倍で
15000mでは誤差1000m
③直距離高度計
直距離と高さを同時に求める装置。
距離は距離計と同じ原理、水平で距離を測り後仰角を測って高度を求める
④潜望鏡
_◇干渉縞
光:異なる経路を経て再び相会するとき干渉の現象を生ずる。
⇒経路差:波長の整数倍、同一の位相で会するので強め、半波長の奇数倍のとき、反対の位相で会するので弱まる
※ニュートン環
平面ガラス上の曲率の小さいレンズに単色光を送る
⇒接触点を中心に同心円状の縞が現れる。
⇒レンズ内側の反射=位相変わらず
⇒平面ガラスの反射=位相逆転
d:空気層の厚さ、n整数
2*d = n*λ + λ/2 のところで明るくなる
2*d = n*λ のところで暗くなる
※平面度の検査
水銀灯>緑色フィルタ 5461Åスペクトル線
※ブロックゲージ
※干渉比長器
_◇光量の測定
光学格子
※重ね格子
格子間隔の等しい線格子を平行にして、一方をずらすと、透過光は周期的に明暗する。等速であれば周期は格子の間隔に等しく、間隔が狭ければ同じ光量変化がより微小な変位で生ずる。光電素子で光量を測定すれば変位を測定できる
※影縞
格子間隔のわずかに違う格子を重ねるとある部分では光を透過し明るく、ある部分ではさえぎって暗くなる。
(音波の唸りと同じ)
⇒篩の目の粗さなど
※モアレ縞
格子間隔の等しい線格子を角θだけ傾けて重ねる
縞の間隔Lは格子間隔λにたいして(θ小さい)
L=λ/θ
格子の変位が1/θに拡大される
光電流の強弱の変化をパルスにして数えることで変位を測定できる
_◇オートコリメーション
autocollimation
_◇視差からの距離算出
D=B * f/Z
D:ステレオレンズからの垂直距離
B:ステレオレンズ間距離
f:各レンズの焦点距離
Z:CCD上での画像位置の差
_◇レーザー距離計
_◇インダクタンス変化利用
プランジャーので可動鉄片を動かし、インダクタンスを相対変化させる
⇒交流インダクタンスブリッジで測定
※エレクトロリミットゲージ
※フライングマイクロメータ
※差動変圧器
鉄心の変位を交流電圧の大きさとして測る。変位の正負に応じて交流電圧の位相は反対になる
※インダクタンス・ブリッジ
圧力、流量、温度などの記録装置の機構
※超測微計
LC共振回路
f=1/(2π√(LC))
ここで、Cの極板面積をA,間隔をx、誘電率をεとすると
C= ε * A/x
より
f=√x/2π√(L*A*ε)
df/dx = (1/2)*(1/2π√(L*A*ε*x))
df/dx = f/(2*x)
⇒fが大あるいは、xが小なほど感度が良い
振動数1MHz, 間隔0.025mmであれば
df/dx = 2e10 (Hz/m)
振動数100kHz, 間隔0.5mmであれば
df/dx = 1e8 (Hz/m)
1umの変位が1Hzの変化となる
◆厚みの測定法
_◇鍍金層の厚み
鉄板につけた非磁性材料(錫など)の被覆は、磁気的方法が使用できる。コイルを巻いた軟鉄棒を皮膜の上にのせ一定電圧を交流をかけると厚みに応じて電流が変化する
⇒測定圧を一定にすること
_◇β線ゲージ
β線は、紙、ゴム、アルミニウム、錫、黄銅、鉄などの薄板を透過するとき、単位面積あたりの質量により吸収の度合いが異なる
※[90 38]Sr(半減期19.9年)の放出するβ線(0.65MeV)
※β線を受ける⇒電離箱(300V)
※2000MΩの高抵抗に電離電流に比例する電圧が発生
_◇γ線背面散乱厚み計
主としてコンプトン効果による背面散乱を測定する。散乱は厚みと板の材質により変化する
※γ線の検出
⇒シンチレーションカウンタ
※計数率の瞬時値は統計的にばらつく(元のγ線の放出はポアソン分布)ので、十分大きい時定数のフィルタで平均する。
_◇超音波
◆流体を使った速度、距離測定
_◇ピトー管
航空機、船の速さの測定。
進行方向に向いた管の先端の全圧(ピトー圧)
管の側面の静圧
全圧と静圧の差が単位体積の空気が同じ速度で移動したときの運動エネルギーとなる。
Pt – Ps = ρ*V^2 / 2
ρ:空気の密度
V:対気速度
_◇空気マイクロメーター
空気を流出するノズルの前に物体を置く。物体面と流出孔の距離などにより流出抵抗が変化する。
物体の変位
厚み、や形状(方向変化)
表面の粗さ
※定圧装置
一定の高さまで満たした水槽に特定の深さまで管を沈め圧縮空気を送り込めば余分な空気が逃げ、圧力は一定となる。
※流出ノイズの背圧
U字管圧力計で高さの差hとして測定
※低圧式
水柱500mm程度
非圧縮流体と見なしてベルヌーイ式でよい
※高圧式
250kPa以上
断熱膨張の式による
※空気抵抗にホイートストンブリッジを構成させる
※圧力差ではなく、空気の流速差を熱線風速計素子で電気的に測ることもできる
_◇フラッパーノズル
孔の径0.5mmくらいのノズルの前に、他の機構で動かされるフラッパーをおき、1.5~2.0kg/cm^2程度の空気圧を供給する。フラッパーが100分の数ミリ動くと背圧が1kg/cm^2近くも変化する
※力平衡計器
ノズルの背圧が浮力などの力に平衡するようにフィードバックをかける。このときの圧力を記録すれば、力の大きさを記録したことになる
◆傾斜計
_◇気泡式センサー
水準器と同様だが、電解質溶液に気泡が浮かぶ、電極間に気泡がくるようになっており、傾くと気泡位置がずれて電気抵抗が変化する。0.01度の感度あり。
◆地磁気検出型方位センサ
環状のコアにコイルIを巻き、そのコア外側にコアを十字に縛るような形に出力コイルX,Yを直交させて巻く。コイルIに交流電流を流すと環状コアに沿って交流磁場が生じる。しかし外部の磁場がなければ、X,Yともに、コアにそって大きさが等しく向きが逆の磁束が通ることになるので、打ち消しあって出力電流は生じない。しかし、地球磁場など外部磁場によって非対称になると出力電圧が発生する。
◆オートフォーカス
_◇アクティブ
赤外線を照射して、被写体から反射した赤外線の入射角度から距離を検出する。
※PSD (Positon Sensitive Device)
フォトダイオードの受光面上で、位置を検出する。
_◇パッシブ
①コントラスト検出
ピントが合っているのは、コントラストが最も高いときだ、という論理で撮像素子の映像からリアルタイムにコントラストを計測してフォーカスをあわせる。
②位相差検出
被写体の画像からさらにセパレータレンズで2つの像を生成し、その間隔を計測し、ピントがあっているときの像間隔に対して狭い(前ピン)、広い(後ピン)と判断してフォーカスする。
◆PSDセンサ
Position Sensitive Detector
発射光源(投光用LEDによる)の位置と反射光のもどり位置(フォトダイオード)の関係から距離を検出。
※3角測量
※シリコン・フォト・ダイオードの応用
※温度変動の影響を受けにくい
※検出時間が短い
※受光量から明るさも検知可能
→オートフォーカス+露光量調整ができる
※色や反射率の影響を受ける
→反射率の低いものは遠方では検出できない
_◇1次元PSD
非分割型
バックプレーンの共通電極と両端の電極1,2からなる。電極1,2の間の位置決め抵抗にフォトダイオードがつながっており、入射スポット光の位置で位置決め抵抗の値が分割される。連続的な位置情報となる。
※PSDの電極1を原点とした場合、電極1に流れる電流I1と電極2に流れる電流I2は、電極間距離2Lと、原点からの距離xa、入射光量I0を使って
I1 = I0 * (2L-xa)/2L
I2 = I0 * xa/2L
これから、I0に依存しない式
I1/I2 = (2L-xa)/xa
が得られる
これからxaが求まると、距離測定の対象物までの距離dは、投光用レンズと受光用レンズの間隔lと受光用レンズとPSDの受光面までの距離をfとして
d:l = f:xa
と表せるので、
d=l*f/xa
※LEDの指向角が十分に狭く、高輝度で点光源であれば投光用レンズは不要
分割型
フォトダイオードアレイ(PDアレイ)
CCDセンサ
セル毎の出力となる
※dとxaは反比例の関係にあり、xaと出力信号I1/I2が反比例するので、距離dと出力I1/I2は比例関係とみなせる
_◇PSDのアナログ信号処理
①出力I1, I2をI-V変換する
②減算、加算をおこない、それぞれを対数変換する
③対数変換結果を減算する
④逆対数変換すればI1/I2の割り算したとこになる
※初段で対数圧縮してしまえばゲインは稼げないがダイナミックレンジを広くとれる
_◇投光
外乱光(通常直流)と区別するためにパルスで投光する
例)投光周期1s、パルス幅200μS
_◇受光
反射光はパルス性なので、PSD素子の出力から直流成分を除去する必要がある
※カップリング・コンデンサで直流除去すると、初段のI-V変換回路の直流動作点が入射光量できまってしまいゲインをあげられない
→出力から交流成分を除去して直流成分とし、これを入力にフィードバックして直流成分をカットする
_◇製品例
PSD内蔵カスタムIC
2STB083PBオムロン
距離センサモジュール
E3G-L1/L3オムロン
PSDモジュール
GP2D12シャープ
+5V電源、距離データを直流電圧で得られる。
Vcc,GND,Voのみの3端子
距離は10~80cm
距離8cmで出力最大(2.6V)
8000lxまでは外光の影響は小
距離測定は40ms周期
外装は導電性、GNDと同電位
要パスコン 数十μ~100μ
複数個の同方向使用は注意
光変調型フォトIC
S4282-51浜松ホトニクス
検出光に変調がかかっており、検出光を選択的に検出することで、太陽光などの強い外乱光下でも動作可能
_◇2次元PSD
◆加速度センサ
_◇MEMS加速度センサ
※アナログデバイセズ 2軸加速度センサ
2DXL202 (草分けだが製造中止)
MEMS、静電容量方式
プルーフマスがポリシリコンのスプリングにより空中に支えられ、力に応じたプルーフマスの移動を固定電極とくし状の電極間距離の変動による静電容量の変化としてとらえる。実際のセンサ出力は、発振のデューティ比が加速度の大きさで変調されたパルス信号として出力される。(デューティ50%で加速度0)
①センサのサイクル時間T2 [s]
T2 = Rset / 1.25e8 [s]
と外部抵抗Rの値で決まる。T2は0.5~10msとする。
②ハイタイム T1 [s]と加速度 A [g]の関係
A=((T1/T2)-0.5)/0.125
③LPFのカットオフ周波数
fcl = 1/(2π*32kΩ*Cx)
④感度は電源電圧に比例する
※フリースケール 3軸加速度センサ
MMA7260Q
1.5gレンジ選択時に800mV/g, スリープ10μA以下
_◇圧電型加速度センサ
直流加速度の検出は不可。応答周波数は数Hzから数kHz。数100m毎秒毎秒程度までの加速度を計測可能で、1軸あたりの消費電力は10μ~100μと低い
※MA3シリーズ
マイクロストーン社
PZT使用。5V電源で、40、100、200m/s^2品あり。±検出範囲の加速度を0.5~4.5Vの出力電圧に変換できる。
_◇ピエゾ抵抗型加速度センサ
_◇衝撃の計測
1000g以上のgを測定できる圧電型加速度計測器。
※硬い物体どうしの衝突によって生じる数千gの加速度を計測する。(通常のセンサは壊れる)
※落下による加速度a
落とす高さ h [m]
接触してから停止するまでの時間 t[s]
a = √(2gh)/t
※停止までの時間 t は、落下時の物体の姿勢など予測困難な要因に依存し、実測に頼ることが多い。
※メーカ
ブリュエル・ケアー
ティアック
リオン
※感度や周波数特性だけでなく、センサ自体の重さも考慮する。(センサの質量が測定対象の振動特性に影響を与えるため)
※圧電式加速度センサは破損してもそれなりの信号を信号がでるので、定格を超える加速度を与えないように注意する。
※固定はねじ止めを基本とする。接着剤を使う場合はシアノアクリレート系もしくはエポキシ系を使用。合成ゴム系だと弾性があり計測に適さない。
※着脱必要な場合
マグネット・チャック
ビーズ・ワックス
※チャージアンプで、電荷を電圧に変換して測定するとケーブル容量で感度が変化する問題を回避できる。
→スイス、キスラー社
fAオーダのバイアス電流
GΩ~TΩオーダの絶縁抵抗
※圧電式加速度センサのモデル
交流電源Vsと容量Csでエミュレートできる
電荷出力Qs
Qs = S * a
S:センサの電荷感度
a:加速度
Qs = Cs * Vs
としてシミュレーションする
_◇サーボ加速度計
DCから数Hz.歪ゲージあるいは静電容量式の変位センサにより加速度を計測する。
_◇レーザ・ドップラー振動計
レーザー光の干渉により振動加速度を絶対測定する
◆タコジェネレータ
tacho-generator
回転速度を電圧値で出力する発電機。外部から電圧を供給する必要なし。
※用途
DCモータの速度フィードバック制御用の回転速度検出センサ(モータ軸直結)
停止から最高速までの広範な速度を検出可能
回転速度表示
出力電圧を3V~10V/krpmと低く設定、負荷インピーダンスも10k~1MΩと高くでき、出力電流も小、大きさ小形
個体ばらつきを可変抵抗などで構成する必要あり
_◇DCタコジェネレータ
直流電圧を発電する。主にDCサーボモータの速度検出用に使われる。永久磁石型DCモータと同じ。回転子側に巻線、固定子側に永久磁石。軸を回すと電機子コイルに電圧が発生する。ブラシとコミュテータで整流。
発電電圧は回転数に比例、停止で0V。電圧は巻線の数で決まる。回転方向により正負。
※温度係数の大きい材料では温度変化大
※接触電圧低下が大だと、超低速での出力がでない
※巻線のばらつきが出力電圧にでる。おおきなうねりなのでローパスで除去しきれない。(回転ムラ)
※タコジェネレータの方が特性の要求が高いため、一般に同じ大きさのDCモータとタコジェネレータでは、タコジェネレータの方が高価。
※カップリング
モータと負荷、あるいはモータとセンサ(タコジェネレータ、ロータリーエンコーダ、ポテンシオ・メータ)の接続にしようする。
負荷接続
バックラッシュがない、衝撃吸収
たわみ性に優れる、伝達トルクが大
センサ接続
小形軽量、低慣性、共振しにくい
高速回転可能
_◇ACタコジェネレータ
交流電圧を発電する。ACモータの速度検出センサとして使われる。同期型単相モータと同様な構造。回転子側が永久磁石、固定子側が巻線。電圧は回転数に比例。交流周波数も回転数に比例。
※ブラシが不要なので、DCタコジェネレータよりも安価。
_◇TIPS
①DCタコジェネレータのリップル除去にローパス入れるが、負荷抵抗が低抵抗だと巻線に流れる電流大となり温度上昇、電機子抵抗上昇し、発生電圧が変動する。
②カップリングの共振に注意
③DCタコジェネはブラシ寿命あり。ただし、電流小なのでモータほどブラシの消耗は多くない。
④ACタコジェネはブラシ無いのでメンテ不用。
⑤ACタコジェネの交流電圧を整流ダイオードでDCにする場合、シリコンダイオードの0.6Vの電圧降下により、回転数の低いところに不感帯できる。
⑥ACタコジェネでは回転方向検知ができない
◆ロータリ・エンコーダ
回転移動量を測る。
デジタル信号なので、雑音に強く、環境変化を受けにくい
_◇取り付け形状
①シャフト・タイプ
軸がでていてカップリングを使用して取り付ける。カップリングが共振しないように注意。
②ビルトイン・タイプ
中空軸があり、軸に直接取り付ける
_◇検出原理
①光学式エンコーダ
スリットが空いた円板にLEDなどで発生した光をあて、通過した光をフォト・ダイオードなどで受けてパルス信号を出力する。
※基本回路
発光素子
受光素子
コンパレータ
出力トランジスタ
※A相B相出力
回路2組
※A相B相Z相出力
回路3組
②磁気式エンコーダ
ホール素子を使用。強磁性体の歯車や磁気ドラムの磁束を、ホール素子でピックアップ。ホール素子の信号をコンパレータで波形整形してパルス出力。分解能は歯車の歯数、ドラムの極数で決まる。発光素子が無い分消費電力は小さい。
③レーザ式エンコーダ
半導体レーザを使用。発光波長は650nm, 780nm. スリット円板と固定板のギャップを広くとれ、振動、衝撃に強い。
_◇インクリメンタル・エンコーダ
円周上に1列または2列のスリットをあけたスリット円板と、固定板からなる。
固定板には90度の位相差を持たせたA相とB相のスリットがある。
Z相がある場合は、Z相用の1スロットが回転、固定の両板にある。→原点復帰用。
※ACサーボモータ、DCブラシレスモータ用にU相、V相、W相の3相出力からなるものもある
_◇アブソリュート・エンコーダ
同心円状のスリットにより2進符号を割り当て、どの角度でも絶対番地が2進符号で出力されるもの
※純2進以外
グレイコード
BCDコード
※シングルターン・アブソリュートエンコーダ
1回転あたりのパルス電圧を出力
※マルチターン・アブソリュートエンコーダ
スリット円板が何回転したかをカウント。バックアップ用の大容量コンデンサでカウント値を記憶。
_◇出力回路方式
①電圧出力
シールド線使用で目安10m
②オープンコレクタ出力
シールド線使用で目安30m
③2相出力
ラインドライバICにより位相が180度異なる2つのパルスを出力する。ラインレシーバICやフォト・カプラICで受信し、ノイズを相殺する。
シールド線使用で目安100m
④正弦波出力型
受光素子からの出力がコンパレータICなどで波形整形されていないもの
⑤TTLコンパチブル出力型
_◇出力信号処理
①F-V変換回路
NJM4151 (新日本無線)
②方向判別回路
インクリメンタル・エンコーダのA相とB相信号を、UP信号とDOWN信号に分離する。
③パルス数4逓倍回路
A相、B相の最大周波数の2倍以上のクロックでサンプリングし、遅延させた信号との間で論理をとって、立ち上がり立下りエッジを検出し、パルス数を増やす。
◆リニア・エンコーダ
直線移動量を検出する
◆ポテンシオメータ
potentiometer
回転移動量を測る。
多くは可変抵抗。信号出力は連続。接触式は使用寿命や摺動ノイズなどの問題あるが、入手しやすく、精度も悪くない。
※3端子の可変抵抗器。固定抵抗の2端子に加えた基準電圧を、摺動子(ワイパ)で任意の電圧に分圧する。
_◇ロータリー・ポテンショメータ
円筒型で中心から軸が出ている。円周上に抵抗体があり、軸に摺動子がついて、軸を回すことで抵抗値や電圧の分圧比を変えられる。
①1回転型
多くは回転角度300°前後
※ホールICを使った非接触タイプでは40°~120°などもある
※有効回転角まで回すとストッパにあたって止まる。ストッパの強度はトルク[N*m]で表示
※一般的なカーボン型(炭素皮膜抵抗)では高い精度は得られない。また寿命も1.5万回転。
※サーメット抵抗型は、精度、温度係数良く、300万回転持つ。
※導電プラスチック型。寿命は1000万~2000万回転。
②多回転型
3~16回転など
巻線型の抵抗が多い。寿命は10万~200万回転
摺動ノイズが発生
③エンドレス
抵抗値は360°で最大、0°で抵抗ゼロに戻る。
◇リニア・ポテンショメータ
直線上に抵抗体があり、摺動子が直線的に移動する。
※導電プラスチック型
_◇非接触式ポテンシオメータ
摺動子がないので、アーク発生なく、防爆性に優れる。
動作寿命は軸受けで決まる。
非接触なので、回転トルクやフリクションが小さい。
①磁気抵抗素子式
マグネットと半導体の組み合わせなので消費電力小。
②光学式
③ホール素子式
_◇出力電圧比-回転角度特性
(出力カーブ)
回転角度[%]を横軸、出力電圧(分圧抵抗)比[%]を縦軸とする。
①A特性
初めはじょじょに増加
②B特性
直線的に増加
③C特性
右下さがりに減少
④非線形タイプ
sinx/cosxの2相出力タイプなど
_◇出力電圧の直線性
出力電圧の基準電圧に対する偏差
①単独直線
出力誤差がもっとも小さくなるように基準線を決める
②絶対直線
規定の最小値が電気角の最小値、最大値も同様として直線を引く
_◇その他の特性
①巻線型ポテンショメータの分解能Ar
Ar = (1/N) * 100 [%]
N:巻線のターン数
※1ターン毎の分割抵抗は微妙に変化する
②有効電気的回転角度と機械的回転角度
有効電気的回転角度<機械的回転角度
残留抵抗が残る
有効電気的回転角度>機械的回転角度
絶対最小抵抗が残る
③摺動ノイズ
ポテンシオメータを4rpmで回転させ、1mAの直流を流しながら、ピーク電圧Vpを測定する。
摺動ノイズ抵抗
Rn = Vp / 0.001 [Ω]
④抵抗値許容差
最大誤差[%]
⑤抵抗温度係数
温度変動に対する抵抗値の変化割合
ppm/℃
_◇応用
①モータのアナログ位置制御
位置指令用ポテンショメータの正電圧と、位置検出用ポテンショメータからの負電圧の偏差を、位置決めアンプにいれ、偏差が0Vまでモータを回転させる
②傾斜角制御
ポテンショメータ+シリンダモータによる
③ならい制御
_◇ホーロー可変抵抗器
金属巻き線型可変抵抗器にホーローの保護皮膜を充填した電力可変抵抗器
※DCモータのトルクと回転速度を制御できる。3端子素子。
※電流制御の場合
両端の端子の一方を電源に、摺動子をモータに直列につなげる。摺動子を動かした場合に、瞬間的に抵抗値が大きく変動する可能性があるので、空端子と摺動子の端子を接続しておく。DCモータは電流とトルクが比例関係になる。無負荷の運転速度は摺動子位置と関係なく一定となるが、起動トルクは摺動子位置による
※電圧、電流制御
電流制御で摺動子につなげた端子をGNDにつなげば、電圧と電流が同時に制御される。起動トルクだけでなく、無負荷回転速度も変化する。
◆フォトインタラプタ
発光ダイオードとフォト・トランジスタなどの受光素子を向かい合わせでパッケージに入れた光センサ。
※スリット円板と組み合わせるとロータリエンコーダの代用となる
※スリット幅0.15~0.5mm程度の分解能あり。
※受光素子が誤動作しないよう、外乱光が当たらない場所にとりつける
※反射型のフォトインタラプタもあり
_◇TIPS
①電源電圧が低下、温度が低下、さらにばらつきなどがあると、フォトダイオードにながれる電流が減り、光出力が急低下して信号が出力されないことがある。
②歯の停止位置によっては、出力が中間電位になることがある。
→ヒステリシスを持つ回路などで十分増幅する
◆スピード違反取締り
10.525GHz
ドップラー効果による

