忘却の微分方程式(219)Maximaを使った物理数学基礎演習ノートを読む、直交座標系

Joseph Halfmoon

溝口純敏様著「Maxima を使った物理数学基礎演習ノート」(以下「演習ノート」と略)を拝読中。数学も物理学も苦手のお惚け老人はうろ覚えです。テンソルったら、座標系を変換しても変わらぬ「オブジェクト」であるらしいです。今回は座標変換、まずは直交座標系から直交座標系、それもベクトル(まあテンソルの一種だけど)で練習っす。

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※   MaximaおよびそのGUIであるwxMaximaの以下バージョンを使用させていただいております。

Maxima を使った物理数学基礎演習ノート は以下のバージョンをダウンロードさせていただきました。

令和4 年3 月 第八回改訂

今回「演習ノート」を学ばせていただくのは、「4.2 行列とテンソル」の「4.2.9 直交座標系のベクトル・テンソルの座標変換」の前半、ベクトルの座標変換あたりデス。

原点を同じくする直交座標系 xyz と x’y’z’ 間の座標変換

「演習ノート」では、第1の直交座標系 xyzの単位ベクトルを ijk、第2の直交座標系 x’y’z’の単位ベクトルを e1e2e3、としてます。なお、原点位置は共通デス。第1の座標系から第2の座標系への座標変換は座標変換行列 L を使えば以下のように書けるみたい。

\(
\begin{pmatrix}
\overrightarrow {e1} \\
\overrightarrow {e2} \\
\overrightarrow {e3} \\
\end{pmatrix}
= L
\begin{pmatrix}
\overrightarrow {i} \\
\overrightarrow {j} \\
\overrightarrow {k} \\
\end{pmatrix}
\)

ここで、座標変換行列 L は以下のように書かれてます。Lの各要素の値は、それぞれの単位ベクトル組の内積をとれば計算できるんでないですか?

\(
L =
\begin{pmatrix}
L_{11} & L_{12} & L_{13} \\
L_{21} & L_{22} & L_{23} \\
L_{31} & L_{32} & L_{33} \\
\end{pmatrix}
\)

一方Lの転置行列を使えば、第2の座標系から第1の座標系への「逆変換」も書き表すことができてしまうっと。

\(
\begin{pmatrix}
\overrightarrow {i} \\
\overrightarrow {j} \\
\overrightarrow {k} \\
\end{pmatrix}
= L^T
\begin{pmatrix}
\overrightarrow {e1} \\
\overrightarrow {e2} \\
\overrightarrow {e3} \\
\end{pmatrix}
\)

上記から、必然的?に以下のような関係があるらしいっす。

\(
L^T L =
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 1 \\
\end{pmatrix}
\)

上記をMaxima様にご確認いただくとこんな感じ。

transformationMatrix00おっと、この状態では単位行列には程遠いよ。そこで「演習ノート」ではLから各列ベクトルを「抽出する」ような操作をしてます。transformationMatrix01

取り出したベクトルに対して、同じベクトル同士の内積は1、異なるベクトル同士の内積は0というバッチリな関係を適用。

transformationMatrix02
そして、チョッち変数の数を整理しているみたい。transformationMatrix03

そして、先ほどの分けわからなかったTN71にsubstしてやると、

transformationMatrix04
ああら不思議、単位ベクトルになりましたとさ。いいのか?

第1の直交座標系で定義されているベクトルvAの座標変換

この座標変換行列 Lさえあれば、第1の座標系のベクトル vA を第2の座標系のベクトル vA’ に変換することなどお茶の子サイサイ。

\( \overrightarrow {vA}{}’ = L \ \overrightarrow {vA} \)

vAとvA’は、座標変換しただけ、「本質」は変ってないんだと。ホントか?

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