L.W.R.(53) コンピューター・アーキテクチャ、山田博著、1976、産業図書

Joseph Halfmoon

今回から3回にわたり、昭和の「コンピュータアーキテクチャ」の御本を経めぐりたいと思います。今回は山田博先生のそのものズバリのタイトル「コンピュータアーキテクチャ」でございます。初版は昭和51年。約50年ほど前の御本です。前回の御本の室賀先生同様、山田先生も黎明期の日本のコンピュータ業界の大先達デス。富士通の偉い人ね。

※『Literature Watch Returns (L.W.R.)』の投稿順 index はこちら

著者の山田博先生

IPSJ様の『コンピュータ博物館』(といってWeb上の博物館だけれども。本当は施設を作りたかったけれども先立つものの関係でWebになったとかならんとか、知らんけど)の以下のページに御来歴があります。

日本のコンピュータパイオニア 山田博

20世紀末に川崎の富士通研究所の顧問を辞められているので、お惚け老人がたまに富士通研究所によらせてもらっていたころにはまだ御在職だったのね。ま、そんな偉い人にお会いするようなことは無かったけれど。

FACOM関係充実の一冊だが他も

そんな山田先生の御著書なので、富士通の大型機 FACOMの機種がごちゃまんと取り上げられてます。アーキテクチャを分類しつつ、実機例を列挙されているほぼほぼ半分くらいはFACOMです。しかしFACOM以外も充実。コンピュータやるんだったら知らないとモグリ的な以下の機種も網羅しとります。

    • IBM System/360
    • IBM System/370
    • MULTICS
    • CDC 6600、7600
    • BURROUGHS B 8500
    • ILLIAC IV
    • CRAY-1

どれも雷名とどろく機種ばかり。まあコンピュータ業界の古典といってよいものでしょう。

だた、1976年の時点でご本に掲載されているようなマシンばかりであるので、お惚け老人をして、実際に「触った」ことがあるのは以下の2つのみ

    • IBM System/370の後継機 3090を仕事で使ったことがある。といって本体は見たこともなく、IBM3270シリーズの端末からJOBを走らせていただけ。
    • CRAY-1、加州マウンテンビューのコンピュータ博物館に鎮座しているCRAY-1に「座った」ことがある。「座れる」と聞いてはいたが「座れた。」そんなに座りごこちの良いものでもなかったような。

なお、System/の / 記号で区切るやりかた、IBM風のネーミングの特徴でしたな。1980年前後のインテルなどマイコン業界のメンメン、真似っこ?で / の記号をやたら入れていたような。。。

Internetの前身にも言及

1970年代といえば、まだまだ大型機全盛の時代っすけど、新たな時代の胎動?も始まってました。御本でもその辺については触れられています。ネットワークとマイクロコンピュータね。マイクロコンピュータについては「ジェネリック」な記述が中心。一方ネットワークについての言及の中に、後にインターネットに発展する筈のARPAネットの

1975年7月時点のトポロジ

のネットワーク図が掲載されてました。歴史的な記述だなあ。ノードには勿論IBM370とかCDCとかも登場しますが、半数以上はPDPシリーズ、やっぱりPDP-11が圧倒的に多いデス。しかしDECの片りんはこの辺くらいで、個別機種としてはミニコンには触れてないようです、まあ、その後を考えると妥当?すみません。

スタックマシン

このご本を掘り起こした動機の一つが、前述のリストの中ではちょいとマイナー(失礼)な感じのバロース(後にユニバックと合併してユニシスになる)のスタックマシンについての記述を見たかったからっす。別シリーズで何をいまさら練習しているアセンブラで、もう少しすると8087数値演算プロセッサをやらんとならないので、そのとき8087(スタックマシンなのよ)について考察するため。でも、御本を見るとBURROUGHS B 8500の時点でスタックマシンの弱点はバロース自身、認識していたみたい。それでマルチプロセッサだと。ううむ、今は昔のような。そうでもないような。

L.W.R.(52) 論理設計とスイッチング理論、室賀/笹尾訳、1981、共立出版 へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です