☆振動センサ

◆概要
圧電効果により、振動や衝撃を電圧に変換する
※加速度センサと違い、DC加速度は検出できない
圧縮型
シェア型
センサ部分は強誘電体結晶。電圧を加えると振動が起こり、 圧力を加えると電圧が発生する。
◆圧電セラミック
チタン酸バリウム BaTiO3
チタン酸ジルコン酸鉛PbTiO3・PbZrO3
高温で焼き固めた強誘電体
※焼き固めただけでは結晶内部はばらばらの方向を向いており、全体として双極子モーメントはゼロ。数kV/mmの強電界により分極処理(残留分極)することで、大きな圧電特性を示すようになる。
◆製品例
村田 PKGSシリーズ
_◇電圧感度型
1m ~ 2.1mV/g, 160p~420pF
_◇電荷感度型
0.153p~0.79pC/g, 440pF ~ 770pF
◆分類
_◇ユニモルフ振動子
圧電セラミックと金属板を張り合わせたもの
_◇バイモルフ振動子
圧電セラミック同士を張り合わせたもの
_◇主軸傾斜角
主軸方向がもっとも加速度の検出感度が高い
0度。。。基板に水平が最大感度
90度。。。基板に垂直
25度、45度もある
◆検出回路
_◇バッファアンプ
_◇チャージアンプ

