Sensing_general

☆一般

測定とは、量を基準と比較し数値を用いて表す操作をいう。

◆直接測定と間接測定

_◇直接測定
測定値とそれの基準量を直接比較して測る

_◇間接測定
別に測定した量から、間接的に測定値を求める

※測定量の誤差と結果の誤差の検討が必要
⇒大きな影響がある量は精密に、誤差があっても大した影響の無い量は簡略に

y = f(x1,x2,…)

x1にδx1, x2にδx2などの誤差を生じたとするとδyは
∂f(x1..)
δy=--------*δx1+。。。
∂x1

全体の誤差は各単独の誤差により生じる量の和になる

◆測定誤差と精度

_◇真の値と誤差
真の値:仮想される正しい値。通常の測定では求めることが出来ない理想の値。
⇒測定には誤差が伴う

誤差:測定値から真の値を引いた差

_◇精密さと正確さ

精密さ:測定ばらつきの小さい程度

※無限に多数回の測定を行ったときの平均値と真の値の差を偏りという

正確さ:偏りの小さい程度
⇒誤差率もしくは誤差百分率で表す。
1%の正確率は得られた数値の100分の1までは数値が確かである、ということを意味する
⇒「絶対正確さ」:誤差の絶対値で表す
⇒「正確率」: 測定値に対する誤差の比率で表す
⇒正確さを良くするには、 種々の誤差を減少させることが大切

※測定精度
正確さと精密さを含む、もしくはそのいずれかを言う

※測定量自身が変化し、明確に決まらないケースも多い

_◇感度
測定量の変化に対する指示量の変化の割合

※精密さや正確さとは別
⇒ 感度の良い測定 ≠ 正確な測定

※感度はまた、その測定器の検知し得る最小の量
⇒一般に、感度の良い測定器は、振動等の外部の影響を受けやすく取扱いが面倒
⇒目的とする測定に適した感度の測定器を使用する

_◇系統誤差と偶然誤差

※誤差の分類
①間違いによる誤差

②系統誤差(計測者、計測器)
⇒偏りの原因となる
⇒通常、補正が可能なことが多いが、補正できない場合もある

③偶然誤差
⇒ばらつきの原因となる
外乱(つきとめられない種々雑多な要因)
測定量自体の変動(測定精度の自然限界もある)
⇒測定値の平均をとるのは偶然誤差を除くための手段
⇒最小2乗法もその手段

_◇有効数字
位取りを示すための0を除いた意味のある数字を有効数字という。

測定値のばらつきは、多くの場合、正規分布をとる。測定結果の標準偏差σに対し、測定値は平均値mのまわりに
m-σ ~ m+σ 68.3%
m-2σ ~ m+2σ 95.4%
のようにばらつく。この物理量の測定結果を
m±σ
とあらわし、σを誤差という。

※誤差があるので、平均値mの桁数をむやみに多くしても意味がない。標準偏差の大きさ相当の桁までを意味のある数字として用いる。測定値は以下の形式で表現するので

a x 10^n

aの絶対値が1以上、10以下の数になるようにした有効数字で表す。

※計算の際には有効数字に注意して行うこと

_◇Gaussの誤差法則

※偶然誤差は多数の原因から生ずる微小な誤差の集積であると考え、それぞれの原因は等しい確率で+の誤差と-の誤差を生じるものとすると
⇒絶対値の小さい誤差ほど生ずる機会が多い
⇒原因が無限に多く、各原因の誤差は無限に小さい極限

xとx+dxの間にある誤差の生ずる確率は

p(x)dx = {(h/√π)e^(-h^2*x^2)}dx

※この確率分布を正規分布という

-∞から+∞まで積分すれば

∫[-∞:+∞]p(x)dx
=(h/√π)∫[-∞:+∞]{e^(-h^2*x^2)}dx=1

※h/√πは積分が1になるように定めた係数だが、hにより山の鋭さが変化する(h大で鋭くなる)ので、hを精度定数と呼ぶ。

_◇最小二乗法の原理
principle of least squares
最も確からしい値を求めるために2乗の和を最小にするという方法の原理

Riを測定値、tiを入力値とし, 未知の定数a,bから
Ri=a+b*ti
のようにかけるとして、誤差の二乗の和S
S=∑[i=1:n]{Ri-(a+b*ti)}^2
を最小にするa,bの値を決定する。
∂S/∂a = 0
∂S/∂b = 0
より
∑[i=1:n]{Ri-(a+b*ti)}=0
∑[i=1:n]{Ri-(a+b*ti)}*ti=0
あるいは
n*a + b*∑ti = ∑Ri
a*∑ti + b*∑ti^2 = ∑Ri*ti
からa,bを求める
⇒正規方程式

