ソフトな忘却力(69) wxMaximaのLaTeX形式出力をモア・フィットなのよ

Joseph Halfmoon

前回、LaTeX素人老人が、Maxima様から輸出されたLaTeX形式の数式出力をなんとかタイプセットできました。でも苦し紛れです。今回は諸般の設定を見直して、より美麗な数式を印字してえ、特に最大の不満点、偏微分記号を表示したいとの野望です。ついでに日本語の文章も入れ込みたいです。素人老人には過ぎたる欲望よな。

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※   MaximaおよびそのGUIであるwxMaximaの以下バージョンを使用させていただいております。

    • wxMaxima 22.04.0
    • Maxima 5.46.0(x86_64-w64-mingw32)

※ TeXの「モダーン」なディストリビューションであるそうなMikTeXを、以下のインストーラを使用してWindows11上にインストールした上で「各種ファイルを更新」して使わせていただいております。

basic-miktex-24.1-x64.exe

wxMaxima側のLaTeX「輸出」設定

まずは「輸出元」であるwxMaxima側の設定がどうなっているのかを確認しておきたいです。メニューから設定>>エクスポートと開くと手元の処理系のデフォルト値はこんな感じ。MaximaLaTeXsettingORG

ここの設定をどうするか、素人老人が迷った挙句に設定したのが以下です。MaximaLaTeXsettingMOD

まずは、上の方の緑枠の部分、Maximaの「文書」全体を完全な .tex 形式のファイルとしてエクスポートするときに有効になる設定みたいです。行単位のコピペでは関係ないっす。

初期設定では文書クラスは article となってました。これは欧文の論文向けのクラスみたいです。今回は日本語使えるようにしたかったので

jlreq

としてみました。jlreqについては以下に

https://github.com/abenori/jlreq/blob/master/README-ja.md

「日本語文書作成に汎用的に使える新しい文書クラス」だそうです。「新しい」というからには「古い(伝統の)」日本語向けの文書クラスがあるはず。古の時代、アスキーが日本語化した伝統のpLaTeX上で使えるjclasses(複数形なのでいろいろあるみたい)がそれのようです。今回は新しいクラス、ということで試用するエンジンもモダーンな感じの

LuaLaTeX

でタイプセットしたいと思います。

上記設定は文書全体をイクスポートするとき適用される設定です。数式単独でも選択して右クリックからLaTeX形式で部分的な輸出ができます。そのときにも適用されるオプションが下の方に並んでます。このうち、赤矢印をつけた部分が偏微分記号(ラウンド)を有効にするか否かのチェックボックスです。

偏微分記号のON/OFF

偏微分記号の有効、無効でどんな感じになるのかまずやってみました。Maxima側の処理は以下です。MaximaSample2EC

上記の黄色マーカーの1階微分と、緑のマーカの偏微分がどう表現されるか見てみました。こんな感じ(なお赤、緑、黄の部分は後から書き加えたものです。)partial_EC

まずは冒頭の日本語「これはテストです。」タイプセットされとりますな。偏微分記号をイネーブルにすると、すべてのdiffが偏微分でかかれ(赤枠)、ディセーブルにするとすべてシンプルな d となります(緑枠。)しかたがないので、手動にて「いいとこどり」ついでに、式の番号も挿入されるようにしてみました(黄色枠)

そのときのLaTeXソースが以下に(Maximaから輸出の数式を、手動でキリハリしたもの。)

\documentclass[a4paper,12pt]{jlreq}

\begin{document}

これはテストです。

\[\frac{\partial}{\partial x} \left( \sqrt{3} \left| x\right| \right) =\frac{\sqrt{3} x}{\left| x\right| }\]
\[\frac{\partial}{\partial x} \sqrt{3 {{x}^{2}}-2 {{y}^{2}}}=\frac{3 x}{\sqrt{3 {{x}^{2}}-2 {{y}^{2}}}}\]
\[\frac{d}{d x} \left( \sqrt{3} \left| x\right| \right) =\frac{\sqrt{3} x}{\left| x\right| }\]
\[\frac{d}{d x} \sqrt{3 {{x}^{2}}-2 {{y}^{2}}}=\frac{3 x}{\sqrt{3 {{x}^{2}}-2 {{y}^{2}}}}\]

\begin{equation}
\frac{d}{d x} \left( \sqrt{3} \left| x\right| \right) =\frac{\sqrt{3} x}{\left| x\right| }
\end{equation}

\begin{equation}
\frac{\partial}{\partial x} \sqrt{3 {{x}^{2}}-2 {{y}^{2}}}=\frac{3 x}{\sqrt{3 {{x}^{2}}-2 {{y}^{2}}}}
\end{equation}

\end{document}

微分記号と偏微分記号を「混ぜる」のは手動に頼ることになるのか?素人老人は知らず。

wxMaxima文書全体のエクスポート

wxMaxima上の文書全体をエクスポートするのは以下のメニューから可能です。exportMaximaその際、エクスポート先を「.tex」形式と指定する必要があるみたい。

先ほどのMaxima文書を sample3.texとしてエクスポートし、TeXworksで開きなおしたところが以下に(長いファイルの先頭付近。)exportMaximaDoc

上記をLuaLaTexエンジンでタイプセットしたものが以下に。exportResults

 

色も含めてMaximaの画面が「再現」されとりますな。

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