前回が介護事務の話で、前々回はデイサービスのリクリエーションにもAIロボットみたいな話だったので、デイサービスの送迎などで何かないかね、と思って探していたら、やっぱりありました。またしてもICTが。ちゃんと電子デバイス使っているハードを駆使しつつ(この点デバイス開拓団的にはありがたいですが)、実際の付加価値はクラウド上です(またもやクラウドでリカーリングかサブスクリプション・モデル?)。確かにハードばかりでは「誰さんと誰さんは仲が悪いから」とか配慮しつつ(結局それに気付くのは人ですが)、駐車場所にも気を使い、常に何か予想外の事態が発生する中で安全運行をしなければならない(運転するのも人ですが)というのはできません。なかなかキツイ問題に毎日対応されている現場のご苦労は大変だと思います。しかし「この辺」に切り込みたくなった管理する側の人にはアピールするシステムに見えます。
システムの名は、
といいます。ちょっと偉そうな名前です。Panasonic社のシステムです。「デバイス」的に言えば何のことはありません、
カーナビ
です。Panasonic社は、カーナビとかETCとか昔からやっているので、その延長で BtoB向けのカーナビを出している、という流れなのだと思います。普通の「コンシュマーモデル」のカーナビと大きな違いは、クラウド側でいろいろ情報を吸い出して車両管理ができるという点です。まあ、コンシュマーモデルでも最近は通信機能付きも多いので、デバイス的にはほとんど違いは無いように見えますが。それにしても、説明を読み込んでいくと、
クラウド側は「ボス」のための機能
に間違いありません。その名の通りであります。このシステム、介護業界専用というわけではなく以下のような業界向けということで複数列挙しています。その3番目に介護福祉業界が挙げられているのです。
- 運送・トラック業界
- ルート配送業界
- 介護・福祉業界
- 訪問販売・営業
- 産廃処理・廃品回収業界
- 保守・メンテナンス業界
介護・福祉だけでは市場規模小さくてサービスが直ぐに廃止になっても困るでしょうから、多種の業界で使われるのは悪いことではないでしょう。しかし、「効率」が強烈に支配する業種と「老人力」の前に「効率」が吹き飛ぶこともママありの業種とうまくサポートしてくれるのかどうかについては説明読んでいても良くわかりません。曰く、このシステムの効能は以下の通りです。
- 業務効率化 各種の記録が自動でなされるほか、ルート設定なども自動化。
- 安全運転支援 あくまで「支援」です。多分荒い運転すると怒られます。
- コスト削減支援 燃費向上!月次の燃費も自動集計。
安全運転支援の「ヒヤリハットマップ」の生成と共有機能などというのは、なかなか良い機能ではないかと思いますが、総じてみると、
ボスの心に響く
テイストじゃないかと思います。流石にカーナビが「誰さんと誰さんは仲が悪いから」とか気付くことは無さそうですし、「今日は膝の調子が悪くて」といった事態に対処してくれることもないでしょう。限界はあり。ただし、使える面も確かにあるようにも思えます。確かにこのところ通所介護の車の交通事故などもニュースで目にするので、安全運転支援も導入時の効果にあげられるでしょうが、結局、コストでしょうか、導入の判断は。
導入+運用のコスト < セーブできたコスト
という数式によることになるでしょう。すると規模(台数)的にある程度大きくないと成り立ちにくいのではないかな、と思いました。BtoBで見積もり取って商談することになると思うので、実際どうなのでしょう?1点、多少なりとも配慮しているなと思ったのは、
クラウドだけでなく、スタンドアロンのPCでも処理できるオプションあり
SDカードでやり取りするようです。メンドイと言えばメンドイですが、通信インフラの整っていない小規模事業所への配慮でしょう。
カーナビで出来ることはかなり限定的ですが、最近、介護関係の展示会で、日産の偉い人が「通所介護の送迎も2020年代には自動運転だ」と言ったと聞きました。たしかに、自動運転になればインパクトは大きいでしょう。しかし通所介護に自動運転適用、誰がOKだすのでしょうか?その辺の話をするだけで時間かかる気もしますけれども。