_◇母集団と偏差、残差、誤差

※測定値 M

※真の値 Z

※母集団
仮想的な無限に多くの測定値の集まり

※試料平均
測定値の算術平均
M~

※母平均 a
母集団についての平均(仮想のもの)
⇒知ることはできないが推定できる

※偏差
測定値と母平均との差
M-a

※残差
測定値と試料平均との差
M-M~

※偏り
母平均と真の値との差
a-Z

※誤差 x
測定値と真の値の差
x=M-Z

※偶然誤差だけの場合、正規分布をするのは偏差である

※母分散
偏差の二乗の平均 σ^2
⇒母標準偏差σ

※試料分散
残差の2乗の平均
S^2=(1/n)*∑[i=1:n](Mi-M~)^2
⇒試料標準偏差S

※試料分散は測定値から計算できるが、母分散は本当の値を知ることができない。母分散を試料分散S^2から推定する場合、測定値の数nを使って

(n/(n-1))*S^2

を用いる⇒不偏分散
⇒母標準偏差σの推定値u
u=√{(1/(n-1)∑[i=1:n](Mi-M~)^2}

※試料平均M~の標準偏差の推定値
un=√{(1/(n*(n-1))∑[i=1:n](Mi-M~)^2}

※推定値にはnを付記することが望ましい

_◇測定値の重み

※10回測定して得た平均値は8回の測定から得た平均値に対して 10/8の価値(重み)がある

※重みの違った測定値にそれぞれの重みを乗じて加え、重みの合計で割ったものを重みつき平均という

_◇誤差の伝播法則

y=f(x1,x2,…,xn)

なる関係式を用い、x1,x2,…,xnを観測してyを求める間接測定で、x1,x2,…,xnの測定値の標準偏差が
σx1,σx2,…,σxn
であれば、算出したyの値の標準偏差σyは

σy
=±√{(∂f/∂x1)^2*σx1^2+…+(∂f/∂xn)^2*σxn^2}

◆近似
原因と結果との関係は、一般には複雑で線形ではない
そこで、近似式として展開形式を採用することがある(先にいくほどどんどん小さくなることを前提とする)

l=l0*(1+α1*t+α2*t^2+α3*t^3+…)

_◇実験式
empirical formula

測定された2量の関係に最もよく適合する代数式を用いて表す。

①直線
y=a+b*x

②放物線または双曲線
y=a*x^n
xおよびyの対数をとって
log(y) = log(a) + n * log(x)
※両対数プロットで直線となる
※nが正なら広義の放物線、負なら双曲線
※プロット上のxが大きいところでは直線だが、小さいところでは上または下に曲がる曲線は
y=a*(x+b)^n
があてはまる

③指数関数
y=a*e^(b*x)
両辺の対数をとれば
log(y) = log(a) + b*x*log(e)
※片対数プロットで直線となる

④ベキ級数
y = a + b*x + c*x^2 + d*x^3 + …

◆Retardation
リターディション:遅延

◆測定法

_◇零位法
zero method, null method
測定量を、それに独立の調整可能な基準量に釣り合わせ、調整した基準量から測定量を知る方法

☆時間測定

◆時間の単位と天文現象

_◇恒星日
siderial day
地球が恒星に対して1自転する周期

_◇太陽日

※真太陽日
apparent solar day
太陽に対して1自転する周期
⇒季節によって異なる

※平均太陽日
mean solar day
真太陽日の長さを年間平均

_◇秒
もともと1秒は平均太陽日の86400分の1という単位であった
⇒公転基準⇒原子基準と変わった

※自転速度の永年変化と不規則変化により10^-7の精度しかない。

◆時計と歩度
1日についての進み遅れを秒で示す。

※歩度の不規則変動が時計の精度の目安となる

日差
一日の遅れ進み

日較差
日差の変動

指示差
一日のうちの標準時間に対する最大の進みと遅れの和

_◇振子時計
動力、機構、気温、気圧等が歩度誤差の原因となる

_◇天府時計
テンプとひぜゼンマイの振動系の周期を利用する

※クロノメータ

※温度によるひげの弾性変化とテンプの熱膨張にある
※姿勢差もある

_◇音叉時計
3極管を用いて音叉を発振させ、これを恒温槽の中にいれる。

※発振方式として、磁性金属棒の磁歪を利用する方式もある。

_◇水晶時計
圧電効果により水晶片を発振させ、電気振動を得る。

水晶の切り方により振動の型が異なる

①GTカット
温度係数ゼロ、温度の2階微分係数も例に近い
②L.Essenの環状の切り方
振動が環の周縁にそって伝播する
③古賀博士の結晶r’面に約3度傾く切り方