☆ジャイロ

①ファイバオプティクスジャイロ
Min 0.001~0.01deg/hour
②リングレーザジャイロ
Min 0.01deg/hour
③クオーツ方式ジャイロ
Min 0.1~1deg/hour
④メカニカルジャイロ
Min 100deg/hour
⑤圧電方式ジャイロ
Min 200deg/hour
⑥ガス方式ジャイロ
Min 500deg/hour
(価格対性能比が悪いので×)
※物体の動き:3軸の加速度と3軸の回転角速度が検出できれば定義できる
※角速度の単位は rad/s を使用すること(計量法により deg/sは公的には使用できない)
◆角速度センサー
_◇力学モデル
    Y━┯━
     ┌┴┐
     │バ│
     │ネ│
     └┬┘→V
┃┌──┐┌┴┐┌──┐┃
┠┤バネ├┤m├┤バネ├┨
┃└──┘└┬┘└──┘┃
  Fc↓┌┴┐    X
     │バ│
     │ネ│ ω1
     └┬┘ /角速度
     ━┷━
x方向に既知に速度Vで振動させた振り子が回転(角速度ω)すると、振り子の速度と入力角速度に応じてY方向にコリオリの力Fcが働き、Y軸方向の振動が発生する。Y軸方向の振幅の大きさが入力角速度ωに比例する。
Fc= 2 * m * ω * V
_◇圧電振動ジャイロ
弾性金属の振動を使い、振動の大きさを圧電セラミクスで検出する。
◆光ファイバ・ジャイロ・センサ
コイル状に巻いた光ケーブル内を時計方向と反時計方向に進行するレーザの到達速度の差が角速度に比例するサニャック効果を利用する。
◆機械式ジャイロ・センサ
コマの高速回転による。回転部があるためメンテナンスが必要。機械振動に弱い。
◆シリコン振動構造ジャイロ・センサ
Si-VSG
直径6mm程のリングをシリコンで形成、共振周波数で電気的に駆動し、コリオリの力で回転角速度を検出
◆圧電振動ジャイロ・センサ
PZTや水晶などの圧電素子を音叉状などに加工、圧電効果により振動させ、コリオリの力で回転角速度を検出する。
_◇セラミック・バイモルフ・ジャイロ
2枚の圧電セラミック(分極方向が向きあうようにした)に交流電圧を加えて屈曲運動を励起する。この振動子に角速度が加わるとコリオリの力が生じ、駆動振動と直交する方向に歪む。逆圧電効果により電荷が偏るので、これを検出用電極対で計測する
◆ガスレートジャイロ
ノズルから噴出されるヘリウムガスを2本のヒートワイヤ(フローセンサ)に当て、その温度差により方向の変化を感知する
◆ジャイロセンサの特性
_◇回転角速度レンジ
検出可能な角速度のレンジ。
※6.28rad/sが毎秒1回転。
_◇ドリフト特性
※静止状態における出力の変化特性
→バイアス・ドリフト
温度変化などが原因
_◇耐振動特性
振動時のノイズののり方
※ノイズ電圧密度で評価
dBVrms/√(Hz)
◆ジャイロセンサの設置
①物体の動きをとるときは重心に近い位置に実装
②瞬間接着剤は衝撃に脆い。粘着材は緩衝材になって周波数特性が得られない
③部材の振動は誤差となる
④傾きは誤差要因となる。直交精度が重要
スケール・ファクタ誤差
軸間のクロストーク
⑤多軸を実装するばあい、近接すると機械的振動によるクロストークが発生することがある。電気的クロストークにも注意。
※干渉対策として、振動周波数の異なる2種類を組み合わせるのも良い
◆ジャイロセンサ検出回路
①入力フィルタ
エイリアシング・ノイズを防ぐ
多くのジャイロセンサ~100Hz程度
→数100Hz程度のカットオフ周波数のフィルタ
※姿勢制御などのフィードバックに使う場合は、位相特性が重要
②ノイズの小さい電源回路
スイッチング電源よりシリーズレギュレータ。
※ジャイロ内部の数k~数十kのキャリア信号とスイッチング周波数でビート障害が発生する可能性がある
※電源、グラウンドの分離
③オフセット・ドリフトの小さいOPアンプ
◆手ブレ補正
※光学式
_◇松下DSC  LUMIX DMC-FX7
角速度測定4000回/秒
望遠撮影 高域成分対策 専用回路
(前機種480回/秒MCU)
※ピッチング(縦ぶれ)
※ヨーイング(横ぶれ)

☆質量、重量計測

◆天秤
_◇微量天秤
微小質量に対して高い感度を持つ天秤
⇒微量質量をとらえるため、装置全体を密閉し、対重としての球を設ける。試料の重量と球のバランスが崩れた場合、球を変えるのではなく、装置内の圧力を変え、球に働く浮力を変化させて釣合をとる
_◇ねじり秤
繊維のねじり応力と荷を釣り合わせる
ねじりに対する回転応力は線の太さの4乗に比例する
⇒細いものを使えば極めて高い感度となる
※繊維の中点をφ[rad]ねじるときの応力モーメントC
C=2nπa^4(φ/l)
n:剛性率
a:繊維の半径
l:繊維の長さ
_◇ガス天秤
気体の密度を測る。ねじり秤と気体の浮力の大小による
_◇超微量天秤
超測微計の応用
※天秤の刃先=どんなに鋭くとも丸みを帯びる
⇒静止転動摩擦があるので、ある偶力を超えないと動き始めない
⇒刃を持つ天秤の動作する閾値がある
※刃ではなく、細い繊維で棹をつるすことで微量な質量でも傾くようにした
※この傾きを直列2枚の平板コンデンサとして扱って計測した
⇒棹側には直列2枚の中央のコンデンサの2枚の電極が乗るだけであるので、一切の配線なし(配線の剛性による影響なし)
※微量天秤と同じく、密閉容器内の圧力調節により分銅に働く空気の浮力変化で釣合をとる
_◇熱天秤
物質が高温で、酸化、分解するときの質量変化を調べ、分解温度や、酸化速度などを求める。あるいは、固体を液体中につるし、温度による浮力の変化を測って個体の熱膨張係数を求める
※液媒質
高温でも蒸発しにくい
流動性に富む
試料と化学的に反応しない
⇒アルカリ金属の硝酸塩、塩化物など
_◇直示天秤
※通常の化学天秤
皿2つ⇒左右の棹の長さが不等だと誤差を生じる
※定感量直示天秤
皿と同じ側に分銅がつねにかかっていて、反対側の固定の錘と釣り合っている。皿に物体を載せた場合、分銅をはずして釣合をとる
⇒棹にはいつも同じ荷重がかかり、たわみ一定。感度も荷の大小で変化しない
_◇迅速秤
①棹の傾きで質量の異なる分銅が自動的に次々にかかるもの
②分銅の代わりに鎖を用いるもの
③振動を減衰させる空気ダンパーをつけたもの
◆ばねばかり
_◇ばねばかり
測れるのは重量
※つる巻ばねの伸びdと荷重Wの関係
  2lWa^2 4NWa^3
d=------=------
  πnb^4  nb^4
b 針金の半径
a 巻の半径
N 巻数
l 針金の全長
n 針金の剛性率
_◇電気重量計
※電気抵抗線ひずみ計が主
※鋼側面に4枚のゲージを貼り付けブリッジ回路とする。(ロードセル)
⇒温度の影響が補償される
⇒ゲージ部分はシールされ、吸湿、腐食を防ぐ
※クレーンスケール
※トラックスケール
※リングゲージ
輪の内外面に4枚のストレインゲージを貼る
※抵抗線ひずみ計でなく、差動変圧器を利用。
◆空気圧力利用
荷重を空気の圧力と釣り合わせて測る。
空気の圧力は、荷重により変動する一種の弁によりフィードバックする
⇒風袋も荷重の一部となるが、この分を補償するための別の部屋も用意する
◆遠心力利用
重力加速度でなく、遠心力を利用する。
例えばジンバルにとりつけたはずみ車の回転力と、不均衡による遠心力を釣り合わせ、傾く角度を計測し計測する
※ジンバル
gimbal ring
一種のユニバーサルジョイント
◆コンスタントフィーダー
粉体、粒体を単位時間あたり一定量を連続輸送するための装置。
一定区間のベルトの荷重を天秤で測り、これをホッパーのゲートにフィードバックする。
※ベルトウエイヤ
一定区間のベルト上にある物質の重さを測る秤

