土木でエレキ(8) 橋の崩落の歴史

JosephHalfmoon

土木素人が、橋梁の維持、管理のための「見守り」装置などを調べさせていただいております。それでは、そういう「見守り」などしないとどうなるか? 落橋、橋の崩落といった事態に至ることが考えられるわけでございます。実際には、維持、管理に当たっている方々のお陰で、大事に至らぬ前に、架け替えられたり、あるいは通行止め(予算の都合でこのごろ増えているみたいですが)になったりして未然に防がれているケースがほとんどだと思います。しかし、それでも落ちることはあるのですね。本日は、「エレキ」をちと離れて、橋の崩落の歴史を短く辿ってみたいと思います。

最初にお断りしておきますが、素人がまた聞きで崩落の原因などを断じることはないように心がけてリストしております。また、リスト網羅的ではなく、かなり偏りがありますが、これは、ネットで調べれば各種の資料が見つかる事例、ということで勝手に選ばせていただきました。詳しいことは年代と場所、橋の名でご自身で調べていただければと思います。実際、何か一つだけが原因、というようなことはまずなく、

  • 設計に問題があった
  • 施工や使用した材料に問題があった
  • 維持、管理、交通の制限などに問題があった
  • 直接引き金を引くような外的要因があった

のうち、いくつか複合しているケースがほとんどだと思います。

  • 歴史的な例

1807(09/20 江戸、永代橋落橋。祭礼群衆多数。
1818 スコットランド、ドライバラアベー橋崩壊。吊橋。
1821 イングランド、ユニオン橋崩壊。
1831 イギリス、マンチェスター郊外アーウィン川つり橋落橋。ライフル銃隊68人歩調をあわせて行進
1833 イングランド、ブライトン鎖桟橋(吊橋構造)破損。強風。
1834 ドイツ、ナッサウ橋崩壊。
1836 イングランド、ブライトン鎖桟橋崩壊。
1838 スコットランド、モントローズ橋崩壊。
1839 英、メナイ吊橋の路面ハリケーンに吹き飛ばされる。
1847(05 英、ディー橋崩落。最初の列車通過時に崩落。
1850 仏、バス・シェーヌ橋事故。つり橋。行軍中の歩調をそろえた部隊。嵐。
1852 仏、ロッシュ=ベルナール橋崩壊。
1854(05 オハイオ、ホィーリング橋崩落。
1879 スコットランド、テイ橋崩落。トラス形式。

1888 ジョージ・トムソン(米)、アメリカとカナダの鉄橋の崩落の多さ(10年で250件以上)指摘。

1889 ナイアガラ=クリフトン橋崩壊。
1907 カナダ、ケベック橋、建設中に崩壊。片持ち梁構造。圧縮による座屈。
1926(09/26 茨城、海門橋落橋
1938 ベルギー、ハッセルト溶接橋脆性破壊 冬の低温時による低温脆性

1940(07/11 米ワシントン州タコマのナローズ橋(吊橋)落橋。16mmフィルムで落橋過程が撮影された。

  • 近年の例(新聞だねになったものなど中心)

1963(12/14 米、シルバー橋崩落
1970(06/02 英(ウエールズ)、ミルフォード港橋(Cleddau橋)建設中崩落。箱型断面桁。板の座屈。
1983(06/28 マイアナス川橋崩壊、コネチカット州グリニッチ近郊、I95号線
1983(11/17 岐阜、松の木瀬橋落橋。 ダンプカー通行中。
1989(06/15 長野、新菅橋落橋。 ダンプカー通行中。
1990(07/16 岐阜、島田橋落橋。 ダンプカー通行中。
1991(03/14 広島新交通システム工事現場、橋桁落下。
1992(07/31 韓国、新幸州大橋、コンクリート斜張橋、建造中崩壊。
1994(10/21 韓国、聖水大橋崩落。
1996(09/26 パラオ、KB橋崩落。
2003(05/26 東北地方に地震。東北新幹線の高架橋にひび割れ、表面はがれなど見つかる。
2003(08/28 新潟、朱鷺メッセ連絡デッキ橋(人道橋)落橋。地震、天候、荷重原因なし
2007(08/01 米、ミネアポリス高速道路橋崩落。
2011(03/11 茨城、鹿行大橋 東日本大震災により58m崩落。
2011(06/25 韓国、旧倭館鉄橋崩落。
2011(09/04 奈良、西谷橋、土砂崩れにより崩落。
2011(10/25 福岡、御館橋歩道部分崩落。2009年舗装工事時の問題?
2012(01/29 長野、中条橋崩落、前年長野県北部地震で損傷、通行止め中。積雪直接原因。
2015(01/31 静岡、原田橋落橋。
2016(01/25 韓国、オリンピック建設現場、鉄道橋崩落。
2016(04/16 九州自動車道跨線橋、熊本地震により落橋。
2016(04/16 阿蘇大橋崩落、熊本地震による土砂崩れによる。
2016(04/22 新名神高速道路(神戸市北区)、建設中の橋げた落下。
2016(05/19 新名神高速道路(大阪府箕面市)、建設中の橋脚仮支柱倒壊。
2016(07/08 韓国、七山大橋崩落。
2016(10/29 イタリア、レッコ県高架橋崩落。
2017(03/09 イタリア、アウストラーダA14高架橋崩落。
2018(07/14 福岡、管野橋、橋脚の沈下、橋V字型に折れる。
2018(08/12 スペイン、ビーゴ木製歩道橋落橋、観客の飛び跳ね?
2018(08/14 イタリア、モランディ橋崩落 高速道路橋、PC橋 全長1182mのうち210m崩壊。

19世紀の近代的な橋梁建設の開始時期から有名なタコマ・ナローズ橋の崩落あたりまでは、橋の設計そのものが発展時期で、知見があれば避けられた設計を「やっちまった」例が多いように思われます。近年の例では、設計そのものに問題のある例は減少しているように見えますが、それでも絶無とは言い切れない感じもします。どちらかと言えば、人的要素では、施工方法や材料の選択の問題、外部要素では、地震などの自然災害が目立つ感じですが、人間、やっていることは19世紀も21世紀も実はそれほどかわらないんじゃないか、とも思えてきます。

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