※水晶時計の歩度。最初の数週の変動が大きい

※歩度の変動測定には唸りを観測する

_◇原子時計
不均一磁場により、セシウム原子のビームから特定のエネルギー準位にあるものだけを取り出し、繊維周波数にあたるマイクロ波電界を通過させて誘導遷移をおこす。強さ最大となる周波数に、外部の水晶発振器から作られる発振を引き込んで計時する。

_◇ストップウオッチ

①観測誤差(起動、停止、位置よみとり)
②歩度の不正
③間欠動作による器械的誤差

※一般的に観測誤差より器械的誤差の方が大きい

_◇音叉発振

_◇火花クロノグラフ

感応コイルの1次側の2つの巻をそれぞれ開始と終了のスイッチ(電源含む回路)とし、2次側の一方に高速回転ドラム、他方にそのドラムに近接した針を接続する。1次側のスイッチを切った瞬間に2次側に高い電圧が生じ、針からの電気火花を生ずるが、これを煤紙の孔や夜光剤、感光フィルムで検出する。高速ドラムの回転を測定しておけば、2点の時間間隔が分る

_◇偏光写真クロノグラフ

カー効果を使ったシャッターを用いる。

あるいはファラデー効果を用いる。

_◇ヘルムホルツ振子
剛体振り子

_◇回転鏡

_◇電気クロノグラフ

爆薬の轟爆速度の測定
衝突の際の接触時間の測定

※計数クロノグラフ
パルス発振器、ゲート回路、カウンタ

◆セシウム原子時計

_◇Symmericom
Agilent社の製品ラインを引き継いだ。

☆年代測定

◆放射性同位体存在比の計測

_◇カリウム-アルゴン法
カリウム40が崩壊してアルゴン40に変わる過程の存在比を観測。
アルゴンは揮発性が高いので、溶岩から固化するときには高温のため待機に放出され、出来たばかりの岩石には含まれて居ないと考えられるため。
半減期12.5億年(古い岩石の年代測定に向く)

_◇ウラン・トリウム法
235U-207Pb, 238U-206Pb, 232Th-208Pbなどの核壊変の数十億年の半減期を利用し、鉛同位体の比率から岩石の誕生年代を推定する方法

_◇炭素14年代測定
炭素14から窒素14への崩壊による存在比を測定。生物は大気中で新陳代謝をしている間は、大気と炭素14の同位体比が同じ。死ぬと、炭素14が崩壊し窒素14にかわる。(炭素14は、炭素12に対して1兆分の1程度含まれるが、大気中で常に生成されている)
半減期5730年

※誤差が含まれる可能性多く、解釈には注意が必要。

☆非破壊試験
材料、機器、構造物などを分解や解体をせず(形状、寸法、性能を変化させることなく)、それらの表面や内部の性質、状態、欠陥、構造などを正確に把握すること

⇒非破壊検査の結果が信頼されるためには、破壊検査や実績との照合を積み重ねることが必要

◆表面のキズ、欠陥に対する診断方法

_◇目視
拡大鏡
立体顕微鏡
光学顕微鏡

※電子顕微鏡
走査型
透過型

_◇磁粉探傷
微小欠陥にも適用できるが、磁性材料のみ

試験体を電磁石で磁化、表面に鉄粉散布
⇒傷があると鉄粉は付着しない

※鉄粉そのものを磁化して散布してもよい

_◇浸透探傷
液体の浸透痕。どんな材料にも適用できるが自動化困難

染色浸透液を試験体表面に塗布する

_◇渦電流探傷
電磁誘導による渦電流の大小。導電性材料のみ

①コイルに交流電圧を加える
②交流の磁束が発生
③試験体(金属等)の導体表面に電磁誘導により渦電流が流れる
④渦電流により磁界ができ、この発生した電圧ともともとコイルに加えた電圧からコイルの電流が定まる
⑤ここで試験体の内部や表面に不連続な場所があると、渦電流が変化し、コイル電流も変化する
⇒傷の存在を確かめられる

◆内部のきず、欠陥に対する診断方法

_◇放射線透過法
試験体にX線を照射し、輝尽蛍光体によって検出する
⇒X線フィルム不要(暗室、現像など不要)

※輝尽蛍光体(きじん)
メモリ機能をもった蛍光体
⇒IP(イメージングプレート)
積分型2次元放射線検出素子
⇒X線の強度分布として蓄積記憶する
<IP中に発生した電子や正孔を、臭素もしくはユウロピウムが捕獲する>
⇒その後、IP表面を赤外線レーザで操作すると強度分布に相応した青色光を発する
(光輝尽発光)
捕獲されていた電子、正孔が解放されて発光する
⇒青色光を光電子増倍管(フォトマル)で電気信号に変換する。