☆超音波センサ

※超音波
人間の可聴範囲以上(約16KHz)の音波
①送波器により超音波を対象物に向け発信し、その反射波を受波器で受信することにより、対象物の有無や対象物までの距離を検出する
②送波器と受波器間を通過する物体によって生じる超音波の減衰またはしゃ断を検出することにより対象物の有無を検出する
※超音波スピーカ(送波器)と超音波マイクロホン(受波器)を合わせて超音波トランジューサという。
◆センサから対象物までの距離の算出
空気中の音波伝搬速度vは簡易的に次式で表される。
v = 331.5 + 0.607T [m/s]
T : 周囲温度[℃ ]
常温の空気中では約 340 [m/s] とみなせるので、超音波を発射してから物体に反射して戻ってくる迄の時間をT [μsec] とすると、物体までの距離 d [mm]は
d = 0.5T * 340 * 0.001 = 0.17T [mm]
◆センサの構造と原理
超音波の発信・受信には圧電素子を使用して電気信号に変換している。(圧電素子とは、電気を加えると応力が生じ振動を起こす、また逆に応力を加えると電圧が発生する強誘電体)
_◇圧電セラミック
強誘電体結晶の振動子
チタン酸バリウム振動子が多く用いられ、その形状には、円板形と円筒形がある
※ユニモルフ構造
圧電セラミックと金属板を張り合わせてある。
交流電圧→機械的に振動し、超音波を発射
超音波が入射→電気信号発生
特性は圧電セラミック素子の共振周波数による
※等価回路
   │
 ┌─┴─┐
┌┴─┐┌┴┐
│C0││L│
└┬─┘└┬┘
 │  ┌┴┐
 │  │C│
 │  └┬┘
 │  ┌┴┐
 │  │R│
 │  └┬┘
 └─┬─┘
   │
fs:直列共振周波数
fs=1/(2π√(LC))
fp:並列共振周波数
fp=1/(2π√(L*(C*C0/(C+C0))))
※送信用
出力が最大となる直列共振周波数fsで動作させる
※受信用
感度が最大になる並列共振周波数fpで動作させる
◆センサのタイプ
_◇送信/受信型
送信器の直列共振周波数と受信器の並列共振周波数がほぼ一致
_◇送受信兼用型
fsとfpの中間の周波数で動作させ、送信、受信を両立させる
※送信受信分離型にくらべ感度が劣る
_◇高周波タイプ
200kHz, 400kHzなど
→分解能が小さくなる
40kHz 9mm
200kHz 2mm
→ただし、検知範囲は狭くなる
→指向性は狭くなる
_◇室内用、屋外用
室内用。。。開放型(セラミック振動子と金属板が直接空気に触れている)
屋外用。。。防滴型(ケースを兼ねた振動版だけが空気に触れる)
_◇透過形、回帰反射形
_◇距離設定形
_◇限定ゾーン形
◆仕様例
_◇村田製作所
MA40S4S
送信型
MA40S4R
受信型
MA80A1
送受信兼用型
公称周波数75kHz
送受感度 -47dB (min)
0db=18Vpp@50cm
指向性7度(typ)
使用温度範囲-10℃~60℃
検知距離0.5m~5m 分解能4mm
最大許容印加電圧120Vpp 幅625uS, 間隔45mS
MA200A1
MA200D1-1
MA400A1
◆センシングの特性、注意点
①硬い物(金属、木材、コンクリート、ガラス、ゴム、紙など)は超音波をほぼ 100% 反射するが、布、グラスウール、綿、音波を吸収する物体や粉体等、柔らかくて空気を含んでいる物体は超音波を吸収するため要注意
②物体の表面の起伏が大きい場合超音波が乱反射するため検知しにくいことがある
③音波周波数が高くなる程減衰率が大きくなって到達距離が短くなる。通常周波数約 100 [ KHz ]では最大 1 ~ 2 [m]検知可能距離となる。
④超音波スピーカの振動が減衰せずその漏れが受信回路に入って受信波を検出したように誤動作してしまうのをふせぐため超音波を送信した後待ち時間をおく。
⑤一般の超音波トランジューサの指向性は、半値角として 20°~ 30°程度
⑥斜め「鏡面」は観測しにくい
鏡面のばあい入射角と反射角の関係から反射波は反射角の方向にしか観測されない。
※超音波にとってどの程度までが散乱面なのかは波長 λ から知ることが出来る。
v = λ f
20 ℃の空気中の音の伝搬速度
v = 343.5
超音波の周波数を 40 KHz とした場合
波長 λ
λ = v ÷ f = 343.5÷ 40 K = 8.6 [mm]
以上の結果により、対象物の凹凸が約 8.6 [mm] 以上の場合には散乱面とみなされる。
⑦経時変化や温度変化による発信機のドリフトに注意
⑧外部の音やシステム自体の機械的振動で誤動作する恐れがある。取り付け注意。
※拍手するだけでも超音波は発生する
※交通機関(車、飛行機)からも発生している
※外乱対策:送信出力を大きくし、受信感度を下げる
※外乱対策:指向特性を使う
⑨連続して距離を測定する場合は、以前に発射した超音波に対する反射や残響が十分に減衰する時間をおく。
⑩風の吹くところや高温物体による空気の揺らぎのある場所では正しい計測が行われない可能性がある
⑪多重反射に注意
⑫サイドローブ
中心より角度の増加にしたがって音響レベルは減少するが、その後再び増加するサイドローブ(side lobe)がある。周囲の物体に乱反射するなど検出特性に影響することがある。
_◇光センサとの比較
①透明な物体も検出できる
②雨やほこりに影響を受けにくい
③超音波を吸収するやわらかいものには向かない
◆送信回路
 ┌────┐ ┌──────┐ ┌────┐
→┤発振回路├→┤ドライブ回路├→┤送信素子│
 └────┘ └──────┘ └────┘
※発振回路は40kHzが多用される
※超音波素子の容量は2000pFもあるので、ドライブ回路は電流容量があること
※方形波でドライブしても超音波素子での共振で正弦波が発射される
_◇74HC14シュミットトリガ送信回路
74HC14(シュミットトリガ6個)
  ┌──┐┌───┐      ┌─┐
 ┌┤R1├┤VR1├┐    ┌┤ ○┐
 │└──┘└───┘│    │└─┘│
 │  ┌─┐    │ ┌─┐│┌─┐│
 ├──┤ ○─┬──┴─○ ├┴┤ ○┤
┌┴─┐└─┘ │┌─┐ └─┘ └─┘│
│C1│    ├○ ├┐ ┌─────┴─┐
└┬─┘    │└─┘│ │MA40S4S│
 ┴      │┌─┐│ └─────┬─┘
        └○ ├┤  ┌──┐ │
         └─┘└──┤C2├─┘
               └──┘
C1:0.01μ(フィルム)
R1:2.2kΩ
VR1:1kΩ(周波数調整用)
C2:0.1μ
※他に74HC14のパスコン
C3:0.1マイクロ
※電源5V。電圧が振れると発振周波数が変動する
※5V電源で74HC14を使った場合の発振周波数
fos = 1 / C1 * Ra [Hz]
Ra = R1 + VR1
C1=0.01μ, Ra=2.5kΩ fos=40kHz
_◇4011マルチバイブレータ
18Vまで動作可能なので、電源電圧を高めることができる。例えば15Vppで駆動可能。大きな送信出力を得られる。
_◇水晶発振回路+74HC4060で分周
水晶5.12MHz発振
2^7分周
発振制度高い
_◇EIA-232CICを流用した昇圧
TTLレベルの5Vから±10Vの振幅を得られるのでVpp20Vで駆動できる。
MAX232C
ADM3202AN
◆受信回路
受信用センサが超音波をとらえたらパルスを出力する
_◇OPアンプによる増幅
OPアンプ:NJM4580
  ┌───────┐┌─────┐┌────┐
 ┌┤MA40S4R├┤1000p├┤3.3k├┐
 │└───────┘└─────┘└────┘│
 ┴    ┌───┐             │
  ┌───┤10μ├┬──┐ ┌────┬──┘
  ┴   └───┘│  │ │    │
      ┌───┐│ ┌┴─┴┐ ┌─┴──┐
  ┌───┤10k├┤ │+ -│ │VR  │
  ┴   └───┘│┌┤   ├┐│300k│
      ┌───┐││└─V─┘│└─┬──┘
 ┌───┬┤10k├┘│  │  │  │
 │   │└───┘ │  ├──┼──┘
┌┴──┐├──────┘  │  ┴
│47μ││     V+  │  V-
└┬──┘│      ┌──┴─┐
 ┴   │      │0.1μ│
 ┌───┴┐     └──┬─┘
┌┴───┐│     ┌──┤
│0.1 ││     ┼  ▼1SS174
└────┘│     ▲  ┼(検波)
   ┌──┴─┐   ┴  │
   │100Ω│   ┌──┤(平滑)
   └──┬─┘ ┌─┴┐ │
 ┌────┤   │1μ│┌┴───┐
┌┴──┐ │   └─┬┘│4.7k│
│47μ│ │     ┴ └┬───┘
└───┘ │        │
○──┬─┬┘       ━┷━(直流増幅)
5V │ │        ───2SC1815
   │ │┌───┐  /   \
   │ └┤10k├┬┬     V
   │  └───┘││     │
┌──┴┐ ┌──┐ │○     ┴
│LED├─┤1k├─┘ 超音波検出でL
└───┘ └──┘  ○
            │
            ┴
_◇トーンデコーダによる受信
トーンデコーダNJM567
PLL-IC
入力信号と電流制御発振器の信号を位相比較器で比較し、周波数が等しくなると出力をLにする。
電流制御発振器の発振周波数が40kHzになるように外付けのCRの値を決定する。
foi=1/(1.07RaC1)
※Rは固定抵抗と可変抵抗で作り調整可能とする
※超音波センサからの入力は受信レベルの調整のためVRで受け、Cを介して入力端子に接続する。
_◇送受兼用型回路
①水晶発振回路の原振を分周して40kHzをとりだす
②超音波の発振On/Offのためにパルス波を作る
③①と②からパルス上に40kHzを超音波センサに印加する。
※送信回路を切り離すためダイオード(1S1588)とC(0.1μ)を使う
◆距離の計測
物体に反射して戻ってくる反射波を検出すれば物体までの距離が求まる。
気温20℃で音速は343m毎秒なので
l = 343*t / 2 [m]
送信幅が小さすぎると反射波のエネルギーが小さくなりすぎ、検出しにくい。長すぎると自分の送信と反射の区別がつきにくい。間隔が短すぎると遠距離が測れない。長すぎると測定の更新がゆっくりになる。
例)0.5mS = 17cm
◆主要超音波センサベンダ
http://www.mitsumi.co.jp/
http://www.nicera.co.jp/index.htm
http://www.fujicera.co.jp/index_j.html
http://www.murata.co.jp/index.html
http://www.sick.co.jp/index.html
http://www.mkt-taisei.co.jp
◆音速と音響インピーダンス
⇒平面波の音響インピーダンス
音速*密度 [10^6kg/m^2/s]
<(SIではPa*s/m^3)音圧を体積速度で割ったもの>
音響インピーダンスが小さいほど、少ない音圧で粒子速度が大きくなる
空気
音速 330 (m/s)
密度 1.29 (kg/m^3)
音響インピーダンス 0.0004
減衰係数 10
音速 1530 (m/s)
密度 1000 (kg/m^3)
音響インピーダンス 1.5
減衰係数 0.002

☆電気量計測

◆電気メータ
有効電力に比例して円板を回転させる
◆漏電ブレーカー
磁性体のコアに2本の導線を揃えてまく(ただし、電線の電流は逆向き:行きと帰りなので)。行き帰りの電流が等しければ磁界は打ち消してコアの中に磁束は発生しない。漏電が起こると往復電流が等しくならず、コアに磁束が生じる。これを検知コイルで検出する

☆交流インピーダンス測定

◆インピーダンス測定の基本
_◇注意点
①実際の部品には寄生成分がある
②測定は 寄生成分+測定誤差
_◇測定条件
①周波数
⇒一部の支配的な寄生成分が部品の周波数特性を決める
②測定信号レベル
例)
コンデンサ、材料の誘電率により異なる
インダクタ、レベル大だとコアの非線形磁化
③DCバイアス
④温度
⑤その他
湿度、電磁界、光、気圧、振動、時間経過
_◇インピーダンス測定法
①ブリッジ法
安価高精度だが、バランス操作必要
②共振法
高Qの場合に良。チューニング要
③I-V法
接地試料でも測定可。周波数下限あり。
④RF I-V法
高周波向き
⑤ネットワーク解析法
高周波向き
⑥自動平衡ブリッジ法
接地試料でも回路構成によっては可。上限あり。
◆自動平衡ブリッジ法
_◇原理
Ed┌──┐O┌──┐Er
 ┌┤Zx├┬┤Rr├┐
 │└──┘│└──┘│
┌┴┐  ┌┴┐  ┌┴┐
│~│  │D│→→│~│
└┬┘  └┬┘  └┬┘
 │OSC1│    │OSC2
 ┴    ┴    ┴
Dに流れ込む電流が0になるようにOSC2の位相、振幅を調整する。
このとき
Ed Er
--+--=0
Zx Rr
◆固体電解質
_◇固体電解質
イオンを通じる固体。水や溶媒を含んでいない
<>乾電池などでは塩とのりを水で練っているので水を含む
⇒直流電圧をかけ続けるとイオンは偏ってしまい、時間ともに電流が流れなくなる
◆FFTアナライザ方式
簡便だが精度が低い、周波数範囲が限られる
◆単一正弦波掃引方式
FRA法
◆複素インピーダンス平面プロット
Complex Impedance Plane Plot
※Cole-Coleプロット
横軸にインピーダンスの実成分Z’
縦軸にインピーダンスの虚数成分Z’’
をとる
①測定対象がコンデンサ成分を含むとプロットは半円を描く
⇒実軸を切る点が抵抗Rに相当する
②複数の半円は複数の要因による
※測定対象を変化させるとプロットが変わるので、どの部分が何に対応するかが分かる
※電解質本来のインピーダンス
⇒バルクインピーダンス
※界面インピーダンス

☆タッチセンサ、タッチパネル

◆オンセル型タッチセンサ

☆感覚量センシング

◆味覚計測
_◇従来の方法
①酸味 pHメータ
実際にはpHと酸味の強さは比例しない
②塩味 電気伝導度計
ナトリウムだけでなく、苦味を生じる塩化カリウムや塩化マグネシウムにも反応
③甘味 粘度計、屈折率計、比重計
甘くないデンプンやタンパク室にも反応
_◇ヒトの味覚を文字した味覚センサ
人工の脂質膜(数種類)にそれぞれの味物質が吸着すると電位が発生するのでそれを測定し、それらの信号組み合わせから特徴を抽出して味を判断する。
_◇辛味
辛味は味細胞でなく、痛覚を刺激する。
カプサイシンは「熱い」と同じ
わさび、和からし
アリルからし油(アリルイソチオシアネート)
ショウガ
ジンゲロン
コショウ
ピペロン
サンショウ
サンショール
※高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で計測
※辛さの単位「スコヴィル」
元は主観単位だったが、現在ではHPLCでカプサイシンの量を直接はかって換算する。
タバスコ2500~4000スコヴィル
ハバネロ種トウガラシ10万~35万スコヴィル
◆日本酒
_◇主要な成分と計測量
①アルコール度数
エチルアルコール濃度
蒸留してアルコール濃度同一の溶液を作り、比重計で計測(浮力を測る)
②酸度
コハク酸、乳酸、リンゴ酸などの「酸」の総量
③日本酒度
アルコール以外の酸、アミノ酸、糖分の量
蒸留せず、日本酒度用比重計で計測(浮力を測る)
4℃の水と同じ比重でゼロ。
エキス分が多ければ比重大なのでマイナス(15まで)
エキス分がすくければプラス(15まで)
温度15℃で測定
淡麗(日本酒度+、酸度低)
濃醇(日本酒度-、酸度高)
辛口(日本酒度+、酸度高)
甘口(日本酒度-、酸度低)
※日本酒度N,酸度A
甘辛度Y、濃淡度Z
Y=193593/(1443+N) – 1.16*A – 132.57
Z=94545/(1443+N) + 1.18*A – 68.54
Y=-3 非常に辛い、Y=3 非常に甘い
Z=-3 非常に薄い、Z=3 非常に濃い
※測定計器は財務省の検定が義務づけられている
※酸度の計測は、日本酒に酸性で色を示す試薬をいれ、これにビュレットから0.1規定の水酸化ナトリウム溶液を滴下して、中和するまでにいれた水酸化ナトリウムの量を酸度とする。
通常0.5~3
※上記のように中性にした後、ホルマリンを加えるとアミノ酸が酸性を示す(アミノ酸は通常中性)、おなじ手順で酸度を測るとアミノ酸度となる
◆臭い
動物の鼻の嗅細胞は受容体「レセプター」をもち、におい分子「リガンド」を吸着してにおいと感じる。数十万種以上もあるにおい分子を嗅ぎ分けられる。
※現状は単体の受容体をもほうし、特定の分子だけを吸着するセンサが開発されている
人工脂質膜センサ
導電性ポリマーセンサ
※従来のガスセンサーを発展させた
酸化物半導体センサ
臭い分子に直接対応していないので複数組み合わせる
※全般的に感度が低い

