前回は英国のお医者の「医者の不養生」的なデータセットでした。今回も医学生理学系のサンプル・データセットです。calciumとな。カルシウムといったって骨ではありませんぞ。細胞のカルシウム吸収「速度」の測定データみたいデス。細胞にはカルシウムチャネルなる出入口あり。『多様な生体機能を支えるチャネル界の主役』なんだそうな。
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R言語向けのパッケージ boot には、サンプルデータセット多数が含まれております。それを ABC順に「舐めて」ます。今回のサンプルデータセットはcalciumとな。
calcium サンプルデータセット
今回のデータセットは、時間[単位は分]に対してカルシウムの吸収量[単位はナノモル/mg]というデータ組を集めたものです。ナノモルは小さい単位に思えるけれど、分母がmgであります。Kgあたりに換算したらミリの単位ですな。まあ小さいといえば小さいけれども、それなり?
時間に対してのデータなので、一瞬時系列データ?と思いましたが違いました。放射性のカルシウムを含む血清中に晒した細胞を異なる時間毎に取り出してカルシウム吸収量を測定した結果のようです。同じ時間設定に対して3回測定を繰り返し、9種類の時間について測定しているので合計27点のデータです。しかし、各測定回の間に関係はないようです。
ここでは、せいぜい数倍の濃度変化が観察されるデータなのですが、細胞内外の濃度差は104倍に達するみたいっす。それに変化も速そうっす。
細胞内のカルシウム濃度が如何に重要であるか、ちょいと調べると多数のページがヒットしてきます。サンプルデータセットは1980年代以前の測定のようで、放射製のカルシウムを使って1点1点測定しているみたいです。苦労してるな~でも誤差もかなりあるんでないかい?と勝手に推察。しかし現在では生体組織内で動いている細胞のカルシウム濃度変化を動画にすることもできるようです。東邦大学メディアネットセンター様の以下のページへ行きますとカルシウムイオンの働きを理解できるとともに
動画『カルシウム感受性蛍光プローブを用いてとらえた心室筋細胞の収縮とカルシウムイオン濃度変化』を見ることができます。ピクピクしてますぞ。
また、冒頭に『多様な生体機能を支えるチャネル界の主役』と引用させていただいたお言葉は、以下の日経メディカル DIonline様のページに記されていたお言葉であります。
それだけに研究されている方も多いのだろうな。そして、ここに働きかける薬もまた多いと。
先ずは生データ
処理を始めるに先立って、サンプルデータセットが含まれているbootパッケージをライブラリとしてとりこんでおきます。
data(calcium)
にてサンプルデータセットを読み込んだ後、データ形式を確かめてみます。
単純なデータフレームのようです。データの先頭(半分くらい)をダンプすると以下のような感じです。
先ほど述べたように、同じtimeについて3点のデータが並んでます。どう処理したら良いものか途方に暮れるデータっす。とりあえずプロットね。
plot(calcium)
なんとなく指数関数的なものを「当てはめ」たくなる感じがしないでもないのです。しかし読ませていただいた上記のページなどをによると、カルシウムチャネルには特性の異なる複数の種類のチャネルが存在する上に、生体内での反応も速いように思われるので、上記にダラダラした非線形なカーブをフィット(回帰分析)してみても詮無い感じがします(といってやらない自分。)
まあ、ggplot使って、多少お化粧をし、縦横の軸に単位を追加してお茶を濁したいと思います。
g0 <- ggplot(calcium) + geom_point(mapping=aes(x=time, y=cal), size=3) g1 <- g0 + ggtitle("calcium") + xlab("time[min]") + ylab("cal[nmoles/mg]") g1
お茶を濁してばかりだな。