_◇超音波探傷法

※周波数1~10MHz位の高い周波数が使われる
指向性が高い
境界で反射する

①1つの探触子を送受に使う

②飛行時間回折法
TOFD: Time of Flight Diffraction
試験体表面に2つの探触子を離して向かい合わせに配置
送信探触子
受信探触子
⇒経路により飛行距離が異なるので、欠陥の大きさや深さを信号の時間差として検出できる。
⇒探触子を移動させることで広い領域を検査
⇒探触子を多数備える方法

◆表面温度

_◇赤外線

☆劣化診断

※機器の診断
正常な運転状態の測定結果をデータとして蓄積
⇒現在運転中のデータと比較する

◆漏れ

_◇加圧

_◇化学試薬

_◇超音波

_◇放射性同位元素

◆割れ

_◇AE(アコースティック・エミッション)

_◇鉄粉
鉄粉を浮遊させた水に浸すと、鉄粉は鉄の割れ目に磁着するので分る

◆腐食

_◇放射線

_◇渦電流探傷

_◇超音波

_◇電流抵抗

◆異常振動

_◇振動ピックアップ

◆異常音

_◇打音
機械的劣化診断
⇒隙間やガタの診断

※機械的な劣化は、機械的衝撃、加熱、冷却ストレス、磨耗、材料の経年劣化など反復が原因で起こる

_◇マイクロフォン

録音⇒波形解析(周波数成分で分析)
ひび割れやボイドにより、健全な場合とパターンが変化する。

◆異常温度

※正常状態でも静止時より運転時の方が温度が上昇する
※異常があれば温度上昇が大きくなることが多い
電気的でも機械的でも

_◇熱電対

_◇抵抗温度計
サーミスタ

_◇サーモクレオン

_◇赤外線カメラ

◆材質劣化

_◇超音波

_◇X線

◆ゆるみ

_◇振動ピックアップ

◆回転軸磨耗、コイルの緩み
回転機の運転状態での常時監視

突発的な電流(サージ電流)を重ね、そのときの機械的な振動を加速度センサでひろって振動の大きさを求める
⇒サージアナライザ

◆油劣化

_◇フェログラフィ

_◇SOAP法

◆絶縁劣化

電気機器の劣化
電気的劣化
磨耗的劣化(主として回転機)
※コイル絶縁材料、マイカやレジンの劣化
(ボイドや亀裂)
⇒劣化すすむと耐圧が低下し事故となる

※発電機を止めて行う場合
コイルに外部から交流高電圧加え、絶縁層にながれる電流を測定する
⇒異常事態に特有の電流

_◇電圧降下試験

_◇高圧法

_◇誘電正接試験
tanδ

印加電圧に対して、電圧と電流の同位相の成分をプロットする⇒絶縁に異常があるとtanδの値が上昇する

_◇部分放電
正弦波を印加するとパルス状の波形が乗る⇒絶縁にボイドがあり、放電パルスが現れている

_◇交流電流試験
電圧を高くしていくと、
⇒異常がなければ電流は電圧に比例する
⇒異常があると電流が急増するポイントがある

_◇赤外線カメラ

_◇トランスの絶縁診断

※発電所、変電所の大容量トランス
⇒絶縁紙と鉱物油による高電圧絶縁
⇒絶縁油はコイルの冷却の役割も果たす
⇒絶縁紙の主成分はセルロース(分子量800~1200)

※絶縁紙に含まれる水分、酸素、油は温度上昇と使用年数により消費される
⇒セルロース分子の平均重合度は低下する
⇒分子が切断されていく
⇒平均重合度残率から寿命を推定できる

※低分子化したセルロースはガス状成分として油に溶解する
⇒発生ガス量と平均重合度の現象には相関がある
⇒ガスマスによる成分分析

※放電を中性点においた電流センサーで捕らえ、別な超音波センサで音響的にも捕捉し、この時間差から欠陥位置を推定する

_◇超高圧ケーブル
分厚い絶縁体⇒ナノアンペア、ピコアンペアオーダの電流を測定することが必要となる

※活線診断法もある

※信頼度が高いのは直流漏れ電流試験(活線ではない)
直流高電圧をかけて漏れ電流を測定する
⇒正常な場合、充電電流のみで減衰する
⇒劣化ケーブルでは漏れ電流が増大し、パルス的なキック電流も流れる

※厚い絶縁層の劣化⇒トリー
(高分子の劣化が木の枝状に進む)

☆放射線、放射能計測

◆ガイガー・ミューラー計数管

◆シンチレーションカウンタ

蛍光体:タリウム活性化を施したヨウ化ナトリウムなど
ガンマ線による発行を光電子増倍管によって検出する
⇒量子エネルギーの高低により電流パルスの高さが異なる。