☆生体量センシング

◆血圧
_◇収縮期血圧
心臓が収縮したときに送り出された最高圧力
(上の血圧)
_◇拡張期血圧
心臓が拡張し、動脈血管壁が元に戻ったときの最低圧力
(下の血圧)
_◇測定
カフに圧力を加え一旦血液の流れを止める。圧迫を緩めると、血流が再開し、コロトコフ音(K音)が聞こえるので、このときの圧力を最高血圧とする。さらにカフを緩めると、コロトコフ音が聞こえなくなるので、これを最低血圧とする。
◆血圧脈波検査
baPWV (brachial-ankle Pulse Wave Velocity)
脈波伝達速度
足首と上腕の計4箇所に血圧計をとりつけて同時に血圧を測り、脈波到達時間差⊿Tを測る。
baPWV = (La – Lb) / ⊿T [cm/s]
La:身長から換算式で求めた大動脈弁口から足首の長さ(cm)
Lb:身長から換算式で求めた大動脈弁口から手首の長さ(cm)
※40歳で1200、65歳で1400程度
◆ABI Ankle-Brancial Index
足首と上腕の血圧の比。血管の狭まり具合。
ABI = 足首の血圧 / 上腕の血圧
※足の動脈が細くなると、1以下の低い値を示す。
◆体脂肪率計
BI法(生体インピーダンス測定法)
※水分量を一定にしないと誤差が多い
食事直後は避ける
排尿しておく
決まった時間に測る
運動直後や入浴直後はさける
◆脳計測
_◇脳波
δ波0.5~4Hz未満
θ波:4~8Hz未満
α波8~13Hz
β波:13Hzより大きい(13ふくまず)
_◇EEG
electroencephalography
_◇NIRS
near-infrared spectroscopy
_◇fMRI
functional magnetic resonance imaging
_◇MEG
magnetoencephalography
_◇PET
positoron emission tomography
_◇ECoG
electrocorticography
_◇ラッセルの感情円環モデル
感情概念のモデル
◆注視点推定法
_◇角膜イメージング法
角膜の表面の反射像をカメラで撮影、解析
_◇赤外光照射―反射光解析
※パララックス誤差
◆血糖値計
_◇グルコースセンサー法
血糖(血液中のグルコース)に対するグルコース酸化酵素の反応を電気化学的に定量し、血糖値に換算する。携帯用血糖測定器において最も普及している。
※問題点
①血液中のビタミンCをはじめとする還元性物質等の影響を受け、誤差を生ずる
②患者が糖尿病性の昏睡に陥る危険性の高い40mg/dl以下の低血糖領域及び600mg/dl以上の高血糖領域では、正確な血糖測定を行うことが困難
③センサー部分は使い捨てであるが、その交換部分が小さく、神経症や網膜症等の合併症を引き起こしている患者にとっては、センサー交換が負担
◆血中酸素濃度測定
①指先から光を入射
②血中の酸素の赤外線吸収を測定
◆総血液量、全血漿量計測
_◇総血液量
スクロース(ショ糖)などの無害な物質を一定量注射し、体全体に広がって一様に希釈されたところで、血液の一部を取り出して濃度を測ることで求める。ただし、一様に広がるまでに代謝分解や排泄される量がわかっていなければならない
_◇全血漿量計測
総血液量と同様な原理によるが、注射する物質として、血漿内のタンパクと結合する色素(エバンスブルー)を用いる
◆指紋センサ
模様の傾向は遺伝するが、細かい特徴は一卵性双生児でも異なる。大きな火傷などしないかぎり、手の皮がむけても同じ指紋が生成される
※隆線:汗腺項のある出っ張った部分。ピッチは0.1~0.5mm程度
_◇指紋の種類
民族により現れ方の傾向がある
①渦状紋
②蹄状紋
③弓状紋
_◇指紋の特徴点
ガルトンの点:指紋の紋様が切れたり分岐したりする点
1本の指で50~100個程度。終生不変。
※位置や方向など数値化しやすい
※ロカルド(司法)、特徴点が12個一致し、紋様が鮮明であれば本人と断定できる
※各特徴点間の隆線の数を照合に加えて精度をあげる
→リレーション方式
_◇AFIS
Automated Fingerprint Identification System
元画像→2値化→スケルトン処理→
特徴点抽出(端点、分岐点)
→近傍間のリレーションネットワーク
→隆線数の近傍相関関係(照合用登録データ)
_◇FRR, FAR
FRR: False Reject Ratio
本人拒否率
FAR: False Accept Ratio
他人許容率
※設定スレッショルドにより相反の関係となる
※各メーカのFRR, FARの測定方法、母数、母集団の性質等については統一基準がない
_◇センサ方式
①圧力方式:隆線の出っ張りを使う
②光学式:皮膚と保湿成分によるセンサ表面の界面の光の屈折と反射
③静電容量式:皮膚と保湿成分を誘電物質としてその距離による差をみる
※ピッチ
子供の0.1mmピッチを見ようとすると0.05mm以下となる。ピッチは DPI(Dots Per Inch) PPI (Pixel Per Inch)
0.05mm ≒ 500DPI
幼児や東洋人の女性では800DPIが必要
_◇光学反射方式
入射光の角度が、イメージセンサの見る角度と一致
谷部。。。全反射する
隆線部。。。乱反射し、暗くなる
※谷部に空気さえあればコントラストが得られるので、乾燥や湿った指でも読み取りやすい
※反射部分をホログラムやマイクロプリズム等の集合体で行い、小形化したケースもあるが、プリズムを内蔵する場合は、小形化しにくい
※外乱光の影響を受けやすい
_◇静電容量方式
ベル研方式をVeridicom社が1998年に実用化。隣あう電極の静電容量を信号化する。指紋の隆線部があると容量が大きくなる
※高い誘電率を持つ汗と脂に映像が影響される。汗が残ると映像がとれなくなる。
※構造的に静電気や化学物質の汚染に弱い
_◇電界方式
Authentec社
2次元に検出電極を配置。絶縁体でコーディング。周囲の金属リングから指に高周波の電圧を加え、放射してくる電界を映像化する。
谷部で出力小
接触部で出力大
※汗や脂の影響を受けにくい。絶縁体のコーディングも厚くできる
※誘導ノイズの影響を受けやすく、後処理で補正が必要
_◇光学透過方式
指を通過する光の光量を測定する。谷と隆線部の差をみる。空気や水の屈折率とたんぱく質や脂の屈折率は大きく違うので、乾燥、濡れでも読み取れる。直射日光下でも覆いがいらない
※光源が不可欠なのでセンサが大きくなる
_◇スイープ式指紋センサ
1次元のセンサで指をスイープさせて読み取る。人間の指の速度を検知する仕組みが必要。
①精密ロータリーエンコーダ
②専用センサを縦置き
③2本のセンサの画像を比較して再構成
④短冊形の準1次元センサによる再構成
◆致死量
実験動物に一定量の化学物質を投与し、死亡率を調べて用いるが、近年、あまり調べられなくなった。
個体差が大きいので、死亡率を縦軸に、投与量の対数を横軸にとって用量-反応曲線を描く。通常50%付近の傾きが大きく、わずかな量で変化するので50%を基準とする
_◇LD50
Lethal Dose 50%
半数致死量
用量を実験動物の体重あたりの投与量に換算した統計的数値
mg/kg
_◇LC50
Lethal Concentration 50% kill
mg/m^3
ガスなどの場合

☆医療診断

◆X線CT
CT: Computerized Tomography
_◇X線の発生(X線管)
タングステンなどの金属板を陽極とし、高い電圧で加速した電子を電子銃から打ち付けて発生させる。電子密度が高いと電極が高温となって溶解するので、電極を回転させたり、裏から冷却する。この電極を真空容器に封じ込める
_◇X線の吸収の式
※連続X線、細い線束
dI/dx = -μI
⇒これをとくと
I=I0*e^(-μx)
⇒吸収率が大きいところでは通った光子数がすくなくなる
⇒像に濃度差としてあらわれる
μ:吸収係数
※吸収は原子番号に比例して起こる
_◇X線CT装置
人体の周りに180~360°角度をかえながらX線を照射
⇒その1次元分布像から求める断層面の画素の吸収値を計算
⇒その比に応じた画像を作りだす
⇒画像を再構成画像という
_◇Radonの定理
※すべての角度から透視したとき、得られる無限の投影データから2次元、3次元の画像を一意的に再構成することができる
Pθ(t)=∫f(x,y)dy’
-∞<t<∞
0≦θ≦π
断層面: x,y
吸収係数f(x,y)
x軸からθの傾きであるx’方向にX線を照射、透過X線量を検出
Pθ(t):透視データ
_◇Back Projection
角度を変えながら得た透視データを、逆に角度に合わせて重ね合わせて投影していくと断面を再現できる
⇒原点付近では重ね合わせの回数が多くなり強度が強くなる
⇒補正関数使用逆投影法、フーリエ変換法
s(x,y)=ΣPθi(t)*⊿θ
⊿θiごとにとった透視データPθi(t)
再構成画像 s(x,y)
⇒再構成画像は数学的には合成積あるいは重畳積分(コンボリュージョン)
※補正関数 1/r
s(x,y) = ∫[-∞:∞]∫[-∞:∞]{f(x’,y’)/√((x-x’)^2+(y-y’)^2)}dx’dy’
※フーリエ変換法
_◇画像の再構成法
※逐次近似法
①逆マトリックス法
②同時逐次再構成法
③代数的再構成法
④最少二乗再構成法
※解析的再構成法
①逆投影法
②フーリエ変換法
③コンボリューション法
④フィルタ補正逆投影法
◆生体の超音波診断
_◇超音波の概要
旧:5~10MHzの周波数
新:1GHz範囲
※周波数が高い方が指向性が高いが、減衰率も大きい
⇒検出器の感度があがり、微弱な音波も測定できるようになった
※気体中はあまり伝わらず、固体、液体中はよく伝わる
※骨の表面ではよく反射する
_◇超音波の音場(エネルギー)
ダランベールの波動方程式より
波の進行方向に垂直な単位面積を単位時間に流れる超音波のエネルギーI[W/m^2]
I=(1/2)*(1/(ρ*c))*p^2
p:音圧
ρ:媒質の密度
c:速度
α(dB)=10*log(I/I0)
IO=10^-12[W/m^2]
音圧pで書き直せば
I/IO=(p/p0)^2
α(dB)=20*log(p/p0)
_◇超音波の速度
v=√(M/ρ)
v:速度[m/s]
M:弾性率(k:体積弾性率 N/m^2)
ρ:媒質の密度
_◇超音波の減衰量
I/I0=e^(-γ*d)
体の表面(d=0)における超音波の強さをI0, 減衰係数をγとすると深さdにおける超音波の強さIは
I = I0 * e^(-γ*d)
⇒超音波をパルス的に発射し、反射波の強弱と時間差により画像化する
I=I0*e^(-μx)
μ:媒質の吸収係数(減衰係数)
x=0のときの音波の強さをI0とし、深さxのときをIとする
音波の媒質中での減衰=単位長あたりの減弱
μ0=(α1-α2)/x
⇒減弱エネルギーのほとんどは熱となる
減弱dB=減衰係数(dB/cm)*通過距離(cm)
※はじめの強さの半分になる物質の厚さを半減層または透過深度という
半減層=3/減弱係数(dB/cm)
※水中は減衰が少ないので水を多く含む臓器には適するが、空気を多く含む肺などには向かない
_◇超音波の発生
BaTiO3などのピエゾ振動子に高周波を印加すると垂直方向に超音波が発生する
⇒粗密波
_◇超音波の反射
※音波の反射をとらえて画像のイメージングを行う超音波診断装置
⇒反射の性質が重要
※交流理論のインピーダンスZ
Z=E/I=電圧/電流
※固有音響インピーダンス
Z=p/v=音圧/粒子速度
Z=ρ*c
ρ:媒質密度[kg/m^3]
c:媒質中の音速[m/s]
Zが小さい⇒抵抗小⇒音圧小
⇒2つの異なる媒質の界面
一部反射(入射角 i は反射角 i’ に等しい)
一部透過(屈折角r)
sin(i)/sin(r)=媒質Ⅰの音速/媒質Ⅱの音速
※音圧反射率Rp
Rp=反射音圧/入射音圧
={ρ2*C2*cos(i)-ρ1*C1*cos(r)}/{ρ2*C2*cos(i)+ρ1*C1*cos(r)}
※音圧等価率Tp
Tp=透過音圧/入射音圧
=2*ρ2*C2*cos(i)/{ρ2*C2*cos(i)+ρ1*C1*cos(r)}
⇒垂直に入射する場合cos(0)=1、また、Z=ρ*cなので上記式はZで書き直すことができる
_◇超音波に対する生体組織の性質
音速音響IMP減衰係数密度
10^6kg/m^2/sdB/cm(1MHz)kg/m^3
空気 340 0.0004 12 1.29
水 1480 1.52 0.002 1.00e3
血液 1570 1.62 0.2 1.03e3
脂肪 1445 1.38 0.8 0.97e3
軟部組織 1530 1.62 1.0 1.05e3
骨 4080 7.80 13 1.91e3
_◇近距離音場と遠距離音場
※近距離音場
振動子から一定の距離X0まではほぼ広がらずに進む
※遠距離音場
音圧は距離の増加とともに低下し、拡散しながら伝搬する
※近距離音場限界距離X0
X0=D^2/(4*λ)
D:円形振動子の直径
※指向角φ0
中心軸上の最大音圧に対して音圧がゼロになる角度
φ0=70*λ/D
_◇距離分解能と方位分解能
※距離分解能
超音波の進行方向
周波数3.5MHzで約1mm
⇒パルス幅で決まる
※方位分解能
進行方向に対して垂直
周波数3.5MHzで約2mm
⇒ビーム幅で決まる
_◇超音波反射信号の表示法
c:音速
L:プローブと反射源距離
t:反射して戻るまでの時間
t=2*L/c
※モード
Bモード
反射波検出に要する距離(形態観察)
反射波の強さを輝度変調し、画面に輝点表示する
プローブはわずかに移動させて繰り返す
Mモード
反射波検出の連続記録(動態観察)
反射波の強さを輝度変調するが、プローブは同じ位置で時間変化をみる
ドップラー法
ドップラー効果による血管内血流の測定、心機能計測
⇒連続波ドプラー、パルスドプラー⇒スペクトル表示、FFTによる
⇒血流イメージング⇒カラー表示、自己相関法
_◇超音波診断装置
_◇超音波ドップラー
組織内の移動物体(血液など)に反射して返ってくる超音波の周波数を測ることで反射物体の移動速度を測定する
v=((f-f0)/f)*C
C:固有音速
f:反射波の周波数
f0:発信周波数
◆MRI
Magnetic Resonance Imaging
磁気共鳴画像法
_◇NMR
Nuclear Magnetic Resonance
核磁気共鳴
※原理
原子核の核スピン
①磁場を加えない場合は安定した状態にある
②強い磁場B0を加えるとエネルギー状態が2つに分かれる⇒エネルギー差⊿Eは磁場の強さに比例する
⊿E=μB0
③一定の磁場を加えた状態で⊿Eに相当する電磁波を照射すると低い準位にあった原子核も励起状態になる
ν=⊿E/h=γ*B0/2π
ν:電磁波の周波数
h:プランク定数
γ:定数
⇒特定の周波数の電磁波だけを吸収する
(共鳴周波数)
④電磁波の照射を止めると準位間の緩和により励起のときと同じ周波数の電磁波を放出して戻る
※NMRでは体内の水素に着目してこれを行う
⇒緩和時間の長さは組織の場所や状態により異なる
(0.1~1秒)
※人体構成元素でスピンを持つもの
原子番号と質量数がともに奇数の原子核
水素-1
同位体存在比 99.98
共鳴周波数 42.6MHz/T
炭素-13
同位体存在比 1.1
共鳴周波数 10.7MHz/T
ナトリウム-23
同位体存在比 100
共鳴周波数 11.3MHz/T
リン-31
同位体存在比 100
共鳴周波数 17.2MHz/T
※傾斜磁場
緩和時間の差から3D画像を得るために、傾斜のある磁界を作る
多くの周波数成分のある電磁波を加える
⇒磁場の強さにより吸収される電磁波の周波数が異なる
⇒得られた情報から位置情報を抽出できる
※磁場の強さ
1.5テスラ
_◇PET
Positron Emission Tomography
陽電子放射断層撮影法
※ポジトロン核種
11C, 13N, 15O, 18F
⇒ポジトロンを1つ放出して安定電子となる。そのときγ線を放出する
⇒がんの診断では18Fを含んだFDG
18F-2-デオキシ-2-フルオロデオキシグルコース
半減期110分
ブドウ糖に近く、ガン細胞に取り込まれる
⇒生理的にブドウ糖があつまる脳や膀胱にはむかない
_◇MRI装置
静地場強さ 0.5~1.5T
_◇MRI信号の取り出し方
①反転回復法(IR)
②スピンエコー法(SE)
③飽和回復法(SR)
④カーパーセル法(CP)
⑤反転回復スピンエコー法(IR・SE)
◆心音計システム
心音の振幅、周波数、波形、発生時間と病状の心音パターンにより診断する
中期雑音⇒大・肺動脈狭窄
平坦雑音⇒僧帽弁閉鎖不全
漸滅性雑音⇒大動脈弁閉鎖不全

☆水質測定

◆JIS K 0102 工場排水試験方法
シアン
残留吸光光度法
アルキル水銀
GC法、TLC分解原子吸光法
総水銀
原子吸光法
有機リン
吸光光度法、抽出GC法
カドミウム
抽出原子吸光法、ICP法
抽出原子吸光法、ICP法
クロム(6価)
吸光光度法、原子吸光法、ICP法
ヒ素
原子吸光法
PCB
抽出GC法
抽出原子吸光法
亜鉛
抽出原子吸光法
クロム(金)
吸光光度法、原子吸光法、ICP法
マンガン(溶解性)
吸光光度法、原子吸光法
鉄(溶解性)
原子吸光法
pH
ガラス電極法
生物化学的酸素要求量
標準希釈法
化学的酸素要求量
酸性過マンガン酸カリウム法
浮遊物質
重量分析法
ヘキサン抽出物質
抽出重量分析法
フェノール類
蒸留吸光光度法
フッ素
蒸留吸光光度法、イオン電極法
大腸菌群数
希釈培養計数法
溶存酸素
ウインクラー・アジ化ナトリウム変法
ミラー変法、隔膜電極法
窒素
紫外線吸光光度法、還元性
化学変光法
りん
吸光光度法

☆濃度計測、ガス計測

◆ガスセンサ
_◇半導体ガスセンサ
SnO2, WO3を材料とする
可燃性ガス、フロン、CO、アルコール、NOなどを検出可能だが、ガスの選択性に難がある。
_◇接触燃焼式ガスセンサ
Al2O3+触媒
可燃性ガスの検出。
_◇電気化学式(固体電解質型)ガスセンサ
ZrO2, NASICON(Natrium Super Ionic Conductor)
O2, CO2
_◇電気化学式(電界液型)ガスセンサ
H2SO4
O2, CO2, 可燃ガス、アルコール、NO, H2Sなど
選択性に優れるが、常温動作
◆二酸化炭素
_◇CO2計測法
①NDIR法
非分散赤外吸収法。4.3μmの赤外線を選択的に吸収し、それが濃度の関数となることを利用)
②ガスクロマトグラフ
③半導体レーザ赤外分光法
④凝縮気化法
⑤シャワー式平衡器
海洋のCO2濃度を測るために使われる。直接測定するのではなく、大量の海水と少量の空気を接触させ、平衡状態になったときの空気のCO2濃度を測定する。
_◇CO2ガスセンサ
TGS4160
TGS4161
フィガロ技研
※TGS4161
センサ電極とヒータ電極がある。センサは1.5mm角だが、雑ガスを除去するためのゼオライト粉末を充填したフィルタにより、9.2mm x 22.7mmとなる。
大気の350ppm~8000ppmまでCO2濃度を測定できる。出力はCO2濃度の対数に比例する。
→一種の電池なので経年変化あり。非加熱で高温、高湿雰囲気でも手4以下。通常、大気を基準とする相対値検出。但し、長期の使用でもネルンストの式には従う。
※原理の炭酸ナトリウムの代わりに炭酸リチウムとナトリウムイオン伝導体によるが、詳細メカニズムは明らかでない。
※原理
①ガス検知極においてCO2ガスは、炭酸ナトリウム(Na2CO3)と反応し、Na+イオンを増減させる。
②ガス検知極下にはナトリウムイオン伝導体があり、参照電極との間で濃淡電池を形成して起電力を発生する。
※CO2濃度が減少するとNa2CO3->CO2, O2が発生し、Na+が生成するので、出力電圧が増大する
※ネルンストの式
Vemf = E – (R*T/2*F)*ln(Pco2)
Vemf:起電力[V]
E:定数[V]
R:気体定数 8.314 [J/(mol*K)]
T:動作温度[K]
F:ファラデー定数 9.649e4 [C/mol]
Pco2:CO2ガス分圧
_◇赤外線吸収法
分子振動
⇒分子に光を照射すると、分子振動の周波数と同じ周波数の光だけが吸収される
⇒周波数から物質の種類が、吸収された強度から濃度が分かる
※分子振動
伸縮
対称
非対称
変角
面内
はさみ
横揺れ
面外
ひねり
縦ゆれ
※H2O,CO2は赤外線を吸収するが、N2,O2は構造が対称なため、赤外線の吸収がない
◆酸素センサ
_◇自動車エンジン燃焼制御用O2ガスセンサ
酸化ジルコニウムの両端に白金電極。一方に大気、一方に燃焼排ガス。酸素分圧に応じて、酸素分子は白金電極上で酸素イオンとなり、一種の濃淡電池となって起電力を発生する。
_◇隔膜ガルバニ電池式センサ
-極:金電極
+極:鉛電極
電解液:洗濯糊+炭酸水素ナトリウム(重曹)
酸素透過膜:ポリエチレン膜
※ポリエチレン膜:市販のラップ。
※ポリ塩化ビニリデン(サランラップ、クレラップ)は酸素透過膜としての機能がない
※金電極(陰極):還元反応
O2+2H2O+4e-→4OH-
※鉛電極(陽極):酸化反応
2Pb+4OH-→2Pb(OH)2+4e-
※反応にともなう電流を負荷抵抗に流して電圧降下を見る。(負荷抵抗1kΩ程度)
※酸素濃度が減少すると金電極での反応が遅くなりセンサの出力も低下する
_◇ビタミンC濃度計測
キュウリに含まれる酵素(アスコルビン酸オキシターゼ)を利用する。還元型ビタミンC(L-アスコルビン酸)に作用して、デヒドロアスコルビン酸に分解する。その際に酸素が消費されるので、これを酸素センサでセンスする
◆水素センサ
_◇接触燃焼式
可燃性ガスと酸素の反応による発熱をヒーターの抵抗値の変化で検出し、電気信号に変える
→水素以外にも反応してしまう
_◇熱電変換式
水素と酸素の反応による発熱を熱電変換素子で電気信号に変える
→水素だけに反応させることが可能だが、途上。反応速度が遅い
_◇気体熱伝導式
気体の熱伝導率の違いをサーミスタなどの素子で検出
→誤差が大きく、低濃度を検知しにくい
_◇Pd合金抵抗体式
Pd合金が水素を吸蔵した際の抵抗変化を電気信号に変える
→水素のみに反応するが高濃度で劣化する
_◇半導体式
可燃性ガスの接触による金属酸化物半導体の抵抗変化を電気信号に変える
→表面処理で反応ガスを選べる
→高濃度を検知しにくい
_◇FET式
トランジスタのゲート部の一部にPd合金を用いる。Pd合金に水素が吸着するとゲート電圧が変化する
→途上。高濃度で劣化

☆成分分析

◆ガスマス
微量ガス成分を分析するための分析器
ガスクロマトグラフとマススペクトログラフから構成される。
_◇ガスクロマトグラフ
①キャリアガスとして測定するガス成分と反応しない物質を使う⇒ヘリウム
②試料ガスをパスル的に加えてキャピラリーの中を流す
③キャピラリー内は多孔質吸着剤(シリカゲル、活性炭、モレキュラーシーブ)が充填されており、吸着されやすい成分は遅く、されにくい成分は速く移動する。
④出てきたガスを成分の熱伝導率の違いを抵抗率の違いに変換する検出器により測定する
※クロマトグラム
空気が出てくるまでのT0(死時間)
試料ピークまでのTr(保持時間)
⇒Tr-T0により種類が分かる
ピーク高さ、半値幅
⇒ピーク面積により物質量が分かる
_◇マススペクトログラフ
質量分析器
①ガス分子を帯電させる(放電)
②粒子を加速し、磁場の中を通過させる
⇒フレミング左手の法則に従い進行方向が曲がる
⇒荷電粒子の遠心力と磁力が釣り合う
m μ0^2*H^2*R^2
-=--------------
e 2*V
μ0:真空中の透磁率
H:磁場の強さ
R:回転半径
V:加速電圧
m:分子の質量
e:電荷
※m/e:比電荷
⇒異なる分子に同じ電荷が与えられていれば、半径Rの二乗はガス分子の重さに比例する
⇒コレクタ部の異なる位置に異なるガス分子が到着
⇒磁界の強さHを走査すれば、質量の小さいもの大きいものを順次集めることも可能
⇒質量分析スペクトル
◆放射化分析
被測定物質に放射線をあて、放射性にして、そこから出てくる放射線の性質を調べることで、被測定物質に含まれる微量の未知物質を探る

☆微粒子

◆煙感知器
_◇光電式スポット型感知器
レーザー光の減衰率や散乱で検知する。
◆パーティクルカウンタ(PC)
Particle Counter
①試料空気を管の一方から流入させる
②レーザ光を照射する
③散乱した光をレンズで集光し、フォトダイオードで検出、パルス数をカウントする。
⇒パルスの数と強度は微粒子の数に比例する
※粒子径がサブミクロン以下になると散乱光が微弱となり検出できない
_◇SMPS
Scanning Mobility Particle Sizer
①静電分級器DMAにより、微粒子を帯電させ、電気的に粒径ごとに分ける
Differential Mobility Analyzer
層流で空気を流しておいて電圧をかけ、採集ポイントで一定の粒子径のものだけをとりだす。電圧により粒径は変わる。
②ナノ微粒子に液体霧を凝集させ4μmの粒子にする
(CPC)Condensation Particle Counter
n-ブタノール蒸気に通して凝集させる
③光電子増倍管で検出
PM(Photo Multiplier)
◆レーザ光のドップラー効果による測定

☆NMR

磁気モーメントを持つ原子核を強い静磁場の中に置くと
その中の数パーセントは磁場に沿って並ぶ
磁場の軸のまわりに円を描くような歳差運動も見られる
※歳差運動の周波数
「ラーモア周波数」
原子核の種類と静磁場の強さの両方によって決まる。
※NMR信号
静磁場中の原子核にラーモア周波数と同じ周波数の電磁波(RFパルス)を照射
原子核は励起
静磁場の主軸に平衡になっていた磁気双極子は主軸に垂直な面に倒れる
照射が終わると、歳差運動しながらもとの状態に緩和
※吸収したエネルギーを電磁波として放出するが、その周波数はラーモア周波数に等しく、振幅は時間とともに弱くなる。
※MRI
意図的に磁場に傾斜をつけて空間的な情報を得る

☆時間測定

◆時間の単位と天文現象
_◇恒星日
siderial day
地球が恒星に対して1自転する周期
_◇太陽日
※真太陽日
apparent solar day
太陽に対して1自転する周期
⇒季節によって異なる
※平均太陽日
mean solar day
真太陽日の長さを年間平均
_◇秒
もともと1秒は平均太陽日の86400分の1という単位であった
⇒公転基準⇒原子基準と変わった
※自転速度の永年変化と不規則変化により10^-7の精度しかない。
◆時計と歩度
1日についての進み遅れを秒で示す。
※歩度の不規則変動が時計の精度の目安となる
日差
一日の遅れ進み
日較差
日差の変動
指示差
一日のうちの標準時間に対する最大の進みと遅れの和
_◇振子時計
動力、機構、気温、気圧等が歩度誤差の原因となる
_◇天府時計
テンプとひぜゼンマイの振動系の周期を利用する
※クロノメータ
※温度によるひげの弾性変化とテンプの熱膨張にある
※姿勢差もある
_◇音叉時計
3極管を用いて音叉を発振させ、これを恒温槽の中にいれる。
※発振方式として、磁性金属棒の磁歪を利用する方式もある。
_◇水晶時計
圧電効果により水晶片を発振させ、電気振動を得る。
水晶の切り方により振動の型が異なる
①GTカット
温度係数ゼロ、温度の2階微分係数も例に近い
②L.Essenの環状の切り方
振動が環の周縁にそって伝播する
③古賀博士の結晶r’面に約3度傾く切り方
※水晶時計の歩度。最初の数週の変動が大きい
※歩度の変動測定には唸りを観測する
_◇原子時計
不均一磁場により、セシウム原子のビームから特定のエネルギー準位にあるものだけを取り出し、繊維周波数にあたるマイクロ波電界を通過させて誘導遷移をおこす。強さ最大となる周波数に、外部の水晶発振器から作られる発振を引き込んで計時する。
_◇ストップウオッチ
①観測誤差(起動、停止、位置よみとり)
②歩度の不正
③間欠動作による器械的誤差
※一般的に観測誤差より器械的誤差の方が大きい
_◇音叉発振
_◇火花クロノグラフ
感応コイルの1次側の2つの巻をそれぞれ開始と終了のスイッチ(電源含む回路)とし、2次側の一方に高速回転ドラム、他方にそのドラムに近接した針を接続する。1次側のスイッチを切った瞬間に2次側に高い電圧が生じ、針からの電気火花を生ずるが、これを煤紙の孔や夜光剤、感光フィルムで検出する。高速ドラムの回転を測定しておけば、2点の時間間隔が分る
_◇偏光写真クロノグラフ
カー効果を使ったシャッターを用いる。
あるいはファラデー効果を用いる。
_◇ヘルムホルツ振子
剛体振り子
_◇回転鏡
_◇電気クロノグラフ
爆薬の轟爆速度の測定
衝突の際の接触時間の測定
※計数クロノグラフ
パルス発振器、ゲート回路、カウンタ
◆セシウム原子時計
_◇Symmericom
Agilent社の製品ラインを引き継いだ。

☆年代測定

◆放射性同位体存在比の計測
_◇カリウム-アルゴン法
カリウム40が崩壊してアルゴン40に変わる過程の存在比を観測。
アルゴンは揮発性が高いので、溶岩から固化するときには高温のため待機に放出され、出来たばかりの岩石には含まれて居ないと考えられるため。
半減期12.5億年(古い岩石の年代測定に向く)
_◇ウラン・トリウム法
235U-207Pb, 238U-206Pb, 232Th-208Pbなどの核壊変の数十億年の半減期を利用し、鉛同位体の比率から岩石の誕生年代を推定する方法
_◇炭素14年代測定
炭素14から窒素14への崩壊による存在比を測定。生物は大気中で新陳代謝をしている間は、大気と炭素14の同位体比が同じ。死ぬと、炭素14が崩壊し窒素14にかわる。(炭素14は、炭素12に対して1兆分の1程度含まれるが、大気中で常に生成されている)
半減期5730年
※誤差が含まれる可能性多く、解釈には注意が必要。

☆非破壊試験

材料、機器、構造物などを分解や解体をせず(形状、寸法、性能を変化させることなく)、それらの表面や内部の性質、状態、欠陥、構造などを正確に把握すること
⇒非破壊検査の結果が信頼されるためには、破壊検査や実績との照合を積み重ねることが必要
◆表面のキズ、欠陥に対する診断方法
_◇目視
拡大鏡
立体顕微鏡
光学顕微鏡
※電子顕微鏡
走査型
透過型
_◇磁粉探傷
微小欠陥にも適用できるが、磁性材料のみ
試験体を電磁石で磁化、表面に鉄粉散布
⇒傷があると鉄粉は付着しない
※鉄粉そのものを磁化して散布してもよい
_◇浸透探傷
液体の浸透痕。どんな材料にも適用できるが自動化困難
染色浸透液を試験体表面に塗布する
_◇渦電流探傷
電磁誘導による渦電流の大小。導電性材料のみ
①コイルに交流電圧を加える
②交流の磁束が発生
③試験体(金属等)の導体表面に電磁誘導により渦電流が流れる
④渦電流により磁界ができ、この発生した電圧ともともとコイルに加えた電圧からコイルの電流が定まる
⑤ここで試験体の内部や表面に不連続な場所があると、渦電流が変化し、コイル電流も変化する
⇒傷の存在を確かめられる
◆内部のきず、欠陥に対する診断方法
_◇放射線透過法
試験体にX線を照射し、輝尽蛍光体によって検出する
⇒X線フィルム不要(暗室、現像など不要)
※輝尽蛍光体(きじん)
メモリ機能をもった蛍光体
⇒IP(イメージングプレート)
積分型2次元放射線検出素子
⇒X線の強度分布として蓄積記憶する
<IP中に発生した電子や正孔を、臭素もしくはユウロピウムが捕獲する>
⇒その後、IP表面を赤外線レーザで操作すると強度分布に相応した青色光を発する
(光輝尽発光)
捕獲されていた電子、正孔が解放されて発光する
⇒青色光を光電子増倍管(フォトマル)で電気信号に変換する。
_◇超音波探傷法
※周波数1~10MHz位の高い周波数が使われる
指向性が高い
境界で反射する
①1つの探触子を送受に使う
②飛行時間回折法
TOFD: Time of Flight Diffraction
試験体表面に2つの探触子を離して向かい合わせに配置
送信探触子
受信探触子
⇒経路により飛行距離が異なるので、欠陥の大きさや深さを信号の時間差として検出できる。
⇒探触子を移動させることで広い領域を検査
⇒探触子を多数備える方法
◆表面温度
_◇赤外線

☆劣化診断

※機器の診断
正常な運転状態の測定結果をデータとして蓄積
⇒現在運転中のデータと比較する
◆漏れ
_◇加圧
_◇化学試薬
_◇超音波
_◇放射性同位元素
◆割れ
_◇AE(アコースティック・エミッション)
_◇鉄粉
鉄粉を浮遊させた水に浸すと、鉄粉は鉄の割れ目に磁着するので分る
◆腐食
_◇放射線
_◇渦電流探傷
_◇超音波
_◇電流抵抗
◆異常振動
_◇振動ピックアップ
◆異常音
_◇打音
機械的劣化診断
⇒隙間やガタの診断
※機械的な劣化は、機械的衝撃、加熱、冷却ストレス、磨耗、材料の経年劣化など反復が原因で起こる
_◇マイクロフォン
録音⇒波形解析(周波数成分で分析)
ひび割れやボイドにより、健全な場合とパターンが変化する。
◆異常温度
※正常状態でも静止時より運転時の方が温度が上昇する
※異常があれば温度上昇が大きくなることが多い
電気的でも機械的でも
_◇熱電対
_◇抵抗温度計
サーミスタ
_◇サーモクレオン
_◇赤外線カメラ
◆材質劣化
_◇超音波
_◇X線
◆ゆるみ
_◇振動ピックアップ
◆回転軸磨耗、コイルの緩み
回転機の運転状態での常時監視
突発的な電流(サージ電流)を重ね、そのときの機械的な振動を加速度センサでひろって振動の大きさを求める
⇒サージアナライザ
◆油劣化
_◇フェログラフィ
_◇SOAP法
◆絶縁劣化
電気機器の劣化
電気的劣化
磨耗的劣化(主として回転機)
※コイル絶縁材料、マイカやレジンの劣化
(ボイドや亀裂)
⇒劣化すすむと耐圧が低下し事故となる
※発電機を止めて行う場合
コイルに外部から交流高電圧加え、絶縁層にながれる電流を測定する
⇒異常事態に特有の電流
_◇電圧降下試験
_◇高圧法
_◇誘電正接試験
tanδ
印加電圧に対して、電圧と電流の同位相の成分をプロットする⇒絶縁に異常があるとtanδの値が上昇する
_◇部分放電
正弦波を印加するとパルス状の波形が乗る⇒絶縁にボイドがあり、放電パルスが現れている
_◇交流電流試験
電圧を高くしていくと、
⇒異常がなければ電流は電圧に比例する
⇒異常があると電流が急増するポイントがある
_◇赤外線カメラ
_◇トランスの絶縁診断
※発電所、変電所の大容量トランス
⇒絶縁紙と鉱物油による高電圧絶縁
⇒絶縁油はコイルの冷却の役割も果たす
⇒絶縁紙の主成分はセルロース(分子量800~1200)
※絶縁紙に含まれる水分、酸素、油は温度上昇と使用年数により消費される
⇒セルロース分子の平均重合度は低下する
⇒分子が切断されていく
⇒平均重合度残率から寿命を推定できる
※低分子化したセルロースはガス状成分として油に溶解する
⇒発生ガス量と平均重合度の現象には相関がある
⇒ガスマスによる成分分析
※放電を中性点においた電流センサーで捕らえ、別な超音波センサで音響的にも捕捉し、この時間差から欠陥位置を推定する
_◇超高圧ケーブル
分厚い絶縁体⇒ナノアンペア、ピコアンペアオーダの電流を測定することが必要となる
※活線診断法もある
※信頼度が高いのは直流漏れ電流試験(活線ではない)
直流高電圧をかけて漏れ電流を測定する
⇒正常な場合、充電電流のみで減衰する
⇒劣化ケーブルでは漏れ電流が増大し、パルス的なキック電流も流れる
※厚い絶縁層の劣化⇒トリー
(高分子の劣化が木の枝状に進む)

☆放射線、放射能計測

◆ガイガー・ミューラー計数管
◆シンチレーションカウンタ
蛍光体:タリウム活性化を施したヨウ化ナトリウムなど
ガンマ線による発行を光電子増倍管によって検出する
⇒量子エネルギーの高低により電流パルスの高さが異なる。

☆TIPS

◆電気回路
_◇水銀接点
電気接点に水銀を用いれば接触抵抗を一定に保てる
水銀は小孔から漏れない
アマルガムが生成しないように鉄の栓を電極とする
_◇変化電流の抽出
検流計Gに変化電流のみを流す
検流計に対して、抵抗Rと電池Bをシャントに入れる
抵抗Rによる電圧降下R*iを電池電圧Eと等しくなるように調整する
a-b間の電位は0となりGに電流は流れない
iがi+δiに変化すると、検流計の抵抗をRgとして
i+δi=ig+iR
Rg*iG-R*iR=E
ig=(E+R*(i+δi))/(R+Rg)
Ri=Eなので
ig=(R/(R+Rg))δi
R>>Rgにとれば、igとδiはほぼ等しくなる
主GND(b)
────┬──┐B
    │ ─┴─
    │  ┯
 ┌──┤  │
┌┴┐┌┴┐┌┴┐
│R││G││R│
│g││ ││ │
└┬┘└┬┘└┬┘
 └──┤  │
  iG↑  │(a)
→───┴─→┘
i+δi  iR
◆工作法
_◇平坦化、真直
薄板、針金。。。まっすぐにする一番良い方法はは引っ張ることである。
_◇球
球を作るには転がすに限る。
⇒研磨剤にしだいに細かいものを使う。
_◇除震台
ゴム板の無いとき、ゴムまり3個の上に板をおいても除震台になる。ただし、温度が変わるとまりのゴムの厚さの違いから膨張に差を生じ傾くことがある
◆その他
_◇薄い層の厚み
端を斜めに切って、切り口の拡大された層の厚みを測る

☆計量法

日本電気検定所
http://www.jemic.go.jp

☆参考

◎デシベル(decibel, DB)
ある基準値に対する比の常用対数の値を10倍した単位。ある基準値Aに対する値Bは、(電力の場合)
10 log (B/A) デシベル
ただし、電力は電圧または電流の2乗に比例するので(電圧または電流の場合)
20 log (B/A) デシベル
※電圧
0 dB…基準と同じ
1-10%程度…1%が0.1dB
3 db…√2(1.41)=出力電力半分
6 dB…2倍
10 dB…約3倍
20 dB…約10倍
※相対利得同士、相対利得と絶対利得の足し算引き算はOKだが、絶対利得同士の足し算引き算は誤り
※B(ベル)はSIに属さないが、SIと併用される単位
◆増幅器の利得の場合
入力xと出力yの比
G= 20 log (y/x)
◆音圧の場合
2 x 10^-5 Paを基準とする比をdBで表現する。
※dBSPL(Sound Pressure Level)
0dB=振幅圧力の実効値が20μP(20μPは人間に聞こえる最小の音圧とされている)の音とした音圧レベル単位。
※騒音環境基準:
幹線道路 昼70dB、夜65dB以下
※Pa = 1 N/m^2
◆音の強さの場合
単位断面積を単位時間に通過する音のエネルギーWm^-2。
I0=10^-12 Wm^-2を基準とする比をdBで表現する。
y = 10*log(10) (I/I0)=10*(log(10)I – log(10)I0)
※phon(フォン)は、同じデシベルでも周波数により人間の耳に感ずる音の大きさが異なるため、dBで表した1000Hzの音と同じ大きさに聞こえる音(周波数に関係なく)をphonとする。
◆dBV
0dB=1Vとした電圧表示。
◆dBm(電力値)
600Ωという条件で0dB=1mWとした電力表示単位及び電圧表示単位(電圧では0dB=0.775Vになるがこれは0dB=1mWと同じ)。電話など600Ω系で使われる。
◆dBW(電力値)
1Wを0dbWとする。
◆dBμ(電圧値)
1μVを0dbμとする。通信機など50Ω系の終端電圧は107dBμ=0dBmになる。
◆dBs
0dB=0.775Vとした電圧表示単位
◆dBμV/m
0dB=1μV/mとした電界強度の単位(1mの高さの標準アンテナが1マイクロボルトの電圧を検出する電波の強さを0dBとした電界強度単位)。
◆dBi, dBd
球形の放射パターンを持つアンテナの利得=0dBi(絶対利得)
基準を半波長標準ダイポールアンテナとした場合は0dBd(相対利得)
0 dBd = 2.14 dBi
◆dB/m
ケーブルなどの減衰量を表す。「0.033dB/m」と表示してあれば「1m当たりの減推量が0.033dB」の意味で、100mでは3.3dBの減衰。
※インピーダンス系
低周波600Ω
高周波50Ω
同じ0dBmでもその終端電圧は、
600Ω系 終端電圧V
V=√(1mW×600)=0.775[v]
50Ω系 終端電圧V
V=√(1mW×50)=0.224[v]
◆dBHL
0dB=0HL(ゼロ hearinng level)とした聴力レベル単位(0HL:正常聴力の成人がもっとも良い条件のもとで聞こえる最小音量の平均値、JIS T1201に規定されている)。オージオメーターによる測定に用いる。聴力レベルの0dBは音圧レベルの4dBに相当。
◎地磁気
◆偏角、伏角
①偏角
地磁気の水平分力の真の北からの振れ角。日本付近では5から10度ほど西を向く。
②伏角
地磁気の3次元的な方向と水平からの振れ角。日本付近では40から60度ほど下を向く。
◎単位系
◆MKS単位系
力学にあらわれる物理量の単位は長さ、質量、時間の単位を決めれば3つから全て定まる
長さm
質量kg
時間s
◆MKSA単位系
MKS単位系に電流の単位[A]を加えた単位系
◆SI基本単位系(SI=国際単位系)
MKSA単位系に、[K][cd][mol]を基本単位として加えたもの
長さ メートル m
質量 キログラム kg
時間 秒 s
電流 アンペア A
熱力学温度 ケルビン K
物質量 モル mol
光度 カンデラ cd
※メートル
定義「1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである。」この定義により、光の速さは1秒間に299792458mとなる。
歴史的には、メートルの定義は、地球の子午線の1/4000万の長さ。人工物のメートル原器の長さはクリプトン86からの放射電磁波の波長による定義へと変更された。現在では上記の長さをメートルの定義として、「よう素安定化レーザ」を用いて測定される。
※産業技術総合研究所
http://www.aist.go.jp/db_j/list/l_news_topics.html
国際単位系
※ユニットマーケット
http://www.unitmarket.jp/
◆緯度、経度
※国土地理院
http://www.gsi.go.jp/KIDS/PAMPHLET/p9.htm
◆組み立て単位
基本単位から組みたてられる物理量の単位
_◇周波数 ヘルツ [Hz]
s^-1
_◇力 ニュートン [N]
m * kg * s^-2
_◇エネルギー、仕事 ジュール [J]
[J] = [N * m] = [C * V]
m^2 * kg * s^-2
_◇仕事率、電力、パワー ワット [W]
[W] = [J/s] = [A*V]
m^2 * kg * s^-3
_◇圧力、応力 パスカル [Pa]
[Pa] = [N/m^2]
m^-1 * kg * s^-2
_◇電気量、電荷 クーロン [C]
[C] = [A*s]
s*A
_◇電位、電圧 ボルト [V]
[V] = [J/C]
m^2 * kg * s^-3 * A^-1
_◇静電容量 ファラド [F]
[F] = [C/V]
m^-2 * kg^-1 * s^4 * A^2
_◇電気抵抗 オーム [Ω]
[Ω] = [V/A]
m^2 * kg * s^-3 * A^-2
_◇磁束 ウエーバ [Wb]
[Wb] = [T*m^2] = [V*s]
m^2 * kg * s^-2 * A^-1
_◇磁場(磁束密度) テスラ [T]
[T] = [Wb/m^2]
kg * s^-2 * A^-1
_◇インダクタンス ヘンリー [H]
[H] = [Wb/A] = [V * s /A]
m^2 * kg * s^-2 * A^-2
_◇放射能 ベクレル [Bq]
s^-1
_◇吸収線量 グレイ [Gy]
[Gy] = [J/kg]
m^2 * s^-2
_◇線量当量 シーベルト [Sv]
[Sv] = [J/kg]
m^2 * s^-2
◆cgs単位系
長さcm
質量g
時間s
◆有理系と非有理系
①有理系:クーロンの法則の係数に1/4πがあらわれる
マックスウエル方程式にはπが現れない
②非有理系:クーロンの法則の係数に1/4πがあらわれない
マックスウエル方程式にπが現れる
※静電単位系他
esu Electrostatic system of units
電気量にかかわるもの(ε0)をまず定義してからその他を決める
emu Electromagnetic system of units
磁気量にかかわるもの(μ0)をまず定義してからその他を決める
Gauss
両方(ε0、μ0)定義する
MKSA
電流を独立量に選んでε0、μ0を与える
※通常、esu, emu, Gauss系は非有理系、MKSA系は有理系で書かれる
※MKSA系では、電流量が独立であり
ε0=10^7/4πC^2 (Cは光速)
μ0=4π10^-7
よって、(ε0*μ0)^(-1/2)=Cとなる。
※E-H対応とE-B対応
①E-H対応:磁気量として磁荷を考え、磁荷に対するクーロンの法則を基本とする。
(電気と磁気を同じ形式で表現できるが、現実には磁荷は存在しない。)
②E-B対応:磁荷を考えず、力はアンペールの力を基本とし、磁束密度をビオ・サバールの法則で与える。
※表記法
①div E ∇・E
②rot B ∇×B (curl B)
②grad φ ∇φ
◆次元
1次元[L]
2次元[L^2]
3次元[L^3]
物理量Yの次元
[L^a M^b T^c]
L: Length
M: Mass
T: Time
①式A=Bの左辺と右辺の次元は常に同じでなければならない。
②次元が異なる2つの量を足し合わせることはできない。
③次元の異なる量の割り算は可能
※次元解析 方程式の具体的な内容に立ち入ることなく、両辺の次元計算のみによって方程式の真贋を論議する。

☆参考文献

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第3版 基礎物理学 原康夫 2006/10/30 学術図書
岩波講座 応用数学17 古典物理の数理 今井功 1994/10/28 岩波書店
高校数学でわかるシュレディンガー方程式 竹内淳 2005/03/20 講談社
光と物質のふしぎな理論 ファインマン 釜江、大貫訳 岩波書店 1987/6/23
基礎からの流体力学! 河村哲也 2006/3/30 山海堂
光速より速い光 ジョアオ・マゲイジョ 青木訳 日本放送出版協会
大人のための「数学・物理」再入門 吉田武 2004/1/25 幻冬舎
IT Text 音声認識システム 鹿野他 オーム社 2001/5/15
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